金融審議会総会(第31回)・金融分科会(第19回)合同会合議事録

  • 1.日時:

    平成25年9月9日(月)11時00分~12時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室

○吉野会長

それでは、麻生大臣もご到着になりましたので、ただいまから第31回金融審議会総会、並びに第19回金融分科会合同会合を開催させていただきたいと思います。

開催に先立ちまして、本日の議事は公開の形で行われておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

本日は麻生大臣、寺田副大臣にご出席をいただいておりますので、まず、お2人からそれぞれご挨拶をいただきたいと思います。

最初に麻生大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

○麻生大臣

おはようございます。金融審議会の開催に当たりまして、一言ご挨拶をさせていただきたいと存じます。

最初にまず、オリンピックおめでとうございました。これは直接、金融審議会に関係するわけではありませんけれども、世の中の気分が大分変わります。心からお祝い申し上げたいと存じます。

さて、本年の4月にこの審議会で報告書を取りまとめていただきました。ご存じのとおりです。その提言を踏まえて、金融商品取引法等の一部を改正する法律案として、今通常国会に法案を提出させていただき、本年の6月12日に国会で成立いたしております。報告書を取りまとめるに当たりましては、委員の皆様から貴重なご意見を頂戴いたしました。この場をかりて改めて深く感謝、御礼を申し上げる次第です。

本日は、昨年諮問をさせていただきました保険商品・サービスの提供等の在り方について精力的な検討が行われ、取りまとめられた報告書が提出されると伺っておるところです。金融行政を巡っては、今回の保険商品・サービスの提供等の在り方についての検討のように、少子高齢化や国民の金融ニーズの多様化などに伴う課題に適切に応えていくということが求められております。同時に現在、政府を挙げて日本経済の長く続いたデフレ不況下の脱却と力強い経済成長の実現に向けて取り組んでいるところです。金融庁としても、本年6月14日に閣議決定をされました日本再興戦略並びに規制改革実施計画に基づき、関連する施策の実現に向けて検討を進めています。

委員の皆様におかれましては、こうした諸課題に対し、活発なご議論をいただくようお願い申し上げさせていただき、私からのご挨拶にかえさせていただきます。

よろしくお願い申し上げます。

○吉野会長

麻生大臣、どうもありがとうございました。

大臣は所用のためにここで退席されます。どうもありがとうございました。

(麻生大臣退室)

○吉野会長

それでは、引き続きまして、寺田副大臣からご挨拶をお願いいたします。

○寺田副大臣

おはようございます。金融審議会の先生方におかれましては、常日頃よりご指導賜り、改めまして感謝を申し上げます。

ご承知のとおりオリンピック招致、昨日の早朝に決定し、総理が自ら言われたとおり、いわば第4の矢にも匹敵する効果を有するものと私も確信をいたしております。政府挙げてまた国民挙げて、2020年に向けて盛り上げてまいりたい、そのように考えております。

ご承知のとおり、1本目の矢は異次元の金融緩和ということで、これは金融政策のほうではありますが、マネタリーベースを倍増しても、準備預金に積みだまっているだけでは民間金融が活性化しません。そこから先はまさに金融行政とも密接に絡まる問題であります。今回、監督方針また検査方針も大幅に改定をいたしまして、経済成長に資する、また金融の円滑化に資するような方針を樹立いたしたい、そのように考えております。

また、2本目の矢の機動的な財政政策につきましても、これは財政の分野ではありますが、財政と金融の接点の政策金融のところでは、ご承知のとおり今回の緊急経済対策でもセーフティーネット貸し付けの充実をはじめとする政策金融が、いわば触媒効果を果たして民間金融にもプラスの効果を裨益するものと確信をいたしております。

そして、3本目の矢の成長戦略。金融審議会でも神田座長のもと、リスクマネーワーキングにおいて精力的に、クラウド・ファンディングあるいはグリーンシート、また上場基準の緩和をはじめといたします諸施策につき、包括的にご検討いただいております。

規制改革会議における「規制改革ホットライン」で、こうしたさまざまな論点につきまして、1,000件を超えます各種要望が出てきておりまして、その中で、かなりの数が金融関係の要望であります。実は大崎委員も規制改革会議の創業・ITワーキングの座長として、そうした多くの金融関係の要望について議論を行う上で、大変お世話になっております。金融審議会においても成長戦略に資する金融分野の規制改革、あるいはまた日本再興戦略に盛り込まれている諸項目について、積極的、精力的にご審議を賜ればと思います。

保険分野における様々な自由化についてもご審議を賜っているところであります。我々もさらに全力を挙げまして、日本を取り戻し、そして経済再生に向けまして取り組んでまいりたいと考えております。

よろしくご審議のほどお願いいたします。ありがとうございます。

○吉野会長

寺田副大臣、どうもありがとうございました。

それではカメラの方々、恐縮ですけれども順次退席をお願いさせていただきたいと思います。

(報道関係者退室)

○吉野会長

それでは、本日の議事を進めさせていただきたいと存じますが、最初に保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループの洲崎座長からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○洲崎委員

保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ座長の洲崎でございます。

同ワーキング・グループにおきましては、昨年6月から本年6月までの間、16回にわたり、新しい保険商品・サービスの在り方や保険募集・販売ルールの在り方について審議を行いました。以下、本年6月7日に取りまとめた報告書について、お手元の概要、資料番号でいいますと1-2でございますが、これに沿って報告いたします。

まず、保険商品・サービスの提供等の在り方に係る検討結果について申し上げます。

少子高齢化をはじめとする社会情勢の変化に伴う新しいニーズや既存ニーズの変化に対応するため、次の3点について検討いたしました。

第1に、新しい商品・サービスとして不妊治療保険及び保険を介した提携事業者による財・サービスの提供について検討いたしました。まず、不妊治療保険については、商品開発のためにはモラルリスクなどの課題の解決のためのさらなる検討が必要であるとの認識に至りました。また、提携事業者による財・サービスの提供をキャッシュレスで受けられるようにする仕組みについては、保険会社が保険金を事業者に直接支払うことにより、顧客による保険金の受け取りと顧客による事業者への代金支払いを省略して、事実上、キャッシュレスで顧客が財・サービスの提供を受けられるようにすることは、現行法においても適法であることを確認しました。その上で、実際の販売に向けては、財・サービスの内容に係る情報提供など、顧客保護の観点から必要な措置を講じることが適切であるとの結論に至りました。

第2に、保険会社グループの業務範囲について、子会社による保育所運営の解禁など、さらなる拡大を認めるべきとの結論に至りました。

第3に、共同行為制度の活用促進について、複数の保険会社が独占禁止法の適用除外を受けつつ、共同で行う保険引き受けに関し、より積極的な活用を認めるために必要な方策について実務的に検討を進めていくことが適当であるとの結論に至りました。

次に、保険募集・販売ルールの在り方に係る検討結果について申し上げます。

銀行窓販やいわゆる来店型ショップ、インターネットによる募集の増加といった保険募集チャネルの多様化や、保険代理店の大型化などの保険募集をめぐる環境の変化に対応するための規制の在り方に関し、次の4点について検討いたしました。

第1に、保険募集の基本的ルールの創設について、全ての保険募集に共通する基本的ルールとして、意向把握義務、情報提供義務を定めることが適当であるとの結論に至りました。また、保険業界に対して、募集文書を簡素化し、顧客にとってわかりやすいものとするよう求めることといたしました。

第2に、保険募集人の義務について、従来は保険会社の営業職員による保険募集のように、特定の保険会社の密接な管理、指導のもとで保険募集人による募集が行われることを前提として、法令上も募集ルールの主要な遵守主体として保険会社が想定されていました。しかし、近年、複数の保険会社の商品を比較販売するなど、保険会社から一定の独自性をもって募集を行う保険募集人が増加していることを踏まえ、保険募集人についても保険会社と並ぶ募集ルールの主要な遵守主体として位置づけ、保険会社と同様に体制整備義務や委託先管理責任を課すことが適切であるとの結論に至りました。また、複数商品の比較推奨販売について、特定商品を推奨する際に推奨理由の説明を義務づけるなど、適正化のための措置を講じることが適切であるとの結論に至りました。

第3に、募集規制の適用範囲について、比較サイトや見込み客紹介サービスの出現などの募集プロセスの多様化に対応するため、ある行為が保険業法による募集規制の対象となるかどうかを判断するメルクマールについて整理を行いました。

第4に、保険仲立人に係る規制の見直しについて、保険仲立人の新規参入や活動の活性化を図るため、契約手続の簡素化や供託金の最低金額の引き下げなどの規制緩和を行うことが適切であるとの結論に至りました。

以上、簡単ではございますが、保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループの報告書の概要をご報告いたしました。

○吉野会長

洲崎委員、どうもありがとうございました。

それでは、ただいまご説明いただきました保険商品・サービスの提供の在り方に関するワーキング・グループの報告書に関しまして、どなたかご質問あるいはご意見がございましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

家森委員どうぞ。

○家森委員

私もこのワーキングに参加しておりまして、今もご説明あったとおりですが、保険募集に関しての法制度が今後、かなり変わっていくということになります。その際に、基本的な精神というのは、この報告書の26ページの最後の部分の「おわりに」というところにありますように、顧客が真に必要となるような保険商品をわかりやすい説明を受けて十分に理解・納得した上で加入できるような制度を作っていっていただきたいと思います。ただ、その際にあまりがちがちに規制をすると、現場の創意工夫が生かせませんので、ぜひそのあたりのバランスをとっていっていただきたいということが1つです。

それからもう1つ、これは、法制上の課題ではないんですけれども、保険サービスを的確に提供していくには、お客さんの側もきちんと保険の内容がわかるということが重要でして、報告書の最後のところに、当局、業界、その他関係者において、金融教育の取り組みをなお一層推進することを求めたいということも記述してあります。その点についても今後、我々としても課題として考えております。

以上です。

○吉野会長

ご意見どうもありがとうございました。

それでは、大崎委員お願いします。

○大崎委員

例えば投資信託など、他の金融商品をめぐっては、いわゆるコストの問題というのが非常に大きな議論になっております。保険についても同じ側面もあると思うのですが、例えば保険に係る手数料、あるいは業務提供側のいろんなコスト面をどう保険契約者に知らせていくのかということについては、どんな議論がなされたのでしょうか。教えていただければと思います。

○吉野会長

洲崎委員どうぞ。

○洲崎委員

では、私からお答え申し上げます。

保険を販売する場合の手数料については、保険仲立人に関しては現在でも保険業法上、開示義務が課せられております。今回は、保険仲立人ではないけれども、保険仲立人に似た機能を果たしているといわれている来店型保険ショップ、乗合代理店について手数料を開示すべきかどうかという議論もございました。けれども、最終的に、現時点では開示義務を課すべきではなく、今後の監督を見ながら、もしその乗合代理店の保険の販売の仕方が必ずしも適切ではない、例えば、中立公平な立場からということを標榜しながら、実際には手数料の高い商品を売っているというようなことがあれば、今後の規制を考えていく必要があるという結論になりました。現時点では、法律を改正の必要があるという議論にはならなかったということでございます。

ちなみに、今のお話は報告書でいいますと20ページの第3段落の「なお、手数料の開示については」というところから記載されてございます。

○吉野会長

それでは、河野委員お願いします。

○河野委員

洲崎委員のご発言と関連して、よく以前は銀行窓販のことを保険の代理ということがあったと思いますが、乗合代理店には、銀行の窓販のことも含んでいるのでしょうか。

○洲崎委員

はい、銀行窓販も乗合代理店の形式に当てはまる以上は、乗合代理店として規制を受けるということになると思います。

ただ、今回のワーキング・グループで主として議論の対象となったのは、銀行窓販の問題というよりは、いわゆる来店型保険ショップであったと理解しております。

○河野委員

わかりました。特にここには銀行窓販ということは書いてないけれども、同じ適用を受けると理解してよろしいでしょうか。

○洲崎委員

そう理解していただいて結構です。

○河野委員

ありがとうございました。

○吉野会長

ほかにございますでしょうか。

田邊委員お願いします。

○田邊委員

基本的な質問かもしれませんが、顧客として個人と企業があり、企業向けの保険というのもこの議論に含まれていると思います。企業でもいろいろレベルがあるかもしれませんが、企業保険ですと個人とは違った専門性のあるもの、金融商品でいえばプロの投資家みたいな方を専門に扱う代理店もあろうかと思うんですが、そういう代理店に求める体制は個人向けとは違うということもあり得ようかとは思いますが、そういった区別が議論の中でされていたかどうかを教えていただきたい。

○吉野会長

洲崎委員お願いします。

○洲崎委員

顧客が一般消費者である場合とプロである場合とで、保険募集ルールが区別されるべきであるということは一般論としてございますし、実際ワーキングでも議論になりました。事業者といっても、実際には個人事業者のように一般消費者に近い属性の場合もございます。どのあたりで線引きするかということはワーキング・グループの場でかなり議論になりましたけれども、報告書の中で細かく議論すべき問題というよりは、執行の問題であるということで報告書では整理されております。

○吉野会長

ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

黒沼委員お願いします。

○黒沼委員

1つ質問がございます。

今回の報告書では、情報提供義務についての法令上の規定を設けることを提案していて、他方で禁止行為についてはその範囲を限定してよいのではないかという提言がなされています。そうすると、行為規制の適用について、情報提供義務については違反があっても罰則は適用せず、行政で対応するということになるのではないかなと思うのです。そうすると禁止行為が適用される重要事項の説明違反というのは限定されることになりますね。

○洲崎委員

はい。

○黒沼委員

そうすると、この行為規制の情報提供義務で提供が義務づけられているような事柄の中でも、それを説明しなかった場合に罰則が適用されない場合があり得ると理解してよろしいんでしょうか。

○吉野会長

洲崎委員お願いします。

○洲崎委員

報告書に書かれているところを素直に読むと、そういうことになると思います。

○吉野会長

よろしいでしょうか。

それでは、多くの意見もいただきましたので、大臣に私から別途報告書に関して、ただいまのご意見も含めまして報告させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

それでは、次にもう一つのテーマでございますけれども、日本再興戦略と規制改革実施計画に関しまして、本年6月14日に閣議決定がなされまして、政府を挙げて検討するということになっております。この中で、金融庁においても関連施策の実現に向けて検討を進めているということですので、この機会にその検討状況について事務局から説明していただきたいと思います。

それでは、藤本企画課長、お願いいたします。

○藤本企画課長

企画課長の藤本です。

お手元の資料の右肩に資料2というものをご覧いただきたいと思います。最近の金融行政の動向についてと書かれたものです。表紙をおめくりいただきます。

1ページ目ですが、日本再興戦略におきまして金融庁の関連の施策を下に列記しております。四角の中にあります日本産業再興プラン等と申しますのは、日本再興戦略の中のどの部分にこれが載っているかというのを示しているものです。上から資金調達の多様化、クラウド・ファンディング、個人保証制度の見直し、コーポレートガバナンスの強化、それから金融・資本市場の活性化策の検討、アジアの金融インフラ整備支援といったものが掲げられているところです。

1ページおめくりいただきまして、2ページです。

まず、資金調達の多様化、クラウド・ファンディング等です。真ん中に日本再興戦略でどのように触れられているかということを抜き書きしています。技術やアイデアを事業化する段階でのリスクマネーの供給を強化するとともに、地域のリソースを活用するための方策として、クラウド・ファンディング等を通じた資金調達の枠組みについて検討するということで、先ほど副大臣からもお話がございましたが、金融審議会で検討を行い、本年中に結論を得るということとされています。

規制改革実施計画においても、我が国の閉塞感を打ち破る起爆剤ということで、リスクマネーの供給を促進するとされているところです。

3ページ目に参ります。

足許の検討状況ですが、新規・成長企業へのリスクマネー供給策、新規上場の推進策、上場企業の資金調達の円滑化ということについて検討中であり、これまで3回会合を開催してきております。これまではヒアリングを実施してきており、リスクマネーの出し手・受け手、日証協、地方銀行、クラウド・ファンディングの運営会社等からヒアリングを実施してまいりました。第4回会合は、明日開催の予定です。本年中を目途に取りまとめを行う予定であります。

4ページ目に参ります。

個人保証制度の見直しです。これについては、中小企業における個人保証等の在り方研究会というものを開催し、昨年来、検討してまいりました。この問題意識は、中小企業の経営者による個人保証について、思い切った事業展開や早期事業再生を阻害する要因となっているのではないかというものです。この研究会は中小企業と金融庁が共同で設置し、6回の会合を開催して、5月2日に報告書を取りまとめ、公表しております。

その内容、1ページめくっていただきまして、5ページ目でございます。ここに概要をまとめております。左上に個人保証、経営者本人保証の現状についてまとめており、右上にその個人保証の弊害といったものをまとめています。そうした中で、3番目ですが、紙の下半分ですが、政策的出口の方向性として2つに分けて、契約時の課題への対応、それから個人保証履行時における課題の対応について取りまとめられています。一番下の矢印で、上記の方向性を具体化したガイドラインが関係者により策定されることが適当とされていることです。

もとに戻っていただき、4ページですが、真ん中に日本再興戦略の抜き書きがございまして、経営者本人による保証について、法人の事業資産と経営者個人の資産が明確に分離されている場合等、一定の条件を満たす場合には保証を求めないことや、履行時において一定の資産が残るなど、早期事業再生着手のインセンティブを与えること等のガイドラインを本年のできるだけ早期に策定するとされているところです。

足許の検討状況ですが、事務局を日本商工会議所と全銀協とするガイドライン研究会が設置されまして、8月上旬に第1回会合が開催されております。この研究会では、保証人の負担軽減と中小企業の円滑な資金調達のバランスをとりつつ検討を進め、本年のできるだけ早期にガイドラインを策定・公表する予定と聞いております。

2ページめくっていただきまして、6ページ目でございます。

次はコーポレートガバナンスの強化ということで、日本版スチュワードシップ・コード策定に向けた検討についてです。日本再興戦略では、企業の持続的な成長を促す観点から、幅広い範囲の機関投資家が企業との建設的な対話を行い、機関投資家が適切に受託者責任を果たすための原則、これを日本版スチュワードシップ・コードと呼んでいますが、これについて我が国の市場経済システムに関連する経済財政諮問会議の議論も踏まえながら検討を進め、年内に取りまとめるととしております。これを受けて、有識者検討会というのを立ち上げて、8月6日に第1回会合が開催されています。これも年内の取りまとめに向けて検討しているところでございます。

7ページ目に参ります。

金融・資本市場活性化の検討ということで、アジアの成長も取り込みつつ、証券市場の活性化や資産運用マーケットの強化を図ることにより、アジアナンバーワンの市場の構築を目指すものです。金融庁、財務省、民間有識者による活性化ワーキング・グループを設置して、本年中に概要を固める予定です。足許の検討状況としては、現在、金融機関や事業会社等から幅広くヒアリングを実施しているところであり、財務省とともに、ワーキング・グループの立ち上げに向けて準備を進めております。

8ページ目で最後の項目ですが、アジアの金融インフラ整備支援がございます。日本再興戦略では、中堅・中小企業の海外活動に対して円滑な資金供給の確保を図ることとしております。そのため、アジア諸国に対する金融インフラ、法制度とか決済システム等の整備のための技術支援を促進するということでございます。

経済財政運営と改革の基本方針におきましても、日系企業の現地通貨建て資金調達支援を含む2国間金融協力、金融インフラ整備の技術支援等を推進するとされているところです。

9ページ目で最後のページですが、この背景にある問題意識としては、金融インフラ、法制度や決済システム等の整備が現地において不十分であって、日本企業の資金調達等に支障が生じており、アジアで日本企業が活動するに当たって制約になっているということです。こうした状況の下で現地当局によるさまざまな規制、金融取引・融資に関する規制が存在することに対しても問題意識を持っています。

基本的な考え方は、技術協力メニューをパッケージで提供して、金融面での国づくりに貢献しようということであり、金融行政の運営の手法、あるいは法令制定等のソフト面の支援、決済システム等のハード面での支援と、こうした貢献をする中で、各国の成長の妨げとなる規制等の見直しを促進するということです。

以上になります。

○吉野会長

藤本企画課長、ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問あるいはご意見ございましたら、お願いいたします。

それでは、家森委員お願いします。

○家森委員

中小企業における個人保証の在り方については、現在、ガイドラインが検討されているということですが、中小企業の経営でよく問題になる事業承継をするときに、子供に継ぐ場合はいいんですけれども、特に子供以外の方に継いでもらうときに個人保証をそのまま、サラリーマンの方に全部持っていくというのが大きな懸案になって、事業承継が円滑に進まないということを中小企業や金融機関の方から伺います。今後このガイドラインが策定されると、事業承継はやりやすくなるのでしょうか。まだ議論がされている途中であると思いますが、その方向性について教えていただければと思います。

○吉野会長

監督局からお願いいたします。

○細溝監督局長

ガイドラインについては、先程の説明のとおり、ガイドライン研究会において議論されている最中です。その議論の前提である中小企業における個人保証等の在り方研究会の報告書の中では、まさにそうした事業承継の際の課題が発生することを見越して、契約締結時に、将来的な保証の見直しの可能性について借り手に対して丁寧かつ具体的に説明することを金融機関に求めております。そして、実際に事業承継をする際には、新旧の経営者の方が保証契約の見直しの申入れを行うことになると思いますが、それについても、同じ報告書において、金融機関は、前経営者が負っている保証債務について、後継者に当然に引継がせるのではなく、保証の必要性の検討や適切な保証金額の設定などに真摯に対応することとなっており、ガイドライン研究会においてもこうした点を踏まえて議論されているものと承知しております。

○吉野会長

寺田副大臣お願いします。

○寺田副大臣

本来この議論は事業再生を阻害する要因として議論が進んでおります。先程ご指摘のあった事業承継については、来年度の経済産業省の予算要求で東京商工会議所が運営しております中小企業引継支援センターの事務局を全国に拡大展開して対応することにしております。事業承継については、さまざまな問題がございます。保証の問題のみならず、マッチングがうまくいかないことも指摘されております。特に身内が継がない場合、広く承継者を募って、ワンストップ化して、買い手と売り手のマッチングをより効率的に図っていくことになっております。あるいは、税制改正要望で事業承継を促進する税制のさらなる拡充などの声もで出されております。事業承継が円滑に進まない幾つかある要因の1つが、この個人保証であると思います。私の認識では、そんなにこの問題が大きなネックとなって事業承継が進まない、あるいは第三者承継が進まないということではなくて、むしろマッチングの問題ではないかと思っております。

○吉野会長

ほかにいかがでしょうか。

それでは、大崎委員お願いします。

○大崎委員

7ページの金融・資本市場の活性化について1点意見を申し上げます。冒頭の麻生大臣のご挨拶にもありましたが、ちょうどオリンピックの開催も決まったということで、これから円滑な実施へ向けて当然、都市基盤の整備・充実・強化に取り組んでいくことになりますが、ぜひこの金融・資本市場の活性化というのは、制度等ソフト面だけでなく、ハード面、例えば都市基盤整備ともうまく連携していくのが望ましいと思っております。そういう方向での検討に大いに期待しております。

○吉野会長

やはり、これだけ財政赤字が大きくなると、官の資金だけでは、インフラ整備は容易ではなく、民間の資金を活用するというのは非常に重要だと思います。スムーズに民間の資金が活用されるようなシステムを構築することは、金融庁としても非常に重要だと思いますので、ぜひこれから検討していただきたいと思います。こうした日本での取組みがうまくいけば、アジアのインフラ整備のモデルケースになると思います。ご意見ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

それでは、福田委員お願いいたします。

○福田委員

日本国内の市場が縮小する中で、やはりアジアを取り込んでいくということは大事であり、アジアの金融インフラの整備に関与していくということは非常に重要ですので、ぜひ進めていただければと思います。9ページにはアジアでの日本企業の活動に対する制約ということで、金融インフラの整備が不十分であり、日本企業の現地資金による資金調達等で大きな支障が生じているということが書かれていますが、アジアでの日本企業の活動に対する制約は、もう少し幅広く生じていると思います。日本の企業がアジアに進出するにはどういう課題があるのか、もう少し幅広く議論していただければと思います。

○吉野会長

ありがとうございます。

田邊委員お願いいたします。

○田邊委員

アジアのインフラ整備が進んで、アジアに進出している企業の資金調達というのも昔より大分よくなっております。金融関連の施策には、平常時と非常時の対応というのが両方あると思いますけれども、現状でも相当な数の企業が進出をして資金調達をしている中で、特にインドネシア等々でアメリカのQE3からのエグジットを予感しての動きがあります。大変なことが起きているというわけではないですが、日本から現地に進出している企業も相当緊張感を持って為替予約等の対策を取っていると思います。

実際、相場が荒れると十分な量の為替予約ができないことがあると聞いており、現場としては緊張感を持ってQE3の影響、あるいは中国の経済の変調等、インドネシアばかりではないですが、いろんなところで出つつある影響を注視しております。アジア危機のようになるかどうかはわかりませんけれども、企業は緊張感を持っているということを感じておりますので、申し述べておきたいと思います。

○吉野会長

危機時は、大体流動性がすごく増えて、それが何らかの形で途上国に波及するということがあると思います。そして、為替について日本の場合には、日本企業が海外で稼いだものを円にかえて日本に持ってこられますけれども、企業によっては現地通貨を調達することになりますが、日本企業が現地通貨建てで収益を上げたものをその他の現地通貨を必要とする日本企業に融通するシステムができれば、お互いに為替リスクを回避することができます。こうしたことを実現するために、金融インフラの整備を進めていただければと思っています。

ほかにいかがでしょうか。

それでは、原田委員お願いします。

○原田委員

先ほど、福田委員、田邊委員がおっしゃったことに関連しますが、アジアに対する金融インフラの技術的な支援は、私も強く進めていっていただきたいと思っています。インドネシアなどに行きますと、あの高速道路は日本のODAでつくられたんだというような話を時折聞いたりしますので、そういうところに日本の決済システムがもとになって新しい金融インフラができるというのは、波及効果もあるかと思いますので、強く進めていっていただきたい分野の1つです。

あともう一つ、日本再興戦略の1つとして挙げられておりますリスクマネーの供給についてです。これは明日のワーキング・グループで、申し上げるべきことなのかもしれませんが、できましたらどこかでニーズがどのくらいあるかということを積み上げていただきたいと思っております。資金調達手段の多様化は必要だと思うんですが、今まで個々にはヒアリングをしていただいていろんなご意見を伺っておりますが、どのくらいニーズがあるのかということが、制度の在り方に関連してくるかと思います。地方再生のためのファンドや政府系のファンドが、非常にたくさんできておりますので、そうしたファンドとの住み分けに関する議論を行うことが今後必要になってくると思っております。

以上になります。

○吉野会長

ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、皆様からご意見をいただきましたので、金融庁におかれましてもただいまのご意見を踏まえて、今後、関連施策の実現に向けて検討していただきたいと思っております。

それでは、全ての議事を終了いたしましたので、本日の金融審議会総会・金融分科会合同会合を終了させていただきたいと思います。

ありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課(内線3645、3520)
本議事録は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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