第51回金融トラブル連絡調整協議会 議事録

1.日時:

平成28年6月9日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○山本座長

皆さん、おはようございます。それでは、所定の時間になりましたので、ただいまから第51回金融トラブル連絡調整協議会を開催いたしたいと思います。本日はご多忙のところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

まず、事務局から人事異動等に伴う委員の交代についてご紹介をお願いいたします。

○菅井室長

それでは、交代があった委員の方の所属機関・団体とお名前をご紹介いたします。

消費者庁消費者教育・地方協力課長の金子様。

日本司法支援センター第一事業部情報提供課長の土田様。

全国信用組合中央協会しんくみ相談所長、加藤様。

日本商品先物取引協会相談センター長、原田様。

経済産業省経済産業政策局産業資金課課長補佐、湯浅様。

農林水産省経営局金融調整課組合金融指導官、加藤様。

以上、6名の委員の交代がございました。

また、委員の交代はございませんが、本日は、日本損害保険協会、国土交通省におかれましては代理の方がご出席されておられます。

人事異動等に伴う委員のご紹介は以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

本日の議題でございますが、お手元の議事次第をごらんいただきますと、まず、平成27年度における各指定紛争解決機関の業務実施状況につきまして、事務局からご説明を受けたいと思います。それから、議事次第のIVのところですが、本協議会のメンバーである業界団体・自主規制機関等に「指定紛争解決機関がない業態の苦情・紛争解決の対応」について、資料をご用意いただいておりますので、この資料をもとにご説明をお願いしたいと思います。これらの説明が終わったところで1度ご質問、ご意見を頂戴したいと思います。その後、これは毎回ご報告を受けているところですけれども、金融サービス利用者相談室における相談等の受付状況等、また、金融ADR連絡協議会の概要報告につきまして、金融庁金融サービス利用者相談室及び事務局からご説明を受け、ご質問、ご意見をいただきたいと思います。

ここまでこの議事次第ではVIのところですが、ここまででおおむね45分程度を想定しておりますけれども、本日、後半は、石戸谷委員から「金融ADRの当面の主要課題を考えて」というテーマでご説明をいただき、また何人かの委員にご発言をいただくこととしております。

それでは、まず事務局からご説明をお願いしたいと思います。

○菅井室長

それでは、平成27年度の指定紛争解決機関の業務実施状況につきましてご説明をいたします。資料でいきますと1-3というホチキスでとめた資料をごらんいただければと思います。なお、この資料1-3の計数でございますが、各機関のほうで算出いただきました速報値でございます。

まず、1ページ目をお開きいただきたいと存じます。まず、苦情処理手続の状況でございます。これは、苦情処理手続の受付件数の推移でございます。このグラフの一番右が平成27年度の実績でありまして、8機関合計で8,499件となっております。23年度以降、為替デリバティブに関する申し立ての減少などから、全体として減少基調で推移してまいりましたが、27年度では大きく増加しております。各指定機関とも相談者の主張の丁寧な把握、苦情処理手続の案内の徹底等に取り組んでおりますが、特に損保協会、生保協会では、苦情として寄せられた件数そのものは減少したと聞いておりますが、そうした中で苦情処理手続に移行したケースが増加したということでございます。また、FINMAC、証券・金融商品あっせん相談センターにつきましては、27年度中、株価や為替相場に動きがあったことから、年度後半を中心に件数が増加しているとのことでございます。全銀協につきましては、これまで為替デリバティブに関する申し立てが大きく減少してまいりました。この27年度では、為替デリバティブに関する申し立ては収束に向かっているということでありますが、一方で、年度後半に投資信託等の窓販に関する苦情が増加したほか、預金関係では、高齢者の家族が本人に代わって払い出しを行う際の手続に関係した苦情、貸出関係では住宅ローンに関係した苦情なども見られ、全銀協では27年度増加となったとのことでございます。

次の2ページをお願いいたします。これは、苦情処理手続における終結件数の推移でございます。この終結ベースの件数につきましては、ただいまの受付件数の動きを反映したものとなっております。なお、後ほど資料1-1という1枚紙をごらんいただければと存じますが、27年度では受付件数の増加に伴いまして、ただいまの終結件数が8機関合計で増加しておりますが、一方で期末の仕掛中の案件も増加しております。

次の3ページでございます。苦情処理手続の終結件数の推移を全銀協の為替デリバティブ事案を除いたところで見たものでございます。前年度、26年度までは一時的に増減の大きかった為替デリバティブ事案を除きますと安定的に推移してまいりました。27年度では、先ほど申し上げました損保協会、生保協会等の増加から大幅な増加となっております。

次の4ページをお願いいたします。苦情処理手続における結果の比較でございます。左側が26年度の状況でございます。この前年度、26年度を含めまして、これまでおおむね7割が解決ということで推移してきております。今回の27年度は、苦情処理手続の受付件数が増加し、そのため、苦情処理が終結した件数も増加しております。こうした中で、解決割合につきましては78%ということで、若干上昇しているという状況にございます。苦情処理件数が増加しておりますが、内容を見ますと、例えば金融機関側からの連絡や回答が遅いといった苦情など、比較的解決を図りやすいケースも相応に見られると聞いております。

次の5ページをお願いいたします。これは苦情処理手続の終結までに要した期間の比較でございます。左側が前年度、26年度の状況でございますが、この26年度を含めまして、これまで3カ月未満で終結したものが、おおむね全体の7割ということで推移してきております。今回、ただいま申し上げましたように、苦情処理手続の件数が増加している中で、3カ月未満での終結割合は合計で73%ということで、これも若干上昇しているという状況にございます。ただいまご説明しましたように、比較的解決を図りやすいケースが相応に見られるためであると聞いております。

次に6ページをお願いいたします。6ページからは、紛争解決手続の状況でございます。まず、6ページで紛争解決手続の受付件数を示しております。紛争解決手続につきましても、為替デリバティブに関する申し立ての減少に伴いまして、23年度をピークに減少基調で推移してまいりました。今回の27年度は、8機関合計で紛争申し立てが1,148件となっており、直前の26年度と比較しますと8%増加しております。全体として見ますと、苦情処理手続の件数が増加したことに伴いまして、苦情から紛争に移行するものが増加しているという状況でございます。ただし、苦情処理手続の段階で解決するものも多いことなどから、紛争解決手続につきましては、苦情処理手続ほどの件数の増加にはなっておりません。また、全銀協について見ますと件数が減少となっております。為替デリバティブ事案の件数が減少したことや、預金、貸出関係のトラブルの中には、苦情処理手続の中で解決したケースが相応にあるということ、また、投信等の窓販関係の事案につきましては、年度末ではまだ苦情処理手続の途中にあるものも見られることなどから、今年度の紛争解決手続の受付件数としては減少となったと聞いております。

次の7ページでございますが、紛争解決手続における終結件数の推移でございます。24年度をピークとして、タイムラグは見られますが、ただいまの受付件数の推移を反映した動きとなっております。なお、紛争解決手続の件数につきましても、27年度では年度末の仕掛中の案件が8機関合計で増加しているということで、これは資料1-2を後ほどごらんいただければと存じます。

次の8ページでございます。紛争解決手続の終結件数の推移を全銀協の為替デリバティブ事案を除いたところで見たものでございます。前年度、26年度までは、為替デリバティブ事案を除きますと、苦情の場合と同様、ほぼ安定的に推移してまいりました。27年度を見ますと、紛争解決の場合、苦情処理ほどの件数の増加になっていないことや、苦情から紛争への移行のタイムラグなどもありまして、先ほど3ページで見たような、苦情のような大きな動きにはなっていないということでございます。

次の9ページをお願いいたします。これは、紛争解決手続における結果の比較でございます。右側の27年度、今年度で8機関合計で和解成立割合が39%となっており、左側の前年度、26年度の36%と比較しますと3%ポイントの上昇となっております。

次の10ページでございます。紛争解決手続の終結に要した期間の比較でございます。左側の26年度と右側の27年度を比較いたしますと、それぞれ合計でおおむね75%程度が6カ月未満で終結ということでございますので、今年度につきましては、前年度と比較して大きな変化はないということでございます。

最後、11ページでございますが、各指定紛争解決機関別の和解状況を示しております。先ほどご説明したとおり、27年度では8機関全体で和解割合が39%となっておりますが、これを機関別に示しております。生保協会、損保協会などで和解割合が上昇しております。

なお、先ほど一部触れましたが、資料1-1、1-2、これらにつきましては、ただいまご説明したことにつきまして機関別に示したものでございます。時間の都合上、説明は省略させていただきます。

私からの説明は以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、引き続きまして、資料2の「指定紛争解決機関がない業態の苦情・紛争解決の対応」につきましてご説明をお願いいたします。本日は、時間の関係もございますので、全国信用金庫協会、日本商品先物取引協会、日本資金決済業協会からご説明をいただきたいと思います。

なお、大変恐縮ではございますが、時間の関係上、それぞれ5分以内ということでお願いをしたいと思います。

それでは、まず全国信用金庫協会の阿部委員からお願いいたします。

○阿部(吉)委員

全国信用金庫協会の阿部でございます。よろしくお願いいたします。

資料2でございます。2枚おめくりいただければと思います。右下にページ番号1と振られているものでございます。全国信用金庫協会での苦情・紛争解決の対応状況につきまして、資料としてまとめさせていただいております。順次ご説明させていただきます。

私どもの会員信用金庫、今現在265ございまして、その265金庫が対象となっております。

業務態勢につきましては、まず相談・苦情でございますけれども、2つ目のポツにございますとおり、全国信用金庫協会におきまして全国しんきん相談所、このほか全国に11の地区協会がございまして、そちらに地区しんきん相談所がございます。全国しんきん相談所においては、専任の相談員が3人、地区しんきん相談所におきましては兼任の相談員が24人、合計27人で対応させていただいているということでございます。

信用金庫におきましては、「信用金庫業務における苦情・紛争解決促進等に関する規則」等に基づきまして、苦情等の解決の求めに応じまして、迅速かつ誠実に対応する。具体的には、手続応諾、資料提出、結果報告等の義務がございます。

紛争につきましては、私どもは指定紛争解決機関がございませんので、代替措置といたしまして、東京三弁護士会との間で協定を締結しております。東京三弁護士会におかれましては、現地調停、移管調停として、地方の弁護士会とも協定を締結していただいているところでございます。今現在、京都と大阪の弁護士会以外の弁護士会と協定を締結していただいているということでございまして、また、京都と大阪の弁護士会につきましては、私ども地元の信用金庫がそれぞれ協定を締結しております。したがいまして、地元の弁護士会は全て今現在は利用させていただける、そういう状況となっております。このほか、地元弁護士会と地区協会、府県協会で協定を締結している信用金庫もございますし、地元弁護士会と信用金庫単独で協定を締結している信用金庫もございます。信用金庫においては、顧客からの東京三弁護士会・仲裁センター等の利用の求めに応じるのは当然といたしまして、具体的には、手続応諾、資料提出、特別調停案受諾、和解案の尊重、そういった義務を課しているところでございます。

苦情・紛争解決対応の周知状況でございますけれども、信用金庫においては、ディスクロージャー誌やホームページ、商品概要説明書、契約締結前交付書面で周知するのはもとより、顧客向けリーフレット、こういったものによって周知を行っているところでございます。また、本会におきましても、本会のホームページによる周知を行っておりますし、先ほど申し上げました顧客向けリーフレットの参考例を作成しているところでございます。また、本会発行の顧客向けの月刊誌、『楽しいわが家』におきまして、全国しんきん相談所の広告を掲載し、周知も行っているところでございます。

相談件数でございますけれども、おおよそ1,200件前後で推移しているのかなと思います。ただ、最近減少傾向にございます。その理由といたしましては、東日本大震災、金融円滑化法、これについての相談件数が減少していることによるということでございます。苦情につきましては、受付件数は約200件前後で推移しているのではないかと思っております。解決件数については、その約50%程度の100件前後で推移しているのではないかと思っております。

この受付件数でございますけれども、同一のお客様が何度も私どもにお電話されることがございます。その場合は全て件数として処理しております。したがいまして、この受付件数とは延べ件数ということでございます。

また、解決件数につきましては、お客様が納得していただいた場合のみ解決件数として計上しております。したがって50%程度と解決率が低い、そういう状況になっているのかなと思っているところでございます。

紛争につきましては、受付件数にばらつきがございます。これは謝らなければいけないことになりますけれども、25年度につきましては、東京三弁護士会で受け付けいただいた件数となっております。26年度につきましては、東京三弁護士会と、私どものほうで信用金庫にアンケートを実施いたしまして、その際に回答のあった件数も加えた結果となっています。27年度につきましては、東京三弁護士会のみの受付件数となっています。信用金庫に対するアンケートは来月実施しようと思っておりまして、したがってそれが加われば若干増えるのかなと思っております。

また1枚おめくりいただきまして、最近のトラブルの傾向・特徴、左側でございます。相談・苦情・紛争につきましては、預金と貸出が全体の半数以上を占めているという状況となっています。平成27年度の数字等を掲載させていただいておりますけれども、相談につきましては、預金が401件、貸出が356件、その他が423件。その他が一番多いという状況になっています。

相談の事例といたしましては5つほど掲載させていただいておりますけれども、金融円滑化法の期限到来に伴う融資条件の変更に関するご相談。取引時の本人確認を複数回求められた理由を確認するご相談。高齢者の高額の定期預金解約時に振り込め詐欺被害防止を理由に使途を聞かれたことに対してのその相当性を確認するご相談。私ども信用金庫は、合併が多かったということもございまして、合併等に伴う現在の信用金庫の名称、所在地、連絡先に関するご照会。あと、古い定期預金証書が見つかったということで、支払いしてもらえるのかと、そういったことに関するご照会がございます。

苦情につきましては、預金が69件、貸出が62件、その他が67件となっております。苦情の原因につきましても5つほど掲載させていただいておりますけれども、最近多いということになるかもしれませんけれども、相続預金の払戻手続に当たりまして、他の相続人全員の同意・承諾書類の提出を求められたことについての苦情。融資申込が審査を通らなかったことに伴う損害賠償を求める苦情。入院を理由とした返済金延滞に関する担当職員の対応に関する苦情。生命保険の解約手続前に保険料の口座自動引き落とし契約をなぜ解約してくれないのかといったことへの苦情。最後は協同組織金融機関特有の苦情になるかもしれませんけれども、出資金を払い戻してもらうのにどうして時間がかかるのかといった苦情、そういったものがございます。

右側に移りまして、再発防止の取り組み等でございます。私どもといたしましては、全国しんきん相談所で受け付けた相談・苦情につきまして、半期ごとに主な事例を取りまとめまして会員信用金庫に案内しております。その中で相談・苦情の傾向を示すことによりまして、再発防止に向けた取り組みを信用金庫に促しているということでございます。

また、苦情の主な事例と解決策につきまして、これは地区協会単位となりますけれども、信用金庫職員を対象とした研修会を開催いたしまして、再発防止に向けて注意喚起も行っております。さらに、苦情の主な事例と解決策につきまして、私どものほうで冊子として取りまとめ、会員信用金庫に配付することによりまして、再発防止に向けた取り組みを行っているということでございます。

あと、これはしんきん相談所のことになりますけれども、全国しんきん相談所と地区しんきん相談所との間で、年2回、連絡会を開催しております。また、有識者との懇談会を年1回開催しておりまして、その中で苦情の事例研究等を行うことによりまして、しんきん相談所相談員の対応力の向上、これに努めているところでございます。

私からは以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

続きまして、日本商品先物取引協会の原田委員、よろしくお願いいたします。

○原田委員

日本商品先物取引協会相談センターの原田と申します。よろしくお願いいします。5分以内ということでございますので、ポイントだけご説明させていただきます。

まず、私どもの協会につきましては、商品先物取引法に基づく自主規制機関でございます。会員数は現在のところ47社でございます。

業務態勢でございますが、東京で拠点数が1カ所でございまして、全職員は18名おるのですが、相談センターでは相談員4名ということでございます。

苦情につきましては、本会の定款、苦情処理規則によりまして、手続応諾義務につきまして苦情の処理を求められたときには、申出人と速やかに連絡をとりまして、誠意をもってこれに対応し、苦情の早期解決に努めるものとしております。そのほか、資料の提出、結果報告の義務を課しておるところでございます。

続きまして、紛争仲介業務でございます。紛争仲介につきましては、平成11年度より実施しておりますが、現在、あっせん・調停委員の方は23名委嘱しております。実際開催する場所は、東京と名古屋と大阪の3カ所でございます。こちらにつきましては、手続応諾義務につきましては、申し出のあった当事者は、紛争の迅速な解決を図るために、本会の行う紛争仲介に協力しなければならないということで、協力義務を課しておるところでございます。そのほか、資料の提出の義務を課しておりまして、調停案の作成に至った場合には、調停案の受諾を勧告するというようなスキームになっております。これに従いまして、会員等が調停案の受諾の勧告を受けた場合でございますが、一定の場合を除きましてこれを拒否したときは、本会は調停案の受諾について必要な指示をするということになっておりまして、その指示に従わない場合は制裁をするというような規定になっております。

紛争仲介解決対応の周知状況でございますが、まず協会のホームページにおきまして、相談センターの案内や紛争仲介等の申し出についての留意点について掲載しております。また、協会のホームページのトップページでございますが、相談・苦情等の受け付けの窓口を設けておりまして、そちらのほうで毎年10件を超える相談を受けているところでございます。そのほか、平成26年度でございますが、協会の認知度向上のために、相談センター紹介のリーフレットを作成しておりまして、全国の消費者センターさん等に配布したというところでございます。

引き続きまして、苦情等の件数の状況でございますが、まず相談件数でございます。こちらのほうにつきましてはここ3年間減少傾向にあります。25年が570件、その次が420件、直近では359件でございます。この減少につきましては、商品価格の変動が比較的小さかったことや、会員のコンプライアンスの向上などが考えられるところでございます。

苦情につきましても減少傾向にございまして、25年が28件、その後が17件、18件と続いております。その中で解決の割合が減少にありますが、解決に至らない件数の10件ぐらいは紛争仲介に移行した案件でございます。

引き続き紛争仲介の件数でございますが、こちらのほうは25年度が25件、その次が21件、直近では24件ということでございます。和解件数がそれぞれ10件、10件、14件となっておりまして、例年約5割ぐらいの解決率となっているところでございます。

最近のトラブルの傾向でございますが、相談につきましては幅広い相談を受けておりますが、比較的多いところをこちらのほうに列挙させていただきました。具体的には、内容につきまして、損を取り戻せるかどうかに関するものや、商品先物取引の仕組みや制度に関するもの、協会の紛争仲介手続等に関するものが比較的多い相談内容となっております。

苦情・紛争仲介のほうの中身でございますが、これはあくまで申出人からの主張に基づいて分類させていただいたものでございますが、適合性に関するもの、断定的判断に関するもの、あと説明義務に関するものがそれぞれこちらの表に記載させていただいた件数になっております。適合性につきましては、あらかじめ担当者に実際の資産状況を伝えていたにもかかわらず、申告の際に過大に申告するように誘導されたというような内容もございました。断定的判断の提供につきましては、絶対にもうかると言われたのだけれども、結果的に取引に応じて損をしてしまったというような事例もございました。説明義務につきましては、説明の際にリスクの説明がなかった、または不十分であったというような中身がございました。

最後でございますが、再発防止の取り組みに関するところでございますが、こちらのほうにはマル1マル2を列挙させていただきました。

まず、会員に対する指導でございますが、商品先物取引取引の締結に関する苦情。これは取引に至っていない会員に対する苦情でございますが、こちらにつきましては、協会のほうで苦情が発生した都度、会員に対して事情を調査させて改善を求めているところでございます。そのほか、苦情の発生件数や、主に内容でございますが、内容に応じまして、会員に対しまして社内調査の報告を求めるとともに、必要に応じて改善を求めているところでございます。

マル2として未然防止のための情報提供ということで、こちらにつきましては、苦情のみならず相談内容につきましても、相談のあった当該会員に対しまして、受付件数や相談内容について差し支えない範囲で会員のほうに周知しております。あわせて、全会員に対しましても相談の中から参考となるような事例について周知しているところでございます。

2つ目のところでございますが、こちらにつきましては、苦情、紛争、主に紛争の解決事例でございますが、申出内容、処理結果等につきまして、全会員に周知するとともに、あっせん委員の23人の方に周知しまして共有化を図っているところでございます。

以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、続きまして、日本資金決済業協会の永澤委員、よろしくお願いいたします。

○永澤委員

日本資金決済業協会の永澤でございます。よろしくお願い申し上げます。

まず、会員数でございます。269社、本日現在も変わっておりません。前払式支払手段の発行者及び資金移動業者、あわせて一種会員は199社でございまして、その内訳でございます。前払のほうが169社、移動が42社、そのうち両方業を行っている兼業が12社ございます。全国に前払式支払手段の発行業者としては、登録、届け出されている数でございますけれども、1,800社余り。そのうち専業としているのは20社ということで1%程度。残り99%については、いろいろな業種の方々が発行しております。例えば百貨店さんですとかスーパーさん、あるいは運輸業、通信業、中には製造業、クレジット業と、いろいろな方々、いろいろな業種の方々が発行しているというところでございます。その1,800のうち半分近くを占めているであろうというのが、例えば何々区商店街連合会というところで商品券をお出しになっているケース、それが半数近くいるようでございます。協会への入会率、9.4%と極めて低いわけでございますけれども、発行額のシェアにおいては約9割を占めておりますので、おおむね大手の方々にはご入会いただいていると理解しております。会員においても多数の業種の方々がご入会されておりますので、他の協会さんとは少し違った状況になっているのかなと思っております。

また、移動のほうでございますけれども、非会員は2社のみでございます。それ以外に資金決済業を行っていない二種の会員さんが70社、これから資金決済業に参入予定者が半分程度おりますし、また資金決済業に関連する会社、例えば印刷会社さんですとかカードリーダーのメーカーさんですとか、そういった方々。それと加えて金融機関さんにもご入会いただいているところでございます。

相談・苦情でございますけれども、役職員全員8人で対応しております。利用者から苦情等の申し出があった場合にはその相談に応じる、それとともに、必要に応じて会員に対し、苦情の処理を求め、迅速な解決に努めているということ。また、資料の提出を求める、あるいは報告をいただくことにしております。

また、紛争のほうですけれども、会員の紛争解決措置として東京三弁護士会のあっせん・仲裁センターを利用することに関しまして、締結しております。これまで、平成24年度に1件紛争がございました。

周知状況でございますが、協会のホームページ等にて相談・苦情等を受け付けている旨を周知しておりまして、私どもの事業年度が7月1日から6月30日でございますので、平成25年度の照会・相談件数においての受付件数では1,681件、26年度では1,827件、27年度、11カ月間でございますけれども、1,910件と、少しずつ増えているという状況です。

苦情においては、それぞれ37件、11件、35件。紛争はございません。

14ページにお示ししてございますけれども、相談及び照会の状況についてでございますが、資金決済業者及びこれから参入を計画している法人等からの相談が全体の約9割程度を占めておりまして、内容につきましては、登録あるいは届け出の各種の手続についてのお問い合わせ、それから、計画している事業、これが法の適用を受けるかどうかというようなお問い合わせが主なものでございます。利用者からの相談は1割程度でございますが、内容としては、利用範囲、あるいは有効期限が経過したが利用できないのかというようなお問い合わせです。

次に、不満を含む苦情でございますけれども、前払においては、払戻に係る申出期間が終了したとして払戻に応じてくれないと。それから、有効期限が経過したとして利用できないというような不満。それから、移動においては、ホームページでごく短時間で着金するとしているのにすぐに届かないとか、あるいは、カード購入時に十分な説明がなくてカードが使えなかったとか、あるいは、コールセンターの電話がなかなかつながらないというような不満、苦情が主なものでございます。

これらの相談・苦情の内容につきましては、半期・年度ごとに分析し、取りまとめを行いまして、理事会及び総務委員会において報告いたします。また、その結果については、会員にも還元しているということでございます。

以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、ここまでの説明につきまして、ご質問、ご意見等をお出しいただければと思います。事務局の全体的な説明、それから指定紛争解決機関がない業態の苦情・紛争解決の状況、これはこの協議会でおそらく初めてかもしれませんが、ご報告をいただいたものでございます。どうぞ。

○樋山委員

日本商品先物取引協会さんにお伺いいたします。紛争のところで、当該指示に従わないときには制裁をするという体制になっているということでございますが、具体的に制裁というのはどんな制裁のことを指していらっしゃるのでしょうか。

○原田委員

定款上におきまして、まず除名、過怠金の賦課、会員権の停止、あと譴責というような処分でございます。

ちなみに、調停案が出まして、調停となって受諾を勧告し、その後拒否した事例は平成11年発足以来1件もございません。

○樋山委員

ありがとうございました。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、唯根委員。

○唯根委員

ありがとうございます。唯根と申します。日本商品先物取引協会さんに伺わせていただきます。先ほどの発表の中で苦情と紛争の件数のところなんですが、ほかの各機関さんは、苦情の中から紛争に至るのかなという件数の推移があるんですが、こちらの協会さんのほうは、苦情等受付件数、26年、27年、逆転していらっしゃる。紛争のほうが数字が多くて苦情のほうが少ないということでは、ルートとか分類が違うのでしょうか、ほかの機関さんと。

○原田委員

よろしいですか。

○山本座長

どうぞ。

○原田委員

私どもの紛争仲介制度におきましては、規定上でございますが、当然苦情の受け付けをします。お客様によりましては、苦情を経由しなくて直接紛争仲介を申し出るということができますので、紛争仲介のこの直近の27年度の24件の中におきましては、苦情経由のものと紛争仲介直接の申し出があります。参考までに数字を申し上げますと、24件のうち、苦情を経由したものが7件、直接紛争仲介をお申し出いただいたものが17件というような推移になっております。

○唯根委員

ありがとうございました。

○山本座長

よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。どうぞ、石戸谷委員。

○石戸谷委員

全国信用金庫協会のほうにお尋ねしたい。もし検討されていればということで結構なんですけれども、紛争のうち、和解件数が受付件数に比べると比率的に指定紛争解決機関の場合と比べるとかなり低いなというふうに見られるんですけれども、これは何か、どういうことか、もし検討されていれば教えていただければと思います。

○阿部(吉)委員

私どもの紛争につきましては、日弁連さんのホームページで金融ADR事例紹介ということで掲載されておりまして、それを見させていただいた限りにおきましては、双方の主張に隔たりがあるのかなという、そういう気がいたします。中には、申立人多忙につき取下げがあったとか、そういったものも中にはございましたけれども。

○山本座長

よろしいですか。

○石戸谷委員

もし、何ていうんですかね、まとまらなかったというのが、申立人側が、納得しないということなのか、業者側が納得しないということで分かれているのか、何かその辺の中身がわかればご案内いただきたいと思います。

○山本座長

具体的な状況を把握されているのでしょうか。

○阿部(吉)委員

信用金庫からヒアリングは行っていますけれども、それはあくまでも信用金庫側の一方向のといいますか、主観的な話になりまして、具体的には私どものほうでは把握していないという状況です。したがいまして、先ほど申しましたとおり、この日弁連さんの金融ADR事例紹介を通じてということになってしまうということでございます。

○山本座長

そういう状況で、よろしいでしょうか。ほかに。森委員、どうぞ。

○森委員

森でございます。先ほど石戸谷委員のほうからお話がありました弁護士会におけるADRの事案なんですけれども、かなりいろいろな類型のものがございまして、必ずしも、何ていうんですかね、説明義務違反とか、適合性とか、そういうことでない要求の事例が割と多いように見受けられまして、そういう意味では、申立人の要求そのものがなかなか銀行側あるいは金融機関側として取り扱いにくいものも多々あるというのも1つの原因なのかなとは思うんですけれども、いずれにしてもこれ、石戸谷委員からのご指摘のとおり、全体的には少し解決率が低いので、そこについての原因分析というのは、事案自体の公表というのは、今ご指摘になったとおりホームページ上でしかしてないんですけれども、ホームページではかなり抽象化してしか書いてございませんので、ぜひ弁護士会等は直接ご協議の場を持っていただいて、その辺のフィードバック、原因分析についてはぜひ進めていただきたいと思います。

○山本座長

ありがとうございます。そのようなことでよろしくお願いしたいと思います。

ほかにいかがでしょうか。では、高橋委員のほうから。

○高橋委員

ご説明、ありがとうございました。全国信用金庫協会さんと全銀協さんにまずお尋ねをしたいと思います。どちらも高齢者の預金を扱っているということで、事例の中でも最近そういうトラブルが増えているのだなということが見えるわけです。それぞれ金融機関、業態としてはライバルかもしれませんけれども、ADRとしての知見を両方の団体で交換するとか、そういうことが行われているのかどうかというのが1つ目の質問でございます。

なぜそういうことを申し上げるかというと、それぞれ認知症サポーターであるとか、高齢者の専用の係員を置いたりとか、個別行でいろいろな工夫も今行われていることだと思うんですけれども、グッドプラクティスとかベストプラクティスを共有していくことで消費者にプラスになっていく面があると思うので、そのあたりはどうなのでしょうかというのが質問の趣旨でございます。

2つ目はFINMACさんにお伺いしたいんですけれども、苦情が増加しているとのこと。前年、前々年のところは前年対比でかなり改善してきたんですけれども、ここに来て増えてきているということですが、相場動向以外の要因として何か注視すべきことがあれば教えていただきたいと思います。

以上です。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、まず第1点ですが、両方阿部委員なんですが、まず、信用金庫。

○阿部(吉)委員

私どものほうは、協同組織ということで、私どもと、あと信組協会さん、労金協会さん、あと農林中金さんとの間では、定期的に情報交換の場を設けていまして、情報共有に努めているということでございます。残念ながら、全銀協さんとは、今現在はそういう状況にはないということでございます。

○山本座長

全銀協の阿部委員。

○阿部(耕)委員

全銀協の阿部でございますけれども、確かに高齢者に関する預金は、預金に関係する苦情は、若干ではありますが、増えつつあるわけであります。要因としては、高齢化社会の進展という根底がありまして、ご高齢者が増えているということを要因としているものだと思います。

高齢者の苦情の中身ですけれども、先ほどもご紹介がありましたように、ご入院をされたりしたときに家族が代わりに払い戻しをしようとしてもすぐにはなかなか銀行のほうで対応できないというものですとか、あと、ご高齢者ご本人ですと、いろいろなご自分のご記憶が曖昧で、あったはずの預金がないというようなものもあるわけであります。

協会としては、こういうご高齢者に対する苦情の対応のあり方ですとか、またあっせんに来た場合も極力そのお話をよく聞いて丁寧に対応するということをしております。

ご質問の他業態さんとの意見交換につきましては、済みません、生保さんとか損保さんとかとはよくやっているんですけれども、信金協さんとはまだ1回もやっておりません。全然あえてやっていないわけではなくて、同じ預金を扱っている業務の業界でございますので、今後何かありましたら意見交換をするということも全然やぶさかではないと考えております。

以上です。

○山本座長

同じような業態で同じような紛争があるとすれば、ぜひ情報交換の場は設けていただければと思います。

後半のほうのご質問でFINMACの田口委員。

○田口委員

FINMACの田口でございます。高橋委員のご質問に答えたいと思います。

ごらんのとおりFINMACの苦情の処理件数、増えてございます。平成27年度から、以前からお話をさせていただいておりますが、そしてほかのADR機関もやられているかと思いますけれども、丁寧にヒアリングを行って、それで苦情としてきちんと取り次いでいるというところが基本的なベースとしてあるかもしれません。ただ、昨年、27年度の上半期8月ぐらいまでは比較的相場が堅調であったところ、8月中旬以降の中国経済等々の市場の動揺がありまして以降、外国物の投資信託でありますとか債券、外貨建ての商品、その辺の商品をめぐる苦情が多くなってきています。例えば、そういった商品の勧誘に関する、勧誘に際しての説明が足らなかったとか、もしくは、そういうリスクの比較的高い商品、為替リスクのある商品について、私のような者に販売させるのはどうかといったような苦情、もしくは、売買取引、相場が下がって動いているということもありまして、よくよく考えてみたら承知もしていないのに売買がされていたとか、そういったようなトラブル、苦情というのが下半期以降増えてきている、これは事実なのかなと思います。

私どもの件数の分析としては、そういったところで件数の増加が27年度、特に下半期以降、増えているのかなと考えているところでございます。

以上です。

○山本座長

どうぞ。

○高橋委員

世界経済の動向が非常に読みにくいところに来ていると思うので、ぜひ丁寧に対応していただきたいと思うところです。

それから、高齢者に対する苦情ですが、先ほどの全銀協さんのお話、あるいは資料の中にもありましたような、高齢になって家族が払い戻しできないとか、独居の方で、成年後見人を活用するほどではないけれども困るとか、施設に入っている方が銀行に出向くことができないとか、私も取材の中でいろいろ伺うところではあります。例えば、家族が手を添えて住所氏名を書いてほしいと言われたと、ほとんど子どもの字になってしまうんだけれども、カーボンがついているものをボールペンで書かなければいけない苦痛であるとか、委任状といっても本人が書けないから事実上は家族が書いていても、実際は通ってしまうとか、カードだったらどんどん家族がおろせるのに、そうでないものに関してはかなり厳格な処理が求められて困っているとか。そういう話の延長線上で、今回のマイナス金利等のこともありまして、自宅の金庫を利用するという方。あるいは、金庫にきちんと入れていればいいんですけれども、そうではない場合は、まさに振り込め詐欺等の被害を起こしやすい環境が醸成されてしまっていると思うんですけれども、これについて、預金を扱う金融機関及び業界団体等に対して、ADR機関として苦情をもとに何かフィードバックしてきちんと検討するようにということはやっていらっしゃるのかどうか。あるいは、苦情そのものが、やや増えているという表現でしたでしょうか、急増しているとはおっしゃっていなかったんですけれども、団塊の世代が高齢者に入ってきて、これからうわっと増える可能性もあると思うんですが、その対策といいますか、現状を教えていただきたいと思います。

○阿部(耕)委員

今のご質問ですけれども、高齢者のこの預金の払い戻しにつきましては、私どもも各消センとの意見交換の中でも、各地で起きていることなので、非常に注目しておりまして、私どもの研修会というのが全国で、東京、大阪、名古屋を含めて5カ所でやっているんですけれども、その中で代表的な苦情事例という中で必ず今も申し上げた入院などをされているときに払い戻しになかなか応じることがすぐできないということに対する私どもの対応、回答案と、いろいろな選択肢がありますねということを書きまして、それを研修会で報告をさせていただいております。

さらに、昨年、高齢者対応につきまして、全国銀行協会の加入銀行にアンケートをとりまして、まさに今のような、本人が動けないようなときの払い戻しに対してどのような対策をとっていますかというアンケート調査をしました。それを還元いたしました。中身を見ますと、単純にはいかなくて、基本的には推定相続人さんの、亡くなられた場合も含めて、ご家族のほかの同意を得てやらなければいけないケースですとか、あるいは、病院の入院費とか治療費に限定していればその口座から病院の口座にご本人でなくても払い戻すと、送金をするとか、一定限度までは応じるとか、いろいろなバリエーションがあることがわかりました。こういったさまざまな手当について加入銀行には周知した上で、柔軟な対応をし、こういった苦情に対する防止に努めてくださいということは、研修会でここ2年ほど続けております。また、今年も計画をしておりまして、そういうフィードバックをしっかりとしていきたいと考えております。

○山本座長

よろしいでしょうか。それでは、小浦委員。

○小浦委員

小浦です。私からは少し角度が違って、今回の金融庁さんからの調査の項目には入ってないんですが、入ってないところをお聞きして大変恐縮なのですが、ADRを持っていらっしゃるところだと、前回か前々回のところで、申立人の方にアンケートをとって、それを集約されてまたフィードバックしてADRに役立てているというお話を聞き、大変そこはそういうご努力もされているのだなと思いました。今回のところは、項目になかったからかもしれないんですけれども、報告をいただいた3団体の皆様のところでは、申立人の方にその解決後ですか、アンケートをとっていらっしゃるのかいらっしゃらないのか、今後そのあたりはどう考えていらっしゃるのかを、簡単でいいですので、お話を聞かせていただきたいと思います。

○山本座長

それでは、信用金庫協会、阿部委員から、アンケートをとっておられるのかどうかということです。

○阿部(吉)委員

東京三弁護士会のほうからお客様負担分の費用請求が私どものほうに参ります。したがって信用金庫の把握はそこでできますので、その場合には、その当該信用金庫に対してヒアリングは行っております。また、その結果は、ごく簡単な内容になりますけれども、会員信用金庫に対しまして年2回周知しているという状況でございます。

○山本座長

顧客に対するアンケートはされていないという。

○阿部(吉)委員

顧客の情報は私どもでは存じ得ませんので。

○山本座長

そういうことですね。

先物取引協会さんのほうから。

○原田委員

私どものほうでは、紛争仲介の事案が終結した後におきまして、遅滞なく申出人の方に定型のフォーマットに基づきまして、約10項目ぐらいの質問事項を入れまして直接送付しております。それでご回答をいただいておりまして、それを定期的に集計しまして、年に1回のあっせん委員、調停委員の合同会議を東京で催しますので、そこで集まっていただいたときにその結果をご報告させていただいているところでございます。

○山本座長

資金決済業協会さん。

○永澤委員

私どもは実施しておりません。

○山本座長

という状況のようです。どうぞ。

○小浦委員

わかりました。商品先物取引協会さんが行っていらっしゃるように、信用金庫さんの協会のところで、そこでは直接わからないかもしれないんですけれども、何らかの形で送付できると、先ほどの実施されているところと、信用金庫さんからのお話だけではなくて、そこを利用した方からのお声もとても大切だなと思いますので、もしまた何か検討される場があれば考えていただければなと思います。

○山本座長

大変重要なご指摘だと思います。ご検討をいただければと思います。

樋山委員。

○樋山委員

樋山でございます。先ほどの髙橋さんの意見につけ加えてなんですが、例えば、全銀協さんがいろいろなアンケートを各銀行さんからおとりになって、高齢者の対策についてどうしたらいいかというようなことを考えていらっしゃるというようなことをお伺いしました。一方で、JAバンクさんの資料の中にも、こういう相談が多いんですよというようなことが幾つか上げられています。一方、阿部委員のほうからも高齢者についてのご相談が多いというようなことを伺っています。多分JAバンクさんとか地元の漁協さんとか、銀行さん、それから生命保険業界も一定の家族の方には事前にいろいろな手続をしていただければ保険の手続ができるようになるというような仕組みをとっていらっしゃるような会社もあると思います。そういったことを含めていきますと、銀行さんとかだけではなくて、信金さん、信組さん、それから各保険会社さん、それから投資のところ、もういろいろなところでこういった対策が必要になってくると思います。場合によっては、東京都内では、福祉の観点から地域包括支援センターというようなところが、実際高齢者のところに伺って契約書面を探したり、それからクーリングオフの手続の手伝いをしたりというようなことも実際にやっております。そういった観点からすると、もう各業態さんに分かれるのではなくて、もう横断的にいろいろな形でADRさんが集まり、またADRだけではなくて、福祉の観点とかいろいろなところと情報交換をしながらこういった問題を解決していくことが非常に大切なのではないかなと感じたことが1点。

それからあともう一つは、各業界団体さんがADR制度への周知状況についてのご報告が書いてあります。私は拝見したんですが、各業界団体さん、ADRの周知度については、いろいろなパンフレットをつくったり、いろいろな消費生活センターに配ったりして、大変なご努力、ホームページにも必ず書いてあります。大変なご努力をされているところなのかなと思いますが、一方、実は金融庁さんのほうには全くそれについてホームページに触れてございません。実は、日本というのは、お上が言うことについてはなかなか重きを置く部分というところがございまして、できれば金融庁さんのほうでADRの周知徹底について、ホームページで何らかの記載を加えていただきたいなと思いまして、これはお願いでございますが、どうぞよろしくお願いいたします。

○山本座長

ご回答を。

○菅井室長

金融ADR制度自体については、ホームページでいろいろご紹介はしていると思いますが、多分なかなか、金融庁のホームページの最初の画面を見たときに目につかないですとか、そういうこともあろうかと思います。今のご意見を踏まえまして何らかの工夫をしたいと考えております。

○樋山委員

金融庁のホームページは、結構皆さんごらんになったら、そうなのかってすごく納得できる部分があると思いますので、そこでの工夫は大変大切なものかなと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○菅井室長

ぜひ検討させていただきます。

○山本座長

よろしくお願いいたします。

また、前段でご指摘いただきました高齢化社会に対する対応の問題、これは紛争解決というのは、このADRだけではなくて、例えば裁判所などでも非常に重要な課題として認識されているところでございまして、本協議会においても引き続き何らかの形で取り上げていければと思います。

それでは、まだご質問等あろうかと思いますけれども、少しというかかなり時間が押しておりますので、恐縮ですが、次の議題である金融サービス利用者相談室における相談等の受付状況等につきまして、金融庁金融サービス利用者相談室長の﨑山委員からご説明を受け、引き続き第8回金融ADR連絡協議会の概要につきまして、事務局から報告をお願いしたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

○﨑山委員

金融サービス利用者相談室の﨑山でございます。時間も30分ぐらい押しているので、少し端折ってというか、ポイントだけお話ししたいと思います。

まず、前回の会議以降、相談室では、ことしの1月と4月に、それぞれ昨年の10月~12月、ことし1月~3月の四半期状況につきまして公表していますが、この公表につきましては、資料3-1、3-2で具体的に件数等詳細がございますので、ご一読いただければと。本来、これは、前回まではご説明させていただいていたのですが、きょうはそこを割愛させていただきたいと思っています。

資料の4だけをご説明させていただきます。資料4は前回と同様に詐欺的な投資勧誘に関する相談を具体的に分析したものでございます。

○山本座長

すみません、資料の。

○﨑山委員

すみません、資料3-4です。

詐欺的な投資勧誘に関する相談につきましては、1~3月期では相変わらず若い世代や現役世代である20代から50代の相談者の実に約7割が被害に遭った後に相談してきておりまして、60代以上の高齢者のそれが約5割であったことから目立ったものになってございます。金融庁としましては、引き続き若い世代、特に社会人になる前の高校生、大学生を対象に、金融経済教育の普及活動等を積極的に行っていく所存でございまして、実際、昨年度も20の大学ぐらいで講座を開かせていただいてございます。

当相談室では、常日ごろから関係機関との意見交換、情報交換等を行わせていただいて連絡を密にしておりますけれども、相談者からの相談内容によっては、相談者の方々に関係機関、業界団体を紹介させていただいております。参考までにそれらの件数をご紹介させていただきます。相談におきまして、関係業界団体を紹介させていただきました件数は、10~12月期が1,134件、1~3月期が1,032件でございます。その中でも特に保険に関する相談が4割前後を占めてございまして、都度仲裁等のために協会を紹介させていただいております。また、相談室から消費生活センターなど公的機関を紹介させていただきました件数が、10~12月期が189件、1~3月期は226件でございまして、特に投資に関する相談で詐欺的な投資に関する返金交渉などの個別案件について紹介させていただいてございます。逆に、消費生活センターなどからは、当相談室への相談も10~12月期が154件、1~3月期が130件と、引き続き多くの相談を受け付けておりまして、主な相談としましては、投資商品の内容照会などが多くなってございます。

相談実績の状況等については以上でございますけれども、最後に4月14日に発生しました平成28年熊本地震への対応をご紹介させていただきます。資料3-5を見ていただければと思います。

当相談室では、いち早く4月20日にフリーダイヤルの平成28年熊本地震相談ダイヤルという被災者専用ダイヤルを開設いたしまして、被災者の相談への対応を行っております。このようなフリーダイヤルによる専用ダイヤルの開設は、当庁といたしましては初めての試みでございます。阪神淡路地震及び東日本大震災時には開設してございませんでした。この専用ダイヤルにつきましては、その資料3-5のとおり、5月末までで約500件のご相談を受け付けてございます。表を見ていただきますと、実際、4月20日、フリーダイヤルが稼働する前までは1桁の相談件数でしたが、21日、フル稼働をスタートしてからは急激な相談の伸びということになってございまして、そこは大いに我々としては意図するところだったと考えてございます。

これは余談になりますが、この資料3-5の一番下段のところに熊本地方の天気予報をここに入れています。これで大体の傾向がわかるのですが、雨や曇り、天気が悪いときに相談が相当増えているということです。晴れになると相談が若干少なくなると。これは、我々としては、多分天気がいい日は、被災者の方々は外に出て自宅とか壊れたものの復旧活動というか、作業に出られていて、相談等をやる時間がないと。ところが雨とか、曇り時々雨とか、そういう天気がぐずついているときには、避難所とかそういうところでじっくり考えたときに相談をしてみようかということで電話をとられるということがあるのかなと思っている状況です。

次に、裏面をごらんください。相談内容等の分析をしてございます。相談内容といたしましては、その7割強が預金・融資関係のご相談、2割弱が保険のご相談となってございます。また、預金・融資のご相談では、平成27年12月に全銀協が策定、公表し、今回初めての適用となります「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」についてのご質問、また、被災者向けローンなどの資金調達、住宅ローンなどの条件変更についての相談が主たるものとなってございます。また、保険のご相談では、地震保険に関する相談が太宗となってございます。

当相談室といたしましても、今後、地公体の発行が、今は若干遅れているという「罹災証明」等が順調に出されれば、被災者の方からそれをもっていろいろな金融機関、保険会社等々にご相談に行ったときのトラブルなり、いろいろなことの相談がまた私どものほうにくるのかなと思っていまして、このグラフでいくと若干減少傾向にございますが、引き続き気を引き締めて相談対応に向かいたいと考えているところでございます。

以上でございます。

当相談室といたしましても、引き続き金融行政を担う側のセンサー機能としての役割を果たして、関係機関、業界団体等の密接な連携を図って業務遂行を行っていく所存でございますので、よろしくお願い申し上げます。

○菅井室長

資料4、1枚紙をごらんいただきたいと思います。金融ADR連絡協議会についてご説明いたします。この4月に連絡協議会を開催いたしまして、高齢者の方、障害者の方への対応をテーマとして取り上げております。

高齢者への対応ですが、高齢者とのトラブルが増加している中で、高齢者にとっては、時間、費用その他の負担をかけずにトラブルの簡易・迅速な解決を目指す金融ADRの役割が大きいのではないか、さらに、トラブルを解決する中で明らかとなった高齢者との取引における留意点をフィードバックし、トラブルの予防をすることが重要ではないかと、こういう問題意識のもとで報告、意見交換を行いました。

その中で指定機関のほうからは、高齢者は、自分の相談・苦情の内容を十分整理できていないケースがあるので、丁寧なヒアリングに努めていると、あるいは、高齢者の方の場合、わかっていないのにわかっているふりをする傾向もあるのではないかとも言われており、高齢者が本当に理解できるような説明を金融機関が行ったのかどうかという点に留意しているといった報告がございました。

また、障害者の方への対応ですが、障害者の方から金融機関との取引等に関する相談・苦情が寄せられた場合、あるいは、紛争解決手続の利用の申し出があった場合に、障害があることを理由としてADRの利用を拒むことがないよう、具体的にどのような対応をとるのか、また、マニュアルや対応要領等をどう整備しているのか、また、実際の対応状況の把握・検証方法をどうするかといった態勢整備について各指定機関が報告を行っております。

簡単ではございますが、以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

本来であれば、ここでご質問、ご意見等を受けたいところでございますが、少し時間が押しておりますので、最後、もし時間が余ればご質問等の時間を設けたいと思いますが、議事次第VIIの議題のほうに移っていきたいと思いますが、ここで事務局から本協議会の今後の運営につきましてご説明がございます。

○松尾委員

企画課長の松尾でございます。本協議会の委員の任期の取り扱いについてご説明させていただきたいと思います。

金融審議会を初めとする政府の審議会等の委員の任期につきましては、原則2年以内、連続10年まで再任可という共通のルールがございます。本協議会の場合、関係機関・団体等のメンバーにつきましては、特定のポストの方が委員を務めるという形で運営されておりますが、学識経験者及び弁護士の委員につきましては、政府の審議会に準じた取り扱いとはなっていなかった面がございました。そこで、学識経験者及び弁護士の委員につきまして、この金融審議会に準じて任期2年、連続10年まで再任可という取り扱いにさせていただきたいと考えております。

その上で、本協議会発足当初からご参加いただいております高橋委員、神作委員、井上委員、石戸谷委員の4名の方につきまして、既に期間が10年を超えておりますので、今回の会合をもって任期の終了とさせていただきたいと考えております。

なお、山本座長につきましては、本協議会の議論の継続性を考慮いたしまして、1期、2年、さらに座長をお願いしたいと考えております。

○山本座長

ありがとうございました。

ただいまのような事情で委員の交代等ということになりますが、今回ご交代いただく4名の方につきましては、発足以来の本協議会の委員として金融ADR制度の充実・改善に多大なご尽力をいただいてきました。そこで、本日は、まず4名の委員を代表いたしまして、石戸谷委員から「金融ADRの当面の主要課題を考えて」というテーマでご説明をいただくともに、3名の委員からも本協議会の委員としての経験・活動等を踏まえた教訓や今後の金融ADRへの期待といったことにつきまして、ご意見を頂戴したいと考えております。

それでは、石戸谷委員からご説明をお願いいたします。

○石戸谷委員

貴重な機会をいただきまして大変恐縮でございます。資料5で、私のほうでざっくり作りましたメモを用意していただいております。

振り返って「金融ADRの当面の主要課題を考えて」ということなんですけれども、主要課題が何かということは、金融ADRの意義・理念をどう捉えるかというところと密接に関連いたしますので、一番最後のページにこれまでの流れ懇の論点整理というところからスタートして、現在までの主な議論の取りまとめをまとめてみました。まとめてみましたが、現在は金融ADR法ということで、法律に基づく制度になっておりますので、そこを考えればよいかということかと思います。

その法律の基本的な考え方につきましては、座長メモ、金融審の報告があると思いますし、ADR法の運用に関しては監督指針があるということで、そこのところが意義・理念になるのだろうということで四角で囲んであります。

1ページのほうに戻っていただきまして、以上のこの金融ADRの意義・理念に照らして当面の主要課題と考えられる点について、3点ほど私見を述べてみたいと思います。

まず1点目が、実効性の確保の点でして、手続面については、もう相当整備がされてきたと思います。しかし、多分、実効性の確保については課題がある、そこで解決できるということが望ましい。とりわけ比較的少額な消費者申し立て事案で、申し立て側としては、そこで解決したいと思っているのだが、応諾いただけずに終わるというような事案について、ADRでの迅速な解決が望まれるというところが大きい課題だろうと思っておりまして、これについては、事実認定や法解釈の厳密性にこだわることなく、良識に則した柔軟な解決をという意見に共鳴するものです。その点について、これまでの議論の中で思ったことをつけ加えております。

最初のところは、金融取引の処理の画一性云々というような論点というのがあるわけですけれども、確かにそういう事案もあると思います。例えば、生命保険の無催告失効条項が消費者契約法10条に違反するかどうかなんていうのは、まさに約款のこの効力が問題になる事案ですので、そのようなものかと思います。だけど、多くは、適合性原則違反があるかどうかとか、説明義務違反があるかどうかとかというような問題であると思いますので、そのような問題については、司法判断のほうはむしろ当該事案ごとに判断するという考え方を示しておりまして、最高裁のほうも抽象的な取引類型で判断してはだめだと、具体的な商品特性と顧客側の諸要素というのを総合的に考慮して当該事案について判断するのだということを判断枠組みとして述べておりまして、これは適合性原則だけではなくて、説明義務でも3月15日に新しい判例が出ておりますけれども、枠組みとしては同じだと思いますので、当該事案について、その事案でどういう勧誘がとかいう要素をもう少し考慮して、余り画一性にこだわるというのは適当ではないのではないかということを言っております。

それと、事実認定が難しいというふうなご意見もこれまで出てきたところだとは思うんですけれども、ADRは、各種、各分野で行われていまして、それぞれ事実認定というのは難しい問題を抱えている分野というのがほかでもあるわけです。医療にしても、住宅紛争にしても、それぞれ固有の認定の難しさというのがあると思うんですけれども、その辺は工夫してやってきております。金融ADRの場合は、多くの場合、事実認定は、説明が十分であったかとか、適合性原則違反に該当するような基礎事実があるかどうかということでありますので、むしろ事実認定の困難性というのは、そう特殊なことはないのではないかと私としては考えております。

それと、規範が抽象的であると、例えば適合性原則違反かどうかという、そういうところについては司法判断をという考え方があるのかもわかりません。ここは大変重要なところだなと思いますので、若干補足をしますと、個人的な経験としまして、金融先物取引業協会のあっせん委員をやったことがありまして、平成16年改正で外国為替証拠金取引を適用対象にした際に、金先協会の業務にあっせん関係業務も加えたという経緯がありまして、行きがかり上、あっせん委員の経験をさせていただきました。FINMAC発足前ですので、自主規制機関におけるあっせん業務ということになります。

あっせん事案の中に適合性原則違反かどうかというのが争点になる事案がありまして、そこで考えましたのは、当該事案をどうするのかというのはまさにあるんですけれども、新しくオプトイン型の勧誘規制が実体的ルールとして組まれた中で適合性をどう運用するかというところが非常に大きい問題だということがありました。どういうあっせん案を出すかということで、当該機関がどう運用するかというメッセージを発することにもなるので、そこが一番考え抜いたところでありました。幸い双方から受諾いただいて成立いたしましたけれども。そういうことがあるので、双方の主張が大幅に食い違っているということで不成立とするというのは、紛争解決を迅速にというか、処理を迅速にという観点からはそうかもしれませんが、実効性の確保という観点からは問題ではないかと考えておりまして、そこで指摘しております。ということで、極力、特に少額な案件は金融ADRで解決する文化というのを醸成願いたいと。

2番目が、運用改善との関係であります。これも個人的経験で大変恐縮なんですけれども、PL法ができたときに、ADRで簡易・迅速な解決をという附帯決議がありまして、これも行きがかり上、家電製品PLセンターのあっせん・裁定委員になっていろいろ処理した経験があります。苦情・紛争の解決は解決でやるんですけれども、もちろん。それとは別に、当該事案で警告表示はこうやったほうがいいのではないかとか、こうやったほうがわかりやすいのではないかとか、あるいは、技術者の方も入っておりますので、あまりコストをかけずにより安全なものがこういうぐあいにやれば簡単にできるではないとかといったような議論を大変活発にやっておりました。それを受けるかどうかは当該メーカーの考え方によるのでいいんですけれども、そのADR側としてということが大変印象に残っております。金融ADRの場合も、運営委員会とか運営審議会とかいろいろあるわけですけれども、公表されたデータを拝見している限り、ネット上で積極的に情報を発信しているところもあるんですけれども、多くは苦情・紛争解決手続のほうに比重を置いた運営がなされているのかなという気がいたしますので、ここは運用改善のほうももう少し使っていいのではないかというふうに思います。

個人的に金融分野の紛争ということで加えてあるのは、仕組債の事件の例です。最近ありましたのは、各社いろいろ工夫してわかりやすくやっているところもあると思うんですけれども、担当事案の場合は、前とあまり変わらない2枚ぐらいの大変簡単なもので、これはもう少し工夫の余地が大きいのではないかということがありまして、紛争解決の場面とか手続だけを見ていると、こういったものはこうやったほうがいいのではないかというところになかなか発想が行かないんですけれども、運用改善の貴重な素材ではないかと思いますので、つけ加えておきました。

最後がセンサー機能とルールの整備というところで言っているところでありまして、この(3)の最初の丸の2段落目のところです。紛争の発生と実体ルールのあり方というのは大変密接な関係にあると。したがって、その紛争が多発しているという場合に、その実体的なルールのほうに何らか問題がないのかということは、常に注意しておくべきではないかと考えますので、そこの役割という点です。

これもまた自分の経験で大変恐縮なんですけれども、昨年の8月まで内閣府の消費者委員会を務めておりまして、国民生活センターからは次々と情報の提供がありました。公表資料を次々送ってくるので、こちらも対応しなければいけないものは何かということで、中身は検討しなければいけない。要は、苦情が多発している問題についての注意喚起やら提言やらが入っているということでありまして、こういう観点からも金融ADRのほうの特性をもう少し生かせるのではないかと。国民生活センターというのは、消費者問題全分野について苦情を受け付けて、中身を検討して、それに対して情報発信、提言を出しているということでありますので、金融分野の専門ADRとしては、より豊かな情報なりより深い分析を踏まえた情報発信が可能ではないかと感じたところです。自主規制、ルールで対応できない場合は法整備ということになるんですけれども、そういう場面においては、被害実態、立法事実が何かというところが問題になってきますので、国民生活センターのみならず、金融ADRのほうで持っておられる貴重なデータというのがあるわけですので、それを金融審ないし事務当局のほうと何らかデータの橋渡しというか、そういうようなものを踏まえた検討というのが望まれるなということであります。

最後の丸のところは、これはもう前から問題が出てきております横断的・包括的金融ADRというのがあるわけですが、これの優先順位からすれば、実体法の整備とあわせてということで異論はないんですけれども、そうなってきますと、今の話の延長線上でいきますと、各ADRの隙間に落ちる問題が必ずあるので、そこの部分については、金融サービス利用者相談室の役割が大変大きくなる。とりわけ詐欺的なものとか悪質なもの、こういうものの分析や何かというのは、その役割が大きいと思いますので、そこを指摘させていただきました。

以上です。ありがとうございました。

○山本座長

ありがとうございました。当面の主要課題ということで、包括的な金融ADRのあり方全体について、さまざまな貴重なご意見あるいはご提言をいただいたものというふうに伺いました。

それでは、3名の委員からも順次ご発言をお願いしたいと思います。まず、高橋委員から、よろしいでしょうか。

○高橋委員

高橋でございます。石戸谷委員から、約16年間の金融ADR関係の歩みとまとめとして課題をすっきり整理してお話しいただいたわけで、私からは、重なるところもあると思いますけれども、利用者により近い立場にあって、40年にわたりまして金融分野を取材してきた立場、それから、保険審議会、金融審議会、消費者委員会と、各種審議会委員としての活動、さらには、石戸谷委員のペーパーの最後のところにずっと振り返りですが、ついていますけれども、新しい金融の流れに関する懇談会、平成10年6月、ここの頃から私は議論に参加しておりましたので、金トラができる経緯のことなどもうご存じのない方もいらっしゃるかと思いますので、少しお話しさせていただきたいと思います。また、「フォスター・フォーラム」という良質な金融商品を育てる会という市民グループ活動もしておりますけれども、そうした活動その他を通しまして、金融トラブルの解決及び未然防止、再発防止に関与してきた立場から、委員として最後の発言をさせていただきたいと思います。

この協議会がスタートしたのは平成12年、西暦で言いますと2000年ということになるんですけれども、これは金融審の答申を受けてのことでございます。「21世紀を支える金融の新しい枠組みについて」という答申は大きく3つのポイントがあって、1つは、貯蓄から投資への流れを加速するに当たって、ルールをきちんと整備しましょうと、これが金融商品販売法であるとか、金融商品取引法であるとか、保険業法、貸金業法等の改正につながっていきました。

ルールを整備する一方で、2つ目として消費者教育をきちんとやりましょう、日本人は金融リテラシーが他国と比べても乏しいし、貯蓄から投資へということになって、複雑な金融商品が出てきたときにトラブルが出てくると困るので、それは各年代、しっかりやりましょうということがありました。

そして、3つ目に被害救済です。ここの場に非常にかかわりが多いところですけれども、ルールを整備し、教育をしても被害は出るでしょうということで、それをしっかりやるということでした。

金融審の議論では、ADRとして業界横断的な一元的な機関を創設すべきであるというのは当初から多数派の意見でした。特に消費者側はそういう主張をしました。ところが、各業態の猛反対に遭いまして、結果として自主的な取り組みを各業界が進めるということで、そこに学識経験者とか消費者団体とかいろいろな人たちが入って、まずは苦情・紛争解決の仕組みを整備する取り組みをしてみようとなったのが、この金融トラブル連絡調整協議会が任意団体として発足した経緯であったというふうに記憶をしております。

これをつくるに当たっては、各業態、いろいろなADRといいますか、自主規制の団体、苦情処理をする組織が出てきて、それぞれが競い合って消費者から選ばれていくことと、同じ業であっても複数出るのが望ましいですねという議論もございました。

とはいえ、それぞれが勝手につくったのでは消費者としても選びようがないので、苦情とか紛争解決の仕組み、ルールをできるだけ共通化、標準化して、それにそれぞれが上乗せするならそれは大歓迎ですと、そんな議論でスタートしたこともなつかしく思い出すわけでございます。今どうなっているのかなというは、我々がこれから検証していかなければいけない課題でもあると思っています。

ですので、流れ懇のときから数えますと足かけ18年でしょうか、皆さんとご一緒の活動が始まっている、行われているわけですけれども、前半は、石戸谷先生のペーパーにあります実効性の確保というところに非常に注力したと思います。後半のほうは、金融ADR法に基づいて、先生のペーパーで言いますと(2)の金融取引業務の運用改善と、ここのところだと認識しております。

私として今一番注視していますのは、(2)のところで、個々のその解決もさることながら、同種のトラブルの未然防止というふうに石戸谷先生がおっしゃったところでございます。苦情・紛争解決をデータ化したり、いろいろ横のつながりを持って、それぞれの金融機関の商品やサービスの向上のために積極的に活用されているか、そういう流れになっているかが気になるところでございます。

金融取引業務に関する運用改善に関して、金融機関に伺うと「やっています」とおっしゃるのは、販売とか勧誘のことなんですね。私は、これから踏み込むべきは、商品の組成とか運用の部分ではないかと思っています。適合性の原則を幾ら言っても、理解しないような商品を売って、販売の人が売らざるを得ないような状況にしていたら、トラブルはいつまでたっても解決しないと考えるわけです。ですので、そこに踏み込むためには、金融機関の経営陣がトラブルも含めた自分たちの実態というのをよく知ることではないかなと思っています。営業、開発だけではなくて、それぞれのこのトラブルを商品開発とか組成とか運用に生かしていくということが必要だと思います。

消費者ニーズにしっかり応えた顧客を大切にする経営というのは、最近は消費者志向経営ということで、消費者庁とか消費者委員会のほうでも取り上げているところでございますけれども、金融庁では、最近内部統制が非常に大切だということで、各金融機関の監査部門だけではなくて、監査役であるとか社外取締役にもヒアリングをされているようですが、ほんとうにトラブルを知ってるんですかねと私などは思うところがありまして、そういうところまでヒアリングでも踏み込んでいただくことによって、それぞれの企業の商品、サービスがよくなっていくのではないかなと思います。

前回もたしかこの場で申し上げたと思うんですけれども、それぞれの金融機関の取締役会とか、CSR委員会とか、そういった場で、なぜADRにこういう案件が行っているのか、自社で解決し得なかったのかとか、あるいは、裁判で係争中の案件に関して、原因究明と再発防止のための取り組みをきちんと経営陣がしていただくことが必要だと考えております。そういう誠実な対応を促すのが、金融庁だけではなくて私たち利用者でもありますし、金トラ協としても多分やるべきことは、私はたくさんあるのではないかなと思っています。個々の金融機関の担当者にだけ届くのではなくて、経営層にも行くような仕組みづくりを我々は今後考えていくべきではないかなと思っております。

また、最後ですけれども、これも石戸谷委員がおっしゃいました横断的・包括的な金融ADRの構築が将来的課題ということについてです。もうこれはほんとうに18年にわたって必要と言われながらできてないのはなぜなのかということも含めて、今後の金トラ協で、今の形でいいのか、今の形をどう改善すればいいのか、改善ではなくて、もうここまで進んできたわけですから、業の谷間に落ちるような商品も含め、また金融庁も一体になって、消費者の利益のために何ができるかということを考えていくべきではないかなと思います。

これまで金トラ協、16年、お世話になった方々が会場にたくさんいらっしゃる中、新たに委員になられた方もおられるとのことで、どうしてできたかという少ししつこい話をさせていただきましたけれども、以上を踏まえた上で今後の活動をしていただけるとありがたいと思います。長い間、ありがとうございました。

○山本座長

ありがとうございました。歴史を踏まえた、私も非常にいろいろなつかしく思い出させていただきました。

引き続きまして、神作委員、よろしくお願いいたします。

○神作委員

ありがとうございます。東京大学の神作でございます。私も創設以来、もう15年以上になるということでございますけれども、15年前に比べてほんとうにこの分野、大きく変わったと思います。実務面と制度面の双方において非常に大きな変化があったと思います。その変化の中で金融トラブル連絡調整協議会が果たしてきた役割は、かなり大きなものがあったように思います。

まず、実務面では、平成14年に金融トラブル連絡調整協議会が策定しました、「金融分野の業界団体・自主規制機関における苦情・紛争解決支援のモデル」、このモデルが1つのグッドプラクティスを示すということになり、実務が回転し始めたと思います。

おそらく、私の記憶だと、金融トラブル連絡調整協議会が始まった頃は、そもそも、「苦情・紛争解決支援」という言葉ではなく、「苦情・紛争処理」という、「処理」という言葉が使われていたと思います。そもそも言葉遣いが変わったということだけでも意識の変化をあらわしているのではないかと思いますけれども、その後、制度面でも非常に大きな変化がございました。それは、平成21年の金融ADR関連法制の整備でございます。金融トラブル連絡調整協議会は、その前年の平成20年に、当時は岩原座長であったとか思いますけれども、座長メモというのが出されまして、そこでは金融ADR制度の整備のための課題が3点指摘されました。

第1が横断的なADR制度、第2が紛争・苦情の一体的解決、第3が簡易・迅速・安価な紛争解決です。これらのご提言は、金融ADR制度の法制化に当たって大変大きな影響を与えたと想像しております。おそらくそのような一定の役割をこの協議会が果たしてきた理由と申しますか、背景は、金融庁という場に、金融庁が事務局となっていただき、金融庁のみならず金融関連の監督当局、それから消費者関連の行政機関、さらには各業界団体の代表者、また我々研究者あるいは弁護士など、さまざまな者が情報共有して議論をするという、まさにフォーラムとして機能したということにあるように思います。金融トラブル連絡調整協議会において先ほど述べた苦情・紛争解決支援モデルが設定され、座長メモが策定されたということは、非常に大きな成果であり、この協議会がフォーラムとして機能し得たことがその背景の1つであったのではないかと思います。おそらくこの役割は、今後もいろいろな形で果たし得るように思われます。

次に、個人的な経験なのですけれども、私は全銀協と信託協会の金融ADR機関の運営についてご意見を申し上げさせていただくということを過去に務めさせていただいたり、あるいは、現在も務めさせていただいたりしています。そこでの経験によれば、業界ごと、それから商品ごとに非常に紛争の実態が異なるということです。この点は、高橋先生と15年にわたって対立してきた争点なのですけれども、私は、一般化が必要な部分と、個別に対応すべき部分というのがあって、個別に対応すべき部分というのは、横断的な金融ADR機関によってはきめ細かく対応できないおそれがあるため、今後も注意をしながら話を進めていかなければいけないと思います。例えば、全銀協と信託協会では、そもそも事件の件数が大きく違う。特に全銀協の場合は、最近少し落ちついてきたというご報告がございましたけれども、為替デリバティブ関係の紛争が非常に多く、多くは顧客が事業者であるという特徴がございます。このような、先ほどどなたかの委員の方から、保険の場合には約款解釈というまた非常に特殊な問題がある等々、こういった金融の中での業界または商品分野ごとの個別性もございますので、この個別性を無視することなく進めていくことが実務的には重要なのではないかという感想を、先ほどの2つの金融ADR機関の運営について意見を申し上げさせていただくという機会を得て、持ったところでございます。

今後の課題について3点ほど申し上げさせていただきたいと思います。

まず第1は、これは石戸谷委員と高橋委員と全く意見が同じなのですけれども、横断的なADR機関それ自体が重要というよりも、私の考えでは、業種や金融商品によって穴が生じておりこの穴を塞ぐことが非常に重要だと思っています。したがって、穴を埋めていく努力は、引き続き進めていかなければならないと存じます。

第2は、各金融ADR機関がADRのメリット、すなわち簡易・迅速・安価を実現し、顧客の満足のいく、納得のできる紛争解決をしていくために、極力当該業界団体あるいは当該団体が提供しているサービス・商品に合わせた紛争と苦情の解決のあり方について、各機関が最大限の努力をしていただくことが重要と考えます。

それから3番目は、これも高橋委員が最後に言われた点と同じ趣旨であると思いますけれども、私は、苦情・紛争の解決が、顧客の真の利益になる金融商品・金融サービスの開発・提供につながっていくことが一番重要な話なのではないかと思います。苦情とか紛争という取引の出口のところのさまざまな問題が、実は非常に一般的、普遍的な問題を体現していて、その解決やそれに向けた検討の課題で、顧客の真の利益になる金融商品・サービスの提供、製造について創造的な影響を与える、そのような形で業務にフィードバックしていくことが期待されると感じています。

以上、簡単ではございますけれども、私から一言これまでの感想と、それから、これまで15年以上の長きにわたってこのような貴重な機会に参加させていただいたことに対する感謝を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、最後になりましたが、井上委員、よろしくお願いいたします。

○井上委員

今、お三方の委員のお話を聞きまして、非常になつかしく経緯などを思い出していたところです。

私も創立以来ということですので16年、その前の金融審のホールセール・リーテイルワーキンググループでの議論からするともう随分になります。前世紀からということになるわけです。私自身は、それまではむしろホールセールの取引において金融機関側を代理することの多い弁護士でございまして、そういう意味では、多分ここにいらっしゃる皆様と比べてリーテイルの紛争についての理解がほんとうに乏しい中で議論に参加させていただく機会を得ました。それで、その後、金トラ協に参加し、いろいろな業界団体のあっせん委員を経験させていただいたり、ADRの懇親会の委員として意見を述べさせていただくような機会を持ったりということで、このリーテイルにおけるトラブルに、興味というのも変な言い方ですけれども、だんだん関心を持つようになって、大変多くのことを勉強させていただきました。出だしのレベルが低かった分だけ得たものは非常に多かったように思っておりまして、個人的にはほんとうにありがたい機会だったなと思います。

3人の委員の方々がおっしゃったことにつけ加えることはほとんど何もないのですが、私自身も似たような印象を持っておりますので、幾つかコメントさせていただきたいと思います。

最初にこの金トラ協が始まったときは、そろりそろりと始まるという感じで、なかなかADRの利用もそれほど伸びないなという印象を持っておりました。最初は、苦情とは何か、紛争とは何かという言葉の定義のあたりから始まって、モデル規定をつくったあたりにようやく共通言語で双方が話をすることができるようになり、目指すところが少しずつはっきりしてきたと思います。ただ、実際に動きが加速したのは、ADRの法制化の前後であったという印象を持っておりまして、そういう意味では、役所の影響、あるいは法制化の影響は大きいと実感しました。

ただ、制度というものは、法律ができたからというだけで全てがうまくいくわけではないので、金融ADRの法制化自体は非常に大きかったと思いますけれども、それをほんとうに実効あらしめるのは運用だと思います。その運用において重要なのは、金融機関側がやらされているという感覚ではなくて、自分のサービスをよくするために、あるいは自分の業界をよくするために、紛争あるいは苦情、あるいはそこからの解決経験を生かしていくということです。

きょう、石戸谷委員のペーパーの中でも紹介していただいているのですけれども、1ページ目のところに記載されている金融ADR・オンブズマン研究会、これは、この中では犬飼委員と私もそこに参加していたのですが、比較的大手の弁護士事務所の弁護士が主要なメンバーになってまとめたものです。その意味では、もちろん消費者側に配慮してつくられたものではありますが、それと同時に金融機関向けにもメッセージを出そうというつもりで、いいものをつくりたいという気持ちから取りまとめたものです。

そこには、どのようなADRが望ましいのかということともに、それをどのようにつくっていくのかというステップについても言及しています。いきなり一足飛びに横断的なADRを目指すというよりは、業態ごとのADRを前提にして、それをレベルアップして、そしてその隙間を埋めて行って統一化していく、横断化していく。

横断化というのも、窓口機能から解決機能まで一気に全てを横断化するというよりは、穴をなくすという先ほどの話を実現するために、窓口、最初の受付の共通化を最初に目指しています。これに対し、その後の手続きは、業態毎の個別性もありますので、お話を聞いたり解決したりというのは各業態のADRに委ねるべき部分もあるかもしれない。そういう立場で、順次横断化、共通化を図っていくというステップにも言及したものになっておりまして、それは今でも参考になるのではないかなと自分では思っております。

このように、法制化に前後してそういう議論に参加できましたので、その後のADRの使われ方には関心を持っておりましたが、結果としては、法制化後に、ADRの利用が進んだこと自体はよかったと思います。ただ、まだ課題が残っているのも事実です。裁判手続と違ってADRについてぜひとも考えるべきだと思っていることを2点だけ申し上げますが、一つは、訴訟手続に基づく判決のような先例拘束性にこだわるのは、やめたほうがいいと思っています。もう一つは、既に指摘がありましたけれども、事実認定の厳格性についても同様で、訴訟手続のような厳格性を求めるべきではないと思います。この先例拘束性と事実認定の厳格性については、場合によっては、あるいは事案によっては、簡易・迅速・安価、というADRのよいところとトレードオフの関係に立ちますので、拙速の弊害はある程度抑えつつも、ADRのよいところを伸ばすためには、先例にこだわらずに、事案に応じて、比較的柔軟に事実を認定したり推定したりして解決する、それによって金融機関側にもメリットがある制度にしていくことが重要であり、それで利用が進んでいくようになると思っております。

以上です。ありがとうございました。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、本協議会を代表しまして、私から御礼を述べさせていただきたいと思います。

今、もうお話がありましたように、本協議会発足以来15年、16年の間、モデルの策定、それのフォローアップ、さらに金融ADR法制の整備に至るまで、4人の委員の方々には、それぞれのプロセスで多大なご貢献をいただいてきたと思います。

石戸谷委員には、常に熱い、また時に厳しい、常に利用者の目線に沿った立場からのご意見を頂戴しました。

高橋委員には、私、困ったときの高橋という、場がしんとしたときは、必ず高橋委員のほうを見てご発言をいただくということをして、適切なご発言をいただいてきました。

神作委員には、理論を踏まえて、常に深く、そして長い射程のご意見を頂戴してきました。

井上委員におかれましては、金融界を十分に理解された立場から、それをよりよくするために、冷静かつ的確なご意見を述べてきていただいたと思います。

今回、4人の委員は無事ご卒業ということになりましたが、私は先ほどのようなご説明で、卒業試験不合格ということで留年を命じられてしまいましたが、個人的には大変寂しい思いでありますし、また、座長としてはやや不安な思いも禁じ得ないところではございます。ただ、きょうもまたそれぞれのお立場からいろいろなご意見を賜りましたり、叱咤激励ということをいただきました。これまでいただいたご意見も含めまして、引き続き本協議会の運営に当たっていき、この金融ADR制度を少しでもよりよくしていきたいと考えております。

4名の委員におかれましても、これまで同様本協議会さらには金融ADRの充実・発展につきまして、引き続きお力添えをいただきたいと思っております。どうも長い間、ほんとうにありがとうございました。(拍手)

それでは、おおむね本日の議事はこの程度でございますが、何かこの際ご意見、ご質問等、もしあれば。どうぞ、犬飼委員。

○犬飼委員

石戸谷委員、井上委員、高橋委員、神作委員、大変ありがとうございました。私自身は、こちらの金トラ協は途中参加でございますけれども、高橋委員がおっしゃいました流れ懇は実はご一緒しておりまして、本当に昔からお世話になった方々が今回こちらをご卒業ということで、改めて御礼申し上げます。

石戸谷先生がきょうご説明をいただいたメモの中に、井上先生もご指摘をされておられましたけれども、私どもが作らせていただいた「金融ADR・オンブズマン研究会」の2008年11月28日の提言、そして3ページ目には早稲田の上村先生の2009年9月の論文についても言及をしていただいておりまして、誠にありがとうございます。実は昨晩、これらに気がつきまして、中身は何が書いてあるのか、きっと皆さんお知りになりたいのではないかと思いまして、大変恐縮ですけれども、私の個人のグーグル・サイトですぐ見られるようにセッティングをいたしました。もしご興味のある方は、私の名前をグーグルか何かで検索していただきますと出てきますので、ぜひご覧ください。

本当にありがとうございました。

以上です。

○山本座長

ありがとうございました。大変貴重な情報提供をいただいたと思います。

それでは、ほかにはよろしゅうございましょうか。よろしいですか。

それでは、本日の協議会はこのあたりで終了したいと思います。

なお、次回、第52回の協議会につきましては、本年12月ごろを予定しております。4名の委員がご退任ということですので、かなり新たなフレッシュなメンバーになってということになろうかと思いますが、詳細は追って事務局のほうからご連絡をさせていただきます。

本日も長時間にわたりまして大変有意義なご議論をいただきました。どうもありがとうございました。

(以上)

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課金融トラブル解決制度推進室
(内線3528)

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