第47回金融トラブル連絡調整協議会 議事録

1.日時:

平成26年5月29日(木曜日)15時00分~17時10分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○山本座長

皆さん、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから第47回金融トラブル連絡調整協議会を開催いたします。本日はご多忙のところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

まず、事務局から人事異動等に伴う委員の交代のご紹介と資料の確認についてお願いいたします。

○赤平管理官

今回から本協議会の事務局を務めさせていただきます金融庁総務企画局企画課金融トラブル解決制度推進室で管理官をさせていただいております赤平と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

早速でございますが、交代があった委員の方の所属団体とお名前のみご紹介いたします。

日本少額短期保険協会少額短期ほけん相談室室長、五十嵐様。

全国信用金庫協会業務管理部長、渡邉様。

経済産業省経済産業政策局産業資金課課長補佐、岩佐様。

厚生労働省労働基準局勤労者生活課労働金庫業務室室長補佐、佐藤様。

国土交通省土地・建設産業局不動産市場整備課不動産投資市場整備室長、久保田様。

農林水産省経営局金融調整課組合金融指導官、安田様でございます。

また、国民生活センターにおかれましては丹野様。

日本損害保険協会におかれましては北川様。

消費者庁地方協力課におかれましては元島様。

総務省情報流通行政局郵政行政部貯金保険課におかれましては高盛様。

金融庁監督局総務課においては金澤が、本日は代理出席しております。

人事異動に伴う委員のご紹介は以上です。

続けて、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の資料をご覧下さい。まず議事次第、それから委員名簿、配席図、それから説明資料としまして、資料1-1「指定紛争解決機関の苦情処理手続実施状況」、資料1-2「指定紛争解決機関の紛争解決手続実施状況」、資料1-3「指定紛争解決機関の紛争解決等業務実施状況」、これはグラフでございます。それから、資料2というのがA3横の2枚紙で「相談員の研修及び紛争解決委員の情報共有等の状況」でございます。それから、資料3-1、3-2、3-3につきまして、まずは「『金融サービス利用者相談室』における相談件数の推移」、これはA4横の1枚紙でございます。それから、「『金融サービス利用者相談室』における相談等の受付状況等」、これはA4縦のホチキスどめの資料でございます。また、資料3-3が「『事前相談(予防的なガイド)』の開設について」というA4縦の1枚紙でございます。資料4というのが「第3回『金融ADR連絡協議会』について」の議事次第で、A4縦の1枚紙でございます。お手元の資料に不足がある方は今おっしゃって下さい。よろしいでしょうか。

以上です。

○山本座長

それでは、本日の議事に入りたいと思います。

議事次第をご覧いただきますと、本日の議題は大きく4つということになります。まず、平成25年度における各指定紛争解決機関の業務実施状況につきまして、事務局のほうからご説明をいただきたいと思います。次いで、公正かつ適確な紛争解決等業務の遂行のための各指定紛争解決機関の相談員の研修及び紛争解決委員の情報共有等の状況につきまして、これも事務局と、それから各指定紛争解決機関からご説明をいただきたいと思います。その後、「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等につきまして、金融庁金融サービス利用者相談室からご説明をいただきたいと思います。最後に、「第3回金融ADR連絡協議会」の概要報告につきまして、事務局からご報告をいただきます。各委員の皆様のご質問、ご意見等につきましては、それぞれの説明が行われた後にお受けしたいというふうに思っております。

それでは、まず最初の議題でありますが、平成25年度における各指定紛争解決機関の業務実施状況につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

○赤平管理官

それでは、平成25年度における指定紛争解決機関の業務実施状況についてご説明いたします。なお、本日お配りしております資料の計数につきましては、各機関の方々に算出していただきました速報値でございますが、今後、計数の精査により修正があり得ることをお含みおきいただきたいと存じます。

お手元の資料1-1、1-2、1-3というのが各機関の業務実施状況がまとめられておりますが、説明に当たりましては、グラフで分かりやすく表しました資料1-3「指定紛争解決機関の紛争解決等業務実施状況」というA4横の資料を使用させていただきたいと存じます。右下の隅にページ番号を付しておりますので、そちらのページ番号に沿ってご説明いたします。

まず1ページ、「苦情処理手続受付件数の推移(22年度~25年度)」でございます。平成22年度から4年間の推移を示しております。なお、指定紛争解決機関が業務を開始したのが22年10月以降ですので、22年度の件数のうち年度前半は指定紛争解決機関としての指定を受ける前の受付件数を加えております。紛争解決手続についても同様です。

22年度に5,373件だった苦情の申立てが23年度は7,093件、前年度に比べて32%増加し、その後、24年度では6,474件、前年度に比べ9%減少、25年度につきましては5,666件、前年度に比べて12%の減少となっております。棒グラフの中に機関別の件数と増減率を示しております。25年度における機関別の内訳では、損保協会、全銀協の割合が比較的大きくなっており、また、前年度と比較すると、少額短期保険協会を除く7機関では苦情処理手続の受付が減少しております。

続きまして2ページでございます。「紛争解決手続受付件数の推移(22年度~25年度)」でございます。22年度においては837件でございましたが、23年度は1,981件、137%と大きく増加いたしました。その後、24年度は1,625件、前年度に比べ18%減少、25年度は1,021件、37%の減少となり、苦情処理手続の受付件数と同様に減少傾向が続いております。機関別では、24年度までは全銀協の件数が最も多かったのですが、25年度には損保協会が8機関の中で最も多い件数となっております。しかしながら、損保協会は24年度の416件から25年度は409件でございまして、ほぼ横ばいでございます。一方、全銀協は805件から247件、大幅な減少となっており、その多くが為替デリバティブや証券業務に係る件数が減少していると聞いております。また、生保協会も損保協会と同様に208件から202件へ減少しているもののほぼ横ばい。FINMACでは161件から116件となり、比較的減少率が大きくなっております。

こうした計数の推移の背景といたしましては、22年10月の業務開始以降、利用者に金融ADRの周知が進んだことや、23年度は円高・株安等により運用環境が芳しくなく、リスク商品に想定以上の損失が生じたこと等から、苦情処理手続・紛争解決手続の受付件数は大きく増加いたしましたが、24年度から25年度にかけてはアベノミクス効果から円安の進行、株価の上昇などによりリスク商品の運用環境が改善したこと等に伴いまして、リスク商品を扱う業態に係る機関、例えばFINMACでありますとか全銀協では紛争解決の申立てが減少してきたのではないかと思われます。その一方で、損害保険や生命保険に係る苦情・紛争では、景気とは直接関係しない内容、例えば自動車事故でありますとか医療保険等の支払い等といった内容もございますことから、申立てが横ばいとなっているのではないかと思われます。

続きまして3ページでございます。「苦情処理手続・紛争解決手続終結件数の比較」です。各機関がどれだけ苦情・紛争案件を処理したかという件数です。24年度と25年度を比較しております。左側の苦情処理手続の終結件数については24年度と比べ11%減少しております。右側の紛争解決手続の終結件数については24年度と比べ36%減少しております。これは、前のページでもご説明したように、苦情・紛争の申立てが減少傾向にあることからと思われます。

なお、このグラフには特に表示はございませんが、紛争解決手続が終了まで至っていない事案の件数としまして、「前期の未済件数」というものがございますが、24年度末の「前期の未済件数」は591件でございましたが、25年度末の「当期の未済件数」は385件ということで35%減少と大きく減少しておりまして、紛争事案の処理は進んでいるものと思われます。

続きまして4ページでございます。「苦情処理手続における結果の比較 終了事由別」でございます。右側の25年度の円グラフをご覧いただきたいと存じます。苦情処理手続の終結件数5,763件のうち、解決した案件が4,078件、全体の71%でございます。苦情から紛争解決手続に移行した案件が721件、全体の12%、不調が452件、全体の8%となっております。24年度と比べますと解決の割合が8ポイント増加し、ほぼその分、移行の割合が減少しています。

続いて5ページでございます。「紛争解決手続における結果の比較 終了事由別」でございます。こちらも右側の25年度の円グラフをご覧いただきたいと思います。終結件数合計1,227件のうち、「和解」と「特別調停案」の提示を合わせた「和解成立」の件数は542件でありまして、全体の44%となっております。他方、「見込みなし」が587件でありまして、全体の48%となっております。24年度と比べまして、「和解成立」の割合が5ポイント減少となっております。

機関別では、8ページの「指定機関別の和解状況(24年度と25年度)」を見ていただきますと、全銀協の「和解成立」割合が低下しているところですが、他の機関につきましては割合は横ばい、もしくは増加ということでございます。ただし、各機関の業務の特性や取扱商品やサービス、トラブルの内容の相違等によって和解割合に差が生じるものであり、前年と比較した和解割合の増減についても同様に、取扱商品、サービスでありますとか割合算出の母数の大小の変遷等によっても変動するものとなっております。

続きまして6ページでございます。「苦情処理手続における結果の比較 終結期間別」でございます。前年度と2年間を比べておりますが、申立てから終結まで、いずれの年度もその7割超が3カ月未満での終結となってございます。

続いて7ページでございます。「紛争解決手続における結果の比較 終結期間別」です。申立てから6カ月未満での終結割合は、24年度が76%、25年度は73%となっておりまして、若干の減少となっておりますが、4分の3程度が6カ月未満で終結している傾向になっているということは変わってございません。終結期間6カ月以上の割合につきましては、24年度が24%から25年度が27%ということで増加をいたしております。このグラフの中では表してはおりませんが、機関別で言いますと、損保協会、あるいは全銀協のその割合が前年度と比べて増加しているようでございます。この理由としましては、事案が複雑化して、調査会社に調査を依頼する件数が増加しているものがあったといったことでありますとか、事情聴取の回数を増やしたといったことに要因があると聞いてございます。

簡単ではございますが、説明は以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

事務局のほうから各指定紛争解決機関の業務実施状況の全体についてのご説明がございましたが、もし各機関において追加的にご説明いただける話がありましたら、ご発言をいただきたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ、渡邉さん。

○渡邉(俊)委員

全銀協の渡邉です。よろしくお願いいたします。

先ほど金融庁さんからご説明いただいた点で、若干、幾つか補足説明をさせていただきたいと思います。

まず1点目ですが、25年度のあっせんの申立件数は激減しました。申立件数が減少した内訳ですが、先ほどご説明があった部分もありますけれども、為替デリバティブの申立件数が約400件減少しております。それから投資信託が約100件、保険が約30件と、主にリスク性商品の申立件数が減少しました。

2点目は、和解率が若干低下しているという点です。これは和解率が高かった為替デリバティブの申立件数が低下しているということが一番の要因です。なお、為替デリバティブを除いた通常事案の和解率は約50%前後で推移しております。

それからもう1点、紛争解決手続の所要期間が6カ月以上の件数が若干高くなっている理由ですが、最近の特徴として、先ほど金融庁さんからご説明がありましたが、2回目の事情聴取を設定していること。それから、あっせん案応諾後に和解契約に至るまでに若干時間がかかっているということです。これは、申立人が相場動向を見て解約をする時期を決めているところがあり、すなわち熟慮期間が長期化しているため、6カ月超になっています。いずれにせよ1年以上の超長期というケースは殆ど存在しておりません。

全銀協からは以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。北川委員、どうぞ。

○北川委員

損保協会、北川でございます。よろしくお願いいたします。

私どもも6カ月超の事案が多くなっております。これは先ほど金融庁さんからご説明がありましたが、私どもといたしましては解決のために丁寧に手続を進めており、そのために時間がかかっていると考えております。実際、紛争解決手続の事案について審査会に付議する回数が増えております。例えば、申立書、答弁書、反論書のやりとりだけでは完結できない場合に、再答弁書を求めたりという案件が増えております。

また、先ほども専門家の意見というご説明がございました。例えば、もともと病気を持たれていた方が事故に遭われたというような案件で専門家の意見を求めて、それから審議をするといった案件も実際に増えております。そういったことで6カ月超の事案が若干増えている状況にございます。

その他、私どもの紛争解決件数は近年増加傾向であり、審査会で一度に審議する案件が非常に多くなってきていることも要因の一つと考えております。このため6月に大阪の審査会を1つ増やすことにしており、所要期間の短縮に今後つなげたいと考えております。

以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかにはございますでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、ここまでのご説明につきまして各委員の皆様からご質問、ご意見等がございましたら、ご自由にお出しいただければと思います。いかがでしょうか。全般的には為替デリバティブ等あるいは投資環境の変化によって件数はやや減少ぎみであるというところかと思いますが、それの影響が幾つかのところに、解決率とか、あるいは審理期間とかにその影響が出ているというようなところ。あるいは、審理について従来に比べて丁寧な取り扱い等もなされていて、期間が若干長くなっているようなところもあるというようなところであったかと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ、高橋委員。

○高橋委員

為替デリバティブ、いわゆる通貨オプションのところが落ちついてきて、もろもろ減少しているとか、そこで結構和解が成立していたものが、そもそも申立てがないから和解が減少したということ、銀行協会さんのご説明については、そこのところまでは理解できます。ただ、最近、例えば銀行協会さんに高齢者がご相談に行ったと。それがはっきり言うと門前払いのような形で、「やっても無駄ですよ」とか、「じゃあ裁判に行きます」と言うと「裁判やっても無駄ですよ」というふうに言われたという話がちょっと耳に入っているのが気になります。

それと、国民生活センターのADRでは、この間出た報告書では金融関係が23%で非常に多いですけれども、国民生活センターのほうでやりたかったのに、銀行さんのほうが、やはり銀行の問題は全銀協のほうでやってくださいということで受けてもらえないケースがあったという話も耳に入っているんですけれども、これはどういうふうに解釈したらよろしいんでしょうか。

○山本座長

どうぞ、渡邉さん。

○渡邉(俊)委員

まず1点目の高齢者の案件について門前払いをしているという点は、ちょっと想像がつきません。通常、高齢者のケース、ましてや理解力が若干不足している方の申立てについては、私どもとしては丁寧に受け入れているつもりですので、どういったところでそういったお話があったのか。私どもとしてはそういったことはないと思っていますが、もしそういった個別の事案として問題があるケースがあれば、ぜひご連絡いただければと思います。

それから、国民生活センターへの申立てを銀行が受けてもらえなかったということですが、銀行には、金融ADRに対して手続きの応諾義務がありますので、一義的にはまず金融ADRを案内するというのが自然な流れなのかなというふうに思っています。したがって、国民生活センターさんへの申立てをする道を排除しているということはあり得ないと考えています。いずれにせよ、申立人さんのご意向に沿って対応していくということだと思います。

○山本座長

どうぞ、丹野さん。

○丹野委員

国民生活センターのADRに銀行もしくは生命保険会社、損害保険会社、証券会社などに対する申立てがあるというのは、現実にたくさん扱ってございます。当の相手方になる銀行なり証券会社なり保険会社が、国センADRではなくて、金融ADRに行きたいという意向を示されたケースは当初の頃ありました。今6年目になるんですけど最近ではそういうことは皆無でございまして、申出人が国センADRに申し出をされた場合には、私どもの事務局から「申し出がありましたから受けてください」と当該の事業者さんにお願いをしますし、事業者さんのほうでも快くお受けいただいていると思っております。

○山本座長

どうぞ、高橋さん。

○高橋委員

個別の最近耳にした案件なので、いつのどこの何のというところまでははっきりしてないんですけれども、そういうことがあったということです。全銀協さんに話が集中して申しわけないんですけれども、今、非常に件数が減っているので、落ちついて丁寧にご対応ができる状況にあると思います。先ほど申し上げたような不満が私のような第三者に、大学の先生とかを通して流れてくるのではなくて、そういう取扱をされたときにご本人が全国銀行協会さんにそういう苦情を申し立てられるというふうな仕組みはあるんでしょうか。

○渡邉(俊)委員

相談員に対する苦情とか、あっせん委員会のあっせん委員に対する苦情への対応というのは、私どもでは非常に重視しておりまして、相談室とは別の部署のコンプライアンス室というところが統括して管理をしております。したがって、相談員が相談者に対して何かそういった問題がある回答をしたとか、あるいはあっせん委員に対しての不満があるとか、そういったご意見があれば、コンプライアンスでチェックし、モニタリングをするという機能を担っておりますので、ぜひ申出ていただければと思っております。いずれにせよ、高齢者のあっせん申立てにおいて、高齢者だというところでの排除というのは基本的には考えにくいですし、実際に申立てがあれば丁寧に対応し、「申立書がなかなか書けないよ」ということであれば、しっかりとサポートはさせていただいているというのが現状でございますので、もし何かそういったご意見があれば、ぜひ私どものコンプライアンス室に問い合わせていただければ対応させていただきます。

○高橋委員

ありがとうございます。全銀協さんに限らず、ADRの信頼性を確保していくために、やはり公平・公正な取り扱いをしているということも十分にPRしていただいて、何かご不審な点があれば受け付けていますというふうなことも広くお出しいただけたらと思います。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、ほかに。どうぞ、神作先生。

○神作委員

私も全銀協さんに、統計の数字が大きく変わっているので、その点にも関連して、お尋ねしたいことがあります。為替デリバティブ関係の紛争で和解率が高かったとご説明いただきました。それ以外の紛争類型では、あまり和解率に変化がないということですけれども、為替デリバティブの紛争類型について和解率が高かった理由について、何か為替デリバティブ関係の紛争類型に高い和解率をもたらす構造的な要因ですとか、特殊性があるのか、和解率が高い理由についてどのような分析をなされておられるか教えていただければと思います。

○渡邉(俊)委員

為替デリバティブの申立ては法人ですので、申立ての段階で論点が明確になっています。適合性の原則、説明義務の問題について、それぞれ論点が整理され、双方に一定程度の落ち度があるといったところを認めて解決に至っているというところです。

一方、一般事案に関しては、説明義務のところで「言った、言わない」というところが争点になり、申立人が高い損失負担の割合を求める傾向がどうしてもあります。例えば、「ADRだから折半だろう」とか「10割補償してもらわなければ和解はできない」とか、そういった主張がかなり強い方もおられる中で、双方歩み寄りができるものが結果として大体5割になると、そういった事情があるというところでございます。

○神作委員

ありがとうございました。

○山本座長

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、唯根さん。

○唯根委員

各機関に伺いたいんですが、毎回これもお尋ねしていて申しわけないのですが、「見込みなし」の割合というか、件数が結構あると思うのですが、こういう事案の方々は、どこへというか、どこかご紹介先とかを、何かアドバイスなさっていただいたりするのでしょうか。

○山本座長

これは各機関いかがでしょうか。もし何かお答えいただけるのであれば。どうぞ、渡邉さん。

○渡邉(俊)委員

この「見込みなし」には2つあり、1つは、あっせん手続きになじまない事案というのがあります。例えば20年ぐらい前の払い出しについて争うとか、あるいはATM払い出し時の現金の過不足とか、そういった詳細な事実認定が必要なものについてはなかなかADRで解決することができないものがあり、こういったものについては裁判のほうがいいだろうというところがあります。

そのほかでは、「打切り」というのがありまして、先ほどお話しさせていただきましたが、どうしても和解において高い損失負担割合を求めていらっしゃる方で、なかなか歩み寄りができず「打切り」になってしまうという事案です。こうした事案につきましては、ADRでは解決できなかったということになりますが、その後どのように対応されるかというのは、申立人さんがご判断するということだと思います。

○山本座長

ほかの機関でもし何か追加的にご説明を。どうぞ、酒巻委員。

○酒巻委員

生保協会、酒巻です。当方も結構大きな数字が出ておりますので、内訳を少しご説明させていただきます。まず、当方では、前提として裁定型の手続を採用しており、あっせん型の手続とは異なり、申立てを認める合理的な根拠があるかどうかを判断して、あれば認める、なければ認めないというのが基本のやり方となります。そういう中で、ここで「見込みなし」に入っておりますのは、まず裁判でいう棄却、申立ては認められない、それが多いのですが、それに加え、何十年も前の事案ですとか、あるいは詳細な事実認定が求められる事案で、ADRとしては対応できないものがあり、そういうものは「打ち切り」とさせていただいております。また、一部、要件を満たしていない等の理由で不受理にするものも含まれておりますし、和解案を提示したにもかかわらず、申立人が「この和解案では納得できない」ということで不調となる、それらもここに含めております。

○山本座長

その不調になった後の対応みたいなことは何かされているのかということですが。

○酒巻委員

結論として裁定書に、文書にしまして、それを申立人の方にお送りしますけれども、あとは、それ以上の対応は特にございません。

○山本座長

あと、もしよろしければ、損保協会のほうも少し件数が多いのでお願いできればと思います。

○北川委員

損保協会でございます。私どもも見込みなしという案件が非常に多くなっています。こちらにつきましては、保険金の支払い対象の事故そのものがあったのかなかったのかというもの、この盗難はあったのかなかったのか、そういった事実関係を争うものが非常に多くあります。こちらについては、最終的に事故があったかなかったか、判断するというのは民間のADR機関では非常に難しいということです。そもそも、お互いが歩み寄って、あったとか、なかったことにしましょうかというわけにもいかない部分もございます。ということで、最終的にはそういったものについてはほとんどがこういった形で見込みなしということで、終了ということになるケースが多いというふうに承知しております。終了後は特段の対応は行っていないため分かりかねますが、基本的には裁判ではっきりさせるしかないのかなと思います。

○山本座長

唯根さん、いかがですか。

○唯根委員

では、済みません。ちょっと今の回答に関して、今の3機関のお話を伺わせていただきますと、通常、この紛争解決手続に行く前に、最初にご相談や何かに機関の窓口に入っていって、そこである程度精査された上でADRにつなげるということではなくて、もうお申出者というか、ご相談者が希望したら全部受け付けてしまうという感覚でしょうか。

それと、生保協会さんのご説明を伺いますと、こちらの円グラフの5ページで、不応諾とか、それからほかの和解案を提案したけれども応じないというのは別の項目になっていると思ったのですが、先ほど一部「和解案では納得できない」案件も含まれるというふうに聞こえたので、確認したいのですが。この辺の分類の仕方が違うんでしょうか。

○山本座長

いかがでしょうか。

○酒巻委員

まず、不応諾のほうなんですけれども。

○山本座長

不応諾というのは、会社自体がその手続に応じないということですので。

○酒巻委員

そうですね。

○山本座長

金融機関ではあり得ない。本来、法律からしてもあり得ない話だということですよね。

○酒巻委員

手続の不応諾という事例は当方にはございません。

○唯根委員

手続はして提案はしたけれども応じないというと「見込みなし」になると先ほどのご説明にあったかと。

○酒巻委員

まず、最初のご質問に関して、当方における一連の手続について、ご説明をさせていただきますと、まず、苦情処理手続ですが、当方で受け付けている苦情の申し出件数自体は、例えば昨年度で言いますと約5,500件ございます。そのうち、苦情処理手続を行うものが377件ということで、それ以外はどうなっているかというと、当方でご説明をして納得いただいたもの、ご意見として拝聴する以外対応のしようがないもの、申出人にアドバイスを差し上げて「保険会社にこういう形でもう一度申し入れをしてください」とするものがございます。一旦、会社の方と交渉してもらうようにしたものについては、そこで解決すれば終了となりますが、やはり解決ではなかった、納得できない、ということであれば、そこで初めて苦情処理手続を行うことになります。苦情処理手続を行う場合、当方から会社に書面で解決依頼を行い、解決に向け努力をいたしますが、それでもどうしても解決できない場合に、紛争解決手続に移行することになります。そういう手続を踏んで、最終的に裁定審査会が申立人の請求を認めるか、認めないかを判断する、認める合理的な理由があれば和解提案を行う、概要、このような手続になっております。

○唯根委員

そうすると、消費者の方の希望がある意味非常に強い方で対応できないケースが「見込みなし」という理解でよろしいですか。

○酒巻委員

多くは、そういうことになるかと思います。

○唯根委員

はい、ありがとうございました。

○山本座長

よろしいでしょうか。

それでは、もしほかにございませんようでしたら、次の議題に移りたいと思います。次は、公正かつ適確な紛争解決等業務の遂行のための各指定紛争解決機関の相談員の研修及び紛争解決委員の情報共有等の状況ということであります。

指定紛争解決機関においては、まずは相談員が電話相談窓口などにおいて利用者の相談の趣旨を酌み取り、適切に対応を進めるため、相談員のスキルアップということは欠かすことのできない点であります。また、紛争解決手続において公正かつ適確な紛争解決手続を実施するためには、紛争解決委員の間で必要となる情報あるいは知識を共有する必要があると考えられます。こういったようなことは全てのADR機関において共通の課題と言うべきものでありますけれども、金融ADRにつきまして、この点、どのような形で現在行われているかということにつきまして、まず事務局と各指定紛争解決機関から、相談員の研修、紛争解決委員の情報共有等の状況につきましてご説明をいただき、その後、まとめて各委員のほうからやはりご質問、ご意見を頂戴できればと思います。

委員の皆様には、この相談員の研修、紛争解決委員の情報共有等の状況につきましては資料2のやや横長のペーパーですが、これにまとめられておりますので、これをご覧いただきながら説明を聞いていただければと思います。

それでは、まず事務局のほうからお願いいたします。

○赤平管理官

それでは、資料2、A3横の2枚紙をご覧いただきたいと思います。「相談員の研修及び紛争解決委員の情報共有等の状況」の資料になります。

金融庁が公表しております「指定紛争解決機関向けの総合的な監督指針」では、職員の監督体制等の意義としまして、「公正かつ適確な紛争解決等業務の遂行のため、研修の実施等による職員の資質の維持・向上が必要である。」といった記載がございます。また、「紛争解決委員においても、公正かつ適確な紛争解決手続を実施するため、他の紛争解決委員との紛争解決等業務に係る情報の共有や金融商品等の知識の習得等が必要である。」といった記載があります。

また、昨年、平成25年3月公表の「『金融ADR制度のフォローアップに関する有識者会議』における議論の取りまとめ」におきましては、指定紛争解決機関の人材育成等に努める必要がある旨の提言もございます。

資料2のほうでは、各機関の相談員への研修及び紛争解決委員の情報共有等の状況について項目ごとに取りまとめたものでございます。この後、各機関からも個別に説明していただきますので、概要のみご説明させていただきます。

資料の左側に項目を挙げております。上半分が「相談員の研修等」について、下半分が「紛争解決委員の情報共有等」について、の項目となります。

上半分、「相談員の研修等」の、1段目に「研修方針、研修計画の策定等」の項目がございます。その項目を見ますと、全銀協、生保協、損保協、少額短期保険協会、貸金業協会では、年次の研修計画などを策定し、相談員の研修を行っております。FINMACでは、実効性・即効性のあるテーマについて月次で研修を実施しており、信託協会や保険オンブズマンでは制度改正等に応じまして、適宜、必要とされる内容の研修等を実施するなど、各機関の規模や特性に応じた研修を実施しております。

「相談員の研修等」の上から2段目、「研修の実施状況1」という項目でございますが、各機関の業態における専門知識についての研修内容をまとめております。研修の内容については、例えば、全銀協や信託協会、保険関連の各指定紛争解決機関では、新商品等に関する研修、FINMACなどではNISAや税制に関する研修などを実施しております。また、それぞれの指定紛争解決機関の業態に応じた制度や実際の相談事例をもとに研修等を実施している機関もございます。

「相談員の研修等」の3段目、「研修の実施状況2」という項目でございますが、応対技能の研修についてまとめております。応対技能に関する研修については、相談窓口の対応拠点が1カ所である信託協会、保険オンブズマン、少額短期保険協会などでは、主に管理職等による日常のOJTによって適宜指導を行っております。他方、相談窓口の拠点が複数存在する機関または相談件数が比較的多い機関である生保協会、損保協会、FINMAC、日本貸金業協会や全銀協では、OJT以外に電話応対技能研修や利用者との対応記録の録音診断研修、外部の調査会社による電話対応の評価などの研修を実施しております。これらの研修の一環として全銀協や損保協会では、相談員の資格取得のために通信教育や研修の受講を実施しております。また、指定紛争解決機関では、そもそも相談員を採用するに当たりまして、消費者相談業務や顧客対応業務の経験を有した人物の採用が多いように聞いてございます。

続きまして、資料の下半分、「紛争解決委員の情報共有等」の項目をご覧ください。一番下から2段目、「紛争解決委員の情報共有、意見交換等」の項目には、紛争解決委員の情報共有等の状況をまとめております。各機関の規模、体制、紛争解決委員の人数はそれぞれ異なることもあり、情報交換や意見交換等の実施方法が異なっております。全銀協や生保協会、損保協会、貸金業協会では、紛争解決委員が参加する会議体を開催し、意見交換、情報共有を実施しております。その他の機関も含め、紛争解決委員を招集し、情報共有する以外にも、紛争解決事案等の紛争解決委員へのフィードバックをメール等によって実施するなど、適宜情報共有が行われております。また、銀行が投信窓販あるいは保険窓販を行うことから、全銀協とFINMAC、あるいは全銀協と生保協会の各機関の紛争解決委員の間におきまして、投信または保険に係る紛争解決手続について意見交換会を実施しております。

最下段、「その他」の項目については、各業態の関連する文献・資料等を紛争解決委員へ提供する機関も多くございます。

説明は以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは引き続き、指定紛争解決機関からもご説明をお願いいたします。なお、大変恐縮ですけれども、時間の関係がございますので、各機関、おおむね二、三分程度をめどとしてご説明をいただければと存じます。

それでは、まず、全国銀行協会、渡邉委員からお願いいたします。

○渡邉(俊)委員

おおよそのご説明はしていただきましたので、若干補足説明したいと思います。

まず、最初の「研修方針、研修計画の策定等」というのは、中期的な研修方針を策定し、毎年度、具体的な研修方法、研修計画を策定しています。具体的には、※のところの3つを重点目標として掲げております。1点目が「電話を中心とした顧客対応・電話対応の質の向上」、2点目が「消費者目線に立った相談員の育成」、3点目が「銀行業務に関連する専門知識の習得・法令遵守の徹底」ということです。

3番目の「専門知識の習得・徹底」ということにつきましては、この下の1のところに掲げてありますが、25年度は22回実施しています。

それから、「消費者目線」というところでは、外部の消費生活コンサルタントの養成講座並びに消費生活専門相談員の養成講座等を受講し、消費者目線に立った相談員の育成に取り組んでいます。さらに、適宜、相談員が外部研修に参加し、その研修内容を全相談員にフィードバックをしています。また、FP技能士や金融窓口サービス技能士、といったものについては通信教育を行っています。

「電話を中心とした顧客対応・電話対応の質の向上」ということにつきましては、実際に顧客対応した内容をOJTによって管理職が適宜指導を実施していくというのが基本です。ただ、やはり基本的な対応という点がありますので、外部講習によるセミナーを受講したり、あるいは相談員の特性に応じた対応、具体的にはクレーム対応研修といったものに取り組んでいます。

「その他」としては、相談室職員間の情報共有を図るために、毎日業務終了後の5時に夕会と称しまして、今日あったさまざまな事案について、相談員間で情報交換をしています。

それから、「紛争解決委員の情報共有等」ですが、紛争解決委員の構成は、弁護士、消費生活専門相談員、協会職員という構成です。

個別事案や紛争解決手続上の検討課題につきましては、あっせん委員間の意見交換会を実施しています。25年度は東京で2回、大阪で1回開催し、各委員は最低1回は参加しています。なお、参加できなかったあっせん委員には、意見交換会の内容をフィードバックしています。さらに、全てのあっせん案と和解契約書を、定期的に全てのあっせん委員にフィードバックしています。それから、先ほどご説明いただきましたが、他の指定紛争解決機関のあっせん委員との意見交換ということも定期的に行っております。FINMACさん、生保協会さんとは、それぞれ銀行窓販の共通商品に対してのあっせん委員のそれぞれの考え方を披露しながら、あっせん案に対する共通認識を持つというような取り組みを行っています。

最後に、「その他(知識の習得等)」ということについては、あっせん委員会があっせん委員として留意すべき事項等を取りまとめた手引書があります。これはあっせん委員会の進め方や確認すべき事項について、基本的なところをまとめたマニュアル書みたいなものを作成して、全あっせん委員に配付しています。それから、内容的なところは、「あっせん委員会の指摘事項」という資料を作成し、各あっせん事例の指摘事項を論点ごとに整理したものを各あっせん委員に配付し、あっせん案の水準観というものを確認し、共有化を図っております。

全銀協は以上であります。

○山本座長

ありがとうございました。

続きまして、信託協会、岡本委員、よろしくお願いします。

○岡本委員

私どもは、「研修方針、研修計画」について策定しておりません。その理由といたしましては、苦情処理手続を行う職員は、信託業務に関する基礎的な知識を有するベテラン、金融機関の出身者であることから、例えば新商品が発売された場合には、その商品概要に係る情報等を共有するということで足りているからです。

また、「研修」につきましても、それ用の研修というのは特に行っておりませんが、法令・制度の改正時ですとか、新商品の発売時、さらに、証券代行業務、不動産業務、受益権の販売業務等の専門的な業務知識の取得につきましては適宜OJTを通じて行なっております。具体的には、実際に受け付けた相談等の報告を速やかに記録し、各相談員にメール配信して確認するようにしております。各相談員はその記録内容等を確認し、不明点等があればその場でディスカッションして、不明点等をなくすような努力をしております。その他に、消費者団体等が実施しておりますセミナー等に積極的に参加し、その記録・資料を部内回覧することにより、一般的な知識の習得に努めております。また、昨年4月より取扱いを開始しました「教育資金贈与信託」に対する問い合わせが多かったことから、文部科学省作成のQ&Aとは別に、実際に私どもで受け付けた質問等をQ&A形式にまとめ、相談員間で共有しているということも行っております。

次の「電話対応等」につきましては、目の前で相談等を受けておりますので、気になった点はその場で適宜指導しております。

「紛争解決委員の情報共有等」につきましては、これは今年度から始めたのですが、あっせん委員会に参加していない委員の方もいらっしゃいますので、あっせんの結果につきましては全てあっせん委員に報告しております。また、あっせん委員会には協会の職員が参加しておりますので、過去に行いましたあっせんの結果等を必要に応じてあっせん委員会の場で説明するようにしております。また、あっせん期間中に事務局が得たお客様からの情報等につきましては適宜担当委員に報告するとともに、必要がある場合には意見交換をさせていただいております。

以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

続きまして、生命保険協会の酒巻委員、よろしくお願いします。

○酒巻委員

まず、「相談員の研修」につきましては、「研修方針」というものを作成しており、これに基づき年度ごとに「研修計画」を作成し、当該計画に基づいて研修を実施しております。研修の頻度は、集合研修の形で開催するものは、東京本部の相談員、それから地方の相談員、それぞれ年2回ないし3回という状況でございます。

研修内容としては、当協会の相談員には基本的に生保会社で顧客対応業務を長年にわたって経験してきた者を採用していることから、電話対応等の研修は行っておらず、苦情処理手続を実施するに当たっての手続規定やマニュアル、利用者アンケートを実施した結果、関係法令・税制・協会の自主ガイドライン・新商品の動向等が研修のテーマとなります。なお、集合研修とは別に、必要な情報については、その都度あるいは情報共有化のために月次で発行している情報提供資料等を活用して、適宜、情報提供・情報の共有化を図っております。また、今年の4月からは、管理職を補佐する役割を担う統括相談員、そういう役割の者を配置し、相談員に対するフォロー体制も強化いたしました。

次に、「紛争解決委員の情報共有」についてですが、当協会の裁定審査会は、部会及び全体会という2段階の審理構造で審理をする形を採用しており、全ての事案が毎月1回、委員全員が出席して開催される全体会に付議されますので、その場での意見交換あるいは情報共有化が大変重要なものになっております。具体的には、全体会では、事案の審議に加え、各部会からの相談事項があればそれについてのやりとり、また、重要論点に関する意見交換・情報交換、さらに、事務局から適宜、金融ADRをめぐる動向等について情報提供を行っております。なお、当方は委員10名という体制でございますので、緊急を要する案件については、メールでの情報提供や意見照会等もできますし、また、必要があれば臨時の全体会という形で委員全員が集まることも困難ではございません。また、全銀協、損保協会、国民生活センターとは、紛争解決委員同士の情報交換会を年に1回開催し、情報の共有化を図っております。

以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

続きまして、日本損害保険協会、北川様、よろしくお願いいたします。

○北川委員

私どもの研修でございますが、「相談員の研修」は主任相談員と相談員ごとに分類をして研修を行っております。全国10カ所に地区センターがございまして、それぞれに担当する主任相談員を配置しております。主任相談員は通常の相談対応は基本的にしませんで、地区の運営管理ですとか本部の報告の取りまとめ等ということで、相談員の中のリーダー役というような役目を担っております。

ということで、「専門知識」の研修につきましては、主任相談員、それから通常の相談員別に研修を行っています。主任相談員向けには、毎月、テレビ会議によって情報の共有等を図っております。それから、年2回、集合研修ということで集まってもらって、その結果を各相談員にさらにフィードバックをしていくということになっております。また、相談員につきましても集合研修を行っておりまして、苦情・相談事例について研修を行っております。

それから、「応対技能(電話応対)」でございますが、こちらにつきましては、まず対応記録テープの診断研修というのをやっております。外部の機関も含めて評価を行って、フィードバックをしています。また、電話応対技能検定、いわゆる「もしもし検定」のほうも、その研修を受けて実際に資格を取るということで、スキルアップを図っております。

また、こういった2層構造にしている関係もございまして、主任相談員のほうは、各相談員の業務が適切に行われているかをモニタリング等を通じて適宜確認をして、指導を行っています。それから、一方の主任相談員がしっかりと均質な対応を行ってくれるように、本部が適宜確認をして、主任相談員に対する指導等を行っているということでございます。

次に、「紛争解決委員の情報共有」の関係でございますが、私どもの紛争解決委員、弁護士の先生、それから消費生活専門相談員の先生、学識経験者ということで、総計51名の先生にお願いをしております。こちらのほうの情報共有につきましては、交通事故に関する紛争、それから交通事故以外の紛争に分かれてそれぞれ全体会議を行って、参考となると思われる事案等についていろいろ議論をしたり意見交換を行ったりということをしております。

また、一番下の「その他」のところでございますが、交通事故に起因する人身傷害に関する医療知識の向上のために、紛争解決委員に医療研修等をご案内して参加していただいております。こちらにつきましては、交通事故による外傷というのはいろいろ特殊なケースがございまして、そういったものについて交通事故のときの頭部の外傷の場合にはこういった影響があると、そういったような専門的な研修等がいろいろございますので、先生方にそういった研修を受けていただいているということでございます。

以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

続きまして、保険オンブズマン、瀧下委員、よろしくお願いします。

○瀧下委員

私ども、規模の小さなADR機関でございますので、自前で相談員を育成するということはできる話ではございませんので、あらかじめその能力の高い人を採用するという方法で対応いたしております。また、相談員2名でございまして、私の目の前で勤務しておりますので、私が常時、話すこと、やることをずっと見聞きしておりますので、不適切な対応等があれば即指導すると。間違ったことを言っていれば、電話をやめさせて、「それ、違っているんじゃないの」というようなことでいろいろ指導するというのが基本でございます。その他、法令等も変わりますし、判例等も変わっていくということで、適宜そういう情報は私のほうから流しますし、外部の研修機関でもそういう事象に対してはセミナー等を開いておりますので、そういうところに派遣して新しい事象に対応できるようにいたしております。

「紛争解決委員」につきましては、情報の共有ということですと、私ども、アドホックというんですけど、事案ごとに3人の調停委員が選ばれて調停委員会を組成するというやり方で、その中身というんですか、人の組み合わせが変わるわけでして、変わると、3人がそれまで経験した事案というのがいろいろ違うということで、過去の事例等は調停委員会の中ではそれぞれ、過去こんなことがあって、こんな対応をしたというような話はやっておりまして、そういう形で情報共有が相当に図られているなというふうには感じております。また、補佐弁護士制度をとっておりまして、調停委員3人のほかに弁護士である補佐弁護士が原則加わっておりますので、ほぼ全件の調停にかかわっておりますので一番情報を持っているということで、いろいろ情報を調停委員に対して提供していただいているということでございます。紛争解決委員は、調停委員の3名のうち1名が消費生活相談員等の方でして、この方々は保険知識というのがあまりないということで、ご本人等もちょっと気にされているということで、特にそういう調停委員に対しては保険情報をこまめに流して、本を差し上げたり、貸してさしあげたり、いろいろして不安のない形で調停に対応していただけるように気を使っているところでございます。

以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

続きまして、日本少額短期保険協会の五十嵐委員、よろしくお願いします。

○五十嵐委員

少額短期保険協会の五十嵐でございます。まず、個々のご説明の前に私どもの状況なんですけれども、前半のほうのお話でも出てまいりましたが、私ども、取り扱い件数が非常に少ない団体でございます。そんな中で、相談員あるいは紛争解決委員についても極めて少人数でやっておりますので、どちらかといいますと、体系的あるいは網羅的な研修をするというよりは、本当に実情に合わせてフレキシブルに対応するというような考え方に基づいて運営をさせていただいております。

そういう前提でお話を聞いていただければと思いますが、「研修」につきましては、毎年、研修計画というものを策定しておりますが、内容については、今申し上げたとおり実情に合わせて柔軟に中身をカリキュラムを組み立てながら進めております。業務知識の習得、商品知識などを中心にしております。

それから、2つ目の「実施状況」のところですが、これも実際の人事異動などのタイミングを踏まえております。25年度で言いますと11月と3月に相談員の入れかえがありましたので、こういったタイミングでの研修を行っております。それから、日常的な打ち合わせの場などでも、ちょっとした機会を捉えて細かい勉強などをさせていただいております。

「応対技能(電話対応等)」につきましては、私を中心にしまして、どちらかといいますとOJTのような形で、ケース・バイ・ケースで対応させていただいております。

「その他」としまして、現在、マニュアルの整備というものを進めております。トークスクリプト的なものも含めまして、マニュアルを整備することで標準化を図っていきたいなというふうに考えております。

それから、「紛争解決委員の情報共有等」についてということでございますが、まずメンバーの構成としましては、弁護士、消費生活専門相談員の方、それから学識経験者と私どもの職員と、こういう構成でございます。

その「情報共有、意見交換」の場ということでございますが、冒頭申し上げましたとおり極めて件数が少ないということもありますので、実際には裁定委員会を開くタイミングあるいは事前の打ち合わせなど、実情に即してそういう機会をうまく捉まえて、情報交換、意見交換、すり合わせの場にさせていただいております。

今後の計画ではありますが、そうは申しましても、裁定委員の方向けのマニュアルなどを整備して、一層の目線合わせができるような形は今検討しておるところでございます。

以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

続きまして、FINMAC、坂井委員、よろしくお願いします。

○坂井委員

FINMACでございます。

まず、「相談員の研修等」につきましてご紹介させていただきます。FINMACでは毎月1回、相談員全員を対象として研修を実施しております。研修のテーマにつきましては、利用者からの相談に迅速かつ適切に対応するため、年間計画というものは策定せず、法令・規則等の改正の動きや相談現場の状況等を踏まえまして、相談員が日々の業務を行うために実効性あるいは即効性のあるテーマを取り上げるようにしております。

研修の講師につきましては、主に紛争解決業務の委託元自主規制機関(日証協など)の担当者を講師として、各機関が所管する自主ルールや制度の改正について説明を受けまして、質疑応答を行って理解を深めるといった研修を行っております。過去の研修テーマにつきましては、資料のところに25年度のテーマを書かせていただいておりますが、例えば主なものとしては、昨年10月、証券会社や金融機関等によるNISA口座の申し込み手続が始まった頃、NISAの手続に関する相談や苦情などが多数寄せられておりましたので、NISAの制度・手続について研修を行いました。また、昨年の12月から日証協では高齢顧客に対する加入ルールの見直しが行われております。こういったものについて日証協から講師をお招きして説明を受けるといった対応をしています。

「応対技能」ですが、電話応対技能につきましては、相談員のスキルアップのために外部講師による研修あるいはDVDを使った研修、また、DVD視聴後にグループミーティングを行うなどの研修を行っております。また、外部の専門家が客観的に電話対応を評価するために電話対応調査というものを実施し、その結果について各相談員に結果をフィードバックするという試みも行っております。

「その他」ですが、FINMACにおきましては、相談員があっせん期日の記録作成を行うなど、あっせん委員を補佐するという役割も担っておりますので、あっせん委員との連携及び情報共有を図るため、あっせん委員との意見交換会というものも実施しています。また、相談員があっせん委員を適切に補佐するため、「あっせん手続事務処理要領」というものを作成し、相談員に配付しているところでございます。

次に、「紛争解決委員の情報共有等」についてご紹介させていただきます。

まず、FINMACの「紛争解決委員の構成等」でございますが、あっせん委員は全員で38名で、全て弁護士でございます。

「紛争解決委員の情報共有、意見交換等」につきましては、まず、全てのあっせん委員が参加するあっせん委員懇談会というものを年1回開催し、あっせん事例の研究を行っております。また、先ほど全国銀行協会さんからもご紹介がありましたが、全国銀行協会のあっせん委員の方と当センターのあっせん委員との意見交換会を実施し、当日の資料及び議事要旨を委員全員に回付するということを行っております。また、金融商品取引に関する判例のうち、適合性及び説明義務等に関する判例を「判例要覧」という形で取りまとめを行いまして、あっせん委員に配付をしております。また、ホームページ上に公表している「紛争解決手続事例」も随時回付するという取り組みを行っております。

最後に、「その他(知識の習得等)」でございますが、日本証券業協会等の自主規制機関における規則改正のうち、紛争解決業務の参考となる改正があった場合には、その改正内容について随時あっせん委員宛て周知を行っております。また、毎月、日本証券業協会の会員向けに作成・通知している「あっせん事例集」のうち、紛争の未然防止のために参考となる和解事例を抽出し、これを冊子として取りまとめ、あっせん委員に配付するといった対応も行っているところでございます。

FINMACからは以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、最後になりましたが、日本貸金業協会、八木委員、よろしくお願いいたします。

○八木委員

資料の上のほうから説明をさせていただきますけれども、まず一番上の枠でございますけれども、年間の研修計画を策定いたしまして、これを毎月、実施状況についてトレースをしているということでございます。

2番目の枠でございますけれども、具体的にどんな研修をしているかといいますと、この枠の5行目になりますけれども、相談事例の研究、それから2番目が業法関連の研修、それから3番目のカウンセリング実務研修とありますが、これは多重債務対策を目的としております。それから4番目にクレジットカードと書いてございますが、クレジットカードについてはショッピングの機能、こちらは割賦販売法が所管になりますが、貸金業法の所管になる貸金関係とクレジットカードは一体のものでございますので、特に割賦販売法についての研修に注力しております。

それから、次の枠の「実施状況2」でございますけれども、2行目に書いてございますが、外部調査会社を使いましてミステリーコールということで、電話応対の品質の調査をしております。この結果を受けまして、フィードバックいたしまして相談員のレベルアップを目指しているというところでございます。

それから、下のほうの「紛争解決委員の構成等」でございますけれども、現在、紛争解決委員は弁護士さん3名で構成されておりまして、年間20件弱の事案でございますので、3名で対応が十分できております。通常案件は単独で対応しておりますけれども、必要に応じて3名の合議体で対応するというケースもございます。

次の枠でございますけれども、私どもでは諮問機関的な立場、第三者委員会でございますが、相談・紛争解決委員会というところが上部組織でございまして、この委員会の委員と紛争解決委員の間で意見交換会を行っております。不定期でございます。次でございますが、合議事案については、これまで全体の約22%が合議体で対応しておりますので、その事案を通じて紛争解決委員間で、3名でございますので、情報交換とか意識の共有を図っておるところでございます。

それから、一番下の「知識の習得等」でございますが、弁護士さんが紛争解決委員でございますので、特に知識に関する研修等は行っておりませんけれども、関連の情報については事務局が適宜情報提供を行っているということでございます。

以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、これまでの事務局及び各指定紛争解決機関からの説明につきまして、ご質問、ご意見等があればお出しいただければと思います。どうぞ、お願いします。

○小浦委員

今、研修の中身をいろいろ聞かせていただいて、ほんとうに専門的な知識の習得に力を入れていらっしゃるんだなというふうによくわかりました。それから、電話対応も、技能として研修ですとかいろいろなことをやっていらっしゃるのはわかりましたが、人と接するって、電話対応の基本のキはやはりコミュニケーション力だと思うんですが、そこのところはもう十分できているからここに載っていないのか、もし具体的にそれに関しても何かやっているというような事例がございましたら、あわせて聞かせていただきたいと思いますが。

○山本座長

いかがでしょうか、どの機関でも。何かございましたら。ご質問の趣旨は、コミュニケーション力を養成するような研修ということで、この「応対技能(電話対応)」というところとは少し違ってということでしょうか。

○小浦委員

そうですね。もちろん、技術的に電話で応対をするというのはとても大切な研修だと思うんですけれども、やはりADRに電話をかける人はそれぞれ事情があって、ドキドキしながらですとか、ちょっと頭にきてとか、それから、ちょっとハードルは高いけれども、電話してみようとか、さまざまだと思うんですね。電話の向こうのかけてこられた消費者といいますか、相手方の気持ちも酌み取りながら話を聞かないと、電話のやりとりだけの技術では話がうまく酌み取れないですとか、その先の和解に行くか、それともちょっとこじれてしまうのかとか、そういうところがあるのではないかなというふうに素人ながら考えるんですけれども、そこのところ、もしお考えがあれば。OJTの中で電話対応を聞きながら少し注意をするとかというお話もありましたが、そのあたりで対応の面は済ませているということであれば、それでもいいんですけれども、忙しい研修の中で1時間でも少しそういうところについて、今のところ事例がなさそうなんですが、お考えがあればちょっと聞かせていただきたいなと思いました。

○山本座長

坂井委員、どうぞ。

○坂井委員

この資料の中には過去のテーマが書いてあるのですが、ここに載せていないものとして、平成24年度以前に行った研修テーマとして「カウンセリング」についての研修を行ったことがございます。先ほどおっしゃったとおり、相談者は緊張して初めての電話をかけてくるので、そうした方に対しては「傾聴能力」というものが相談員に求められるので、傾聴能力をつけるためにカウンセラーの方、これは私ども職員のカウンセラーも兼ねているのですが、カウンセラーの先生に来ていただいて、傾聴能力についての講義をしていただき、その後、実際にロールプレイをしながら、いかに相談者の方の話をよく聞いてあげられるかというポイントについての研修を行ったことがございました。このような研修を継続的に行うことができればいいのですが、なかなか継続的に行うのは難しくて、その後は行っておりませんが、過去に1度だけカウンセリングについての研修を行っております。

○小浦委員

はい、わかりました。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかの機関でもし何かコメントがございましたら。よろしゅうございますかね。確かに大変重要なご指摘をいただいたかと思いますが。どうぞ。

○樋山委員

全相協の樋山でございます。全銀協さんのほうの一番左の上の※のところで、「消費者目線に立った相談員の育成」ということがうたわれています。これはまさにADRでは非常に大切な目線だというふうに私どものほうでは感じています。今、小浦委員のほうからも意見がございましたように、初めて、何か自分が契約した商品もよくわからないのに相談しなくちゃいけない、ドキドキもするし、酌み取ってももらいたいというようなところがございますから、いろいろな工夫をして相談員のほうで聞き取りをしなければいけないんだというふうに感じておりますので、この「消費者目線に立った相談員の育成」というようなところ、それから、各相談員の消費者目線についての平準化みたいなところが非常に大切になってくるんだと思います。というのは、ADRをご案内したときに、時々、センターにまた戻ってきてしまう相談者がいらっしゃる。で、もう一度、ADRをご案内し、ほかの相談員が出ると、それを受けてもらえるというような事例も今までに多々ございますので、そこら辺のところ、「消費者目線に立った相談員の育成」というところについて、それぞれの業界さんで何か特別お考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。

○山本座長

ありがとうございました。

いかがでしょうか。どうぞ、瀧下委員。

○瀧下委員

そのとおりなんですけれども、その前の話で、ADR機関は公正・中立じゃなきゃいけないという要請もあるわけですね。それじゃ、「じゃあ消費者目線に立っていいの?」というのがありまして、実は会員会社と話しているときに、「オンブズマンは消費者の肩を持ち過ぎる。公正・中立じゃない」という議論が出てきたんですね。これ、当局とも話をして整理したのは、「ADRにおいては公正・中立じゃなきゃいけないので、消費者目線に立っちゃいけません」と。でも、「苦情とか相談の場合は消費者の立場に立って、どうしたらいいのか、保険会社に何したらいいのか、それは公正・中立じゃなくて、消費者の立場に立ってやっていいんですね」と言ったらば、「結構です」とおっしゃったので、私どもでは職員にそういう指導をいたしております。

○樋山委員

済みません、相談を酌み取るときの目線とジャッジするときの姿勢というのはおのずから違ってきているんだと思うんですが、私が今申し上げたかったのは、相談を一番最初に受け取るときの姿勢についてというところで意見を伺いたいなと思ったものですから、よろしくお願いいたします。

○山本座長

まさに瀧下委員が言われたように、その最初の段階で、インテークする段階においてはやはり消費者の立場に立ってそれを行っていくと、そういうことなんでしょうね。ADRの実際の判断する段階になれば、それは公正・中立でなければならないと。

どうぞ、瀧下さん。

○瀧下委員

さっき申し上げたように、職員は私の目の前で仕事をしているので、ずっと見ていますけれども、立場に立ったというか、お客様からお話を伺うのがすごい難しいことが非常に多いんですね。お客様は素人でもあるし、何をしてほしいかわからないと。「お客さん、何してほしいの?」と言いたくなるぐらい、何してほしいのかわからない、何が起きたのかもわからないということで、その辺は各機関も含めて、一般の消費者の場合についてはかなり辛抱強くいろいろお話を聞いているのではないかなと。そうじゃないとちょっと、ADRというか、相談というのは成り立たないのではないのかなということで、皆さんそれなりに、私どもの相談員も苦労して話を聞き出しておりますし、ほかの機関でも同じようなことが行われているんじゃないかなというふうに推測いたします。

○山本座長

渡邉委員、どうぞ。

○渡邉(俊)委員

まさにそういうことだと思います。相談員は、いろいろな経歴を持っています。例えば銀行業務経験者の場合、業務知識は非常にあるベテランの相談員に対しても、本当の意味での消費者目線に立った話し方ができているのかとか、そういったところは常にウオッチしていかなければいけないと思っています。一方、銀行協会職員プロパーのベテランの相談員についても、消費者がどんなことを言いたいのかということを、まず聞き取るというスタンスはしっかり植えつけられているところもありますが、さらに消費生活センターさんのいろいろな研修等に参加させていただき、少しずつレベルアップを図っていくということはやっていく必要があります。いずれにせよ、消費者目線に立つということは基本中の基本ですので、そういった水準観を全ての相談室の職員が身につけるような形でやっていくということにしています。

○山本座長

ありがとうございました。

○樋山委員

どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願いします。

○山本座長

坂井委員、もしコメントがあれば。

○坂井委員

FINMACの場合ですが、相談員の構成を分けますと大きく3つに分かれます。1つは、自主規制機関出身の職員です。2つ目は、公的機関で相談業務を行っていた相談員で、消費生活相談員の資格を持っているような相談員の方。3つめは、証券会社や銀行などの金融機関出身者。大きく分けて、この3つに分かれます。それぞれの出身によって、各相談員の知識や経験、相談スキルのレベルには差があります。そこで、そういった方々の知識や経験をそれぞれ平準化といいますか、自分の持っていないものを持っている方から受け取ってレベルアップを図るというようなことを目指すために、事務室の形を、座席を固定した形の事務室から、いわゆるフリーアドレスのようなオフィスに変えまして、1週間もしくは2週間をめどに席替えをしています。前後左右の人が替わることによって、それぞれ他の相談員が電話対応をどうしているのかということを肌で感じ、「自分の対応と比べて、この方はここが優れているなというところを実際に自分のものにしていこう」といった取り組みを行っています。そういった形に昨年の12月から変えたところでございます。その効果については今後の課題といいますか、今後見ていこうと思っているところでございます。

以上です。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、ほかに。どうぞ、丹野さん。

○丹野委員

今の点につきまして申し上げたいと思うんですけど、国民生活センターは、全国に消費生活センター等が七百何十カ所あって、相談員が三千何百人いて、そういう各自治体の個々の相談員さんを対象にさまざまな研修を行っています。その研修の一番の基礎は、先ほど樋山さんがおっしゃっていましたけれど、聞く力です。聞く力をどうやってつけるか。消費者はいろんな思いを込めて相談をしてきますが、5W1Hを整理してしゃべる人は少ないです。それをどうやって整理して聞きとるかということが相談員のイロハのイでございまして、そういうことは皆さん重々ご承知の上で多分こういうことをなさっているんだというふうに私は理解をしていますので、今後ともぜひよろしくお願いしたいと思います。

で、済みません、違う話を1つしてもいいですか。

○山本座長

どうぞ。

○丹野委員

済みません。FINMACさんにお尋ねなんですが、紛争解決に弁護士さんが38人おいでになるというふうに伺いましたが、その方たちは単独で手続きをなさるんですか、それとも合同でなさるんですか。

○山本座長

どうぞ、お願いします。

○坂井委員

FINMACは単独制をとっておりますので、弁護士委員が1人であっせん手続を主宰するということになっております。

○丹野委員

それでちょっとお聞きしたいんですが、一応、やっぱり1人弁護士というのは、専門的知見の面からも、それから迅速性の面からも、非常にスムーズに行くんだろうと思うんですが、ほかのADR機関が複数の目であっせんをなさっているのに比べると、複数の目ってやっぱりとても大事なことなので、そこら辺の部分では今後どうなさるのかなと思っていまして、件数も減ってきているところから見ると、ずっと1人でお行きになるのかどうか、そこについてお聞きしたいと思います。

○山本座長

どうぞ。

○坂井委員

やはり委員単独制のメリットとデメリットというのはございます。もちろん、委員会制におけるメリット・デメリットもあるかと思います。そこのトレードオフの関係だとは思いますが、FINMACにつきましてはNPO法人という形で独立した組織になっておりますので、やはりコスト面のことも考えなければいけません。ただ、だからといってやらないということではなくて、合議制についてはもちろん検討しているところでございますが、では、そのコストをどのように賄うのかということや、あるいは利用者の納得感ということからすると、合議制も検討の余地はあるのかなと考えています。ただ、やはり委員の判断基準となるのは判例がまず基本だと思っていまして、法的な判断を最終的にするに当たって、やはり委員は弁護士、弁護士の方を複数にして合議制にするのが適当ではないかなというふうに、これは私個人的な意見でございますが、合議制にするとしても弁護士の複数委員なのではないかなというふうに考えております。

○丹野委員

やっぱりADRに消費者が申し出をするときに期待しているものは柔軟な解決ということもありまして、いろんな目線を交えることでそれが獲得できればと思いますので、よろしくお願いいたします。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、ほかに。石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員

話が戻って恐縮ですが、先ほどの電話のところなんですけど、大変重要なところだと思っております。この苦情の受付件数に比べると、数字が出てないのでわかりませんけれども、おそらくこれの桁違いの数の一般的問い合わせといいますか、一般的相談みたいなのはあるんだと思うんですよ。ADR法をつくるときだったか、モデル案をつくるときだったかは忘れましたけど、一般的問い合わせというのはこれだけ数が多いね、その中に苦情というのがまじっているんじゃないかとかいう観点で、何でこんな数が急に減るんだみたいな観点でちょっと吟味したりして、苦情の定義とかいろいろやって今日に至ったという経緯があるので、毎回というわけにはいかないと思いますけれども、ある程度の時期で一般的問い合わせ、ないし相談というんですかね、それとこの苦情の申し立て件数あっせんというふうに全体をトータルとして見てみたいなという気がいたします。前回出た学資保険の事案の裁判のやつも、説明として個々の事案でどうだったかというのは当事者じゃないのでわかりませんけれども、多分、その辺のニュアンスの問題で、ちょっとここは苦情に行かないで裁判のほうに行ったというか、客観的に説明されたのかもわからないですけれども、積極的に苦情を言うようなタイプの人であれば、これは心配ないんですけれども、おっかなびっくり電話して、客観的な見通し云々が説明があったのかわからないけど、それが、「これじゃとてもじゃないけど、出しても」ということで、もうそこで引っ込んじゃってセンターのほうに行くとかという、そういう流れのものがかなりあるんじゃないかという気がいたしますので、電話のところをもうちょっと重点をというか、一度ちょっと検証をと思います。

○山本座長

ありがとうございました。それでは、ちょっとまた次回以降、その統計的なところがどの程度あれかということを検討いただければと思います。

それでは、そろそろよろしゅうございましょうか。それでは、時間の関係もございますので、次の議題、「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等に入りたいと思いますが、この点につきましては、まず金融庁金融サービス利用者相談室長の熊谷委員のほうからご説明をお願いいたします。

○熊谷委員

金融サービス利用者相談室の熊谷と申します。よろしくお願いいたします。

お手元のほうに、3-1、3-2、3-3という資料を配らせていただきました。本日は、最近の相談等の受付状況についてご説明をさせていただきたいと思います。

なお、相談室は、相談者と金融機関との間の個別トラブルについては、相談内容を聞いた上で他の機関の紹介や論点の整理などのアドバイスは行いますが、あっせん、仲介、調停等は行っておりません。あらかじめご説明させていただきます。

それでは、資料の3-1を見ていただきたいと思います。これは、私ども相談室が、相談実績としまして四半期報告というのを3カ月ごとに公表しております。その件数を並べた表です。過去5年分を並べさせていただきました。

この表の見方ですが、表の左の下のほうに注釈をつけておりますが、投資、預金、保険、貸金、行政ということで線ができております。その説明の一番上に合計として全体の件数を並べております。この中で、投資商品等に関する相談等、預金・融資等に関する相談等、保険商品等に関する相談等、これが主な相談等の3つです。表を見ますと、上のグループと下のグループに分かれており、下のグループとして、貸金等に関する相談等、金融行政・その他に関する相談等となっております。

合計のところを見ていただきたいと思います。最近の状況としましては、ここ3年の23年4月~6月以降で見ますと、合計で概ね9,000件から1万1,000件で推移しております。これは、1日当たり約150から180件となります。また相談員が、3月末で21名おりますので、1人当たり7件から9件の対応をするという状況です。相談等は、10時から17時まで受けており、昼も受け付けております。

相談件数の変動要因としては、個別の案件により件数が増えるということが主な現象となっております。例えば、この中で直近ですが、投資商品等の25年の4月~6月、合計で1万1,220件というところで、ちょっと跳ね上がっていますが、ここの増加要因は、MRIインターナショナルインクなどのファンドに係る相談が主なものとなっております。また、預金・融資等の25年の10月~12月、合計で1万225件となっているところですが、この原因は、みずほ銀行に対する行政処分以降、みずほ銀行に関する相談や他の金融機関も含めたところの不適正な行為に関する相談などが主なものとなっています。

過去の例で見てみますと、預金・融資等のところで、21年10月~12月の合計で1万4,774件というところですが、これは金融円滑化法の施行に伴う相談が増えたところです。また、22年の4月~6月の、合計件数で1万5,215件というところですが、これは貸金業法の完全施行に伴う総量規制等の相談で増えたところです。さらに、23年の1月~3月で合計で1万2,658件のところですが、ここは東日本大震災の関係で預金・融資等と貸金等が増加しているという状況です。

寄せられた相談等につきましては、私どもは、受けた相談等の内容やその対応状況などについてまとめ、金融庁内の関係部局に回付して、金融機関等の検査・監督等の参考として活用しています。

次に、3-2の資料に移っていただきたいと思います。これは私どもが公表しました26年1月から3月の相談等の受付状況等の資料でございます。この内容の主なところをご説明させていただきたいと思います。

2ページの3.の分野別の特徴ということでまとめているところですが、これと併せて8ページに表がありますので、参照していただければと思います。主な件数を預金、保険、投資商品ということでまとめております。

2ページに戻っていただき、特徴として、預金・融資等に関するものにつきまして、要因別、業態別と業務別でお示ししております。特にこの中で要因別で、行政に対する要望等、個別取引・契約の結果に関するもの、金融機関の態勢・各種事務手続きに関するものというのが多く、約7割程度を占める状況となっております。

(2)で、保険商品等に関するものにつきましては、要因別と業態別でお示ししております。この中の要因別で、保険金の支払いに関するものが1,084件と全体の約39%を占めるというのが特徴です。依然として大きな比率を占めている状況になっております。

また次に3ページの(3)の投資商品等に関するものですが、上段の部分において要因別、業態別と商品別でお示ししております。投資ということで、前期と比べますと、全体的に、少し減っている状況です。

また、下段の部分、「また、」以下ですが、この部分は詐欺的な投資勧誘に関するものについて、昨年の7月~9月の報告からまとめたものです。10ページも併せて見ていただきたいと思います。相談の受付件数は833件となっております。これは、投資商品等に関する相談等の約3割を占めるという状況になっており、大きくなっております。833件のうち322件に何らかの被害が見られております。10ページの表ですが、下の表は年齢や年代を教えていただける方について集計したものです。この合計から年齢不明を引いた520件について年代別に示した表になります。内容からは、60代以上の方が453件、相談の約87%を占めるということになっており、高齢者の相談が大部分を占めております。

10ページの集計につきましては、昨年の7月~9月より公表していることを説明しましたが、25年の7月~9月と比較してみますと800件の相談があり、うち230件が何らかの被害があるもの、25年の10月~12月につきましては807件の相談があり、310件が何らかの被害があったものとなっております。今回の26年の1月~3月を比べた場合、件数は増加しているという傾向になっております。

相談実績につきましては以上でございます。

次に、先週23日から相談の受け付けを行っております事前相談の充実についてご説明をさせていただきます。資料3-3になります。

相談室では、従来、金融機関等との個別トラブルに関する相談等や金融行政に関する意見・要望等への対応を主に行ってきましたが、金融サービス利用に伴うトラブルの発生の未然防止などに向け、事前相談、予防的なガイドの提供の充実を図ることとして、5月23日より相談に応じております。事前相談においては、電話等による問い合わせに対しまして一般的な金融商品、これは預金とか株式、投資信託、保険等という大きな枠組みですが、これの契約に当たっての留意点、金融機関破綻時の金融商品の保護、金融商品の特徴及び留意点について、金融庁のウェブサイトの掲載情報を中心に、「知るぽると」、これは金融広報中央委員会というところがございまして、ここで金融に関するウェブサイトを提供しています。また、業界団体等のウェブサイトの掲載情報に基づいて、ガイドします。

なお、導入当初の措置としまして、ウェブサイトへのアクセスが困難な方、あまりパソコンが使いこなせない方についての配慮のために、紹介したウェブサイトの資料について相談者の希望があった場合には、そのコピーを郵送等で情報提供をいたします。

相談室からのご説明は以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、ただいまの熊谷委員からのご説明につきまして、ご質問、ご意見等があればお出しいただければと思います。いかがでしょうか。高橋委員、たしか前回、この件について報告をお願いされたかと思いますが。

○高橋委員

はい。金融サービス利用者相談室の状況のご報告をお願いしました。今回、丁寧にご報告いただきまして、ありがとうございました。

幾つかあるんですが、まず、最後にご説明いただきました資料3-3の事前相談の開設についてです。私は本日初めて知ったのですけれども、一般の方にはどのように周知をされているのか。この1週間の状況がどうなのかということを少し教えていただきたいと思います。

○山本座長

どうぞ。

○熊谷委員

先週始めた段階において、広報室を通しまして新聞各社に始めることをお知らせすると同時に、私どものウェブサイトに掲載しております。また、各業界団体等も関係するものですから、あらかじめ23日から開始するという情報を提供しております。

○高橋委員

マスコミに対してご説明されたということであれば、一般の新聞等で報道されたのでしょうか。どの程度されているのか、参考までに教えてください。

○熊谷委員

特に新聞報道等には載っておりませんでした。本日の会議及び今後も広める機会がありましたら、知っていただくための何らかの方法に努めたいと思っております。

○高橋委員

ご説明ありがとうございます。ただ、この「事前相談」という名前が非常にわかりにくくて、何を相談するのか、何の事前なのかと。トラブルを発生しないような相談ということなので、契約者、消費者の立場に立てば、契約前に確認のためにこういうことも聞いてみたい、ああいうことも聞いてみたいということで、専門の金融庁さんの相談窓口にお電話をしてみるということではないかなというふうに思うのですけど、受付内容に対するお答えというのが一般的なことしかお答えにならないようです。これであると、せっかくお電話かけた方、全国からかけていらした方が、「それだったらもう知っているよ」みたいなお話ばかりで、もっと個別具体的なことが知りたいのではないかと思うのですが、もしそういう相談があった場合はどうなさるんでしょうか。

○熊谷委員

個別の金融商品のご購入などの相談につきましては、実際に取引を行うことを検討している金融機関に直接聞いていただくということになります。金融商品として株式とは何だろう、投資信託についても何だろうと。投資信託もいろいろ内容ありますので、その内容について知りたいというところについては、その投資信託の特徴や留意点等についてお教えするということになります。ウェブサイトの掲載情報についても、金融庁を含めて今充実されておりますので、これを見ていただくことになります。

○高橋委員

希望としては、もう少し実効性の上がることをしていただきたいと思います。各機関にということですが、別表に「詐欺的な投資勧誘に関する情報の受付状況」というのがあるんですけど、どこに相談していいのかわからないものというのが、実際には今、非常に増えております。そういうことへの対応をしていただくというのも利用者相談室の役割ではないかなというふうに思います。相談窓口ができたときのことを振り返ってみますと、資料3-2の1ページのところに少し整理して書かれているんですが、個別の案件のあっせん・仲介は行わないんだけれども、こういう相談を金融行政を行う側としてセンサー機能として使っていくことも役割の中の大きなものだったと思いますし、自主規制等を行う金融ADRなどの組織がないような案件、すき間事案的なものは、金融庁のほうで積極的に捉えて金融行政に生かしていくと、そういう意味が強くあったというふうに思います。そういう意味合いを強くして、消費者・利用者が頼れるような相談室にしていただきたいというのがお願いでございます。

それともう一つ、長くなって恐縮ですけれども、先ほどの「詐欺的な投資勧誘に関する情報の受付状況」の件について、ここには、一括して「詐欺的な投資勧誘」というふうに書かれているんですけれども、さまざまな商品・手法が使われているわけです。ぜひ分析したものを統計として金融行政に役立てていただきたいと思うわけでございます。

先般、クラウドファンディングの法案が通りまして、大衆がインターネットを使ってハイリスクの投資をすることが可能になりました。さまざまな規制緩和によって新たなトラブルが発生したり、あるいは規制緩和を悪用した詐欺的な投資勧誘トラブルは確実にと言うと何ですけれども、増えてくる気配がしているわけです。ですので、金融サービス利用者相談室として、法改正に伴う相談、それに関連したトラブルは特出しをして、今回の「詐欺的投資勧誘」のようにぜひ統計をとっていただきたいと思います。法律改正の内容の周知不足なのか、あるいは規制緩和を悪用したトラブルの増加なのかなど、データを我々が共有してトラブル防止に当たっていくことも大切だと思いますので、ぜひその辺お願いしたいと思います。

○山本座長

ありがとうございました。よろしいでしょうか。

○熊谷委員

それでは、少し説明させていただきます。

○山本座長

どうぞ。

○熊谷委員

詐欺的な投資勧誘に関するものにつきましては、相談室も機会を見まして防止に向けた広報活動に努めております。具体的には、新聞2社から取材を受け、3月と5月に新聞に掲載されております。記事には、「何かあった、何か変だなと思ったときには相談室に相談してほしい。」との趣旨で当相談室の電話番号も載せています。また、相談者が何か不審だなと思ったときに、取引のある金融機関に相談し、当該金融機関から電話番号を聞いて相談室に電話相談されることがあります。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかにこの点についてございますでしょうか。どうぞ。

○中井委員

済みません、法テラスの中井と申しますけれども、今の事前相談と、それから従来からやっている金融サービス利用者相談との関係がよくわからなかったところがあって、お聞きしたかったんですけれども、従来から金融サービスの利用者相談というのは電話番号があって、担当の方がいて、それで受けてこられたと。で、個別のトラブルについての案件を聞いてこられたと。それとは別に、新しい回線で新しい担当を置いて、この事前相談についての新たな窓口を設けられて、こちらについては個別のトラブルの話は扱わないと。個別のトラブルの話が入ったら、「従来の番号にかけてください」と。で、従来の番号に個別の話じゃなくてもし事前相談的な話が入ってきたら、「いや、この事前相談の番号にかけてください」と、そういう形になってくるんでしょうかね。

○熊谷委員

相談者が事前相談と従来のトラブルに関する相談と区別することができず誤った回線に電話をした場合であっても、そのまま受け付け対応することになります。

○山本座長

よろしいでしょうか。それでは、この点につきましてはまた引き続き、場合によって適宜こちらの協議会のほうでもご報告をいただくということにしまして、それでは、最後の議題でございますけれども、「第3回金融ADR連絡協議会」の概要報告ということでありますが、事務局のほうからご報告をお願いいたします。

○赤平管理官

それでは、資料4でございます。A4縦の資料、議事次第だけでございますけれども、ご覧いただきたいと思います。

「金融ADR制度のフォローアップに関する有識者会議」の提言に基づきまして、「金融ADR連絡協議会」を昨年の4月8日に設置しております。当該協議会の概要につきましては、本金トラ協で報告することとしてございます。今回、「第3回金融ADR連絡協議会」について概要をご報告いたします。

本年2月4日に実施いたしました「第3回金融ADR連絡協議会」では、「役職員(相談員)の研修及び紛争解決委員の情報共有等の状況」を議題といたしました。先ほど各機関の方からご説明いただいた内容等の発表がございまして、さらに、質疑応答では、外部の研修の活用等について具体的な内容や実際に使った研修の効果について各機関間で意見交換が交わされまして、今後の活用についての意義のある意見交換であったと考えてございます。

続いて、当日は「外部有識者による提言・諮問機関の設置等による紛争解決等業務の事後的な検証・評価とその改善の状況」について議題としております。これは、「指定紛争解決機関向けの総合的な監督指針」におきまして、「指定紛争解決機関においては、紛争解決等業務の運営に当たり、中立性・公正性を確保し、利用者の手続に対する納得感・信頼感を得られるよう努めることが肝要であり、これらを把握し、紛争解決等業務の改善につなげる取組が求められる。このため、利用者アンケートや外部有識者等による事後的な検証・評価を活用することが重要である。」といった「意義」を記載をしており、「主な着眼点」では「外部有識者による提言・諮問機関を設置するなどにより、紛争解決等業務の運営について事後的な検証・評価を行い、それを踏まえた紛争解決等業務の改善措置を検討しているか。」と記載しております。当日の会議におきましては、各機関における提言・諮問機関の体制や開催頻度、あるいは提言・諮問機関への具体的な報告内容や改善を行った事項等について各機関からご説明があり、主に運用面等について質疑応答や意見交換が行われてございます。

今後とも指定紛争解決機関間の連携強化のために、「金融ADR連絡協議会」を有効に活用してまいりたいと考えております。

説明は以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明につきまして、何かご意見、ご質問等がありますでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、本日用意した議題は以上ですが、この際、特に委員からご発言等があればお願いしたいと思います。どうぞ、犬飼委員。

○犬飼委員

済みません、もう5時を回っておりますので、ほんの一言でございます。一応、私、座長代理を拝命しておりましたので、まず、この場をおかりしまして、皆様に御礼を申し上げたいと存じます。今日のお話を皆様からお聞きした結果、我が国の金融ADRの制度は着実によくなってきているのではないかと感じております。ほんとうにありがとうございます。

今日、いま1つ皆様にお知らせしたいと思いましたのは、我々がかつて金融ADRの制度を日本で立ち上げるに際して大いに参考にしてまいりましたイギリスの金融オンブズマン(FOS)の制度についてです。FOSのホームページから2014年度のアニュアルレポートがとれますので見ていただきたいと思いますが、残念ながら、直近の状況を見てみますと、(1)年間の苦情等の受付件数が何と230万件、1日当たり8,000件もある。ただ、日本の場合ですと、指定紛争解決機関全体で受け付けが7,200件、先ほど石戸谷先生のほうから受け付け全体の数がわからないというお話もありましたけれども、金融庁のほうにも1万件ぐらい来ている。それ以外にも、法テラスでありますとか国民生活センターであるとか、地方自治体の消費生活センター等で受け付けられているものがたくさんあると思いますので、全体がどれだけあるのかよくわかりませんが、かなりの数に上っていることは確かであろうと思います。ただ、イギリスよりははるかに少ないのではないかと思います。(2)それで、その苦情件数のうち20%が正式にディスピュートとして登録されるということですが、なんと、直近で年51万8,000件もある。10年前が7万6,000件ですから、その増加ぶりというのはめちゃくちゃですよね。それで、その78%がペイメント・プロテクション・インシュアランス(PPI)がらみということで、これはもう10年以上前から問題になってきたものです。金融機関がモーゲージすなわち住宅ローン見合いにその何割かを金融資産に投資させて、あたかも確定利回りであるかのような説明を行い、満期になったら住宅ローンの残債も返済しなくてもよいという口車に乗せて、詐欺的なことを何百万というイギリスの人たちにやった、そのツケがいまだに解消されていない、そのことにかかわる紛争が年40万件もあるということです。(3)その他のものでは、パッケージ型銀行口座にかかわる苦情が非常に多くなってきている。アニュアルレポートのなかのケースにも出ていますが、高齢の方々についてもそれに絡んだ問題が存在する。(4)一方で、クレジットカード絡みは減少している。ただ、日本の場合は一部を除いてクレジットカードについてはこちらの対象外ということですので、これは日本とは直接比較できません。次に、(5)投資と保険絡みは過去2年間大体同じ水準であるとはいっても、かなり数としては多い。(6)そして、全てのケースの63%が3大メガ銀行に集中しているということです。(7)それで、FOSは、何と、年間2億2,300万ポンドもそのためのコストを払っている。FOSには、なんと3,526人のスタッフがいるそうです。

これらの数字をざっと見ただけの印象ではありますが、金融ADRの状況は、日本のほうがもしかしたらずっといいのかもしれない。これは、これからもう少し比較検討・研究をしなければいけないと思っておりますけれども、ここ数年の間に、従来我々が学ぶ対象であったイギリスの金融ADR制度自体の状況が、反面教師になった可能性があるということを、一言、今日は申し上げたいなと思いました。

いずれにしても、このような比較検討、比較研究につきましては、これからもきちっと行うことで、我が国のよりよい制度づくりのために生かしていく必要があるのではないかと思っております。

以上です。

○山本座長

犬飼委員、貴重な情報をありがとうございました。引き続きご研究を進められて、都度、この協議会でも情報提供いただければ大変ありがたいと思います。

それでは、本日の協議会はこれで終了したいと思います。私の不手際で時間の延長になってしまいましたことをおわび申し上げます。

次回第48回の協議会につきましては、これは恒例どおりということになるかと思いますが、今年度の上半期の業務実施状況等をテーマとして、本年12月ごろに開催を予定しておりますけれども、詳細につきましては、後日、事務局のほうからご連絡いただきたいと思います。

それでは、本日はこれで終了したいと思います。長時間、有意義なご討論をいただきまして、ありがとうございました。

(以上)

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課金融トラブル解決制度推進室
(内線3528)

サイトマップ

ページの先頭に戻る