日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会(第5回)議事録

1.日時:

平成25年12月26日(木)14時00分~14時30分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室

○神作座長

それでは、定刻となりましたので、ただいまより日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会(第5回)会合を開催いたします。年末のお忙しいところ、皆様におかれましては、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

それでは、早速、議事に移らせていただきます。

本日は、日本版コードの素案につきまして、事務局からご説明をいただいた上で、皆様にご議論をお願いしたいと存じます。その後、日本版コードの素案の取りまとめを行いたいと思います。

本素案につきましては、先日、メンバーの皆様方にはあらかじめお送りしておりますが、本日は、本素案についてのご説明とご議論を予定しております。

それでは、まず、本素案につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

○油布企業開示課長

それでは、お手元の縦の資料でございます。本素案を本日お取りまとめいただいた上で、これをパブリックコメントにかけてはいかがでしょうかと考えております。

まず、表題でございますが、「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫。副題といたしまして、「~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~」というのを付しております。

ページをおめくりいただきまして、1ページから4ページにわたりまして、前文がございます。その冒頭におきまして、日本版スチュワードシップとは何ぞやというご疑問が必ずあるかと思いますので、あえてボックスを設けて説明をしております。以降、読み上げさせていただきます。

まず、ボックスの中からでありますが、「責任ある機関投資家」の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》について。本コードにおいて、「スチュワードシップ責任」とは、機関投資家が、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)などを通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、「顧客・受益者」(最終受益者を含む。以下同じ。)の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任を意味する。

本コードは、機関投資家が、顧客・受益者と投資先企業の双方を視野に入れ、「責任ある機関投資家」として当該スチュワードシップ責任を果たすに当たり有用と考えられる諸原則を定めるものである。本コードに沿って、機関投資家が適切にスチュワードシップ責任を果たすことは、経済全体の成長にもつながるものである。

経緯及び背景

1.平成24年12月、我が国経済の再生に向けて、円高・デフレから脱却し強い経済を取り戻すため、政府一体となって、必要な経済政策を講じるとともに成長戦略を実現することを目的として、内閣に「日本経済再生本部」が設置された。また、平成25年1月、同本部の下に、我が国産業の競争力強化や国際展開に向けた成長戦略の具現化と推進について調査審議するため、「産業競争力会議」が設置された。同会議における議論を踏まえ、日本経済再生本部において、本部長である内閣総理大臣より、「内閣府特命担当大臣(金融)は、関係大臣と連携し、企業の持続的な成長を促す観点から、幅広い範囲の機関投資家が適切に受託者責任を果たすための原則のあり方について検討すること。」との指示がなされた。

ここで、脚注に総理指示のなされた日付を書いております。

2.以上の経緯を経て、平成25年6月、いわゆる「第三の矢」としての成長戦略を定める「日本再興戦略」において、「機関投資家が、対話を通じて企業の中長期的な成長を促すなど、受託者責任を果たすための原則(日本版スチュワードシップコード)」、すなわち「企業の持続的な成長を促す観点から、幅広い機関投資家が企業との建設的な対話を行い、適切に受託者責任を果たすための原則」について検討を進め、年内に取りまとめることが閣議決定された。

3.前期の総理指示及び閣議決定を踏まえた検討の場として、平成25年8月、金融庁において「日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」(以下、「本検討会」という。)が設置された。本検討会は、同年8月から計5回にわたり議論を重ね、今般、「『責任ある機関投資家』の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》(以下、「本コード」という。)の素案を取りまとめたところである。本検討会としては、ここに当該素案を公表し、広く関係者の意見を求めることとしたい。

本コードの目的

4.冒頭に掲げたように、本コードにおいて、「スチュワードシップ責任」とは、機関投資家が、投資先の日本企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)などを通して、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任を意味する。本コードは、機関投資家が、顧客・受益者と投資先企業の双方を視野に入れ、「責任ある機関投資家」として当該「スチュワードシップ責任」を果たすに当たり有用と考えられる諸原則を定めるものである。

5.一方で、企業の側においては、経営の基本方針や業務執行に関する意思決定を行う取締役会が、経営陣による執行を適切に監督しつつ、適切なガバナンス機能を発揮することにより、企業価値の向上を図る責務を有している。企業側のこうした責務と本コードに定める機関投資家の責務とは、いわば「車の両輪」であり、両者が適切に相まって質の高い企業統治が実現され、企業の持続的な成長と顧客・受益者の中長期的な投資リターンの確保が図られていくことが期待される。本コードは、こうした観点から、機関投資家と投資先企業との間で建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)が行われることを促すものであり、機関投資家が投資先企業の経営の細部にまで介入することを意図するものではない。

6.また、スチュワードシップ責任を果たすための機関投資家の活動(以下、「スチュワードシップ活動」という。)において、議決権の行使は重要な要素ではあるものの、当該活動は単に議決権の行使のみを意味するものと理解すべきではない。スチュワードシップ活動は、機関投資家が、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を適切に把握することや、これを踏まえて当該企業と建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)を行うことなどを含む、幅広い活動を指すものである。

7.本コードにおいて、機関投資家は、資金の運用等を受託し自ら企業への投資を担う「資産運用者としての機関投資家」(投資運用会社など)である場合と、当該資金の出し手を含む「資産保有者としての機関投資家」(年金基金や保険会社など)である場合とに大別される。

このうち、「資産運用者としての機関投資家」には、投資先企業との日々の建設的な対話等を通じて、当該企業の企業価値の向上に寄与することが期待される。

また、「資産保有者としての機関投資家」には、スチュワードシップ責任を果たす上での基本的な方針を示した上で、自ら、あるいは委託先である「資産運用者としての機関投資家」の行動を通じて、投資先企業の企業価値の向上に寄与することが期待される。

「資産運用者としての機関投資家」は、「資産保有者としての機関投資家」の期待するサービスを提供できるよう、その意向の適切な把握などに努めるべきであり、また、「資産保有者としての機関投資家」は、「資産運用者としての機関投資家」の評価に当たり、短期的な視点のみに偏ることなく、本コードの趣旨を踏まえた評価に努めるべきである。

機関投資家による実効性のある適切なスチュワードシップ活動は、最終的には顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を目指すものである。したがって、スチュワードシップ活動の実施に伴う適正なコストは、投資に必要なコストであるという意識を、機関投資家と顧客・受益者の双方において共有すべきである。

8.本コードの対象とする機関投資家は、基本的に、日本の上場株式に投資する機関投資家を念頭に置いている。また、本コードは、機関投資家から業務の委託を受ける議決権行使助言会社等に対しても当てはまるものである。

「プリンシプルベース・アプローチ」及び「コンプライ・オア・エクスプレイン」

9.本コードに定める各原則の適用の仕方は、各機関投資家が自らの置かれた状況に応じて工夫すべきものである。本コードの履行の態様は、例えば、機関投資家の規模や運用方針(長期運用であるか短期運用であるか、アクティブ運用であるかパッシブ運用であるか等)などによって様々に異なり得る。

10.こうした点に鑑み、本コードは、機関投資家が取るべき行動について詳細に規定する「ルールベース・アプローチ」(細則主義)ではなく、機関投資家が各々の置かれた状況に応じて、自らのスチュワードシップ責任をその実質において適切に果たすことができるよう、いわゆる「プリンシプルベース・アプローチ」(原則主義)を採用している。

「プリンシプルベース・アプローチ」は、我が国では、いまだ馴染みの薄い面があると考えられるが、その意義は、一見、抽象的で大掴みな原則(プリンシプル)について、関係者がその趣旨・精神を確認し、互いに共有した上で、各自、自らの活動が、形式的な文言・記載ではなく、その趣旨・精神に照らして真に適切か否かを判断することにある。機関投資家が本コードを踏まえて行動するに当たっては、こうした「プリンシプルベース・アプローチ」の意義を十分に踏まえることが望まれる。

11.本コードは、法令とは異なり、法的拘束力を有する規範ではない。本検討会は、本コードの趣旨に賛同しこれを受け入れる用意がある機関投資家に対して、その旨を表明(公表)することを期待する。

12.その上で、本コードは、いわゆる「コンプライ・オア・エクスプレイン」(原則を実施するか、実施しない場合には、その理由を説明するか)の手法を採用している。すなわち、本コードの原則の中に、自らの個別事情に照らして実施することが適切でないと考える原則があれば、それを「実施しない理由」を十分に説明することにより、一部の原則を実施しないことも想定している。したがって、前期の受入れ表明(公表)を行った機関投資家であっても、全ての原則を一律に実施しなければならない訳ではないことには注意を要する。ただし、当然のことながら、機関投資家は、当該説明を行う際には、実施しない原則に係る自らの対応について、顧客・受益者の理解が十分に得られるよう工夫すべきである。

13.こうした「コンプライ・オア・エクスプレイン」の手法も、我が国では、いまだ馴染みの薄い面があると考えられる。機関投資家のみならず、顧客・受益者の側においても、当該手法の趣旨を理解し、本コードの受入れを表明(公表)した機関投資家の個別の状況を十分に尊重することが望まれる。本コードの各原則の文言・記載を表面的に捉え、その一部を実施していないことのみをもって、機械的にスチュワードシップ責任が果たされていないと評価することは適切ではない。

14.本検討会は、本コードの受入れ状況を可視化するため、本コードを受け入れる機関投資家に対して、

・「コードを受け入れる旨」(受入れ表明)及びスチュワードシップ責任を果たすための方針など「コードの各原則に基づく公表項目」(実施しない原則がある場合には、その理由の説明を含む)を自らのウェブサイトで公表すること

・当該公表項目について、毎年、見直し・更新を行うこと

・当該公表を行ったウェブサイトのアドレス(URL)を金融庁に通知すること

を期待する。

また、本検討会は、当該通知を受けた金融庁に対して、当該公表を行った機関投資家について、一覧性のある形で公表を行うことを期待する。

15.本検討会は、機関投資家による本コードの実施状況(受入れ・公表を含む)や国際的な議論の動向等も踏まえ、本コードの内容の更なる改善が図られていくことを期待する。このため、本検討会は、金融庁に対して、おおむね3年毎を目途として、本コードの定期的な見直しを検討するなど、適切な対応をとることを期待する。こうした見直しが定期的に行われることにより、機関投資家やその顧客・受益者において、スチュワードシップ責任に対する認識が一層深まり、本コードが我が国においてさらに広く定着していく効果が期待できるものと考えられる。

5ページには、本文原則部分だけを抜粋したものを記載しております。

6ページ以降が各原則および指針の部分になります。

原則1 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

1-1.機関投資家は、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)などを通じて、当該企業の企業価値の向上やその持続的成長を促すことにより、顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図るべきである。

1-2.機関投資家は、こうした認識の下、スチュワードシップ責任を果たすための方針、すなわち、スチュワードシップ責任をどのように考え、その考えに則って当該責任をどのように果たしていくのか、また、顧客・受益者から投資先企業へと向かう投資資金の流れ(インベストメント・チェーン)の中での自らの置かれた位置を踏まえ、どのような役割を果たすのかについての明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

ここで、脚注の2を付しております。当該方針の内容は、各機関投資家の業務の違いにより、例えば、主として資産運用者としての業務を行っている機関投資家と、主として資産保有者としての業務を行っている機関投資家とでは、自ずと異なり得る。

次のページに移りまして、原則2 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

2-1.機関投資家がスチュワードシップ活動を行うに当たっては、自らが所属する企業グループと顧客・受益者の双方に影響を及ぼす事項について議決権を行使する場合など、利益相反の発生が避けられない場合がある。機関投資家は、こうした利益相反を適切に管理することが重要である。

2-2.機関投資家は、こうした認識の下、顧客・受益者の利益を第一として行動するために必要な措置として、あらかじめ想定し得る利益相反の主な類型について、これをどのように管理するのかについての明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

ページをおめくりいただきまして、原則3 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。

3-1.機関投資家は、中長期的視点から投資先企業の企業価値及び資本効率を高め、その持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握することが重要である。

3-2.機関投資家は、こうした投資先企業の状況の把握を継続的に行うべきであり、また、実効的な把握ができているかについて適切に確認すべきである。

3-3.把握する内容としては、例えば、投資先企業のガバナンス、企業戦略、業績、資本構造、リスク(社会・環境問題に関連するリスクを含む)への対応など、様々な事項が想定されるが、特にどのような事項に着目するかについては、機関投資家ごとに運用方針には違いがあり、また、投資先企業ごとに把握すべき事項の重要性も異なることから、機関投資家は、自らのスチュワードシップ責任に照らし、自ら判断を行うべきである。その際、投資先企業の企業価値を毀損するおそれのある事項については、これを早期に把握することができるよう努めるべきである。

次のページに移りまして、原則4 機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである。

4-1.機関投資家は、中長期的視点から投資先企業の企業価値及び資本効率を高め、その持続的成長を促すことを目的とした対話を、投資先企業との間で建設的に行うことを通じて、当該企業と認識の共有を図るよう努めるべきである。

ここで、脚注の3を付しております。その際、対話を行うこと自体が目的であるかのような「形式主義」に陥ることのないよう留意すべきである。

本文に戻りまして、なお、投資先企業の状況や当該企業との対話の内容等を踏まえ、当該企業の企業価値が毀損されるおそれがあると考えられる場合には、より十分な説明を求めるなど、投資先企業と更なる認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである。

ここで、脚注の4を付しております。当該企業との対話の内容等を踏まえ、更に深い対話を行う先を選別することも考えられる。

4-2.以上を踏まえ、機関投資家は、実際に起こり得る様々な局面に応じ、投資先企業との間でどのように対話を行うのかなどについて、あらかじめ明確な方針を持つべきである。

ここで、脚注の5を付しております。当該方針の内容は、例えば、主として資産運用者としての業務を行っている機関投資家と、主として資産保有者としての業務を行っている機関投資家とでは、自ずと異なり得る。

4-3.「OECDコーポレート・ガバナンス原則」や、これを踏まえて策定された東京証券取引所の「上場会社コーポレート・ガバナンス原則」は、企業の未公表の重要事実の取扱いについて、株主間の平等を図ることを基本としている。投資先企業と対話を行う機関投資家は、企業がこうした基本原則の下に置かれていることを踏まえ、当該対話において未公表の重要事実を受領することについては、基本的には慎重に考えるべきである。

ここで、脚注の6を付しております。その上で、投資先企業との特別な関係等に基づき未公表の重要事実を受領する場合には、当該企業の株式の売買を停止するなど、インサイダー取引規制に抵触することを防止するための措置を講じた上で、当該企業との対話に臨むべきである。

ページをおめくりいただきまして、原則5になります。原則5 機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。

5-1.機関投資家は、全ての保有株式について議決権を行使するよう努めるべきであり、議決権の行使に当たっては、投資先企業の状況や当該企業との対話の内容等を踏まえた上で、議案に対する賛否を判断すべきである。

5-2.機関投資家は、議決権の行使についての明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

ここで、脚注の7を付しております。なお、投資先企業の議決権に係る権利確定日をまたぐ貸株取引を行うことを想定している場合には、当該方針においてこうした貸株取引についての方針を記載すべきである。

指針の5-2の2つ目の文章に戻らせていただきます。当該方針は、できる限り明確なものとすべきであるが、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。

5-3.機関投資家は、議決権の行使結果を、議案の主な種類ごとに整理・集計して公表すべきである。こうした公表は、機関投資家がスチュワードシップ責任を果たすための方針に沿って適切に議決権を行使しているか否かについての可視性を高める上で重要である。

ただし、スチュワードシップ責任を果たすに当たり、どのような活動に重点を置くかは、自らのスチュワードシップ責任を果たすための方針、運用方針、顧客・受益者の特性等により様々に異なり得るものであるため、こうした点に照らし、前記の集計公表に代わる他の方法により議決権の行使結果を公表する方が、自らのスチュワードシップ活動全体についてより的確な理解を得られると考えられる場合には、その理由を説明しつつ、当該他の方法により議決権行使結果の公表を行うことも考えられる。

5-4.機関投資家は、議決権行使助言会社のサービスを利用する場合であっても、議決権行使助言会社の助言に機械的に依拠するのではなく、投資先企業の状況や当該企業との対話の内容等を踏まえ、自らの責任と判断の下で議決権を行使すべきである。仮に、議決権行使助言会社のサービスを利用している場合には、議決権行使結果の公表に合わせ、その旨及び当該サービスをどのように活用したのかについても公表すべきである。

次のページに移りまして、原則6 機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである。

6-1.「資産運用者としての機関投資家」は、直接の顧客に対して、スチュワードシップ活動を通じてスチュワードシップ責任をどのように果たしているかについて、原則として、定期的に報告を行うべきである。

ここで、脚注の8を付しております。ただし、当該報告の相手方自身が個別報告は不要との意思を示しているような場合には、この限りではない。また、顧客・受益者に対する個別報告が事実上困難な場合などには、当該報告に代えて、一般に公開可能な情報を公表することも考えられる。

指針の6-2に戻りまして、「資産保有者としての機関投資家」は、受益者に対して、スチュワードシップ責任を果たすための指針と、当該方針の実施状況について、原則として、少なくとも年に1度、報告を行うべきである。ここで、先ほどと同じ脚注8を付しております。

6-3.機関投資家は、顧客・受益者への報告の具体的な様式や内容については、顧客・受益者との合意や、顧客・受益者の利便性・コストなども考慮して決めるべきであり、効果的かつ効率的な報告を行うよう工夫すべきである。

ここで、脚注の9を付しております。なお、当該報告において、資産運用上の秘密等を明かすことを求めるものではない。

6-4.なお、機関投資家は、議決権の行使活動を含むスチュワードシップ活動について、スチュワードシップ責任を果たすために必要な範囲において記録に残すべきである。

最後のページが日本版独自の原則になります。原則7でございます。機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。

7-1.機関投資家は、投資先企業との対話を建設的なものとし、かつ、当該企業の持続的成長に資する有益なものとしていく観点から、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えていることが重要である。

7-2.このため、機関投資家は、こうした対話や判断を適切に行うために必要な体制の整備を行うべきである。

7-3.こうした対話や判断を適切に行うための一助として、必要に応じ、機関投資家が、他の投資家との意見交換を行うことやそのための場を設けることも有益であると考えられる。また、機関投資家は、過去に行った投資先企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断の幾つかについて、これらが適切であったか否かを適宜の時期に省みることにより、スチュワードシップ責任を果たすための方針や議決権行使の方針の改善につなげるなど、将来のスチュワードシップ活動がより適切なものとなるよう努めるべきである。

以上でございます。

○神作座長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局からのご説明を踏まえまして、ご議論をお願いしたいと思います。ご自由にご発言をお願いいたします。

いかがでしょうか。どうかご自由に。よろしゅうございますか。

江口メンバー。

○江口メンバー

内容について注文ということではありません。コメントとして一言だけつけ加えさせていただきます。

原則7、これは日本独自の項目ということですが、この中で、7-3に、機関投資家が、他の投資家との意見交換を行うことやそのための場を設けることも有益であると記しています。これについては私も前回の会合で、場を設けることが重要だと申し上げました。その発言内容を酌んでいただいたということで大変ありがたいと思います。

さらに、今回の会合においても発言として残しておきたいと思います。意見交換の場を設けると言いましても、なかなか簡単にはできないのが実態です。でありますから、今後、どのような場を設けたらいいか。どのような形で設けたらいいか。誰がそうした場の設定を応援すべきか。それから、どのような範囲の人がその場に参加したらいいか。こういったことも含めて、さらに検討を進めていくことが、スチュワードシップ精神をさらに進めていく上で重要であろう。このように考えまして、一言コメントさせていただきました。

○神作座長

大変ありがとうございました。

ほかにご意見、あるいはコメントを頂戴できましたら幸いです。

ご意見ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。

どうもありがとうございました。

それでは、本素案につきましては、ご賛同をいただいたものと存じますので、これで取りまとめとさせていただきたいと存じます。どうもありがとうございます。

本検討会で取りまとめた素案につきましては、金融庁のホームページにおいて、実質1カ月間パブリックコメントに付し、広く関係者の皆様のご意見を求めることとしたいと存じます。また、若干公表のタイミングがずれる可能もございますが、英語版につきましても同様にパブリックコメントに付したいと思います。

その後、2月中を念頭に、本検討会の最終回を開催させていただき、パブリックコメントにおいて寄せられたご意見も踏まえ、「日本版コード」を最終確定したいと思います。

最後に、事務局からご連絡などございましたら、お願いいたします。

○油布企業開示課長

それでは、パブリックコメント終了後の次回の検討会の日程についてでございますが、皆様のご都合なども踏まえた上で調整させていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○神作座長

どうもありがとうございました。

それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示課
(内線3836、3671)

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