金融庁

農林水産省

経済産業省

第10回総合的な取引所検討チーム(議事録)

1.日時

平成23年23年7月28日(木)16時30分~18時00分

2.場所

金融庁16階 庁議室

3.出席者

東 祥三 内閣府副大臣(議事進行)
田名部 匡代 農林水産大臣政務官
松下 忠洋 経済産業副大臣
内海 昌男 株式会社みずほコーポレート銀行 市場営業部 部長
斉藤 清明 JPモルガン証券株式会社 上場デリバティブズ業務部 ヴァイス プレジデント
青山 秀世 日本ユニコム株式会社 代表取締役社長
寺口 智之 野村證券株式会社 執行役員

4.議事録

○東副大臣

それでは、定刻を過ぎましたので、議事を始めさせていただきます。改めまして、本日は、ご多忙のところご参集いただきまして、ありがとうございます。本日の議事進行を務めさせていただきます、内閣府の金融担当副大臣をしております東祥三でございます。

検討チームでは、関係者の方から幅広くご意見を伺っているところです。前回は、3月10日、ちょうど東日本大震災の前日に開催いたしましたが、東日本大震災の対応等もあり、若干間が空いてしまいました。本日は、内海昌男株式会社みずほコーポレート銀行市場営業部長、斉藤清明JPモルガン証券株式会社上場デリバティブズ業務部ヴァイスプレジデント、青山秀世日本ユニコム株式会社代表取締役社長、寺口智之野村證券株式会社執行役員の4名の皆様方をお招きしております。大変お忙しい中、ご出席賜りましてまことにありがとうございます。

本日のヒアリングは、前回同様、お招きいたしました皆様方から忌憚のないご意見をいただきたいと考えております。

それでは、議題に入らせていただきたいと思いますが、事前にお渡ししてある中間整理とあるべき姿を参考としていただきまして、海外では、まさに国境を越えた取引所の統合、再編の動きがある中、我が国が、アジアのメインマーケットとしての地位を確立するためにはどのような総合取引所を目指すべきか、また、その実現のためには何をすべきか、是非、具体的なご提案、ご意見をいただきたいと思います。

それでは、まず、株式会社みずほコーポレート銀行の内海部長からご発言をお願いします。質疑については、最後にまとめて行います。

それでは、内海部長、よろしくお願いします。

○内海部長

みずほコーポレート銀行の内海と申します。よろしくお願いいたします。

本日は、私どもが行っているビジネスのうち、コモディティ取引にスコープを当てて、今回の総合的な取引所設立に向けての課題等に関し、銀行の立場から意見を述べさせていただきます。

意見を申し上げる前に、簡単に私どもが行っている銀行におけるコモディティビジネスというのはどういうものかという位置づけについて簡単にご説明します。

私どもは、銀行という業態ですので、金融庁の監督の下で、銀行法の適用を受ける形になります。従って、いわゆるコモディティの現物、この扱いはできないということで、基本的にはコモディティデリバティブという取引の形態でビジネスを推進しております。加えまして、本年より新しい商品先物取引法の適用も受けて、これは経済産業省、農林水産省の監督下にありますけれども、既に商品先物取引業者という資格を取得しております。銀行は金利、あるいは為替といった業務については、預金、貸出に関連した部分でもあり、本業ということで、非常に長い歴史もありますし、当然経験を蓄積しておりますけれども、やはりコモディティの現物というビジネス自体は、本業としては、先ほど申し上げた通り、できないビジネスで、デリバティブ自体も金利、為替と比べると、非常に経験としては少ない状況です。

したがって、我々がやっているビジネスというのは、あくまでお客様に対するサービスの一環という形でコモディティデリバティブを提供しています。お客様が価格の上昇をヘッジしたい、あるいは利回りを高めたい、こういったニーズがある場合に、コモディティデリバティブを使ってお客様のニーズに応えていくと、こういうビジネスの状況であります。したがいまして、今回の商品先物取引法においても、店頭デリバティブ取引の資格を取得したという形になります。

次に、顧客ビジネスの中で、実際にどういうお客と取引をしているというところの概観を述べさせていただきます。これは大きく3つに分かれますが、生産者の方、それから、消費者、投資家と分かれます。生産者は、これは石油の開発会社であったり、あるいは精製会社で、消費者は、典型的には運輸業であったり、あるいは製造業で、それから、投資家は、金融機関や、ヘッジファンドです。我々がデリバティブを提供している主な先は、生産者、消費者のうち、やはり銀行のお客様においては消費者です。原材料を使っている方々の価格のヘッジニーズ、これは上昇リスクを抑えるというところの対応が中心という形になっています。

ここで、次の意見にも繋がる話ですが、原材料価格をヘッジする場合に、どういうインデックスを使うかというのが非常に大きな問題になります。例えば銅を仕入れて加工して製品にするという場合には、当然何らかのインデックスを使った原材料を仕入れていて、一般的にはLMEの価格に連動したケースが非常に多いということです。そうしますと、必然的に我々も、LMEをベースとしたデリバティブを組成して提供し、それによってインデックスのマッチングをするという形になります。インデックスがどう使われるかということが、最終的には取引の流動性に影響するので、そういう意味では、お客様がどういうインデックスを使うかというところも非常に重要なファクターになります。

こうした概観を踏まえまして、今回のテーマであります、その活性化に向けての考え方、意見ですけれども、まず、為替のマーケット、あるいは株式の日経225といったものとの比較という観点で述べさせていただくと、為替というのは、これは既に外為証拠金に対応しているように、個人も多く参加していて、仕組みも整っております。これはやはり歴史もありますけれども、為替相場、例えばドル・円、あるいはドル・ユーロ等一つの規格化された商品であり、グローバルにだれが見ても同じ商品です。そういう意味では、取引は非常に簡単にできる、流動性がつきやすいということは言えます。それから、日経225についても、これはもちろん日本の指標ですから、地域性はありますが、為替と同じように、日本の株式のインデックスとして規格化されていると。そういう意味では、規格化された商品ゆえに日本においても十分な流動性があるという状況かと思います。

片や、コモディティというのはどうかという話ですが、コモディティの特徴としては、一言で原油と言っても、ご承知のように、WTIがあったり、ブレントがあったり、ドバイがあったり、あるいは日本にもJCC価格というものもございます。非常にインデックスが多様だということがひとつの特徴です。また、そこから、派生する製品ですね。例えば、軽油、重油、あるいはジョットケロシンだとか、そういうバリエーションが非常に多いというのも、コモディティの一つ特徴です。そういう意味では、為替や株式に比べると、非常にインデックスの選択の余地が広いというのが大きな特徴だと認識しています。

残念ながら、日本で、その指標性が高いインデックスは何かというと、石油であればWTI、ブレントといったものが一般的に使われているケースが多いし、あるいはベースメタルについてもLMEの価格をベースにしているケースが多くて、それに匹敵するような流動性を持ったインデックスは日本にはまだないというのが現状かと思います。

もう1点、お客様のサイドの特徴ですが、先ほど申し上げましたように、インデックスは、個別の仕入れ、いわゆるコストと連結していて、このインデックスというのはお客さんごとに実に多様です。例えば、あるお客様はWTIに近いインデックスだったり、あるお客さんはブレントに近いインデックスだったり、あるいはそのミックスだったりと、いろんなパターンがあります。従って、例えば、お客様が上場されているインデックスをストレートに使っていくというケースもありますけれども、そういったインデックスを組み合わせたようなものをデリバティブに加工して提供するようなケースが結構あります。お客様のほうで使っているインデックスに加工するためには、流動性のあるインデックスがないと、これは加工ができないということなので、まず、その流動性のあるインデックスが上場されていますと、そのインデックスを使ったデリバティブ市場というのが発展していきます。そうすると、さらに、そのデリバティブ取引からのフローが上場物のインデックスのほうにいって、さらに厚みを増すという、こういう好循環が生まれるということになります。そういう意味では、月並みな意見ではありますが、日本でそういった好循環を生み出せるような高い指標性を持ったインデックス、これをいかにつくるかというのが最大の課題だろうと思っています。

この場合、日本の事業者が実際に使える、使用者が多い、あるいはポテンシャルが想定されるようなインデックスというのが必須条件になりますので、私も残念ながらそこまで知見がありませんが、そういったインデックスが日本の市場に本当にないのかどうかというのを再検証する余地はあろうかと思っています。

それから、もう1点、グローバルな視点をお話しさせていただきますと、コモディティのマーケットというのはやはりロンドン、あるいはニューヨークが中心になっていまして、アジアですと、シンガポールが中心の市場という形になります。時間帯を埋めているという面もありますし、あるいはシンガポールはシンガポール市場で独特のインデックスをつくっている面もあります。日本も時間帯でいくと、欧米の時間帯とは違う時間帯で、先ほどのヘッジニーズ、あるいは運用ニーズを満たす可能性がある市場という観点は非常に重要で、欧米に対抗するというよりは、日本、あるいはアジアで使いやすいインデックス、これをどう育成するかということも非常に大きなポイントかと思っています。

それから、もう1点、参加者についても、国内の場合には、私どものお客様を例にとりますと、先ほどの消費サイド、いわゆる原材料を買ってヘッジするサイドのお客さんが大変多い傾向にありますので、いわゆる生産者サイド、例えば石油を開発しているグローバルな会社であるとか、そういった生産者サイドのニーズを取り込むようなマッチングができると、おそらく日本の市場の厚みが増すという可能性もあると思います。

最後に、もう1点。昨今のグローバルなデリバティブ規制の動きの中で、いわゆるセントラル・カウンター・パーティであるとか、あるいは取引情報の蓄積だとか、いろんな規制がこれから入ろうとしています。その中で、取引所の活性化につながる部分がないのかどうか、上場物にはもともとそういった議論はありませんが、デリバティブにはそういう議論がありえます。セントラル・カウンター・パーティによる清算というのは、カウンター・パーティの信用リスクを削減するために、海外では既に始まっていますし、来年の年末までにグローバルで各国が義務を負うという形になっています。この場合、CCP(セントラル・カウンター・パーティ)で清算する取引を、だれが清算するかという話が当然ありまして、上場物はそれぞれ清算機関がありますが、店頭取引というのは清算機関というのは今までなかったわけです。今後、セントラル・カウンター・パーティである清算機関と各参加者が取引をするという形になりますので、それは一種のビジネスという形になっていまして、清算を通じた信用リスクの削減というインフラを供給して手数料を稼ぐと、こういうビジネスになります。ちょっとステップが必要ですけれども、コモディティにおいても、一つのビジネスケースとしてはあり得ると思います。実際CMEとか、あるいはICEについてはこういうビジネスを既に提供しており、セントラル・カウンター・パーティの機能を果たしている事実がございます。

それから、取引情報の蓄積、公開という話があります。これは、いわゆる取引の透明性の向上が目的です。リーマンショックのときもそうでしたけれども、やはり透明性がないことによって、いわゆる大きくロスした人もいたとか、あるいは情報がなくて負けてしまったとか、そういうことがございます。先ほどのセントラル・カウンター・パーティを通じて、取引が基本的にそこで全部清算されるということは、デリバティブ取引の情報がそこに集約されることを意味しますので、マーケットで行われる取引を蓄積し、それを必要に応じて、公表することもできるし、あるいは当局がその公表を命じることもできるという仕組みです。ビジネスというよりは社会インフラというか、いわゆる公共インフラとしてのこの位置づけというのは非常に重要になるという意味でいくと、これも、いわゆるグローバルな規制の中で、取引所が果たす役割としては重要になるという認識です。

○東副大臣

ありがとうございます。

それでは、次に、JPモルガンの斉藤さん、どうぞよろしくお願いします。

○斉藤ヴァイスプレジデント

JPモルガン上場デリバティブズ業務部の斉藤です。よろしくお願いいたします。

私は、バックオフィスで主に、市場デリバティブ、国内、海外物を約20年ぐらいずっと見てきております。それで、ベアリングの破綻の後、日本の取引所が金融・証券先物取引の証拠金制度改革を行った際に、いろんなワーキングコミッティーがございましたけれども、それにずっと関わらせていただいて、日本の取引所、上場、金融先物、証券先物のほうの変革をまさに目の前で見てきて、非常に自分のキャリアを積むに当たって、その点、非常にいい時代にめぐり合えたなと思っています。そういった形で、現在も大証の清算業務委員会に入っていたりもしていますが、取引所、清算機関の統合という話は、常々いろんな委員の方々からご意見があるところです。

それで、若干私のほうは、どうしても実務的な細かい話になりますが、取引所ごとに今ですと、取引システムがまず違う、あと、清算システムが違う。そういうことがネックになり、また、システムのアップグレード等があると、いろんなテストもそれぞれしに行くということで、世界的な流れの中で、取引所、清算機関が今後統合に向かっていき、清算のほうも、ぜひシステムのほうの統合とか、そういうものが進んで、よりエンドユーザーがやりやすい及び我々ブローカーがアクセスしやすいような形になっていけばいいと思っております。

ただし、統合に関しまして、世界の現在の動きを見ていると、今、株式会社化されている取引所がほとんどですから、その方向性は、各社の経営判断とか、そういうものに委ねられていくというのが自然な流れかなと思っております。

それで、私どもが新しく、例えば先物のこの市場デリバティブのほうに参入する際に、決済機関、クリアリングハウスの信用というところが非常に重要な要素になってくることになります。これはリーマンショックの後、破綻が起きたときに、いかにセーフガードを、取引所のほうでそのシステムリスクを起こさないように処理がされていくかというところで、清算機関自身の信用力、それをもとに戻ってみると、結局、各社、清算参加者自体の信用力というところに依存していくと思います。

現状、取引証拠金、あと、清算預託金、清算基金と呼ばれているもので、各社が持っている、建玉の割合に応じてそういうものの積み増しをし、なるべく破綻が起きたときに他社に迷惑をかけないスキームになっているという形です。そこの信用が厚ければ厚いほど、我々としても、新たに市場参加するに当たっては安心して参加できるという形になります。もし他社が破綻した際に、いろんな手当てをしていても、最後に損失額をどうしても埋め合わせができなかった場合に、その他社の分が自社に取引所、清算機関から、追加の貢献を求められるというところが一番信用のところではネックになってくると思います。これからまさに清算機関が統合化の方向にいくなかで、店頭デリバティブのクリアリングも、JSCCで始まっておりますし、清算機関としての信用力というのが、これから非常に重要になっていくと思われます。

あと、私はバックオフィスのほうを担当しておりますので、規制・監督のところもかなり関わっておりました。証券会社側のほうとしては、証券取引法、金融先物取引法というものが以前ありましたが、それが金融商品取引法に統合されて、やっとTFX、東証、大証の取引が一元的な管理、規制・監督の下でされているので、是非、我々としては、総合的な取引所というものが今後創設される際に新たな規制となると、法定帳簿等の対応のため、新たなシステム開発が必要となります。この負担軽減のためにも是非、既存の金融商品取引法の枠の中で規制・監督が行われるような形が一番ありがたいと思っております。

また、現状を見ると、取引所というのは、実際もう電子取引になっていて、コロケーションとか、ハイフリークエンシートレードという言葉で表されるとおり、1秒間に何万件のトレードができるような時代に突入しております。それで、上場デリバティブの場合は、特にユニークな取引がございまして、ギブアップ取引というものがあります。約定した注文をその業者ではなく、他の業者の方に清算を集中させるシステムがあります。

今回の大震災の際に、こういう非常に大きなことが起きると、どうしてもボラティリティが高くなり、取引件数が膨大な件数になりました。バックオフィスのほうとしては、ギブアップ取引などユニークなものがある関係上、その訂正や、その他の処理に関して、システム化がうまくされてない部分があって、時間が非常にかかったということがあります。そのため今後、総合的な取引所、清算機関がつくられるに当たっては、ぜひ今、取引のほうがものすごいスピードで約定がつく時代になっているので、ほとんど人間が手でもう注文をたたいているというような時代ではどんどんなくなってきていると思いますが、それと比べて清算のほうのシステムのほうがまだ、見比べますと追いついてないのが現状です。そちらをぜひ今後、検討課題にしていただければありがたいと思っております。

以上です。

○東副大臣

ありがとうございます。

続きまして、日本ユニコムの青山社長から、よろしくお願いします。

○青山代表取締役社長

ただいまご紹介にあずかりました青山でございます。私は、商品先物取引業者の立場で意見を述べさせていただきたいと思います。既に多くの方々から商品先物市場に対する発言があったかと思いますが、重複する点はご容赦願えればと思います。

私どもの会社は、ビジネスモデルとして、まず、対面ビジネスBtoCをメインに企業経営しております。お3方とはちょっとスケールが違う、中小企業の一部門なのですが、いい意味で小回りがきくということで、今回のテーマである総合取引所並びに5つの論点でのリテールビジネスをする場合に何が大切なのか。そして、我々は、将来的に日本経済が活性化するための縁の下の力持ち、小さな歯車だと思っています。その歯車が一つ一つかみ合えば大きな車輪が動くであろうと。それは大企業が使命、役割を持ってやっていただければいいことであって、特に日本企業の形態というものは、やはり中小企業が牽引している。製造であろうが、メーカーであろうが、特に今回の3.11震災以降の日本経済の循環、生態系というのは、私は10年、20年、30年という長期サイクルでもう変わってしまったと。そういう、ある意味、リエンジニアリングといいますか、再構築するという意味では、今回の総合取引所論というものは、いろんな意味で日本の経済の活性化並びに、金融立国を目指すか、技術立国を目指すかは別といたしましても、すごく私自身は、この仕事を30年間、現場からスタートして今日に至っているわけですが、常に一般投資家と消費者と取引参加者と連動して、ある意味では、おこがましい言い方かもしれませんけれども、日本経済を牽引したと、そういう自負はあります。

本題に戻りますが、商品市場にとっての総合的な取引所の必要性は、どこにあるのか。そういうことが大切な論点だと思いますが、今の日本の商品先物市場というのは、申しわけありませんが、活性化、活力が今、ちょっとうせているような、そういう状況です。では、一義的に、何が理由なのか。規制の強化もあるでしょうし、大衆路線からスタートしたこのフィービジネスがいろいろなネガティブな面もありました。そういう意味では、消費者保護、投資家保護ということも前面に出しながら、業をなさなければいけないという、こういう両輪のもとでビジネスが前へ進まなければいけないという葛藤もありまして、2003年に1億5,600万枚もあった日本の出来高が、2010年には3,200万枚と、出来高が7年連続で前年同期比を下回っています。右下がりになったというのが実情です。

では、世界はどうか。アメリカの金融緩和、QE2はじめ、新興国の台頭、BRICs、VISTAなど新興国のファンダメンタルズの変化、これによって世界のコモディティマーケットが5倍以上に急拡大している、それに伴って日本の市場というのは、逆に5分の1にシュリンクしてしまっている。本当に悲しいことですけど。これが日本の国際競争力を高めるためにマイナス要因になっている。これを活性化するためには、国際競争力を具備した市場をもう一回再生するためにはやはり流動性を高めるための手法をとらなければいけないであろうと思っています。

そういうわけで、取引所は、東工取(TOCOM)、東穀取、関西商品取引所など、いろいろな取引所は競って国際仕様の新しいシステムを導入しております。それなのに、なぜ現状では日本のリクイディティが戻らないのかと。本当にこれは緊急の課題で、日本には1,400兆近い個人金融資産があるわけですから、もっと国内の投資の利便性、もしくはその活性化というものを前面に出した政策を打っていかなければならないのではないかと、個人的にはそのように思っております。

そういう意味では、更なる規制の改革、これは本当に先程申したとおり、生態系というものが、すべてにおいて今回変わってしまった。変わったということは、我々民間企業も変わらなければいけませんし、制度、政策もやはり変えていかなければいけない。そういう一つの物の考えで、今回のこの中間整理で提示された5つの論点というものは、すごく私自身も真摯に受けとめて企業経営をしなきゃいけないと思っています。弊社のビジネスモデルはBtoCですが、BtoCイコール取引参加者、一般投資家、消費者なんです。何を求めているのか。どうしてほしいのか。また、どうあるべきかという、やっぱりビジョン、夢、希望、こういうものを民間企業として示さなきゃいけない。私は常にそういうふうに思って経営をしているわけです。

その中において、是非とも、今回この論点の中で各副大臣並びに政務官、各省庁にお願い申し上げたいのは、一般投資家であろうが、事業者、法人であろうが、税制がアンバランスだと、ばらばらだと。株式等先物取引が損益通算もできない。金融所得の一体化になっていません。つい最近ですよね、金融庁のほうでFX、店頭と取引所取引、これは税制が一緒にやる。すごくお客様、喜んでおります。コモディティ取引をされるお客様はFXもやられますし、弊社のデータでは、7割が証券を売買されています。だから、その横断的な税制の改革というものは間違いなく必要であろうと。それがひいては、市場間での流動性を相互間で互助する役目をするであろうとも思います。

それと、もう一つ大きな問題は、それに伴って清算機関、これもばらばらということで、お客様の利便性、そして、証拠金の一元化によるダイナミックな投資というものを喚起する一つの要因にもなるのではないのかと、私はそう思っております。

いずれにしても、取引所はあくまで民間企業、株式会社を形成しているわけですから、その統合だとか、そういうものはその当事者同士のもちろん話し合いもあります。ただ、その規制面、国としてのインセンティブ、規制面でのインセンティブを付与することによって、それが活性化され、なおかつそれがマーケットのニーズにも応える、一般投資家のニーズにも応えられる要素にはなろうかと私は思っています。

それと、コモディティの一番大切な、私は、商品取引をもう30年ずっと見てきてまして、今だからこそ、一番大切なその現物マーケット、現物の価格の安定化、流通の円滑化、そういうものをきちんとフォローできるのは、今、上場されている銘柄29種類、世界、CMEには447種類ぐらいあるわけですが、本当にそれが生活インフラと国内に定着しているのか。そして、なおかつ産業インフラとして機能させるためにもっと強化しなければいけない側面も今、震災以降出ていると思います。それはなぜかと申しますと、コスト・プッシュ的な圧力のインフレが近い将来、日本経済を襲ってくる可能性があり、輸入物価の上昇ですよね。たまたま為替は円高の七十七、八円で抑えられていますから、そういうものにまだ気がついてないかもしれません。我々は、マーケット、価格を通じて何かそれを将来的に感じなくてはならないのです。だからこそ、金融取引とこの商品取引というのは、畑が違うと言えば違うかもしれませんけど、日本の国力を支えるためのキーワードになるはずです。

そして、今回の総合取引所論は、私は、総論としてはそうあるべきだと思っています。ただ、各論においては、今、申したとおり、きちんとしたその価格統制、今、価格が農産物を中心に暴騰したり、そして、石油においても100ドル近いです。そういうリスクというものは、物価の値上がりということで最終的には一般国民、庶民に回ってくる。だから、そういう法整備並びに市場マーケット整備、そして、それと逆に、投資、財テクとしての側面というのもありますが、それをきちんと関係省庁で相談していただきながら、どちらがどういいのか検討しながら、前へ進めていただきたい。本当に今、現場で毎日、大手企業と違って、当社は、上意下達、トップダウンというよりも、下意上達と、現場の意見、現場の情報というのはすぐトップに上がってくる、そういう小さな会社ですけど、それがひいては、一般お客さんの生の声が経営にも反映できて、ビジネスモデルとして成り立っている状況です。だからこそ、双方向間でのビジネスモデル、それは官民が一体となって、今はここの難局を乗り越えるべきだと、本当に力強くそう思います。

今回、こういう場をいただいて、なかなか話す機会もありませんが、本当に総合取引所というものが日本経済にとって、我々国民にとってプラスになるのか。そして、本当に金融立国をもう一度目指す、アジアのメインマーケットを目指すのであれば、現物、先物というもののきちっとした両輪でのインフラ整備というものをきちんとして、やはり次世代に備えなければいけないと、私はそう思います。

だから、今回特にお願い申し上げたいのは、その税制、清算機構、総合化に向かってのこの議論というものは、もう数年前から、そのときからもう金融立国を目指すというアドバルーンは上がっていましたし、本当にそれが今、ここへきてどのような道しるべになるのか、私もまだ模索状況です。ただ、言えることは、日本経済の活性化と国民生活を良くする、将来のインフレに対応できるような、そういう整備をきちんと、マーケット整備もしておくということが本当に緊急の課題ではないかと、そう思いまして、ちょっと出過ぎた言い方かもしれませんけど、本当にコモディティ市場を愛していますし、日本という国をやはり、弊社は日本ユニコムという、「日本」という冠をつけているわけで、日本を何とか再生させて強化させるためにも、大げさな言い方もしれませんが、大企業でできない小回りのきいた一中小企業のトップとして、本当にそういうことを検討願って、この総合取引所の話を前面に推し進めながらやっていただければ、本当にありがたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

○東副大臣

ありがとうございます。

最後に、野村証券の寺口さん、よろしくお願いします。

○寺口執行役員

野村証券の寺口です。私は、株式、債券及びデリバティブ、そういった商品を取り扱っているグローバルマーケッツという部門を担当しております。

今回、中間整理で幾つか指摘されている論点について意見を述べさせていただければと思います。弊社は、ご案内のように、商品取引所の取引参加者ではありませんので、あくまでも金融商品取引業者という立場から、我々が現在考えていることを述べさせていただければと思います。

まず、総合取引所になるべきかどうかという点ですが、利用者、取引参加者の立場から申し上げますと、1つの取引所、1つの売買システムで商品先物及び金融商品のデリバティブも売買できるということであれば、その利便性及びコストの観点で極めてメリットが大きいと考えております。証券会社が商品先物取引の参入を考える際に、やはり追加的に、システムの開発等のコスト等々を意識せざるを得ない。そういった事情があるので、既存の金融商品のデリバティブのインフラが活用できる等々であれば新規参入を促進する。我々金融商品取引業者の参入を後押しする効果といったことが期待できるのではないかと思っております。

一方、その取引所の統合が進んだときに出てくる懸念というのがありまして、それは、いわゆる独占の弊害です。独占的シェアというのを、その取引所が持ってくると、例えばその取引所が取引手数料等々を上げてくるということで、参加者のコストが上がってしまうということがあります。これに関しては、取引所というのも、現状非常にグローバルな合従連衡が進んでいるということを考えて、他国の取引所との競争ということが常に意識されているということがあると思いますので、大きな懸念ではないかもしれませんが、そういった独占的シェアを持った場合のその取引所のプライシングメカニズム、これが極めて重要なのではないかと思います。

現物株について若干申し上げますと、私設取引所、いわゆるPTSというものが制度としてあります。これも、いわゆる競争を維持するための一つの参考になるのではないかと思っております。現状、日本でのPTSの取引というのが、昨年来、着実に増加してきておりまして、6月の数字で申し上げますと、現物株の取引高全体に占める割合で3.54%まで伸びてきているという状況です。

一方、既存の取引所同士が合併して総合取引所になるべきかという点も指摘されていますが、これについては、当然一義的にはそれぞれの取引所の経営判断、株式会社でありますので、経営判断に委ねるということなんだろうとも思っています。ただし、その経営判断というのも、仮に制度面の制約等々が原因となって取引所の経営判断を鈍らせているということがあるのだとすると、スムーズに総合取引所に移行することができるような環境整備を進めるべきだと考えております。そのために、これも先ほど来、何回かコメントが出ておりますが、規制及び監督の一元化、税制面の手当て、これが重要だと考えております。

続いて、規制や監督の一元化という点です。これは、総合取引所の制度創設に当たって最も重要な点であろうと考えております。現在、我々証券会社は、金融庁と証券取引等監視委員会の極めて高いレベルの監督と検査を受けております。また、さらに、自主規制機関である証券業協会のさらにきめ細かい自主規制というのを受けております。こうした監督・検査体制のもと、我々証券会社は、極めて高いコンプライアンス体制というのを構築していると自負をしております。投資家の参加を増やすためには、仲介業者及び市場への信頼が極めて大切ですが、そうした観点から、当社は証券会社として、規制・監督については現状の金融庁に一元化するということが可能であれば希望したいと思っております。

行政対応の実務面というのも我々業者からすると、複数の官庁から規制・監督・検査を受けるというのは極めて負担が大きくなるだろうと考えています。定期的あるいは随時求められる業務状況の報告、立入検査、それに対応するべく膨大なデータの処理や資料の作成といったことが必要となってきます。また、これらに備えて、日常的に帳簿の作成、保存、データの保存等という大変な業務の負荷というのがかかっております。これについて同じような報告を複数の役所、もしくは行政に対してしなければいけないということというのは、やはり避けていただきたいと思っています。

コモディティの現物市場との関係というのが当然ありますので、金融庁以外の省庁の監督権限を残すべきという議論、こちらも十分理解できますし、本来そうあるべきだろうということで、現物市場との関係については、省庁間での協議で調整をしていただいて、我々業者にとって一番重要なのは、業者の窓口を金融庁に一元化していただきたいということです。

次に、税制ですが、これも総合取引所化に関して極めて重要なことだと思っております。中間整理の中で、現物と先物の損益通算、それから、外国法人が国内に設置するサーバーに関する税制の適正化ということが述べられていますが、これについては、我々としては賛成をしたいと思っております。

まず、損益通算に関してですが、有価証券の投資に関しては、我々証券会社には、既に特定口座という制度があります。この口座を通じて、株式や投資信託を取引すると、個人のお客様は、税務申告が不要、もしくは非常に簡便な形で行うことができます。平成10年の制度創設以来、順調にこの特定口座数は伸びておりまして、現状、主要な証券会社の合計で約900万口座が開設されているという状況です。この特定口座を利用してデリバティブ取引を含む損益通算が可能になってくると、個人投資家が分散投資、もしくは現物取引のヘッジ等々を行う、それが極めて容易くなってくるのではないかと思っています。その結果、デリバティブだけではなくて、現物証券への投資、こちらのほうも増えてくるという、そういったプラスの相乗効果、これが期待できるのではないかと思っています。

次に、サーバーに対しての課税ですが、現在の税法では、海外の業者が日本にサーバーを設置して取引を行おうとすると、そのサーバーが税法上、恒久的施設とみなされて課税される制度になっていると認識しておりますが、国際的にもそのような税制は他では存在しないと理解しておりますので、こういった税制というのが海外のプレイヤーの日本市場への参加に対する制約になってしまうということで、早期に見直していただければ思っております。

続いて、清算機関についてですが、この清算機関というのは極めて重要であろうと思っております。市場参加者というのが安心して取引に参加できる、そうなるためには、まず、清算機関が高い信用力、クレジットを持つことが不可欠だと思っております。特に海外からの参加者にとってみると、その信用力、クレジット、これが極めて重要ではないかと思います。清算機関を統合すれば、証拠金を一本化する等々のメリットというのがあるというのは十分わかるのですが、仮に統合することによって、統合後の清算機関のクレジットが低下するということがあってはいけないと思っております。よって、清算機関のクレジット維持のためには、その清算参加者のクレジットそのものが重要であり、清算機関への参加者資格というのを適正なレベルに保ち、財務体質に問題のある清算業者ということに関していうと、その新しい統合された清算機関の参加者からは除外するということも必要ではないかと思います。

以上、監督・規制の一元化、税制、清算機関について意見させていただきましたが、若干加えさせていただきたいことがあります。

世界では、NYSEユーロネクストとドイツ証券取引所等々のクロスボーダーでの統合の動きというのが見えてきております。日本の取引所が世界に向かってどういうふうに攻めていくか。これはもちろん一義的には各取引所の経営判断ですけれども、その経営の選択肢を増やすという意味でも、これまで述べさせていただいているような制度及び規制の環境整備をお願いしたいと思います。

日本の取引所がグローバルに競争していく、そのためには、その取引所の運営そのものがグローバルに整合したものであることが必要であろうと思います。例えば、現物の商品価格が急激に変動している場合、海外の商品取引所においてなされている価格形成と矛盾なく、日本の取引所においても価格発見機能が維持される必要があると思います。

最後に、今般の東日本大震災に際して、一部には市場を閉鎖するべしという意見があったと理解しております。我が国証券取引所も、特に震災翌日、翌々日は、大変なボラティティ等、マーケットの下げを経験しました。ですが、市場を開設し続けたということは極めて高い評価を世界中の投資家から受けていると思っています。よって、市場を凍結するようなそういった劇的な措置は避け、投資家に取引の機会を提供し続けるということが極めて重要であると思っています。

○東副大臣

ありがとうございます。

それでは、意見交換に移らせていただきたいと思いますが、まず、私から3点。1点目は、野村證券の寺口さん、JPモルガンの斉藤さんにお伺いしたい。商品先物業者の方々というのは、既に商品のみならず、証券、金融の世界にもビジネスを広げていると思いますが、証券会社の方々というのは、日本の商品市場にあまり参入していないと聞いているところです。これは二重規制の問題、あるいは商品市場の流動性の問題、要因は種々あると思いますが、日本の商品市場の取引所取引に参加していない、この理由は一体何なのかということを聞きたいと思います。

2点目は、青山さんにお伺いしたいのですが、日本ユニコムは、グループ内に兄弟会社に当たる証券会社があるので、例えばコモディティである商品取引所と証券取引所の両方で取引したいと、そういう投資家からの注文を取り次ぐこともできると思いますが、それぞれ別々の法律に対応する会社がグループ内に併存しているのは、法令対応等のコストを考えた上でこういう対応をとっているのかと。仮に規制・監督が一元化されれば、グループ内のコスト削減効果だとか、新たなビジネスモデルの展開の可能性が生まれるのではないのかと、素人ながらに考えるのですが、これはいかがかと。

3点目、これは、内海さん、寺口さん、斉藤さんのお3方にお伺いしたいのですが、注文受付から決済に至る取引の一体化を進めていくためには、清算機関の統合というものが重要であるという議論について、どのように考えるかということです。この点、規制・監督が一元化される等の環境が整備されれば、各清算機関の経営判断によって具体的な動きが進んでいくことは十分期待できると思うのですが、現実を見ると、必ずしも経営やその財務水準というのが良好でない場合、バーゼルⅢでのいろいろな議論等も踏まえて考えると、結果として、清算機関を統合することによって、かえって日本の清算機関の評価を下げることになってしまうのではないかという、そういう懸念も持っているのですが、これらの点についてどのようにお考えかと、教えていただきたいと思います。1点目については、寺口さんと斉藤さん、よろしくお願いします。

○寺口執行役員

まず、野村に関しては、おっしゃるとおり、現状、商品取引所の取引参加者ではありません。その理由というのは、先ほどのコメントの中でも若干触れさせていただいているんですけれども、収益性というのは、いわゆるコストとの見合いというのが、まずありますと。システムの部分ですとか、それから、若干見えないかもしれませんけれども、おっしゃるとおり規制の部分、例えば商品を取り次ぐためには、商品の外務員制度等々というのも、今後、従業員に資格を取らせないといけない等々というのも出てくるかもしれないということがあります。

そういったことを考えて、投資家のニーズというのは決してないわけではないと思っているのですが、そのニーズと現状の我々の考えているそのコストの見合いを考えたときに、商品取引資格を持つことが、経済合理性を持っているのかということを考えると、現状は持っていないという判断を行っています。ですが、その代わりに、現状、我々はコモディティのETFを3本、大証に2本、東証に1本上場させていただいておりまして、残念ながらその純資産総額というのはまだ極めて小さいのですが、新しい商品を上場させていくということを経ながら、投資家の方々のニーズというのを今、探っているという状況です。

○東副大臣

ありがとうございます。

○斉藤ヴァイスプレジデント

私どもは、新しいその商品先物取引法のもとで商品先物取引業者にもなっております。ですが、現在、日本の国内の商品先物市場の清算参加者及び取引参加者にはまだ至ってないですが、社内では当然そのようなグローバルからのお客様のニーズもありますので、検討ということではやっております。業務的な我々のほうのサポートの体制、内部的な問題ももちろんありますが、先ほど申し上げさせていただいたとおり、新しい市場の取引参加者、清算参加者になるに当たって極めて重要なところというのが、やはり清算機関のその信用力のところです。それで、清算機関のその信用力のところの社内のレビューということが、かなり今、重要になっておりますので、そういった点の手続等を進めるに当たって、清算機関自体の信用力というところがネックになっている。あとは、規制、システム、今、野村證券様のほうからご発言がありましたけれども、規制が違うことによって、そのシステム対応、システム開発というものが、ある程度国内の市場に限っては、グローバルなシステムが使えないものを少し変更する必要があるとか、そういうものがあります。

また現物の実際のデリバリーが起きたときに、そこの業務に対応できる十分な人材を確保するというところが難しいというところも実務的にはございます。

○東副大臣

ありがとうございました。2点目は、青山さん、お願いします。

○青山代表取締役社長

今、副大臣のほうからお話があったとおり、弊社は10数年前から証券会社を設立し、数度の買収を重ねて今日に至っており、東証、大証、東工取、東穀取と4つの看板を持っている中堅証券ですけど、それはお話があったとおり、将来性を見据えて、あくまで総合取引所化という方向性があれば、弊社の日本ユニコムと某証券会社との統合ということも、コストの削減ということであればもちろん視野には入れています。ただ、そこにはやっぱり業法、法体系、もしくはいろんなまだ、さっきお話ししたとおりの整備ができてない、規制のそういう問題ができてないということで、今、単独で事業展開していると。ただ、あくまでそういうふうに将来性があるのであれば、やはりお客様の利便性と考えると、コモディティをやる人は、FX、すべて横断的に取引したいというお客様は、それはいることは事実です。いずれにしても、その規制面での改革をきちんと、もしなるのであれば、将来を見据えた融合経営を視野に入れながら、進めてまいりたいと思っています。

○東副大臣

ありがとうございます。3点目は、内海さんから寺口さん、そして、斉藤さんにお願いします。

○内海部長

副大臣ご指摘のように、やはり清算機関の一番重要なのは信用力と、これは野村の寺口さんもおっしゃったとおりです。一つにするということによって、経営の中身であるとか、あるいは財務水準等が強化されるということでないと、それはかえってマイナスという部分もあるという観点からすると、必ずしも一つにすることを是とするというよりは、その点を慎重に検討すべきではないかと思います。

実態面として、複数清算機関があっても、すべての取引にすべての業態が同時に参加しているわけでもありません。銀行は、商品取引には参加していませんし、証券取引についても、株式の現物のように実際には参加できないところもあります。したがって、不自由さというのは、実態面としては、我々のところにはないというのも現状です。

○寺口執行役員

先ほどコメントの中でも申し上げさせていただいているのですが、清算機関のクレジットというものが極めて重要だと思います。現状JSCC及びJCCHは、いずれも同じような清算会員の基準を設けていると理解しているのですが、仮に両方一緒になりますと、そのままでいいというわけでは決してない。新たな基準をやはり真剣に考えるべきではないかと思います。例えばLCHというのがありますが、LCHの清算会員になるための資格は大変厳しいものがあります。こういうことを考えても、クリアリング機構のクレジットというのは、特に海外の投資家から見たときに、極めてクリティカルであるというふうに理解していますので、グッド・クリアリングカンパニー、バッド・クリアリングカンパニーで、グッドがバッドを統合すれば良いという、単純にそういう話ではないというふうに理解しています。

○東副大臣

ありがとうございます。斉藤さん、お願いします。

○斉藤ヴァイスプレジデント

先ほどお話しさせていただいた部分と重複するかもしれませんが、海外の我々のような外資系の会社の場合、海外の投資家及び海外からも注文が当然入ってきます。そうした場合に、海外の投資家自身が実際取引する商品の清算機関が、一体どういう形でそのお客様の資産の保全を確保しているか、これが極めて重要な要素になってきます。特に、一たん破綻が起きたときに、一体どういうフレームワークでその破綻処理が行われていくか。そこに関しての十分なファイナンシャル・セーフカードが担保されているか。そういうところが非常に重要な要素になってきます。

○東副大臣

ありがとうございます。それでは、松下副大臣、お願いします。

○松下副大臣

1年近くこのような話をしていますが、大体言われることは決まっています。なぜできないのかということです。資料5に問題点を整理してあって、幾つかの展望が書いてありますが、これを見てどう判断されていますか。今、寺口さんはそれぞれの経営判断と、そのためにすべきことはこれこれと言われましたが、それだけで済む話なのか。私は、今、資源戦争とか、プロジェクトの海外展開とか、いろいろとやっています。

去年の11月、モンゴルの大統領が見えました。45歳で、国会議員から頑張って出てきた、非常に精力的な人でした。国会で演説してこう言いました。日本の皆さん、目覚まし時計が鳴っています。早く目を覚まして起き上がってください、行動してください、何をしているんですか。このような演説でした。そのためにわざわざ閣僚を連れて、日本の国会議事堂で国会議員を前に演説しました。どう思いますか。

私は、その後、4週間後に20人ぐらいのうちの経済チームを連れてモンゴルへ行きました。土曜日、日曜日でしたが、モンゴルの大統領の自宅に行きましたら会ってくれました。そして、どうしてああいう演説をしたのか、日本に何が言いたかったのか聞きましたら、モンゴル国民にも言いたかったし、日本国民にも言いたかったということでした。目を覚ませということをはっきり言っているんです。何に目を覚ませか。モンゴルは、ロシアと中国に囲まれて、ものすごい圧力を日々受けている。そして出口の港は一つもない。日本は太平洋の中に四面、四海、海に囲まれてどこにでも飛び出していけるのに、世界とも広く交流できるし、何の気兼ねなくやっていけるのに、どことどういう交流をして、どういうことをやっているのですか、モンゴルの苦しみをわかっているのですかということです。我々はこれだけ頑張って動いて、それを乗り越えて日本と交流したいと言って、ここまできてるのです。目を覚まして一つ一つのことに取り組んでください。ここまで問題の所在がわかってて追い込められていると我々は感じますが、なぜ行動して動かないのかということです。

皆さんは、各自のそれぞれの経営判断だと言われましたが、それはもうわかっている話です。なぜそこをきちんと突破してまとまって行動していこうとしないのかということです。30年後に、これでいいんですかということをお聞きしたい。どのように考えていますか。9つの取引所の経営者に何をどのようにしてほしいか、教えてください。私が間違っていたら言ってください。

○寺口執行役員

今、副大臣から、目を覚ませというお話がありましたが、まさしく、ある意味おっしゃるとおりです。

取引所の時価総額ランキングを見ますと、現状、大阪証券取引所の時価総額が1,000億を切るぐらいです。取引所の中で一番時価総額が大きいのが香港証券取引所ですが、これが約2兆円弱ぐらいです。続いて、CMEで1兆5,000億円ぐらい、ドイチェブースで1兆2~3,000億等々です。香港証券取引所が2兆円程度で、最大の時価総額です。これは中国云々ということを差し引いてもいいかとも思いますが、これが事実です。

よく比較に出てくるシンガポールのSGXは約6,000億弱ぐらいの時価総額です。東京証券取引所は未上場ですのでどれくらいの時価総額なのかわからないですが、現状上場されている大阪証券取引所と、例えばSGXとはそれだけの差があります。約5倍から6倍の差です。香港証券取引所に至っては、20倍強の差があるという状況が現実です。日本はそれで本当にいいのかというと、いいわけがないと思っております。そこで実際何をしたらいいのかというと、まさしくそれが今議論を深めている総合取引所や垂直統合というのが重要なのではないのかなと思います。

大阪証券取引所はデリバティブが中心、東証が現物株中心という形で、今、ある程度機能が分かれていますが、現物、デリバティブが分かれているままの取引所というのは、取引所を投資対象とした投資家から見たときに魅力的ではありません。さらに、そのクリアリングというのも、きっちりビジネスができていないため、そういった取引所も決して魅力的ではありません。例えばドイチェブース等々でも、現物での取引からのレベニューというのはもう極めて少なくなっていまして、ドイチェで現状13%ぐらいです。デリバティブが41%で、クリアリング等々で35%という収入構成になっています。これが世界の標準になっています。その世界の標準を兼ね備えたドイチェブースがNYSEまで買収に行っているのが現状だと思います。

まさしく今、副大臣がおっしゃられた目を覚ませというのは、一つのキーワードになるのではないのかなと思います。日本は取引量という意味では非常に大きいマーケットですが、アジアに目を向け、さらに世界に目を向けたときに実際何が起きているのか、世界での競争というのが一体どういうふうになっているのかということを、いま一度危機感を持ってこの総合取引所構想というのを進めていかないと、我々に残された、我々の日本というマーケットに残された時間というのが非常に少なくなっているのではないかとほんとうに思います。

○松下副大臣

9つの取引所のリーダーはどうですか。

○寺口執行役員

皆さん、しっかりやられていると思います。

○松下副大臣

青山さん、どうですか。

○青山代表取締役社長

本当に副大臣がおっしゃるとおりで、一言で言うと、先ほど冒頭お話ししましたが、本当に3.11以降、生態系が変わりました。だから、私も、10年、20年、30年とお話ししたのは、それを見据えた政策立案並びに真剣にそこに取り組む危機感からです。クライシスというのはいろんなクライシスがあります。日本は今、地政学的な要素のカントリーリスクもありますし、無資源国であるという、キーワードがあるわけです。だから私は、先ほどから統合がありきではなくて、マーケット整備で必要なところは残すし、きちんとしなければいけませんし、日本が自給自足の出来る国であればいいですが、ほとんどが海外からの輸入に依存しているわけです。それでさきほどコスト・プッシュ・インフレという話もしたわけです。それは将来必然的にそうなるであろうという確率は高いはずです。コモディティサイドで私は言っています。

だから、この取引所の統合、合併、再編というものは、強いリーダーシップをもって、危機感を持って、だれがその役目なのかわかりませんが、その辺の本当に将来ビジョンというものをきちんとうたって進めていく、提言する、こういう人がやはり必要ではないかと思います。私は一民間企業の立場として経営者としては、日本国民が勝つために、国内であれ、国外であれ、国際競争力のある、アジアのメインプレーヤーになるためにもそういうような眼力を持った方があらわれないと厳しいかもしれません。

○松下副大臣

9つの取引所のリーダーはどうですか。

○青山代表取締役社長

私は、お会いしたことがないものですから、その辺はわかりません。

○松下副大臣

斉藤さん。

○斉藤ヴァイスプレジデント

まさに副大臣がおっしゃられたとおりの点は本当に強く感じます。私の場合、外資系の会社にいるものですから、特に20年近く清算の方で国内の取引所及び海外の取引所も見ておりました。海外の取引所が新しいものを導入するスピード感と国内のスピード感というものがやはり若干違うとは思っておりました。

現在、先物市場デリバティブに目を向けてみますと、もうほとんどシステムに尽きると思います。ですから、市場デリバティブのシステムに関しても、現在ライフ・コネクト、スウェーデンのOMのシステムという形で、もうほぼ世界中の取引のシステムは、そちらの2つのシステムが主流になっております。日本のこのITの技術をもってすれば、かなりすぐれた取引システムをつくれると思います。あと、先ほどから申し上げていますとおりですが、1秒間に何万件の取引ができるような環境の中にトレーディングがいっているにもかかわらず、清算の処理のスピード感がそこに追いついてない状況だと思います。ですから、ぜひ日本のこのITの力をもって世界に通用するようなシステムを逆に構築して、そういうものを世界に売りに行くというところが一番今後、キーになってくると思います。

○松下副大臣

今の9人の取引所のリーダーはどうですか。

○斉藤ヴァイスプレジデント

私、本当に若干名しかお会いしたことがないのですが、重々そのシステムの重要性というのは市場デリバティブの世界では認識いただいていると思います。ですから、逆にコンピューターゲーム等では、日本のそのIT技術はかなり発達して、世界中から注目を受けているわけですから、そういった全然違うビューを持った人たちにぜひそういった金融のシステムの開発とかというところが行われていくと、何か少し違った目でまた新しい智恵が入るのではないかと思います。

○松下副大臣

内海さん、いかがですか。

○内海部長

最初の説明とも重なってしまうんですけれども、取引所の活性化の基本は、やはり流動性、あるいは市場性の高いインデックスがあるかどうかというところが非常に重要なポイントになります。それを使う人は、国内のユーザーもいれば、あるいはグローバルなユーザーもいます。私どもも、一ユーザーであり、お客様にその取引所なりの取引を通じてデリバティブを提供する立場にもあるということからすると、やはり最初はユーザーが今、何を求めているかというところの視点から検証し、あるいはそこを掘り下げることが必要で、それがあっておそらくインフラができてくるということだと思います。

インフラがあって参加者がついてくるという面ももちろんあります。それはどちらが先かですが、インフラを投資するに当たっての一定のものがある程度確保されていないと、なかなか外に向かって発展することは難しいのかなとは思っています。どんな商品がいいかという答えを持っていませんけれども、それを真摯に掘り下げるということがまずファーストステップではないかと思っています。

○松下副大臣

9人の取引所のリーダーはどうですか。

○内海部長

残念ながら、そこについては私も直接存じ上げておりませんので、申しわけございません。

○松下副大臣

もう一つ私が申し上げたいのは、今、日本は全体が非常におかしくなって、困難になっていると思います。政治もそうです。司馬遼太郎さんが生前まだ元気なころ、私はしかられたことがあります。一緒にいたのは薩摩焼の沈寿官という、400年前に韓半島から拉致されてこられた陶芸家です。吉田松陰の話をされました。150年前に吉田松陰は、松下村塾の若者たちを、自分の弟子を正座させて説教したそうです。こう言ったそうです。おまえたちに日本を任せるわけにいかない。おまえたちはほんとうにだめだ。おまえたちは目先の手柄を立てるために走り回っている。走り回りながら、損か得かを計算して打算で動いている。とどのつまりは、結局我が身かわいさで保身で行動してるじゃないか。そんなことで日本はよくならない。おまえたちに日本を任せられないと。人生たった1回、30で死んだけども、少女のようにおとなしい青年だったと聞いていますが、大激怒して説教して死んだそうです。

それで、司馬さんが言われたのは、松下君、日本もそういう状態になってきているぞと。だれも展望を開かないで、自分の目先のことだけの話をして、そこで安住していればいいと。そこにいっぱい人が群がってぶら下がっていると。ジャンプできないと。しっかりしろと言って司馬さん亡くなられたんです。

やっぱりね、今、そういう状態にあるときに、この典型がこの総合取引所をどうするかという議論のことだと僕は思っています。皆さん方、若手の第一線で頑張っている人たちはどう思っておられますか。もっと強く発信して、中をものすごく動かすぐらいにやってもらいたいと思います。僕らも僕らでもやりますが、そのお願いです。

あと、細かいことはたくさんあるけれども、これはもう皆さん方の話の中と、いろいろ質問されましたので、そのことを申し上げたい。

以上です。

○東副大臣

ありがとうございました。田名部先生、どうぞ。

○田名部政務官

お忙しい中、ありがとうございました。お忙しい皆さんにこうして来ていただいて、お話を伺って、本来はお話を伺いながらも、政治がきちんとビジョンを示すことができていればいいと思っています。しかし、もう既に政治のほうが後手に回っているのかなと、現場のほうがいろいろ動き出していて、そういう意味では、あるべき姿を私たち、やはりしっかりと示して、もう現場が動いていることを後押しできるような体制をしっかり早く作ることが大事なのではないかと思っています。

今、私の手元に証券取引所の取引規模、世界の取引所の規模がありますが、平成25年には、アジアのメインマーケットを目指したいというのが私たちの成長戦略の一つですが、そういう意味では、その目標を達成するにも現状厳しいものがあるだろうと。一刻を争う大事な問題だろうと思っています。そういう意味では、取引所の統合、集約であるとか、清算機関、それらすべて皆さんがおっしゃったようなことすべては、税制もそうですし、もう避けられないと思います。それを早くやる必要があると思っていますが、そこも、先ほどどなたかご発言されましたが、政府の中でも、経営判断だという意見と、そうではない、それはビジョンを示して皆さんと一緒に歩んでいくべきではないかという意見が分かれます。当然経営判断なのですが、私たちは、経営判断をただ待つだけではなくて、それを理解してもらいながら、政治としてもビジョンを示し、皆さんと一緒になって、方向性、目標性を持ってやるべきではないかと思いますが、まずその点について、あくまでもそれは政治のすべきことではないと思われるのか、やはりそのことは互いに一つの方向性を見て進んでいくべきだと思われるのかお伺いしたいと思います。

それともう一つ、72年ぶりにコメの先物市場、試験上場ですが、開設されるということが決まりました。この議論をしていた中で、それぞれの関係の団体であるとか、与野党含めていろいろなご意見をいただきました。そういうご意見を聞く中で、やはり農林水産省としては、総合取引所の実現には積極的に検討したいと思っていますが、一方で、この食料や農業政策と非常に深いかかわりを持っているこの農産物の先物市場というのは、適切な運営を確保していく責任があるだろうと思っています。

そういう中で、一つ議論になっているのが監視・監督のところです。これは、先ほど寺口さんもおっしゃっておられましたけれども、斉藤さんもおっしゃっていたかと思います。金融庁が今まで監督していたので、そこに一元化するのが望ましいということであります。ただ、その適切な市場の監視、監督が必要だと私たちは思っていますが、そういう現物の観点というもの、専門性をしっかり持っている独立性の高い、そういう監視機関が必要ではないかと私たちは考えています。その点について、こういう今の国の流れがある中で、規制・監督というものが金融庁がやるとか、そこで一つにまとまるということが本当に可能だと思われるのか。私たちがこれまでも議論の中で言ってきた独立性のある機関を持つべきだと思われるのかご意見をいただきたいと思います。

○青山代表取締役社長

商品先物市場も、特に今回のコメの試験上場に関しましては、農水省はじめ、皆さんのご苦労、本当に感謝申し上げます。

これはもう72年ぶり、もちろん日本の主食ですから、今、ここへきてようやくという、今の政権だからこれはできたのだろうという気もしますし、正直申し上げて、このコメの価格というのは、やはり先ほどからメインテーマでもあるアジアのリーダーシップをとる意味で、このコメの成功というものは必須だと思っています。

あくまで農家、流通、消費者、消費者イコール生産者、すべてこれが価格を決定する上ではリスクヘッジ機能、要は、ヘッジャーとしても農家、やはり今、こういう大変な時期に指標が、やはり米価格センターが3月に解散になっていますので。国民が指標となる価格の目安がなかったということに関しては、コメのこの上場の意義というのは、歴史に残る1ページだろうと、私はそのように認識しています。

それと、商品サイドから物を申しますと、今回のG20でも討議されているとおり、一次産品の高騰により世界の穀物マーケットというのは、もちろんアメリカを中心にエタノール需要ですとか、トウモロコシ、大豆、小麦、ありとあらゆる一次産品が高騰して、それが世界各国の経済にマイナス要因になっているということで、監視体制をきちんと持たなければいけないというカンヌサミットでの議論があったと思います。そういう意味では、私は、一元化がどうのこうのというよりも、省庁間での議論をしていただきながら、きちんとした現物の流通の安定化、マーケットの整備というものを、互助監視、サーベイランス機能をきちんとやはり構築しなければ、日本経済にとってマイナスであると。その辺をきちんと理解したときに機能するような監督機能を省庁で検討願えればよろしいのではないかと思います。何はともあれ、衣食住の食ですから、本当は水も上場したいぐらいなので、それは無理でしょうけど、そういう我々の生活に密着するもののサーベイランス機能というのは必然、不可欠だと思います。

○田名部政務官

内海さん、お願いします。

○内海部長

監督機関の話ですけれども、おそらく、いわゆる規制・監督の一元化の後に、実際にそれを誰がやるかという話だと思いますが、現状、我々、銀行という業態、それから、証券の業態、商品の業態、それぞれに金融庁なり、あるいは農林水産省なり、あるいは経済産業省さんの監督下にあります。その中で、さらに、そこに一つつくるということがもし起きた場合ですが、その場合はもう一つ監督機関をつくるということになります。我々としては、基本的に金融庁の監督下にある業態として、そこで今回の取引所に関する規制に関しても、どこが規制するかというのは、何らか統一な規制ができるのであれば、そこでやれば十分なのかなと。あえて、新しく監督機関をつくるということに、実質的な意味がどこまであるのかというのは、若干クエスチョンがございます。

まずは、規制・監督の一元化について、省庁間、あるいは我々も議論をして、きちんと進めるべきだとは思いますが、そのことと必ずしも組織を新しくつくるということとは、これは必ずしもストレートに結びつくものではないなというふうに感じております。

○田名部政務官

二重にというか、独立した機関一つがすべてを、それぞれの専門分野、専門家がいて、そして、独立した機関としてあるべきではないかという意味です。そこのほかにそれぞれが何かを持つということではなくて。

○内海部長

その点については、監督・管理が一元化された後に、今までいわゆる現物なり、あるいは事業者ごとに見てこられた各省と、監督・管理を担う者との連携の問題かなという気もいたします。その連携で担保していくこともできるのではないかというふうに感じています。

○田名部政務官

斉藤さん、お願いします。

○斉藤ヴァイスプレジデント

まず、取引所のところで、政治のほうが後押しするという話のところだと思うのですが、現状、世界の取引所が合従連衡いろいろ動きがある環境のもとで、やはり株式会社化がされた後のところであれば、なかなか政治主導を強く出すというところがうまく機能するかというのはちょっと難しいかなというふうに、個人的な意見ですけれども、思っております。株式会社になっているというところがやはりかなりネックにはなってくるとは思うのですが、ただ、かといっても、私もずっといろんなワーキングとかで、取引所や清算機関をやはり方向的には一元化していってほしいというところは意見を述べさせていただきました。その部分は、そういう環境になるような形に、バックアップ的にいろんなものをやっていくという形が望ましいのかなと、個人的な考えですが思っております。

あと、規制のところですが、これもほんとうに実務的な話で恐縮ですが、我々のほうで、金融、証券のところで法律が一つになったというところで、そこの延長線上で色々な法定帳簿とか、監督、規制、ルールというものを、できれば統一的にやっていただくこと、現状のフレームワークでやっていただくのが一番ありがたいというのが事実です。新しくまたできて、新しいものがまた定義づけが変わったりすると、常にシステムのところに影響が出てくる、開発など新たなコストというところになってしまうので、現状のそのフレームワークの中でやっていただくのがありがたいと思っています。

○寺口執行役員

まず、規制のところですが、これは、先ほどから申し上げているように、一元化、特に我々取引業者から見たときの一元化というのが最も重要なところでして、二元化というのはぜひとも避けていただきたいというのがあります。

それから、先ほどのアジアのメインマーケットという話なんですけども、日本の取引所、例えば東証というところも、決して今、手を抜いているわけでも何でもなくて、例えばアローヘッドというのを導入して、アローヘッド以前ではその取引に参加していなかった投資家というのが、今、日本にどんどん入ってきているという状況で、きっちりした対応というのをしていただいていると思います。

それから、これは金融庁のほうにも大変なご理解をいただいた形で、私設取引所というのができています。これも世界の趨勢ですけれども、先ほど申し上げましたように、3.5%程度まで私設取引所での取引が増えてきているという、幾つか非常に現状進んできているというところもあるのではないかなと思っています。

アジアのメインマーケットということを考えると、SGXというのが現実問題として、我々が競争相手として意識し、また、ある意味、逆に勉強するべき一つの対象となり得るところだと思うんですけれども、強烈な垂直統合を進め、他国のマーケットもよく理解し、他国と共存共栄を図りながら、冷静に日本のことも分析しているということが現状だと思っています。

こういったところとやはり伍して、もしくはそういったところをさらに凌駕するべく、日本の総合取引所というのを今後つくっていかなくてはいけないというふうに私も個人的に思いますけれども、そういったときには、先ほど申し上げましたように、合併するしかない等々というのは各取引所の判断だと思いますけれども、そういった判断をスムーズに判断させることができるようなその環境面の整備、こういったことが政治及び行政というところで必要なのではないかと思います。

○東副大臣

ありがとうございます。貴重なご意見ありがとうございました。

○松下副大臣

ありがとうございました。

○田名部政務官

ありがとうございました。

(以上)

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(内線3562、3618)

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