去る12月3日(水)に、金融機関代表者、関係省庁等を集め、「中小企業金融の円滑化に関する意見交換会」を開催しました。 本会合では、年末の資金需要期を迎えることを踏まえ、竹中金融担当大臣から金融機関代表者に対して、健全な中小企業に対する資金供給の円滑化には格別の配慮をするよう要請するとともに中小企業金融の実態認識について意見交換を行いました。 その際、竹中金融担当大臣から金融機関代表者に対して、融資取引に際して顧客に対して十分に説明を行うことや担保・保証に過度に依存しない融資について積極的に取組むことなどを要請しました。 また、今回は特に、足利銀行が業務を行っている地域における資金供給の円滑化についても格別の配慮を要請しました。 |
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意見交換会参加機関等> 全国銀行協会、社団法人 全国地方銀行協会、社団法人 信託協会、社団法人 第二地方銀行協会、社団法人 全国信用金庫協会、社団法人 全国信用組合中央協会、社団法人 全国労働金庫協会、農林中央金庫、日本政策投資銀行、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、中小企業総合事業団、沖縄振興開発金融公庫、商工組合中央金庫、社団法人 全国信用保証協会連合会 |
金融庁検査局では、「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」において、「中小企業の実態に即した検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕の改訂」が盛り込まれたことから、本年10月に「金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕改訂検討会(PT)」を設置し、これまで7回に及ぶ検討を行い、改訂案を取りまとめました。 なお、今回の改訂に併せて、現行の会計ルールを反映させる等、金融検査マニュアル等について所要の改訂を行うこととしています。 今後、当該別冊等については、内容を確定のうえ、検査官宛の通達として発出することを予定しておりますが、それに先立ち、改訂案について広くご意見を募集することとし、12月22日にホームページに掲載しました。 |
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「金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕」改訂案については、金融庁のホームページの「パブリック・コメント」から「金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕等の改訂(案)について」にアクセスしてください。また、「金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕」の基本的考え方等について、詳しくは金融庁ホームページの「政策ピックアップ」のコーナーにある「中小企業金融特集」の「金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)」にアクセスしてください。 |
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1980年代末以降、日本の証券取引・証券市場の国際化が大きく進展してきています。最近の状況をみても、日本の取引所(東証・大証・名証)の株式売買代金に占める外国人の割合は2002年(平成14年)に31.7%(1992年(平成4年)は16.5%)、全国の上場企業に占める外国人の株式保有比率は2002年に17.7%(1992年は6.3%)に達しています。また、多数の外国証券会社や投資信託委託会社などが日本で活発に活動しています。 こうした証券市場の国際化は、日本に限らず、世界の証券市場に共通する動きとなっています。このため、世界の証券規制当局が参加する国際的な機構である「証券監督者国際機構(IOSCO:International Organization of Securities Commissions)」の役割が一層重要となってきています(通常「イオスコ」と呼ばれます)。本年は、IOSCOが世界的な機構になった1983年から20周年に当たります。本稿では、最近のIOSCOの活動などについて紹介します。なお、文中意見にわたる部分は、筆者の個人的見解です。 |
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.IOSCOはどのような活動をしているのか IOSCOは、証券市場の国際化に伴う諸問題などについて、各国・地域の証券規制当局が規制の調和などについて議論し、情報交換や協力を行う場です。 第1に、IOSCOは、これまで証券規制・監督に関する様々な原則を定めてきています。「証券規制の目的と原則」(1998年9月)や「証券決済システムのための勧告」(2001年11月)がその代表例です。これらは、証券規制に関する国際的基準として、IMF(国際通貨基金)と世界銀行が各国の金融セクターの評価を行う(「金融セクター評価プログラム(FSAP)」)際の基準の1つに位置付けられています。ちなみに、本年9月にIMFが日本を対象とするFSAPの結果をとりまとめて公表した「 金融システム安定性評価(FSSA)」報告書では、日本の証券セクターにおけるこれら原則の実施状況について、概ね良好な評価が与えられています。 第2に、IOSCOは、各証券規制当局間の協力や情報交換を促進しています。最近の例としては、2001年9月の米国同時多発テロ事件を受けて、2002年5月には証券分野の情報交換を国際的に行うための枠組み(多国間MOU)に合意しています。 |
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.IOSCOは最近の企業会計不正問題にどのような対応をしたのか 米国における2001年末の企業会計不正事件(エンロン社やワールドコム社などの破綻)や年7月末の企業会計改革法(サーベーンズ=オクスリー法)の成立を契機として、グローバルな証券市場の基盤にかかわる諸問題が、国際的な課題として議論されてきています。具体的には、コーポレート・ガバナンスの強化、会計事務所の独立性と監督の強化、ディスクロージャーの強化、証券アナリストの利益相反の抑制、信用格付機関の活動などです。こうした課題は、本年6月の仏エヴィアン・サミットでも取り上げられています。 今回の国際的な動きの特徴は、世界の主要証券市場(日・米・EUなど)において、こうした課題について、ほぼ同時並行的に改革の取組みが行われたことです。例えば、日本では、金融庁が昨年8月に「証券市場の改革促進プログラム」を公表し、本年5月末に公認会計士法の改正法が成立するなど、着実に改革が実施されています。 IOSCOでも、これらの課題について、次のような原則を策定し、メンバーに証券規制に関する指針(ガイダンス)を示しています。 |
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.日本がIOSCOの活動に参画することにどのような意義があるのか 日本は、1988年(昭和63年)以来、IOSCOのメンバー(現在は金融庁が普通会員、証券取引等監視委員会などが準会員)として、IOSCOの活動に積極的に参画しています。日本がIOSCOの活動に参画することにはどのような意義があるのでしょうか。 |
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第1に、証券取引・証券市場の国際化が進展する中、日本の証券制度・規制を国際的に調和のとれたものにする上で、IOSCOが策定する原則が有用であるという意義があります。 IOSCOによる原則の策定を契機として、証券取引法が改正された場合もこれまでみられます。例えば、証券業者に関する「7つの行為規範原則」(誠実・公平など)の採択(1990年11月)を契機とした改正、「協力についての決議」(1989年6月)を契機とした改正(外国証券規制当局に対する調査協力)があります。また、最近でも、今回の公認会計士法改正による監査法人などに対する監視・監査体制の強化は、米国の企業会計改革法やIOSCOの「監査人の監督に関する原則」などの国際的な動向も踏まえたものです。現在も、IOSCOの証券アナリストに関する原則を踏まえて、証券会社などに対する自主規制機関である日本証券業協会において、現行の自主規制の見直し作業が行われています。 第2に、IOSCOが策定する原則に日本の証券制度・規制を一定程度反映させることができるという意義があります。この場合、IOSCOのメンバーは世界105か国・地域(2003年11月末)に及ぶため、日本の制度・規制が国際的な影響を及ぼす可能性があることになります。 例えば、昨年10月に公表された監査人監督原則が日本の監査人監督制度を反映したものとされているほか、継続開示原則において日本の継続開示制度が国際的なアプローチの1類型として取り上げられています。また、専門委員会の下部機関(第1常設委員会)では、国際会計基準審議会(IASB)の動きや国際会計基準(IAS)の内容について検討していますが、IOSCOとしてのコメントを出す場合に、日本の意見ができるだけ反映されるように努めています。 |
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第3に、IOSCOを通じた世界各国・地域の証券規制当局のネットワークが有用であるという意義があります。 例えば、2001年9月11日の米国同時多発事件の発生直後に、IOSCOネットワークを活用して、主要国・地域の証券市場に関する対応状況について連絡・情報交換を行いました。本年3月のイラクに対する武力行使に際しても同様です。 また、IOSCOのネットワークは、2国間の問題に対応する場合にも有用です。例えば、金融庁では、昨年夏以来、米国の企業会計改革法の問題に対応するため、米国SEC(証券取引委員会)と建設的な対話を重ねてきていますが、これについても、IOSCOの会合の際に米国SECの国際担当委員や国際部長などと会うことが多いことが寄与していると思われます。実際、IOSCOの会合は、外国証券規制当局の関係者と意見交換・情報交換をする絶好の機会を提供しています。 さらに、吉野金融研究研修センター長の指摘のとおり、金融庁にとって、海外への情報発信の促進が重要な課題ですが、IOSCOの場などを通じて、日本の証券市場改革の取組みなどを世界に情報発信しています。 |
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.おわりに 以上のとおり、証券取引・証券市場の国際化が一層進む中で、IOSCOの役割はますます重要となります。今後とも、IOSCOの活動に積極的に参画していく考えです。これまでは、専門委員会など主要先進国・地域との関係が中心になってきていますが、今後の課題として、アジア地域との関係の強化があります。来年2月にニュージーランドで開催されるIOSCOの「アジア太平洋地域会合(APRC)」などにおいて努力したいと考えています。 (文中意見にわたる部分は筆者の個人的見解である) |
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.はじめに ドイツの金融庁(Bafin)の発足(2002年5月)から約1年半が経過した。図らずも、我が国での金融庁発足とタイミングがよく似ているため、「ドイツの」という文言を付けなければ、どちらの話か混同しかねないのではなかろうか。 我が国に次ぐ世界第3位の経済規模を持ち、ドイツ銀行を始めとする世界有数の金融機関を有するドイツという国の経済的位置付けに比べると、ドイツでも日本と時期をほぼ同じくして金融庁が発足したという事実については我が国では意外なほど知られていないのではないかと思われる。本稿では、あまり専門的、政策的な観点からではなく、ドイツでの金融庁発足前後の動きに視点を置き、新金融庁の方々から行ったヒアリングを下に、私見も踏まえつつ、その発足の背景及び現状等について、概観してみたい。 なお、ドイツ「金融庁」の名称について、日本の当局では「金融監督庁」という訳をあてている。これは、Bafin(Bundesanstalt für Finanzdienstleistungsaufsicht)の日本語訳としても、また実態としてドイツの金融庁には企画立案部局がないこと(連邦財務省の金融担当局に存在する)や後に述べるように「検査」部局がないこと等から、その方が正確なのであるが、今回ヒアリングに応じてくれたある課長(彼は、我が国では過去、金融監督庁から金融庁に衣替えしたことを知っている)が、ドイツも「金融庁」という名称を(少なくとも将来的には)与えられたいと述べておられたことを尊重して、本稿においては金融庁と統一することとする。 |
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.金融庁発足までの状況 |
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.金融庁発足への動き |
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.金融庁発足後の状況 |
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.最後に 本稿においては、最初にもお断りしたとおりであるが、政策的な中味ではなく、経緯や組織論的な点に視点を置き、金融庁発足までの動き、及び今後の見通しについて概観した。 既に、現在の金融庁の状況に対する筆者の見方は概ね現れているとは思うが、これまでのところの筆者の認識としては、金融庁が発足したことによって金融監督行政の分野において大きな変化が生じたという感じはあまり持っていない。それが、最初に述べたドイツで金融庁が発足したという事実自体があまり知られていない理由ではないかとも推測している。 しかしながら、今回の発足への動きを見ても、議論が実際に本格的に始まってから、実際に発足に至るまでのスピードは極めて早かったということも事実であり、走りながら考えるスタイルで金融庁自体の改革が現在も進んでいる状況と言えるのではないかと思う。そうした意味では、ドイツの金融庁が、今後、近い将来、本格的な金融庁に生まれ変わる時期も来るのかもしれないとも思う。 昨年(2002年)は、ドイツの金融界は長引く不況の影響もあり、いわゆる不良債権問題や、株価下落による含み損の影響に苦しむという我が国とも似た現象が多く見られたところである。しかしながら、私見では、ドイツの金融機関の多くは、既に今年(2003年)の状況を見ればその峠を越したようにも思われる。 他方、いずれにせよ、この間大小様々なレベルで金融機関の経営難が生じていることも確かであり、その意味では、ドイツにおいても行政レベルでの適切な金融監督ということの重要度が増しているところである。 実際、単なる(誰が金融監督を担うかという)組織論ではなく、「あるべき論」的な観点から、やはり行政機関たる金融庁の機能が更に強化されることが望ましいという意見も強くなっており、現に昨今の報道で金融庁の活動を目にする機会は以前と比べて格段に増加しているところである(この点が金融庁発足と同時に大きく変わったことの最大のものかもしれない)。 本稿では触れなかったが、欧州レベルでは欧州全体としての銀行監督委員会設置の議論が進んでおり、欧州での銀行監督、金融監督のあり方を巡る議論は、まさに現在進行形である。こうした流れも踏まえ、ドイツの金融庁が今後更にどのように変わっていくのか、どうように機能強化、効率化を進展させていくのかについて、筆者も注目していきたいと考えている。 (文中意見にわたる部分は筆者の個人的見解である) |