ソルベンシー・マージン比率の算出基準等に関する検討チーム(第5回)議事要旨

1.日時:

平成19年1月29日(月)16時00分~18時30分

2.場所:

中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

3.議題:

「ソルベンシー・マージン比率等に関する検討課題について」

4.議事内容:

  • 第五回検討会が開催された。
  • 植村委員より、資料5-1「破綻会社のソルベンシー・マージン比率とその後の見直 しについて」に沿って説明が行われ、事務局より、資料5-2「破綻保険会社のソルベンシー・マージン比率及びその後の対応について」に沿って説明が行われた。
  • 森本委員より、資料5-3「経済価値ベースのソルベンシー・マージン基準の実現に向けて」に沿って説明が行われ、庄子委員、田口委員より、それぞれ資料5-4「経済価値ベースの健全性評価について」、資料5-5「森本委員ペーパーへのコメント」に沿って、森本委員の資料に対する意見の説明が行われた。
  • 庄子委員より資料5-6「第三分野の責任準備金評価等について」、住谷委員より資料5-7「責任準備金と内包されるリスク・マージンについて」に沿って説明が行われた。
  • 事務局より、資料5-8「主な論点(第二稿)」に沿って説明が行われた。

上記説明に対して、資料5-8の論点に沿って、自由討論が行われた。主な内容は以下のとおり。

「 I  基本的考え方」について

(意見)

「破綻しそうかどうか」という懸念と、「本当に破綻なのか」の認定は別の指標が必要であることから、ソルベンシー基準を経済価値で考えるということはどういうことか、ソルベンシー基準が継続基準ならば、清算基準はどう考えるのか、その二つはどう対比され、またそれを補完するような指標は何か、といったことをまず整理し、その後、経済価値ベースのソルベンシー基準の考え方を整理するという流れがよいのではないか。

(意見)

「ソルベンシー・マージン比率の有効性・信頼性」の記載中で「相当な改善」とあるが、破綻会社の検証においても問題点が指摘されており、修正すべきではないか。

(意見)

ソルベンシー・マージンを含めた様々な開示指標の説明と相互関係を明確にするための一覧表のようなものを作成し、生損保両協会のディスクロージャー解説書ならびに各社のディスクロージャー資料に掲載してはどうか。

(意見)

ソルベンシー・マージン比率は健全性を示す指標であるが、日本においては一般消費者も参考にする指標であり、この指標の意味するものを正確に伝えるため3つの視点が考えられる。

  • 一般消費者に対してソルベンシー・マージン比率の性格を正しく伝えるため、その性格についての記述を掲載するだけでなく、新たな表示方法を模索する必要はないのか。

  • 保険会社がソルベンシー・マージン比率の値を不要に上げる競争を避けるための表示方法はないのか。

  • ソルベンシー・マージン比率の信頼性を高めるために、第三者機関の監査を適用する必要はないのか。

(意見)

  • 論点整理の切り口を整理して記載してはどうか。

  • 「ソルベンシー・マージン比率の有効性・信頼性」に、株式会社の場合、過剰資本を積む問題もある旨を入れてはどうか。また、定量的評価の他に定性的情報による評価も併せて行う旨を入れてはどうか。

(意見)

ソルベンシー・マージン比率の信頼性を高めるために財務諸表のチェック体制を充実させる必要はないか。(例えば、半期ごとの監査)。

(意見)

監査の問題が指摘されているが、ソルベンシー・マージン比率のために監査をどうするかという議論になるのか、重要性の観点からみると監査をしてどれだけの効果があるかといった点も疑問である。

(事務局)

ソルベンシー・マージン比率の有効性、信頼性を考える上で、財務諸表に対する信頼性といった観点からのご指摘を受けていると認識している。論点が明らかになるよう修正する。

(意見)

ソルベンシー・マージンが実質的に意味を持たない可能性があるのは支店形態の保険会社であり、「海外保険グループの日本支店」と「海外保険グループの日本法人」は分けて考えるべき。

(意見)

支店形態の場合で海外の本社が倒産した場合の倒産隔壁がないのであれば、ソルベンシー・マージン比率を計算するのは誤解を招くので、保険契約者保護機構からはずし、それを明確にした上でソルベンシー規制から外すことも考えられる。

(事務局)

他国の状況をみると、支払保証制度に関しては支店会社であっても加入する義務があり、支払保証とそれに伴う監督を行うことはグローバル・スタンダードと考えている。

(質問)

支払保証制度の意味があるよう法的対応をすべき、持ち込み資本を決め、海外の本社が倒産した場合でも、支店については、純財産または資産を保全するような対策をとらないと保険契約者にとってミスリーディングではないか。高いソルベンシー・マージンを示しても、本体が脆弱であれば意味がない。これについて諸外国の状況はどうなっているのか。

(事務局)

諸外国の状況について説明できる材料を持ち合わせていないが、日本の制度であれば供託金の必要があり、この部分に関しては優先弁済権がある。資産の国内保有義務はあるが、海外本社の倒産手続きが及ぶ点については、ご指摘のとおりである。

(質問)

外銀は預金保険機構の対象外だったと思うが確認いただきたい。

(意見)

損害保険会社の場合、海外に本店がある支店の場合は小さい規模の会社が多い。一方、生命保険会社の場合は支店の規模が大きく、規制の連続性も考慮する必要がある。

(意見)

ソルベンシー・マージン比率は相対的な指標であるが、会社の規模によって何らかの考慮が必要かも知れない。規模が大きい会社については、国内社と同様の規制でよいが、規模の小さな会社については、海外の占める部分が大きく、何らかの形で考慮できないか。

(意見)

銀行の支店形態の場合、預金保険機構に入っていないとの話があったが、平成11年の金融審の答申では、「外国銀行の在日支店も預金保険機構の対象化を図ることが望ましい」という記載があり、加入の方向ではないか。

(意見)

事業継続基準なのか、清算基準なのかという議論であるが、破綻処理に伴って何らかの契約者負担が発生することを考慮すると、早期是正措置が適切に機能し、保険会社が継続される仕組みが望ましい。したがって、事業継続を前提としつつ清算的要素も加味されるという対応が望ましいのではないか。

(意見)

ソルベンシー・マージン比率を考える上で、清算的要素の混在は好ましくなく、事業継続基準でみて健全性に不安がある場合、別途清算基準でチェックするという二本立てが望ましいのではないか。

(意見)

基本的な考え方について、保険会社の破綻処理、破綻事例をみると、破綻直前に解約した者の方が有利になるという破綻処理となっている。早期解約が有利にならないように早めに早期是正措置を行うことが適切である。

「 II  目指すべき方向」について

(質問)

フィージビリティの把握に関し、フィールドテストとの記載があるが、どのようなものをイメージしているか。

(回答)

  • ソルベンシー評価を経済価値ベースで行うと、会社の中で適切なリスク管理を行っているかということに収斂していく、たとえば、「経済価値と整合性のあるマージンの捉え方」、「オプションの評価としてどのようなことを行っているか」など、各社で考えている課題や問題点などについて、「現状どこまでできているか」、「実現のために何を行えばよいか」といったことを確認する。このような作業を通じ、標準的手法、簡便法をどこまで認められるか、方向性、時間軸といったものが見えてくるのではないか。

  • フィージビリティテストは、実務的には、評価の考え方と計算方法を示し、その可否をスクリーニングするというキャッチボールが必要である。

(質問)

清算基準は原則非公開、継続基準は原則公開とあるが、清算基準でトリガーが引かれる場合は、非公開では契約者はわからない。どのような考え方か。

(回答)

大きな損失が起こらない段階で、何らかの対応ができるのであれば、開示しても良いかもしれないが、あらぬ誤解、混乱を招くことは回避する必要があり、消費者への周知のあり方として、ABCに分類する方法もある。

(意見)

生命保険会社のディスクロージャーは進んできており、開示しないことは問題。継続基準、清算基準とも、いずれも開示すべきではないか。

(意見)

経済価値ベースでの責任準備金は、監督上の基準として必要なもので、会計基準と100%一致するものをイメージしているわけではない。清算基準の場合、掛け目の判断は難しく、不要な憶測を生まないよう考慮する必要があるという趣旨である。特に換金価値はナーバスなデータという認識を持っている。全体としてディスクロの流れを止めようという意図ではない。

(質問)

経済価値ベースにおける清算基準というものは、どのようなイメージなのか。新しい会計基準が前提となるのか。どのような時間軸で考えているのか。

(回答)

実質資産負債差額では、売却できるアセットについては、会計ベースであるが、実際に売れる価格とは乖離している。ある程度そのようなギャップを予測しておかないと問題が発生する。逆に解約返戻金を上回らなければいけないというのは保守的すぎる面もある。

時間軸については、現時点では考えていない。

(意見)

会社の評価は、清算価値と継続価値の高い方ということでよいが、監督ベースでは清算価値であるべきである。清算価値がマイナスであれば、是正措置命令を出す。継続価値があるのであれば、増資の引き受け手がいるはずである。増資できないのであれば、破綻処理を行えばよい。

(意見)

契約者の行動を考慮すると、不要な憶測を生まないことも重要である。予定利率の引き下げの改正が議論されたとき、制度が適用されたとしても引き下げが行われない契約者が解約するといった動きもあった。そうした動きが助長されることになるのはルールを作るうえで問題と認識している。

(質問)

継続基準と清算基準のどちらが厳しいと考えるか。

(回答)

清算基準の方が一般に厳しく出やすい傾向があるが、同じ200%を基準とするかは別の議論があると認識している。

(意見)

保険会社は、保証を継続させることが重要であり、清算して終わりではない。今の責任準備金のフレームワークで清算基準を考慮した場合、流動性リスクなども考慮すると極めて厳しい水準となり、破綻しなくてもよい会社を破綻させることになるのではないか。責任準備金のリスク対応力が高いことも考慮すべき。

あえて清算基準というのであれば、継続基準をベースに資産を保守的にみる方法が考えられる。厳しくすればキャピタルが過剰になる恐れもある。

(意見)

全部時価で短い期間で処理する評価を行うといっているわけではない。リーズナブルで売れる価格で評価すべき。継続基準から清算基準へ途中で変更する方法は、ソルベンシー・マージン比率がいきなり悪化するため問題がある。

(意見)

ソルベンシー・マージンとは違う基準で、清算的な観点を盛り込む方法が考えられる。事業継続基準のキャッシュフローテストをリファインするという方法もある。ソルベンシー・マージン比率として2つ設けるのは問題であるが、ソルベンシー・マージン比率で全てが測れるわけではないという前提で議論する必要がある。

「 III  具体的な見直しの実施に向けての考え方」について

(意見)

健全性を高めずに、ソルベンシー・マージン比率が高まる仕組みがあれば、是正すべき。例えば、意図的にソルベンシー・マージン比率を高くするデリバティブについては、監視するようにしてはどうか。

(意見)

「リスク評価の高度化」については、平時と有事ごとの違いを明確にした上で、責任準備金対応債券と満期保有目的債券のリスクについての取り扱いに整合性を持たせる。

(意見)

現状、中間期にもソルベンシー・マージン比率を算出・公表しており、またIAISにおいても、リスクを評価する期間は1年間が推奨されることが多いことから、リスクを評価する期間は1年としてよいのではないか。

(意見)

保険契約は、約定した保険料と保険給付の変更が困難である一方、資産運用は、経営判断によりある程度方針の変更が可能といったリスク特性の違いがあることを考慮すれば、リスク評価について測定方法や信頼水準に複数の基準があることも許容されてもよいのではないか。

(意見)

フォーミュラー方式の簡便性や統一性といった利点を活かしつつ、各社のリスク状況を適切に反映するような算式の見直し等の精緻化が望ましい。価格変動等リスクの分散投資効果について、各社の資産ポートフォリオに応じた結果となるような算式の見直し等が考えられる。

(意見)

保険契約の長期性を考えれば、インフレヘッジ機能のある株式を責任準備金の対応資産とすることには意味があるが、金利リスク・金利感応度といった視点からは評価が難しく、株式保有が困難になる等の問題点が懸念される。

(意見)

責任準備金の金利リスクについても、金利変動に伴うキャッシュフローの変動の見積もりが必要であり、債券とは異なる金利リスクの評価が必要となるため、その測定手法等については十分な検討が必要である。さらに、契約内容のオプション性のリスク評価への反映や、解約動向等の契約者行動の不確実性についても測定・評価する必要があり、課題は多いと考える。

(意見)

現行の財務諸表を前提に、ALMによるリスク管理の充実を促す観点から責任準備金対応債券のリスク評価について、満期保有目的債券と同様の取扱いとしてはどうか。

(意見)

今後算入を検討すべきリスクについては、既に整理が行われているものもあり、いずれも直ちに議論の対象とはなりにくく、重要性もそれほど高くないと考えられることから、将来的な検討課題とすればよいのではないか。

(質問)

  • 損害保険の短期の1年ものの契約は、リスクマージン部分を取り出せるのか。

  • 解約返戻金を保険負債のフロアーとするという考え方だが、解約返戻金超過部分をリスクマージンであるとすれば、ダブルカウントになっているのではないか。

(回答)

IAISのトータルバランスシートアプローチにおいては、リスクマージンをどの程度にするかは、クリティカルな問題ではないと認識している。

会計において、負債と資本金をどのように分けるかということだが、短期契約の場合は、未経過保険料の中にリスクマージンが織り込まれている。

リスクマージンを計算する方法に関しては、資本コスト法、パーセンタイル法などがあるが、簡便法としては、保険リスクの一定%といった手法もある。問題点がないわけではないが、実質的な問題にはなってこないのではないかという意味である。

(回答)

トータルバランスシートアプローチは全体として必要な資産を考えるわけだが、一気に移行することは難しい。そこで現状の日本の責任準備金を前提とすると、リスクに対応するマージンの相当分が責任準備金に含まれていることから、それらのマージンの一部をキャピタルとして評価することとし、その際、責任準備金の最低水準として、全期チルメルと解約返戻金の水準を比べて保守的な評価をするという考え方である。

(回答)

財務諸表の自己資本とソルベンシー・マージンの自己資本の概念は異なっており、解約返戻金超過部分は、責任準備金の中に入っているが資本扱いされているということである。財務諸表上の自己資本には入っていない。ダブルカウントということではない。

(意見)

劣後債務、基金、株式会社の優先出資証券、連結ベースか単体ベースか、少数株主持分を資本にいれるか、連結調整勘定、のれんの問題などを現行規制における取扱いを説明いただきたい。これらについては、論点として挙げるべき重要な課題と認識している。

(意見)

清算的な観点から見れば劣後債務は使えるということになるのではないか。

(事務局)

現状のソルベンシー・マージン基準の枠組みでの整理がどうなっているか。各保険会社が資本のバッファー性をどう考えているか。論点を整理して提示したい。

(意見)

劣後債務については、倒産法制とも関係している問題である。

(質問)

負債の期待値がベストエスティメイトであり、法定責任準備金との差がリスクマージンと考える。解約返戻金の議論の中で全期チルメルの話がでていたが、どのような意味でベストエスティメイトを用いているのか。

(回答)

ベストエスティメイトは、積立方式の話ではない。保険料計算基礎率ではなく、実際の基礎率を用いて計算したものという意味である。

逆ざやが発生している商品もあるが、一般的に各社基礎利益がでていることから、全体としては一定のマージンがあると考えられる。ベストエスティメイトの差という観点から考えると、日本の法定責任準備金のマージンは相当あるというのが趣旨である。

(意見)

現状では、ベストエスティメイトや清算価値、保険負債の時価評価などの推計技法は難しい議論となっている。客観性や正当性の説明が複雑で難しく、行政命令の発動基準や公表指標として用いたりするほど精緻化するのは困難なものと認識している。

(意見)

前提の置き方で超長期のシミュレーションには相当な差が発生するため、その差を認識して議論する必要がある。日米の監査水準は大きく異なっており、銀行で監査報酬が10倍違うといった違いも認識すべきである。

(意見)

ベストエスティメイトの見積もりは確かに難しいが、保険料の基礎率で評価を行うよりも、詳細にデータをみることにより考え方が明確になるという意義がある。USギャップ、国際会計基準においても通常オーディターは確認のための経験値分析を要求する。難しい作業であるが、継続的な作業でやっていくしかない。

(意見)

見直しに当たっては、以下のような視点が必要である。

  • リスク管理の充実を図るインセンティブとなり得ること(各社のリスク管理と整合的な評価基準となっていること)

  • 早期是正措置のトリガーとして統一的な尺度となっていること

  • 過去からの連続性が保たれ、保険会社の投資行動等へ不適切な影響を与えないものであること

  • 実務面から見て対応可能であること

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
監督局保険課 秋田(内線3770)
山村(内線3431)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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