スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会(第2回)

1.日時:

平成29年2月17日(金)9時00分~11時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

【神作座長】

おはようございます。ただいまより、スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会を開催いたします。

皆様、ご多忙のところ、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

本日の検討会では、前回の会合でご意見を伺えなかったメンバーの方もいらっしゃいますので、前回に引き続き、皆様からのご意見を伺ってまいりたいと存じます。

それでは、早速議事に移らせていただきます。

前回会合におきまして、メンバーの皆様から、フォローアップ会議意見書では取り上げられていなかった議決権行使助言会社や集団的エンゲージメントに関してもご意見を頂戴いたしましたことから、本日、皆様からのご意見を伺うに先立ちまして、前回資料の補足として、これらの点に関する現状等について、事務局よりご説明をいただきたいと思います。

それでは、事務局より、資料のご説明をお願いいたします。

【田原企業開示課長】

それでは、お手元の資料に従いまして、ただいまお話のございました議決権行使助言会社と集団的エンゲージメントにつきまして、補足で説明をさせていただきたいと思います。

資料の3ページ目をごらんください。まず、前回、何名かのメンバーの方からご意見を頂戴いたしました議決権行使助言会社でございますけれども、スチュワードシップ・コードにおきましても、他の機関投資家と同様に対象であるとされておりまして、前文8には、「本コードは、機関投資家から業務の委託を受ける議決権行使助言会社等に対してもあてはまるものである」とされているところでございます。

したがいまして、例えば、原則5で、「機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである」と書いています。こういった原則についても、議決権行使助言会社にもかかるということでございます。

重ねまして、原則5の中に指針5-4がございまして、議決権行使助言会社のサービスを利用する場合につきまして、機関投資家はそれに機械的に依拠するのではなくて、投資先企業の状況や当該企業との対話の内容等を踏まえまして、自らの責任と判断の下で議決権を行使すべきである、そうしたサービスを利用している場合には、議決権行使結果の公表に合わせて、その旨及び当該サービスをどう活用したかを公表すべきである、とされているところでございますので、まずご紹介させていただきます。

議決権行使助言会社の影響力というのは日本のマーケットにおいてもますます増しています。先般、日本投資顧問業協会が実施されました会員向けのアンケートの結果では、関連する質問にご回答いただいた126社のうちで日本株の投資残高がある92社をとって、その影響について見てみますと、半分ぐらいの機関投資家の方が議決権行使助言会社を利用されているということでございます。

また、前回のご指摘なども踏まえまして、5ページ目以降、米欧の状況につきまして、急ぎの調査でございますので必ずしも十分ではないかもしれませんが、私どものほうで調査した結果を載せさせていただいております。米国でございますけれども、議員立法で、議決権行使助言会社を登録制として、利益相反管理方針の策定、十分なスタッフの確保、対象企業による助言案へのコメントの機会の付与などを含みます体制の整備等を義務づける「Financial CHOICE Act of 2016」という法案が審議されており、下院に提出されているということでございます。

概要としては、議決権行使助言会社の質を向上させることを目的として、登録制の下に、十分な財務・経営資源を有していることの証明、議決権行使助言の策定の手続・方法、組織体制、倫理規程の有無、助言サービスに影響を与える可能性のある利益相反等について、SECに情報を提供しまして、それがSECのウェブサイトで開示されるということでございます。

それから、体制等につきましても整備義務がかかっておりまして、書面による利益相反管理方針の策定・執行、正確かつ最新の情報に基づいた議決権行使推奨を行うための十分なスタッフの確保、対象企業による助言案へのコメントの機会を付与する手続の整備、助言の際に用いられた情報の正確性に関して不服を受け付けるオンブズマンの設置・行使前の不服の解決、コンプライアンス・オフィサーの設置などが規定をされているということでございます。

それから、6ページ目のEUでございますが、数年前から議決権行使助言会社について議論が行われていたということでございまして、現在、株主権利指令の改正案が、かなり最終段階の検討状況に来ていると伺っております。

これは、議決権行使助言会社に、スタッフの資質の確保のための手続、企業を取り巻く個別事情の考慮・企業との対話の状況、利益相反への対応等について開示させるという内容のものでございまして、概要としては、各加盟国が、議決権行使助言会社に、行動規範の有無・適用状況を毎年ウェブサイト上で開示をさせる、また、体制等の開示として、議決権行使助言会社に、顧客に対して自らの活動の正確性・信頼性に関する情報を提供する観点から、調査・助言・議決権行使推奨に関する以下の情報を、少なくとも毎年、ウェブサイト上で開示させるということで、アメリカと同じように、利用している方法・モデルの特徴、情報源、サービスの質・スタッフの資質を確保するための手続、対象企業・ステークホルダーとの対話の有無・内容、利益相反管理方針などについて、開示をさせるという指令と伺っております。

以上が、議決権行使助言会社についてのご説明でございます。

集団的エンゲージメントについてもご説明をさせていただきます。

集団的エンゲージメントにつきましては、スチュワードシップ・コードを策定する際の検討会におきましても議論がございまして、その結果、8ページにございますような原則7が取りまとめられて、その指針7-3におきましては、対話や判断を行うための一助として、必要に応じて、機関投資家が他の投資家との意見交換を行うこと、そのための場を設けることは有益であるということで、ポジィティブな評価を行っているということでございます。

その際に、あわせて、金融商品取引法上の開示に関する規制についてどのような整理ができるのかというご質問を頂戴しまして、その際に、私どものほうでまとめさせていただいたものを、9ページ以降にサマリーとして再掲させていただいております。

コードの策定時の議論でございますけれども、大量保有報告制度におきまして、株券等の保有者の保有割合を算出する際には、「共同保有者」の保有分も合算する必要があるということでございまして、機関投資家が他の投資家と協調して個別の投資先企業に対して行動を起こすに際して、他の投資家が「共同保有者」に該当する場合には、当該他の投資家の保有分も勘案しながら、大量保有報告制度に対応する必要があるということでございます。これが1点目。

それから、2点目でございますけれども、日常の営業活動等において、反復継続的に株券等の売買を行っている金融商品取引業者等に対しましては、大量保有報告書とその後の変更報告書の提出頻度や期限を緩和するための特例報告制度が設けられていますが、株券等の保有者が「重要提案行為」を行う場合には、特例報告制度を利用できないということで、月2回の基準日で判断するのではなく、提出事由が生じた日から5営業日以内に報告を出さなくてはならなくなるということでございます。集団的エンゲージメントに際し、こういった特例が活用できなくなるのではないかというご指摘がありまして、その際に、解釈の明確化を図る必要があるのではないかというご指摘を頂戴したわけでございます。

これらの点について、以下のような解釈の明確化を平成26年2月に公表させていただいております。

その内容が、わかりやすいQ&Aを10ページ以降に掲げさせていただいておりますけれども、まず、株券等の保有者が「他の投資家」との間で、特定の投資先企業に対する議決権行使の方針について意見交換を行う場合や、投資先企業に対話の場を設けるように共同で申し入れるようなことを合意した場合について、当該「他の投資家」は「共同保有者」に該当することになるのかということについて、お答えといたしまして、「共同保有者」に該当するためには、「共同して株主としての議決権その他の権利を行使すること」を合意している必要があるということでございます。「株主としての議決権その他の権利」というのは、議決権の他、株主提案権など、ここに列挙している権利を指すということですので、それ以外の株主としての一般的な行動についての合意に過ぎない場合には、「共同保有者」には基本的に該当しないという整理をしているところでございます。

それから、下の問でございますけれども、株券等の保有者が他の投資家との間で議決権行使の予定を伝え合って、その内容が一致したような場合について、「共同保有者」に該当するかということについて、お答えとしては、「共同して議決権その他の権利を行使すること」を「合意」している必要があるということでございまして、ここでいう「合意」とは、相互または一方の行動を約する性質のものであって、単なる意見交換とは異なるということですので、たまたま各々の議決権行使の予定を伝え合った結果が一致しているような場合ならば、基本的に該当しないという整理をさせていただいているところでございます。

それから、「重要提案行為」につきましても、上の問のところにございますように、マル1からマル7の類型をつくりまして、経営方針等の説明を求める行為、自らの議決権行使の方針などを説明する行為、それについて投資先企業のスタンスの説明を求める行為、株主総会において質問を行う行為、こういったものについては、「重要提案行為」には該当しない可能性が高いという整理をいたしております。

それから、マル5以降の株主総会において、具体的な事項の決議を求める行為などにつきましては、内容が「重要提案行為」にかかる政令で列挙されている各事項に該当するようなものでありますと、発行者の事業活動に重大な変更を加え、また重大な影響を及ぼすことを目的とする提案に該当する行為として、「重要提案行為」に該当する可能性が高いものと考えられますけれども、例えばマル6マル7のように、投資先企業の経営方針等の変更を求めるような行為でありましても、その行為の態様によっては、「重要提案行為」に該当する可能性が低いようなものも想定されるのではないか、具体的には、例えば、発行者のほうから意見を求められて、それに対して株主が受動的に意見を陳述するような場合は、該当する可能性は低くなるだろうということで、ケース・バイ・ケースで判断をしていくという整理をさせていただいています。

したがいまして、これまでいろいろご議論を頂戴いたしましたような、共同で会社と話し合いをすることは、現行の法制下でも十分可能であるということになります。

以上、事務方からの説明とさせていただきます。ありがとうございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、これより、皆様からご意見等をお伺いする討議の時間とさせていただきます。

本日ご欠席のワリングメンバー、冨山メンバーから意見書を提出していただいておりますので、討議に先立ち、事務局より簡単にその意見書についてご紹介をいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

それでは、お手元のワリングメンバーの意見書と、冨山メンバーの意見書についてご説明をさせていただきます。

ワリングメンバーの意見書でございますけれども、議決権行使助言会社についてのものでございまして、簡単に内容を申し上げますと、ワリングメンバーは、議決権行使助言会社につきましては、基本的には自らの議決権行使方針や、国際的なコーポレートガバナンスのベストプラクティスなどを踏まえて、ある程度形式的に推奨意見を出すのはやむを得ないのではないかというご意見でございます。

一方で、議決権行使方針の透明性、利益相反、分析の質についての懸念に対処する上では、規則で監督するというような方法をとるのではなく、ベストプラクティスのコードのような考え方が最も適切ではないかというご意見を頂戴しているところでございます。

それから、冨山メンバーの意見書でございますけれども、6点ございますけれども、1つ目は、安定株主の存在により実効的な対話が妨げられないようにするべきとございますが、安定株主が無条件に経営者側をサポートするような立場で行動すると、対話の実効性が低下するため、共同エンゲージメントについてコードで記載すべきというご意見です。

それから、2つ目は、機関投資家の利益相反の実態に着目したガバナンスを強化すべきということでございます。3つ目が、対話の中身の質を高めるということ、4つ目が、スチュワードシップ活動の評価のあり方についても、実質面に着目して「見える化」すべきということです。これら2.から4.につきましては、フォローアップ会議の意見書をエンドースするという形になっているかと思います。

5つ目では、共同エンゲージメントについての必要性を再度強調されています。

6つ目は、議決権行使助言会社の助言の質についてのご意見でございまして、これが適切に行われているかが問題になっているということで、フォローアップ会議の場でも一度ご意見をおっしゃっていたと思いますけれども、ご自身の経験についてお示しをされております。現行スチュワードシップ・コードでは、先ほどご紹介したように、議決権行使助言会社にもコードが当てはまるということを述べているわけでございますけれども、例えば指針5-4において、議決権行使助言会社が十分な経営資源を投入し、個別具体的な状況を的確に把握した上で適切にサービスを提供すべき旨、明文化すべきというご意見でございます。

以上、簡単でございますが、ワリングメンバーと冨山メンバーの意見書につきましてご説明申し上げました。ありがとうございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

冒頭に申し上げましたとおり、本日は、前回ご意見を伺えなかった方から先にご発言をお願いできればと存じます。

なお、本日ご欠席のキャロンメンバーからは、フォローアップ会議の意見書の内容に沿って、スチュワードシップ・コードの改訂を行うことに賛成であるという旨のご意見を頂戴しておりますので、ご紹介させていただきます。

それでは、いかがでしょうか。前回ご発言をいただいていない方からご発言いただきたいと存じます。それでは、堀江メンバー、お願いいたします。

【堀江メンバー】

私は今、冨山さんがおっしゃった2番目と3番目と4番目のポイントと、キャロンさんのコメントと同じように、基本的にはフォローアップ会議の内容に沿って改訂を行えば良いと思います。

それはなぜか。コードの前文のところに書いてあるように、スチュワードシップ責任は、企業価値を持続的に向上させるため、企業に対して様々な観点で議論をすることで適切な評価をすることが目的になっています。また日本の企業の企業価値が低下している一番根本的な原因は資本生産性が低いということに尽きていることも、これまでの議論で述べられているわけで、それを向上させるには、事業ポートフォリオをどうするか、資本政策をどうするかといった中長期の経営戦略に関する議論でなければなりません。

またそういった議論を取締役会が実際にできる資質を持っているのかといったチェックを投資家が行うのが基本的な考え方だと思います。従ってスチュワードシップ・コードの内容が、そのようなチェックをするに足る状況になっているのかどうかを確認した上で、身の丈に合った改訂をすべきだと思います。

そうすると、フォローアップ会議の中で既に陳述されているように、海外の長期の機関投資家から特に批判されることですが、日本の機関投資家が我々と同じ株主の立場に沿ってやってくれない。それは利益相反管理や、ガバナンスがちゃんと整っていないといった、イロハのイのところが、投資先企業に言う前に、ちゃんとしていないという批判が非常に強いということは事実です。フォローアップ会議の意見書の中に書かれている形で改訂すべきです。今言った点が改訂されるという前提に立てば、議決権行使の個別開示もそれに含まれ当然のこととして含めるべきだと思っています。

ですので、ここでまた議論するのもいいんですが、私はフォローアップ会議の中でかなり有益な意見が出尽くしているというふうに思っていますので、フォローアップ会議の意見書をベースに文言改訂すべきと思っています。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

大場メンバー、お願いいたします。

【大場メンバー】

前回、発言する機会がなかったものですから、発言をさせていただきたいと思いますが、全体の感想が1つと意見が1つです。

全体的には、今、堀江さんからお話がございましたように、フォローアップ会議で相当論点整理が行われておりますので、その線に沿って、具体的に進めるということでよろしいのではないかと思います。

論点としては、前回、田原課長から説明がありましたように、3つぐらい大きなテーマがあると思います。1つ目は、運用会社としてのガバナンスの確立、2つ目は、議決権の個別開示、3つ目は、パッシブ運用における議決権の実効的な進め方、この3点が主な論点で、今日ご説明があったものについてはそれらに加えて議論の余地があると、こういう整理ではないかと思います。

その中で、1つだけ意見があるとすると、パッシブ運用の議決権行使については少し検討の余地があるかなと思っています。それはどういうことかというと、この会議の趣旨はそもそも、冒頭、池田局長からもお話があったとおり形式的にはいろいろ整ってきたかもしれないけれども、機関投資家による上場企業への働きかけの実効性が高まるようにしていかないといけないと、こういうことだと思います。この観点から、パッシブ運用の議決権行使については、私は2つ、実効性を妨げているものがあるのではないかと思っているということです。

1つは、濱口さんからもご指摘がありましたように、期限が集中しているので、形式的な議決権行使にならざるを得なくなっているということです。

もう一つは、数が多過ぎるということです。なぜかTOPIXがベンチマークになっているインデックスファンドが多いのですが、これらのファンドにおいては2,000社の議決権を行使することになるわけです。現実的に相当難易度が高いと思います。しかし、現実にはTOPIXのインデックスファンドの残高は非常に多い。ここが形式的に走らざるを得なくなっているのではないかと思います。

したがいまして、これはアセットオーナーへのお願いみたいなことになるわけですが、少しベンチマークをフォーカスできないかということです。TOPIXのインデックスの問題を私は言っているわけではなくて、それが引き起こす問題をもう少し考えるべきだということです。

さらにつけ加えると、何でそういうことにこだわるかというと、そもそもスチュワードシップ・コードの原則3に、スチュワードシップ責任を適切に果たすためには、当該企業の状況を的確に把握すべきだと書いてあるんですね。的確に把握するというのは、その企業の文化、歴史、価値観、こういったものを的確に調査しないとできないと思います。

そういうことなしに議決権行使の行動に出ると、先般、川田さんからもご指摘がありましたように、形式的な対話になっているとか、全然気づきがないとか、こういうようなことで、企業も迷惑すると、こういうことではないかと思います。

したがいまして、対話が持続的企業価値の向上につながるようにしていくという観点で考えたときに、相当対象を絞り込んで議論をしていかないと、これは実現が非常に難しい、つまり、実効ある取組みにならないと思いますので、その点、意見を申し上げたいと思います。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、田中正明メンバー、お願いいたします。

【田中(正)メンバー】

前回の第1回目の検討会におきまして、神作座長、それから、池田局長から、この検討会の目的とかミッションというものをお伺いしましたが、それはフォローアップ会議の意見書にある提言を踏まえてスチュワードシップ・コードを改訂すると、これが基本的なミッションであるというふうに伺いました。私自身、フォローアップ会議に参加させていただいておりましたので、第1回会議で事務局から提示されました論点の整理に全く異論はありません。

それから、前回、ICGNのワリングさんのプレゼンテーションをお伺いしたのですが、これは投資家のスチュワードシップ活動に関するベストプラクティスを深く理解するには非常に役立つと思いました。その点は非常によかったと思います。

特に彼女がおっしゃった中で、「社会全体のために、企業も投資家も同様に、まさに企業価値を長期的に成功に導くための相互の責任を負っている」という発言をされていますけれども、こういう考え方は、今日も配付されていますが、前回の資料の9ページ、これが非常に大事だとずっと思っていまして、このインベストメントチェーンの考え方ですね。このインベストメントチェーンの全体図の中で、それぞれの箱の中にあるそれぞれのピース、機関投資家も、それから、アセットオーナーもそうだと思うんですが、それぞれの役割をもう一度考えるというフォローアップ会議の意見書の考え方と合致するというふうに思っています。

それから、前回の会議以降、これは報道ベースですけれども、1つは、三菱UFJ信託銀行は、投資先企業の株主総会で議案への賛否を投じる議決権行使の結果について、企業、議案ごとに個別に開示する方針を明らかにしたと、こういう報道がされています。

それから、2つ目には、第一生命保険が、投資先企業の株主総会で行使する議決権の透明性を高めるために、4月に責任投資委員会を立ち上げたり、3人の社外監査役による事後チェックの仕組みを整えるとされています。社内の議論だけでは決めずに、第三者の目を取り入れる試みを始められるという趣旨だということで、こういう報道もされております。

今回のスチュワードシップ・コードの改訂作業というのは、これは文章をつくるということですけれども、これに当たりましては、こういったフロントランナーと思われる方々の試みをしっかり後押しするということを念頭に置く必要があるだろうというふうに思います。

前回の会合では、各メンバーの皆さんから非常に多くの示唆を受けまして、非常にいい議論をされたと思っているんですが、特に、小口メンバーと田中先生が触れられました「コンプライ・オア・エクスプレイン」の原則というのをもう一回再認識しておく必要があると思います。この手法の機能に関しましては、お二人のコメントは非常に参考になると思いました。

特に田中先生がおっしゃいましたカナダの研究事例ですね。コンプライしているという回答よりも、説得的な理由を上げてエクスプレインしている企業のほうがむしろ株主価値がポジィティブな影響を与えていると、こういう研究の結果があるということをおっしゃっておられました。

それから、今回の改訂も、まさにこの「コンプライ・オア・エクスプレイン」の原則で行うものですから、意見書の提言にのっとりまして、基本的に、もしくは、さらに、ベストプラクティスを原則として、むしろそのベストプラクティスに異なるアプローチをとる場合には、しっかりエクスプレインしてもらうという、こういうアプローチをとるべきだというふうに思っています。

安易にコンプライの選択肢を広げてしまうとか、意見書よりも選択肢を広げてしまうというようなことをしますと、機関投資家等の作業としては、単にチェックボックスを機械的にチェックするだけというようなものになり、それではコードを改訂する意義が減殺されると考えます。

それから、そもそも原点にかえって考えますと、機関投資家も金融仲介業者ですから、自分のお金を運用しているわけではありませんので、常にその最終受益者、先ほど9ページのインベストメントチェーンの図を参照しましたけれども、その最終受益者に対する説明責任を負っているということを重く受けとめる必要があると思っています。

金融庁でも、今、行政方針をいろいろ検討されておりますけれども、これまでの動きから見ますと、ベストプラクティスを意識して、それを見据えた対応、対話をしていくという方向を基本的な方針とされているわけですから、それにも沿うものだというふうに思います。

したがいまして、これから改訂案をつくるという作業に入ることになると思いますが、細かい修文合戦みたいなことにならないように、それから、あたかも護送船団行政みたいに最も遅れたところに焦点を当てるというような修文にならないように、十分そこは気をつけてやっていただきたいというふうに思います。

それから、今日ご提示いただきました議決権行使の助言会社ですが、今日の資料の4ページによりますと、一定の影響力は認められるということですね。アメリカとか欧州の調査結果を踏まえまして、これは一定の改訂を考えてもいいんではないかという気がいたします。

例えば、この議決権行使助言会社に関しては、冨山さんのペーパーにもありますけれども、十分な経営資源があるのかどうかとか、利益相反をどう管理しているか、それから、助言をどのようにして策定しているか等について、何らかの開示を求めるというものはあってもいいんではなかろうかという気はいたします。

特にその原則5等は主語が機関投資家になっておりまして、議決権行使助言会社にはなっておりませんから、そういった中で、コードの中に議決権行使会社を対象とした文章があってもいいんじゃなかろうかという気はいたします。

それから、最後に、集団的エンゲージメントなんですけれども、これは特例報告制度の利用がなかなか進まないことがあるのかもしれませんが、前回、ワリングさんのほうから、日本版コードで、これに関する言及がないことがICGNメンバーにとって懸念材料となっているという発言がございました。

実際には、先ほど田原課長のほうからご説明があったような作業が随分されているわけですけれども、こういうパーセプションがあるということはやっぱり頭に置いておく必要があるだろうと思います。

そういう中で、2つ、1は、最近、「資本市場リサーチ」で、上田さんが「集団的エンゲージメントの課題」というレポートを書いておられます。これは非常によくできたレポートだと私は思っているんですけれども、そこでは、集団的エンゲージメントを検討するには、金融商品取引法の規制に留意しながらも、規定があるから実施できないではなくて、現行規定の範囲内で実施するにはどうすればよいかと、こういう観点から検討する必要があるという問題提起をされておられます。具体的にその辺を念頭に置いた何らかの文章の改訂ができないかと思います。また、加えて、冨山さんの意見書にある「共同エンゲージメントを促進すべき」というコメントも踏まえて、何らかの形の修文を考えてもいいんじゃないかという気はいたしております。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、松島メンバー、ご意見、よろしゅうございますでしょうか。

【松島メンバー】

意見というよりはご質問なんですけれども、集団的エンゲージメントということについて、具体的な姿というのがあまり示されていない部分があります。その点、推奨すべき姿というのがいまいち、我々、実務的にやっている者にとってみると、具体的なお考えがわからない部分があるので、教えていただけると、大変ありがたいです。

今、田中メンバーの中では、どういう姿をお考えになっていらっしゃるんでしょうか。

【田中(正)メンバー】

私よりも上田さんのほうが詳しいかもしれませんけれども、前回も濱口さんがおっしゃいましたように、やはりそれぞれの機関投資家の方々がリソースが非常に少ないというような点もあるので、やり方には幾つかの形態があるようなんですけれども、皆さんで問題点等を共有されながら、それぞれの企業との間で議論をされると、エンゲージメントをされるという手法があるんだろうというふうに思います。

ただ、諸外国のやり方の中では、その機関投資家の団体が結構あって、日本ではなかなかそれが発達してないようですけれども、そういうところがエンゲージメントの基本的な方針等をつくりながら、企業と議論されるというような手法が結構広がっているというふうに伺っておりまして、そうしたことが広がっていくことが一つの手法としてはあるんではないかと思っております。

【神作座長】

ありがとうございます。

前回ご発言いただいていないメンバーの方で、佃さん、もしご意見ございましたら、おっしゃっていただけますでしょうか。

【佃メンバー】

ありがとうございます。ご指名、ありがとうございます。

2点ございまして、まず、1点目、これは田中さんが先ほどコメントされた話とかぶる話ですが、まさに「コンプライ・オア・エクスプレイン」の概念のところです。東証に出しているレポートベースではコンプライの率が非常に高いのですね。でも、実際に企業の皆さんと話すと、実態面でできてないという話が非常に多い状況です。これは「コンプライ・オア・エクスプレイン」というコンセプトそのものの限界が実質を追求する以上ではどうしても出てくるのかなと考えています。

そういった意味では、ベストプラクティスアプローチという田中さんの話をさらに推し進めると、幾つかの企業でもやっているんですけれども、「コンプライ・アンド・エクスプレイン」という考えを徹底しないといけないんじゃないかと考えます。

なぜコンプライしたのか、なぜコンプライしていると言えるのかという説明も伴って、初めてコンプライというのが正当性を持つということだと思いますので、コンプライすればエクスプレインしなくていいという状況を変える必要があります。

それから、2点目が、私もフォローアップ会議のメンバーでしたので、この意見書の方向性で全く問題ないというふうに考えておりますので、基本的にはこの方向性で改訂をするべきだという立場をとっております。その中でご検討頂きたいのが議決権行使助言会社における利益相反管理問題です。最近、議決権行使の助言会社の話で報道がございました。一方で、機関投資家向けに議決権行使の助言サービスを提供しながら、他方で企業に対して、取締役会評価のサービスを提供する状況にあります。

利益相反には色々な態様があると思います。特定の顧客に対して、いろいろなサービスを提供するがゆえに、そのサービスの間でコンフリクトが生じるというふうな利益相反というのは当然あると思うんですね。

これは例えば信託銀行さんとか生保さんなんかでもそういうふうな形で、特定企業との間で、複数の取引間で利益相反が発生する状況です。しかるに、議決権行使助言会社が一方で機関投資家に対してサービスを提供しながら、他方でその評価対象となっている企業に対して別のサービスを提供するというのは利益相反の態様としてはさらに高度な管理が必要になるのではないかというふうに考えます。

当該議決権行使の助言会社としては、当然機関投資家向け部門と企業向け部門の間でファイアウォールをひいて、きっちりと利益相反管理をしていますという主旨の公表をするという話になると思うんですけれども、ほんとうにそれだけでいいんだろうかという点があると思います。究極的に言うと、どちらのサービスをとるんですかという話までする必要があるかもしれません。インベストメントチェーンの中でこのような利益相反行為が実際に起きている状況も踏まえた上で、今回の改訂に反映していっていただきたいなと思います。

以上、2点でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、これで一通りご発言をいただきましたので、ご自由にご討議いただきたいと思います。濱口メンバー、どうぞ。

【濱口メンバー】

まず、今日の議題の議決権行使助言会社については、一般論として、助言会社に一定の規律を求めることには特に異論はございません。ただし、前回も申し上げたとおり、またICGNのコメントにもありましたが、日本の株主総会開催がいまだに一定の時期に集中していまして、議決権行使業務は、その精度をある程度犠牲にしてでも機械的に実施せざるを得ない状況があります。機械的にやらないとすれば、それこそ何十人、何百人でやればできるんだということでしょうが、それは現実的ではないわけで、したがって、そういう実務上の問題との整合性については、機械的にやるなと言ったら、結局行使できないということになると逆効果なので、その辺を慎重に考える必要があると思っています。

松島さんからご質問の、集団的エンゲージメントはどういうものかについては、なかなか一言で言うのは難しくて、部分だけ説明するとかえって誤解が出るかもわからないので、慎重にやる必要があると思うんですが、具体的な例は公表されている、イギリスのインベスターフォーラムという組織があって、ここには、30とか40ぐらいの運用会社が参加していて、そこでやっているという例があります。どういうことをやっているというのは公表されています。今ほかの機関投資家の方と、どうすればいいかという相談をしているところですが、その辺の例も参考にしながらやりたいと思っています。

あえて言うと、そんなに難しい話ではなくて、典型的な例だとガバナンス、環境問題、不祥事など、多くの機関投資家が問題だと思っている共通項について、一々、何十もの機関投資家が同じ話を企業側にしに行くよりは、集まって、集まってというのは誰かが代表して行くような形でしょうけども、意見を述べに行って対話をするということです。そういう意味では企業側にとってのメリットも大きいんじゃないかと思います。

より複雑で難しい問題になってくると、基本的にはこれは個別でやることがベースで、その個別のエンゲージメントの補完とか補強ということでもあるので、なかなか難しいなかなか前に進まないというような案件が出てくると、もう一度共同して企業側とさらに突っ込んだ対話をする、これはいい意味で影響力をやはり増すということかと思います。

この集団的エンゲージメントは国際的に広く採用されていて、ほとんどの国のスチュワードシップ・コードの中で非常に重要な行動原則の一つとして明記されていますのは、機関投資家は、単なるきれいごとの説明に終わることなく、また、少数株主だからという言いわけをせずに、必要であれば共同して結果を出すために行動することが大事だということです。これがスチュワードシップ・コードのまさに実効性を高めるために必要不可欠だということで、そういう考えでみんな採用しているということだと思います。

したがって、先ほどご説明があったような法的論点についても、欧米の監督当局は、単なる説明に終わらずに、さらに踏み込んで集団的エンゲージメントを後押しするような規定まで設けるといった対応をしています。

また、市場における実際のエンゲージメントの例を見ても、私の感じる範囲で言うと、非常に重要な場面でそれなりの役割を果たしており、したがって、市場の機能を支える土台になっているというふうに感じています。

今回の見直しが実効的なスチュワードシップ活動のために、さらに、国際的な議論や動向を踏まえてとわざわざうたわれておられますので、原則の一つとして採用されるべきだと思いますし、何らかの事情があってそうしない場合でも、最低限の対応として、先ほどの原則の下に指針がついていましたけども、例えば指針の中にでも、必要に応じて共同して対話に取り組むことが考えられるとかいうぐらいの追加は最低限してもいい、そのぐらいのことは考えてもいいかなと思っています。

皆さん、どう思われているかよくわからないんですが、あまりそういう意識をお持ちでない方もおられるかもしれませんが、私は日本のスチュワードシップにかける本気度を試されているんじゃないかと思いますので、海外の投資家から懸念を持たれないように、対応する必要があると思います。

最後に、大場さんのご指摘の何で2,000銘柄もやっているんだということですが、これは3年前の第1回のこの会議で私は申し上げました。そんなに難しい話じゃなくて、TOPIX300、400、500でいいわけです。世界の投資家が使っているインデックスだと、MSCI Japanは大体300銘柄ぐらいです。残念ながら、その後出てきたのがJPX400ということで、これはご存じのように、ROEとかガバナンスとか、単純な時価総額比率ではなくて、ウエートも完全に時価総額ベースではない。ご存じのように、今、JPX400はTOPIXを相当下回っていますが、相場の状況によってそういう違いが出てくる。したがって、時価総額ベースの市場全体ということを基準にしている多くの世界の機関投資家にとってはこれは使えないですね。

もう一つの、日経225は、ご存じのように時価総額じゃないですから、これは使えない。じゃあ、TOPIX400、500でやればいいじゃないかと言うことですが、非常に大事なのは先物なんですね。ETFでもそうですが、まず、先物から入っていく、先物から買っていく、先物から売っていくというのが大手の機関投資家のボリュームがある取引の基本になっていますから、先物がそれなりに流動性がないとできない。

したがって、TOPIX例えば400にして、その400の先物が十分に流動性があるようにする必要があるわけで、今後ほかの機関投資家と一緒に、それから、あと、証券会社、それから、取引所の協力も要るので、単純な時価総額ベースの400とか500とか300ですね、というインデックスを投資家も使い、証券会社も使いということができないか、話し合っていきたいと思っています。

【神作座長】

ありがとうございます。

それでは、田中メンバー。

【田中(正)メンバー】

ちょっと補足させていただきますけれども、企業側からの見方というのが一つあるんだろうと思うんですが、実は私自身、IRというのを8年ぐらいやったことがあるんですけれども、今でも日本の大手の企業というのは大体決算を発表すると、IRというものをやるわけですね。これはまさに投資家との対話そのものなんですけれども。そのときに、もう既に集団的な対話の場はもう日常的にあるわけです。

非常に一般的な慣行として、海外を一回りするということがよくなされるわけですけれども、そういう場合、例えばロンドンにしても、エジンバラにしても、それから、ニューヨークにしても、グループで投資家と対話をするということはこれはもう日常茶飯事なわけです。

そういうところの議論の中身が、この集団的エンゲージメントの議論に出てくるような議論が結構実は出てくるんですよね。例えばおたくのCEOはとか、それから、今のガバナンスがとか、そういう議論は当然そういうところでは出てきているわけで、既に私はこの集団的エンゲージメントに関しては企業側からすればある一定の受け入れの「素地」はあるだろうというふうにむしろ思っています。

そういうことよりも、むしろあまりバラバラと個別に来られるほうがかえって困るというふうなことではないかと私は思っておりまして、こうしたIR活動というのはもう既に30年、日本の大企業はやっていると思いますけれども、そういう「下地」があるということは前提に考えてもいいんじゃないかというふうに思います。

【神作座長】

どうもありがとうございます。

では、上柳メンバー、お願いいたします。

【上柳メンバー】

1つは、前回と重複かもわかりませんけれども、ぜひ個別の議決権行使の開示について実現されるべきだと思います。原則の5の3の関係です。

2つ目ですけれども、今日話題になっております議決権行使助言会社の関係です。現在でも、事務局ご指摘のとおり、前文の8に、コードの主語になっている機関投資家の中に助言会社も入ると明記されているので、それで理屈的には十分なのかもわかりませんけれども、特にいろいろご指摘がありましたコンサルティング業務も含めての利益相反の問題であるとか、あるいは、株主総会の期日が集中していることが背景ではあるんですけれども、議決権行使助言会社が十分な人的資源を有しているかとの問題とか、重要だと思いますので、書き込めればと思います。アメリカの法案は、実現するのかどうかわかりませんが、登録というようなところまで求めているような動きもあるので、ここのところは手当てが必要かと思います。

3つ目が、最後なんですけれども、ESGというふうに言うんでしょうか。環境、社会、あるいは、ガバナンスへの配慮、あるいは、持続的な投資ということがこれから強調されるべきだというふうに思っております。今日、経済産業省からの資料が出ておりまして、そこでは研究会もなさっているようですけれども、このような問題意識は大変重要じゃないかと私は思います。

その観点から言いますと、現在で言いますと、原則の3、あるいは、3-3.のところに、私の読み方は不十分かもわかりませんが、社会・環境問題という指摘がありますけれども、それはリスクに限定されているように読みました。けれども、リスクの面だけではなくて、社会・環境問題に関する企業の態度であるとか、あるいは、その持続的発展、あるいは、長期的展望という面もこの原則3の把握すべき情報なり要素の対象になることを盛り込むということが必要なのではないかというふうに思います。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございます。

小口メンバー、お願いします。

【小口メンバー】

ありがとうございます。一巡したということで、発言させていただきたいと思います。

基本的にスチュワードシップ・コードを考えるときに、私自身はやはり一番大事なのは、スチュワードシップ・コード冒頭の四角に書いてあるスチュワードシップ責任とは何ぞやということにあって、先ほど大場メンバーもおっしゃったのですけれども、投資先企業とその事業環境に関する深い理解に基づく建設的なエンゲージメントを通じて、中長期的な投資リターンを図る責任がまず大前提であって、この責任を果たすためにコードがあるということかと思います。ですから、言い方を変えますと、原則自体はその責任を果たすための単なる手段に過ぎないということだと思うのです。

今回は、その手段について何か改訂しようということですから、これは当たり前のことですけど、スチュワードシップ責任を果たすために、もともとの原則を強化するものでなければいけなくて、先ほど田中メンバーもおっしゃいましたけれども、修文とかそういう話ではなくて、要するに、実効性を高めるという視点で考えなければいけないというふうにまず思っております。

その視点で、今日は、資料として議決権行使助言会社と集団的エンゲージメントが示されているわけですけれども、やはり議決権行使助言会社については形式的だという話がどうしても出てくるわけです。これだけの数の議決権に行使助言している以上、仕方がない部分もあるとは思うのですが、そこに皆さんは懸念をお持ちだということだと思うのです。

私は実は、集団的エンゲージメントにも同じ懸念があると思っています。先ほど松島メンバーは具体論が浮かばないとおっしゃいましたが、私どもは実務でやっていて思うのですけど、結局、私どもの理解しているところでは、いわゆる集団的エンゲージメントというのは、先ほど田中メンバーがおっしゃったようないろんなことを議論する場というよりも、目に見えるテーマを特定して、そのテーマに沿って機関投資家が集まって交渉するというふうに、投資家の世界では言われているわけですね。

ですから、インベスターフォーラムの話も出ましたけど、私の知っている限りでは、特定の問題のある企業を選んで、集中的にみんなで交渉する集団的エンゲージメントを主導する組織であって、田中メンバーのおっしゃったことと多分違うと思うのですけど、その辺の概念をしっかりして議論しないと、話が変な方向に行ってしまうのではないかと思っています。

もし、集団的エンゲージメントについて考えるのであれば、やはり実態が重要ですよね。どういうことをやるんだ、今何が不足なんだということで、先ほどご説明があった今の規定で一体何が不足なんだというところから、具体的にどうすべきなんだという話をしないと、なかなか形だけの話では議論ができないのかなと思います。

しかしながら、そうは言っても、私も、この間ワリングメンバーが言っていた話というのは我々も考えなきゃいけないと思っていて、該当する言葉がないから否定していると思われるのはよろしくないのかなと思っています。ですから、多分、キーワードはコラボレーションという言葉だと思うのですが、例えば8ページのこの資料の指針7-3.ですが、これはあくまでも議論のための試案ですけれども、今ある「他の投資家との意見交換を行うことや、そのための場を設ける」というところを、「他の投資家との意見交換を行うことや、そのためにコラボレーションする場を設ける」と変えて、英語で先に言ってしまいましたが、「協同」という言葉になるのかもしれませんが、「コラボレーション」というワードが入るかどうかで、実態は変わらないのかもしれませんけれども、かなり受け取るイメージは違うと思います。これは前回も申し上げたのですが、表現の話であれば、わかりやすく書くのがいいのかなと思っています。

それから、最後に、さはさりながら、前回のときと状況が変わっている点が1つありまして、今後導入が予定されているフェアディスクロージャーの話があると思うのですね。今日は機関投資家のサイドの「重要提案行為」と「共同保有者」の話でしたが、フェアディスクロージャールールについては、個別のエンゲージメントでも集団でのエンゲージメントでも、ルールの適用自体は一緒だと思うのですけど、ただ、対する企業側としては、もし集団的エンゲージメントと呼ばれるものが数に頼るようなものになってしまうと、多勢に無勢というか、多数の機関投資家に囲まれて企業がフェアディスクロージャーを踏み外してしまうようなことにならないように、集団的エンゲージメントという世界がもし頻繁にされるようになった場合は、企業にはより注意が必要になってくるのかなと。これは今の時点では何とも言えませんけれども、今後の検討のために申し上げておきたいと思います。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

桝田メンバー、お願いいたします。

【桝田メンバー】

それでは、前回申し上げた意見に加えて、本日、議題に上っている議決権行使助言会社についてと、パッシブ運用のエンゲージメントについて、意見を述べさせていただきます。

議決権行使助言会社と運用機関の関係ですが、日本株に限ると、大手運用機関は議決権行使を自社でやっていると理解しています。規模が小さな運用機関はそうではない可能性がございます。

大手運用機関におきましては、利益相反の問題がございますので、親会社等利益相反の懸念のある企業への議決権行使については限定的に助言会社を活用することが実態だと思っています。

私どもの例を挙げますと、親会社等の議決権判断を助言会社に一旦任せますので、彼らの判断をしっかり分析して、自社との比較もしております。彼らが出してきた判断は、利益相反を回避する目的ですから、基本的にはそのまま投票しますが、彼らの判断そのものもチェックする役割も運用機関は担っていると思っています。

加えて、助言会社の議案判断のクオリティーを上げることも、大手運用機関は、スチュワードシップの枠組みの中で、担っている責務ではないかと思っていますので、運用機関も助言会社に対して、ガバナンス、あるいは、クオリティーを上げるよう求める責任があると思っております。これが1点です。

2点目は、大場メンバーもおっしゃったパッシブ運用のエンゲージメントについてでございます。今回なぜパッシブ運用のエンゲージメントが取り上げられているのかというと、日本の株式運用の世界はスチュワードシップが導入される前の状態でいるということだと思います。トラッキング・エラーを小さくして、インデックスに効率的に連動していれば、運用会社の責任は果たしたという枠組みです。

スチュワードシップという新しい時代になって、今回の論点が出ているわけですから、これをやる、やらないは運用機関がコンプライなりエクスプレインをすればいいと思いますが、一定以上のパッシブ運用を担っている運用機関は、しっかりそれを担う責務があると考えます。

インデックスが悪いから仕方ないということではなく、アセットオーナーがこのインデックスを採用しているから悪いということでもなく、こういう時代の中で変化が求められていますから、新しいインデックスをつくるという濱口委員がおっしゃったことも正しいと思います。ただし、TOPIXなどに連動するパッシブ運用の残高が増えているという状況を所与としたときに、運用機関は何ができるのかという課題もございます。例えば、パッシブ運用のエンゲージメントという枠組みの中で、エンゲージメントする価値のない企業は投資対象から外すアプローチがございます。さらに、パッシブ運用の視点でスクリーニングして、企業価値向上がかなり見込まれる企業については積極的にエンゲージメントするアプローチもあります。このようなアプローチによって、運用機関の責務は果たし得るのではないかと考えております。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

高山メンバー、お願いします。

【高山メンバー】

私からは、これまでの議論で上がった中で、「コンプライ・オア・エクスプレイン」に対する考え方と、それから、ESGに対する考え方について意見を述べさせていただきます。

「コンプライ・オア・エクスプレイン」は、先ほど佃委員がおっしゃったように、グローバルな企業や投資家におけるコンセンサスは、「『コンプライ・アンド・エクスプレイン』オア『ドゥー・ノット・コンプライ・アンド・エクスプレイン』」です。つまり、コンプライしようが、コンプライしなかろうが、いずれにしても説明責任は負うということでございます。

本コードの前文のほうには、「コンプライ・オア・エクスプレイン」の訳として、「原則を実施するか、実施しない場合にはその理由を説明するか」と記載されています。これは、直訳としては正しいんですけれども、コンプライした場合でも必ずきちんとエクスプレインすることが期待されているということについては、もう少し明確にしてもいいのではないかと思います。

それから、ESG、特に環境・社会についてですが、先ほど上柳メンバーからのご指摘にもありましたけれども、ガバナンスはもちろんそうですが、社会・環境に関連する重要な事項、全てではなく、これらの中で重要な事項は、リスク、それから、機会の両面で、企業の長期的な経済的価値、ファイナンシャルリターンに深く結びつくというコンセンサスが、これもグローバルの企業と投資家の間にあると思います。

そして、そのようなコンセンサスのもとで、実際にさまざまな対話が、Gに加えてEとSについても行われているという現状があります。このような状況を踏まえますと、原則3の3-3.のところにあります社会・環境に関する説明、考え方はもう少し充実させてもよいのではないかと考えます。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

ほかにご意見、いかがでしょうか。では、上田メンバー、お願いします。

【上田メンバー】

ありがとうございます。まず、「コンプライ・オア・エクスプレイン」について、少し事例のご紹介をさせてください。

ちょうど年末に欧州の投資家を幾つか訪問してお話を伺っていましたら、その中で、誰もが知っている複数の大手金融機関系の大手の運用会社で、日本にも多分拠点があると思うんですが、そこの方たちが、英国と日本のコードにもサインをしているというので、日本のコードの意見書、まだ英語版が出る前だったので、ちょっとそのコンセプトなんかを説明したりしていたんですが、個別開示については、いや、これはイギリスでも入ってないのに、日本は進んでいるけど、ちょっとしんどいなという意見が多かったんですね。

そのときのご意見が、「でも、エクスプレインすればいいんだよね」と、我々は、そのかわり、本国でこういう開示もしているし、しっかり説明しようということでした。コンプライしなければエクスプレインをするということでしっかり自分たちで言葉を紡いでというんでしょうか、考えて説明をすると、このプロセスが大事なのかなと思いました。

ただ、この個別開示をされない場合に、機関投資家の方にお願いしたいのは、ただし、投資先の企業から、「うちの議決権はどう行使されましたか」という問い合わせがあったときには、これは教えてあげてほしいですね。これは、対話の基本だと思いますので、それを、エクスプレインの中のベストプラクティスのような形で定着していただければ、パブリックには開示しなくても、投資先企業との対話の中ではこれは開示を示してあげると、これが対話の基礎になるというような配慮はしていただければなと思います。

本日のテーマになっている集団的エンゲージメントについて、すみません、先ほどから私の書いた論文をご紹介いただいて、大変ありがとうございます。集団的エンゲージメントなんですが、私の意見は簡単で、日本でもできるんじゃないんですかと、いうものです。法律が悪いからと言うと、すみません、ちょっと語弊もありますが、法律のせいでできないという意見もあるようなんですが、私はできると思っています。

ただし、先ほどありましたように、コードに明確に集団的、英語でいうとコレクティブ、あるいは、コラボレーション、こういった言葉がないので、できないんじゃないかと思われているのは事実でしょう。ちなみに、日本の後に幾つか、マレーシア、香港、あとタイなんかが続いてコードを入れているんですが、その中にはコレクティブ・エンゲージメント、しっかりコレクティブリーと書いてあるんですね。それと比較すると、何か日本ができないように見えて、ちょっと損しているのかなというぐらいなので、私は先ほどの小口さんと同じで、本文に入れなくても、注釈で、こういうものを集団的エンゲージメントと呼ぶ場合があるぐらいを入れればいい程度の話であって、あまり書きかえてしまうと、日本の方針が変わったように見られるのもちょっと違うのかなと思いました。

この集団的エンゲージメントなんですが、私、総論は賛成なんですけど、しっかり考える必要があると思っています。というのが、先ほど田中さんもおっしゃったように、既にやっている部分があるじゃないかという、ここを少し考える必要があるのかなと思います。

集団的エンゲージメントというのは個別のエンゲージメントの補完的なものであると、これは大前提なんですね。じゃあ、エンゲージメントって何かというと、1つ目は一般的な問題点の議論、例えば何でもいいですが、社外取締役の独立性はどうあるべきかなど。2つ目というのが個別の会社との一般的な議論のもの、3つ目が個別の会社との特定の議論についての意見交換、最後の4つ目、レベル4というのが特定の会社に対する提案行為、です。

おそらく最初の3つというのは、今のIR、SRの中でされておられるんじゃないかと思います。問題は、最後のレベル4の提案行為で、「重要提案行為」に該当してくるようなものです。やはりここはステップ・バイ・ステップにやる必要があって、いきなりこのレベル4という話ということはなくて、やはり会社さんとしても、まずは入り口は対話でしょうということになるのかなと思っています。土壌づくりという意味で、集団的に、例えば大きな事案が発生した場合に、会社と対話できる、会社が1社だけじゃなくて、複数の投資家と対話できるような場があるとか、こういったところから始めていって、お互いにころ合いというものを把握した上で、レベル4になるのか、ならないのかということだと思います。

イギリスもこのレベル4というのは相当慎重にやっていまして、先ほど来出ていますインベスターズ・フォーラムがレベル4の提案行為をやっているんですが、弁護士を使って英国、欧州、米国など各国の法令もチェックして、そして、情報の管理もしっかりやっているということで、これは果たして今、日本でどこまでできるかなとちょっと疑問に思っているところもあります。ですので、まずはステップ・バイ・ステップでやっていけばいいのかと思って、そういった整理も実際にするには必要なのかなと思っております。

すみません、長くなりました。ありがとうございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

福本オブザーバー、よろしくお願いします。

【福本オブザーバー】

経済産業省、福本です。先ほど、上柳メンバーから、あるいは、高山メンバー、大場メンバーからも言及がありました部分とも関係いたしますので、資料を今日、2つご用意しておりまして、よろしいですか。

【田原企業開示課長】

短ければ、もし時間がかかるようであれば、後ほどお願いしたいと思います。

【福本オブザーバー】

後のほうがいいですか。じゃあ、後でやらせていただきますか。

【神作座長】

それでは、佃メンバー、お願いします。

【佃メンバー】

先ほどのは前回欠席分の発言ということで、今回分の発言をさせていただきます。

冒頭、大場メンバーから、形式論じゃなくて、実質論が大事だということで、まさにガバナンスコードもスチュワードシップ・コードも、形式から実質へという流れですので、議決権行使助言会社について、その実質面の話をさせていただきます。

そもそも、議決権行使って何について議決権行使しているんですかという話なのですが、日本企業の株主総会議案を見ると、剰余金の処分だとか、定款の一部変更だとか、ストックオプション付与を目的とした新株の予約権とか、いろいろありますけども、やはり大宗を占めるのは取締役の選任で、この議案が中心だと思います。

では、その取締役の選任議案について、議決権行使をする上で何が重要ですかというと、例えば取締役が再任される場合には、当該取締役が取締役会に貢献してきたのかどうか、これが一番大事だと思います。それから、取締役が新任の場合には、取締役会に貢献し得るのかどうか、これが一番大事だと。もちろん、大前提として形式的な適格性、例えば利益相反がないとか、取締役会の出席状況などの形式基準は当然満たした上です。この形式基準は必要条件に過ぎず、実質を満たす上では十分条件をどう満たすかというのが一番大事だと考えます。

この実質を考える上で、議決権行使助言会社の助言内容は極めて形式的であるということは、かねてから指摘されています。

問題は、その形式的なものを実質に変えられるんですかというところだと思うんですね。私は個人的には無理だと思います。先ほどもコメントがありましたけれども、例えば機関投資家が利益相反がある場合など限定的に使うことを考えていかざるを得ないのかなと。

そうすると、結局何が一番大事かと考えると、機関投資家としては、取締役との対話を増やすことで、その取締役の直接観察などもしながら、議決権行使につなげるしか道はないというふうに考えます。

そういった意味で、先ほど来、共同エンゲージメント、集団エンゲージメントという話がありまして、当然これはこれで大事なんですけども、企業がIRをやるときの対象者が誰ですかといったときに、現状はほとんどは執行サイド、社長であるとか、CFOであるとか、あるいは、その他役員・部長という方が圧倒的に多いと思います。

いくつかの機関投資家から聞こえてくる声としては、社外取締役の方にもいろいろ聞きたいという話もあるんだけれども、企業サイドが躊躇してしまい、なかなかコミュニケーションがとれないという話があります。

そもそも、社外取締役と社内取締役という概念自体が極めて日本的だと思うのですけれども、そういった意味では、先ほどの議決権行使の実質のレベルを上げていくといったときに、実はこの話とエンゲージメントの話というのはつながっていまして、エンゲージメントを強化するしかないと思います。そのためには、社外取締役がより機関投資家とコミュニケーションできるように促すことが極めて重要になってくると考えます。

一部の企業では既に積極的に取組み始めておられるところもありますので、それをぜひとも、これはスチュワードシップ・コードに落ちるのか、それとも、コーポレートガバナンス・コードに落ちるのか、若干微妙だと思いますけれども、いずれにしても、金融庁として後押しして頂きたいと思います。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

長島メンバー、お願いします。

【長島メンバー】

ありがとうございます。集団的エンゲージメントに関してですが、運用の現場からいうと、コードの運用に当たって、やはり市場の透明性と、運用機関や関係者の自発性、市場原理が損なわれないようにするということに留意する必要があるのではないかと思っています。

実際に運用するという立場で言うと、アクティブ運用のエンゲージメントには各社さん相当に力を入れていると思うのですが、それ自体がやはりバリューの源泉になっているので、それを集団的にやるという発想はあまりないというのが現実ではないでしょうか。

一方、パッシブに関しては、例えば、不祥事案件があるような場合を中心として、ケース・バイ・ケースということになるんだと思うんですけれども、テーマによってそこに参加するとかという場合はあり得るかなと思います。その辺の実態に即した点を、コードの改訂では考慮していただきたいと思っております。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、濱口メンバー、お願いします。今の点に関連されますか。

【濱口メンバー】

違います。

【神作座長】

加藤メンバー、どうぞ。

【加藤メンバー】

ありがとうございます。私は、「コンプライ・オア・エクスプレイン」という方法をより実質化するためにはどうすればいいかという観点からコメントをさせていただきます。

まず、「コンプライ・オア・エクスプレイン」というのは「『コンプライ・アンド・エクスプレイン』オア『ノット・コンプライ・アンド・エクスプレイン』」と考えるべきとのご指摘は非常に重要だと思います。これはスチュワードシップ・コードだけに当てはまるものではなくて、あらゆる「コンプライ・オア・エクスプレイン」という方法を使う場合に当てはまることなのだろうと思います。

そういう観点からしまして、やはりどういった情報がどのような形で開示されているかが重要なのですけれども、これらの点が、コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードではかなり異なっていると思います。

コーポレートガバナンス・コードでは東京証券取引所がいわばハブとなって、各種の情報を投資家が利用しやすいように、コーポレートガバナンス報告書という形で提供しているわけです。これに対して、スチュワードシップ・コードの場合にはそういった仕組みはありません。ただ、金融庁が、各社のウエブサイトへのリンクが貼られた非常に字の細かいリストをPDFファイルにして、金融庁のウエブサイトにアップロードしているだけなのですね。それで、まず、いいのかというのが1つ目のコメントです。

次に、開示の仕組みを見直す際には、スチュワードシップ・コードでエクスプレインさせることの意味をどこに求めるかを意識する必要があると思います。実際にアセットオーナー、つまり、運用機関などを選択するアセットオーナーの方たちがその開示資料を見て運用機関などを選ぶということを想定するのか、むしろ、各社にコードの趣旨に沿って考えてもらうことで足りると考えるかで、必要な開示の仕組みは異なってくるような気がいたします。

そういった観点から、興味深いのは、今のスチュワードシップ・コードに関する開示を、特にアセットオーナーの方々が読んでいらっしゃるのかどうかということです。さらに言うと、開示の仕方に何か不満があるのであれば、やはりそれは改善すべき点があるということになるのではないかと思います。

【神作座長】

ありがとうございます。

それでは、濱口メンバー、どうぞ。

【濱口メンバー】

議決権行使の個別開示のことですが、前回申し上げたことに追加して、皆さんの意見と、もう一度意見書を読んでよくわかったんですが、目的は利益相反の可能性を回避することですので、最終受益者がそれを判断できるようにということですね。

そういうことなら、前回申し上げたことにプラスして疑問があるのは、運用機関等、この等が何をあらわすかによるんですが、いずれにしろ、個別開示を一般公表することを原則とするというのは、この目的からすると、ちょっとこの書き方は乱暴で、例えば投資信託とかであれば、最終受益者が広く国民一般である場合でしょうから、一般公表でいいような気がしますが。

典型例でいうと、企業年金の受益者は、一般国民ではないわけで、このまま読むと、それも含めて、個別開示、一般公表原則というのは、全然関係ない人に何で公表する必要があるんだというになるので、最終受益者が広く一般国民である場合には、それを原則とするといったことにしていただかないと、余計な開示しないことのエクスプレインばっかり増えて無駄かなと思います。

【神作座長】

どうもありがとうございます。

それでは、田中メンバー。

【田中(亘)メンバー】

集団的エンゲージメントに関して、意見を申し上げたいと思います。

1つは、これは上田メンバーからお話があったことですけれども、集団的エンゲージメントは現行法のもとでもできる。確かに、法的リスクが伴う場合もありますけれど、法的リスクというのはある意味ではどの国でもあることでありまして、一般的にできるか、できないかといえば、日本でも多くのことができるだろうと思っております。

その際に、集団的エンゲージメントという言葉でどういうものを想定しているかといえば、それは小口メンバーがまさにおっしゃったように、投資家が協働して特定の企業の問題点を指摘すると、あるいは、もっと強く言えば、問題点を追及して改善を求めると、そういうことです。そういうものであっても、かなり広くできると思っております。

その際に、法的な規制については本日ご説明いただいたところですけれども、1つは「重要提案行為」でして、「重要提案行為」になると特例報告制度を利用することができません。「重要提案行為」については、かなり広く網をかけるような規制、規律に現在なっております。そのため、単独で5%以上議決権を持っている機関投資家が、たとえば企業の資本政策なり経営政策に対して要求を突きつけると、「重要提案行為」になる可能性は高いわけであります。

しかしながら、単独で5%を持っている投資家がそのような行為をするのであれば、それは一般の投資家に対しても、そういう活動をしているんですよということを情報開示すべきであるというのは一つのあり方であって、それは決して、そういった投資家が「重要提案行為」をしてはいけないということではないと思います。

次に、集団的エンゲージメントですから、複数の機関投資家が企業に対して、協働、協力して一定の要求をする場合を考えてみます。その場合は、どの投資家も単独では5%以上を持ってないわけですから、現行法の規律によれば、共同で株主権を行使することの合意をしていて初めて5%ルールが適用されるということになるわけです。5%ルールが適用されないと、そもそも大量保有報告制度の規制対象に入らないわけですから、先ほど言った「重要提案行為」になるかどうかという論点も考える必要がなくなるわけです。

そして、その5%に合算する際には、株主権の行使について合意していなければいけないということになるわけです。集団的エンゲージメントの対象となる政策のかなりの部分は、企業が株主総会の決議をとることなくできるものであろうと思います。例えば増資をするとか、必ずしも資本、リターンの改善に結びつかないM&Aをするとか、あるいは個別的な投資をするとか、そういったことのかなりの部分は株主総会決議を伴わなくてできるわけですから、そのような企業の行為に対して、投資家が集団的に反対をしても、一般的には株主権の行使に関する合意に当たらないということになります。

もっとも、企業の資本政策なり経営政策が株主総会の決議を伴う場合というのがあります。例えば増資でも、定款による授権を追加的に必要とする場合には株主総会決議がないとできません。したがって、投資家がそのような経営政策に対して反対をするということになると、それはその問題についての当該議案に反対するということになり得ますから、株主権の行使と関係してくるわけです。それから、M&Aも、株主総会決議が必要になるような組織再編行為については、これに反対することは株主権の行使に関係することになってまいります。

ただし、そのような状況であっても、あくまでも株主権の行使について投資家同士が合意していなければならないわけです。そして、これはスチュワードシップ・コードをつくったときの法的論点の整理のところで明確にしているように、合意というのは、一方または双方が自分の行動を相手方に対して約するという性格のものでなければならないわけであります。

機関投資家は、自己の顧客に対して信認義務を負っているわけですので、たとえ特定の議案について、ほかの機関投資家との間で、あの議案はだめですから反対しましょうということで意気投合したとしても、その後、株主総会までに検討を行って、やはり賛成したほうが顧客の利益になると判断した場合は、ちゅうちょなく賛成に回るはずであり、そのことが、ほかの投資家との間で約束違反になるということはついぞ考えることはないはずです。ほかの投資家も当然、相手はそういうふうな趣旨で発言をしていると思っているはずであります。

したがいまして、一般に機関投資家が、特定の株主総会議案と関係する企業の資本政策や経営政策に対して集団で反対の意思を表明したとしても、その表明に参加した投資家が、株主総会における自分の議決権行使について、お互いに合意したというふうにみなされることは、実際上はほとんどないのではないかと私は思っています。

さらに加えて、このような問題については、ある程度、法的リスクをコントロールすることもできるかと思います。例えば、特定の企業政策に反対する投資家が、企業に対して連名で手紙を書くということもあると思いますが、その際に、この連名の手紙は、株主総会における議決権の行使について投資家が合意したという趣旨は含みませんということをはっきり書いておくことによって、法的リスクを軽減することもできるかと思います。

というようなことですので、現行法の規制のあり方については、さまざま検討の余地はありますが、現在の規制の内容であっても、相当程度、集団的エンゲージメントはできるだろうと私は考えております。

その上で、前回、ワリングメンバーから、集団的エンゲージメントについてかなり具体的に、それが現在のスチュワードシップ・コードの中にないことについて懸念を持っていると、かなりはっきりした言葉で指摘されたことは、それなりに重く受けとめる必要があると思います。規制が、一般的には今私が申し上げたように、集団的エンゲージメントを禁じたものではないとしても、やはり投資家自身が、そうはいってもやっぱりやりにくいとか、法的リスクがあって怖いとか、あるいは、何と申しますか、規制の細かい内容はともかくとして、当局はそれを好ましからぬものと思っているのではないかといった認識を持っていると、現実的には集団的エンゲージメントは行われないということになるかと思います。そうだとすれば、集団的エンゲージメントに関係する言葉をコードに盛り込むということが考えられると思います。

その際に、英国のコードは確かに集団的エンゲージメントについての原則を含んでいるわけですが、そこで言っているのは、投資家はそれが適当なときは(where appropriate)集団的にエンゲージメントをする用意があるべきであるという、”be willing to”と言っているわけですけれども、そういうことでありまして、それは決して何か日常的に集団的にエンゲージしろと言っているわけではないわけですね。あくまで「適当なとき」にはそれを「する用意がある」べきだ、といっているわけです。

ですから、過去に集団的エンゲージメントをしたことがない投資家であっても、この原則をコンプライすることができると、そういうことを明確にした原則だろうと思っております。日本版スチュワードシップ・コードについても、集団的エンゲージメントに関する原則を盛り込むとしても、あくまでそういうものにとどまるだろうし、とどめるべきだと思っています。

そういうものであれば、必ずしも原則に入れる必要はなく、原則の下の指針の中に言及するにとどめることも考えられます。ただ、最初に事務局からご説明いただいた原則7の指針7-3.というのは、これは投資家同士の意見交換について述べたものであって、これをちょっと集団的エンゲージメントに言及したものと考えるのはちょっと無理があるかなと思っています。集団的エンゲージメントというのは、やはり集団で企業と対話するということであって、投資家同士の意見交換というのは、せいぜいそのための準備行動ですから、これ自体は集団的エンゲージメントとはいいづらいと思います。

したがって、コードに集団的エンゲージメントに関する記述を盛り込むとすれば、やはり原則4、企業と投資家との対話について規定した原則4の指針の中に盛り込むことが望ましい。その際には、例えばですけれども、対話は投資家が単独で企業と行うこともあるが、必要があれば、その対話は複数の投資家が共同して企業と行うこともあり得るということ、事実としてそういうことがあるんだよということを書けばいいのではないかと。

英国でも、あくまで適当なときはやるべきだというだけで、決していつもやれというわけではありませんから、日本でも、今述べたような形で集団的エンゲージメントに言及すれば、現行法に照らして無理なことを要求することもなく、日本が過度にエンゲージメントに消極的であるというような誤解を解くことができるように思います。そうであれば、このような記述を指針に盛り込むことは、十分考えられると思っております。

長くなりましたが、以上です。

【神作座長】

具体的なご提案をありがとうございました。では、松島メンバー。

【松島メンバー】

今のご意見に大変賛同しますということだけ申し上げたいと思います。

我々も集団的にエンゲージメントする用意があるんだというふうに自分たちは思っていますけれども、日常的に集団的にエンゲージメントすることを推奨されるような表現が盛り込まれると、かえっておかしなことになると思っております。なぜならば、やはり意見を調整するということは自分の意見を変えるということになります。

ですから、その自分の意見を変えるということが、そもそも我々にとってよいことかどうかということを考える必要があると思うんですけれども、やはり投資家から受けている責任を全うしようと思った場合は、できる範囲内で一致していくことがあくまで原則であって、集団的に行動することが推奨されるというのはちょっと順番が違うのかなという意味で、今のご提案が非常にわかりやすい、よい案ではないかというふうに思っております。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、川田メンバー、お願いいたします。

【川田メンバー】

ありがとうございます。企業側の株主総会を長く担当し、また、今、責任者を務めている立場から、ご参考になればということでお話を申し上げたいと思います。

議決権行使助言会社と機関投資家の関係、あるいは、集団的エンゲージメントに関し、もし参考になればと思いお話します。当社は、去年、株主総会を行った際に、取締役選任議案を提出いたしましたが、実は2年連続の赤字でございました。

これには理由がございまして、当社のような民間の石油会社は、法律上70日間の原油の備蓄義務を負っております。そうしますと、原油価格の変動が激しいときには、会計上、在庫評価損が発生しますので、何千億かの赤字を計上せざるを得ませんでしたが、在庫評価影響を除く実質的な経常利益はきちんと確保しているという状況でした。しかし、議決権行使助言会社は、過去5期平均の自己資本利益率(ROE)が5%を下回りかつ改善傾向にない場合には、会長、社長である取締役の選任議案に対し原則として反対票を投じることを推奨しておりました。

それで、当社はそういういわば特殊な事情があるということを何回も議決権行使助言会社に説明したのですが、彼らからは個々の企業からそれぞれの事情を聞いていると、全ての企業から聞かなければならなくなるため、形式的に判断して反対の推奨をしますという発言がありました。そして、結果的にはやはり彼らは当社の提案に対して反対を推奨すると発表しました。

そこで、困った事態になったと思い、内外の機関投資家に手紙を書きました。手紙には、当社のような日本の石油会社は、法律上70日間の原油の備蓄義務を負っており、価格変動の影響を大きく受けること、そのため、会計上、赤字を計上せざるを得なかったけれども、実質的にはこのような利益を確保しているということを書きました。その結果、インターネット経由で議決権行使を行っていた海外の機関投資家の多くは、当初、反対票を投じていましたが最終的には賛成しました。最初はおそらく、議決権行使助言会社の助言に従って社長・会長である取締役の選任議案に反対したのだろうと思います。しかし、この手紙を出した後は、どんどん、反対から賛成に変わりました。

こうした経験を通じて、我々はやはり対話というのは非常に必要だと痛感しました。同時に、議決権行使助言会社の推奨通りに議決権行使を行っている機関投資家は意外と多いのではないかと思いました。したがって、対話というのは非常に重要であり、投資家の理解が得られれば、彼らの投資行動も変わってくるということの実例として参考までに申し上げました。

以上でございます。

【神作座長】

大変貴重なお話、ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。清水メンバー、お願いいたします。

【清水メンバー】

本日のテーマであります集団的エンゲージメント、それから、助言会社のガバナンスに直接関係する意見ではないですが、それでもよろしければ、今申し上げますし、後の方がよろしければ、後にいたします。

【清水メンバー】

よろしいですか。ありがとうございます。

本日のテーマで、集団的エンゲージメントや、助言会社のガバナンス、本日のメンバー方のご意見を伺いながら、感じたことを申し上げたいと思います。

集団的エンゲージメントや、助言会社のガバナンスがテーマとして上がっておりますが、これは広く考えれば、エンゲージメント全体の質を高めるために何が必要かという議論だと考えます。つまり、集団的エンゲージメントだけではなく、個別のエンゲージメントも含めて、対話の質をどう上げていくかが必要であって、その議論を幅広くすべきだということの一環だと私は理解をいたしました。そして、そのことは、冨山メンバーの意見書の中で述べられている対話の質を高めることが必要ということとも呼応するのではなかろうかと考えております。

生命保険会社では、長期の視点から投資を行っており、特に対話を重視しておりますが、その立場から考えても、対話の量並びに質を上げていくことは自分たちの課題でもあり、そして、全ての機関投資家における重要な事項でもあろうかと考えております。

そう考えた場合、その対話の量と質を高めるための議論が幅広く、かつ、活発に、そして、継続的に行われ、よりよいスチュワードシップ・コードの改訂につながり、そのことが不断なくサイクルとして継続していくことが重要だろうと考えております。

今回、この有識者会議に参加させていただくことをきっかけに、フォローアップ会議での議論を勉強させていただきました。メンバーから対話の質を高める議論が必要というご意見が出されたことに対しまして、私の理解では、それは運用会社それぞれが考えることであり、あまりにもそのことを事細かくコードの中で書くべきではないと。むしろ、そのことを投資家自身が広く説明をして、一般に評価してもらうことが重要であると。したがって、今回はコードの改訂に反映しないという議論であったかと理解をしております。

この議論の中で重要なことは、投資家に広く説明をして評価してもらうことをどのように実現していくかということだと思います。この論点は、本日、佃メンバー、高山メンバー、加藤メンバーがおっしゃられた「コンプライ・アンド・エクスプレイン」と重なると考えます。

対話の質を上げていくために、例えば1つ必要なこととしては、エクスプレインが考えられ、スチュワードシップ活動の開示において、対話の重要性に鑑み、エンゲージメントに対する説明を一層充実させることが重要なテーマではなかろうかと考えます。対話の件数や、対話の事例、対話から何が成果として得られたか、そして、投資家自身がPDCAを回して、そのことを今後の強化にどう結びつけていくのかといった、エクスプレインを一層きちんとやっていくこと、そのことが対話の質を高めていくことにつながるのだろうと考えております。あくまでも開示は一つの例ですが、継続して対話の量並びに質を上げるような議論がなされ、コードのよりよい改訂につながっていくことを期待します。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。上柳メンバー、お願いいたします。

【上柳メンバー】

なるべく短くします。集団的エンゲージメントについて、今の段階では、大方の議論をされているように、問題はないというか、想定されているものは現行法のもとでもできるんだというようなぐらいの態度でいいと思うんですけれども、将来的な課題としては、上田メンバーのほうからは、英国でいうレベル4は時期尚早の部分があるんだというふうにはおっしゃいますけれども、やっぱり将来的にはいろいろ考える必要があると思います。

というのは、各機関投資家の方々が直接のアセットオーナーの意向を市場に取り次ぐというか反映させるということが基本ではありますけれども、そのためには、場合によっては他の機関投資家と共同して当該会社に提案をするとか、あるいは、企業の行動を変える必要があるという場合もあるんじゃないかと。特に年金そのほかも含めて、非常に大きな影響をお持ちになっていらっしゃる機関投資家の方々が増えておりますし、それから、国民もそこにたくさんのお金を預けるわけですので、場合によっては個別の企業が必ずしも好ましくない行動をしているときに、単にうちは例えば反対票を上げるんだと、それで、それが多数にならなくてもしようがないということではなくて、むしろ、ちょっとここは語弊があるんですが、その多数派工作をすることも含めて、積極的に行動をするというようなことも期待されるような面もあるんじゃないか、あるいは、そういう時代も来るんじゃないかというふうに思っておりまして、ここは法律との考え方をうまくすり合わせていることが必要だと思いますけど、勉強しなきゃいけないと思いました。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございます。

上田メンバー、どうぞ。

【上田メンバー】

すみません、名前を出していただので、お答え的に申し上げます。

実は、その提案行為、時期尚早というのはまだ準備ができていないんだと、これは機関投資家の側にもできていないと思いますし、一方で、企業の側にもできていないだろうと思います。ただ、その前段階としての議論の場というのはやっぱり必要で、これも既にある程度定着している部分もあるのかなと思っています。そういったところまでできないとしているものではありません。場合によっては提案行為のようなものも、「重要提案行為」に該当するようなものも現行法制の枠内でできるということをこの議論の中で明確にしていけばいいと思っています。

ただ、アクティブ運用とパッシブ運用の話が、出てきていますけど、よほど公益性が高くて市場全体に変革を促すようなインパクトのあるような事例を除いて、個別企業に「重要提案行為」のようなものをしたからといって、これがベータにつながるかというと、弁護士さん使ってコストかかるわりに、リターンにつながるのかなという疑問もあります。むしろ、こういう場合にはアクティブ運用のほうがパフォーマンスにつながる余地もあったりして、私も美しいことをいろいろ言っていますけど、実態面ではそういうケース・バイ・ケースの可能性があると思っています。ただ、そういう可能性のものとして実務でしっかり定着をさせる必要があるのかなと思った次第です。

すみません、ありがとうございます。

【神作座長】

どうもありがとうございます。

それでは、小口メンバー。

【小口メンバー】

一言だけですけれども、先ほどの上柳メンバーのお話ですが、現行法制は「重要提案行為」を禁止しているわけじゃないですよね。先ほど田中先生に丁寧にご説明いただきましたが、大量保有者になって「重要提案行為」をした場合は、特例報告制度は利用できないということなので、このことは逆に、そこまでするのだったら、きっちり報告してやったらいいと思うのです。

今でも、5%超を保有して「重要提案行為」という形でやられている運用機関がいらっしゃいますけど、何か悪いことしているわけではなく、ただ、そこまでやるのなら開示するというのは、ほかのマーケット参加者に対する情報として必要だから、そういう制度になっていると思うわけです。しっかり開示するのであれば、私はやったらいいと思うのですが、集団的エンゲージメントの話はいつも禁止されているとかという誤解が絡むのです。この機会を借りて、開示の話だけだということは、改めて申しておきたいと思います。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、ここで福本オブザーバー、お待たせいたしました。ご説明をお願いいたします。

【福本オブザーバー】

すみません。1点、この説明に入る前に、我々もよく海外の投資家の方とか、いろんな方から質問を受けるものですから、一般論として申し上げますと、海外の方は自分のところの制度と違うものがあると、違うじゃないか、それは変だと必ずおっしゃる傾向があるので、我々もよく説明をこのコードについてもされるときには、これは実質的にできる、できないということはこうなんですよいうことは説明を申し上げることが大変多いので、そういう意味で、変えると、曖昧なものを変えると、そのときには変えたということは、変えないとできないということですねととられる場合もあることで、そこは一言申し上げておきます。

その上で、経済産業省資料として2つございます。この2つの研究会、第1回に言及したものでございまして、この研究会自体は幅広い議論を扱っておりますけれども、このスチュワードシップ・コードとの関係で申し上げますと、このコードの中の先ほど来ありました原則3と原則4のところが関連します。その前段階のところで、中長期、3-1.ですね、「中長期的視点から投資先企業の企業価値及び資本効率を高め、その持続的成長に向けて」と、これがございます。そのために例えばというで、3-3.に投資先企業のガバナンス、企業戦略、業績、資本構造、リスクというようなことがございます。このあたりに関係するところ。

それから、原則4の中で、4-1.ですかね。中長期的視点から、同じ文言がございますが、投資先企業の価値、資本効率を高めて、持続的成長を促すことを目的とした対話と。これに関係するものとしてご説明を申し上げます。

資料のこちらの「持続的成長に向けた長期投資(ESG・無形資産投資)研究会」ということで簡単にご説明をいたします。

2ページ目は、こちらのメンバーも含め、メンバーの方の紹介です。

次のページ、3ページ目をごらんいただきまして、先ほどありましたように、ここでも目的としては、この四角の中にございます持続的な企業価値を上げていく、中長期的な投資、これは機関投資家、個人投資家の方も含めて、投資をしていって、きちっとリターンを上げていくというための方策として、ESGというものをどう考えるのか、無形資産投資というのをどう考えるのか。これもESGも無形資産投資というような話も大変いろんなことが、いろんな要素が出てくるわけでございますけれども、目的としては、先ほど来ありますこの企業価値をしっかりと長期的に上げていくものというのはどういうことなのだろうかということをご議論をいただいております。

次の4ページ目、ごらんいただきまして、この研究会の目的として、こちらのスチュワードシップ・コード検討会でも議論されていることと共通の目的かと思いますけれども、論点として、左側に企業側、右側に投資家あるいは資本市場関係者側ということで、この長期投資を判断したり評価をする、こういうあり方はどうなんだろうか。企業の中での長期投資の判断、その企業としての投資というのをどう評価するのか。そのための、その下でございますけれども、行動、対話、コミュニケーション全般のあり方というのはどうあるべきなのかということをご議論いただいております。

この議論はかなり進んでおりまして、次のページをごらんいただきまして、資料7の左上に、これは一番最近の研究会、最近の前ですね、の研究会で示した、これは政策対応等に関する検討論点ということでございますので、例えばということで議論いただいているのは、1つ目で、長期投資、無形資産投資、あるいは、ESG投資を促進するための開示・対話に担当するガイダンスをつくってはどうかということ。それから、無形資産投資のようなものも含めた実態をしっかりと把握していくことが必要じゃないか。その評価というものを見える化していく必要があるんじゃないか。それから、そういう投資を促進していくにはどうしたらいいんだろうかということ。

それから、次のページをごらんいただきまして、それに基づく5番目でございますけれども、長期投資全体を促進していくということはどうあるべきなのかと。これはこちらでも議論いただいております機関投資家としての投資判断、議決権行使というのはどうあると長期投資が促進される方向に行くんだろうかということでございます。

6番目として、市場インデックスについても言及がございました。7番目として、その長期投資を促進するための制度環境というのでどういうことがあるだろうか。その中にはおそらくここで議論いただいているスチュワードシップ・コードというものがどういうふうになっていくのか、あるいは、その運用がどうなっていくのかということとも大きく関係してくるのではないかというふうに考えております。

次の資料5というのが次のページでございますけれども、今、その長期投資を促進するためのガイダンスというのが1つ大きなテーマでございましたので、それをつくっていくという作業をしております。その中には、当然、こちらでのスチュワードシップ・コードの中で定められている原則というのを念頭に置きながら、投資家の方がご参加いただいておりますし、企業側、有識者側の方々も参加をいただいております。

この際に、先ほど、私、冒頭で申し上げたように、国際的ないろんなフレームワーク、ございますけれども、これはこれで国際的な言語として大変大事だろうというふうに思っておりますけれども、日本の経営者の方、投資家の方がしっかりと得心がいって、中に浸透していくというためにどういうことが必要なのかということを議論を今いただいているところでございます。

こちらの説明は以上でございまして、もう一つの「株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会」というところでございます。これは先ほど、川田メンバーのほうからも言及がございました。あるいは、大場メンバーからもございましたけれども、株主総会プロセスというところの議論、とりわけ、議決権行使も含めたところで、どのように対話を促進していくのか、集中的なものですね。時間が非常に限られてピークが大変、大変だというところに関係するところのものを、電子化というのを1つキーワードにしながら議論をいただいております。

2ページ目に検討事項がございます。「対話先進国」ということでありますと、情報提供、検討期間をしっかり確保していくためにはどうしたらいいか。資料の3ページ目に論点が述べられております。

株主総会の電子提供の促進、それから、こちらで関係するところでありますと、資料の4ページ目でございますけれども、提言2ということで、この提言自体は昨年4月に提言をまとめて、今、フォローアップ会議を来週の水曜日からまた開催をいたしますけれども、議決権行使プロセス全体の電子化の促進ということがございます。これはコードの、スチュワードシップ・コードの中で言いますと、原則5の中にも、どういうふうに議決権行使をしていくのかという方針というのがございます。

ただ、この電子行使は、今、さまざまな理由で進んでいるところと進んでないところがあるということが言われております。特に我々が今取り組んでいるところといたしましては、ICJというプラットフォーム、ISSのプラットフォームと、この2つがどういうふうに接続していくのかというのがございますが、何人かの方がかなりおっしゃっているのは、アセットオーナーの同意が必要になるということでございます。

解決する鍵は、議決権行使を委託しているアセットオーナーが、この電子行使というものに対してどういうスタンスをとるのかということを明確にされるというのは非常に大事だという声がかなりございまして、この検討会のコードにどうするかということとともに、機関投資家がスチュワードシップ・コードを取組みやすい環境整備として、こういった議論もぜひ念頭に置いていただけると、大変ありがたいのではないかなというふうに思っています。

また、こちらの検討会では、総会の日程がやはりタイトだということがございましたので、こちらの議論もしているということで、ぜひこちらの研究会と歩調を合わせながら、議論も進めていきたいというふうに考えております。

私からは以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

ただいまの福本オブザーバーのご説明に対しまして、何かご質問等ございますでしょうか。濱口メンバー。

【濱口メンバー】

最後におっしゃったアセットオーナーの了承が必要だというところが、前からもここの議論をお聞きしていて理解できないんですが、基本的には投資一任契約とかで議決権の行使は一任していまして、その賛成か反対かも一任しているので、その行使のやり方はそれが効率的であればやってくださいという以外はない訳で、何かそれがこのプロセスを進めるのに障害になっているようなことをよく言われるのですが、その承認を求められる立場にはないことをご理解下さい。

【福本オブザーバー】

まさにそのあたりがポイントでありまして、みんな、これはインベストメントチェーンをやると、みんな横の人のせいにする傾向があります。我々が取り組んでいるのは、皆が一堂に会すると、じゃあ、そういうふうにおっしゃっている方は実際どうなんだろうかと、実際は、濱口委員がおっしゃったように、いや、もういいんだと、一任契約だから、電子行使は絶対、ぜひやってくださいということも意思の表明ですということが明確になれば、これは皆様、言いわけをする余地がないので、やっていただけるということになりますが、皆様のいろいろ言われる中に、それが入っていると。入っているということは、やっぱりそれは入ってないようにしたほうがいいということが議論がされておりますので、ぜひ濱口委員にもそのあたりを明確にしていただいたり、あるいは、こちらでの議論で、いや、そこは問題ないんだということであると、大変ありがたいなというふうに思っております。

【神作座長】

どうもありがとうございます。

それでは、田中メンバー、お願いいたします。

【田中(正)メンバー】

今の議論はよく聞くところなので、ちょっと1つご紹介したいものがあります。それは、ここにあるGPIFの業務報告書です。これは、GPIFが初めて出されたものではなかったかと思います。

ここにこう書いてあるんですよね。その議決権行使の考え方として、「企業経営に直接影響を与えるとの懸念を生じさせないよう、株主議決権の行使は直接は行わない。運用を委託した民間運用機関の判断に委ねる。ただし、運用受託機関への委任に際し、コーポレートガバナンスの重要性を認識し、議決権行使の目的が長期的な株主利益の最大化を目指すものであることを示すとともに、運用受託機関における議決権行使の方針や行使状況等について報告を求める」と。

具体的には、「運用受託機関から議決権行使ガイドラインの提出を受け、毎年度、議決権決議の行使状況について報告を受け、ミーティングを実施し、株主権議決行使の取組みを各運用受託機関の総合評価における定性評価の1項目に位置づけ、評価を行います」と。

第一回目の資料にもありますように、アセットオーナーの中で最も大きなポーションを占めているGPIFがこういうアプローチをとっておられるということは、やはりそれなりの影響が出ているんではないかという部分があるんではないかと思います。

経済産業省の委員会のメンバーを見ますと、水野さんもおられますから、そうした点も含めて、ご議論されればいいんじゃないかというふうに思います。

以上です。

【神作座長】

ありがとうございます。

それでは、大場メンバー、お願いします。

【大場メンバー】

時間もないので、実効性を高めるという観点に絞って、2つだけです。

1つは、先ほど集団的エンゲージメントについて、田中先生のほうから、原則4にその文言を入れるとよりわかりやすくなるのではないかと、こういうような話がございましたが、同じような意味で、現フォローアップ会議の意見書を読むと、運用機関の自己評価というのがあるんですね。定期的に自己評価して公表すべきだと。コーポレートガバナンス・コードに関しては、取締役会評価という項目がありますがそれと対をなすものではないかと思います。

原則6には、スチュワード責任をどのように果たしていくかについて、原則として定期的に報告を行うべきだとありますが、これは自己評価なくしてできないので、自己評価という文言をこの原則6の指針のところに表明すると、わかりやすくなるのではないか、より実効性が担保されることになるのではないかということがあると思います。これが1点です。

もう一点は、このフォローアップ会議の意見書の中に、先ほどの私の最初の問題提起と同じようなことが書いてございまして、パッシブ運用の有効性を高める観点からは、インデックスから運用対象として明らかに不適当と考えられる銘柄を外して運用対象とするなどと書いてございます。

これは大事なことだと思っていまして、それはどういうことかというと、先ほどの川田さんの意見が象徴的な話だと思います。インデックス運用というのは指数を見て投資していますから、企業を見ていないので、対話が難しくなる可能性があります。

企業を見て、より深く対話を実効性のあるものにすると、これがスチュワードシップ・コードの基本的な精神ではないかと思いますので、このことの重要性を改めて強調していただくことは大事ではないかと思います。

以上です。

【神作座長】

大変ありがとうございます。

ほかに、ご発言、よろしゅうございますでしょうか。議論も尽きないところではございますけれども、時間となりましたので、これで本日の討議は終わらせていただきたいと存じます。

最後に、事務局からご連絡がございましたら、お願いいたします。

【田原企業開示課長】

本日はありがとうございました。

次回の検討会の日程につきましては、皆様の日程を調整させていただいて、またご連絡させていただきたいと存じます。

事務局からは以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。それでは、以上をもちまして、本日の検討会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

── 了 ──

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