第45回金融トラブル連絡調整協議会 議事録

1.日時:

平成25年6月3日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○山本座長

皆さん、おはようございます。それでは所定の時間になりましたので、ただいまから第45回金融トラブル連絡調整協議会を開催したいと思います。本日はご多忙のところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

まずは事務局から、人事異動等に伴う委員の交代のご紹介と、資料の確認についてお願いいたします。

○橋本室長

金融庁総務企画局金融トラブル解決制度推進室長の橋本でございます。よろしくお願いいたします。時間も限られておりますので、交代のあった委員の方の所属団体とお名前のみご紹介いたします。まず、消費者行政機関といたしまして、日本司法支援センター第一事業部情報提供課長、中井様。次に、消費者団体といたしまして、全国消費者団体連絡会事務局次長、板谷様。

○板谷委員

板谷です。よろしくお願いします。

○橋本室長

なお、全国消費生活相談員協会につきましては、人事の関係で改めて委員を選任されるということですので、今回は欠席となります。また、業界団体のうち、全国信用組合中央協会につきましては、本日は代理で二宮様がご出席されております。

○二宮委員

よろしくお願いします。

○橋本室長

人事異動等に伴う委員のご紹介は以上でございます。

続けて、配付資料の確認をいたします。お手元に資料があるかと思います。読み上げますので、確認していただければと思います。

まず、議事次第、委員名簿、配席図があるかと思います。それから、「資料1-1 指定紛争解決機関の苦情処理手続実施状況」、「資料1-2 指定紛争解決機関の紛争解決手続実施状況」、「資料1-3 指定紛争解決機関の紛争解決等業務実施状況」、グラフでございます。「資料2-1 金融ADR制度の在り方等の検討についての概要及び議論の取りまとめ」、「資料2-2 指定紛争解決機関向けの総合的な監督指針(案)の概要及び本文」、「資料2-3 金融ADR制度のフォローアップに関する有識者会議の取りまとめを受けた各機関の対応方向について」、各指定紛争解決機関の公表文という資料でございます。「資料3 金融ADR連絡協議会について」でございます。

以上ですが、お手元の資料に不足のある方はおっしゃってください。

○山本座長

ありがとうございました。

さて、本日はお手元の議事次第にありますように、まず平成24年度における各金融ADR機関の業務の実施状況等につきまして、事務局からご説明を受けたいと思います。

引き続きまして、先般、金融庁が公表した「「金融ADR制度のフォローアップに関する有識者会議」における議論の取りまとめ」、それから「金融ADR機関向けの監督指針(案)」について、事務局と各金融ADR機関からご報告をいただきたいと思います。

そして最後に、「金融ADR連絡協議会」の設置につきまして、事務局からご報告をいただきます。

各委員の皆様からのご質問、ご意見等につきましては、それぞれの項目の説明が行われた後にお受けしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、まず最初の議題であります、平成24年度における各金融ADR機関の業務実施状況等につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

○橋本室長

それでは、平成24年度における金融ADR機関の業務実施状況についてご説明いたします。なお、本日お配りいたしました資料の計数につきましては、各機関にご苦労いただいて算出しました速報値でございますので、今後、計数の精査により、修正があり得ることをお含みおきいただきたいと思います。

お手元の資料1-1、1-2、1-3でご説明しますが、業務状況を分かりやすくお示しするためにグラフにしておりますので、最初に「資料1-3 指定紛争解決機関の紛争解決等業務実施状況」というA4判横のグラフからご覧ください。右隅に番号が書いてありますので、それに沿って説明いたします。

1ページ。「苦情処理手続受付件数の推移」です。平成22年度から3年間の推移を示しております。なお、金融ADR機関が業務を開始したのが22年10月ですので、22年度の件数のうちの年度前半は、金融ADR機関としての指定を受ける前の分の件数を加えております。紛争解決手続についても同じです。22年度に5,373件だった苦情の申立てが23年度は7,093件、前年度に比べて32%の増加。24年度は6,474件、前年度に比べ9%の減少となっております。棒グラフの中に機関別の件数と増減率を示しております。24年度における機関別の内訳では、損保協会、全銀協への申立ての割合が大きくなっており、また前年度と比較いたしますと全銀協、証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)、生保協会等への申立てが減少している中で、損保協会が増加しております。

2ページは、「紛争解決手続受付件数の推移」です。22年度は837件でしたが、23年度は1,981件、137%と大きく増加いたしました。24年度は1,625件、前年度に比べ18%の減少となったものの、引き続き高水準の申立てとなっております。機関別では、全銀協への申立てが全体の半分を占めており、前年度との比較では、全銀協、FINMAC、生保協会等への申立てが減少して、損保協会が増加しております。22年10月の業務開始以降、利用者に金融ADRの周知が進んだことや、23年度は円高株安等によりまして運用環境が芳しくなく、リスク商品に損失が生じたこと等から苦情処理手続、紛争解決手続の受付件数は大きく増加いたしましたが、24年度は増加していた為替デリバティブ案件の申立てが落ち着いてきたことに加えまして、後半から運用環境が改善して損失が減少したこと等に伴いまして、全体として紛争申立てが減少傾向になったのではないかと思われます。例えば24年度の紛争解決手続では前年度と比べて全体で356件減少しておりますが、そのうちの281件が全銀協でありまして、その多くが為替デリバティブ案件と聞いております。このほか、FINMACや生保協会等、資産運用商品を取り扱う機関への苦情・紛争の申立件数が減少している中で、損保協会等においては増加しているという状況が見られます。

3ページ。「苦情処理手続・紛争解決手続終結件数の比較」です。各機関がどれだけ苦情・紛争案件を処理したかという件数です。24年度と前年度を比較しております。左のグラフ、苦情処理手続の終結件数は前年度とほぼ横ばいでございます。右のグラフ、紛争解決手続については、24年度は1,922件と前年度から28%増加しております。これは、これまでの紛争解決手続の増加に対応して、各機関において紛争解決委員の増員、地方での手続実施のためのテレビ会議システムや出張対応の拡充等、利用者利便の取組みを行ってきたことが挙げられます。また、各機関とも紛争案件の対応を重ねることによりまして、紛争解決手続の遂行に習熟してきたこと等も要因かと思います。なお、このグラフにはありませんが、終結件数が増加したことに伴いまして、未済件数(期末の積残し案件)が前年度の888件から591件に大きく減少しております。

4ページ。「苦情処理手続における結果の比較-終了事由別」です。左が前年度です。右の24年度のほうをご覧いただきますと、苦情処理手続の終結件数6,447件のうち、解決した案件が4,094件、全体の64%。苦情から紛争解決手続に移行した案件が1,320件、全体の20%。不調が510件、全体の8%となっております。前年度と比べまして解決の割合が4ポイント増加いたしまして、その分移行が減少しております。

5ページ。「紛争解決手続における結果の比較-終了事由別」です。これも右のグラフ、24年度をご覧いただきますと、終結件数1,922件のうち、和解と特別調停案の提示による和解を合わせました和解成立の件数が944件、全体の49%でございます。他方、見込みなし(不調案件)が848件、全体の44%となっております。前年度と比べまして和解成立の割合が4ポイント増加し、その分、見込みなしの割合が減少しております。

6ページ。「苦情処理手続における結果の比較-終結期間別」です。2年間を比べておりますが、申立てから終結まで、いずれの年度もその7割超が3カ月未満での終結となっております。

7ページ。「紛争解決手続における結果の比較-終結期間別」です。申立てから6カ月未満での終結割合は24年度76%、前年度83%を占めております。また24年度と前年度を比べますと、申立てから終結まで6カ月以上の割合が17%から24%と増加しております。これは内容が複雑なトラブルが増加したことに加えまして、紛争解決手続の申立ての後、例えば円安の進行等によりまして、デリバティブ取引の損失が縮小していく中で、申立人がどのように決着すべきかなどを検討しているというケースもあると聞いております。

8ページには参考といたしまして、機関別の和解状況をお示しいたしました。各機関の取扱商品・サービス、トラブルの内容の相違等によりまして、和解割合に差が生じておりますが、24年度の全体の和解割合は49%と、前年度より4ポイント上昇しております。

9ページ。参考といたしまして、「特別調停案の提示状況等」をお示ししました。これは前回の金トラ協で、特別調停案の提示状況や、それによる和解成立・不成立等を示してほしいというご要請がございましたので、こうした形で表を作成してみました。各機関名のすぐ隣の(a)欄は「和解案の提示による和解件数」(特別調停案の提示によらない和解)です。合計で835件となっております。真ん中の欄が特別調停案の提示件数で、その内訳として「(b)和解件数」(特別調停案の提示を受けて和解した件数)が109件でございます。(a)欄と(b)欄の合計が先ほどお示しいたしました和解成立件数944件となります。また「(c)うち和解以外の件数」といたしまして、合計47件が特別調停案の提示があったものの和解に至らなかったという件数でございます。一番右側の欄に、(c)の内訳といたしまして、その要因を付記しておりますが、1件を除きまして顧客側の不受諾によるものです。表全体を見ますと、24年度は全銀協や保険オンブズマンで特別調停案の提示実績が出てきていること、それから生保協会、損保協会は引き続き提示件数が多い中で、和解に至らない件数もそれなりにあるということが特徴的なことかと思います。

資料1-1、1-2につきましては、ただいまグラフでご説明したこと等を機関別に件数ベースで表示しているものでございます。説明は以上です。

○山本座長

ありがとうございました。事務局から、平成24年度における各金融ADR機関の業務実施状況等について取りまとめてご説明をいただきましたが、各機関において追加的にご説明いただけるお話がありましたら、ご発言をいただきたいと思います。

いかがでしょうか。

どうぞ、森委員。

○森(栄)委員

損保協会、森でございます。先ほど来、ご説明の中で、損保協会だけが増えているという部分がありましたので、補足をしたいと思います。

室長からご報告があったとおり、相場変動のようなリスクを担保するような商品については、基本的に私どもは販売が少ないこともありまして、相場変動の影響を受けにくいという実態がございます。そういう中でよく考えてみると、2010年の10月にこの制度がスタートしてまだ2年半ぐらいしか経っていないと。そういう中で、いろいろな周知活動だとか、件数を増やしていきたい、皆さんに知っていただきたいという活動をやってきましたが、そういう中で昨年の4月に相談体制を全国的に統合しまして、ADRセンターというところで1本でやるということをやったり、各保険会社に対する苦情等の申立手続が損保協会でできるんだということを周知して回ったりとかいうことをやっていますので、スタートして3年弱ということを考えますと、だんだん周知が浸透してきているのかなと。ぼこっと100%増えているとかということではありませんから、ある意味順調に周知が進んでいるのではないかと考えています。以上です。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかの機関はどうですか。

渡邉委員、どうぞ。

○渡邉委員

先ほど事務局からもご説明いただいたとおり、全銀協の申立件数が2割ほど減少となっています。この間の第1四半期から第4四半期までの推移を見ると、第1四半期が254件、第2四半期が224件、第3四半期が193件、そして第4四半期が134件と、第1四半期に比べて半数になっています。これは先ほど事務局からもご説明がありましたとおり、為替デリバティブの件数が減少してきており、今年1月以降でも為替デリバティブの件数は月ベース20件台で推移し、直近でいきますと1桁台になっているという状況でございます。

それから、全銀協ADRの紛争解決手続期間6カ月以上が313件と長期化している部分があるとご説明いただきましたが、この理由としては、事情聴取を複数回設定しているケースがあるということ。それから申立人サイドでみると、解約時期を見ており、合意するかどうかの熟慮期間がかなり長い期間となっていること。為替デリバティブに関して言えば、金融機関側も与信判断等に時間を要しているといったところが主な要因ということでございます。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかにはいかがでしょうか。酒巻委員、どうぞ。

○酒巻委員

生保協会、酒巻でございます。生保協会につきましては、苦情処理手続件数が24%の減少ということで、少し減少幅が大きくなっておりますので、補足説明をさせていただきます。

まず、母数となります苦情の申し出そのものが、昨年度と比較して12%ぐらい減っております。具体的には23年度は6,458件、苦情の申し出があったんですが、24年度については5,697件ということで、苦情の申し出自体が減少していることと、それから苦情の申し出を受けまして、協会の相談所でご説明をしてその段階でご了解をいただいたものと、いろいろアドバイスをさせていただいて、まずは会社と話し合っていただく余地があるだろうということで、一旦会社のほうで継続して交渉をしていただくことにしたものの割合が増え、結果として会社に解決依頼を行った苦情処理手続件数が減少しているということでございます。

また、紛争解決手続の件数につきましても、苦情処理手続件数自体が減少いたしましたので、それに伴って減少している部分と、あと事務局からもご説明がございましたけれども、指定取得以降、保険会社ですとかあるいは全国の消費生活センター等によるADRの周知が十分に図られ、ある程度一巡化してきている面もあるのかなと考えているところでございます。

なお、紛争解決手続につきましては、事務局弁護士制度を導入して事案審理の効率化を図った結果、当期の既済の件数については昨年度よりも1割以上増加しているという状況にございます。補足は以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。

よろしいですか。

それでは、いままでの事務局及び各金融ADR機関からのご説明につきまして、委員の皆様からご質問、ご意見等がおありでしたら、出していただきたいと思います。

どうぞ。

○板谷委員

全国消団連の板谷といいます。初めて今回参加になります。この状況説明の資料については、件数とそれからどう処理をされたかというところが整理されて出されているわけですけれども、できましたら、先ほどから補足説明もありますが、どういった人たちがどういう事案について相談を寄せてきたのかというところを、トラブルの類型別、あるいは商品の分類別、あるいは個人か法人かとか、その手の幾つかの類型に分けてお示しいただけたら、この後どういう課題があるのかということを考えやすくなるのかなと思いますので、これは質問というよりは要望ですけれども、ご検討いただけたらと思っています。

○山本座長

ありがとうございました。では事務局のほうから。

○橋本室長

検討させていただきますが、実は、この結果は3月に年度が終わった後、かなり時間がない中で取りまとめておりまして、各金融ADR機関にかなりご無理をいただいているところがあります。そこはご了解いただきたいなと思っております。なお、各金融ADR機関は自らのホームページでいろいろな分析資料を発表しておりますので、それもご参考にしていただければと思います。

○山本座長

よろしいでしょうか。ほかにありますでしょうか。

いかがでしょうか。どうぞ、高橋委員。

○高橋委員

関係している機関にお答えいただけたらと思いますが、資産運用関係の紛争が減っているということについてです。特に第4四半期はアベノミクスの影響で紛争の場にいるよりは、時機を見て利益を得たほうがという利用者が増えたのではないかなと推測しています。その辺の状況を数字的なことも含めて教えていただきたいということが1点目です。

次に、昨今また相場が荒れてまいりまして、今後その手の紛争は増加する可能性があるわけです。今回減少したことから私たちは何を学び、次にどう備えたらいいのか。その辺のご見解をお聞きしたいと思います。

○山本座長

いかがでしょうか。関連しておられる……。渡邉委員、どうぞ。

○渡邉委員

今、高橋委員がおっしゃったとおり、アベノミクスの効果として、最近取下げの件数が非常に増えております。今年1月からみても、取下件数が25件ほど起きています。

また、投資信託に関して言えば、リーマンショック前に契約した投資信託の苦情申立てがまだあります。相場環境が改善されて、投資信託の販売状況もかなり上向いてきている状況でございますので、リーマンショック前に起きた事象と比較して、各銀行がどのように販売態勢を改善していったのかといった点についても、ADR機関として注視していかなければいけないと思っています。

全銀協ADRとしては、直近の販売商品について、どのような苦情や紛争が起きているのか、しっかり見ていきたいと思っています。

○山本座長

ほかの機関はいかがでしょうか。

坂井委員。

○坂井委員

FINMACでございます。FINMACでは、ここに出ている数字は指定第1種の業務についての数字でございますが、別途為替デリバティブについても金融先物取引業協会からの業務委託を受ける形で取扱いを行っておりまして、先ほど全銀協の渡邉委員からお話がありましたように、4月の終結事案のうち、5分の1が取下げということで終結しております。20件のうち4件ですから20%ですか。4件が取下げということになっております。これは、やはり為替相場が円安に振れたということで、あっせん手続を申し立てたときには損が出ていたんですが、その後評価益に転じたということで、申立ての利益がなくなったことから、あっせんの申立てを取り下げるというような事案が増えてきております。これは為替デリバティブに限った話ではございませんで、株式や債券等の有価証券についても同様なことが言えます。株価あるいは投資信託の基準価格あるいは債券の価格が上がってきたことによって、利益になってしまったので取り下げるというお客様が結構出てきているという状況にございます。

それから相場が活況になってきたということで、苦情の中にはインターネット取引をしている個人のお客様で、システム障害が生じて、コールセンターの対応が追いつかなくて、その間に取引ができなくて結果的に損が出たという苦情が増えてきております。この点については、日本証券業協会のほうでインターネット取引をしている証券会社の皆さんの集まっている場で、今後の対応を検討されていると伺っておりますけれども、そういった状況の中、特に個人の方はインターネットで取引をする方が非常に増えている状況にあると思いますので、インターネット取引をしているお客様はそういったシステム障害時ですとか、あるいは市場の取引が集中したときにどう対応するのかといったところを十分事前に検討した上で取引を始められることが必要ではないかと考えております。以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。というようなお答えですが、高橋委員、お願いします。

○高橋委員

ご説明ありがとうございました。ただ、業界人からは利用者、消費者は儲かっていればそれでいいんだねというふうな、トラブルというものが相場に起因して増えたり減ったりするという考え方の方が少なくないわけです。そういう態度はいかがなものかと思うわけで、金融ADRとしては、問題は問題として存在したわけなので、それを取り下げたからよかったですねで一件落着としていただいては困るように思うんです。その辺について何か考えていくべきではないかということでご質問した次第です。

○山本座長

ありがとうございます。誰か、コメントがございましたら。

○渡邉委員

おっしゃるとおりで、利益が出たからといって問題が解消されたわけでもありませんので、販売時の説明内容について、問題となった事象が幾つかあったんだろうと思います。そういった点について、あっせん委員会の場で指摘をさせていただいておりますので、そういった指摘事項がどうやって銀行の販売態勢の改善につながっていったのかについて、しっかりと見ていきたいと思っています。

○山本座長

ありがとうございます。大変有意義なご指摘をいただいたかと思います。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、唯根委員。

○唯根委員

NACSの唯根です。保険オンブズマンの統計資料の中に不応諾の2件があるのですが、この内容についてもし、分かる程度で結構なのですが、どういったケースだったか教えていただければと思います。

○山本座長

今ご指摘の件は。

○唯根委員

苦情処理手続の……。

○山本座長

苦情処理手続のほうで、この不応諾の2件ということですね。

どうぞ、瀧下委員。お願いします。

○瀧下委員

保険オンブズマンの瀧下でございます。これは苦情の申立て後、保険会社が訴訟を提起したケースでございます。

○唯根委員

2件とも? ありがとうございます。

○山本座長

よろしいですか。

○唯根委員

はい。

○山本座長

ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

よろしければ、また後の議題のところで戻っていただいても結構ですので、それではとりあえず、この最初の議題につきましては、ここまでにさせていただきまして、次の議題に移りたいと思います。

前回この場で、金融ADR制度のフォローアップに関する有識者会議の設置につきまして、ご報告をさせていただきました。その議論の取りまとめが今年の3月8日に公表されております。また、その取りまとめにおける提言を受けて、金融庁のほうで金融ADR機関向けの監督指針(案)を作成されております。さらに、各金融ADR機関は対応の方向性等をホームページで公表されたと伺っております。そこで、まず事務局からその取りまとめの概要と監督指針(案)について簡単にご報告をいただきまして、その後に各金融ADR機関から公表の内容についてご説明をいただきたいと思います。

それでは、まず事務局からお願いいたします。

○橋本室長

それでは、まず金融ADR制度のフォローアップに関する有識者会議における議論の取りまとめにつきましてご説明いたします。資料2-1をご覧いただければと思います。前回の金トラ協でご報告いたしました有識者会議は、昨年11月から検討を開始いたしまして、去る3月8日に議論の取りまとめを公表いたしました。正式な取りまとめは資料2-1の本文になりますが、本日は概要ペーパーでご説明いたします。

「金融ADR制度の在り方等の検討についての概要」と表題のある1枚紙をご覧ください。欄が3つに分かれております。左の欄から、まず金融ADR制度の現状についてですが、現在業態ごとに8つの指定紛争解決機関が設置されております。23年度は為替デリバティブ案件等の増加に伴いまして、苦情・紛争の申立件数が大きく増加しております。また、そのうちかなりの割合が和解しております。こうした現状に鑑みて、金融ADR制度が利用者保護に一定の役割を果たしているとの評価がありました。また、制度等の周知についてなお一層の努力が必要であることや、法人事案や高額請求事案の割合が増加している中で、中小企業からの要請に積極的に応えている現状を評価するものの、個人・少額請求案件への支障が生じないよう留意が必要とされました。一番下ですが、業務運営において、利用者の信頼性向上や納得感等の面から運用上の課題が存在しているとされまして、それが中央の欄になります。

中央の欄ですが、上から、機関によっては申立人との面談割合に高低があるほか、紛争解決手続の増加等から迅速に解決するために原則1日で事情聴取を終了する対応をしているところがございますが、利用者の手続に対する納得感がないとの指摘もあります。次に、金トラ協でも議論になりましたが、利用者アンケートにつきまして、和解事案に限定し不調事案を対象としていないということが挙げられました。3つ目、金融ADR機関は基本的に業界団体ですが、その事務局職員が紛争解決委員となることにつきまして、中立・公正の観点から疑念が生じかねないということが指摘されております。なお法律では、一定要件の金融業務経験者は紛争解決委員に就くことができますので、あくまでも利用者から見たときにそうした疑念が生じかねないという指摘でございます。4つ目、特別調停案の活用が十分に行われていないということにつきましては、以前から指摘があったところです。5つ目、苦情・紛争の分析結果の金融機関へのフィードバックにつきましては、前回の金トラ協でも議論がございました。6つ目、銀行窓販のように複数の金融業態が関係する案件については、利用者にとって申立手続が分かりにくいのではないかという問題意識です。中央の欄の下ですが、利用者の信頼感・納得感を向上させるとともに、利用者にとって分かりやすく各機関間において整合的な手続の構築が必要、銀行窓販の増加等も踏まえ関係機関間の連携強化が必要との課題が示されております。

右の欄は対応の方向性といたしまして、まず前半部分は、中央の欄に書いてございますそれぞれの課題に対する対応です。なお、右の欄の下、横断的な機関の創設のところでございますが、これにつきましては、既存機関との重複、コスト面での課題があり、まずは関係機関間の連携強化等を図りつつ、将来の検討課題とするということにされました。これらを踏まえた大きな対応の方向性として、一番下になりますが、上記の点も踏まえた金融ADR機関向けの監督指針を策定・公表することにより、利用者の信頼性向上や各機関の特性を踏まえた運用の整合性確保を図ること、後でご説明いたしますが、連携強化のために「金融ADR連絡協議会」を設置することが提言されております。

続けて、指定紛争解決機関向け監督指針(案)についてご説明いたします。資料2-2でございます。監督指針(案)は目次とそれ以降24ページにわたるものでございます。目次をご覧いただきますと、全体が大きく4つに分かれております。「1 基本的考え方」、「2 指定紛争解決機関の監督に係る事務処理上の留意点等」、「3 紛争解決等業務を行う者の指定に係る事務処理上の留意点」、「4 指定紛争解決機関の監督上の評価項目」です。それぞれにつきまして、一番上の概要ペーパーでご説明したいと思います。

概要ペーパーの中で申し上げますと、「1 基本的考え方」におきましては、指定紛争解決機関に求められることといたしまして、利用者の立場から利用しやすい手続を整備し、中立・公正かつ簡易・迅速なトラブル解決に努めること、それから金トラ協での議論も踏まえまして、トラブルに関する情報の分析・類型化を行い、その結果を利用者及び金融機関等に提供し、同種のトラブル防止に資すること等について記載しております。

「2 監督に係る事務処理上の留意点」は、監督上の手続、例えば監督上のヒアリングの方法や検査部局との連携、行政処分の際の留意点等について定めております。この項目は分量は多いのですが、内容は銀行や証券会社等の金融機関向け監督指針に準拠しております。

「3 指定に係る事務処理上の留意点」につきましては、平成22年4月に金融ADR機関を指定する際の基準といたしまして、金融ADRガイドラインを作成し公表しておりますが、その内容を踏まえまして、監督指針(案)にも基本的に同じ基準を記載したものであります。例えば、経理的基礎・技術的基礎の判断基準や役職員の構成、指定申請書の添付書類等でございます。なお、監督指針の策定に伴いまして、金融ADRガイドラインを廃止することとしました。

「4 監督上の主な評価項目」が監督指針の実質的なメインの項目となります。ここには有識者会議の提言内容を中心といたしまして、ガイドラインの内容及びこれまでの業務運営を通じて留意すべきと考えられる事項等を記載しております。なお、本文ではそれぞれの項目ごとに意義と主な着眼点を掲げております。

「1.紛争解決等業務の運営態勢」の主な着眼点ですが、例えば業務量の増加等に応じた業務運営態勢の整備や、地方在住者や高齢者等への利用者利便の更なる向上等を示しました。また、「職員の監督体制等」といたしまして、職員の教育・研修等に加えて、最近のデリバティブ等の解決のために高度な金融知識が必要な事案が増加していることにも鑑みまして、公正かつ適確な紛争解決手続の実施のために必要となる情報・知識を紛争解決委員間で共有する態勢の整備等を記載いたしました。「紛争解決委員の選任及び排除等」につきましては、ガイドラインの内容を基本として記載しておりますが、業界団体の役職員を紛争解決委員に選任する場合は、合議制のほか、利用者の信頼性確保のための取組みを行っているかなど、有識者会議での議論も踏まえた内容を記載しております。

続いて「2.紛争解決等業務の適切性等」のところは、利用者が金融ADR機関に対して行う相談・苦情・紛争の手続というプロセスごとに留意事項を記載しております。適切な苦情処理手続の案内や他の機関の紹介、銀行窓販等に対するより丁寧な対応、苦情処理手続の進捗状況の適時・適確な把握、面談の充実、特別調停案の適切な活用等、有識者会議で提言された事項が中心となっております。

「3.紛争解決等業務の公表・検証・評価」についても、苦情・紛争状況等の積極的な公表、利用者アンケートや外部有識者による事後的な検証等、有識者会議の提言を基本として記載しております。

「4.苦情・紛争事案に関する分析結果等のフィードバック」についても同様です。

「5.関係機関との連携」につきましては、有識者会議で提言されました「金融ADR連絡協議会」での情報交換、関係機関との連携強化によりまして手続の改善につなげるなど、利用者利便の向上への取組みに努めることを記載しております。なお、金融ADR機関向け監督指針の策定に合わせまして、既存の金融機関向け監督指針につきましても、有識者会議での提言事項、例えば金融ADR機関から提供された情報等を再発防止に活用する態勢の整備等を内容とする改正を予定しております。お手元の監督指針(案)については、5月31日に金融庁ホームページに公表いたしまして、1カ月間、7月1日までですがパブリックコメントを求め、寄せられた意見等を踏まえて内容を確定し公表した上で、7月の上旬を目途に適用を開始したいと考えております。簡単ですが、説明は以上でございます。

○山本座長

ありがとうございます。引き続きまして、金融ADR機関からご説明をお願いします。なお、大変恐縮ではありますけれども、時間の関係もございますので、各機関、2、3分程度でご説明をいただければと思います。また、各委員のご質問、ご意見等につきましては、各機関のご説明が一通り終わった後にお伺いしたいと思います。

それでは、この資料2-1、2-3あたりをご覧いただきながら、まずは全銀協、渡邉委員からお願いいたします。

○渡邉委員

字が小さくて恐縮ですが、全銀協では3月22日に書面のとおりホームページに公表させていただいております。

公表の趣旨については、前書きの最後の2行に書いてあります。「当協会は、今般の「報告書」の内容を真摯に受け止め、他の指定紛争解決機関とも連携をさらに強化し、以下のとおり、より一層の利用者利便の向上等に資する取組みを行ってまいる所存です」とし、具体的な取組み内容としては、項番1、2となります。

項番1につきましては、既に実施しているところではありますが、引き続き利用者にとって納得感のある手続の実施に努めてまいりますということで、具体的には「あっせん(面談)の回数」並びに「特別調停案の提示」について記載しております。

項番2は、まだ実施していないことについて今後改善する取組みとして、1つは利用者アンケートでございます。現在、あっせんの結果、不調に終わった場合についてもアンケート対象には含めておりますが、今後更なる利用者利便の向上等の観点から、利用者からのご意見等を踏まえて改善した事項について対外的に公表していくということについて、上半期を目途に対応していきたいと思っております。全銀協は以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。それでは続きまして、信託協会の岡本委員からよろしくお願いいたします。

○岡本委員

私どもは3点を公表しております。1つが利用者アンケートの実施ですが、和解成立案件、不成立案件ともに実施できる体制になっております。ただし、現時点では和解不成立案件はありませんので、成立案件のみ2件受け付けております。まだまだ案件数が少ないということもあり、その下に書いておりますように手続件数が積み上がっていく過程におきまして、手続の改善に資するものについては公表していきたいと考えております。現在は内部的に利用しているという段階でございます。

それから次が特別調停案の活用です。特別調停案を出す以前に和解が成立しているということで出しておりませんが、体制的には当然特別調停案を出せるようになっております。

それから一番下が加入金融機関における紛争解決機関の分かりやすい周知ということです。これは一部の契約金融機関のホームページが分かりにくいというご指摘がありましたので、この公表ペーパーを出す前に契約金融機関向けにそういう指摘があった旨の周知をさせていただいたということを記載しております。以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。続きまして、生命保険協会の酒巻委員、お願いします。

○酒巻委員

お手元のペーパー、最初の総論部分の5段落目の最後の3行あたりからご説明させていただきたいと思います。生命保険協会では有識者会議報告書の内容を真摯に受けとめ、以下のとおり、更なる利用者の利便性の向上に努めるとともに、中立・公正性及び信頼性の確保への取組みを一層強化してまいるということで記述をしてございます。

具体的な内容について触れさせていただきますと、まず指定紛争解決機関等の周知に関しましては、今後もホームページ等を活用した金融ADR制度の更なる周知や、他の指定紛争解決機関等との連携強化を図るとともに、より一層の利用者の立場に立った丁寧な窓口対応及び分かりやすいご説明に取り組んでまいりたいと考えてございます。

次に指定紛争解決機関の運営手続に関しては、まず現在、裁定審査会におきましては2段階の審理構造を採用しており、これを引き続き維持していくということ。また外部有識者の委員で構成しております裁定諮問委員会でいろいろご意見を伺っておりますが、それを継続していくということ。また、不調に終わった事案の申立人も含め、利用者アンケートを実施して運営手続を適宜見直すこと等を、今後も中立性・公正性の観点からしっかりとやっていくということで記載をしてございます。

最後に紛争解決等業務の公表に関しては、現在、相談・苦情・紛争の受付状況を「相談所リポート」という形で発行して、会員会社にフィードバック、公表してございます。また、年に4回、苦情項目別の件数ですとか、代表的な苦情・紛争事例等をまとめまして、「ボイス・リポート」の全社版、あるいは個社版というような形で公表あるいはフィードバック等を行ってございます。また、裁定審査会で取り扱った全事案の概要を公表しているところでございますけれども、今後も会員会社へのフィードバック、公表内容の充実に努め、苦情・紛争の再発防止、未然防止を図ってまいりたいということでございます。

ニュースリリースの公表内容は以上でございますけれども、若干補足をさせていただきますと、有識者会議の報告書の中で、金融機関のホームページの中には指定紛争解決機関の紹介について、一般の利用者から見て少し分かりにくい表示もあるというご指摘がございましたことを受け、生命保険会社全社にホームページの確認、見直しの依頼を書面で行い、既に一部の会社でホームページの見直しを実施しているところでございます。

また、紛争解決等業務の中立性・公正性をどのような方法で担保しているかを対外的に説明していく必要があるという指摘を受けたことを踏まえ、生命保険協会裁定審査会のいずれの委員も、個別の生保会社とは特別な利害関係を有しない中立・公正な第三者であること、また裁定審査会では2段階の審理構造を採用しており、各部会の決定は全委員で構成する全体会での再度の審理を経て最終決定となること等をホームページに明記いたしました。私からは以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。続きまして、日本損害保険協会、森委員、よろしくお願いいたします。

○森(栄)委員

損保協会についてご説明します。資料2-3の通しのページで5ページのところです。こちらも字が小さくて恐縮ですが、この中の公表の日付として3月25日に私どもは公表をしております。

2つ目のパラグラフでありますが、この中に書いてございますとおり、金融トラブルの解決支援に向けた取組みの推進について一定の評価を受けるということがあったのではないかと思っております。また、運用面での改善を通じて、更なる金融ADR機関の連携強化、利用者の信頼性向上を図ることが重要であるということが共有されたのではないかなということを書かせていただいております。

最後に、4つ目のパラグラフのところでございますけれども、「当協会としては」というところであります。そんぽADRセンターについて、外部有識者委員等で構成するADR評議会というものを持っていますが、こういった評議会による中立・公正な業務運営を推進していきますということを1つ目に書いています。また周知促進に向けた積極的な情報発信に努めますということを書かせていただいております。さらに面談の実施の増加に努めるということを掲げております。最後に利用者アンケート、こちらは和解案件のみを扱っていましたが、不調も含む全件について今年の3月からアンケートを実施することをやっていますので、そういったアンケートを通じて更なる業務改善に取り組んでいきたいということを表明いたしております。損保協会は以上です。

○山本座長

ありがとうございました。続きまして、保険オンブズマン、瀧下委員、お願いいたします。

○瀧下委員

6ページをご覧いただければと思います。第1段落、第2段落がご挨拶で、第3段落から中身でございます。報告書の中で面談の割合が低いというご指摘をいただいているんですが、私どもでは調停委員が面談ではなくて、電話会議システムを使って話すということを選んでおりまして、各ケースでまず大体、調停委員会の席上から申立人に電話をさせていただいて話しております。

その次の段落は、特別調停案が少ないというご指摘に対して、保険紛争というのは非常にほかの資産運用関係の紛争と違いまして、事実認定の問題が入ってくる。したがって、調停委員がその心証を強く持てるケースが非常に少ないんですね。例えば病気のせいなのか、怪我のせいなのか。競合しているようなケースについて、どちらというのは非常に難しい。そうなると、できるだけ保険会社と申立人と相互に話して、できるだけすり寄っていただくという方法をとるということで、特別調停案が非常に少ない。この1件は調停委員3人が絶対払わせるということで、意を強くして出したものでございます。

次以降が、ご指摘に対して私どもが対応することでございまして、業務の開示でございますけれども、現在半期ごとに苦情件数とその内容、それと終了した紛争解決手続について概要を半期ごとにウェブで公開しておりますが、これを四半期ごとにしようということと、役所に年1回業務報告を出しておりまして、その中では件数とか終了事由等、非常に細かな数字がございます。先ほどご指摘がありましたけれども、役所から非常に細かな統計を求められておりますので、その統計部分を開示したいと思っております。それと利用者アンケートについては、30件ほど終了いたしましたので、アンケートをやる価値があるかと思いますので、不調案件も含めてやるつもりでおります。

7ページで、外部有識者による検証というご指摘がございましたが、私どもでは運営委員会という制度を持っておりまして、運営委員会の役割は2つございまして、1つは規則の解釈等、業務の運営に関わるものと、いわゆる私どもの業務のレビュー、この2つがございます。今まで年に1回程度しか開催していなかったものをもう少し開催を増やしたいと思っております。それとデータのフィードバックでございますけれども、統計的に処理して現れてくるデータというのか、インフォメーションがあるかというと、私の見る目ではないと思うんですが、その統計的なもの以外で特徴的なことがあるというのは保険金支払いに関わる苦情が多いのですが、その原因の多くが説明不足なんですね。説明不足に起因して苦情になっている。当然、払われないとか、金額が少ないという不満もあるんですが、それを説明しないというのが大きな原因であります。これについては会員にフィードバックしたいと思いますし、外資系の会社の団体なものですから、英語にして出さないとならないということで、それも英語にして出したいと思います。それと、約60社会員がありますが、紛争解決手続を申し立てられたことがあるのは5社、苦情を申し立てられたことがあるのが8社のみでございまして、残りの会社についてはお金は出しているけれども、何のフィードバックもないということで、何かニューズレターのようなものを出しておこうということを考えております。

それで、5社、紛争を申し立てられた経験のある会社については、もう少し事務局あるいは会員間の情報交換を更に進める必要があるだろうということで、会員からも要望がありまして、四半期に1回連絡会を開くことにいたしました。以上の施策については、平成25年度のオンブズマンの業務計画として、過日開催しました社員総会で承認されまして、予算手当ても付いたところでございます。以上です。

○山本座長

ありがとうございました。続きまして、日本少額短期保険協会の大野委員、よろしくお願いいたします。

○大野委員

少額短期保険協会でございます。資料では8ページ、9ページになりますが、ご説明をさせていただきます。

私ども少額短期保険は、まだまだ規模感が小さいところではございますが、今後お客様の利便性、信頼性の向上に向けて、更に努力してまいりたいと考えておりまして、3月25日にこのニュースリリースを公表させていただいております。私どもでは既に利便性向上にいろいろ取り組んでおるところではございますが、下記4点を今年度は取り組んでまいりたいということで表明させていただいております。

まず1つ目はホームページについて、お客様に分かりやすい表示に努めますということで、我々ADRのほうのホームページはそれなりに情報も充実してまいりましたが、各少額短期保険会社のホームページ等においてADRの周知がまだまだ不十分な点が見受けられるように思いますので、この点を充実してまいりたいと考えております。

2つ目でございますが、利用者アンケートの拡充や外部機関による評価、人材の育成を通して、信頼性・中立性・公正性の確保に努めますということで、今まで和解案件について利用者アンケートを実施しておりましたが、これにつきましては3月から全紛争案件、と言いましても数は少ないのですが、全紛争案件につきまして利用者アンケートを実施する運びといたしました。これにつきましては、アンケートの結果や改善対応策について今後公表してまいりたいと考えております。また、外部機関による評価制度の導入を検討してまいりたいと思います。また、こちらも既に実施しておりますが、相談員の外部研修への参加や、ほかの金融ADR機関との交流や連携強化により、相談員の育成・向上に努めてまいりたいと考えております。

9ページになりますが、お客様に納得感のある解決に努めますということで、私どもまだまだトラブルの概要は複雑ではないものが多いのですが、お客様により納得感のある解決に努めるということで、現状ほぼ1回でお客様との面談が終了しておりますが、必要に応じてお客様との面談をもう少し確保できるような形で努めてまいりたいと考えております。

最後でございますが、各少額短期保険会社との連携強化ということで、私どもの機関に加盟しております各少額短期保険会社の苦情・相談窓口との間で会議やセミナーを通しまして、トラブル事例のフィードバックを行います。それとともに各担当者間の連携強化を図りまして、業界全体がお客様から安心と信頼を得られるよう努めてまいりたいと考えております。以上です。

○山本座長

ありがとうございました。続きまして、証券・金融商品あっせん相談センターの坂井委員、よろしくお願いします。

○坂井委員

FINMACでございます。10ページにございますように、3月22日付でホームページにてこのペーパーを公開させていただきました。10ページには今回の有識者会議における取りまとめを受けてということで、FINMACが業務を開始しました22年2月からのこれまでの取組み、あるいは実績といったものを書かせていただいておりますけれども、結論としまして、最後の事項が11ページのほうになりますが、今回の報告書を受けまして、当センターは「報告書」における運用上の課題と対応方向性を真摯に受けとめ、外部有識者の積極的な参画による中立・公正な業務運営を推進するほか、関係するADR機関と連携の強化を図りつつ、これまで以上に丁寧な窓口対応と分かりやすい説明に努めるとともに、利用者アンケート調査の活用・公表等を通じ、より一層利用者利便の向上や業務の質的向上に資する取組みをしてまいりますということで表明させていただいております。ここにある最後の取組みといたしまして、最近の状況をご報告させていただきますと、まず利用者利便の向上というところで、今月から当センターのホームページを全面的にリニューアルいたしまして、より利用者の皆様に分かりやすく、見やすくするというような対応をさせていただいております。また、アンケート調査につきましては、一昨年の9月からアンケート調査を実施しておりますけれども、本年3月にホームページにてアンケートの取りまとめ結果について公表させていただいております。『FINMAC』というタイトルの機関誌を定期的にホームページにて公表させていただいておりまして、この機関誌の9号にこれまでのアンケート結果について取りまとめを公表させていただきました。

それから特別調停案については、10ページにありますように、これまであっせん委員懇談会、これは実際にはあっせん事例研究会という面を持っておりまして、あっせん委員があっせん手続の進め方ですとか、あるいは個別の紛争についてどう和解案を提示していくかといった目線を合わせるという意味がある会合でございますが、ここでこれまでに特別調停案の提示のあり方等についても、あっせん委員間で意見交換をさせていただいてきております。たまたま今回の資料の中で、当センターは特別調停案は0件という数字が出ておりますけれども、完全に終結していないものは掲載対象としないということで0件となっておりますが、当センターでも3月下旬に特別調停案は委員から1件提示されております。残念ながら本件につきましては、4月に相手方事業者が訴訟を提起しているということでございますが、とりあえず特別調停案につきましても当センターでの実績が出てきているという状況でございます。以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。それでは最後になりましたが、日本貸金業協会の八木委員、よろしくお願いいたします。

○八木委員

資料の12ページになります。中段から下に太い字でお示ししてございます。当協会の主な今後の取組みということで、4点ほど掲げております。1番目が資金需要者(利用者)等の利便性向上についてでございますが、こちらがまだ私ども紛争の申立て、受理事案が少ないと考えておりまして、認知度の向上を図りたいと考えています。そのためにホームページを分かりやすく、使いやすく改修するとともに、その他の案内媒体、冊子等でございますが、こういったものについても利用者目線を意識したものにしていきたいということでございます。

2番目でございますが、紛争解決における中立性・公正性の確保についてでございます。特に今後の取組みといたしましては、新たに終了事案について当事者双方からアンケート調査を実施いたしまして、業務改善等につなげてまいりたいと考えております。

3番目でございますが、加入貸金業者へのフィードバックについてでございます。こちらについては、加入貸金業者向けに、これは全貸金業者になりますが、機関紙を発行しておりまして、これによって苦情・紛争事例に関する情報発信を行っております。また協会は自主規制機関でございますので、自主規制機関としての指導や研修を継続して実施してまいりたいと考えております。

最後に他の機関との連携についてでございますが、特に全国の消費生活センターさんからの紹介事案がまだ少ない状況でございますので、当協会の利用機会の拡充を図るために一層の連携を深めていきたいと考えております。また、他の指定紛争解決機関との連携を強化して、紹介いただいた事案を含めまして、当協会に寄せられる苦情・紛争事案の円滑な解決に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

それではただいまの事務局の説明、それから各金融ADR機関からの報告につきまして、ご質問、ご意見等がございましたら、ご自由にお出しをいただければと思います。

いかがでしょうか。どうぞ。お願いします。

○板谷委員

全国消団連の板谷です。このトラブル対応の内容を、業界全体を改善していくPDCAのサイクルにいかに乗せていくかがすごく重要だと思うんですよね。そういう意味でいうと、指定機関としてのここで提案されている中身は、トラブルの内容について教訓化してフィードバックをしましょうというところまでになっているのですけれども、問題はフィードバックをした後、じゃあ業界団体としてどうそれを改善に活かしていくのかがすごく重要だなと思っていまして、その点で先ほどのご報告の中で、最後の貸金業協会さんについては、ここに書かれている中身でしか僕は分からないのですが、単なるフィードバックということを超えて、指導・研修等を行って、自主規制機関としてそれを使って業界全体のレベルアップに努めていますということを書かれてあるので、その内容について少しご紹介いただけたらなと思っています。

○山本座長

それでは、八木委員、お願いします。

○八木委員

端的に申し上げますと、自主規制機関として監査部門というものを持っておりまして、監査は毎年、協会員でございますけれども、協会員に対しては書類監査、それから一部ピックアップしまして実地監査というものを行っておりまして、そういった監査を通じて今、板谷委員がおっしゃったように、実際にちゃんとできているかどうかを検証するという対応をしております。

○山本座長

板谷委員、いかがですか。

○板谷委員

もし、ここに書かれていないけれども、業界としてこういう工夫をして業界全体のPDCAにつなげていますというような事例がありましたら、ほかの方々からも補足していただければと思います。

○山本座長

どうぞ、坂井委員。

○坂井委員

私どもFINMACは金融商品取引法上の5つの自主規制機関から業務委託を受ける形で紛争解決業務を行っています。先ほど貸金業協会さんのほうで言われましたように、自主規制機関の大きな業務の中に、協会員の役職員の資質の向上というものが定款上書かれております。これは金商法上、書かなければいけないことになっております。そういった各自主規制機関の各協会員の役職員の資質の向上は、具体的にはやはりそういった研修という取組みになっているわけでございまして、各自主規制機関が行う協会員向けの研修には私どもFINMACから職員を講師派遣しまして、具体的な紛争の事例、あるいは苦情の状況・事例、そういったものをご紹介させていただくことによって、紛争の再発防止に努めるというような取組みを行っております。以上です。

○山本座長

ありがとうございました。ほかの機関は何かございますでしょうか。

では、酒巻委員、お願いします。

○酒巻委員

生命保険協会におきましては、さまざまな形で協会で受け付けた苦情・紛争事例、それから全国で消費生活センター、消費者団体等の皆様方と意見交換をさせていただいておりますが、そこでお受けしたご意見とか、ご要望とかいったものを全て踏まえ、毎年、業界自主ガイドラインの見直しという作業を行っており、その際には各社における好取組事例といったものもアンケート調査して共有化を図っている。

それから、消費者の声事務局という事務局横断的な組織を協会の中に置いており、こちらでも苦情・紛争事例、その他ご意見、ご要望等を毎年分析いたしまして、その中で課題を抽出し、その課題についてそれぞれの会社がどういう対応を行っているかということをアンケート調査して好取組事例を共有化するという作業を行っております。

さらに、先ほど申し上げましたように、相談・苦情・紛争の受付状況を会員会社にフィードバックしているという状況でございます。

○山本座長

ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。

板谷委員、概ねそのようなことでよろしいですか。

○板谷委員

ありがとうございます。

○山本座長

高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

まず、損保協会にお伺いしたいんですが、冒頭のところで、周知が向上したことによって件数が増えているというご説明があったわけですけれども、それ以外の要因はなかったのかということをお伺いしたいと思っています。と申しますのは、損保関係はこのセンターのほかにもいろいろな紛争解決処理機関をお持ちなわけなので、そこの状況と比べてどうなのかとか、ちょっと先取りで言えば連携というのがテーマに出ているんですが、業界の中での連携はどうしていらっしゃるのか。特に日本損害保険協会関係だけでなく、例えば次にお伺いしたいんですけれども、その保険オンブズマンのようなところとの、そういう似通ったところでの問題共有、解決に向けた努力がどうなっているのかをお伺いしたいと思います。

続いて保険オンブズマンさんにお伺いしたいんですけれども、ホームページを拝見しますと、ご説明以上のことをたくさんやっていらして、多分アメリカとか海外のスタンダードだと思いますけれども、個社名を挙げてオンブズマンへの相談状況、各社の受付件数と、さらにそれの内容の分析も契約、募集なのかとか、かなり細かくやっていらっしゃるんですよね。これはもう当初からこういうふうにやろうという方向で踏み出されたのか。利用者にとっては非常に分かりやすくて、自分の会社では受け付けていなくて、こちらに持ち込んでいるとか、それの比率とかを比べられます。その辺の事情について少しお伺いしたいのと、ほかの会社で同じようなことをやっていらっしゃるところがあったら、ぜひ名乗りを上げていただきたいと思います。

○山本座長

ありがとうございました。それでは、まず損保協会、森委員。

○森(栄)委員

お答えいたします。まず件数が増えていることについては、私どもが先ほど申し上げたのは、相場変動によるものではないところが多いということ。基本的に一般の契約者だとか、被害者からのご相談だとか、紛争等も取り扱っているわけなんですけれども、そういう一般の方からの基本的な申し出が少しずつ増えているということなんですが、そこに関してはやはり各社が損保協会を紹介する、ADRセンターを紹介するだとか、それから私どもが独自にPRカードを作ったり、パンフレット等で周知をするだとかということ。それとともに、昨年の4月に全国にあった相談の窓口をそんぽADRセンター内に取り込みまして一元化したということがあります。そういった活動の結果、徐々にではありますが、増えてきているのではないかと思います。

それから例えば保険で言うと、生保さんだとか、保険オンブズマンさんが近い。特に保険オンブズマンさんは同じ損保業界だということで近いと思うんですが、相談等に関しましては保険オンブズマンの会員会社であっても、私どもの会員会社であっても損保に関しての相談をお受けすることをやっています。その上で、苦情処理手続に入りますと実施契約を結んでいないといけないということですから、そこの段階では保険オンブズマンさんをご紹介するということをやっていますが、基本的にまずどういった中身でもお受けするということをやったりとか、そういった保険オンブズマンさんがあるということをご紹介したりとかしていますし、生保業界さんに対しても同じことをやっています。

○山本座長

よろしいですか。それでは続いて、保険オンブズマンの瀧下委員、お願いします。

○瀧下委員

お褒めにあずかって恐縮なんですが、実はこの3協会とも全く同じ内容で公表しております。これはもう制度が始まる前から3協会で公表しようということで、公表していたものでございます。それが継続しているということで。損保だとほとんど同じフォーマットで上がっていると思います。生保さんは若干フォーマットが違うんじゃないでしょうか。しかも我々は半期に1回ですが、ほかの2協会さんは人手もあるので四半期ごとに数字を出されていると理解しております。

それと連携については今、森さんがおっしゃったように、同じ商品、同じような約款で扱いや結果が違うというのはうまくないなということで、かなり頻繁に具体的な案件についても、取扱い等について連絡を取り合っているという実態にございます。

○高橋委員

ご説明ありがとうございました。こちらが不勉強だった部分があるんだと思います。それとホームページに入ったときに、そういうものが見やすいか見やすくないか。たどり着くのにものすごく時間がかかるところと、オンブズマンさんのところは非常にすぐに入れたというところが気付きのところだったんです。そうしますと、ほかの業界も今全部やっているという、スタンダードだと考えてよろしいですか。

○山本座長

いかがでしょうか。件数の多いところでは、全銀協。

○渡邉委員

個別事案の内容については、全件ディスクローズしております。申立人の主張と相手方の主張、並びにあっせん委員会における指摘事項等、そういった内容を、件数が多いものですから1件1件詳細には難しいですけれども、1件1枚ぐらいのイメージで公表しております。

○高橋委員

すみません。件数ごとではなくて、会社ごとの統計に全銀協のホームページでたどり着けなかったんですが、どこまで行ったらそれは分かりますか。かなり深掘りしないといけないのか、私の探し方が悪いのか。オンブズマンさんでは、保険会社名でエースさんから始まって、1社ごとに全部非常に分かりやすい開示の仕方をしていらっしゃるんですが、その点はいかがなんでしょうか。

○山本座長

どうぞ。

○渡邉委員

銀行ごとのディスクローズはしておりません。

○山本座長

坂井委員。

○坂井委員

FINMACも個社名に関しては公表しておりません。件数のみでございます。

○山本座長

コメントは。

○高橋委員

そうしますと、保険業界だけがやっているということでよろしいですか。

○山本座長

いかがでしょう。保険は損保、生保ともに個社名公表をしておられるという理解でよろしいでしょうか。

○酒巻委員

個社名とおっしゃっているのは、苦情・紛争の受付状況の内訳としての個社名、そういう意味ですね。

○高橋委員

そうです。受付けのところの段階からオンブズマンさんのほうはオンブズマンで受け付けたものと、個社で受け付けたものの件数がきちんと開示されていて、その要因別にも分析がされていて、全部会社ごとのブロックで分けられているので、非常に分かりやすい。海外ではそういうのを見ていまして、ランキングをご当局が付けているのもあります。そうすると、消費者はそれを見ながら、態度のいい会社かどうかが判断できますので、契約するときに大いに参考になるわけなんですが。それに似たものが外資のほうでは拾えたんですが、国内社さんはどうなのかなというご質問でした。

○酒巻委員

失礼しました。そういう意味では当会もオンブズマンさんと同様の対応です。

○山本座長

損保のほうは。森委員、どうですか。

○森(栄)委員

私どもも保険オンブズマンさんと同様に、損保協会として各社の苦情を受け付けたものと、各社で苦情を受け付けたものとの数字をそれぞれ公表しています。

○高橋委員

今回、監督指針の案が公表されてというところでのお話なわけですが、そこには未然防止とか再発防止に配慮することが必要ということで、例えば本文のほうの23ページですね。苦情・紛争事案に関する分析結果のフィードバックという項目があって、指定機関は業者等にフィードバックし、苦情・紛争の未然防止の取組みに努めることが必要であると書いてあるんです。今までの各機関の発表された中ではフィードバックするというところまでは述べていただいているんですけれども、未然防止の取組みに具体的に何をするのかというのは全く分からないわけですね。アメリカ等の事例で言えば、苦情ランキングを公表したり、個社名を公表することによって、信用度を増す試みが進んでいくとか、あるいはADR機関は複数あることで、そこに競争性が働くということが大きな狙いとしてあったわけですから、そういうものを出しているところと出していないところが、実はばらけていたということが今分かったわけですので、利用者としては透明性の高いほうにそろっていくことを期待したいわけです。未然防止の取組みに資する何をやっていらっしゃるのか、あるいは再発防止に資する何をやっていらっしゃるかが聞けることが重要だと思います。ご当局にも期待するとこですが、監督だけでなくて、企画局であるとか、金融庁検査でもそれをちゃんと直しましたかということをチェックしていただくところを利用者としては期待しています。金融庁さんを含めてお答えいただけるとありがたいと思います。

○山本座長

金融庁のほうから何かお答えがありますか。あるいはそれぞれの機関のほうで、今の高橋委員のご発言に対するお答えというか、コメントがありましたら。

どうぞ、渡邉委員。

○渡邉委員

今の点は非常に重要なことだと思います。対外的に公表することによって透明性を図り未然防止策につなげていくという点については理解はするところですが、それよりも加入銀行に対してどうやって研修を行い、未然防止につなげていくかということが非常に重要なことだと思っております。したがって、全銀協ADRでは昨年来から加入銀行向け研修会を強化しておりまして、あっせん委員会の指摘事項を、例えば申立人の知識、経験、金融資産、投資目的といった紛争の原因別に、あっせん委員会においてどのような点を指摘したかといったことを説明し、加入銀行に理解してもらい、今後の販売態勢の改善に努めてもらうという対応、まさに先ほどおっしゃられたPDCAが必要だと考えています。その後の銀行の対応については、我々としても十分ヒアリングを行っており、改善に向かって対応しているのか関係会合等で逐次ヒアリングを行っておりますので、そういったことが必要なのではないかと思っています。

○山本座長

ほかにいかがですか。酒巻委員、どうぞ。

○酒巻委員

当会では、年に2回、会員会社の担当者を集め、紛争解決委員との情報交換会を実施しておりまして、その場で幾つかの紛争事案を取り上げて、その事案の解説をする中で、現在紛争解決委員がこういう事案についてこういう考え方に基づいてこう解決しようとしているとか、そういったことをお伝えする場を設けて、意見交換をさせていただくことをしております。そういう中で、紛争解決委員が今どういうことに着目して解決しようとしているのか、あるいはそれぞれの事案を解決していく上でどんなことが課題になっているのかとか、そういうことを伝えながら情報交換する場を設け、そういったことにも活用しています。

○山本座長

ほかにいかがでしょうか。それでは、金融庁からご説明を。

○橋本室長

ただいまのお話についてなんですが、有識者会議の報告書の中でも、実はフィードバックを受けた金融機関がトラブル防止に関する取組みを推進したほうがいいということが書いてあるんですね。今回、金融ADR機関向け監督指針をパブリックコメントに付したわけですが、それと併せて監督局におきましても、監督指針の改正を予定しておりまして、その中で今申し上げたように、苦情等の内容や対処方針について、指定ADR機関より提供された情報等も活用しつつ分析し、その分析結果を継続的に顧客対応・事務処理の改善につなげる態勢や苦情等の再発防止策・未然防止策に活用する態勢を整備しているかという内容の監督指針の改正案をパブリックコメントに付しているところでございます。併せて、検査局も検査マニュアルというのがございまして、今の部分に対応したところを着眼点とするような改正を行う予定です。

○山本座長

そのような対応はされているということですが、高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

そうだとしますと、金融庁検査においては、このADR機関のほうで上がってきた問題について、例えばどこの会社でどんな問題が起きているかということが分かるわけですから、その苦情・紛争に基づいて、ちゃんと問題点を直しているかを検査で確認をしていただいているのかどうか、そこのところだけお願いします。

○山本座長

どうですか。長谷川委員、お願いします。

○長谷川委員

企画課長の長谷川でございますけれども、今ちょっと監督局と検査局がこの場にいないんですが、今回、個別金融機関向けの監督指針を改正するとともに、同様の内容の改正を検査マニュアルでも行いますので、当然監督局及び検査局においては、この監督指針の改正あるいは検査マニュアルの改定が施行した後は、その点についても当然監督なり、検査の中で見ていくことになり、問題がある場合には是正を求めていくということになろうかと思います。

○山本座長

よろしいでしょうか。ありがとうございました。

それでは、ほかの点についていかがでしょうか。

どうぞ、石戸谷委員。

○石戸谷委員

2点ありまして、両方とも意見ないし要望という形で結構だと思いますけれども。第1点目は有識者会議のほうでもADR制度のフォローアップというか、改善となっているので、直接金融業者が当事者に入ってくるものでないので、あれなんですけれども、ベースにありますのは、やはり金融業者のほうでADRを使って解決するというところが大事なのであって、やっぱりADRのあっせん案なりを尊重するという文化の醸成というところがベースにないと、うまく回らないと思うんです。ところが、有識者会議取りまとめが出た後に情報提供がありまして、今年大阪地裁で2月20日にある銀行に対して適合性原則違反と説明義務違反で請求額全額認容するという、過失相殺なしというのは数少ないんですけれども、判決が出ておりまして、ノックイン投信の事案。で、情報提供というのは、それは実はADRで解決できなかったものだと。指定ADRではないんですけれども、信頼あるADRということでありまして、その判決は一審で確定しました。ということは、双方それで納得したことになるわけでありまして、そのようなものがなぜADRで解決できなかったんだろうかなと、非常に残念な思いをいたしました。ですので、紛争解決におけるADRの位置付けを業界のほうでもうちょっと高めていただけないかなと。これが1点。

それからもう1点は、けさ朝刊を広げましたら、読売新聞の1面並びに社会面のトップで大きいスペースを使って、認知症女性の5,000万円の件。証券会社が他社の商品を解約させて、自社のほうに取引させるという記事が大きく取り上げられておりまして、かなり詳しく事実の経過や何かも報道しているのと同時に、これは社のほうのオピニオンだと思うんですけれども、60歳以上の人たちが持っている資産の有効な運用を政府のほうは呼びかけているけれども、自由で公正な投資環境を整えるためにも実効性あるルール作りが求められているとうたっていて、これは主張だと思うんですよね。こういうふうなことが大きく取り上げられるような事態になっているということは重く受けとめなければいけないと思います。

それでADR制度ですので、直接ここでの話ということではないかもわかりませんが、関連しますので、やはりこういう高齢者の、先ほどの判決もそうなんですけれども、適合性原則がうまく機能しないというときに、研修とかいろいろな形でやっておられると思うんですけれども、うまく運用しているとは見られていない。世の中的に。そこで実効性あるルール作りが求められているというときに、どういうふうにやるのかっていう。自主規制機関で言えば、それを受けて、じゃあどういうふうに自主規制規則をうまく作って、実効性ある形にするのかと。自主規制機関がないところであれば業界団体だと思うんですけれども。そこでうまくいかなければ、当局が動かないとこの問題は改善しないわけで。適合性原則が全然うまく回らないのであれば、もう勧誘制限するしかないじゃないかという話に当然なりますので、もうちょっとせっかくこれだけの素材というのがあるわけなので、それを引き取った次の形をぜひ考えていただきたいと申し上げたいと思います。

○山本座長

ありがとうございました。ご意見ということだと思いますが、何か機関のほうでございましたら。いかがでしょうか。

どうぞ、唯根委員。

○唯根委員

今のご意見に続けて、私も今日お願いをしようと思って参りました。というのは、最近の金融関係の消費者被害については、ほとんどが詐欺的な。要は健全な金融事業者ではない、アウトサイダーな方たちかプロの詐欺師に騙されるというか、巻き込まれている消費者がほとんどだと思います。そしてその被害が回復できない、気付いたときには相手がいなくなってしまって、というような救済ができない案件が非常に多いのです。今日はご出席の中には警察関係の方がいらっしゃらないのですけれども、金融機関の業界の方々が一番早くこういう悪いことをする事業者や金融商品もどきに気付いていただける可能性が大きいのではないかと思いますので、被害の未然防止と各業界のイメージアップのためにも連携をとっていただき、一企業ですと内部告発という形なんでしょうが、業界告発として詐欺的な商品や事業者の情報をいち早く金融庁、それから警察庁や消費者庁関連の窓口も含めて注意喚起の情報連携を組んでいただきたいと思います。そして、ADRの取組みにとどまらず、被害の未然防止という部分ではもっと大きく広くこの金融トラブル連絡調整協議会の取組みを、ぜひ今後もしていっていただきたいというお願いを今日はしたいと思って参りました。今の石戸谷先生のご意見も、適合性原則というだけではなくて、やはり一般の消費者は理解ができない、騙される手口が非常に巧妙になって進化しておりますので、そういった部分で逆に業界さんからの消費者への啓発、情報提供もお願いしたいと思います。以上です。

○山本座長

ありがとうございました。よろしいでしょうか。どうぞ。

○長谷川委員

今の唯根委員のご指摘、それからその前の石戸谷委員のご指摘も含めまして、まずいろいろな最近消費者被害が生じるような金融商品・サービスの問題がございますけれども、それについては金融庁の中でも、ここに嶋野委員がいらっしゃって、金融サービス利用者相談室長ですけれども、彼のところを中心に執行部局なり、それから企画課も含めまして、個別のいろいろな利用者相談室に来るような苦情、相談等についてある程度分析したものを情報共有しております。それは個別の事案も含まれておりますので、なかなかこの場で具体名をご紹介することはできませんが、そういったものを分析して、もちろん必要に応じて警察庁等とも連携しながら消費者被害の未然防止等にも我々は尽力しておりますので、一応その点だけ付言させていただきます。

○山本座長

ありがとうございました。どうぞ、高橋委員。

○高橋委員

それでは私も遠慮なくご要望させていただきたいと思います。先ほど石戸谷委員からノックイン投信の商品のお話がありましたけれども、私、前回のこの会議のときにフィードバックの問題と、見直しというのは販売勧誘のところでは皆さんいろいろやっていらっしゃるんですけれども、商品性に踏み込んでくださいねというお話を申し上げました。その商品性の部分ですが、前回議事録を読み直すと、石戸谷委員が家電PLセンターのお話を挙げていらっしゃいまして、その出火原因を突きとめるために技術者たちがそこをきちんとやるというのがあるわけなんですが、金融商品についても、やはりそういう意味での専門家がADR機関に入って、原因究明をやっていただいて、こういう商品を本当に作っていいのかとか、こういう商品はやはりある一定以上の人にしか自己責任とれないから売ってはいけないとか、そういう体制整備をぜひやっていただく必要があるのではないかなと思っています。ADRというと個別の紛争解決をするところで、損害賠償請求であるとか、無効とか取消しの成立のところに関心があるのは当然のことですけれども、やはり全銀協さんでも件数がどんどん増えているということですので、銀行さんの場合は販売する側として、前回も申し上げましたけれども、組成する側に相当な影響力を持ってやっていらっしゃるわけなので、そこら辺の問題を解決しないと、苦情件数は今後とも増えていく可能性があるわけです。ですから、組成の問題、運用体制の問題にまで踏み込んだADR機関の機能強化を私は求めたいと思います。こういう場でそういう問題を共有して話し合ったことによって、売り止めとか商品改定とかいうものにつながっていくような改善が求められる段階に来ているのではないかと思います。そのぐらい一般の消費者、特に、財産はあるけれども知識・経験の少ない高齢者が巻き込まれる事案が多過ぎると思いますので。金融トラブル連絡調整協議会も干支が一回り以上回るところまで続いています。私は当初から参加していた数少ない委員の1人なんですが、継続は力なりで、力が発揮できるように進める段階に来たのではないかと思います。

○山本座長

ありがとうございます。ほかにもご意見、ご要望、何でも結構ですので、おありの方はご自由にお出しいただければと思います。いかがでしょうか。概ねよろしゅうございますか。

高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

もう1点だけ。すみません。何か私だけ独演会で大変申し訳ないです。前回、経営陣には戻しているというお話はあったんですけれども、経営陣に戻した後、その会社がちゃんとガバナンスをきかせる体制にあるのか。営業とか財務とか、社内で綱引き関係があると思うのですが、どうしてもCSRとかお客様相談室の部署は弱くなりがちなので、そういう人たちが対等にきちんと関与して、利用者目線、消費者目線で商品の開発、販売、メンテナンスができているかどうか。フィードバックというからにはそこまでやってくださいねときちんとお伝えして、その状況をモニタリングしていただくと。これは金融庁さんのお仕事でもあろうかと思うんですけれども、そこまで踏み込むことをお願いしたいと思います。

○山本座長

ありがとうございます。よろしいでしょうか。そのフィードバックのあり方について。

それでは、概ねよろしければ、幾つかの貴重なご意見、あるいはご要望をいただいたかと思いますので、そのご趣意に沿って今後の金融ADR機関のあり方を考えていただければと思います。

それでは、本日最後の議題でありますけれども、「金融ADR連絡協議会」の設置ということにつきまして、事務局のほうからご報告をお願いいたします。

○橋本室長

先ほどご紹介いたしました「金融ADR制度のフォローアップに関する有識者会議」の提言に基づきまして、「金融ADR連絡協議会」を設置いたしました。第1回の会議を4月8日に開催いたしました。協議会の概要につきましては資料3をご覧ください。

1枚紙でございますが、上から「金融ADR制度のフォローアップに関する有識者会議」の提言を踏まえ、全ての指定紛争解決機関の実務担当者等により構成される「金融ADR連絡協議会」を設置。次に、定期的かつ実効性のある情報交換や意見交換等を行い、指定紛争解決機関間の実質的な連携を強化。主なテーマは、例えば、個別事案に関するケース・スタディ、業務運営・人材育成方法等に関する情報交換、整合的な手続の構築等に向けた検討、海外の金融ADR等に関する研究等。概ね四半期ごとの開催を基本とする。活動の概要等は、金融トラブル連絡調整協議会に報告するということになりました。

第1回の協議会におきましては、協議会の運営方法、今のペーパーでございますが、これを確認した後、先ほど各機関から説明がございました有識者会議の取りまとめを受けた各機関の対応方向、いわゆる公表文につきまして発表を行い、今後の方向等について質疑が行われました。今後、資料3の内容に沿いまして、金融ADR機関の連携強化のため、「金融ADR連絡協議会」を有効に活用していきたいと考えております。説明は以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からのご説明につきまして、ご質問あるいはご意見があればいただきたいと思います。

どうぞ、森委員。

○森(倫)委員

弁護士の森でございます。前回もお伺いをして、今回も金融庁の当局にお伺いしたいと思いますけれども、フォローアップのほうでも代替措置については特に触れられておりませんね。今回のこの「金融ADR連絡協議会」のほうも指定紛争解決機関ということで限っておられまして、そういう意味では今日、全国信用金庫協会の方とか、全国信用組合中央協会の方もいらっしゃっていますけれども、その信金、信組をはじめとする、代替措置でやっておられるところが特に何も言及がないんですけれども、そのあたりについてはどのように対処をしていかれるご予定であるのかということについてお伺いしたいと思います。先ほど、石戸谷委員が挙げられたものも代替措置のものですし、唯根委員からも詐欺的なものもあるという、そういったような国センとかそういうものにも来るところもあると思いますし、弁護士会にも実際にそういうものがございますけれども、そういった代替措置の部分についてはどう考えられるのかについて、金融庁の当局のほうからご回答をいただければと思います。

○山本座長

それでは事務局のほうから、お願いします。

○橋本室長

今の代替措置につきましては、有識者会議の取りまとめの本文の2ページ以下のところに記載させていただいております。資料2-1です。代替措置につきましても、利用者への説明や周知の強化を行うことが適当であるということで、有識者会議の中では議論が行われました。

○山本座長

代替措置に係る機関というのは、この連絡協議会の対象にはなっていないということでよろしいですか。

○長谷川委員

連絡協議会はあくまでも金融ADR機関との連絡調整の場でありまして。個別の信金、信組等の代替措置をとっている業界並びに各金融機関が有識者会議の提言を踏まえて必要な改善を行うことについては、監督のほうでしっかりと見ていくということになっております。

○山本座長

いかがでしょう、森委員。どうぞ。

○森(倫)委員

先ほど、指定紛争解決機関向けの総合的な監督指針のお話がありまして、当然代替措置である以上、そういった監督にはなじまないということは当然あるかと思いますし、指定紛争解決機関でつくる協議会というのもおそらく必要なんだろうと思っておりますので、その指定紛争解決機関のみで形成される会議を設置されること自体、私は別に依存はないですけれども、そのほかに代替措置を担っている機関を含めた形での情報交換会はご予定はないんでしょうかということをお伺いしたい。それについての実際の必要性はあると思っているんですけれども。

○山本座長

いかがでしょうか。何か拡大運営協議会みたいなもののご提案かと思いますが。事務局のほうから。

○橋本室長

今のところ、代替措置を行っている業態が参加した上での何かの協議会みたいなものというのは考えておりません。ただ、今のようなお話であれば、この金トラ協の場がまさにそういう場になるんじゃないかなという気はするんですが。

○山本座長

いかがですか。

○森(倫)委員

よろしいですか。今、金トラ協がその場になるんじゃないかという話がありましたけれども、あくまでもADRを担う機関として、業界側はおいておいてというと変ですけれども、中立・公正な立場であくまでも紛争を解決する機関としての、ADR機関としての情報交換の場は別にあってよろしいんじゃないかという趣旨で申し上げておりまして。ここの場というのは先ほども、例えばフィードバックの問題であるとか、監督の問題であるとか、比較的業態に応じたものがあるかと思うんですけれども、それと別にあくまでもADRに特化した部分というのがあってもよろしいんじゃないかということが、私が申し上げたいところですけれども、いかがでしょうか。

○山本座長

どうぞ。

○長谷川委員

森委員からのご指摘でございますので、少しご指摘を踏まえて検討したいと思います。

○山本座長

それでは、その点はご検討いただくということにしたいと思います。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、高橋委員。

○高橋委員

本日、それぞれの機関から決意表明というか、前進するお話が伺えましたし、金融庁もいろいろ取り組んでくださることは分かったんですけれども、ADR機関が3年前からでき上がってきたというところから振り返ってみますと、そもそもこれをどういう形でやるのかということを決めた当時の金融審のメンバーの一員としては、いささか懐疑的な意見をずっと申し上げて、しかしやってくださいということになったわけです。これは私だけではなくて、少なくはない数の委員の方たちが本当にこういう形で横の連絡だけでやっていけるのか、横断的なものをどのタイミングで立ち上げるのかという意見を出されて、いろいろ話し合ったわけなんですが、また先送りだなというのが正直な感想です。前回の金トラでも一応引き取ってくださって検討しますということだったんですが、この有識者会議の中でも意見があったにもかかわらず、こういう形になったという。これについて各機関の方々は連絡協議会以前に有識者会議もあれば、金トラもあるし、もしかしたらもう1つあるかもしれないという非常に複層的な仕掛けで、業務に追われて大変だなというのが率直な感想なんですが、こういうところもうちょっときれいに整理していって、全体の企画をやるところとか、その実務に対しての意見交換をするところとか、もうちょっと何か組織としての形を整える必要があるのではないのかなと感じています。

各機関の連絡というのは、それこそ2000年当初から申し上げているんですけれども、各機関が、金融庁さんが設定しない場でどんどん進めていただくというぐらいの元気のある活動を期待していたわけです。ここで全てを決めるのではなくて、ここで例えば我々第三者も含めてですけれども、そんなこと言われなくたってやっているよという状態をどんどん作っていただきたいというのが今回のお願いですし、金融庁におかれては、事務局としていろいろなものをお作りになるのはいいんですけれども、そもそもどこが主体を担っているのかがだんだん分かりにくくなっていると思います。ですので、金融審がそこの大きな司令塔なのであれば、そういうことがはっきり分かるように消費者、国民にも示していただきたいと思います。以上です。

○山本座長

コメントでございますかね。制度改正等については、金融審議会がもちろん中心的な役割を担われると思いますし、実務的な改善の方策等につきましては、この金トラ協が中心的な活動をすると。実務的な相互の調整とか連携については、今般新たにできた連絡協議会で行われると。連絡協議会の活動については、先ほどご紹介がありましたように、ここにもご報告をいただくということになりますし、こちらで審議した結果については先般の金融ADR制度の創設がそうであったように、金融審のご議論にも反映をしていただくと。一応そういう相互の関係をとりながら、役割分担を図っているということだとは思いますけれども。ただ高橋委員の思いは、いろいろな会議体が乱立して、必ずしも実効的な対応がとられていないのではないかと。そういうことにならないような運用を図ってはいきたいとは考えておるわけですが。ぜひ高橋委員にもそのチェックをしていただきながら、そうならないようにと。

どうぞ、犬飼委員。

○犬飼委員

私からは単なる参考意見ということでございます。まず、今の「金融ADR連絡協議会」でございますけれども、金融ADR制度のフォローアップに関する会議におきまして、この「金融ADR連絡協議会」をぜひお作りくださいというお願いをして、その言い出しっぺの本人といたしましては、作っていただいて本当にありがたかったなと思っております。まずは小さい一歩かもしれませんけれども、将来にわたる前進につながるようにぜひなっていただきたいなと思っています。

それと全然違う観点からのお話で大変申し訳ないんですけれども、実は私今日6時に着く羽田の便でカンボジアのプノンペンから戻ってきました。1週間行ってきたんですが、これは当地の金融資本市場の法規制整備に関する支援業務ということで、アジア開発銀行の関連で行ってきたんですが、同じような仕事をほかの東南アジアについても実はやっておりまして、そういうところの金融庁に相当する方々等々、お役所の方々等といろいろとお話をいたしますと、やっぱり日本の金融ADR制度についての関心が極めて高いということが行く場所、行く場所でよく分かるわけです。具体的に一番すごく勉強しているのは、皆さんもご承知と思いますけれども、中国でございまして、特にCSRC、証券管理監督委員会並びに裁判所、大学の研究者等々、もう大変細かいところまで研究をしていただいて。早稲田でこの間合同の研究会等も実はやったんですが、中国以外にも台湾も大変に頑張っていると。そのほか、実は制度的に大変遅れている国々もたくさんあるんですが、その中でインドネシアもそうなんですけれども、金融ADR制度が日本でどうなっているんだということを大変に、すごく熱心に聞きたいという要望がたくさんございます。私も早稲田の研究者でございますので、できる範囲でもちろんやりつつはあるんですが、特に金融ADR法ができた後、そして、今般の提言が出まして、そして「金融ADR連絡協議会」が一応できたと。そして具体的にどういう状況になっているかというところまで、できれば簡易的なというか、サマリーの部分だけでも対外的な発信みたいなものもしていけるといいかなと思っているわけです。ただ、先ほど瀧下委員から英語でみたいなお話がありましたけれども、まずは日本語でやるのが一番大事で、英語は二の次、三の次ということになりかねないと思いますが、お金もかかる話でもありますし、業務量も誰かが負担してやらなければならないということにもなるわけですから、その辺は将来の課題ということでご検討いただけたらありがたいかなと思っています。

それで、1つだけ最後にお聞きしたかったのは、「金融ADR連絡協議会」の英文名称を教えていただけるとありがたい。以上です。

○山本座長

これは金融庁にお聞きするのがいいですかね。お願いします。

○橋本室長

すみません。英文名称につきましては、検討させていただきます。

○犬飼委員

申し訳ないです。

○山本座長

大変貴重なご指摘で、ぜひそういう国際的な発信についても考えていただければと思います。

ほかにいかがでしょうか。これでよろしゅうございますか。

それでは、本日の議題は以上ですが、特にもしご発言等があればお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

それでは、本日はこれまでとしたいと思います。次回、第46回の協議会につきましては、今年度上半期の業務実施状況等を主たるテーマとして、本年12月頃を予定しておりますが、詳細は追って事務局からご連絡したいと思います。

それでは、本日の協議会はこれで終了したいと思います。大変有意義なご議論ができたのではないかと思います。皆様、大変お忙しい中、ご出席をいただき、どうもありがとうございました。

(以上)

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課金融トラブル解決制度推進室(内線3528)

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