第17回金融トラブル連絡調整協議会議事要旨

1. 日時:

平成14年11月5日(火)14時00分~16時00分

2. 場所:

中央合同庁舎4号館 共用第一特別会議室

3. 議題:

苦情・紛争解決支援のモデルのフォローアップについて

4. 議事内容

(苦情・紛争解決支援のモデルのフォローアップについて)

  • 苦情・紛争解決支援のモデルのフォローアップについて資料1、資料2、資料3を用いて事務局より説明があった。

    • 前回は項目2-6まで終了したので、本日は項目2-7から順番に検討していきたい。項目2-7については、規定しているところが半分位である。他方、改善予定と記載している団体が8団体ほどある。規定がなく、改善予定のない団体は何か問題があるのか。また、網掛けのところは、何も記載していなかった団体ということか。

      • 網掛けのところは、規定があって、実施も十分記述がされているA評価のところである。運用実態については、これから取組む団体の方に役立つと思われるので、色々とご議論していただきたい。

    • 金融先物取引は、独立した取引である。例えば、私どもの方に商品先物の苦情が来ればその商品を扱っている協会の電話番号を知らせているが、それを連携とは言うまいと思い、特にやってないと回答した。金融先物取引かそれ以外の苦情かは明確に判断できるので、何処が管轄しているかというのが判断できるものであればその連絡先を教えている。

    • 連携が必要となる問題が実際生じないということか。

      • そういうことになる。

    • 日本証券業協会は、電話番号の紹介だけで特に連携についての規定を設けていないが、当然設けるべきだと思う。実際、B(概ね実施)にチェックされているが、疑問が残る。今回の変額個人年金保険の銀行窓販を通じて、生命保険会社と銀行の間で色々と話し合いがなされ、業界間の垣根が低くなる中で、連携は重要である。既に連携をとっている団体間で生じる問題点は出しておいた方が良い。

    • 日本証券業協会では、平成14年10月15日の決定で、「会員の届出を要する業務等に関する苦情対応について」という会員代表者宛の通知を出している。私どもの業務に関して、協会員の業務に関するものについては苦情対応の対象にするという証券取引法の規定があり、それをそのまま受ける限りでは、規則改正は必要ない。

      今回は、会員の届出を要する業務(証券取引法第34条第2項)及び内閣総理大臣の承認を受けた業務(同法第34条第4項)に対する顧客からの苦情への対応手続きについて明確化を図った。内容としては、当該顧客の申立事案を取扱っている他の苦情・紛争処理機関へ苦情の取次ぎを希望する場合には、当該機関に取り次ぐ旨を規定したもの。第34条第2項は旧来の兼業業務であり、その届出を要するものは、現行で認められているものが25種類ある。その中で、保険の代理というのは、証券取引法本法ではなく、証券会社に関する内閣府令第25条第9号に基づく「保険業法第2条第22項に規定する保険募集」であり、それに関連して、生命保険協会の「生命保険相談規程」および日本損害保険協会の「損害保険に関する苦情・紛争解決支援規則」において、紛争の当事者として証券会社等の代理店等も対象とする旨が規定されていること等について周知したということである。

    • 連携とは、一つは門前払いではなくて取次ぐということ、もう一つは実際に関係している当事者が複数に渡る場合に、同じテーブルについて話し合って解決を求めていくということ。取次ぎは明確化されているが、二つ目の機能について進んだ議論があるのではないかと思う。

    • ここの一枚紙では「等」としているが、生命保険協会と日本損害保険協会で規定振りが異なってるが、いわゆる調停委員会レベルへの出席義務や、調停案に対する尊重義務の規定があるので、事案発生の際は対応願いたいという通知文になっている。私どもが重ねて規則等に基づいて義務付け、あるいは他団体の生命保険協会や日本損害保険協会における委員会の調停案を尊重しなければならないという規定振りにしていないが、それぞれの団体の規定が同じようにかかっているということを会員に周知した。

    • 原委員の意見は、それより進んだ問題か。

      • そのとおり。ただこれは、協議会で再度議論する大きな項目になっているので、問題点さえ出ていれば評価作業を進めてから議論するということでもよい。

    • ここで言っているのは、生命保険協会と日本損害保険協会との関係であるが、全国銀行協会との連携についてはどうか。

      • 全国銀行協会については、銀行が日本証券業協会の特別会員として加入しているが、私どもの苦情相談業務は、特別会員が加入されている登録金融機関の各業界団体に業務委託している。したがって、そこで苦情相談があれば、それは日本証券業協会の各団体から内部機関としての報告があり、そこから斡旋という事案もあがるようになっており、実績も重ねている。

    • それについては、特に規定を設けているのか。

      • 外部の機関ではなく、日本証券業協会の内部機関として行っているため、独立した業界団体間の問題ではないと思う。

    • 項目2-7の記載について、右側上欄の細則のうち、上が仲裁センターの利用について書いてあり、下方に他の業界団体との連携をうたっている。一つは信託協会、それから生命保険協会と日本損害保険協会、最後に日本証券業協会との関係を記載してある。最後のところは、日本証券業協会の斡旋制度の利用の部分であり、銀行が日本証券業協会の特別会員ということで加盟していることを受け、その銀行の団体である銀行協会が日本証券業協会から全体として業務委託を受けている。その業務委託の一部に斡旋制度の取次ぎというのがあって、業務部の証券監査室で日本証券業協会につなぐというやり方をとっている。

    • 確認すると、これは全国銀行協会内部の業務部証券監査室が扱うということになるのか。

      • 他の団体との機関間連携では各地の銀行協会の相談所に案件が持ち込まれるが、各地の銀行協会から直接それぞれの商品を扱っている協会へ取り次ぐことになっている。ただし、証券業務に関しては業務部証券監査室が一元的にやっているので、必ず各地の銀行協会から業務部証券監査室に申込み頂いてそこから日本証券業協会の方へつなげる仕組みになっている。

    • 規定がないところは、かなり分かりにくい。とにかく機関間連携は消費者が認知できるということが重要なので、規定は設けていただきたい。例えば、変額年金を証券会社が販売したことに関して苦情があった場合、苦情段階までは証券業協会でまずは話を聞いてくれるのか、それとも苦情段階から生保の方へ行きなさいとなるのか分からないのは問題。それから、投資信託協会の例では、資料2の570ページに機関間連携の規定があるが、第4条第3項で「投資者から会員以外が営む投資信託の業務に関し、苦情の解決申出があったときは、その相談に応じ、適切な機関等を紹介するものとする」とある。「会員以外が営む投資信託の業務」というのは、何を指すのか消費者の立場からは分からない。具体的な事例として、銀行が販売した投資信託あるいは生損保会社が販売した投資信託に関して、投資信託協会に販売業者の苦情が行くこともある。その場合、投資信託会社は、「当社はメーカー責任を負うのであって販売者責任はない」といった回答をして何処かに回されると思うが、投資信託協会では苦情・斡旋という区別をせず、投資信託に関して証券業協会の斡旋制度があるからと日本証券業協会に回された。ところが、日本証券業協会に行くと、その商品の販売業者は保険会社であり、苦情の段階であれば生命保険協会の証券関係へ、損保なら損保へ、銀行なら銀行へともう一度振回され、それで斡旋となれば日本証券業協会で受けるというようにたらい回しにされる。こういうことが発生しないために規定なり細則を定めていただかないと消費者は困る。機関間連携については、規定を細かく設定いただきたいと要望する。

    • 確かにご指摘の点もあるが、当方は、販売についての苦情であってもお話は伺うことを基本的にしており、その中で話が斡旋的なことになると、日本証券業協会へ紹介することとしている。通常は、投資信託協会だけで最後まで扱う場合と、日本証券行協会を紹介する場合に分かれる。

      • 先に紹介した事例であれば、斡旋として日本証券業協会を紹介するのか。しかし、日本証券業協会送られた時に「斡旋申立てをしたい」と申立人が言って手続きに入らなければ、それは再び苦情として扱われ、それぞれの販売した会社の団体に戻されるということが現実に起こっており、そこをきちっと改善して欲しい。それをきちっと書いていただかかないと、各関係機関の方々も業務の流れを承知できないこともあるのではないか。

    • 投資信託あるいは証券業務については、それぞれの業界団体の取扱い業務になっていない。あくまで、日本証券業協会に特別会員として加入している登録金融機関の各団体(全国銀行協会だけでなく、生命保険協会、日本損害保険協会、地方銀行協会、第二地方銀行協会、信用金庫協会)に業務委託して、日本証券業協会の業務として行っている。他方、日本証券業協会だけが人員を増やして対応するわけにもいかないので、苦情相談については私どものホームページで各団体の相談窓口を案内している。現在のところは件数も多くないので、投資家がたらい回しになるという不満の声は聞いていない。斡旋の申立て以降の部分については、斡旋委員が日本証券業協会にしかいないので、当協会がやっており、現実に何件か実績もあげている。

    • 使い勝手を良くしようと提案している。例えば、投資信託協会の[運用面における状況等]を見ると、「苦情紛争解決支援を行っている一覧表の設置」にはチェックが入っているが、「一覧表に記載されている情報」のところの「苦情相談と紛争解決支援のそれぞれの有無に係わる情報」にチェックがない。斡旋と判断したものは日本証券業協会に送る一方、苦情と思われるものは業界団体の苦情紛争処理窓口に送付するということが入っていないので、そこをきちんと明記していただきたい。

      • 投資信託協会としては、まずお話を聞いてあげるというのが第一で、販売にかかる、投信協会の会員以外の問題については、規則上は作ることは可能と思うがう。これがすぐに斡旋に係わる問題であるかどうかの判断は出来かねるので、やはりお話を聞いてあげた上で、どうしてもということであれば、当会会員相手の事案に限って日本証券業協会へつなぐことを考えている。

    • その「話を聞いてあげる」というのが良く分からない。もともとは販売の問題であり、投資信託協会のメーカーの問題ではないのであれば、むしろ、販売に携わった業界団体へどういう苦情があるかを周知することが必要である。

      • 投信に関する苦情を多く聞いていると、最初は何ら苦情ではなく、運用成績が悪くなった時に初めてこういう話を聞いていなかったということが大半の苦情の元となっている。そこについては、言った言わないの話が多いので、そのような対応をしている。

    • 高橋委員としては、そこを明確にルール化しておくことが消費者にとってどういう手続きを取りうるか分かるので望ましいということか。

      • そのとおり。元本割れの説明がなかったと気づいたとしたら、それは当然ながら販売業者側の責任の問題であり、本来の対応窓口でないところがそれを聞いてあげて云々ということには非常に違和感がある。

    • 消費者としては苦情を聞いてもらった後の選択はできるのか。日本証券業協会に取り次いだ後の苦情解決の方法が具体的に明示されていなければ、消費者としてはその先の解決に持っていくことさえできないと考えるが如何か。

      • 少なくとも日本証券業協会へ取り次ぐ時に斡旋制度があることを苦情の申立者に伝えている。

    • 「斡旋制度がある」と言ったとしても、証券業協会経由で各業界の証券監査室の苦情処理に回されることが問題であると、先程から指摘している。生命保険協会や日本損害保険協会や全国銀行協会にある苦情受付窓口(証券監査室)で直接受付けられる体制になっているので、それを教えるのは投資信託協会の役目ではないか。

      • 今後は、投資信託協会としも今おっしゃられたような形で運用をやって行きたいと思う。

    • 銀行で販売した投資信託のトラブルについては、必ず銀行に行き、そこで上手く話し合いがまとまらない時は、銀行協会のよろず相談所に行くとは限らない。一般の方にとっては、銀行の窓口で問題が生じた場合でも、商品は投資信託なので投資信託協会に行ってくださいと言われるケースも考えられる。あるいは、消費者の方が何処で売られようがそれは投資信託だからということで投資信託協会が対応してくれると思うかもしれない。したがって、あらゆる可能性を考えて規則を決めて、一般の消費者に周知して頂きたい。銀行が販売した商品のトラブルは全て銀行に行くという前提で規則を考えると、消費者にとって使い勝手の良いものにはならない。この問題があるから機関間連携というものをこの協議会で模索したいと考えている。

    • 私も高橋委員と同意見である。もともとこの機関間連携は、金融商品が非常に多様化して何処に話をもって行って良いか分からないというところを明確にしようということで通則的事項に入れた。ここはしっかり規則として整理し明確にすべきだと思う。そんなに諤々議論するようなものでもなく、さっと整備すれば良いではないか。

      • そこについては、明確に言葉で規定することもできるが、規則というよりは運用で充足する面もかなりあるのではないか。

    • 運用も含めて機関間連携をやろうという流れは、決して否定はされていないと思われる。単純にルールを規定して明文化して欲しい。運用という話は、ここの項目に限らず色々なところで出ているが、実際運用されていると言われても消費者の立場からは全く見えないことが問題なので、ぜひ規定を明文化して頂きたい。

    • 業態間のADRだけでなく、消費生活センター等との機関間連携について規定されている例はあるのか。あるいは、更に非会員からの相談があった時にどう対応するのか。実際、金融先物はむしろ非会員あるいは海外などの非管轄の相談が結構多いのではないか。

      • 金融先物取引は全部許可事業になっており、当協会に入っていない金融先物業者は存在し得ない。それに対して、商品先物については、海外の商品先物の取次ぎが許可事業になっていないと解釈しているので、かなり実態の分からない商品先物業者が世の中に氾濫していると思う。これは、管轄外であるため個人的意見だが、法律の整備が必要なのではないかと感じている。

      • 商品先物取引では、法律に基づいて許可された業者以外は把握できていない。

    • 海外などの非管轄に関する相談が持ち込まれることはないのか。

      • 有る。但し、当方では扱えないので、農林水産省の海外商品取引110番及び経済産業省の消費者相談室を紹介している。

    • 役所の窓口を紹介されているとのこと。また、役所の窓口や消費生活センター等の公的ADR機関との連携といったこともあると思うが、それについてルール化している団体はあるのか。

    • 日本商品投資販売業協会は、商品ファンドという金融商品に関する自主規制団体であるが、この商品ファンドを率先販売することができるのは、主務省である経済産業省、金融庁、農林水産省の許可を得た業者だけである。この2年間に一般の投資家の方から寄せられた相談は、無許可業者が商品ファンドという名前で販売をしていたというものであった。これは、主務省である経済産業省の指導で解決した。また、当方の規約の中に、投資家等から会員以外のものが行う商品投資販売業にかかる業務につき苦情の申出があった場合には、その内容を聴取し必要に応じて関係当局に連絡するとともに当該苦情の解決に協力するものとするという規定がある。

    • 項目2-8(記録の保存・苦情解決支援結果等の公表・プライバシーへの配慮等)については、規定の有無が分かれているようだが、改善予定とされているところも多い。プライバシー保護との関係で実際の運用指針のようなものを作られているところはどうなのか。

      • 規則は比較的整っていると思う。改善予定というところもあるが、この部分が無いと、ある時は公開し、ある時は公開しないという恣意性が入ってしまう。公開ルールを決めておいた方が各団体の透明性を高めるのに資するという整理をしたところ。

    • 他方、項目2-9(対応結果の報告)について、これはほとんどのところが網掛けになっており、各ADRにおいて規定を設けているということでよいか。

    • 項目2-10(外部評価の実施)については、あまり整備か進んでいない。これは、規定も運用も無いところがかなり多いだけでなく、改善予定も無いところが多い。実際にこの規定の整備、さらには実際上の運用を整備していくのがなかなか難しいという理由があるのか、各団体において何ができるか、あるいは難しいなら難しいということを含めてそれぞれ考えられたと思うので、率直にご紹介いただければ今後の参考になると思う。

    • 投資顧問業協会は対応予定なしと回答しているが、今のところ苦情・ご相談の件数があまりないというのが実態で、協会の規模等を考え合わせると、そこまでには至らないという結論である。それ以前に、規定を再整備することと斡旋への道を開くということを最優先として取組んでいる。

    • 苦情・相談の件数が少ないといった場合、コストその他を考えれば、やれることも限られてくるという指摘は前にも何回か受けている。そうではなくて、割と件数が多くて、そういう苦情相談業務の件数も多いけれども外部評価はそれほどでもないというご感触の団体があれば、率直に意見を頂きたい。規定も運用も○になっていて尚且つ網掛けになっていないところはどういうことか。

      • 当方としてなかなかAだと判断しづらいのは、外部評価のやり方は各団体における自主性を重んじるという留意点があって、これがベストだというのを事務局で言うのも如何なものかと思ったので、あえて網掛けはないとした。

    • 例えば、日本証券業協会は規定はないが、運用の改善をしていると書いている。具体的にどのような改善をされているのか。

      • HPを利用し、アンケートにより投資家からの意見を聴取し、業務の改善に役立てるということを考えている。

    • 第三者の意見を聞く機関を作るか否かという制度的な対応よりも、先ずはおっしゃったような対応にしたいというのはコストの問題か、それとも制度を作りにくいところがあるのか。全国銀行協会では、年に2回外部の方の意見を聞く会を作り、活動状況の評価をしているが、そのような形をとるかは別として、日本証券業協会は外部から意見を聞く機関を設けることは考えていないのか。

    • 協会業務全体については、そういった有識者の組織というものはあるが、苦情・紛争に限った専用委員会は設置していない。現状は公正・中立的な立場の有識者というかたちで特別顧問を招聘し、業務内容をチェックして頂いている。

    • ここの項目の趣旨は、色々な手法を使って外部から意見を取り入れるとか、評価をして信頼性を高めるところにあると思う。自主性に委ねるという事になると、外部評価の結果をこちらでチェックすることが大変難しい。HPから利用者にアンケートをお願いするのも一つの方法である。全国銀行協会は運営懇談会を設けているが、これで外部評価がされていると考えるのは早計である。懇談会では忌憚のない意見を申上げているが、その結果は利用されたりされなかったりであり、取捨選択権は協会にある。懇談会の発言が必ず取り入れられる訳ではなく、開示もされていないので外部の人々は何の話をしたのか分からない。

      • 懇談会では、貴重な意見を頂いており、それを業務改善に結びつけたという案件も何件かある。ただそれをどう使用するかどう改善に結び付けていくかというところは、協会に判断を委ねられており、必ずしも全て反映しているわけではない。お互いの意見が相違するところであるかもしれないが、私どもとしては非常に満足している。

    • モデル案全体の作り方としては苦情段階の上に紛争解決段階があるという考えである。紛争解決段階が設けられていると、苦情で解決しない事案が紛争解決の場に出てくるため、おのずと苦情段階の評価が折り込まれつつ、個別事案を解決していくことになる。つまり、モデルの内部でもって苦情段階の方が評価にさらされるという面が一つあるのと、それに加えて紛争解決では運営委員会を設置するとなっており、必要に応じて紛争段階だけでなく苦情段階を含めた勧告提言を行うことができる。紛争解決段階でかなり実績を上げている代表格といえば、証券業協会と先物取引協会だと思う。そこを見ると委員自体を外部の中立的な人物によって運営しているので、大きな機能が考えられる。

    • モデルを作る作業の前に全国銀行協会の運営懇談会のメンバーを引き受けたが、どういう形のものに出来上がっていくのかまだ分からない。平行してやっているところがあって、私の感じとしてはかなりオンブズマン的に外部の目でチェックし、意見を言う立場であろうと思っていた。実際はかなり内部的な懇談会になって、いろんな意見はそれぞれの業務の改善に結び付けていると言われる。しかし、外になかなか見えないところが問題である。基本的には出された資料や議事録がないと外部評価という言葉にはならないのではないか。今やっていることは、かなり内部的な懇談会というものになっている。HPを見た時、私などの名前を見て、ここの協議会のメンバーでもあり、かつ、評価される側の方にも入っていることにもなる。どうすれば外部の評価になるのか議論する必要があると思っている。

    • 一つのやり方があるわけではないので実質的に第三者の目が入るよう、それぞれのADR機関にあった形で尚努力をしていただきたい。

      次に項目3-1(目的)は、苦情解決支援規則の目的で一般的抽象的なものである。これについては網掛けのものが多くて概ね規定を設けている。項目3-2(苦情解決支援機関の責務・業務)についても、規定を設けているところが多い。項目3-3(苦情解決支援機関の組織及び中立性・専門性)の規定を設けているところは多いが、運用が必ずしも出来ているとは限らない。まさに今議論したばかりの外部評価制度や専門的職員の配置が整備されていないところが多く、改善の余地が多いところ。確かに実際の苦情の数等から考えて十分な規定を立てられないということはあると思うが、ここは項目2-10と同じように課題が多いので、それぞれのADR毎に実態にあった形で改善に努めて頂きたい。次に項目3-4(会員企業の責務・行為準則)については、比較的規定の整備が図られているところが多い。項目3-5(取り扱う苦情の範囲)については、業務に関する事という書き方で規定しているところが多い。問題としては、どれだけ具体的な規定になっているのかということがある。その辺で改善の余地があるかと思う。

    • 項目3-5の問題と切り離され、例えば○○業にかかる事を取扱うという形で書かれているところが多く、苦情の定義とは別の規定となっている。先ほど具体的に商品組成と商品販売のところで業が分かれ、その間で苦情の申立人がどちらにいくか分からないときに連携が必要になってくるようなケース。そういうところを付加的な形で書くことで改善されるところもあるし、その辺はまだ着手できないところもある。

    • 次の項目3-6(苦情申立人の範囲)について、運用で対応されている団体が多いようだが、書いていない団体はなにか問題点があるのか。例えば、代理人がどこまで認められるか、誰が申し立てることが出来るか等。要するに一定のルールを書くか、書かないかということで、実際書くのは難しいことではないと思う。一番整備の進んでいる全国銀行協会でもこれはまだ規定がないようだ。

      • これは当然と考えあえて書かなかった。代理人も認めているので、それで十分かと理解している。

    • 項目3-7、3-8、3-9、3-10の辺はかなり規定の整備をされているところもある。

      まだ未整備の団体はなるべく整備を図って欲しい。項目3-11、3-12、3-13のところは達成率が高い。網掛けは多くないが、○が多い。

    • 項目3-11~13は書かれているところは多いが、実際のところは良く分からないので、運用のところを議論いただければと思う。

    • この項目の回答を見たとき、事務局と同じ感想を持った。実際に明文の規定があるにしても、本当に運用でこのようにやられているのか疑問である。運用については是非お聞きしたい。全国銀行協会が評価を出されるときにやり取りしたが、その時も項目の評価が異なっていた。例えば項目3-13(調査及び会員企業の協力)は、銀行協会が斡旋機能を持っていないので、資料提出を義務として求められないという解答をもらったが、他の項目もその様な感じではないかと思うので少し実態を反映した評価をすべきである。

      • 非常に難しいところは、資料提供といった場合、資料の中身がどのようなものかによると思う。実際には、顧客から相談所へ苦情が寄せられた時には、当然、顧客の話を伺うがケースによっては顧客も自らが持っている資料を相談所の方へ送ってくることもある。顧客だけでなく、当該銀行の方とも話をするので、その段階でのやり取りについて、銀行から報告を受けている。その場合、どこまで文書で資料・報告が提出されるかについては、銀行も守秘義務があるので、必ずしも事実関係の資料を全部出せる訳ではないという微妙な問題がある。

    • 制度を利用する消費者から、なかなかうまく情報を出してもらえなくて進まないという苦情はあるのか。

      • 実際に、消費者はそんなに資料を持っていないと思う。

    • ADR機関に持ち込んで手続きに入った時に、ADR機関を通じて相手方である企業に情報提供を求めても思うように進まないといった苦情はあるのか。

      • 消費者が企業に資料提出を求めても、初めから資料は存在しないという言い方をされることが往々にしてある。

    • 企業としては、なるべく出したくないし、場合によっては訴訟の方に移行することも考えられるので、どこまで協力してもらえるかということはあるかと思うが、逆に言えばそういった対応義務があってある程度資料を出してもらえるというのがADRの存在意義にもなる。是非努力をお願いしたい。次に項目3-14(解決案の提示及び尊重義務)であるが、最近仲裁センターに移送するというADR機関が多いが、仮に仲裁センターに移送するとしてもADR機関としての案を示すことができないかという指摘もある。

    • 仲裁センターに移送というということは、あまり想定していないでモデル案を作った。この解決案の提示及び尊重義務は、当該機関の中で解決できるものは解決するという精神で入っているものであり、仲裁センターに送るかどうかというのとは関係ない。

    • 前回も仲裁センターに移送した場合の問題点が議論になって、今後これを取り上げざるを得ないと思っている。前回ご欠席であったため、問題についてのご意見を伺うことができなかった山本委員にご意見を伺いたい。

    • 私もモデルの作成に参加したが、仲裁センターとの連携についての手当が不十分であったというのはそのとおりだと思う。この連携を考えるとき、仲裁センターの中の手続きがどのように進むのか考える必要がある。仲裁センターという名前なので仲裁手続きをしている機関のように思えるが、実際は必ずしもそうではないと伺っている。法律的な意味での仲裁合意がなく手続きが進む場合も相当数あると聞いているので、仲裁センターにおいて顧客と金融機関との間で仲裁合意が締結される場合の手続きと、それが締結されない場合の手続きとを分けて考える必要がある。仲裁センターでの斡旋に、金融機関が応じる義務があるかどうかということが前提として問題になると思う。紛争解決支援のモデルでは、会員企業の手続き応諾義務として規定したが、それが仲裁センターでも適用されるか否かが一つの問題となる。その先の問題として、会員企業が仲裁契約に応じる義務があるのかどうかということも問題になる。このモデル全体は、会員企業が裁判を受ける権利を尊重しているので、仲裁契約の応諾義務まではないと思うが、解決案について拒絶理由を会員企業が説明する義務を課している。それが果たして仲裁契約を拒否する場合にも適用されるのかという問題も出てくる。仲裁契約が締結されずに斡旋手続きが進行する場合の論点としては、会員企業の書類等の提出義務、事案解明への協力義務、斡旋案の受諾義務というものがある。いずれもその受諾自体が義務ではなく、拒絶理由を説明した上で、場合によってはそれを公表するという形で規律が規定されているが、これが仲裁センターの場合にも適用されるのかどうか。また、仲裁センターで書類等の提出を求められた場合、あるいは仲裁センターが斡旋案を出した場合に、それを拒絶した会員企業がその理由を説明する義務があるのかどうか、場合によっては会員企業名が公表されることがあるのかどうかが論点になると思う。その他の論点についても、紛争解決支援モデルの中で個別の仲裁センターに任せておけばよいような事項も色々あるのではないかと考えられる。例えば、標準処理期間を仲裁センターでの手続きに適用するのかどうか、会員企業に対する措置勧告のようなものを認めるのかどうかという問題である。つまり仲裁センターに任せる事項と紛争関係支援モデルの趣旨を及ぼす事項というのを分けて整理していく必要がある。

      最後に仲裁契約が締結されて、仲裁センターとの手続きが進む場合は、仲裁法の適用があるといえる。ご承知の通り、仲裁法は改正作業が進行中である。仲裁法が仮に適用されれば、会員企業の義務を会員企業が拒否した場合には、仲裁法上、仲裁機関から裁判所に対して証拠調べの協力を求めることができるようになっている。裁判所の協力手続きでは、証人尋問や文書提出命令という民事訴訟と同じ手続きが可能なので、当然事案解明ははかれるし、最終的な解決結果の応諾義務に関しても、仲裁判断が当然に裁判所の判決と同じ効力をもつから同意は一切不要ということになる。仲裁契約が締結されれば、会員企業は非常に強力な手続きとして応じざるを得なくなる。

    • 本日は項目3-14まで検討したので、残りの項目3-15~18については次回ご検討頂きたいと思う。

  • 議事資料の公表について了承された。

  • 裁判外紛争処理制度の改善に向けた取組みについて、日本証券業協会(議論冒頭にて報告)、日本損害保険協会から報告があった。

(以上)

問い合わせ先

総務企画局企画課
電話03-3506-6000(内線3517)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正がありえます。

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