疑わしい取引の届出制度

疑わしい取引の届出制度は、マネー・ローンダリング(注1)を防止するための対策の一つであり、金融機関等から犯罪収益に係る取引に関する情報を集めて捜査に役立てることを目的とする制度ですが、他方で、金融機関等のサービスが犯罪者によって利用されることを防止し、金融機関や金融システムの健全性及びこれらに対する信頼を確保しようとする制度でもあります。

  • 1992年7月:麻薬特例法(注2)の施行

    金融機関等に薬物犯罪収益に関するマネー・ローンダリング情報の届出を義務づける「疑わしい取引の届出制度」の創設。

  • 2000年2月:組織的犯罪処罰法(注3)の施行

    疑わしい取引の届出の対象が、従来の薬物犯罪収益に係る取引から、200を超える重大犯罪による収益に係る取引に拡大。

  • 2002年7月:組織的犯罪処罰法の一部改正

    テロ資金供与等の行為を犯罪化することを内容とする「公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律」の施行に伴い、組織的犯罪処罰法が一部改正され、テロ資金供与等の疑いがある取引についても疑わしい取引の届出対象となった。

  • 2007年3月:犯罪収益移転防止法(注4)の制定

    届出対象事業者が、従来の金融機関等からファイナンスリース業者、クレジットカード業者、宅地建物取引業者、貴金属等取引業者、郵便物受取・電話受付サービス業者などに拡大。

    また、金融庁(特定金融情報室)に設置されていたFIU(注5)機能が国家公安委員会・警察庁に移管。

(注1) マネー・ローンダリング(資金洗浄)とは、違法な起源の収益の源泉を隠すこと。
(注2) 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律
(注3) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律
(注4) 犯罪による収益の移転防止に関する法律
(注5) FIU(Financial Intelligence Unit)とは、マネー・ローンダリング情報を専門に収集・分析・提供する機関

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