日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会(第4回)議事録

1.日時:

平成25年11月27日(水)9時00分〜11時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室

○神作座長

おはようございます。ただいまより日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会(第4回)会合を開催いたします。皆様、ご多忙のところご参集いただきましてまことにありがとうございます。

なお、本日は所用により古市メンバーがご欠席されておりますけれども、保険会社による運用に関しては、古市メンバー以外に専門的知見を有する方がいらっしゃらないこともあり、本検討会運営要領の第4条「座長は、必要に応じ、学識経験者、関係行政機関の職員とその他適当と認める者の出席を求め、その意見を聞くことができる」との規定に基づきまして、日本生命保険相互会社株式部長の岩崎貢様にご出席をお願いしております。よろしくお願いいたします。

それでは、議事に移らせていただきます。

本日は、日本版コード策定に関連する各種事項のご報告を行った後、日本版コードの各原則についての追加の議論を行うという流れで議論を進めてまいりたいと存じます。

初めに、経済財政諮問会議「目指すべき市場経済システムに関する専門調査会」における議論の結果についてご報告いただくために、参考人として、内閣府経済社会システム担当の佐久間正哉参事官にご出席いただいております。そこで、まず、佐久間参考人からご報告をいただき、その後、当該ご説明内容についての質疑応答を行いたいと存じます。

次に、これまでの検討会においてご意見のあった、日本の既存の法制度との関係で生じる論点に関しまして、事務局からご説明をいただき、その後、当該ご説明内容について質疑応答を行いたいと思います。

続きまして、「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」における議論の結果について、本検討会の幹事でいらっしゃいます内閣官房日本経済再生総合事務局の白川参事官からご報告いただき、その後、当該ご説明内容についての質疑応答を行いたいと思います。

最後に、前回に引き続き、日本版コードの各原則について、再度、自由討議を行うという流れで議事を進めてまいりたいと存じます。

なお、メンバーの皆様には、事前送付させていただいておりますので、時間の関係で、この場でのご説明は割愛させていただきますが、「ICGN 機関投資家責任原則」及び「国連責任投資原則」について、事務局に概要をおまとめいただいておりますので、参考資料として席上配付させていただいております。

また、「欧米における機関投資家の投資先企業への関与の実態」について、事務局において委託調査を実施しております。こちらにつきましても、メンバーの皆様には事前送付させていただいておりますので、時間の関係でこの場でのご説明は割愛させていただきますけれども、欧州については株式会社日本投資環境研究所、米国につきましては株式会社野村資本市場研究所より、それぞれ調査報告をいただいておりますので、こちらにつきましても参考資料として席上配付させていただいております。

それでは、早速、日本版コード策定に関連する各種事項のご報告に移りたいと思います。

まず、経済財政諮問会議「目指すべき市場経済システムに関する専門調査会」における議論の結果についてのご報告でございます。こちらは、日本版コードを策定するように求めております、6月の日本再興戦略において、その取りまとめに当たっては、「我が国の市場経済システムに関する経済財政諮問会議の議論も踏まえながら検討を進める」、このように記載されていることを踏まえ、ご報告をお願いするものでございます。

それでは、佐久間参考人、15分程度でご報告よろしくお願いいたします。

○佐久間参考人

内閣府参事官をしております佐久間でございます。本日は有識者会議にお招きいただきまして、また、説明の機会を賜りまして、ありがとうございました。それでは、座ってご説明させていただきます。

説明に当たっては、基本的には資料1−1のポイントのペーパーに沿って説明を申し上げたいと思います。1ページ目を開いてください。まず、本調査会の経緯ですけれども、経済諮問会議のもとに本年4月下旬に設置されまして、約半年間にわたり議論が行われました。そこでの問題意識は、一言で申しますと、金融市場の暴走といった弊害を回避しつつ、中長期的投資が促されて、イノベーションが連続していくような、実体経済主導の持続的な成長を実現する、そういった日本的な市場主義のあり方は何かというもの、それを問題意識として議論してきた、そういうわけでございます。

まず、資料の1枚目をごらんください。これは第1回の有識者検討会の会合でも中間報告の1枚のポンチ絵みたいなのが示されていまして、その中でも説明があったと思いますけれども、我々が目指すべきものというのは、マネーゲームに偏り過ぎることなく、継続的に価値創造が行われる、実体経済主導の持続可能な経済システムであるということでございまして、この絵で言いますと、上段に掲げられているところでございます。その際、本報告では、下段にある従来の日本の仕組みを手がかりにして、日本の経験で得たものを再構築しながら目指すべき市場経済システムを実現していくための課題というのは何かと、それについて議論を深めていきました。

絵で言いますと、従来の日本の仕組みというのは、今は大分崩れてしまっているところもありますけれども、メーンバンク制等によって中長期的資金が供給されていたとか、企業が多様なステークホルダーとの結びつきを重視してきたこと、売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方よし」でありますとか、あるいは、長期雇用による人材育成。目指すべき市場経済システムの構築においては、こういったものが手がかりになると。ただ、この両方の四角のバツに書いてあるとおり、過去の姿への安易な回帰ではいけないとか、実体経済を伴わない短期的な利益のみを求めるマネーゲームに偏り過ぎるとやっぱり問題があるということでございます。

そこで、議論を深めるに当たって、どのように整理したかといいますと、この真ん中にある矢印の中で整理したものでございます。まず、持続的な成長を支えるイノベーションのための中長期的な資金の確保が必要であるということ、そこをまず明らかにしまして、ここが報告書では第2章で書かれているところでございます。そのために、企業の総体的な価値を高めていく企業統治が必要だと。あるいは、非財務情報も含めた形で企業と投資家等とのコミュニケーションの向上が必要であるとか、また、こういった実体経済の成長を支える安定的な金融システムがこれらの前提となるということで議論を深めていったというわけでございます。

1枚めくっていただき2枚目では、持続的な成長を支えるイノベーションのための中長期的資金のあり方について整理しました。「中長期的資金」とは、表題のすぐ下に書いてあるとおり、イノベーションの原資となる資金のことです。企業の資金調達には株式以外、社債等の負債によって調達するということもあるのですけれども、本報告では株式に注目しております。

その下に、中長期的資金を必要としている背景ということなのですが、第1に投資の短期化ということがあるだろうと。そういった投資の短期化により、短期的な業績改善圧力が高まり、企業のイノベーションに取り組む忍耐力が弱まる懸念があるのではないかと。あるいは、株主利益最大化の観点にのみ縛られた投資判断によって企業が総体的価値を維持することが困難になり、株主価値を損ねる恐れがあるのではないかと。

そして、これらの問題として中長期的資金を確保するために何が必要かということで下の「今後の課題と方向性」というところに書いてあります。まず、企業が総体的価値、これは株式価値のほかにも、さまざまな、なかなか数値化しにくい、例えば環境問題への対応とか、地域との共生とか、安全・安心の確保とか、そういったことも含めた価値ということで報告書では定義しておりますけれども、企業が総体的価値を高めて市場に対してビジョンと具体策を明確に発信していくことが不可欠であろうということでございます。そのために、投資家等との間で積極的なコミュニケーションが必要だと、多様なステークホルダーへの情報発信が必要だと。あるいは、企業の中長期的な展望の提示といったものが必要ではないかといったようなことを述べております。

また、投資家の投資への理解を深めて、投資家の裾野を拡大するということもまた必要であろうということで、そういった中長期投資への理解を深めること、金融リテラシーの向上、あるいはNISAとかいった手段を通じて投資家の裾野を拡大していくこと。あるいは、投資家の経営への関与、スチュワードシップの話にもつながっていくわけですけれども、そういったことが必要だということを述べております。

さらに、資本市場において中長期的な投資のインセンティブが適切に伝わっていくということが必要であろうということも述べております。

3枚目に移らせていただきます。3枚目は、2枚目で書いた課題の方向性のところを、特に企業側の話を中心に見て、さらに深掘りして検討したと位置付けられるかと思いますけれども、左側では企業の総体的価値を高める企業統治が必要ということで、その中身をまとめております。現代の企業活動においては、環境問題への対応でありますとか、地域との共生とか、安心・安全の確保のために多様なステークホルダーとかかわり合いながら企業は価値創造に取り組むことが重要になっております。このため、従来の「三方よし」の考え方を発展させて、多様なステークホルダーを重視して、中長期的な視点に立って、企業の総体的価値を高める必要があるということでございまして、具体的には多様なステークホルダーの利害調整を重視した企業統治でありますとか、新陳代謝を進めながら人的資源の形成、活用を可能とする企業統治でありますとか、投資家の受託者責任の発揮による企業投資の向上が必要であるということ。

その際に、例えば独立社外取締役の活用、これは特に多様なステークホルダーの利害調整重視の企業統治という部分にかかわってくる部分でございますけれども、もう一つ、日本版スチュワードシップ・コードの策定。本日議論になっている話でございますけれども、これは投資家の受託者責任の発揮による企業投治企業投資の向上の取り組みとして課題になるということを述べております。

スチュワードシップ・コードの話について、報告書において、どのように触れているかということで、資料1−2の10ページをごらんいただければと思います。(3)ですけれども、「今後の課題と方向性」ということで書いてありまして、10ページ目の下から7行目に機関投資家の責任として、機関投資家が短期的株主利益の最大化に偏らないで、中長期的な企業の総体的価値の増加も視野に入れて受託者責任を果たすことが必要といったような指摘をしております。

また、12ページでございますけれども、マル3のところで、「企業投資家を通じた企業統治の向上」という項目がございまして、ここで日本版スチュワードシップ・コードが策定されることが望まれるということが述べられておりますけれども、もう少し具体的に申しますと、機関投資家は企業の経営を規律づけ、企業に中長期的な投資を促し、持続可能な成長を促していくために、企業と建設的なコミュニケーションを行うことが重要で、こうした対応を通じて機関投資家は適切に受託者責任を果たすことができる。このための具体的な方策として日本版スチュワードシップ・コードの策定というのが考えられる。また、策定に当たっては、既に英国で策定されているコードを念頭に置きつつも、機関投資家と企業との建設的なコミュニケーションによって企業の持続的成長を実現することを重視した日本の実情に応じたコードが策定されることが望まれるといったことを指摘しております。

また、資料1−1の3ページの右側を見ていただきたいのですけれども、企業によるコミュニケーションの向上ということについてもまとめております。これはROEに代表される財務情報だけでなくて、環境や地域社会への貢献など非財務情報も含めたコミュニケーションの向上というのが求められているのだということで、そのために統合報告に代表される非財務情報を含めた企業の総体的な価値の発信、また、それを経営戦略を明確にする一環として位置づけて、企業活動の全体像を発信するための体制整備が不可欠だといったようなことを述べてございます。

次に、4枚目でございます。4枚目はごく簡単にしか述べませんけれども、安定的な金融システムを実現して、大規模な金融危機を未然に防止するために、国際的な金融制度改革の取り組みに積極的に参加貢献し、マクロプルーデンス政策による金融市場の効果的な監視を行っていく必要があるといったことを示しております。システムが暴走して実体経済に悪影響を与えないようにというような問題意識でございます。

最後に、「おわりに」ということで報告を締めているのですけれども、以上、目指すべき市場経済システムの実現のために必要な課題と方向性を示し、これらに取り組んでいることによって目指すべき市場経済システムが構築されることになると。そのもとで、近視眼的なコストの削減を図り、縮小均衡を招く企業行動ではなく、拡大均衡をもたらす企業行動がとられて、中長期的な投資やイノベーションが進み、質の高い雇用が増加する新しい成長が実現するといったことが期待されるといったようなことで、あるいはこうしたシステムについて世界に発信していく必要があるのだというようなことで、報告書を結んでございます。

あとは、資料1−1の5ページ目を見ていただきたいのですけれども、具体的な委員名簿と開催実績が記載されておりますのでごらんいただければと思います。先ほど申し上げたとおり、4月以降、6回の会合で取りまとめを行ったということでございます。

最後に6ページ目、今まで申し上げた説明を1枚目から4枚目の紙を1枚にまとめるとということで大体、こんなような形になると。目指すべき市場経済システムについて、諸課題を実現していくために、資金の受け手である企業と、資金の出し手である投資家側においてそれぞれ課題がある。あるいは、その両者を結びつけるのが資本市場でありますけれども、そういった資本市場の場で中長期的投資のインセンティブの適切な伝播という課題がある。これらの課題を実現されていくと、拡大均衡につながる企業行動がとられて、安定的な中長期的資金確保というところにつながっていくのではないかというような問題意識が1枚の紙でまとめられております。

以上、専門調査会の報告をさせていただきました。どうもありがとうございました。

○神作座長

どうもありがとうございました。

それでは、ここで一旦、質疑応答に移りたいと思います。ただいまの佐久間参考人からのご説明につきまして、メンバーの皆様からご質問、ご意見等がございましたらご自由にご発言を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。川田メンバー。

○川田メンバー

質問でございますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。

3ページ目の左側の「総体的価値を高める企業統治」のところでございますが、「今後の課題と方向性」の、「多様なステークホルダーの利害調整重視の企業統治」の項目の中で、「独立した社外取締役の活用により、多様なステークホルダーの利害のバランスを図り」と記載されておりますが、独立した社外取締役を活用することが多様なステークホルダーの利害のバランスを図ることにどのように結びつくのか教えていただきたい。同様の記載は、6ページの1枚にまとめた図の左側にもございますけれども、この「多様なステークホルダー」というのは、3ページの左上の括弧にあるように、株主、従業員、顧客、取引先、地域住民等を指している言葉であると理解しておりますが、こうした多様なステークホルダーの利害のバランスを、独立した社外取締役の活用によりどのように調整するのかが少しわかりにくかったので、お訊ねしたいと思います。

○佐久間参考人

ご指摘の点については、報告書で言いますと10ページ目から11ページにかけて書いておりまして、特に11ページ目のところでございますけれども、社外の取締役さん、特に独立した立場にある取締役さんは、社内取締役さんに比べるといろいろなしがらみがないだろうと。あるいは既成の経営方針とか既得権益にとらわれず、多様なステークホルダーの利害のバランスを図り、総体的価値を向上させるための合理的な判断を下す上で重要な役割を果たすことができるのではないかというのが報告書の考え方でございます。これはある意味、しがらみがなくて、第三者的な視点で見ることが出来るからということでございます。もちろん、社外取締役というのは、一方で株主の利害をきちんと伝えていくということも求められているという考え方もありますし、多様なステークホルダーを重視するからといって、株主の立場を軽視しろとか何とかということではないのですけれども、要は、しがらみがないというようなこともあって、そういった冷静に、各ステークホルダーの利害のバランスというのをよく考えて、取締役会で経営判断する中で、よりよい貢献ができるのではないかと。そういった問題意識でございます。

○神作座長

よろしゅうございますか。

田中メンバー。

○田中メンバー

ご報告、大変ありがとうございました。

こういう報告書は、こういう視点・角度で話をするのが好きな人に対してだけ発信するのではなくて、こういう主張に懐疑的な投資家、露骨に言えば、また利益率が低いことのエクスキューズをしようとしているんじゃないかなと思ってこの報告書を読むような人にも説得的である必要があると思うのですね。そういう観点から申し上げると、この報告書で書いてあることは、どのぐらいエビデンスによって基礎づけられるものなのかということが大事だと思います。例えば、2ページ目に書いてある、投資の短期化とか、あるいは株主利益最大化の観点に縛られて投資判断をしているから、中長期的資金が必要なのに得られないという記述ですが、そういう状況がほんとうにあるのか。これを示唆する事実があるのか。単にそういう恐れがある、というだけでこういうことを言うと、見る人によっては、また利益率が低いことのエクスキューズをしているなというふうにやっぱり見られてしまうと思うのですね。まあ、ちょっと私、概要を読んだだけで批判してしまっているところもあるかもしれませんけれども、もう少し説得的な事実に基づく基礎づけというのを考えていただきたいなと思います。

僣越ながらご意見を申し上げました。

○佐久間参考人

 ありがとうございます。確かに、そういった側面というところも、エクスキューズに使われてはいけないということもそのとおりです。また、私の報告書ではちらっと書いてございますが、ちょっと話がずれてしまっているかもしれませんけれども、我々は中長期と言っていますけれども、別に短期の投資がだめだとか何とかということも全く言っているわけではありません。逆に中長期の投資をきちんとやっていくには、8ページのなお書きのところで書いてありますけれども、取引における流動性というのでしょうか、自由な取引が保証されていて、取引が容易に成立するという状況が確保されていないといけなくて、そのためには短期的な取引が自由に行われることが重要だといったことも触れております。

また、例えば専門調査会、報告が上がった諮問会議の場でも、別に短期の投資がいけないとかっていうんじゃなくて、短期の投資も集いつつ、中長期の投資もきちんと呼び込めるような、そういう市場が望ましいんだというようなことも指摘されております。

中長期的に見れば、我々、総体的価値と言っていますけど、総体的価値の向上というのは別に株主価値の向上とも矛盾するところはないと考えており、別にエクスキューズに使うことがいいというふうに思っているわけではないということは十分にご理解いただければと思います。

専門調査会が立ち上がった問題意識というのが、ある意味、本調査会の会長代理の原さんが言うところの、公益資本主義的な考え方から出発しているので、そういった問題意識も踏まえて立ち上がっているという経緯もあるので、我々も事務方としても取りまとめに苦労したということで、そういったこともご理解いただければと思っております。

○神作座長

よろしゅうございますか。

江口メンバー、お願いいたします。

○江口メンバー

細かいところでいろいろとお聞きしたいこともあるのですが、本検討会に関連する1点に絞ってお聞きしたいと思います。

そのポイントは何かといいますと、本報告書の11ページから12ページにかけての議論です。まず新陳代謝を進めながら人的資源の形成・活用ができる企業統治とあり、それから、次の12ページに、機関投資家を通じた企業統治の向上とあります。人的資源の形成・活用ができるということと、それと株主の積極的な関与ということ、この2つにはトレードオフの関係が生じる可能性も一般的な議論としてはあり得ると思います。つまり、株主の関与が強過ぎると、長期的な人的資源の形成に差しさわりがあるということも過去言われてきたことであります。また、株主の関与を強める前提として、労働市場は非常に開放的、労働流動性の高いものでなければいけない、そういう関係があるということもあると思います。ここで企業統治ということで2つが結びついておりますので、一体として考えるべきという趣旨だと思うのですが、長期的な観点からの人的資源の形成、それに関してはこれまでの長期雇用システムを評価しつつ、もう少し流動性を高めていきたいというようなポイントが入ってくると思うんですけれども、それと株主関与を強めていくということ、この2つのつながりが、どういうイメージになっていらっしゃるのか。本検討会にもかかわる点かと思いますのでお聞きしたいと思います。

○神作座長

よろしくお願いいたします。

○佐久間参考人

ご指摘の点、バランスはなかなか難しいと思います。この人的資源の形成・活用というのは、もちろん企業にとっても重要ですし、日本経済にとっても重要だということでございまして、一応、当てはまるところは企業統治ということで、あと、専門調査会でもやっぱり人的資源の人の問題の重要性を指摘される先生がいらっしゃったので、この部分で当てはめさせていただきました。

基本的にはうまくバランスをとっていくということに尽きるのかと思いますけれども、ただ、例えば11ページの下から2行目以下で書いてありますけれども、多様な働き方を促す労働環境を構築することというのは、実は企業統治だけではなかなかあれで、単に個々の企業統治ということにとどまらず、社会的に社会全体で対応していくことが必要な問題ということも一言書かせていただいております。

これは私見ですけれども、究極的には、当然、その企業も人を育てていかないと、中長期的にその価値を継続的に創造していくということは難しいわけですし、そういったことを企業は機関投資家の皆さんにも分かってもらって、双方、ウイン・ウインになるように取り組んでいくということなのだと思っております。

○神作座長

よろしゅうございますか。

ほかにご質問、ご意見ございませんか。

もしよろしければ、質疑応答はここで終わらせていただきまして、続きまして、法的論点に係る解釈の明確化等についてご報告していただきます。これまでの検討会において、「機関投資家が投資先企業と対話等を行う場合に、日本の既存の法制度との関係で疑義が生じないよう、法制度との関係についても整理が必要である」という旨のご意見があったことを踏まえ、ご報告をお願いするものでございます。

それでは、事務局から20分程度でご説明をお願いいたします。

○油布企業開示課長

それでは、ご説明させていただきます。企業開示課長の油布でございます。

お手元の資料2をご覧いただきたいと思います。1枚おめくりいただきまして、1ページになります。ここに問題意識ということで、これまでの検討会でいただいたご指摘などを1つにまとめてございます。1つ目の丸のところですが、これまでの検討会では、機関投資家が投資先企業と対話等を行う場合に、日本の既存の法制度との関係で疑義が生じないよう、法制度との関係についても整理が必要との指摘がなされておりました。

2つ目の丸になります。この指摘を受けまして、以下の3点について、私どもとして整理を行ったものでございます。1点目が、大量保有報告制度(5%ルール)におけます重要提案行為と、対話の関係。2点目が、大量保有報告制度の共同保有者という概念がございます。それから、公開買付制度(TOB制度)にも特別関係者という、同様の概念がございます。これらと、他の投資家との協調行動との関係。3点目が、インサイダー取引規制などにおけます未公表の重要事実の取扱いと対話との関係ということでございます。

この3つの問題点について順次ご説明させていただきますが、これは私ども金融庁で過去いろいろと考え方や解釈を公表しているものもございまして、そういうものも総ざらいいたしまして、改めてここでご紹介すると同時に、追加的に新たな解釈も我々として公表したいという趣旨でございます。金融行政当局としての考え方でございますが、このこと自体が直接の裁判規範になるというものではもちろんございません。また、やはり個々の実態とか個別事情を踏まえないと最終的には判断できない部分はどうしても残りますので、そういう制約はあるということでございます。

その上で、最初の論点でございますが、2ページをご覧いただきたいと思います。大量保有報告制度における重要提案行為との関係でございます。「検討会における指摘」とございますが、1つ目の丸のところです。大量保有報告制度においては、日常の営業活動などにおいて、反復継続的に株券等の売買を行っている金融商品取引業者等に対しましては、特例報告制度が設けられております。ポツのところにありますが、この特例報告制度は、大量保有報告書、それから変更報告書、これの提出頻度や期限などを緩和するというものでございます。

2つ目の丸になりますが、ただし、この制度の趣旨を損なうような形での特例報告制度の利用を防止するという観点から、株券等の保有者が投資先企業に対しまして、重要提案行為を行う場合には、この特例制度を利用できないということになっております。

3つ目の丸になりますが、したがいまして、機関投資家から見ますと、投資先企業と対話を行うに当たりまして、どのような行為が重要提案行為に当たるかということを考慮しなければならないということになります。矢印のところになりますが、このため、機関投資家と投資先企業との対話を促していくためには、具体的にどのような行為がこの重要提案行為に該当するのかという、これについての疑義を解消するため、解釈のさらなる明確化を図る必要があると、こういうご指摘をいただいておりました。

なお、注書きで念のために書かせていただいておりますが、本件の問題点につきましては、機関投資家のうち、特定の上場企業の5%超の株式を持っている場合の話でございまして、すべからく機関投資家と上場企業の対話全てに当てはまるものではございません。確認的に申し添えさせていただいております。

3ページが、この制度の説明でございます。ご案内の方も多いかと思いますので手早くご説明いたしますが、まず、大量保有報告制度とは、株券の大量保有に係る情報が経営に対する影響力、それから市場における需給、この2つの観点から重要な情報であるということで、この報告を義務付けるものでございます。

頻度等につきましては、このマル1マル2というところにございますが、5%を超える保有者となった日から、5営業日以内に提出というのが原則になっております。その下に、特例報告制度ということで、特例を設けさせております。これは金商業者につきましては、日々の活動で反復継続的な売買を行っているということに配慮いたしまして、以下を要件として、その提出頻度や期限を緩和しております。

どういうふうに緩和するかといいますと、基本的に月2回、まとめて報告すれば足りるということになるわけでございます。そして、この特例が認められる要件が、一番下に書いてございます。アンダーラインを引いてございますが、重要提案行為を行わないことということになっております。

4ページもこの現行制度の説明でございます。この重要提案行為とは、投資先企業の株主総会において、またはその役員に対してでございます。役員というのは下に例を掲げておりますが、名称を問わず、広く規定されています。その役員に対して、発行者の事業活動に重大な変更を加え、または重大な影響を及ぼす行為として政令に列挙する一定の事項を提案する、そうした行為であるということになっております。

その一定の事項というのが、政令に列挙されております。4ページ目のマル1からマル13まででございますが、例えば、マル4役員の構成の重要な変更でございますとか、H配当に関する方針の重要な変更、マル11資本政策に関する重要な変更、こういったものが含まれているということでございます。

以上の制度を前提といたしまして、5ページをご覧いただきたいと思いますが、ここでは既に私どものほうで公表しておりました解釈をもう一度掲げさせていただいております。既に示されている解釈ということで、どのような行為が重要提案行為に該当し、特例報告が利用できなくなるかについては、パブリックコメントにおきまして平成18年に以下の解釈を公表しております。これは現在の金融庁のホームページに載っております。パブリックコメントでございますので、左側が外部の方から寄せられたコメントの概要でございます。これに対する答えとして、右側の欄に金融庁の考え方を提示してございます。アンダーラインを中心にご説明いたしますが、重要提案行為に該当するか否かは、以下の3つの要件を満たすことが必要になります。1つ目が、提案の客観的な内容が政令第14条の8の2第1項各号に列記しているいずれかに該当すること。つまり、今申し上げたマル1からマル13までのどれかに該当するということでございます。

2つ目は、発行者の事業活動に重大な変更を加える、または重大な影響を及ぼすことを目的とするということ。

3つ目ですけれども、提案に該当すること。これらが必要になりますという判断を既に示しております。

これを踏まえまして6ページと7ページを一続きでご覧いただきたいと思います。先ほどご説明しました、既に公表済みのパブコメ回答も踏まえまして、具体的にどのような行為が重要提案行為に当たるのかという疑義を解消するために、私どもが公表しております大量保有報告に関しましてQ&Aというのが金融庁のホームページにございます。ここに新たに以下の記載を追加し、さらなる解釈の明確化を図ることとするということで、このブルーの部分、これは本日、この資料で使用しておりますので、この場で公表がされておりますけれども、金融庁のホームページにも改めて載せたいと思っております。

まず、問いをこういうふうに私どものほうで立てております。投資先企業との対話に当たり、保有割合が5%超である機関投資家が、以下のような行為を行うことは、重要提案行為に該当しますか。マル1投資先企業の経営方針等の説明を求める行為、マル2自らの議決権行使の方針、投資先企業に対する具体的な議決権行使の予定、自らの株式保有・処分の方針、当該投資先企業の株式の具体的な保有・処分の予定などを説明する行為、マル3上記のマル2の説明に対する投資先企業のスタンスの説明を求める行為、マル4上記マル3の投資先企業の説明が、自らの方針と一致しない場合に、その変更を求める行為、マル5上記マル4のほか、投資先企業の経営方針等の変更を求める行為、マル6株主総会において、具体的な事項の決議や発言を求める行為。

これに対する答えといたしまして、1で、もう一度、3要件を確認しております。以下の3要件を全て満たす必要があるということでございます。答えの2のところにありますが、「この点」ということで、上記マル1からマル3の行為は、投資先企業との間で認識の共有を図る行為でありまして、提案に当たらないと考えられることから、基本的には重要提案行為に該当しない可能性が高いという答えを示しております。

次に3でございます。7ページでございますが、他方、上記マル4からマル6までの行為は、いずれも5%超の保有をしております大株主が投資先企業の経営方針などの変更や、株主総会での決議などを求めるものです。したがいまして、内容が、政令で列挙されました13項目のいずれかに該当するものである限り、基本的には発行者の事業活動に重大な変更を加え、また重大な影響を及ぼすことを目的とする提案に該当するということで、重要提案行為に該当する可能性が高いものと考えられます。

4でございます。ただし、このマル4からマル6の行為であっても、その個別の態様によっては、発行者の事業活動に重要な変更を加え、または重大な影響を及ぼすことを目的とするという要件や、提案に該当する可能性が低い。したがって、重要提案行為に該当する可能性が低いものも想定されます。

具体的には、例えばということで、5に2つ書いてあります。まず1つ目ですが、上記マル4マル5の行為のうち、発行者から意見を求められた場合に、株主がこれに応えて受動的に自身の意見を陳述するといった行為。それから発行者が主体的に設定した株主との対話の場面。注をつけておりますが、IRのスモールミーティングなども含むというふうにしております。ここでの意見陳述などは、「株主の意見を聴取し、これを参考にしよう」「自社の業績や戦略等について、対話を通じて株主の理解を深め、その支持を得よう」といった、発行者の主体的意思に基づく要請を踏まえて、これに応じることを目的とする、そういう行為であることから、発行者の事業活動に重要な変更を加え、または重大な影響を及ぼすことを目的とする行為に該当する可能性は低くなるものと考えられます。

下の方の最後のポツのところですが、上記マル6の株主総会での行為でございます。これは、会社法上の議題提出(株主提案)や議案提出(議場における動議)ではなく、単に株主総会で経営方針等について質問を行うに過ぎない場合には、提案に該当する可能性は低くなる。したがって、重要提案行為に該当する可能性は低くなる。こういう解釈を公表させていただいているということでございます。

8ページをご覧いただきますと、こちらは大量保有報告制度での共同保有者、それから公開買付制度での特別関係者、これとアクティング・イン・コンサートといいますか、協調行動との関係でございます。検討会では、以下のような指摘をいただいております。ポツのところで4つ掲げてございますが、まず、イギリスコードでは、機関投資家に対しまして、適切な場合には、他の投資家と協調して行動するというように記載がございます。第3回の会合では、イギリスコードの原則5をそのまま日本版に盛り込むか否かに関しましては、イギリスコードのように他の投資家と協調して個別の投資先企業に対して行動を起こすことについては、必ずしも日本の実情にはなじまないのではないかとの論点を私どもから提示いたしております。一方で、これに先立ちまして第2回の会合では、仮に機関投資家がこうした行動をやろうとする場合には、大量保有報告、それからTOB制度との関係を整理する必要があるとのご指摘がございました。日本版コードにイギリスコードとおなじ原則を盛り込むか否かはこの際、ちょっと別にいたしまして、こうした整理を行うこと自体は、対話を促す上で有益と考えられますので、今回、論点を私どもで整理したものでございます。

1つ目の丸のところですが、大量保有報告制度の説明でございます。この大量保有報告制度では、自分の保有割合を算出するに際しまして、共同保有者の保有分も足して算出しなければならないことになっております。注書きにありますが、その共同保有者といいますのは、保有者との間で共同して株主としての議決権その他の権利を行使することを合意している者が該当いたします。

次の丸は割愛いたしますけれども、公開買付制度でも全くパラレルの構造になってございます。

9ページをご覧いただきたいと思いますが、一番上の丸です。したがいまして、機関投資家が「他の投資家」と協調して個別の投資先企業に対して行動を起こす際に、その当該「他の投資家」と「共同して株主としての議決権その他の権利を行使することを合意」している場合には、その相手方の分も加えまして大量保有報告制度に対応する必要がございます。

2つ目のポツのところですけれども、同様に、その相手方「他の投資家」の所有分も勘案しながら、公開買付制度に対応する必要がある。典型的には、TOBの方法によって買い付けをしなければならなくなる場合があり得るということでございます。

矢印のところで、このため、機関投資家が「他の投資家」と協調して個別の投資先企業に対して行動を起こすに当たっては、具体的にどのような場合に「共同して株主としての議決権その他の権利を行使することを合意している者」に該当するかについての疑義を解消するため、解釈のさらなる明確化を図ると、こういうご指摘をいただいております。

10ページでございます。これは今、かいつまんで申し上げた現行制度の説明でございますので割愛させていただきます。

11ページをご覧いただきますと、既に示されている解釈となります。どのような場合に共同保有者等に該当するかということで、これは既に以下の解釈を私どものほうで公表しております。

問いということで、株主が、株主総会での議決権行使について話し合った場合、共同保有者に当たりますかと。話し合ったにとどまる場合は、共同保有者には該当しないと考えられます。しかしながら、当該話し合いにおいて、共同して議決権を行使することを合意した場合、その時点で共同保有者に該当すると考えられます。

次の問いですが、共同して株主提案権を行使した場合、共同保有者に該当しますかと。そのような場合、共同して当該権利を行使することを合意していることが明らかであるため、共同保有者に該当すると考えられますという答えを提示しております。

12ページが、今回新たにつけ加えまして明確化を図りたい部分であります。これは私どものホームページに「株券等の大量保有報告に関するQ&A」というものを出しております。ここに以下のブルーの部分の記載を追加して、さらなる解釈の明確化を図ることといたしました。2つ目の丸ですけれども、おなじようにパラレルに、公開買付制度のについても同様の記載をして解釈の明確化を図りたいとして考えております。

ブルーのところをご覧いただきますと、問い立てをこういうふうに立てております。株券等の保有者が、「他の投資家」との間で、特定の投資先企業に対する議決権行使の方針について意見交換を行う場合や、共同で、特定の投資先企業の経営方針等の変更を求めることを合意した場合、当該「他の投資家」は、大量保有報告制度における「共同保有者」に該当しますかということです。

答えになりますけれども、「共同保有者」に該当するためには、「共同して株主としての議決権その他の権利を行使すること」、法27条の2の抜粋でございますが、これについて合意している必要があります。当該「株主としての議決権その他の権利」とは、「議決権の他、株主提案権、議事録・帳簿閲覧権、役員等に対する責任追及訴訟の提訴請求権など、株主としての法令上の権利」を指すものと考えられます。したがって、法令上の権利の行使以外の株主としての一般的な行動についての合意に過ぎない場合には、基本的に、当該「他の投資家」は、「共同保有者」には該当しないと考えられます。こういう解釈を公表することとしております。

13ページになります。これは、インサイダー取引規制等における未公表の重要事実の取扱いと対話の関係でございます。検討会における指摘でございます。まず、インサイダー取引規制に関しましては、未公表の重要事実を知った会社関係者、それからその会社関係者からその事実の伝達を受けて知った者が、当該事実の公表前に売買等を行うことを禁止しております。

もう一つ、インサイダー取引規制と関連いたしまして、情報伝達・取引推奨規制というものがございます。これも未公表の重要事実を知った会社関係者が、その事実の公表前に、他人に売買等をさせることにより、当該他人に利益を得させる等の目的をもって情報伝達・取引推奨を行うことを禁止しております。

3つ目の丸になりますが、イギリスコードでは、この点の取扱いにつきまして、インサイダーになること(重要事実を受領すること)を希望することも、そうならないよう希望することも可能という取扱いが記載されております。インサイダーになっても構わないという場合には、あらかじめ、その意思・方法を明示すべきという記載になっております。

矢印のところになりますが、日本版コードの策定に当たりましては、インサイダー取引規制などが、機関投資家と企業との間での踏み込んだ対話を不必要に萎縮させるものとなっている可能性がないか検討する必要があるのではないか。マル2になりますが、その上で、機関投資家がインサイダーになることも念頭に置いた記載を行うべきか否かを検討する必要があるのではないかとご指摘をいただいております。

14ページになりますが、考え方の整理をさせていただいております。先ほど申し上げましたご指摘は、以下の2つの立場から整理できると思っております。1つ目が企業の立場。これは、機関投資家に未公表の重要事実を伝達すると、情報伝達・取引推奨規制のほうに抵触する恐れがあるのではないか。これを回避するために、対話において重要事実を伝達しないとすれば、踏み込んだ対話が行えないのではないかということです。

もう1点は機関投資家の立場からでございまして、投資先企業から未公表の重要事実を受領し、その公表前に売買を行うと、インサイダー規制に触れてしまうのではないか。これを回避するために、対話の際に、未公表の重要事実を一切受領しないとすれば、踏み込んだ対話ができないのではないかと。こういう整理でございます。

15ページをご覧いただきますと、この点も既に示されている解釈、それから解釈の明確化ということでございます。まず、1つ目の丸、前記マル1、すなわち企業の立場からの懸念に関しましては、既にQ&Aで以下の解釈を示しております。点線の枠内が今、公表されているものです。未公表の重要事実を知っている上場会社等の役職員が、IR活動を行うことは取引推奨規制の対象となるのでしょうか。これはアンダーラインのところだけ読ませていただきますが、一般的な推奨については、通常の場合、他人に対し、特に重要事実の公表前の売買等を行わせ、それに起因した利益を得させるためのものではなく、重要事実の公表前に売買等をさせることにより他人に利益を得させるといった目的を欠くと考えられるため、基本的に規制対象とならないという考え方を示しております。

矢印のところになりますが、したがいまして、踏み込んだ対話におきましても、通常の場合にはこういう目的を欠くと考えますので、基本的には情報伝達・取引推奨規制の対象にはならないものと考えられるということでございます。

前記マル2の、今度は機関投資家の立場に立ったポイントでございますけれども、インサイダー取引規制は未公表の重要事実を知った会社関係者、それから、その会社関係者から事実の伝達を受けて知った者が、その事実の公表前に売買等を行うことを禁止するものでございます。

矢印のところにございますが、したがって、機関投資家が、投資先企業と踏み込んだ対話を行うために、未公表の重要事実を受領する必要があると考える場合には、当該企業の株式の売買を停止するなど、インサイダー取引規制に抵触することを防止するための措置を講じた上で対話に臨む必要があると考えられます。

16ページをご覧いただきたいと思います。16ページと17ページは、今、ご議論をいただいております日本版コードにどう記載するかということでございます。まず、未公表の重要事実の取扱いにつきましては、国際機関でありますOECD、コーポレート・ガバナンスの分野ではOECDが一種の規範制定力に近いものを持っておりますけれども、そのOECDのコーポレート・ガバナンス原則や、東証の上場会社コーポレート・ガバナンス原則、ここでは、株主平等を原則としまして、全ての株主に対して同時に情報提供がなされることを基本としております。

OECDのほうで、アンダーラインの部分だけ読ませていただきますと、OECD原則は、株主の平等な取扱いを確保するために、全ての株主に対し同時に情報提供がなされることも支持している。投資家や市場参加者との間で緊密な関係を維持する上で、会社は平等な取扱いに係るこの基本的な原則を侵さないように注意しなければならない。

それから、東証のコーポレート・ガバナンス原則のほうでは、こちらもアンダーラインのところを読ませていただきますが、これらの情報開示は株主からの平等を期すために同時的に開示される必要があると。公平な情報開示は、市場に対する投資者の信頼を確保し、内部情報の濫用を未然に防止する上でも重要であると記載されております。

16ページの2つ目の丸のところでございますが、また、東証のタイムリーディスクロージャールールでは、上場会社に対しまして重要な会社情報が生じた段階で、ただちにその内容を開示するということを求めております。この「重要な会社情報」の中には、インサイダー取引規制上の未公表の重要事実が包含されるという関係になっております。

最後、17ページになりますが、矢印のように記載しております。上記を踏まえれば、日本版コードにおいては、機関投資家がインサイダーとなることも念頭に置いた記載を行うべきか否かと、こういう点に関しましては、以下の2つのポツの記載をすることが考えられるのではないかと考えております。

1つ目ですが、機関投資家は、企業が株主平等の要請のもとに置かれていることを十分に踏まえた対応を図るべきであり、投資先企業から未公表の重要事実を受領することについては、基本的に慎重であるべき。

2つ目は、その上で、投資先企業と踏み込んだ対話を行うために、未公表の重要事実を受領する必要があると考える場合には、当該企業の株式の売買を停止するなど、インサイダー取引規制に抵触することを防止するための措置を講じた上で対話に臨むべきということが考えられるのではないかということでございます。

注書きでは、前回会合での私どもの事務局提案をもう一度掲げさせていただいております。

私からのご説明は以上でございます。

○神作座長

どうもありがとうございました。

それでは、これより質疑応答に移りたいと思います。なお、ただいまの事務局からのご説明は、当局としての現行法の解釈を示したものですので、その解釈自体の当否よりも、むしろ当該解釈を前提とした上で、機関投資家と投資先企業との対話にどのような影響があるか、また、日本版コードの策定に当たり、工夫、留意すべき点等があるかどうか、こういった観点からご議論をいただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

小口メンバー、お願いします。

○小口メンバー

どうもありがとうございました。

今の神作座長の指摘に従っての質問というか確認になるのですが、7ページの重要提案行為のところで、その5として「上記マル4マル5の行為のうち」のすぐ後ろに2つの下線の部分がございます。発行者から意見を求められた場合ということと、あと、発行者が主体的に設定した株主との対話の場面ということで、注として決算報告会、IRミーティングとあるのですが、基本的に発行者が自ら決算報告会などを設定する一方で、実際の対話の場面においては、投資家からお話、ミーティングさせてくれというお願いをして、それで受動的にいいですよという形で受けて頂くケースがある訳です。対話の場合というのはむしろそういうケースのほうが多いと思うのですが、それはここで言うところの発行側が主体的に設定した株主との対話の場面の解釈においては、私の理解では、こちらから働きかけたことに対して発行者が受けていただいたということは、発行者の意思に基づいて受諾していただいたということなので、ここに該当するとは思うのですが、そういう解釈でよろしいのでしょうか。

○油布企業開示課長

私どもの整理では、今のように、投資家側が申し込んで発行体が受けた場合は、ちょっとここには入れないで、それは別の次元で整理する考え、判断されるものかなというふうに考えております。これはむしろ発行体の側が自主的に設定したようなことを、その場合には基本的には重要提案行為に当たらないということを書いているわけです。

裏返して申し上げますと、投資家の側から申し込んで対話をやっても、その対話の様態によっては、別に重要提案行為に当たらないものは幾らでもあると思います。マル1からマル3に当たるような場合ですとか、あるいは、ここの7ページの5の1つ目のポツの前段に書かれている部分ですね。機関投資家側から対話の場の設定を求めても、発行者から意見を求められた際に、これに応えて受動的に自身の意見を陳述するといったような場合には、重要提案行為には当たる可能性は低くなるものと考えられるのではないかと、こういう理解です。

○小口メンバー

具体的には、当然、まず説明をお願いして、説明を受けた上での意見を言う、そういう流れだと思うのですが、そういう流れであれば今のご説明の中では問題ないということですね。例えば4で、企業様が説明をして、それに納得しない、もう少し議論したい、株主からの問いかけがきっかけとなって、説明を受け、それについてさらに重ねて意見を言う、深まっていく場合、それはどういう解釈になるのでしょうか。

○油布企業開示課長

そのあたりは、もうまさに行為の態様のケース・バイ・ケースじゃないかと思っていまして、対話の開始がどちらの質問から始まったかというのを、あまり形式的に捉えていても、一律的にその場合は大丈夫ですよとか、その場合は重要提案行為になっちゃいますよというのはアプリオリには言いがたいのではないかと思います。

○神作座長

よろしゅうございますか。

それでは、江口メンバー、お願いします。

○江口メンバー

12ページについて、先ほどの神作先生の指摘を踏まえた上で確認したいと思います。お答えをさらにクラリファイするという観点からの質問です。今回の追加の趣旨としては、株主としての議決権、その他の権利という記述部分で、その他の権利について明らかにしたということだと思うんです。こうした記述で投資家の行動に対してどういうインパクトがあるかということですが、多分、問題になってくるのは、議決権行使の方針についての意見交換と、それから議決権行使に関するアグリーメント、この境界線がどのあたりで引かれるかが、いまひとつクリアになっていない。問題点がこれでは解消されないという気がするわけであります。例えばイギリスのようにラスティングアグリーメントということで、単発的なアグリーメントとは区別するというアプローチもあるかと思いますし、それから、重要提案行為に相当する中味について、もう少し細かく、日本の総会の議案の内容に即して区分けするというアプローチもあるかと思います。このところはいかがでしょうか。アプローチとしてお考えになる余地はあるのでしょうか。

○油布企業開示課長

このアクティング・イン・コンサートの部分は、ひょっとしたらみなさま御存じかもしれませんけれども、ちょうどヨーロッパでも11月12日付でESMAといいます、これはEUの傘下にあります証券当局の連合体みたいなものですけれども、そこから、ちょうど私どもが今日やろうとしているのと同じような趣旨だと思いますが、解釈の明確化がパブリックステートメントの形で出ております。

そこを見ますと、基本的には日本の構造に似ているところもあるのですけれども、やはり大きく1点違うところがございまして、欧州の場合の共同保有ですとか特別関係者、アクティング・イン・コンサートですが、これについてはそもそも法令の立てつけが欧州では支配権の獲得を目的とする場合というふうに、日本の場合よりも大分狭くなっていますので、割とこういう場合は大丈夫ですよというのを広く捉えることができる立てつけになっていると思います。

日本の場合には、大量保有報告を例にとって申し上げますと、経営に対する影響だけではなくて、いわゆる買い集め情報の開示という、市場の需給の状況を開示させるという、双方の目的がありまして、必ずしも経営支配だけのための制度ではないと、そういう法制度になっておりますので、いろいろ詰めたところでここらあたりまでは解釈を示すことは多分問題ないだろうと思っていますけれども、それ以上範囲を広げるということになりますと、むしろこれは法律改正とか、制度の根幹をそもそも変えなければいけないというような趣旨かなと思っております。

あと、冒頭、江口委員がおっしゃったところは、合意かどうかという点は、やっぱり11ページの最初の問いのほうになると思います。やっぱり合意があるかどうかっていう点で、意見交換にとどまる限りは、ここに「話し合ったにとどまる場合は該当しない」ということですから、該当しないのだろう思います。ただ、それを踏み越えて、やはり合意がある場合には、共同保有者に基本的には当たる場合が多いということではないかと思います。

○神作座長

よろしゅうございますでしょうか。

それでは、田中メンバー、お願いします。

○田中メンバー

事務局の方にたいへんな作業をしていただきまして、法解釈が明確化する方向で前向きに進展していると考えております。その上で、ちょっと2点ほどご意見を申し上げたいのですが、1つは、江口メンバーが指摘された、共同保有に該当する場合の「合意」という概念について、少し踏み込んだ概念整理をする必要があるのではないかと思っています。

確かに、大量保有報告に関するQ&Aの中で、話し合ったにとどまる場合はもちろん共同保有には該当しないと述べられていて、これは当然なんですが、その際の例として、話し合いが決裂した場合というのを挙げているんですね。これは、金融庁の担当官の書かれた解説書の中ですが(三井秀範・土本一郎『詳説公開買付制度・大量保有報告制度Q&A』187頁)。もちろん、決裂した場合は、それはもちろん合意たり得ないわけですけれども、これは逆に言うと、話し合いで両者の意見について同じような方向性が示された場合に、それは合意になってしまうのではないかという強い懸念が生じるように思います。

私は合意というのは、法律上の合意であると考えています。つまり、民法上、日本法では、特段の法律上の定めがない限りは口頭の合意だけで当事者は義務を負うわけであります。そのことは逆に言えば、そのような義務を負うという内容たり得る「合意」でなければ、法律上の合意とは言わないということでもあるわけです。

例えばどういうことかと申しますと、きょう私は、スチュワードシップ検討会に出るつもりでいたわけですけれども、仮定の話として、昨日、江口メンバーと話をしていて、「ところであしたの研究会に出席されますか」と聞かれたときに、私は「出るつもりです」と言って、江口メンバーも「出るつもりです」とおっしゃったとすると、これは合意かというと、私の理解ではこれは全然合意ではない。これは将来の自分の行動の予定を相手に伝えて、その予定がたまたま2人で一致したという、それだけのことであります。合意と言うためには、自分の将来の行動を拘束するという意思表示があって、それが合致していなければならないというのが日本法における合意の意味だと思います。これは英米法ですと、合意というのは約束の合致と言っていまして、非常に明確なんですけれども、日本でも基本的には同じだと考えておりまして、約束するという要素がないと合意にはならないと考えています。

確かに、具体的なケースにおいて、適用に不明確性が生じうることはいずれにせよ避けがたいでしょうが、「合意」という基本的な概念が何かということを言っておくということは大事なことであると思います。つまり、将来の行動の予定を伝え合うということだけでは合意ではないのだということを、是非、どこかにそういう趣旨のことを加えていただきたいと思います。これは別段、ヨーロッパの規制のように支配を目的としているという要件を入れるか入れないかということにかかわらず、妥当することだと思いますので、ぜひお考えいただきたいと思います。

それから2番目は、重要提案行為についての6枚目のところですね。マル6の株主総会において、具体的な事項の決議や発言を求める行為というものです。まず、表現として、決議を求めるというのと、発言を求めるという、両方「求める」にかかっていくのだと思いますけれども、決議は株主総会がすることで、株主がそれを「求める」というのは自然ですが、発言というのは、これは株主自身がするものですから、たとえば「具体的な事項の決議を求めたり、あるいは発言する行為」というふうに言うべきではないかと思います。それから、これもややニュアンスに関わる話ではありますが現在の案では、マル6に該当すると、答えのiiiのところで、基本的には、重要提案行為に該当する可能性が高いということになってしまって、それで、その上で5の最後のポツで、株主が質問をしたという場合は、まるで例外であるかのように、重要提案行為から外れているという整理になっているように思います。一応、しかし、会社法上は、株主総会で株主ができることは、一つは動議と、もう一つは質問であるわけです。株主には質問という形で説明を求める権利が会社法に規定されていて、それに対して役員が回答する義務を負うという整理です。このうち、動議は提案そのものですから、重要提案行為の各号に該当すれば重要提案行為になる可能性が高いですけれども、質問というのは、これはこのQ&A案で言えば、マル1マル2マル3の行為、つまり、説明を求める行為を株主総会という場で行っているだけですので、これは原則該当しないのが当然だと思います。

このQ&A案でいう「発言を求める」行為というのは、恐らく、株主総会の場で、動議にまでは至らないんだけれども、意見を表明するということがあって、これは会社法では明確に定めていないわけですけれども、実際には、企業は時間の許す範囲で意見陳述も認めることが多いと思います。そこでもし、株主が意見を述べる中で、提案に該当するような行為をすれば、重要提案行為に該当し得るとは思います。けれども、会社法のルールで株主の発言として本来的に予定されているのは、動議かあるいは質問であります。したがって、株主の質問はこの重要提案行為に該当しないということを、むしろ本則のほうに掲げていただきたいと。そうしないと、マル6に該当すると、つまり株主総会で「発言」すると、質問の場合まで含めて原則提案に該当するような誤解を与えかねないのではないかと思っています。これはちょっと表現の関係ではありますけれども、ご検討いただければと思います。

○神作座長

貴重なご指摘ありがとうございました。

コメントございますでしょうか。特に合意の解釈につきましてご意見等ございますでしょうか。

ジェントルマンアグリーメントのようなものをどう考えるのか、なかなか微妙なケースもあると思いますので、合意についてどの程度踏み込んで表現することができるかについて、事務局におかれましては、さらに検討いただければと思います。

ほかにご意見、ご質問ございませんでしょうか。

それでは、他にご質問、ご意見がないようでしたら、質疑応答を終わらせていただきます。

次に、「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」における議論の結果についてのご報告です。GPIFなどの公的・準公的資金の運用主体も、日本版コードが想定する機関投資家の大きなカテゴリーに含まれると考えられますが、その運用等のあり方については、別途、同会議において議論がなされ、報告書が取りまとめられたことからご報告をお願いするものでございます。

それでは、白川参事官、10分程度でご報告お願いいたします。

○白川参事官

ご紹介いただきました、内閣官房日本経済再生事務局の参事官をしております白川と申します。よろしくお願いいたします。

事務局からの依頼がありましたので、日本再興戦略に基づきまして、先週まとまりました「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」の報告書の内容、とりわけこのスチュワードシップ・コードに関連する部分についてご説明したいと思います。

資料3−1の日本再興戦略の中でこの検討がスタートをいたしました。本年6月14日に閣議決定をされたものでして、1ページ目の下にございますが、公的・準公的資金の運用のあり方について、運用(分散投資の促進)、リスク管理体制等のガバナンス、株式への長期投資におけるリターン向上のための方策等に係る横断的課題について、有識者会議が設置されまして、検討を行っていきました。

その有識者会議のメンバーといいますのは、2ページにございます。伊藤隆敏東京大学大学院の委員長を座長といたしまして、この有識者検討会のメンバーでもあられます堀江委員にも入っていただいておりましたし、また、議論の過程では企業年金連合会の濱口チーフインベストメントオフィサーにもご出席いただいて、貴重なご意見を賜りました。その結果、報告書が先週まとまったのですけれども、資料3−2の、めくっていただきまして目次がございます。どういう内容だったかというのを簡単に申しますと、まず、デフレからの脱却を見据えた運用の見直しということで、国内債券を中心とする現在のポートフォリオの見直しというのを提言いたしております。

さらに、IIの3のポートフォリオ(運用対象)の中で、分散投資を進めるということで、リートですとかインフラ投資、ベンチャーキャピタル、プライベートエクイティ等への運用対象の多様化というのも提言をいたしております。

また、アクティブ運用の比率を検討すべきということですとか、パッシブ運用においてもベンチマークの選択において工夫を凝らすべきではないかと、こういう提言をいたしております。

また、IIIのところでリスク管理体制等のガバナンスの見直しということを提言しておりまして、所管大臣との関係について、より自主性や創意工夫を尊重すべきという内容の提言にしております。また、資金運用の重要な方針については、常勤の専門家が中心的な役割を果たす合議制により、実質的な決定を行う体制が望ましいと、こういう提言をしております。

それから、独立行政法人等で運用を行っている場合が多いわけですが、国家公務員並みの待遇ということで、なかなか第一線の専門人材が集まっていないということに着目をいたしまして、報酬体系の見直しも提言をいたしております。

それから、最後のIVのところ、エクイティ資産に係るリターン最大化、ここが当有識者検討会と関連が深い部分でございまして、それにつきましてはもう一度、資料3−1に戻っていただきまして、ページの3のところにそこの部分を抜粋したものをつけてございます。各資金が株式などのエクイティ資産に投資を行う場合には、長期投資を前提とし、リターンの向上を目指す必要があるということで、仮に年金運用をしている主体が公的・準公的な立場を有しているとしても、受託者として運用受託機関を通じた投資先との緊密な対話や適切な議決権の行使などが求められると、こういうふうに書いてございます。このため、こちらの検討のほうが先だったものですから、先走って、金融庁で行われている日本版スチュワードシップ・コードに係る検討の結果を見据えまして、これを踏まえた方針の策定、公表を行い、運用受託機関に対して当該方針にのっとった対応を求めるべきと、こういうふうに言っております。

ただ、議論の中で、各運用機関本体による過度な経営への関与や一律の方針設定に基づく形式的な議決権行使については懸念が表明されましたので、その点については留意が必要であると、こういうふうに書いてございます。

そうした観点からということで、必要に応じて投資先企業との良好な関係に基づく対話により、持続的な企業価値の向上を目指す、運用受託機関などへの受託なども考えられるというふうにしております。本体による議決権行使というのは、なかなかマンパワーの問題もございますし、運用受託機関を通じたものが中心になると、こういう認識でございますけれども、これまで以上に運用受託機関による投資先との緊密な対話ですとか、適切な議決権行使を重視した委託というのを考えてはどうかという、こういう提言になっております。

さらに、注というのを書いてございまして、もう1点議論になりましたのは、議決権行使助言会社の活用についても言及すべきかどうかと、こういう議論がございまして、最終的にはこの注という形になったのですが、我が国において企業の経営実態を的確に把握し、適切なガバナンスのもとで運営される議決権行使助言会社を利用可能な環境が整った際には、その活用も考えられると、こういうふうに最終的にまとまりました。若干微妙なニュアンスを出しているのですけれども、ご想像いただけるかと思いますが、現在の日本で利用可能な議決権行使助言会社の状況について、必ずしも十分じゃないのではないかと、こういう意見もございまして、ただ、将来については非常に期待できると、こういう考え方で注を置いたと、こういう結論になったわけでございます。

なお、財務的な要素に加えて、非財務的要素であるESGを考慮すべきと、こういう意見もございまして、これにつきましては各資金で個別に検討すべきと、こういう結論になったところでございます。

私のほうからの報告は以上でございます。

○神作座長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの白川参事官からのご説明につきまして、メンバーの皆様方からご質問、ご意見等ございましたら、ご自由にご発言を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。

小口メンバー、お願いいたします。

○小口メンバー

先ほどの最後のご説明にありました、3ページの注なのですが、「企業の経営実態を的確に把握し」と、これはわかるのですが、「適切なガバナンスの下」というのは、具体的にはどういうことをイメージされているのでしょうか。

○白川参事官

現在の議決権行使助言会社、外資系の議決権行使助言会社がシェアが大きいという、そういう前提で議論があったのですけれども、自らが運用をやっているなど、議決権行使のアドバイスと自らの業務との間で利益相反があるのではないかというようなご意見をおっしゃる方もいらっしゃいました。これは必ずしも日本でどうかということではないのですけれども、一般論としてガバナンスも含めて重要だという、そういう認識を示したものでございます。

○神作座長

それでは、石田メンバー。

○石田メンバー

今の点についてですが、私の認識では議決権行使助言会社が、自ら運用を行っているケースは、私が認識する範囲では存在しないことは、お伝えしたいと思います。

○神作座長

どうもありがとうございました。

ほかにご質問、ご意見ございますでしょうか。

それでは、ほかにご質問等ないようでしたらば、ここで質疑応答を終わらせていただきます。

続きまして、日本版コードの各原則につきまして、前回に引き続いて追加のご議論をお願いいたします。席上には前回お配りさせていただいております事務局説明資料を再び配付していただいております。これをご参考にしていただきながら、どの論点についてでも構いませんので、ご自由にご発言をいただけたらと存じます。どうかよろしくお願いいたします。

江口メンバー、お願いします。

○江口メンバー

これは、これまで出ていなかった論点だと思うんですけれども、日本でこういったものを考える上でポイントとなると思うので、ご提言申し上げたいと思います。

このドラフトはイギリスにおけるコードを前提としておりますので、イギリスの制度環境が前提となった内容となっています。そこで、日本ではそうした制度環境がないということを問題意識としてもつことが必要でないかということであります。これまで会社の皆さんと対話する中で表明された懸念はいろいろあるのですけれども、その中の一つは、誰に話したらいいのかということです。投資家といっても非常に数が多いわけですが、投資家全部と話さなくてはならないか。一部の投資家だけと対話すれば、ほかの投資家とは対話していないということになって、不都合が生じる。しかし、持分の大きいところから小さいところまである中で、全ての投資家と対話するということは現実的と言えない。

その中で、誰に話したらいいのかということです。つまり受け皿ですね。投資家サイドの受け皿をつくる努力が肝要であるということを問題意識として盛り込むべきではないかと考えるわけであります。

以上です。

○神作座長

貴重なご指摘、ありがとうございました。

石田メンバー、お願いいたします。

○石田メンバー

ちょっと別の視点なのですが、日本版スチュワードシップ・コードという名称がそもそも適切なのか、という問題提起をしたいと思います。今回の金融庁の試みは、日本版スチュワードシップ・コードという名前で、いろいろな場所でかなり広まっています。私も説明を求められることがありますが、その際には、説明するたびに、スチュワードシップとは何か、日本人にとってあまり馴染みのないこの目新しいカタカナ語の説明から始めることになってしまいます。しかし、この言葉が英国の歴史の中で、本来どのような意味を持ち、どのような背景のもとに投資家の行動を律する概念として使われるようになったのか、それは正直私自身もよくわかりません。なので、最初から説明が難しい言葉を敢えて使うよりも、もっと単純な言い方にしたほうが良いのではないか、わかりやすい表現があるのではないか、と思うのです。スチュワードシップという言葉を広めること自体にはあまり意味がないはずです。ではなく、そのスチュワードシップが求める内容、それ自体を名称にすればよいと思うのです。

それでは、どのような表現がいいのか。そこで、あるべき機関投資家の行動について、金融危機後のいろいろな議論を総合すると、短期という言葉には悪いイメージが付きまといます。一方で、長期は良いイメージです。また、責任ある投資家というのは、当然それは良い言葉ですから、それらをまとめて、例えば一案として、長期機関株主責任原則のようなもの、英語で言うと、Principles for Long-term Responsible Institutional Shareholders のようなものだと、その名称自体が、コードが何を求めているのか、を語ると思うのです。

もちろん、ただ、日本版スチュワードシップ・コードが策定される背景としては、UKのスチュワードシップ・コードのグローバルな広がりに影響されたことは、コンテクストとしては重要だと思います。なので、日本人が見てすぐ内容が分かる言葉を名称にした上で、例えば括弧書きとして、日本版スチュワードシップ・コード、とするには問題ないかと思います。括弧の中はいわゆるという意味です。日本版スチュワードシップ・コードが正式の名称になってしまうと、「いわゆる」ものが、正式名称になってしまってちょっとおかしいかと思います。このコードは日本発のものですから、海外に発信する際にも分かりやすさが大切。日本人が簡単に説明できないものを名称にして海外に発信するのは、不自然です。

また、このコードの署名機関を増やそうとする際にも、正式名称にスチュワードシップという表現が入っていると、国内の機関投資家にこれを広めていく際に妨げにならないかと心配です。スチュワードシップ・コードという名前がついた書類に署名するには、まず、スチュワードシップは良いものであると納得しないことには話が進みません。ただ、そうなってくると、スチュワードシップとは何だ、あるいはフィデューシャリー・デューティーとの関係はどう整理するのだ、というような疑問で最初からつまづいてしまう。現段階では、コードの署名機関を増やすことがまずは大切なのに、名称がネックとなってしまうのではないか、と心配するのです。ところが、例えば、長期機関株主責任原則という名称であれば、日本人なら誰でもすんなりわかる、というわけです。

○神作座長

具体的なご提言を含め、ありがとうございました。

確かに、海外で同様のコードを定めている場合にも、スチュワードシップという言葉はあまり使われていないようでございますので、重要なご指摘をいただいたこものと存じます。

ほかにいかがでしょうか。それでは、小口メンバー、お願いします。

○小口メンバー

私のほうはかなり具体的といいますか、中身の話になるのですけれども、前回、終了時に何か意見があればメールでご連絡ということで、一応メールは差し上げたので、メンバーの皆さんには行っているとは思うのですが、せっかくの機会ですので、再度申し上げたい部分です。原則6で、議決権行使の部分なんですが、このスチュワードシップ・コードの検討会が始まった第1回のときに、事務局のほうから最初にご説明があった中で、金融審議会のスタディーグループ報告書、これは平成21年6月に出ておりまして、その説明がございましたが、その中で機関投資家による議決権行使結果の公表というのが明記されていて、それに基づいて多くの機関で業界ルールなどを定めて、実際に実務として定着している部分があります。せっかくこういう形でもう一度、コードとなる中で、改めて原則6のところに、「議決権行使結果記録を公に公開すべき」と明確に書いてあるのですが、ここが何かの事情で削られるようなことがないように、これは既にやっている話、ほとんど実務的に定着している世界でございますので、そこが後退するというところがないように、これは念のためということですが、申し上げたいというのが1つ目でございます。

それから2つ目、議決権行使に絡めてなのですが、前回、濱口メンバーから買収防衛策についてのご指摘があって、金商法などのルールが整備されている中で、買収防衛策について高止まりして、そこの問題点がご指摘にありました。それに対応するという意味もあるのですけれども、実際に今の議決権行使の開示をしている機関の中では、買収防衛策については、法的に言うと、その他会社提案の中に含めるということなのかもしれませんが、実質的に外出しで表示されている会社もいらっしゃって、その数も増えてきています。議決権行使の開示ということが、形式でなくて実質的なものであるという前提に立つのであれば、大きな意味を持つ案件についてはやはり別途立てるということが、ここの趣旨にも合致すると思います。今回たまたま買収防衛策のお話をしているわけですけれども、そういう、項目として重要なものについては、やはり個別に、個別というのは企業ごと開示という意味ではなくて、案件としてはやはり別立てて開示するというのが趣旨に沿っているのではないかと思いましたので、つけ加えさせていただきます。

○神作座長

大変ありがとうございました。

ほかにご意見ございますでしょうか。堀江メンバー、お願いいたします。

○堀江メンバー

小口さんと全く同じ意見ですが、議決権行使のところの公開は集計レベルで十分という理解です。私は、個別開示は、当然重要かもしれませんが、個別に顧客に対して開示すればよいことであり、それを一般大衆に対して言うのは、ちょっとどうかなと思います。しかし、集計結果はもう皆さんやっておられることであり、集計レベルでの開示は当然ガイドラインに書くべきではないかと思っているというのが1点です。

もう1点、前回も指摘させていただきましたが、原則2の利益相反の部分は、あまり具体的でないと今も思っています。今回、参考資料として提示されている、参考資料2の中の、ICGN機関投資家責任原則の4ページに具体例が示されています。今回の議論は投資家と投資先企業の間のエンゲージメントが中心ですが、今回の中に入れていただく必要はないですが、機関投資家内部のガバナンスもまだまだ不十分であると思います。今、イギリスでもスチュワードシップ・コードの見直しの中で機関投資家のガバナンスについての検討もされているようですので、ぜひ次回の改定の際には、機関投資家のガバナンスについての検討もぜひ加えていただきたいと思います。

○神作座長

どうもありがとうございました。

岩崎参考人。

○岩崎参考人

生命保険協会では、前回のご説明のとおり、業界内対応としては各社判断としており、集計表開示は行っておりません。

今回の日本版コードでは、幅広い投資家が今行っているガバナンスを尊重して、できる限り多数の参加を促すことが重要だと思います。

前回も話させていただいたと思いますが、我々としては反対数が重要なのではなく、対話の深さや程度が重要と考えておりますので、その点をご理解いただければと思います。

○神作座長

ありがとうございました。

川田メンバー、お願いいたします。

○川田メンバー

前回も少し申し上げたのですが、6ページの、「その他」の項の一番下の○で、機関投資家と投資先企業との建設的対話を促進するための企業側の努力も重要であると記載されております。この点については記載の通りだと思いますが、そもそも、今回検討している機関投資家の責任を定めるコードにおいて、企業側の努力というものを記載することについては少し違和感があります。また、最後の3行の所で、「企業側にも、株主総会議案について投資家側が十分に検討し得る期間を確保するなど、建設的対話に向けた取り組みを期待する」旨をコードに記載する提案がございます。これはあたかも企業側が株主総会議案についての期間を企業側が任意に定めることができ、その期間をもう少しきちんと確保することを企業に求めているように読むことができます。この点について会社法では、株主総会開催日より14日前に、株主総会の議案を株主に送付することとなっておりますので、会社法上は中14日というのは機関投資家を含めた株主が十分に議案について検討し得る期間であるという理解がされていると思いますが、企業としてはそれより前に発送できるよう努力しているところです。しかし、6頁の表現ですと、会社法で定める中14日では足りないので、企業側はもう少し長い期間を確保しなければならないなど、法律以上の対応を求められることとなれば、少し厳しいかなと思いますので、意見として申し上げたいと思います。

○神作座長

どうもありがとうございました。

小口メンバー。

○小口メンバー

先ほどの原則6と原則7の関係になるのかもしれないのですが、公表の部分と、あと、7では実際に委託者に対しての報告という部分があるのですけれども、委託者、保険であれば保険契約者ということになるのかもしれませんが、保険契約者が、あるいは年金の受益者が、自らの年金や、あるいは保険会社にどういうふうな形で活動したのかということを教えてほしいという話になったときというのは、ここに書いてあることを読みますと、やはりそれには応えるべきということで理解しているのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。

○油布企業開示課長

その点について、私どものほうでは15ページの矢羽根のところに、1個目のハイフンがございます。この点、委託者への報告を基本としつつも、実務的には、例えば報告不要と言っている場合ですとか、最終的な受益者に個別の報告する手段が存在しない場合などが想定されることを踏まえれば、こうした場合には、個別の報告ではなく、一般に公開可能な内容を公表することを念頭に置いた記載が必要となるのではないかというふうに、事務局のほうでは記載させて、提案させていただいております。

○神作座長

よろしゅうございますか。

ほかにご意見、いただけましたら幸いに存じます。それでは、濱口メンバー、お願いします。

○濱口メンバー

このコードが対象としている機関投資家は、日本の市場で言うと、最大の投資家は外人投資家で、その次が事業法人ですが、この二者はターゲットとして入っているのでしょうか。その二者にもコードへの対応を求めていくのか。ここで、機関投資家の定義はあえてしないとありますが。

○油布企業開示課長

3ページの「国内外の別」というところでございますけれども、ここでは、丸のところの3行目から4行目にかけてですが、日本株に投資する機関投資家ということで、必ずしも国内に籍を置いている日本の機関投資家だけに限定するような記載はしないということを提案させていただいております。

事業法人の場合は、考え方によると思いますけれども、私の感覚では、機関投資家ではないような気がしますが、いずれにせよそこは外縁を設けないということですので。

○濱口メンバー

ということは、外資系、いわゆる外人投資家にもこういう方針でやっているんだということを表明してもらう。それはそれでいいと思いますが、やっぱり海外でもそういうことなんですか。

事業法人はイメージは違うのはわかりますが、広い意味での受託者であることには変わりないわけですから、持ち合いの理由を説明するルールと同様に、銀行等であればコンフリクトをどう管理しているのかなどを含めた方針の表明を要求しても別におかしくはないんじゃないかと思いますが。

○神作座長

事務局から、お答えございますでしょうか。

○油布企業開示課長

外縁を設けないということは、裏から申し上げれば、例えば、そういう利益相反みたいなものを整理した上で、手を挙げてサインアップしてくるところがあれば、それはもちろん歓迎するということでございます。

海外の投資家をどう取り扱っているかというのは、イギリスでは、イギリス以外のコード、ICGNのコードも含めまして、そういうものがあることも前提とした上で、なおかつイギリスのコードにも準拠してほしいというふうな呼びかけがなされております。ただ、ちょっとどこの国だったか忘れましたけれども、イギリスに影響を受けて同じようなコードをつくった国が、例えば南アフリカですとか、オランダですとか、スイスですとか、三、四カ国、既にでき上がっているのですけれども、その中身はまちまちで、2つに分かれています。やっぱり自国の機関投資家を念頭に置いて書いたんだと書いてある国と、イギリスみたいに、まあ、イギリス水準はもちろんもう外国の投資家抜きでは語れないと思うのでそうだと思いますけれども、やっぱり内外無差別的な記載をしている例と、両方発見いたしました。

○神作座長

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。松島メンバー。

○松島メンバー

これは必ずしも投資信託のことを対象として申し上げるつもりではありませんが、3ページにコストのことが書いてございます。このコストについて一言申し上げたいと思います。

このコードを受け入れるかどうかというのは個社の判断ということですけれども、できるだけ幅広い機関投資家が参加できるようにするということが重要だという観点から、コードに従っていくに伴って発生するコストが、ある程度あるということと、それをアセット・オーナーの方も短期的なコスト上昇要因にはなるかもしれませんけれども、長期的な効果を考慮した上で、アセット・マネージャーである機関投資家に対するフィーに一定の程度反映させることもあり得るのではないかというような推奨を何らかの形でしていただけると、機関投資家全般の体制整備につながるのではないかと思いまして、申し上げます。

○神作座長

どうもありがとうございました。

ほかにご意見ございますでしょうか。野口メンバー、お願いいたします。

○野口メンバー

16ページをお願いします。ここに「日本版コード独自の原則について」ということで、当該原則の指針として、第一に、当事者企業についての深度ある理解に努める。2つ目に、必要な体制整備を行う。私ども機関投資家として、当然こういったことを前提にしながら企業と対話する必要があると思います。3番目のところに、自らの対話と判断が適切であったか否かについての事後的検証を行うべきと。

当然、私ども、何かやれば、その結果について評価すべきと思います。社内で、具体的にどういうことを行い、その結果をどういうふうに振り返ったら、今回の趣旨に沿うのか議論してみました。今回のコードの趣旨からすると、対話の数が増えたということだけでは余り価値がないのだろうと思います。結果として株価が上がったかということも、必ずしも尺度として妥当と言い切れないところもあります。例えば、中長期的に資本効率が上がったとか、資産効率が上がったとかいったようなことが、一つの評価点として考えられるかと思いますが、1年とか2年とか、短期間では効果が発現しないことも考えられます。とすれば、ここの事後的検証、評価の仕方というのは定性的な振り返りの形になることも想定されるのかなと思われます。

今までも幾つかのプランスポンサーの方とは議決権行使を中心とした説明ですとかヒアリングを行なって参りました。今後プランスポンサーの方は、このコードを念頭に置きながら私どもに質問をされたりですとか、ヒアリングを行ったりされることになるのだろうと思います。ただ、事後的検証には、短期間での定量的な評価に必ずしも馴染まないところもあると思われます。

プランスポンサーも含む機関投資家が、市場の発展或いは日本企業の成長に繋げられるような振り返りを行なうことを求められている訳ですが、毎年毎年やる中で、どうすれば上手く行くのか、自分たちで考えてみて、意外と容易ではないと思うに至りました。まず発行体企業と対話等を行った後、その結果をプランスポンサーの方と何らか意見交換を行ない、全体として、成果に繋げられるようにするにはどうしたらいいか、もう少し社内で検討してみようと思っているところです。

以上、感想めいていますが、一言述べさせていただきます。

○神作座長

ありがとうございます。

○油布企業開示課長

まさにこの日本版コードを策定することの一つの意味は、今、メンバーがおっしゃいましたように、コードができ上がった後に、それを踏まえていろいろと皆さんで考えていただくという、そのプロセスが一つ、極めて大事じゃないかと思っておりまして、そういう意味でそういうご検討をいろいろしてくださっているということは大変ありがたいことだと思っております。

ただ、16ページのここの下から3行目の記載は、やや言葉足らずだったかなというふうに考えております。実際、ドラフティングの段階ではもうちょっといろいろと深く考えて、多面的に書きたいと思っておりますが、実は、実際に、例えば反対票を投じたり、対話で申し入れを行ったりして、その結果、相手方企業が変わったかどうか。変わった結果、業績がよくなったかどうか。それで株価が上がってリターンが増えたかどうかみたいな評価は、実はここではなくて、おそらく11ページの原則4がございます。英国コードの原則4の、このマル2がどうも、これはイギリスのコードの記載ですけれども、これはそういうものを念頭に置いている表現のようでありまして、前回もたしかこの点に関してはご意見があったと思いますが、今日のご意見も踏まえますと、原則4のマル2というのはおそらく日本の場合にはなかなか難しいというか、なじまないという趣旨かなと思います。

例えば、端的に申し上げると、反対票を投じて、それで会社提案が否決される例というのは非常に少なかったりしますので、なかなか定量的評価も難しいですし、対話で発行体企業が変わったというのも、やっぱりなかなか日本の場合はどう評価していいのかわからないということもあろうかと思います。

他方で、ですから、原則4のマル2はちょっと合わないんだろうというご意見が出たと理解しておりますが、16ページに書いておりますのは、もうちょっとアバウトなことでございまして、例えば4年前、5年前に、ある投資先企業さんで何かが非常に争点というかイシューになったときに、あの時点で自分としては──自分というのは機関投資家さんですが、自分としてはあのときにこういう対話をして、こういう申し入れをして、結果的に賛成票を入れた。結果的にあるいは反対票を入れた。それが、その結果、そこから3年なり5年なり一定の期間がたったときに振り返ってみて、その反対票を入れた、賛成票を入れた、あるいは対話で申し入れをした、申し入れをしなかったということがよかったかどうか、ちょっと振り返ってみるという程度のことを念頭に置いて、振り返って確認いただくといいますか、もちろん全件では全くなくて、そういう大きなイシューになったものを拾って確認し、振り返っていただくという、そういうイメージの記載でございます。もとより定量的な評価というのは、なかなか実際にはなじまない場合が多いだろうというのは、私どものほうでもそういうイメージは持っております。

○神作座長

よろしゅうございますか。

石田メンバー。

○石田メンバー

今の点にちょっと、あくまでも参考として申し上げたいのですが、エンゲージメントの成功をどう図るかということは、これは難しい問題でして、アメリカはエンゲージメントがもうかなり進んでいる。弊社が行った調査、エンゲージメント調査というのをもう行っておりまして、それによると、ここでは発行体とアセット・オーナーとアセット・マネジャーに分けてアンケートをとっております。そうすると、対話が持てたこと、それ自体をもってエンゲージメントのサクセスだと、成功だと考えるのは、発行体の場合は57%の人たちがそれを成功だと考えると。一方で、アセット・オーナーは44%だけが、ミーティングを持ったことだけをもって成功とは思わない。また、アセット・マネジャーについては50%しか判断しないと。

一方で、ところが、エンゲージメントの結果、例えば情報開示だとか具体的なアクションが企業側に起きたという状況になった場合、アセット・オーナーの78%が今回のエンゲージメントは成功であったと。また、アセット・マネジャーの73%がそれは成功だったと考える。一方で発行体は、33%の発行体のみがそれをエンゲージメントの成功だと考えると。

こういうふうに、あくまでもご参考として、エンゲージメントの先進国であるアメリカでも、ただ会っただけでは意味がないと。では、どう測定するのか、これはほんとうに難しいという中で、アセット・マネジャー、オーナー、発行体が、何をもってサクセスと考えるかというのは条件に違いがあると。日本もこれからこういうことがどんどん進んでいく中で、何をもってエンゲージメントがサクセスだったかというのは議論が深まっていくのではないかと思います。

ご参考までです。

○神作座長

大変ありがとうございました。

それでは、大場メンバー、お願いいたします。

○大場メンバー

今、野口さんのご発言から振り返りというか、事後的検証の話になっていますので、それに関連してご意見を申し上げます。これは、このコードに限った話ではないと思うのですが、日本的な風土というか、価値観というか、入り口は非常に厳密に検討されるのだけれども、出口のところがすごくルーズになっている傾向があります。企業経営で言いますと、多くの企業が中期経営計画を一生懸命つくるんだけれども、ほとんど達成していない、とよく言われるわけでありますけれども、この第7原則というか、野口さんの指摘されたことだけではなくて、このコードのフォローであるとか、事後的検証であるとか、振り返りであるとか、そういったことをどのように担保するかということも実効性のあるという観点から大変重要ではないかと思います。それについて何らかの手だてを講じておくとか、フォローアップの仕組みであるとか、少し工夫すると、機関投資家の行動原則として定着していくと思われますので、ぜひご考慮いたければと思います。

以上です。

○神作座長

どうもありがとうございました。

ほかにご意見ございますでしょうか。

よろしゅうございますか。

皆様、本日は活発なご議論をいただき、まことにありがとうございました。なお、本日のご意見などに加え、追加でのご意見、ご要望などがございましたら、事務局にメールなどでお寄せいただければと思います。

最後に、事務局のほうからご連絡ございましたらお願いいたします。

○油布企業開示課長

次回の日程でございます。皆様のご都合なども踏まえまして、後日、私ども事務局よりご案内させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○神作座長

どうもありがとうございました。

なお、これまでの検討会で投資先企業に対するエンゲージメントの効果についてご質問がございましたので、米国の公的年金基金であるカルパースが公表している実証分析レポートについて、後日、事務局からメンバーの皆様方にご送付させていただきたいと思います。メンバーの皆様方におかれましては、お目通しの上、今後の議論の参考に供していただければ幸いでございます。

それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。

以上