第38回金融審議会総会・第26回金融分科会合同会合議事録

  • 1.日時:

    平成29年3月3日(金)10時00分~12時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

○佐藤企画課長

それでは、定刻10時となりましたので、ただいまから、第38回金融審議会総会及び第26回金融分科会合同会合を開催させていただきます。
 

本日は、皆様方ご多用のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、金融審議会審議会委員へのご就任をご快諾いただきましたこと、あらためて御礼申し上げる次第でございます。


   新会長をこの後ご選任いただきますが、それまでの間、私、企画課長の佐藤が、議事の進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 

また、本日は、麻生副総理・金融担当大臣は、国会関係のご都合がありまして欠席となっております。ご了承いただければ幸いでございます。
 

あわせて、武村政務官におかれましても、国会関係、公務のため、若干遅れて到着の予定となっております。


   それでは、会議の開催にあたりまして、越智内閣府金融担当副大臣より、ご挨拶をいただきたいと思います。越智副大臣、よろしくお願いいたします。
 

○越智副大臣

皆様、おはようございます。内閣府副大臣の越智隆雄でございます。金融審議会総会を開会するにあたりまして、一言ご挨拶を申し上げたいと思います。

まずは、本日は、こうしてお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。また、委員への就任につきまして、ご快諾をいただいたことに心から感謝を申し上げたいと思います。

さて、日本経済は、安倍政権の取組みによりまして、雇用・所得環境が改善するなど、経済の好循環が生まれてきております。この経済の好循環の流れを確実なものとして、一億総活躍社会を実現するためには、未来への投資の拡大に向けた成長戦略を推進していかなくてはなりません。

金融面では、企業の成長に向けた資金が円滑に供給されることが重要であり、加えて高齢化や人口減少といった構造変化に対応するため、国民の安定的な資産形成の実現に向けた取組みを進めていくことも重要な課題であります。

また、フィンテックによる金融革新に対応しつつ、顧客本位の良質なサービスの提供を通じて、我が国金融資本市場の進化と金融業の競争力向上を図っていくことが不可欠であると考えております。今後、委員の皆様方には、これら金融行政の重要課題について、大所高所から幅広くご審議いただきたいと考えております。

内外の環境が目まぐるしく変化する中で、これまでの方法や仕組みが必ずしも通用しない場面が生じつつあります。新しい時代に即した金融制度のあり方について、ぜひとも皆様方のご知見をおかりできればと思っております。どうぞよろしくお願いを申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

○佐藤企画課長

ありがとうございました。

また、武村政務官もただいまご到着いただきました。

それでは、テレビカメラは、こちらで退室をお願いいたします。

(報道関係者退室)
 
○佐藤企画課長

それでは、引き続き議事を進めさせていただきます。

まず、本年1月25日の委員改選後初めての会合となりますところ、委員の皆様を順にご紹介申し上げます。また、お名前を記載いたしました名簿につきましては、お手元に配付をいたしておりますので、適宜ご参照をいただければ幸いに存じます。

皆様の座席順にご紹介を申し上げます。

委員の皆様方からご覧になって右のほうから、秋池玲子委員でございます。

○秋池委員
   秋池でございます。よろしくお願いいたします。
 
○佐藤企画課長
   そのお隣、朝田照男委員でございます。
 
○朝田委員
   朝田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○佐藤企画課長
   そのお隣、伊藤元重委員でございます。
 
○伊藤委員
   伊藤でございます。よろしくお願いします。
 
○佐藤企画課長
   そのお隣、岩原紳作委員でございます。
 
○岩原委員
   岩原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○佐藤企画課長
   そのお隣、翁百合委員でございます。
 
○翁委員
   翁でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○佐藤企画課長
   そのお隣、沖野眞已委員でございます。
 
○沖野委員
   沖野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○佐藤企画課長
   そのお隣、川口恭弘委員でございます。
 
○川口委員
   川口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○佐藤企画課長
   そのお隣、川島千裕委員でございます。
 
○川島委員
   川島でございます。よろしくお願いいたします。
 
○佐藤企画課長
   そのお隣、神田秀樹委員でございます。
 
○神田委員
   神田と申します。よろしくお願い申し上げます。
 
○佐藤企画課長
   そのお隣、佐々木百合委員でございます。
 
○佐々木委員
   佐々木百合です。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○佐藤企画課長
   そのお隣、志賀俊之委員でございます。
 
○志賀委員
   志賀でございます。よろしくお願いいたします。
 
○佐藤企画課長
   そのお隣、永沢裕美子委員でございます。
 
○永沢委員
   永沢でございます。よろしくお願いいたします。
 
○佐藤企画課長
   そのお隣、原田喜美枝委員でございます。
 
○原田委員
   原田でございます。よろしくお願いいたします。
 
○佐藤企画課長
   そのお隣、福田慎一委員でございます。
 
○福田委員
   福田でございます。
 
○佐藤企画課長
   そのお隣、山本和彦委員でございます。
 
○山本委員
   山本でございます。よろしくお願いいたします。
 
○佐藤企画課長
   そのお隣、家森信善委員でございます。
 
○家森委員
   家森です。よろしくお願いいたします。
 
○佐藤企画課長

なお、本日、田島優子委員につきましてはご欠席となっております。

それでは、続きまして金融審議会会長及び金融分科会会長をお決めいただきたいと存じます。金融審議会令第4条第1項及び第5条第3項の規定により、委員の互選により選任することとなっております。皆様のご意見を伺いたいと思います。

沖野委員、どうぞ。

○沖野委員

ありがとうございます。これまで会長職の重責を担ってこられました岩原委員こそ、そのご経験、ご見識に照らしまして最もふさわしい方と存じますので、岩原委員をご推薦申し上げます。

○佐藤企画課長

ありがとうございます。ただいま岩原委員をご推薦するというご発言がございましたが、ほかにいかがでございますでしょうか。

家森委員、お願いいたします。

○家森委員

ありがとうございます。私も沖野先生と同様の理由から、岩原委員が適任だと考えております。

○佐藤企画課長

ありがとうございます。ほかにご発言ございますでしょうか。

ほかにご意見がございませんようでしたら、金融審議会会長及び金融分科会会長に岩原委員が互選されたということになろうかと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○佐藤企画課長
   それでは、ご異論ございませんようですので、岩原委員のご承諾をもって会長、金融分科会長への就任をお願いしたいと思いますが、岩原委員、いかがでございますでしょうか。

○岩原委員
   私が重責を果たせるか大変不安ではございますが、ご指名でございますので、引き受けさせていただきます。

○佐藤企画課長
   誠にありがとうございます。

   それでは、岩原委員に会長及び分科会長をお願いしたいと存じますので、席を、こちらの会長席にお移りいただくようお願い申し上げます。

(岩原委員、会長席へ移動)

○佐藤企画課長
   それでは、この後の議事進行は会長にお願いしたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。

 
○岩原会長
   それでは、会長を拝命させていただくにあたりまして、一言ご挨拶を申し上げます。

   私は、過去2年間、金融審議会の会長を務めさせていただきましたが、思い起こしてみますと、この2年間は金融にとっては激動の期間であったかと思います。フィンテックなど金融技術の著しい発展があり、また、高速取引などの問題もございました。そして、マイナス金利政策の導入に象徴されるような、非常な低金利の下で、金融機関の経営にとって、かなり大きな問題が生じていたところであります。

   そのような状況の中で、金融審議会は、金融制度ワーキング・グループにおきまして、フィンテック等に対応します銀行法改正の提案をしたわけでございますし、また、市場ワーキング・グループにおきましては、高速取引等に関する金融商品取引法の改正の提案をするということになったわけでございます。そして、金融機関の経営環境の悪化等を踏まえて、いろいろ検討を進めているところであります。このような厳しい状況、あるいは、大きな変化に備えるということは、これからの金融審議会においても、ますます重要であると思います。

   前回の金融審議会で提案されましたフィンテック等に対応する銀行法等の改正、あるいは高速取引等に関する金融商品取引法の改正というのは、ある意味で金融に関する制度の見直しの第一歩でありまして、この金融審議会においては、それを引継いで、順次着実に制度改正を進め、金融のあり方をよくする努力をしていく必要があると考えております。

   私といたしましては、微力ではありますが、何とかそれを進めてまいりたいと思いますので、皆様方のご協力をお願い申し上げる次第でございます。

   簡単ではございますが、挨拶に代えさせていただきます。
 
   それでは、引き続き議事を進めさせていただきます。

   まず、会長代理及び分科会長代理を選任したいと存じます。金融審議会令第4条第3項及び第5条第5項によりますと、会長代理、分科会長代理は、会長、分科会長が指名することになっております。

   私といたしましては、これまでの金融審議会におけるご経験などから、神田委員に会長代理及び分科会長代理をお願いしたいと存じます。神田委員、いかがでございましょうか。
 
○神田委員
   ご指名でございますので、謹んでお受けいたします。
 
○岩原会長
   どうもありがとうございます。どうかよろしくお願いいたします。

   引き続き、議事運営についてですが、今後とも金融審議会議事規則及び金融分科会議事規則にのっとって、取り計らってまいりたいと思います。

   なお、会議は原則として公開といたしますので、ご承知おきお願いします。

   また、各部会の部会長は、会長が指名することとなっております。自動車損害賠償責任保険制度部会及び公認会計士制度部会の部会長については、私が務めさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

○岩原会長
   それでは、次の議事に移りたいと思います。


   まず、日本の市場・取引所を巡る動向と今後の課題及びフィンテックや決済高度化を巡る動向と今後の課題について、議論をお願いしたいと思います。

   いずれのテーマも、これまでワーキング・グループを設置して審議を進めてきた課題でございます。本日は、昨年末に取りまとめられましたワーキング・グループの報告について、総会としてのご了承をいただきたいと考えておりますが、事務局からは、ワーキング・グループの審議結果に加え、背景となる問題意識や関連する動向、今後の課題等についても、あわせて説明していただき、これらのテーマについて大所高所からのご議論もあわせて頂戴できればと考えております。

   それでは、まず日本の市場・取引所を巡る動向と今後の課題について、齋藤市場課長から説明をお願いいたします。
 
○齋藤市場課長
   市場課長をしております齋藤と申します。お手元の資料の1-1「事務局説明資料(日本の市場・取引所を巡る動向と今後の課題)」とタイトルがついた資料に基づきまして、今ご紹介いただきましたように、市場ワーキングでの議論の背景、問題意識、あるいは今後の課題といったことについてご説明を申し上げたいと存じます。

   1990年代末に金融システム改革であるとか、日本版金融ビッグバンと呼ばれている金融資本市場の大改革というものが行われまして、それが今の日本の市場・取引所の制度、あるいは枠組みといったものの原型になって、現在に至っているという状況でございます。

   このような背景から、大体2000年以降、市場がどのような動向になっているかというところから始めたいと思います。

   1枚おめくりいただきまして1ページ目でございますが、まずは株価と売買高の推移についての2000年以降の動向でございます。青い線が日経平均株価、ピンクの棒グラフが月次の東証における売買代金でございます。

   日経平均株価につきましては、2000年の初め段階では2万円をちょっと切る段階で、その後、時々の経済情勢等を背景に上下動しておりましたけれども、足元、ほぼ同じ水準まで戻ってきているところでございます。

   売買代金に関しても同様に変動してございますけれども、総じて申し上げれば2000年代の初頭においては月間20兆円ちょっと下回るぐらいの水準だったものが、足元は50~60兆円に増加をしているということが見て取れると思います。

   続きまして、1枚おめくりいただきまして2枚目、これは、東証の現物市場で誰が売買をしているのかという投資主体別の株式売買比率の推移でございます。顕著に上昇しているのは海外投資家でございまして、2000年初頭には34%程度だったものが、足元では70%程度に増加をしてございます。他方で、当時2番目に売買高が高かった金融機関につきましては、30%が足元では3.7%と大きく低下しているという状況になってございます。

   続きまして、3ページ目でございますが、では、誰が売ったり買ったりしているかでなくて、誰が持っているのかという投資主体別の株式保有比率の推移でございます。2000年初頭には金融機関が3割ぐらい持っていた状況でございますが、黒線でございますけれども、足元では2割程度ということで、1割程度低下している状況にございます。かわって、外国法人等につきましては、2000年初頭では20%を若干下回る程度だったものが、足元、ほぼ30%まで増加してきているという状況にございます。また、投資信託についても、3%程度から5.6%に上昇しているところでございます。

   これが海外と比較してどうかということでございますが、アメリカとだけ比較をして、次の4ページ目でございますけども、アメリカでは個人の割合が高く、続いて投資信託、その次に海外投資家という形になってございます。そういう意味では、日本とは大きく株式の保有構造が違っているという状況が見て取れるところでございます。

   続きまして、5ページ目でございますが、では、どこで売買されているのかという取引所ごとの売買シェアでございます。こちらのグラフは2007年以降になってございますが、さかのぼっていっても状況は基本的には変わりません。東京証券取引所における現物取引のシェアといったものがほぼ9割を占めてございまして、ほかの取引所及びPTSも含めた取引所外の取引といったものは、合わせて10%程度ということになっているところでございます。

   これが諸外国と比べてどうかというところが6ページ目でございまして、6ページ目にアメリカとイギリスとドイツの比較がございます。

   アメリカにおきましては、最も大きい取引所がナスダックでございますけれども、赤い実線でございますが、ナスダックも足元、全体のシェアで見れば15%を下回る程度、むしろ、それ以外の取引所、あるいは緑色の点線になってございますけれども、店頭取引といったものが35%を超える程度ということで、日本とは大きく様相が違ってございます。

   イギリスとドイツに関しましては、店頭取引が入っていないグラフなのでベースが一致しておりませんが、ロンドン、あるいはドイツ証券取引所という各国のメーンマーケットが取引所市場における半分から6割程度を占めておりまして、残りのところを他の取引所、取引施設がシェアを分け合っているということで、米国ほどではないものの、日本のように1つの取引所に売買が集中しているという状況は欧米とは随分違っているという状況になってございます。

   それから、足元の市場における最近着目されている点として、7ページにございますけれども、特徴的なトピックとしてパッシブ・インデックス運用の増加というものが指摘されております。伊藤レポートと通称呼ばれている「持続的成長への競争力のインセンティブ」という報告書でございますけれども、日本株を保有する機関投資家の大きなパッシブ・インデックス運用に偏重していることが問題として指摘されている、このようなトピックも最近出てきているところでございます。

   このような足元の動向を踏まえまして、足元、金融庁として、さまざまな市場・取引所回りの課題があるというふうに考えてございます。それが8ページ目でございまして、まず1つの課題として平成28事務年度の金融行政方針に掲げさせていただいているのが、国民の安定的な資産形成を実現する資金の流れへの転換といったことが1つ課題として考えてございます。

   背景といたしましては、1,700兆円を超える家計金融資産などが我が国において蓄積をされているわけでありまして、今後の人口減少、あるいは高齢化の進展等を踏まえると、このような蓄積された富といったものを安定的に増大させていくことが重要であると考えてございます。

   ただ、皆さんもご案内のとおり、これらの資産が有効に運用・活用されてきたとは言いがたい状況にございます。将来を見据えれば、我が国に蓄積された、このような国民の富が日本経済、世界経済の成長に役立つように使われると同時に、国民がその経済の恩恵を得られるような資金の流れが実現することが望まれる。そのような観点から、資金の流れを変えるために包括的に対応していく必要があるんではないかと金融庁としては考えているところでございます。

   その詳しい説明は、今日は省略させていただきますが、包括的な取組みの中の1つとして8ページ目にございますように、まずは家計において長期・積立・分散投資を促進していくという取組みが重要ではないかということで、さまざまな取組みを進めているところでございます。

   続きまして、9ページ目でございますけれども、家計が資産形成を行うに当たっては、まずは金融機関等で金融資産等の購入を行うわけですけれども、その窓口となる金融機関において顧客本位の業務運営が確立・定着していくことが、国民の安定的な資産形成を実現する上では重要ではないか。ここに関してさまざまな取組みを進めていくべきではないかという課題だというふうに思っています。

   それから、もう1ページおめくりいただきまして10ページ目、資金が流れていく先であるところの投資先の企業、あるいは、その株主権を行使するのは多くの場合は機関投資家でございますので、この機関投資家、あるいは投資先企業において建設的な対話を促進して、それを通じた企業価値の向上を図っていくということが課題ではないかというふうに考えてございまして、それに向けてさまざまな取組みを進めているところでございます。

   また、それらを補完するものとして4番目、5番目に書いてございますように、市場監視機能の強化であるとか、あるいは会計監査、開示、会計基準の質の向上といったことにも取り組んでいるところでございます。

   以上が1つの課題であるところの国民の安定的な資産形成を実現する資金の流れの転換でございます。

   また、もう一つの課題として11ページ目でございますけれども、中長期的な投資の促進に向けた取組みということで、先ほどのテーマと密接に関連しているテーマではございますけれども、中長期的な視点に立った投資を促進することにより、投資先の企業の持続的な成長を図るとともに、投資家にとって中長期的な投資リターンの拡大を図ることで、日本経済全体の好循環を実現することが重要な課題であると考えております。

   このような観点から積立NISAが創設され、あるいはコーポレートガバナンス改革、取引の高速化への対応、フェア・ディスクロージャー・ルールの導入といったような課題に取り組んでいるところでございます。

   このような課題がある中で12ページでございますけれども、昨年4月19日の金融審議会の総会で大臣から諮問をいただきました。上の箱にございますように情報技術の進展、その他市場・取引所を取り巻く環境の変化を踏まえ、経済の持続的な成長、家計の安定的な資産形成を支えるべく市場・取引所を巡る諸問題について幅広く検討を行うこと。このような諮問をいただきまして、金融審議会に市場ワーキング・グループといったものが設置をされて、各般のご議論をいただいたところでございます。

   ワーキング・グループの委員に関しては、下の箱に書いてございまして、座長は神田委員にお願いしてご議論をいただきました。審議テーマは、真ん中の箱でございますけれども、国民の安定的な資産形成と顧客本位の業務運営、あるいはETFの活用とインデックス運用の位置付け、取引の高速化、市場間競争と取引所外の取引、取引所の業務範囲。それから、フェア・ディスクロージャー・ルールに関しましては、後でご説明いたしますが、フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォースといったものを市場ワーキング・グループのもとに設置をしてご議論いただいたところでございます。

   5月に第1回を開催いたしまして、12月まで12回の会合が市場ワーキング・グループで重ねられまして、13ページにございますように、報告書が12月22日に取りまとめられ、公表されたところでございます。

   テーマは、フェア・ディスクロージャー・ルールを除いて5つありますけれども、このような形で概要取りまとめられてございます。

   まず1つは、左側のところでございますけれども、国民の安定的な資産形成の重要性といったものを背景として、1つは顧客本位の業務運営といったことについての報告がまとめられました。これに関しては後で少し詳しくご説明いたします。

   それから、資産形成におけるETFの活用ということで、少額でも分散投資が可能なETFといったものが安定的な資産形成に活用されるように、さまざまな取組みを関係者に促すという提言をいただきました。

   それから、もう一つの大きなくくりが右側にございます情報技術の進展等市場・取引上における環境変化でございまして、1つは取引の高速化への対応、これも後で少し詳しくご説明いたします。

   それから、取引所グループの業務範囲ということで、グループ内の共通・重複業務を取引所本体に集約可能とするといったことで、さまざまなご提言をいただきました。

   また、市場間競争と取引所外の取引ということで、取引所外取引の担い手であるPTSにおける信用取引に関して適切なスキーム構築等を前提に容認してはどうかというご提言をいただいたところでございます。

   では、重要な2つのテーマである顧客本位の業務運営と取引の高速化に関する報告書の提言の概要を14ページ以下でご説明させていただきます。

   まず、14ページは顧客本位の業務運営の背景となる問題意識でございます。先ほども申し上げましたが、家計の安定的な資産形成、より良い資金の流れを実現していくためにはインベストメント・チェーンに含まれる全ての金融機関等が顧客のベスト・インタレストのために行動するというプリンシプルを定着させていくことが課題となるのではないか。このような問題意識から議論がスタートしたところでございます。

   その報告書における提言の概要が15ページ目、16ページ目、17ページ目でございます。基本的な考え方が、まず15ページ目に書かれてございまして、全ての金融事業者がインベストメント・チェーンにおけるそれぞれの役割を認識して、顧客本位の業務運営に努めることが重要である。

   これまで金融商品の分かりやすさの向上、利益相反管理体制の整備といった目的で法令改正等が行われて、投資者保護のための取組みが進められてまいりましたが、一方で、これらが最低基準(ミニマム・スタンダード)となって、金融事業者による形式的・画一的な対応を助長してきた面も指摘できる。

   本来、金融事業者が自ら主体的に創意工夫を発揮して、ベスト・プラクティスを目指して顧客本位の良質な金融商品・サービスの提供を競い合い、より良い取組みを行う金融事業者が顧客から選択されていくメカニズムの実現が望ましい。

   このようなことを実現していくためには、従来型のルールベースでの対応を重ねるのではなく、プリンシプルベースのアプローチを用いることが有効。具体的には、当局において、顧客本位の業務運営に関する原則を策定し、金融事業者に受け入れを呼びかけ、金融事業者が、原則を踏まえて、横並びに陥ることなく、より良い金融商品・サービスの提供を競い合うよう促していくことが適当である。

   このような基本的な考え方を踏まえた上で、当局が策定すべき原則に盛り込むべき事項というものを16ページにありますように、7つの事項をご提言いただきました。

   1つは、顧客本位の業務運営に係る方針の策定・公表をしてくださいというものでございます。では、顧客本位の業務運営とは何かというものでございますけれども、2にございます顧客の最善の利益を追求するというのが顧客本位の業務運営の神髄ではないか。

   その具体の中身といったものは様々ございますが、大きく3つの箱があろうかと。1つは、左側にありますように利益相反の適切な管理。それから、4、5と書かれていますけれども、顧客に対して重要な情報を分かりやすく提供する。特に手数料に関しましては、顧客の判断において重要な要素であるということから、特別に事項を切り出してございます。それから、6番目ということで顧客にふさわしいサービスの提供、金商法でいえば適合性の原則に当たろうかと思います。

   このような要素を踏まえた顧客の最善の利益の追求といったものを経営者のみならず、現場の営業職員まで浸透させる上では、7にあるような従業員に対する適切な動機づけの枠組みが必要であろう。

   このような2~7に掲げたものについて方針を策定・公表し、取組み状況を公表して、必要に応じて、そもそもの方針を見直すというPDCAを回すべきであるというようなご提言をいただいたところでございます。

   加えて、17ページでございますけれども、このような原則を作った上で金融機関に受け入れを呼びかけていくわけですが、それだけでは必ずしも顧客本位の業務運営を確立・定着させるためには十分ではないのではないか。そのためには以下のような側面支援的な方策といったものもあわせて行ってはどうかというご提言をいただいているところでございます。

   1つは金融事業者の取組みの「見える化」、2つ目は顧客の主体的な行動ということで、それを支援するための金融経済教育等のリテラシーの向上を図るべきではないか、それから、3つ目として顧客にアドバイス等を行う担い手の多様化を図るべきではないか、あるいは4つ目として当局の役割として適切なモニタリングを行うべきではないか、このようなご提言をいただいたところでございます。

   以上が顧客本位の業務運営に関するご提言の主な内容でございます。

   続きまして、取引の高速化に対する対応についてのご提言でございます。

   まず、18ページ目が問題意識でございますけれども、右側のグラフにございますように、東京証券取引所に占める1秒間に100回とか1,000回とか取引するような高速な取引を行う投資家の注文、あるいは約定といったものが非常に増えてきている状況でございます。注文件数ベースでは7割、約定件数ベースでは4割というような状況になってきている中で、アルゴリズムを用いた高速取引についてはさまざまな指摘がなされてます。

   このような問題意識を背景にご議論をいただきました。その結果としての提言が19ページ以降でございます。

   19ページに、まずは取引の高速化の対応への基本的な考え方が示されてございます。1つ目と2つ目の四角は、さっきちょっと申し上げたものと重なりますので、省略をさせていただきまして、3つ目の四角でございますけれども、日本では、現状、高速取引を行う投資家から、直接情報を収集する枠組みはないということで、さまざまな懸念が指摘されておりますが、それに対して実際どうなのかといったことを情報収集する枠組みはないところでございます。

   他方、参考にございますように、欧州では、高速取引を行う者を登録制とし、体制整備・リスク管理義務や当局に対する情報提供義務を導入するということが決まっておりまして、2018年1月から実施予定でございます。

   このような状況を踏まえて、高速取引を行う者に対して登録制を導入し、体制整備・リスク管理、当局への情報提供などの枠組みを整備すべきというご提言をいただきました。

   具体的なルールの枠組みは20ページでございます。登録制のもとで、以下のような措置を講じることが適当ということで、体制整備・リスク管理に係るさまざまな措置、それから、情報提供に係る措置、それから、その他の措置ということでございます。また、海外投資家に対しても実効性を確保する観点から、証券会社に対して無登録でアルゴリズム高速取引を行う投資家からの取引の受託を禁ずることが適当、あるいは国内における代表者、または代理人の設置を求めることが適当等々のご提言をいただいたところでございます。

   以上が取引の高速化に関する市場ワーキング報告書におけるご提言の内容でございました。

   最後に、フェア・ディスクロージャー・ルールに関してご説明をさせていただきます。21ページ目でございます。

   まず、背景といたしまして、上の箱にございますように企業による公平な情報提供を求めるルールであるフェア・ディスクロージャー・ルールについて、昨年4月の金融審議会報告において、「ルールの導入について具体的に検討する必要がある」とされたところでございます。このため昨年10月に、市場ワーキング・グループのもとにタスクフォースを設置して、3回の会合を重ねて報告書が取りまとめられたところでございます。

   メンバーは、下の箱に書いてございます先生にお願いをいたしまして、黒沼早稲田大学教授に座長をお願いしたところでございます。

   報告書の概要につきましては、最後のページ、22ページ目でございますけれども、フェア・ディスクロージャー・ルールとは、企業が未公表の決算情報などの重要な情報を証券アナリストなどに提供した場合、速やかに他の投資家にも公平に情報を提供することを求めるものでございます。

   近年、上場企業が証券会社のアナリストに未公表の業績に関する情報を提供して、当該証券会社がその情報を顧客に提供して、株式の売買の勧誘を行った事例が複数発覚いたしております。これに対しまして欧米、アジアの主要市場では、フェア・ディスクロージャー・ルールは既に導入済みであることから、我が国でもフェア・ディスクロージャー・ルールの導入が必要という整理がなされました。

   これによって全ての投資家が安心して取引できる市場環境を整備するとともに、「早耳情報」に基づく短期的なトレーディングではなく、公平に開示された情報に基づく中長期的な視点に立った投資を促すといったことが期待されるとされております。

   具体的には、下のポンチ絵にございますけれども、上場会社が公表前の重要な情報を、その業務に関して証券会社、投資家等に提供した場合には、それが意図的な伝達の場合には同時に、意図的でない伝達の場合には速やかに当該情報をホームページで公表することが適当ではないかというご提言をいただいたところでございます。

   ちょっと駆け足になってしまって恐縮でございますけれども、以上が市場ワーキング・グループにおける議論・報告書の概要、そして背景となる問題意識、あるいは今後の課題についてのご説明でございます。実際の報告書につきましては、資料の1-2と1-3とをご参照いただければと思います。

   私からのご説明は以上でございます。
 
○岩原会長
   どうもありがとうございました。

   引き続き、フィンテックや決済高度化を巡る動向と今後の課題について、井上信用制度参事官から説明をお願いしたいと思います。
 
○井上信用制度参事官
   信用制度参事官の井上でございます。よろしくお願いいたします。私のほうからは、右肩に資料2-1として「事務局説明資料(フィンテックや決済高度化を巡る動向と今後の課題)」とある資料に基づきまして、ご説明させていただきます。

   まず、表紙をおめくりいただきまして、テクノロジーの進展と金融サービスを巡る最近の動向について、ご紹介いたします。

   1ページの左側でございますけれども、銀行業の将来像についてのコメントの例をお示ししてございます。左上は、マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏が“Banking is necessary, banks are not”と言ったものでございます。銀行業というもの、サービスは必要だけれども、銀行は必要なくなるのではないかというようなことでございます。

   また、その下は新たなテクノロジー企業の参入で伝統的金融機関の収入が約4.7兆ドルもの規模で縮小する可能性があるというレポートでございます。

   さらに、その下は米国における一般利用者の意識調査で、2014年のものでございますけれども、約33%の人が銀行は全く必要なくなるというような回答をしているという状況にございます。

   欧米の銀行では、こうした環境変化が相当な危機感を持って捉えられておりまして、そうした変化に戦略的に応じる動きがあるということが指摘されております。例えば右側のページの上のほうですけれども、JPモルガン・チェースのCEOのジェイミー・ダイモン氏が、「我々は、グーグルやフェイスブック、その他の企業と競合することになるだろう」というようなコメントをしておられるところです。

   このような認識のもとで欧米の銀行では、オープン・イノベーションと呼ばれます外部との連携・協働によるイノベーションを進めるというビジネスモデルが志向されておりまして、下のほうに例を挙げておりますが、いわゆる自前主義から脱して外部のイノベーションを取り込むことを目的にIT・ネット関連企業との戦略的な連携・協働の動きが活発化しているところでございます。

   2ページ目にお移りいただきまして、ブロックチェーン技術を例にITの進化を金融サービスのさまざまな領域で活用しようとしている動きが世界的に非常に進んでいるという状況をお示ししたいと思います。

   ここに掲げさせていただいている表は、ブロックチェーン技術の取組みを地域別に整理したものでございますが、表の横は適用領域でございます。かなりの広がりがあることが見ていただけると思います。例えば送金・決済については、従来、日本でいえば全銀ネット、あるいは国際送金であればSWIFTのように中央集権的に処理されてきたものが、ブロックチェーンを活用した分散型の管理で置きかえようとするような動きが出てきております。

   また、縦軸は地域別の整理を全体的にご覧になっていただくと、日本でもさまざまな動きが見て取れるところでございますけれども、海外での動きが非常に目立つ、特にコンソーシアム等を組成して国際的な標準を構築していこうという動きが欧米のイニシアチブといったことで目立っているというふうに理解しております。

   3ページ目にお移りいただきまして、他方、日本でも高機能なATMですとか、高い安全性を確保して高水準のサービスが発展している分野というのもございます。左側はATMの例でございますけれども、日本のATMの機能は相当高度で、世界的にここまでのものはあまり例がないということでございます。

   真ん中はネット系、あるいは流通系の銀行の口座数と預金残高でございますけれども、大きく発展していることがご覧いただけるかと思います。

   さらに、我が国に特徴的なのはプリペイドカードとか電子マネーの利用が非常に盛んであるということでございます。例えば右側でございますけれども、プリペイドカードの年間発行額は24兆円にも上りますし、電子マネーは約3億枚発行されていて、他の主要国や地域と比べて極めて高くなっているところでございます。

   他方、4ページ目にお移りいただきまして、全体的にはITを活用したサービスの水準の向上という点では、まだまだ海外の動きのほうが目立つという状況もございます。例えばフィンテックの動きの中で、それを活用していかに顧客に提供する付加価値を増大できるかという点でございますけれども、ホールセール、リテール、いずれの分野におきましても、そうした動きは海外のほうが進んでいるというようなこともございます。

   上段に例として挙げさせていただいたのはキャッシュ・マネジメント・サービスの国際ランキングでございます。左側のほうでございますけれども、これは2016年の表でございますけれども、2015年はトップテンに邦銀は1つもございませんでした。昨年、2016年では7位に三菱東京UFJ銀行が入っておりますけれども、いまだ上位は海外の銀行が占めているという状況でございます。

   下段のほうは複数の銀行をまたがるような携帯番号送金の取組みで、イギリスやアメリカでは、ここにございますとおり、既にマルチバンクでの取組みを動かしつつあって、従来提供されてこなかったような安価で便利なサービスを提供しておりますけれども、日本ではまだまだこれからといったような状況かと思います。

   次のページにお移りいただきまして、5ページ目でございます。こうした日本と海外の状況につきましては、金融機関のIT投資の戦略性や内部のIT人材の問題と密接不可分であるというご指摘もございます。

   例えば左側のIT投資の戦略性でございますが、基準が異なる円グラフを2つ用意させていただいていて、必ずしも単純に比較できるわけではございませんけれども、左側の米国の銀行のIT予算の分野別内訳では、変化への投資というのが6割程度を占めている。これに対して右側の邦銀のシステム関連経費では新規開発の割合が2割程度で、約7割は維持・運用に充てられているというような状況が指摘されています。

   また、右側のほうのグラフでございますけれども、日本とアメリカの金融機関では銀行内部のIT人材の確保にかなり差があるということも指摘されています。これも一例でございますけれども、例えば左側のアメリカの大手金融機関の例ですと、従業員の約3割がITエンジニアで、実態的にも各部門にITエンジニアが存在して、一緒にサービス開発を手がけているという状況にございます。他方、日本では、右側の大手の金融機関でもIT人材は全体の4%弱しかいない。地域銀行におきましては、たとえば、まだまだシステムの共同化といった対応を進められる中で、IT人材がかなり不足しているというような状況もございます。

   先ほど来ご紹介してきましたようなフィンテックの対応を巡る国内外の状況の差違については、こうした問題と密接不可分ではないかというふうに考えております。

   このような状況を踏まえまして、全体的な対応、ブロードピクチャーをご議論いただいたのが6ページ目の「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」(以下、「決済ワーキング・グループ」)でございます。ここでは平成27年末にいただいた報告の概要をお示ししております。

   このワーキング・グループでは、先ほどもご紹介申し上げましたようなフィンテックの急速な進展等、金融を取り巻く環境変化に対して、今後どのように対応していくべきかということで、大きな方向性、ビジョンを4分野に分けてご提言いただいております。

   1つ目が左上でございますけれども、金融・IT融合に対応したイノベーションでございまして、この分野ではオープン・イノベーションを推進して、銀行のみならず多様なプレーヤーが競争的にイノベーションを進められるようにすることが重要という基本的な方向性が示されています。

   そうした基本的方向性の中で、例えばブロックチェーンですとかオープンAPIといった事項、あるいは法制面の見直しというのをご提言いただいたところでございます。さらに、決済を巡る法体系のあり方として業務横断的な規制体系の構築を検討すべきであるというご提言もいただきました。

   2つ目が右上でございまして、いわゆるホールセール分野の決済を巡る課題でございます。1つは、先ほどご紹介したキャッシュ・マネジメント・サービスの高度化でございます。次に電子記録債権でございまして、これにつきましては地方自治体での活用に加えまして、記録機関にかかわらず、企業が自社の取引先銀行で割引を受けられるようにすることが重要というような提言もいただいたところでございます。

   左下のボックスが3点目の決済インフラ改革でございます。金融とITの融合が進展する中で、個別のサービスのみならず、それらを支える決済のインフラそのものを高度化していく必要があるという方向性をご提言いただきまして、その問題意識のもとで、例えばXMLへの移行ですとか、送金フォーマットの国際標準化、あるいはロー・バリュー送金の提供を目指すということにご提言をいただいたところです。

   右下が4点目で仮想通貨への対応ということでございます。仮想通貨の登場、あるいは利用の拡大という状況を踏まえまして、そうした動きに対して法制面の手当てを行っていくことが重要というご提言をいただいたところでございます。これらのことについては、昨年の通常国会の法改正で手当てしてございます。

   また、この報告書では、以上のご提言に加えまして、一番下の部分ですけれども、決済高度化に向けて戦略的な取組みを官民で推進していくための体制の整備を図るべき等のご指摘もいただいたところでございます。

   7ページ目からは、以上のようなワーキング・グループの報告書をまとめまして、フィンテックの対応の全体像としてのアクションプランをお示ししてございます。この決済ワーキング・グループでご指摘いただきました事項について、それぞれいつまでに検討を進めていく、あるいは成果を出していくかといった目標とスケジュールについて取りまとめたものでございます。

   詳細は省略させていただきますけれども、既に表の中でオレンジで囲っている部分につきましては昨年の法改正で手当てした事項、また、ブルーで囲っておりますオープンAPIについては、後ほどご紹介いたします本年の法整備で対応を予定している事項でございます。アクションプランという全体像に基づいた一つ一つの課題への対応を進めているということをご覧いただければと思います。

   次の8ページは、今ご紹介いたしましたアクションプランの全体像をまとめた資料でございます。フィンテックがさまざまな領域に影響を与えつつあるということでございますけれども、アクションプランで示されている課題は、それらを全体的にカバーする形になっているところでございます。

   9ページでございますけれども、以上ご紹介させていただきました決済ワーキング・グループのご報告、また、もう一つの「金融グループを巡る制度のあり方に関するワーキング・グループ」を踏まえまして、金融グループを巡る環境変化、ITの急速な進展を踏まえた法制面の対応として、銀行法等の一部を改正する法律を昨年、国会に提出させていただき、成立させていただいたところでございます。

   法律の内容につきましては、先ほどご紹介させていただいた報告書の内容に沿っておりますので、詳細は割愛させていただきますけれども、この資料のうち一番左とその右側のボックス、それと3つ目のボックスのうちのITの進展を戦略的に取り込んで、金融グループ全体での柔軟な業務展開を可能とするという部分につきましては、主に銀行法で対応したところでございます。残りの3つ目のボックスの下のほうと右側の仮想通貨の関係の部分は、資金決済法で対応させていただいたところでございます。

   次に、10ページ目にお移りいただきまして、先ほどご紹介いたしましたとおり、決済ワーキング・グループの報告で、法制面のほか全銀システムなどの決済インフラの改革についてもご提言いただいたところでございます。

   こうした制度面以外の課題につきまして、実施状況をフォローアップし、フィンテックの動きが進展する中で取組みを継続的に進めるという趣旨から、昨年6月に「決済高度化官民推進会議」を設置させていただいております。こちらの官民推進会議では、先ほどご紹介したアクションプランに掲げられている事項のうち、11ページでお示ししております13項目について官民の有識者、関係者の方々にお集まりいただきまして、フォロー・意見交換を進めているところでございます。

   以上のとおり、一昨年、2つのワーキング・グループ報告がございまして、それを受けまして法改正、あるいはアクションプランの実施が進められておりますけれども、それ以降のフィンテックの動きというのも一層進展を見せております。また、両ワーキング・グループ報告で継続的な課題が示されておりまして、そうしたことを受けまして、昨年の7月に岩原会長に座長をお願いいたしまして、金融審議会に新たなワーキング・グループとして「金融制度ワーキング・グループ」を設置し、ご議論をいただいたところでございます。

   12ページに、その概要をお示ししてございまして、下のほうの具体的な審議経過でございますけれども、全体的な審議経過といたしましては、決済関連法制全体について、まずご議論いただいた上で、オープンAPI、あるいは電子決済等代行業者の取扱い等につきまして、全銀協やフィンテック企業からのヒアリングも交えてご検討いただいたところでございます。

   最終的に5回にわたりご審議を行っていただきまして、昨年末にオープン・イノベーションに関連して、とりわけ早期の対応が求められる事項について報告をお取りまとめいただいたところでございます。

   13ページと14ページで、その報告の内容をご紹介させていただきます。13ページの資料の上側に、その背景・問題意識をお示ししてございます。フィンテック等への対応につきましては、昨年の通常国会で銀行等による金融関連IT企業への出資の容易化等を内容とする銀行法等の改正を行ったところでございますけれども、そうしたフィンテックの動きというのは引き続き世界的規模で加速していると認識しております。

   こうした中におきまして、我が国でも利用者保護を確保しつつフィンテックの動きを利用者利便や企業の生産性向上につなげていくことが引き続き重要な課題というふうに認識しております。

   さらに、このワーキング・グループの報告におきましては、そうした課題への対応を考えるに当たりまして、我が国では諸外国と比べて銀行システムが提供するネットワークが発達しているということに鑑みますと、金融機関とフィンテック企業との連携・協働による革新、いわゆるオープン・イノベーションを進めていくことが大変重要であるというご指摘をいただいております。

   その上で、オープンAPIによるオープン・イノベーションの推進のための環境整備を進めるというようなご提言をいただいたところでございます。

   13ページの下の現状という部分をご覧いただければと思います。絵の中央に「電子決済等代行業者」とございますが、銀行ではなく顧客から委託を受けまして、スマートフォンなどを使いまして口座管理ですとか、あるいは電子送金等のサービスを提供する業者でございます。顧客との接点を確保しつつ金融機関とも接続することで、フィンテックの動きの中で顧客のニーズを基点としたサービス展開の1つの核となることが指摘されているところでございます。

   他方、現状、こうした業者につきましては直接制度的な枠組みはございませんで、こうしたサービスの多くが顧客からインターネットバンキングのパスワード等を預かって、金融機関との間で明確な法的関係を構築することなく、いわば顧客に成りかわって銀行システムにアクセスするというような方法で提供されております。

   こうした状況につきましては、下のほうでございますけれども、利用者の方々からは情報セキュリティや利用者保護上のご懸念、あるいはフィンテック企業の側からも法的な位置づけが不安定というようなご指摘、あるいは右側の金融機関のほうからも、こうした高い技術を持ったフィンテック企業と適切な形で連携・協働していくということがなかなか進みにくいのではないかというご指摘がございました。

   以上のような点を踏まえまして、次ページ、14ページでございます。制度的枠組みの整備というところでございますけれども、ここでは金融機関とフィンテック企業とのオープン・イノベーションを適切な形で進めていけるよう、真ん中の下でございますけれども、電子決済等代行業者に登録制を導入いたしまして、情報の適切な管理や業務管理体制の整備等を求め、それと同時に金融機関、右側のほうでございますけれども、オープンAPIと呼ばれますフィンテック企業が金融機関のシステムの機能やデータを安全に利用するための接続方式を幅広く開放すること、及び接続の基準の策定・公表を求めるなどの措置を講ずることをご提言いただいたところでございます。

   こうした措置によりまして、顧客はパスワード等をフィンテック企業に預けることなく安全・安心にサービスを利用していただける、また、フィンテック企業や金融機関においては相互に連携・協働してイノベーションを進めていくことが可能となるというようなものでございます。

   以上が報告書のご提言の内容でございます。

   最後に、15ページでございます。フィンテックに係る今後の取組みに当たっての問題意識をお示ししてございます。フィンテックにつきましては、今後ともより一層さまざまな進展を見せるというふうに考えておりまして、そのような見通しを踏まえますと、フィンテックに関する制度面、運用面の取組みにつきましては、昨年、本年の制度整備で終わるものではなく、今後とも継続的に取り組んでいく必要があると考えております。

   また、フィンテックの動きはより一層急速に進んでいくものと予想されまして、そうした中にあって、足元の問題について引き続き機動的に対応していくことが必要であると考えております。また同時に、決済、あるいは金融業を巡るあるべき法制度の全体像についても、しっかりとした構想を持つことが重要と考えております。

   いずれにいたしましても、そのような対応を進めていくに当たり、金融審議会のメンバーの皆様方からもご指導いただきながら、当庁といたしましてもしっかりと対応を進めてまいりたいと考えております。

   16ページ以降に諸外国の動向についても参考資料として付けさせていただいておりますが、こちらは時間の関係で、ご説明は省略させていただきます。

   私からの説明は以上でございます。
 
○岩原会長
   どうもありがとうございました。

   それでは、ただいまご説明いただきました2つのテーマにつきまして、ご質問、ご意見があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。川島委員、どうぞ。
 
○川島委員
   ありがとうございます。私からは、ご説明いただきました市場ワーキング・グループ報告について意見を申し上げます。

   まず、報告書において提起されました7つの原則は、金融事業者による良い金融商品・サービスの提供と、また、顧客である生活者・国民の安心で安定的な資産形成に寄与するものとして評価をしております。

   また、「見える化」や第三者的な評価・公表の仕組みによって、優れた取組みを行う金融事業者が評価され、顧客から選択されることを通じて、このような取組みがさらに促進されることを期待しております。

   これまで行われてきました消費者保護の観点からのルールの遵守・徹底や、その実効性確保に向けた取組みに加え、この度提起されました新たな取組みが実効性のあるものとして機能するよう、金融庁や金融事業者における具体的な方策の検討にあたり、以下、2点について意見を申し上げます。

   1点目は、原則の5についてであります。具体的には、重要な情報の分かりやすい提供についてでありますが、とりわけ高齢者、障害者、外国人など、それぞれに対してきめ細かな配慮が重要であると考えます。

   2点目は、多様なステークホルダーとの協働についてであります。これらの原則を踏まえて、金融事業者において方針を策定するとともに、それに基づく取組みを実践していく際には、関係する主要なステークホルダーとの積極的な協働が重要だと考えております。特に重要な情報の分かりやすい提供や、顧客にふさわしいサービスの提供については、消費生活相談員や消費者団体との意見交換が重要だと思いますし、また、従業員に対する適切な動機づけの枠組みについては労働組合との協議が重要と考えますので、各事業者におかれましては、これらの点に十分留意した運営をお願いしたいと思います。

   以上でございます。
 
○岩原会長
   ほかにいかがでしょうか。原田委員、どうぞ。
 
○原田委員
   市場ワーキングの報告について、何点か意見を述べさせていただきます。

   まず1つ目は、フェア・ディスクロージャー・ルールに関するところです。今回取りまとめいただいた内容は、米国のSECのレギュレーションFDに近い形でまとめられたと聞いています。この点に関しまして、2点ほど少し事実関係の確認ということで意見を述べさせていただきます。

   まず、資料1-1の一番最後のページの左のほうにポンチ絵がありまして、先ほどご説明いただいたところですけれども、情報を受け取る側、情報受領者の範囲は、EUのように第三者を含むということにはならず、報道機関などは対象外という形で取りまとめがなされたところであります。

   フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォースのメンバーの方々の中にも、情報受領者の範囲は第三者として報道機関を含む形にするのが妥当とお考えの委員の方々がいらっしゃったようでありますけれども、そうはならなかったということと思います。米国のレギュレーションFDのルールについて、米国の経済学者の論文などを調べてみたところ、まず、アメリカでは、SECによるレギュレーションFDができた後にアナリストレポート数は増えているということが事実としてございました。すなわち、情報開示が後退したですとか、アナリストが萎縮したということはなく、アナリストレポートの数は増えていったという指摘が複数あるにもかかわらず、この点については、日本では、なぜかフェア・ディスクロージャー・ルールの制度化が過剰な規制となって萎縮を招いたかのような日本語での発信が見られたように思います。

   また、関連しまして、情報受領者の範囲に、報道機関を含まないということについてですが、これも経済学者の実証論文などでみますと、事前に公平かつ適時な情報開示が行われていないのではないかといったようなことがデータ分析の結果明らかにされております。今後、このフェア・ディスクロージャー・ルールを見直す時期が来るとしましたら、その際にはもう少し数字を拾ってご議論いただければというのが、まず1点目としてございます。

   2点目としまして、同じく資料1-1の7ページに関係するところであります。先ほど市場周りの課題は多いというふうに説明いただいたところで、パッシブ・インデックス運用が多いという点は、ご指摘のように大きな問題であると思います。ここでは機関投資家(年金基金等)となっておりますけれども、皆様ご存じのように、池の中の鯨は2頭いるということであります。パッシブ・インデックス運用の多さということが問題にされていますし、それはそれで問題ではあります。しかし、おそらく今後もう一頭の鯨による運用が進んでいった場合のことを考えますと、コーポレートガバナンス・コード、スチュワードシップ・コードといった、既に進められてきた政策の趣旨とそぐわない面が出てくるのではないかと思っております。パッシブ・インデックス運用の規模が大きくなっているということは、対話している投資家もありますが、金融政策の一環としてETFを買い入れている日本銀行は対話とは無縁でありますので、これについても、今後、市場を巡る問題としてより大きな問題になってくるのではないかと考えております。こういった点も、今後ご議論いただければと思います。

   以上になります。
 
○岩原会長
   事務局、よろしいですか。
 
○田原企業開示課長
   2点ご意見を頂戴いたしました。

   まず、フェア・ディスクロージャー・ルールでございますけれども、委員ご指摘のとおり、タスクフォースにおきましては、このフェア・ディスクロージャー・ルールの情報受領者の対象について、EU型のように第三者全体にするべきというご意見と、米国型のように資本市場の関係者に限るべきというご意見がありまして、意見としては後者のほうが強かったということでございます。その理由といたしましては、ルールを金融商品取引法で導入するということでございますので、資本市場における株価形成というものにより密接に関連したところに範囲を置くべきではないか、それから、ルールを新たに導入するに当たっては、企業などの負担も生じますので、その適用範囲についてより明確にすることで円滑なルールの導入をすべきじゃないか、そういうご意見を踏まえたものであったように考えているところでございます。

   2点目のパッシブ運用については、いろいろな切り口での議論がございますけれども、先般、コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードのフォローアップ会議のほうで、この点についてもご議論いただきまして、やはりパッシブ運用についても積極的なスチュワードシップ活動を促していくべきだというご意見を頂戴しております。

   スチュワードシップ・コードにつきましては、現在、見直しのための有識者会議を行っておりまして、その中でもコードの内容として盛り込んでいくことをご議論いただいているところでございます。
 
○岩原会長
   原田さん、よろしいですか。
 
○原田委員
   ありがとうございます。
 
○岩原会長
   それでは、家森さん。
 
○家森委員
   ありがとうございます。資料の1-2のところで少しだけ教えてください。

   今回、「顧客本位の業務運営に関する原則」の策定について、金融事業者を対象にするということになっております。この金融事業者には、「金融商品の販売、助言、商品開発、資産管理、運用等を行う全ての金融機関等」とあるように、「等」が付いています。6ページの(3)の一番最後では、「販売会社等とは独立した立場で顧客に対してアドバイスをする者など」ということになっていますことから、こうした助言を行う金融機関等という範囲はかなり幅広い、つまり、免許をもらっている人だけではないようなところまでもイメージされているのか、というのが1つ目の質問です。

   2つ目は、今後、「顧客本位の業務運営を確立・定着させていくための方策」として、5ページの(1)には方策として具体性があるんですが、2番目、3番目のあたりは、まだ具体性がなくて、こういう方向がいいよねということで、方策ではなくて、方向性を示されているようなものかと思います。ここについては、今後、何か取組みについて具体的な計画等があるのか、という2点を、教えていただければと思います。
 
○岩原会長
   齋藤さん、お願いします。
 
○齋藤市場課長
   今ご質問いただきました、まず1点目でございますけれども、資料1-2の2ページ等にもありますけれども、「金融商品の販売、助言、商品開発、資産管理、運用等を行う全ての金融機関等(以下『金融事業者』という。)」というふうにさせていただいております。

   このワーキングにおいてもご質問をいただいたりとかしておりましたが、我々としては、ここに関しては必ずしも金融庁の免許、認可、あるいは登録をしておられる方のみならず、国民の資産形成にかかわる、幅広い金融にかかわる事業者の方々が対象となり得るような原則で作ってはどうかというご提言をいただいたものというふうに理解をいたしております。

   それから、2点目のご質問でございますけれども、例えば顧客の主体的な行動に関しては金融リテラシーの向上ということで、金融商品に関する情報提供、あるいは投資教育といったものが重要であるということになってございまして、ここに関しては別途、投資教育、金融経済教育を担当している金融庁の部署において、今後どのように進めていくのかということについて検討を進めているところでございます。

   また、当局の役割であるところの適切なモニタリングに関しても、今後、この原則を確定して実際に金融事業者の方が受け入れて方針を策定した後に、どのようなモニタリングをしていくのかということについて、現在、部内で検討しているところでございます。
 
○岩原会長
   よろしいですか。

   志賀さん、その後、川口委員、お願いします。まず、志賀委員、どうぞ。
 
○志賀委員
   ありがとうございます。今回初めて金融審議会の委員になったので、あまりお作法が分からないので、好きなことをどこまで言っていいのかちょっとよく分からないまま好きなことを言わせていただければと思います。

   個別に今日ご説明していただいたことに直接関係しているわけではないのですが、産業界の立場から申し上げると、今、やはり日本の産業界で起こっていること、つまり、産業競争力が徐々に低下している、あるいはグローバルな競争の中で徐々に日本が負けてきているというのは、幾つかの理由が挙げられます。しかし、やはり日本の業界の中での再編統合、カーブアウト、M&A、こういうものが活発に行われていないというところに私はすごく問題を感じています。自動車業界でも、OEMの自動車はともかくとして、部品業界等は、欧米のグローバルサプライから見ると、本当にサイズの小さい会社が系列の中にたくさん入って、これから電動化、知能化と車が変わっていくときにどうなるんだろうという危機感を私自身も持っております。

   今、色々と新聞紙上で話題になっている業界でも、幾つもの事業を抱えつつ、新規事業を起こしながら集中と選択まではするんですけれども、選択から離れたノンコア事業を切り出すということをせずに、ずっと抱え込んでいて、ついに本体の業績まで悪くなってしまっているというようなことがございます。本質的には経営者が自ら変革を遂げていくということをやっていく必要があるわけですけれども、経営者も色々なしがらみの中でなかなかできない。

   そういう中では、例えば社外取締役のような方々が、企業の中でしっかりと執行部に対して、「この事業は何で抱え込んでいるんだ」というようなことを指摘する。あるいは長期的な視点で投資家と経営者、企業が対話を進めていくことで、単に四半期決算の上がったり、下がったりの議論ではなく、そういうことをしっかりとやっていく。あるいは機関投資家が株式を持っている中で、先ほどご指摘のあったようなパッシブ・インデックスで決めるんではなくて、そういう中長期的な戦略の中でポートフォリオ・マネジメントをしっかりやっている企業を応援していく、等々。まだ産業界の業界再編みたいなところを、金融界がしっかりと後押しをするような形にはなっていない、と私は感じております。

   スチュワードシップ・コードもできたんですけれども、スチュワードシップ・コードが本当に機関投資家を含めて機能しているのか、日本の競争力強化のために機能しているのかというところでは、私は甚だ疑問があります。今日ご議論のあったような高速化の問題、あるいはフェア・ディスクロージャーの問題等々を含め、日本の産業の競争力強化を金融業として後押しするようなシステム設計を進めていくということが基本的には大事なのかなと考えます。

   以上です。
 
○岩原会長
   貴重なご意見、ありがとうございます。

   それでは、川口委員、お願いします。
 
○川口委員
   ありがとうございます。私も、市場ワーキング・グループ報告の顧客本位の業務運営について、一言申し上げたいと思います。

   これは、この報告の目玉の1つだろうと思います。他方で、顧客本位で業務をすべきという点は、業界が生き残り発展するためには不可欠なものです。そのため、これまでもご存知のように、様々なところで色々な方策が議論されてきたところです。

   今回、原則で盛り込むべき事項として列挙されているものを拝見しましても、先ほど事務局から報告もありましたように、例えば適合性の原則、利益相反の防止の構築義務あるいは誠実・公正の原則とか、既におなじみのものが並んでおり、目新しい点はありません。そこで、今回の肝はプリンシプルベースを原則として、具体的な対策は業者側に対応を委ねた上で、それを定期的に公表・開示させて、いわゆる見える化を実践している点にあると思います。この点、方向性は評価できるのではないかと思います。

   他方で、こうした形で、業者に対応を任せて、それを開示させるというものは、例えば金融商品販売法で、勧誘方針を策定させてインターネット上で開示させるという前例があります。しかし、それを色々と見てみますと、残念ながら、どこも似たり寄ったりで、特色のないものが多いわけです。

   今回の原則についても、そうした形だけのものになるという懸念もあるように思われます。顧客本位の姿勢を具体的に示してアピールすれば、それで1つのセールスポイントになり、他の会社との差別化が図れるかもしれないですけど、そういう市場の原理が働かない可能性もあるのではないかと危惧します。

   そうであると、結局、最後のところの当局によるモニタリングが重要になってきて、これで実効性を担保するということになるということかと思います。先ほど家森委員からの質問と重複するところもあるのですけれども、その際に、対応について、これから検討するということでしたしたが、一体、具体的にどのようなモニタリングを今のところ想定されているのでしょうか。あるいは報告書が出たばかりですので、まだ検討中ということでしたら、私としても、今後の動きを注視していきたいと思っております。
 
○岩原会長
   それでは、齋藤さん。
 
○齋藤市場課長
   まさしく先生おっしゃられるとおり、もともとがルールベースでやってきていたがゆえに、そのルールさえ守れば、それ以外のことは別におとがめがないのではないかというような、ある種のミニマム・スタンダード的なものになってしまっていて、金融事業者による形式的・画一的な対応を助長してきてしまっているのが、これまでの対応ではないか。それに対してプリンシプルベースでの原則を作った上で、その原則を参考にした上で、より良い商品・サービスといったものの競争を促していくというような思想で、顧客本位の業務運営に関する取組みは構築されているところでございます。

   他方で、先生ご指摘のとおり、それに対しては金融事業者の取組みといったものを適切に評価し、良いものは良いとして選別されて、悪いものは悪いといって排除されていく、そういうメカニズムが働くことが重要だというふうに考えております。

   コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードみたいなことであれば、機関投資家に一定の牽制機能といったことが十分期待できるわけですが、本件、ここに関してはやはり一般的な個人顧客といったものがどの程度牽制機能を果たせるのかということで、そこに関しては金融経済教育であるとか、第三者的な主体による評価といったものを出していくとか、あるいはアドバイスを行う担い手の多様化といったことで、顧客の主体的な行動を補助する、補完するような枠組みといったものも大事だということを掲げさせていただいております。

   ただ、他方で、顧客のリテラシーが急に向上することがなかなか期待できないところから、当局としても適切にモニタリングを行った上で、金融事業者の取組みを適切に把握した上で建設的な対話をしていきたいというふうに考えているところでございます。

   ただ、あまりそのやり方を間違えると、また当局しか見ないというようなことにもなりかねないので、そこのやり方については十分検討した上でやっていきたいというふうに考えているところでございます。
 
○岩原会長
   池田さん、お願いします。
 
○池田総務企画局長
   家森先生、川口先生からあったように、今回の原則、これは文章に書いただけでは何の意味もない、これをいかに現場まで定着させていくかということが重要な課題であるというのは、私どもも全く同じ考えです。

   そのときに両先生からご指摘があったように、当局によるモニタリングというものの役割に大きなものが期待されるというご指摘があることを十分認識していますし、我々もやはり当局にふさわしい役割の果たし方があるだろうと考えています。

   では、それはこれから考えるのかと言われると、必ずしもそうでもなく、今もどういうふうにやっていくのかということは、内部ではいろいろ議論をしておりますし、そのときに幾つかご指摘がありましたが、必ずしも多くはないのですけれども、これまでの経験則も踏まえて、実効的なやり方を考えていく必要がある。

   この原則については、今、金融庁として広く一般にパブリックコメントを求める手続を進めていまして、そういうものを踏まえて、そう遠くないうちに最終確定をさせたいというふうに考えておりますけれども、それをどう定着させていくか、その中での当局の役割ということについても、それからそう遅くないタイムフレームの中で、我々も我々の考えを世の中に示し、また世の中からもフィードバックをいただきながら、実効性のあるものにしていきたいというふうに考えているところです。
 
○岩原会長
   どうもありがとうございます。

   ちょっと待ってください。先に永沢さん。
 
○永沢委員
   ありがとうございます。私は、資料2-1のフィンテックに関する資料につきまして、意見といいますよりも、お願いを申し上げたいと思っております。

   資料の13、14ページでございますが、金融制度ワーキング・グループには、私も参加させていただきました。また、このワーキング・グループが終了した後に銀行業界とフィンテック業界がオープンAPIに関する検討の会議を持たれ、かなりの回数の会合も重ねられましたが、こちらにも参加させていただきました。

   私自身は、かなり保守的な消費者でございますが、このオープンAPIという技術というのは、日本の決済及び金融全体を変える可能性がある技術だと、かなりの確信を持ちましたし、便利なゆえに急速に広まっていくと思っております。しかし、それだけに、この13ページと14ページのポンチ絵は大変優れて、よくできているものでございまして、まさしく今の問題と今後あるべき制度的枠組みについてよく示していただいていると思います。

   私が今回お願いさせていただきたいのは、利便性とセキュリティの両方を確保できる枠組みへと日本の社会が移行する必要があり、現状の枠組みから、14ページにお示しいただいている制度的枠組みにすべての利用者が移行することが必要とされるわけでして、契約の当事者である消費者の協力が必要不可欠という点でございます。2つの枠組みが混在する状況がしばらく続くと私は推察しておりますが、できる限り早期に新しい枠組みに一本化する必要があり、そのためには消費者への周知徹底というのが非常に重要になります。登録制が導入されて本格的に始動することになる時点で、政府及び金融業界、フィンテック業界が協働して、消費者への周知徹底をされることをお願いしたいと思います。それとマスコミの方々には、今起こっていることと、これから何が起こるのか、どのようになるのかというところを、正確にご理解いただき、報道いただくようお願いいたしたく思います。本件に関して、2月の新聞に不正確な記事(オープンAPIでは個人情報が銀行から中間的業者に渡されると誤解されるような記事)が掲載されていたとお聞きしました。マスコミの方々にも、フィンテックをめぐる動きについて正確にご理解いただき、消費者への周知徹底、注意喚起の役割を担っていただくことをお願いしたいと思っております。

   以上でございます。
 
○岩原会長
   どうも。

   それでは、翁委員、お願いします。
 
○翁委員
   ありがとうございます。私も2-1について、少しコメントさせていただきたいと思います。

   ご説明いただきましたように、フィンテックは、本当に技術革新のスピードも非常に速いですし、各国で様々な動きが出ていて、色々な意味で非常に競争も激化してきていると思います。

   15ページでお示しいただいたように、そうした動きに対して、足もとの問題に色々と機動的に対応してきているということだと思いますが、やはり3番目のブロードビューといった観点も非常に重要になってきているのではないかと感じております。

   例えば、決済のエコシステムを構成する事業者なども本当に多様になってきていまして、やはり1つの業法というようなものではなかなか当てはまりにくいというような状況になってきていると思っております。

   そういったこともあって、17ページ以降に示されているように、各国においては、こうした点についてどうやってアプローチをしていくかを模索しているんだろうと思います。例えば、最後にあるシンガポールでは、考え方としてはアクティビティベースで見ていく、というような考え方を出しているわけだと思います。

   いずれにしましても、やはり環境が大きく変わってきていますので、ダイナミックに動いていく、多様な業者や多様なサービスが出てくるという中で、どのようなブロードビューで、フィンテックベンチャーも活動しやすく、しかし、信頼性を向上できる、そして利用も促進できる環境を整えていくか、そうした全体像をもった取組みが非常に重要になってきていると思います。また、国際間の競争でもあると思いますので、こういったものをできるだけ踏まえながら議論を進め、対外的にもそれを発信していくということもとても大事ではないかなと思っております。
 
○岩原会長
   朝田委員、よろしいでしょうか。
 
○朝田委員
   私も、金融審議会は今期からでございますので、今までどういうふうに運営されていたのか、皆さん、どういうご意見をお話しになったのか、全く分かりませんけれども、やはり企業というところで、現場をいろいろと経験してきたということに基づいてお話しするのが一番いいのかなと思っております。そして今まで、もうお話が出ていましたけれども、ここで議論をして、あるいは分科会で出てきた色々な意見をいかに実行していくか、これが一番大事だと思います。やっぱり現場重視ということを常に徹底していくことが必要で、高邁な議論を述べたところで、それが実行できなければ何の意味もないわけでありますから、そういった面を踏まえながら、これからもお話をさせていただければと思っております。

   2つ申し上げたいと思いますが、1点目は、先ほどから出ておりますけれども、フェア・ディスクロージャーであります。アメリカでは、2000年代前半に1つのルールができて、いろいろと執行されていったわけでありますけれども、実際にこれに引っかかって罰せられたという例は本当に数えるばかりということで、極めて難しいところがあると思います。日本におきましても、実際に企業のIRの担当、社長、会長、担当副社長、皆、こういったものに携わっているわけでありますけれども、実際どういう形で企業の決算なり、今後の戦略なりといったIRが具体的になされているのかといったところを、一つ一つ検証していく必要があるんじゃないかなと思います。

   1つ面白い例をお話ししたいと思います。今、IRというと、ほとんど99%、ワン・オン・ワンでやります。大きな大会議室に500人もの投資家を集めてやるなんてことはほとんどないわけであります。1対1でやると何が起こるかというと、相手の投資家なり、あるいはアナリストは、私の場合でしたら、「丸紅さん、1,500億と言っているけど、どれだけ余裕があるの、どれだけバッファあるの?」と、こう聞いてくるわけですね。そうすると、やっぱりIRの担当者なり、社長は、それなりのことを話さざるを得なくなってくるわけであります。また一方において、リスクファクターどうだといったように、微妙な話し合いが企業と投資家、アナリスト、あるいはマスコミも含めて、色々なところでなされていきます。

   こういったものをどういうふうに取り扱うのかということが、フェア・ディスクロージャー・ルールを策定していくにあたって、極めて重要なポイントではないだろうかと思っております。これから一つ一つ詰めていくことになると思いますけれども、実際の現場で色々なことを経験されている方々の話をもっと聞いて、それを、これからのそういったものに活用していくことが極めて重要ではないかと思います。

   それから、フィンテックなんですが、欧米がやっているから日本でも通用すると思ったら、僕は違うんじゃないかと思っています。欧米には、確かにシリコンバレーを中心に嫌というほど、それなりの実力のある業者がたくさんいますが、残念ながら、私の理解では、日本には、フィンテックを徹底的にできるような能力のあるベンチャーと言っていいんでしょうか、そういう業者はなかなか難しいと思います。

   そして、もうお話に出ていましたけれども、銀行のサービスが欧米とは比べものにならないほど日本は充実しているわけです。そういう中で、消費者がどれだけフィンテックを使うことによって付加価値の高い、今まで以上のサービスが得られるのかということで、消費者が納得しない限りフィンテックは絶対伸びていきません。そのためにも、僕は、フィンテックをやるITベンチャー事業者というのも必要ですが、やっぱり日本においては、ここで大きな役割を果たすのは銀行だと思います。

   したがって、今日の日経の朝刊に三菱東京UFJ銀行がやろうという新しい試みが載っていましたけれども、やはりメガを中心に、銀行とそういった業者とのいわゆるコラボレーションに加えて、消費者が実際にどういうふうに思っているかということを幅広く収集していかないと、結果的には、欧米でやっているから同じ方向でといっても、日本では、それが軌道になかなか乗らないリスクがあるんじゃないかなというふうに思っています。やっぱり銀行も巻き込みながら話を進めていくことが大事ではないかと思っている次第であります。

   以上でございます。
 
○岩原会長
   佐々木委員、どうぞ。
 
○佐々木委員
   ありがとうございます。永沢委員と翁委員のお話にちょっと関連して意見を述べたいのですが、資料2-1の13ページ、14ページのフィンテック企業に関する報告について、私も、これは個人投資家にとっても非常にプラスだと思っております。投資教育とか、金融教育というのも非常に重要なのですが、こういった技術が整備されることによって、リスク管理がしやすくなるということが、個人投資家の市場への参加を促す1つの方策になると思いますので、とても意味のあることではないかなと思いました。

   また、今回は、決済面でのフィンテックのお話が中心で、以前にもクラウドファンディングに関してワーキング・グループもありましたし、検討されてきているわけですが、現在ちょっと気になっているのが、決済ではなくて、金融業務あるいは信用業務といった点でのフィンテックの取組みです。日本でも、もちろんクラウドファンディングとか、ソーシャルレンディングといったような形で金融業務をフィンテックを使った形で進めている事業者がおりますが、そういうことが始まってから資産市場の状況は比較的悪くないので、今のところ何も起こっていないわけですが、やはりサブプライムローン問題のときの経験のように、一旦バブルが崩壊したり、危機が来たりということがありますと、そういった技術も一転して、リスクが非常に高くて問題だということが後になって言われるようなことも起こり得るのかなと思いまして、やはり注意していかなければいけない課題なのではないかなと感じております。

   また、今回の報告書に関しましては、私、1年前のときに一言申し上げさせていただいたと思うのですが、ETFが比較的認知度が低いということをすごく感じておりましたら、今回の資料1-2、9ページあたりに、ETFの認知度の向上ということがすごく詳しく書かれていて、個人投資家にとっても非常にいいことではないかと思いました。

   また、個人的には金融規制に非常に興味がありますので、最近の問題として、今後、複数の規制の矛盾点などが非常に問題になってきておりますので、今後、また取り上げていただけたらと思います。

   以上です。
 
○岩原会長
   伊藤委員、どうぞ。
 
○伊藤委員
   どうもありがとうございます。私も初めてですが、少し大きな話をさせていただきたいと思います。フィンテックのお話なんですけど、資料の最初のところに、ジェイミー・ダイモン氏のコメントとして書いてある、「我々は、グーグルやフェイスブックとその他の企業と競合することになるだろう」という点は、実は結構重要な話だと思います。残念ながら、この後のページには、これが全然出てきていないということで、ここで議論するときに常に頭の中に置いておくべきかというのはよく分からないんですけど、イノベーションというのは、特にこういう大きなイノベーションというのは破壊なんですよね。

   つまり、これまで非常によくできていた金融システムがあって、そこには色々なファンクションがあって、非常に優れた、これまでの規制とか、仕組みがあって、それでうまくいっていたわけですけども、こういう情報システムが出てくることで、破壊が始まります。イノベーションについてよく言われることですが、既存の企業というのは、今までやってきたことをしっかり守って、そして、日々繰り返すことによって、利益をあげます。一方、新たに入ってきたものは、それを破壊することで利益をあげようとします。

   特に金融審議会みたいなところでは、我々が持っているアセットとしての金融システムをいかに守っていくのか、その中で消費者をどう守っていくという連続性の上に議論があるわけですけども、残念ながら、今起きていることというのは、それを根本から破壊する話かもしれないわけです。それをどういうふうに議論するかということは、もちろん深く議論する必要があるかどうかは現時点では分かりませんが、やっぱり考えておかないといけないのかなと思います。少し後に出てくる話というのが、その前にダイモン氏のコメントとあまりにも違うので、我々は大事なことを議論しているんだけど、フィンテックの本当に大きな長期のトレンドを議論しているのかということを常に考えておく必要があるのかなと思いました。

   さらに、もう一つ申し上げたいのは、ここでグーグル、フェイスブックと出てくるんですが、彼らはみんなビッグネームなんですよ。グーグル、フェイスブック、アップル、あるいはアマゾン、彼らがフィンテックの中で本当にメインプレーヤーになるかどうか分かりませんけど、少なくともAIとか、IoTとか、色々な分野では、彼らが色々なことを変えようとしているわけで、それだけの財力を持っているし、グローバルビジョンも持っているし、テクノロジーも持っているわけです。

   ところが、その一方で出てくる業者というのは、どちらかというと、もちろん新しい小さなベンチャーとか、新しい試みをするベンチャーも大事ですから、それは議論しなきゃいけないわけです。、しかし、本当に、それだけの議論なのかどうか、もっと根本的なところで、いわゆるビッグネームみたいな人たちが世界のシステムを変えようとしているかもしれないわけで、それに対してどう考えるか、要するに、どこを想定しながら、我々は、フィンテックのイノベーターを考えるかということは非常に重要かなと思いました。

   それから、3つ目に、これもちょっと気になった点で、翁さんの話にも通じるかもしれませんけど、グローバルという視点でどう考えていくかということが、もう一つちょっと見えてこなかったので、また教えていただければいいと思うんですね。

   おそらくアメリカは、こんなことを言うと怒られますけども、国内にアマゾンやグーグルがいるわけですよね。もちろん彼らと政府が常に同方向を見ているとは限らないわけですけど、しかし、彼らを取り込んだ中で考えればいいと。シンガポールも非常に単純だと思います。先週、シンガポールのITを見てきたんですけど、要するに、そういうものを外からうまく取り込んでやればいいと。

   ただ、日本や欧州の場合には、非常に重要なプレーヤー、優れた金融機関がある中で、特にグローバルプレーヤーとどうやって競争していけるか。ひょっとしたらEUと日本は似たところがあるかもしれませんけど、それぞれの国が持っている特徴みたいなものの中で、こういうフィンテックをどうやるかということになると、単純にアメリカと同じことでもないだろうし、シンガポールと同じでもないような感じがします。そういうグローバルな大きな流れの中で日本はどういう方向に行くのかという点が気になりました。

   ちょっと大きな話なんで、こういうところの議論になかなかそぐわないのかもしれませんけど、ただ、せっかく冒頭にダイモンさんのコメントがあったんで、そのような視点で時々考えながら議論しないと、何か非常に重要な流れを見失うことにならないかという観点で、申し訳ありませんけど感想として申し上げました。
 
○岩原会長
   どうもありがとうございました。

   それでは、福田委員、お願いします。
 
○福田委員
   私もフィンテックに関して幾つかコメントだけさせていただいきます。今回、このような形で大きな方向性を示していただいたことは、我が国のフィンテックの進展に非常に有益なものだと思っておりますし、歓迎したいと思っております。

   ただ、フィンテックの問題というのは、色々と非常に難しい問題があって、先ほど伊藤先生からグローバルな問題だとご指摘がありましたけれども、本当にグローバルに考えなきゃいけない問題は少なくありません。例えばアマゾンで、個人的には日本国内で買っていると思っていたら、実は海外との取引だということはあるわけで、フィンテックでもまさにそういうことは起こり得ます。自分が取引している金融機関が国内にいると思っていたら、実はグローバルな海外の金融機関・業者だということもあるとすると、必ずしもこれまでのように国内だけを金融庁が監督するだけでは済まない事態も少しずつ起こってくるわけで、グローバルな視点で考えていかなければいけないということだと思います。

   それから、朝田委員がご指摘されたように、では日本で何が問題なのかということも、欧米の追随だけではなくて、考えなければいけないということだと思います。

   例えば現在、資料2-1の5ページ目にあるように、日本の金融機関のITエンジニアは非常に少ないんだということですけれども、それを担うべき人材自体は、金融機関が雇っていないというよりは、そもそも、そういう人材自体が日本は非常に少ないということだと思います。フィンテック業者も、そういう意味で、シリコンバレーに行って外国人をリクルーティングしている状況があるわけですけれども、人材がいないのであれば、そういう人たちが日本に来て活躍できるような仕組みづくりといったことも含めて、将来的には工夫していくことも大事になってくるんだろうと思います。

   私からは以上でございます。
 
○岩原会長
   どうも。

   秋池委員、どうぞ。
 
○秋池委員
   市場ワーキング・グループのことにつきましては、先ほどからご意見も出ていて、お答えもいただいたところで、プリンシプルベースで顧客本位に、というのは大変よいことだと考えております。

   ただ、これをやりますと、本当に金融機関がこれを受けとめて真剣に考えれば、それぞれの戦略に応じた取組みとなっていくということがございまして、そうすると個性が出てくるはずだと思います。その個性が出てきたものについては、この報告書にあるような当局によるモニタリングを通じ、金融機関側はじっくり考えてみる必要が出てまいりますし、当局においても多様なものを受けとめていくモニタリングをするという工夫が必要になってこようかと思います。

   それから、報告書の本文には、この「アプローチが金融事業者の行動に変革をもたらす上で十分でないと考えられる場合には、ルールベースの手法による対応を含め、改めて検討」するということも書かれております。ただ、責任を感じている金融機関ほど、そう簡単には動けないということもあるかもしれませんので、どのくらいの期間をここで取るのか、プリンシプルベースでは変革が起こっていないと判断するために適切な時間というのがあろうかと思っておりますので、その点については、今後の運用の中で工夫をしていただくことが必要であろうかと思います。本来望ましいのは、金融機関の中で考えられて、新しい商品とか、多様なサービスが生まれてくることだと思っておりますので、そこのところの時間の取り方というのにご配慮のある運用があればと思います。
 
○岩原会長
   どうもありがとうございました。よろしゅうございましょうか。私の不手際で大幅に予定が遅れておりますので、特にご発言がなければ、次に進ませていただきたいと思います。

   続きまして、検査・監督のあり方の見直しについて議論をお願いしたいと思います。

   金融庁では、かねてより我が国経済の再生に資する金融仲介機能を育成していくための新しいアプローチ、行政手法について様々な検討が進められてきたと承知しております。その中で、私や翁委員が参加しております金融モニタリング有識者会議において検査・監督のあり方の見直しについて議論が進められてきたところであります。

   本日は、有識者会議のこれまでの議論を踏まえつつ、検査・監督のあり方の見直しについて、事務局より説明していただき、ご意見を頂戴したいと考えます。

   石田総務課長から説明をお願いいたします。
 
○石田総務課長
   総務課長の石田でございます。お手元に事務局資料の資料3が入った資料をお配りしてございます。これを中心に説明させていただきます。そのほかに、これまで6回にわたって開催しております、金融モニタリング有識者会議の第1回から第5回までの資料と議事要旨もお配りしておりますので、ご参考までにご覧ください。

   この金融モニタリング有識者会議は、先日、第6回の会議を開催しまして、それまでの議論を踏まえまして、報告書の取りまとめの作業を今やっているところです。まだ今日の時点では、報告書そのものはございませんが、これまで会議でご紹介してきた事務局側の説明資料を使わせていただきまして、議論のポイントを説明させていただきたいと思います。

   おめくりいただきまして1ページ目でございますが、金融モニタリング有識者会議を8月に設置いたしまして、以来、議論してきております。

   趣旨でございますが、金融庁は、特にここ数年来、検査・監督の見直し、例えば担保・保証に過度に依存しない、事業を見た融資への転換、こういったことで手法、考え方を見直してきたところでございます。しかしながら、正直なところ、まだ必ずしも新しい検査・監督の考え方というのが十分に浸透しているわけでないという問題意識がございまして、新しいモニタリングの基本的な考え方や手法につきまして、有識者の先生方にご議論いただいて、整理していくということで、この会議を設置いたしました。

   その後、金融機関とも考え方を共有していく、こういうことをやっていきたいと思っております。

   2ページでございますが、この検査・監督の見直しを進めてきた問題意識、背景ということで、ご説明させていただきたいと思いますが、1998年に金融監督庁として発足し、当時は金融危機ということで、当時の主な課題としましては、金融行政そのものに対する信頼の回復をしなければいけない、当時、不良債権問題というのが大きい問題でございまして、その解決をしなければいけない、あるいは利用者保護ということで大きな問題があって、そのミニマム・スタンダード、法令遵守というようなレベルのことも徹底しなければいけない。そういう大きな課題がございまして、その課題に対応するような検査・監督の方針ということで、ルール重視の事後チェック行政、厳格な個別資産査定中心の検査、あるいは法令遵守の確認の徹底、こういった検査・監督を中心にやってまいりました。この結果、不良債権問題は収束し、あるいは最低限の利用者保護ということの徹底は図られてきたと思っております。

   3ページでございますが、しかしながら、その当時は実効性のあったアプローチも、これを機械的に継続すると副作用、あるいは弊害、こういったものが生じてきているのではないかという問題意識がございます。

   例えば、形式への集中、あるいは過去への集中、部分への集中というふうにしてございますけれども、例えば形式への集中ということでありますと、銀行融資において借り手の事業をよく見るというよりも、むしろ担保・保証があるかという形式を必要以上に重視するとか、あるいは、過去への集中ということで言えば、将来の経営の持続可能性ということよりも、バランスシートという面での健全性ばかり見るし、金融機関もそこばかりを気にする。

   あるいは部分への集中ということで言えば、金融機関の経営全体の中で、本当に重要なリスクというのはどういうところにあるのかということを議論するというのではなくて、むしろ、個別の資産の査定区分の議論に終始する。このような弊害、あるいは副作用というものが生まれてきたのではないかという問題意識でございます。

   4ページでございますけれども、また、こういったことと別に、金融を巡る環境も当時とは相当大きく変わってきているものでございます。

   例えば国内でも人口減少、国際的な低金利の継続、あるいはサービス業の低生産性が持続している、顧客ニーズも多様化している、リスクの形態というものも、かつてのような単純なものではございませんで、新しい形でのリスクというものが発生してきている。こういったものに対応できるような検査・監督というものになっているのだろうかということを考えていかなければいけないという問題意識でございます。

   次に、5ページでございますけれども、ちょっと抽象的でございますけれども、有識者会議では、そもそも金融行政の目標というものをもう一回確認して考えた上で、検査・監督のあり方を考えていくべきではないかということで、この5ページの資料でございますが、かつては、金融庁発足の当時は、金融システムの安定、利用者保護、市場の公正・透明性、この3つを目的ということで、行政を進めてきたわけでございます。しかし、きちんと考えてみれば、金融システムの安定だけではなく、金融仲介機能の発揮ということと両立しなければいけないし、利用者保護も利用者利便と両立しなければいけないし、また、市場の公正・透明性ということも市場の活力ということと両立しなければいけない。

   さらに、それらの目的は、より究極的な目的の国民の厚生の増大、企業・経済の持続的成長、国民資産の安定的な資産形成、こういったより究極的な目的と整合性がとれる格好で行政運営をやっていくべきではないか。また、単純に、これらを市場に任せておくと、自動的にできるわけでもなくて、市場の失敗がございますので、行政としては市場の失敗を補う。一方で、当局の失敗というものを少なくするような格好でやっていくべきではないかというように、考え方を整理しているところでございます。

   大変駆け足で恐縮でございますけれども、次の6ページで、そういった考え方に基づきまして、では具体的な行政のアプローチというものをもうちょっと考え直してみるべきではないか、というものを整理したものでございます。

   環境と中心課題、そして右側にツールとアプローチというふうにしておりますが、この絵の上側のほうが2000年代前半ぐらいまでの環境、中心課題、そして、それに対応したアプローチでして、最低基準の充足、ミニマム・スタンダードができているかということを中心の検査・監督をやってきました。しかし、環境が変わってくる中で中心となる課題も変わってきて、それに応じたツール、例えばミニマム・スタンダードのチェックだけでなくて、ベストプラクティスの追求に向けた対話というような手法。コードやプリンシプル、あるいはベンチマーク、こういったものを使っての対話を新しく取り入れてやっていく必要があるのではないかということでございます。

   7ページでございますが、新しい検査・監督の方向性として、どういうものを考えるべきかということでございます。真ん中のところで、そもそも目指すべき金融の姿としては、顧客との“共通価値の創造”ということに根差したビジネスモデルの確立ということを目指していくべきではないかということでございます。

   そして、この検査・監督の見直しの3つの柱といたしまして、先ほどお話ししました形式、過去、部分、こういったものから、より実質、未来、全体というものを重視した検査・監督というものに変えていくべきではないかということでございます。

   次の8ページは飛ばさせていただきまして、9ページに移らせていただきますけれども、9ページは過去数年来、金融庁で検査・監督を今のような考え方をベースにいたしまして、具体的にどういうような格好で見直してきているのかということで、主なものについて整理させていただいたものでございます。

   全部はご紹介いたしませんけれども、例えば一番上のところで財務の健全性に関して、かつては個別の資産査定中心ということでやってきたわけでございますが、先ほど申し上げたような問題意識で、本当に重要なリスクについて金融機関との間で議論できていないのではないか、という問題意識がございまして、今の新しいモニタリングにおきましては、原則、資産査定については、金融機関の自己査定というのを尊重して、我々としては、取引先の財務だけではなくて、事業性についてもどう評価しているのかという議論をするように移してきてございます。

   また、10ページにも幾つか例を載せていますが、例えば、従来の検査では、このチェックリストに基づいてミニマム・スタンダードの確認ということに注力していたわけでございますが、先ほど申し上げたような問題意識から、ベストプラクティスを把握した水平的レビューとか、こういった手法を取り入れてきてございます。

   けれども、14ページでございますが、このほかにもいろんな面で検査・監督を見直しているわけでございますが、この有識者会議でもいろんな面でご議論いただきましたが、その中の1つといたしまして、特に金融検査マニュアル・監督指針についてのものでございます。

   金融検査マニュアルということが、かつての金融行政、検査・監督行政の象徴的な意味もございましたので、こういったものについてもご議論いただいております。検査・監督の指針をマニュアル・監督指針という形で、そもそも文書化していくということについての役割と課題について、どのように考えるべきかということでご議論いただきました。

   まず、そもそも、こういうものを文書化しておくということについては、一定の考えられる役割、例えば行政の透明性・公平性、あるいは金融機関との間で議論の共通の前提を確保する、自己管理の高度化、モニタリングの質の担保、こういった役割というのはあったと思います。

   他方で、例えばチェックリストの確認が検査の焦点ということになってしまうと、検査官は形式的・些末な指摘ばかりやってしまう、金融機関自身も、このチェックリストを形式的に守るということにばかり神経がいってしまう、あるいは、金融機関もミニマム・スタンダード、最低基準だけ守っていればいいというカルチャーを生むのではないか。このようなところに課題があるのではないかというご議論をいただきました。

   そして、15ページでは、それでは、新しい検査・監督というものを進めていく場合には、検査マニュアル、あるいは監督指針をどう文書化していくべきか、見直しをしていく際にはどのような点を考えていくべきなのか、どのような方針で臨むことが適切なのかということで、ここに掲げてありますようなルールとプリンシプルとのバランスや、あるいは、より実質的なリスク管理とガバナンスの向上ということに資するようにするためにはどうしていったらいいのか、こういった等々のことについて考えていく必要があるのではないかということでご議論いただいたところでございます。

   金融庁といたしましては、今、簡単にお話しいたしましたけれども、有識者会議でご議論いただいたことを報告書にまとめた後、金融庁の考え方をまとめ、また、今申し上げましたような検査マニュアル等々のさまざまなものについても見直しを進めていこうと考えているところでございます。

   時間の関係で大変駆け足で申し訳ございませんが、以上でございます。
 
○岩原会長
   駆け足でお願いしまして、恐縮です。

   それでは、ただいま石田課長からお話しいただきました検査・監督のあり方につきまして、ご質問、ご意見があれば、お願いしたいと思います。いかがでございましょうか。

   福田委員、どうぞ。
 
○福田委員
   1点だけ。新しいあり方の見直しは、非常に歓迎したいと思っております。金融庁も、人材、あるいは、お金が無限にあるわけではない、限られた資源の中でいかに効率的な検査・監督を行っていくかを、当然、模索すべきだと思います。

   その点で、私が非常に重要だと思っているのは、今回のご説明ではあまりなかったのですけれども、本文中にはあるように、やはり、もう少しオフサイトモニタリングを充実させること、そして、オンサイトと融合的にやっていくという点です。どちらかというと、オンサイトのほうがコストがかかり、大変ですので、オフサイトを非常に充実させることによって、そういう限られた資源の中で最適な検査・監督をやっていくことが大事なんだろうと思います。

   それから、最後に若干追加でコメントさせていただきますと、こういった金融庁の試みを客観的に誰が評価するかという問題は、やっぱり常に問われるべきだと思います。これまでも金融行政に関するディスクロージャーというのはなされているとは思いますけれども、こういうモニタリング、検査・監督のあり方が適切なのかどうかということを外部から常に評価を受けるという体制を同時に作って、それを通じて、より望ましい方向性をさらに模索する仕組みづくりも大事なんだろうと思います。

   以上です。
 
○岩原会長
   ありがとうございました。ほかに何かございますでしょうか。

   テーマが変わったら、急にご発言が少なくなりましたが、いかがでしょう。これは非常に重要なテーマです。

   志賀委員、どうぞ。
 
○志賀委員
   すみません。先ほど発言したことに近いんですけれども、やはり今、企業も内部留保をためてチャレンジが足りないというように言われているわけですが、金融も本当にチャレンジをする企業を応援しているのかという点でございます。徐々にリスクマネーの供給ということで、ベンチャーキャピタル、あるいはプライベート・エクイティ等が入ってきてはいますけれども、間接金融に関しては、本当に真に変革を起こし挑戦している企業を応援するという意味で、リスクのある融資をどこまでやっているのかということについては、依然として安全のほうに行っているような気がするんですよ。

   ですから、こういう検査・監督においても、やはり、しっかりと中小企業さん含めて、企業を育てている金融機関をしっかりと評価する制度を作っていただきたい。具体的にどうするかというと、専門家ではないので分からないんですが、やはり国全体、産業界、金融界が手を合わせて、本当にリスクを取って、変革を成して、日本全体の産業力を強化するというふうにならないといけません。企業もリスクをとらない、金融界もリスクをとらないことでは、日本は沈没しちゃいますので、そういうことを評価できるような審査が必要なのかなと思います。
 
○岩原会長
   ほかにいかがでしょうか。特にございませんか。

   この検査・監督のあり方というのは、金融行政にとっては根本的な大問題でありますので、できれば金融審議会の皆様のご意見をいただければありがたく存じますが、いかがでしょうか。家森委員、どうぞ。
 
○家森委員
   昨年から「金融レポート」が出されて、それに応じて「金融行政方針」も出されるようになっております。金融レポートでは色々な分析をされているんですが、ぜひ、この検査・監督の見直しについても、先ほど福田先生がおっしゃったように、それを検証するために、レポートの中で、どんなことをやって、そこからどういう知見が得られたかということを分析していただければと思います。そして、それを翌年の行政にしっかりと生かしていただくような仕組みにしていただけると、外からも、金融庁がどんなことを考えているのかがよく分かってよいのかな、と思いますので、ご検討いただければと思います。
 
○岩原会長
   ほかに。特にございませんでしょうか。よろしいですか。

   ある意味で、従来の金融機関の健全性を第一にした検査・監督から、いわば一歩進み出た検査・監督をしようという側面が、この見直しにはあるかと思います。すなわち、金融機関の経営のあり方、ビジネスモデルについても、検査・監督当局が検査・監督を受ける金融機関と話し合いをして、その向上を図ってもらうという側面が、この新しいモニタリングの考え方にはあるわけです。従来のとにかく健全性を第一にして資産評価等を中心とする検査・監督から、そもそも金融機関のビジネスモデル等をも問い直す形での、深度の深いというか、モニタリング会議で出た言葉で言えばフォワードルッキングな検査・監督をしていこうというような、ある意味で質的に従来の検査・監督を超えることをやっていきたいという考えに立っているのではないかと思います。

   遠藤さんや三井さん、何かあれば。
 
○遠藤監督局長
   岩原会長がおっしゃったように、まさに検査・監督の質的な変化というものを求めて、ここ数年間、今の検査体制というものを前提にしながら、検査局と監督局が協力しながら、新しい検査・監督のあり方を模索しながら実践して参りました。そういった経験に基づいて、色々と紙に落とした我々の考え方なり、実践というものをモニタリング有識者会議でご提供して、議論していただいているということだと思います。

   その新しいあり方の議論の中では、先ほど志賀委員が仰られたように、チャレンジングな企業に対して、金融機関というのは一体どういう対応をしているのかということについても非常に問題意識がございます。これは、中長期的なモニタリング有識者会議の議論というよりも、今まさに我々が年度の金融行政方針の中にも掲げている課題であります。言ってみればベンチャー企業、あるいは新しいチャレンジをする企業というのは、担保とか保証というものが必ずしもございません。こういった担保・保証のない企業に対して金融機関というのはどういうふうに対峙していくんだということで、先ほどの資料の中にもありましたように、担保にあまりにもとらわれ過ぎているんじゃないか、企業の実態とか経営者とか、経営の方向性というものを見て、金融仲介の機能を発揮させていくという金融機関が本来求められる、そういった役割が実際に発揮されているかどうかというのも議論しながら確認していきたい、と思っております。そういう金融機関が機能を十分に発揮できるように背中を押していきたい、そういったモニタリング、検査・監督もやっているんだということを、ぜひ、紹介させていただきたいと思います。
 
○岩原会長
   三井さん、何かございますか。
 
○三井検査局長
   時間もないので一言だけ。付け加えることは特にないのですけれども、こうした新しい検査・監督ということになりますと、検査官の人材面、専門的な知見を抜本的にブラッシュアップしていく必要があると思っています。外部の皆様方、有識者の方々からしっかりとご意見を頂戴して、努力して参りたいと思っております。
 
○岩原会長
   どうもありがとうございました。ほかに特によろしいでしょうか。

   特にないようでございましたら、もう時間でもございますので、ここで討議を終了させていただきたいと思います。

   金融庁においては、本日の議論を十分参考にして今後の検討を進めていただきたくお願い申し上げます。
 
   なお、先ほどご議論をいただきました市場ワーキング・グループ及び金融制度ワーキング・グループの報告につきましては、これを金融審議会としてご了承していただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

○岩原会長
   それでは、ご了承していただいたものと取り扱わさせていただきます。


   本日は、委員が改選されて初回の会合でございましたが、最近の金融行政に関する多岐に亘る重要なトピックについて、ご専門、ご経験を踏まえて、大変貴重なご意見をいただきました。今後も本審議会では、目まぐるしく変化する環境等に応じて、金融を巡る諸課題について議論を継続して参りたいと思います。
 
   最後になりましたが、今後のワーキング・グループの運営について申し上げます。

   本日ご審議いただいた市場ワーキング・グループ及び金融制度ワーキング・グループの報告書で取り上げられたテーマについては、これをもって審議に一段落がついたものと存じます。

   しかしながら、我が国の市場・取引所を巡る課題や金融制度を巡る課題については、様々な環境変化がある中で、今後も継続的に取り組んでいくべき課題と考えられます。

   こうした点を勘案し、今後のワーキング・グループの運営については、必要に応じ、改組や名称、メンバー等の見直しを行うことも含め、私にご一任いただきたいと存じますが、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

○岩原会長
   それでは、そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。


   それでは、本日の予定の議事を全て終了しましたので、以上をもちまして、本日の金融審議会総会・金融分科会合同会合を終了したいと思います。

   なお、本日の議事の模様につきましては、事務局から後ほど記者レクを行わせていただきますので、ご承知おきください。また、今後の日程などに関しましては、事務局より後日ご連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

   皆様、本日はお忙しい中ご出席いただき、また、熱心にご議論いただきまして、誠にありがとうございました。

 

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)

総務企画局企画課

(内線3645、3520)

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