アクセスFSA 第24号 (2004年11月)
「全国キャラバン金融講座」において講演する伊藤大臣(10月23日) 財務局長会議において挨拶する西銘政務官(10月26日)
「全国キャラバン金融講座」において講演する伊藤大臣(10月23日) 財務局長会議において挨拶する西銘政務官(10月26日)

目 次
【トピックス】
 ○  「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」情報の受付・活用状況について
 ○  預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について
 ○  財務局長会議の開催について
 ○  災害時における金融庁の取組状況について
 
【海外通信】
 ○  未来の国際金融センター「上海」から
 在上海日本国総領事館 領事 河邑 忠昭
 
【集中連載】
 ○  ペイオフ解禁拡大 (第1回:ペイオフ解禁拡大(本格実施)とは?)
 
【金融ここが聞きたい!】
 
【金融便利帳】
 ○  今月のキーワード:「ラップ口座」「無認可共済」
 
【お知らせ】
 
【10月の主な報道発表等】


【トピックス】
 
「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」情報の受付・活用状況について


.「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」とは
 金融庁では、中小企業等への金融の円滑化に向けた取組みの一環として、中小企業など借り手の声を幅広く聞くため、「貸し渋り・貸し剥がしに関する情報の電子メール・ファックスによる受付制度」(通称「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」)を開設しています。これは、中小企業が、金融検査マニュアルなどを理由に金融機関から不当な扱いを受けた場合等に、金融庁等に直接通報できるよう、ファックスや電子メールの受付窓口を設けたものです。


.ホットラインに寄せられた情報の受付と活用の状況(平成16年9月末現在)
 
(1)  受付状況
 「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」の受付・活用状況については、四半期毎に公表することとしており、平成16年10月22日に第7回目の公表を行いました。平成14年10月の開設以降平成16年9月30日までに受け付けた情報の累積件数は1,609件となっています。受付状況の詳細は別表を参照してください。

(2)

 活用状況
 
(a)  金融機関全般に関する活用としては、貸し渋り・貸し剥がしホットラインに寄せられた情報を参考に、昨年7月、「与信取引に関する顧客への説明態勢及び相談苦情処理機能に関する事務ガイドライン」(本ガイドラインは、その後「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の中に織り込み済み)を制定しました。
 また、本年7月に策定した「平成16検査事務年度検査基本方針及び検査基本計画」に基づき、平成16事務年度(平成16年7月〜平成17年6月)の検査においては、上記事務ガイドライン等を踏まえ、特に借り手企業に対する説明責任の履行状況等の重点的検証を行ってきました。
 更に、寄せられた情報を参考に、金融機関に対して、中小企業金融の円滑化や顧客への十分な説明態勢の確立、相談・苦情処理機能の強化等を要請しています。
 
(参 考)こうした取組みに加え、本年2月に改訂した「金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕」においては、金融機関と借り手企業との間の密度の高いコミュニケーションを通じた経営実態の把握状況等を検査において勘案することとしています。

(b)

 個別金融機関に関する活用は、以下の方法により行っています。
 
(i)  受け付けた情報については、監督において、四半期毎にとりまとめ、金融機関の対応方針、態勢面等のヒアリングを実施しています。これらの情報のうち、情報提供者等が金融機関側への企業名等の提示に同意している情報については、臨機に、事実確認等のヒアリングを実施しています。
 なお、これらのヒアリングの結果、監督上確認が必要と認められる場合には、銀行法第24条等に基づく報告を徴求することとしています。
(ii)  検査においては、検査を実施する金融機関に関し、検査時までに受け付けた全ての情報や当該金融機関から徴求した報告の内容を参考とし、借り手企業に対する説明責任の履行状況や苦情処理態勢等の検証を行っています。
 なお、検査の結果、問題があると認められる金融機関に対しては、銀行法第24条等に基づき、その改善措置に関する報告を徴求することとしています。

(c)

 具体的な活用の状況は、以下のとおりです。
 
(i)  本年4月1日から6月30日までに受け付けた情報については、監督において、これを基に45金融機関に対してヒアリングを行いました。
 また、そのうち監督上確認が必要と認められた2金融機関に対して、報告を徴求しました。
(ii)  本年4月1日から6月30日までに着手した検査においては、20金融機関の検査に際し、検査時までに寄せられた情報等を参考とし、借り手企業に対する説明責任の履行状況や苦情処理態勢等の検証を行いました。
 また、検査の結果、借り手企業に対する説明責任の履行状況や苦情処理態勢等に問題のあった1金融機関に対し、上記期間において、その改善措置に関する報告を徴求しました。

(d)

 なお、「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」に寄せられた情報をより有効に活用し、政府全体として対応を図るため、中小企業庁と連携して関係省庁間の連絡会議を随時開催しています。


(別表)
「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」情報の受付状況
(平成16年7月1日から9月30日までの受付分)
 
「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」情報の受付状況(平成16年7月1日から9月30日までの受付分)
「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」情報の受付状況(平成16年7月1日から9月30日までの受付分)


 「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」情報の受付・活用状況について、詳しくは金融庁ホームページの「報道発表など」から「「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」情報の受付・活用状況について」(平成16年10月22日)にアクセスしてください。また「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」について、詳しくは金融庁ホームページの「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」を、「金融検査マニュアル別冊[中小企業融資編]」について、詳しくは金融庁ホームページの「金融検査マニュアル別冊[中小企業融資編]」をアクセスしてください。

預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について

 昨年9月12日、金融庁は、預金口座を利用した悪質な事例が大きな社会問題となっていることを踏まえ、当局が預金口座の不正利用に関する情報提供を受けた場合には、明らかに信憑性を欠くと認められる場合を除き、当該口座が開設されている金融機関及び警察当局への情報提供を速やかに実施する旨事務ガイドラインを改正したところであり、その情報提供件数等について、四半期毎に公表しています。

 これによると、調査を開始した平成15年9月以降、本年9月30日までに、金融庁及び全国の財務局等において、6,518件の預金口座の不正利用に係る情報提供を行いました。
 また、金融機関としても、預金口座の不正利用と思われる情報があった場合には、直ちに調査を行い、本人確認の徹底や、必要に応じて預金取引停止、預金口座解約といった対応を迅速にとっていくことが肝要であり、本年9月30日までに、当局が情報提供を行ったものに対し、金融機関において、3,344件の利用停止、2,175件の強制解約等を行っています。


 預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について、詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表など」から「預金口座の不正利用に係る情報提供件数等について」(平成16年10月26日)にアクセスしてください。

財務局長会議の開催について

 金融庁は、10月26日、本事務年度(平成16年7月〜平成17年6月)第2回目の財務局長会議を開催しました。会議においては、五味長官の挨拶のあと、当庁各局からの業務説明、意見交換を行い、そののち西銘政務官から挨拶をいただくとともに、政務官はじめ当庁幹部と財務局長等との質疑・意見交換を行いました。その後、証券取引等監視委員会事務局及び公認会計士・監査審査会からの業務説明を行いました。

 西銘政務官の挨拶の概要は、
「小泉総理からは、(a)平成16年度末までに不良債権問題を終結させ、ペイオフ解禁拡大を予定通り平成17年4月から実施するよう、金融システムの安定・強化に引き続き取り組むこと、(b)地域経済の活性化や中小企業の再生を実現していくために、地域・中小企業金融の円滑化に取り組むこと、(c)民間金融機関等の創意工夫により、国際的にも最高水準の金融機能が利用者のニーズに応じて提供されるよう金融行政を進めること、の3点の御指示を受けた。
 引き続き金融システムの安定・強化を図るとともに、利用者が金融・証券市場の可能性を存分に活用できるよう、金融・証券市場の構造改革と活性化にしっかり取り組んでいく所存である。
 まず、金融システムの安定・強化に関して、主要行については、「金融再生プログラム」に基づく諸施策の推進により、不良債権比率が着実に低下している。
 また、中小・地域金融機関については、中小企業の再生と地域経済の活性化を図るとともに、不良債権問題を同時に解決することを目指し、間柄重視の地域密着型金融、いわゆるリレーションシップバンキングの機能強化に取り組んでいる。各財務局においては、引き続き管内の中小・地域金融機関による機能強化計画の実施状況を把握するとともに、その着実な実行を促すなど、地域密着型金融の機能強化に努めて頂くようお願いする。
 更に、検査において、中小企業に対するきめ細かな実態把握を行う観点から、金融検査マニュアル別冊[中小企業融資編]の一層の周知徹底にも努めて頂くようお願いする。
 ペイオフ解禁拡大については、平成17年4月からの実施に向けて、より強固な金融システムの構築、ディスクロージャーの充実及び預金保険制度の円滑な運営のための環境整備という3つの施策を着実に実施していきたいと考えている。
 次に、金融・証券市場の構造改革と活性化に関しては、誰もが投資しやすく、投資家から信頼が得られ、効率的で国際競争力のある金融・資本市場の基盤を整備することが必要である。このため、証券取引法等の改正により、証券仲介業制度の創設・拡充、市場監視機能・体制の強化、株式等のペーパーレス化による決済の迅速化・効率化へ向けた制度整備を行うとともに、平成15年度及び16年度税制改正において証券税制の大幅な軽減・簡素化が実現された。今後とも、こうした制度整備等により、「貯蓄から投資へ」の流れを更に加速していきたいと考えている。
 今臨時国会においては、金融先物取引をめぐる環境の変化に対応し、外国為替証拠金取引に基づく被害の拡大を防止する観点から、外国為替証拠金取引やこれに類似する取引を取り扱う業者を「金融先物取引業者」の定義に含め規制対象とするとともに、取引を行う顧客を保護するために必要な規制の整備を行うこととしている。
 なお、金融庁としては、本年6月に閣議決定された「基本方針2004」において年末を目途に策定することとされている「金融重点強化プログラム」(仮称)についても、幅広く入念に検討を進めてまいる所存である。」というものでした。

 西銘政務官及び当庁幹部と財務局長等との質疑・意見交換においては、財務局長等から、「中小・地域金融機関における地域経済の活性化等に向けた取組に対する財務局の対応」についての報告及び討議を行いました。

 当庁各局による業務説明においては、各局における諸問題や活動状況について説明が行われ、その後、それに対する質疑・応答を行いました。

災害時における金融庁の取組状況について

 10月23日に発生した「新潟県中越地震」並びに台風や豪雨で被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。
 金融庁においては、災害発生の際、現地における災害の実情、資金の需要状況等に応じ、関係機関と緊密な連絡を取りつつ、民間金融機関に対し、機を逸せず必要と認められる範囲内で、災害関係の融資、預金の払戻及び中途解約に関する適時適切な措置等を講ずるよう要請することとしています。

 10月23日に発生した「平成16年(2004年)新潟県中越地震」に関して、金融機関(銀行、信用金庫、信用組合)団体等に対しては、翌24日、関東財務局新潟財務事務所及び日本銀行新潟支店と連名で、以下について金融上の措置を適切に講ずるよう要請を行ったところです。
 (a)  預金証書、通帳を紛失した場合でも預金者であることを確認して払戻しに応ずること
 (b)  届出の印鑑のない場合には、拇印にて応ずること
 (c)  事情によっては、定期預金、定期積金等の期限前払戻しに応ずること
 また、これを担保とする貸付にも応ずること
 (d)  今回の災害による障害のため、支払期日が経過した手形については関係金融機関と適宜話し合いのうえ取立ができることとすること
 (e)  災害時における手形の不渡処分について配慮すること
 (f)  汚れた紙幣の引換えに応ずること
 (g)  国債を紛失した場合の相談に応ずること
 (h)  災害の状況、応急資金の需要等を勘案して融資相談所の開設、審査手続きの簡便化、貸出の迅速化、貸出金の返済猶予等災害被災者の便宜を考慮した適時的確な措置を講ずること
 (i)  (a)〜(h)にかかる措置について実施店舗にて店頭掲示を行うこと

 証券業界団体に対しては、10月24日、関東財務局新潟財務事務所から、以下について金融上の措置を適切に講ずるよう要請を行ったところです。
 (a)  届出印鑑喪失の場合における可能な限りの便宜措置
 (b)  有価証券喪失の場合の再発行手続きについての協力
 (c)  被災者顧客から、預かり有価証券の売却・解約代金の即日払いの申出があった場合の可能な限りの便宜措置
 (d)  その他、顧客への対応について十分に配意すること

 生命及び損害保険業界団体に対しては、10月24日、関東財務局新潟財務事務所から、以下について金融上の措置を適切に講ずるよう要請を行ったところです。
 ・  保険金の支払いについては、できる限り迅速に行うよう配慮し、保険料の払込については、契約者の罹災の状況に応じて猶予期間の延長を行う等適宜の措置を講ずること

 また、本年7月以降発生した台風災害等(「16年7月新潟豪雨」、「16年7月福井豪雨」、台風15号、台風16号、台風18号、台風21号、台風22号、台風23号)においても、地方財務局等において同様の要請を行ったところです。

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