平成11年12月13日(月)

 

公認会計士

第1回監査制度小委員会議事録

 

於  大蔵省第三特別会議室(本庁舎4階)

 

大蔵省金融企画局市場課


午後2時0分開会

○三原小委員長 それでは、予定の時間も参りましたので、ただいまから、「監査制度小委員会」の第1回の会合を開催いたします。

 私、公認会計士審査会で会長代理を務めさせていただいております三原でございます。

 この監査制度小委員会の小委員長につきましては、公認会計士審査会の御指名を受けましたことから、私が務めさせていただくことに相なりました。誠に非力でございますが、任務の重要性に鑑み、最善を尽くす所存でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、新原東京証券取引所監理官に御出席いただいておりますが、この後の御予定があるようでございますので、ここで新原監理官から御挨拶をいただきたいと思います。

○新原東証監理官 小委員長、どうもお時間をいただきまして、ありがとうございました。

 私、開示担当参事官室を担当しております東証監理官の新原でございます。

 皆様には大変お忙しい中、委員をお引き受けいただき、また、今日御出席をいただきまして、ありがとうございました。今、日本の国内だけではなくて、世界から日本の監査のあり方について、大変関心が高まっておりまして、いわば一つの正念場であろうかと思います。

 皆様方に本当に御苦労をおかけして御検討をお願いするわけでございますけれども、非常に大事な時期でございますので、どうかお1人お1人、いろいろな御意見を聞かせていただければ、本当にありがたいと思います。

 私の勝手な事情で最初に御挨拶をさせていただきまして、大変恐縮でございました。どうぞこれからの御審議よろしくお願いいたします。

○三原小委員長 最初に、この監査制度小委員会の設置に至る経緯につきまして、御存知の方もいらっしゃいますが、おさらいを兼ねまして、少し触れておきたいと思います。

 公認会計士審査会は、本年4月に、近年の会計士監査を取り巻く環境等を踏まえると、公認会計士監査のあり方についてもその見直しが必要になっているとの認識の下に、公認会計士審査会及び企業会計審議会の委員の方々を中心とする『会計士監査に関するワーキンググループ』を発足させまして、同ワーキンググループにおいて、外国の会計士監査に関する制度・現状なども参考にしながら、公認会計士監査のあり方について幅広い検討を進めてまいりました。

 同ワーキンググループでは、5回の審議の後、7月に「会計士監査の在り方についての主要な論点」を公表し、6項目の主要な論点とその考え方を明らかにいたしました。

 第6回会合におきまして、主要な論点の中の個別項目の検討については、各項目に関係が深く、責任をもって御審議いただける関係審議会等において具体的・専門的な検討を行っていただくこととし、ワーキンググループは関係審議会等における検討状況についてフォローアップを行うこととされた次第であります。

 個別項目を審議する関係審議会等につきましては、その項目の内容により、公認会計士審査会、企業会計審議会、日本公認会計士協会の三つに分けてございます。

 このうち、公認会計士審査会において検討すべき項目については、9月30日の公認会計士審査会におきまして、「監査制度小委員会」を設置して、具体的・専門的な検討を進めることとされました。

 なお、公認会計士審査会において検討すべき個別の項目のうち、試験制度のあり方につきましては、『試験制度の見直しは、受験者等に与える影響が大きく慎重な検討が必要であり、まず、現行公認会計士試験制度全般にわたる問題整理が必要なことから、「試験制度に関する検討小グループ」を設け、具体的な問題整理を行うこと。』とされております。

 また、当小委員会の設置目的といたしましては、「ワーキンググループにおける検討を踏まえ、有識者からのヒアリング等を通じ、諸外国の制度も参考としながら、現行制度の具体的な問題点について検討を深めるとともに、制度改正を要するとした場合の手順や優先順位についても幅広く検討すること」とされており、後ほど事務局より御説明いただきますが、本年8月に自民党の金融問題調査会に設置されております「企業会計に関する小委員会」の議論の動向や行政改革推進本部の「規制改革推進3カ年計画」の内容も踏まえながら具体的・専門的な検討を進めていきたいと考えております。

 このような御趣旨を内々に皆様に御相談申し上げましたところ、御賛同をいただくことができ、本日ここに最初の会合を開催することができましたことを厚く御礼申し上げます。

 ここで、当小委員会の委員の方々を御紹介いたします。

 奥山章雄委員を御紹介いたします。

○奥山委員 よろしくお願いします。

○三原小委員長 伊藤進一郎委員を御紹介いたします。

○伊藤委員 伊藤でございます。

○三原小委員長 白石健治委員を御紹介いたします。

○白石委員 白石でございます。

○三原小委員長 関 要委員を御紹介いたします。

○関委員 よろしくお願いします。

○三原小委員長 宮島 司委員を御紹介いたします。

○宮島委員 よろしくお願いします。

○三原小委員長 山浦久司委員を御紹介いたします。

○山浦小委員長代理 山浦です。よろしくお願いします。

○三原小委員長 なお、山浦委員には小委員長代理をお願いしたいと存じます。山浦委員、よろしくお願いいたします。

 このほか、岸田雅雄委員、富山正次委員、中原 眞委員、中村芳夫委員にも御参加いただくことにしておりますが、本日は御都合により欠席でございます。

 また、オブザーバーとして、法務省民事局の泰田民事局付検事にも御参加いただいておりますので御紹介いたします。

○泰田法務省民事局付検事 泰田でございます。よろしくお願いします。

○三原小委員長 なお、大蔵省では、各種審議会における審議の透明性を確保するなどの観点から、その議事録及び会議資料を原則として公表することとしております。当小委員会におきましても、事務局にて議事録を作成後、皆様に内容の御確認をいただいた後、公表することといたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の議事に移らさせていただきます。

 最初に、当小委員会において御検討いただく審議項目は何かということでございますが、まず、事務局の方からワーキンググループの主要な論点項目について御説明いただき、次に、論点項目のうち、公認会計士審査会が担当する個別検討事項の概要などについて説明していただきます。

 さらに、当小委員会の審議項目としては、ワーキンググループにおいて公認会計士審査会が検討を行うこととされたものに限らず、他の項目を審議することも考えられます。

 具体的には、先ほども申し上げましたが、自民党の金融問題調査会に「企業会計に関する小委員会」が設けられ、「企業会計・監査制度のあり方」について幅広く検討が行われているようでございます。また、行政改革推進本部・規制改革委員会の「規制緩和推進3カ年計画」におきましても、規制緩和の観点から監査・公認会計士制度が取り上げられているようでございます。これらは当小委員会の審議項目にも関係があると思われますので、自民党の「企業会計に関する小委員会」等の審議状況につきましても併せて事務局より説明をしていただきたいと思います。事務局よろしくお願いいたします。

○大藤大臣官房参事官 事務局を担当しております参事官の大藤でございます。それでは、私の方から御説明させていただきます。

 お手元に資料の1-1から1-5という資料をお配りしてございますけれども、これに基づきまして、今後、当小委員会で御検討いただくべき、あるいはその対象となり得べき論点について御説明させていただきたいと思います。

 その論点となり得べきものといたしましては、三つの系統といいましょうか、三つの流れがあると思います。

 まず第1は、7月2日に行われましたワーキンググループにおける論点整理からくるもの。それから、第2が、「自民党の企業会計に関する小委員会」における検討からくるもの。それから、第3が「規制緩和推進3カ年計画」との関係から生じるものということだと思います。

 まず、ワーキンググループについてでございますけれども、資料1-1ということで、ワーキンググループの公表した主要な論点そのものをお配りしているところでございます。

 これを踏まえまして、ワーキンググループの第6回会合におきまして、今後、具体的な検討を進めていただくべきところ、すなわち、論点のいわゆる検討場所につきまして、割り振りを行っていただいたところでございます。これが資料の1-2のペーパーでございます。

 資料の1-2を御覧いただきますと、「主要な論点・考え方」というのが左に掲げてございまして、それを「検討項目」として要約したものが真ん中の欄でございます。関係が深い審議会等ということで、これをさらに具体的な検討を進めるところがどこが適当かということを書いたものが一番右の欄でございます。御覧いただきますと、4ページに、まず、業務範囲のあり方ということで公認会計士審査会という名前があるところでございます。

 それから、5ページでございますけれども、「監査法人制度の改善」というところで、検討項目としては、「有限責任形態の採用など監査の専門化・高度化に対応した監査法人制度のあり方」という言葉でまとめられておりますが、これについても、やはり公認会計士審査会で検討することが適当ではないかという御意見があったところでございます。

 それから、7ページを御覧いただきますと、「公認会計士の質及び数の充実」というところで、まず、公認会計士試験制度のあり方について公認会計士審査会という名前がございます。ただ、これにつきましては、先ほど小委員長の方からお話しがありましたように、試験制度に関する検討小グループを設置して、その場でまず一義的に御検討いただくということになろうかと思います。

 次に、7ページでございますが、公認会計士の登録制度のあり方ということで、やはり公認会計士審査会ということになっております。

 それから、試験・研修内容の改善ということで公認会計士審査会及び公認会計士協会ということになっているところでございます。

 以上がワーキンググループの論点整理から公認会計士審査会が検討を進めていくことが要請されている項目でございます。これらにつきましては、後ほど資料で詳しく御説明させていただきたいと思います。

 それから、第2の流れが自民党・金融問題調査会の「企業会計に関する小委員会」というものでございます。これにつきましては、まず資料の1-4を御覧いただきたいと思います。

 8月11日に第1回会合が行われておりまして、以来、12月10日の第11回会合まで11回の会合が行われておりますが、今迄のところ、企業会計設定主体のあり方というところに中心が置かれておりまして、いわゆる監査制度自体につきましては、それほど議論が深められていないという実情でございます。

 ただ、今までの議論の過程で、監査制度に関係する点につきまして、委員等から御発言等があったものにつきまして、2ページにまとめさせていただいているところでございます。

 これを簡単に御紹介させていただきますと、まず、公認会計士法の目的規定に関する指摘といたしまして、公認会計士法には弁護士法など他の士業法にあるような目的規定がない。公認会計士としてのプライドと責任を持ってもらえるよう、社会的責務・目的等を規定するべきではないかという御意見がございました。

 それから、監査法人のローテーションに関しまして、我が国では慣習的に監査法人がずっとか変わらないようだけれども、透明性に欠けるのではないか。米国ではローテーションしているのではないかという御指摘がございました。

 それから、公認会計士資格の更新制ということについて、公認会計士は、一度試験を通ればずっと資格がある。昔、資格を取った人は新しい取引に対応できないのではないかという御指摘でございます。

 それから、継続的研修制度。日本のみが任意ではないか。他国は何らかの形で強制しているのではないか。見直しが必要ではないかという御指摘がございました。

 それから、公認会計士数のあり方ということについて、基本的には数を増やして競争を促進するべきではないかという御指摘がございました。

 それから、監査法人の審査体制につきましては、審査体制が十分ではないのではないか。監査法人内部の近代化が必要ではないか、公認会計士をチェックするメカニズムが必要ではないかという御指摘でございます。

 それから、監査報告書の署名についても御指摘がございました。我が国では、監査法人が会計監査人の場合でも、署名・捺印は公認会計士個人が行っている。米国のように法人名の署名のみにして法人の責任を明確化すべきではないかという御指摘でございました。

 それから、公認会計士の報酬ということで、我が国の公認会計士の報酬は少な過ぎる実情にあるのではないか。それが監査が不十分ということの一つの原因になっているのではないかという御指摘がございました。

 それから、公認会計士の責任・処分というものにつきましては、公認会計士の処分件数が少ないのではないか。民事訴訟も賠償が確定したものがないということではないかという御指摘があったところでございます。

 企業会計小委員会につきましては、この年末に中間論点整理が行われる予定であるとお聞きしておりますが、恐らく監査制度に関しましては、本格的な議論は年明け以降になるのではないかということでございます。

 それから、もう一つの流れが、行革推進本部の規制改革委員会で行われております「規制緩和推進3カ年計画」からくる論点ということになろうかと思います。これについては資料の1-5にまとめているところでございます。

 ここでは規制緩和推進3カ年計画の計画期間内、平成12年度までにいろいろな所要の措置を講ずることとされておるところでございますけれども、現在までのところ、公認会計士に関係する項目として指摘されているのは、1ページ、2ページにまとめているような項目でございます。

 試験制度に関する指摘も多いわけでございますけれども、この中では1ページの下から二つ目に登録・入会制度の在り方が指摘されているところでございまして、現在、業務を行うに当たって、資格者団体への加入が義務づけられる強制入会制がとられているが、入会しなければ、業務を行うことができないという制度の合理性・妥当性について疑問があり、この問題についての検討を深めるべきであるという御指摘がございます。

 それから、報酬規定の在り方について見直しを行うべきではないかという指摘がございます。報酬規定は、現在、法律により、会則記載事項とされているが、公正有効な競争の確保や合理性の観点から、この問題についての検討を深めるべきではないかという御指摘をいただいております。

 それから、2ページでございますが、広告規制の在り方の見直しについても御指摘をいただいております。

 広告は、利用者が自己責任において資格者を選択するに当たっての資格者に関する情報提供として考えるべきであり、虚偽・誇大広告以外は規制する必要がないところから、現在法律により広告規制が行われている公認会計士については、広告の自由化について検討するべきであるという御指摘をいただいております。

 今申し上げましたような点が、今後、当小委員会におきまして、論点の一つの対象になり得るテーマかというように考えるところでございます。

 以上、申し上げましたように、今後、監査制度小委員会で検討していただくべきテーマの対象というものを申し上げたわけでございますが、これらにつきまして、資料1-3でまとめているところでございます。

 ここでは、監査制度小委員会の検討項目の対象として考えられるもの及びこれに関連する制度の概要をまとめてございます。

 「WG論点整理における主要な論点・考え方等」にございますように、まず「監査の体制及び手続の充実」ということで、監査の体制及び手続を充実させ、監査の質を高めるためには、どのようなことが必要かということにつきまして、先ほど御紹介いたしましたように、業務範囲のあり方ということが一つの論点になろうかということでございます。

 読ませていただきますと、「公認会計士に対しては、監査業務だけでなく、会計に関した経営上の助言など、多様な会計サービスの提供が社会から求められており、その傾向は、今後、一層強まることが想定される。公認会計士が、このような社会の期待に応えることは重要なことであると考えられるが、その際、監査以外の業務のノウハウの蓄積が監査の強化にも有益か、逆に、監査以外の業務での被監査会社との関係の緊密化が、監査業務の独立性を阻害することにならないか等、利害得失について十分留意する必要がある。」ということでございます。

 1ページの右の方には、業務内容、範囲等についての制度を並べているところでございます。

 次に、2ページに移っていただきますと、検討項目といたしまして、単独・同一監査人の継続的監査に係る問題があろうかと思います。

 「大企業に対する監査は、複雑多岐にわたるので、個人の公認会計士が単独で実施することは困難であると考えられる。

 また、個人の公認会計士が単独で担当する場合、長期間同一の公認会計士が継続的に担当することになり、過度に親密な関係を築きやすいとの意見があった。このため、少なくとも一定規模以上の企業の監査は、個人の公認会計士が単独で行うことがないようにすることについて、検討する必要がある。

 また、監査法人による監査の場合であっても、単独の公認会計士が関与している場合は、同様の問題があるとの指摘があった。」ということでございます。

 右側には日本公認会計士協会でお作りいただいている資料を掲げております。監査実施者の態様別・資本金別被監査会社数ということでございまして、これを御覧いただきますと、相当大規模なものにつきましても、単独監査の事例があるということでございまして、ここら辺についてどう考えるのかということだろうと思います。

 それから、右の段の下でございますけれども、監査法人の関与社員の交替についてでございますが、現在、日本公認会計士協会監査実務指針(第12号)「監査の品質管理」におきまして、監査法人は、関与社員の交替に関する方針と手続を策定することとされておりまして、例示によれば「最長の期間は、例えば、概ね10年」ということにされているところでございます。

 なお、この問題は、「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」におきましても、基本的に同じような枠組みがあるわけでございますので、これにも関連する問題になるわけでございます。

 それから、3ページを御覧いただきますと、「監査法人制度の改善」ということでございます。

 「社会の要請に応え、監査の専門家や高度化に対応するために、監査法人制度は、どうあるべきか。」ということでございまして、検討項目といたしましては、有限責任形態の採用など監査の専門化・高度化に対応した監査法人制度のあり方ということでまとめられようかと思います。

 読ませていただきますと、「近年、公認会計士監査の専門化や高度化が急速に進展し、監査法人が大規模化せざるを得ない状況であるが、現行の監査法人制度は、合名会社や組合に準じ、社員が無限責任を負う制度となっているため、監査法人の大規模化に適合しにくい制度となっているとの意見があった。

 他方において、監査の品質向上の観点から、監査法人の社員に対する責任追及を制限するべきではなく、監査法人の有限責任化は時期尚早であるとの意見もあった。

 今後、これらの意見を踏まえつつ、株式会社や米国の有限責任パートナーシップなど有限責任の法人形態を採用することや、公認会計士以外の者が公認会計士と同等の立場で法人に参加することを可能にすることについて、検討する必要がある。」ということでございます。

 右側の欄に、監査法人制度の概要をまとめてございますけれども、現在の監査法人制度というのは、昭和41年6月に公認会計士法を改正して導入されたものでございます。

 2)のところに、監査法人の、法律に掲げられた要件を掲げておりますが、その4)でございますけれども、社員につきましては、無限連帯責任等、商法の合名会社の規定を大幅に準用するということになっておりまして、監査法人の大規模化等の状況を踏まえて、ここら辺についてどう考えていくべきかという問題があろうかと思います。それから、4ページを御覧いただきますと、「公認会計士の質及び数の充実」ということで、「公認会計士の質及び数の充実のため、試験制度や研修制度の在り方について、改善すべき点はないか。」ということでございます。

 検討項目としては、公認会計士の登録制度のあり方ということになろうかと思います。

 読ませていただきますと、『日本公認会計士協会は、平成10年4月より「継続的専門研修制度」を導入したところであり、これが成果を上げることが期待される。しかし、現在の制度では、各公認会計士の自発的参加が前提となっている等、改善すべき点も多いと考えられ、今後、研修の内容の充実や履修の義務づけ等について検討する必要がある。

 なお、公認会計士登録を数年ごとの更新制にし、履修を更新の要件とすることも考えられるのではないかとの意見があった。』ということでございます。

 公認会計士の登録制度の概要につきまして、右の方にまとめてございます。

 それから、下の方に、継続的専門研修制度の概要を掲げてございます。平成10年4月に公認会計士協会におきまして導入されておりますが、現在のところ、日本公認会計士協会の監督下における自発的参加方式という位置づけになっているところでございます。

 それから、5ページを開いていただきますと、ワーキンググループの論点整理には取り上げられておりませんが、「自民党・企業会計に関する小委員会」、規制改革委員会において指摘されている主な事項は以下のとおりということでございまして、先ほど紹介させていただいたものの中から、当小委員会の検討テーマになり得るかというものについて整理してございます。

 まず、「自民党・企業会計に関する小委員会」における指摘でございますが、1)といたしまして、公認会計士法の目的規定についてどう考えるのかということでございます。公認会計士法には弁護士法など他の士業法にあるような目的規定がない。社会的責務・目的を規定すべきではないかということでございます。

 これにつきましては、目的規定が現在のところ、特段定められていない点につきまして、いろいろ経緯や、それ相当の理由等あるところでございますが、この点についてどう考えていくかということであろうかと思います。

 右側には参考に、弁護士法における目的規定を掲げているところでございます。

 それから、公認会計士の責任・処分のあり方ということで、公認会計士の処分件数が少ない。厳正に処分する必要があるのではないかということでございます。

 これにつきまして、制度の概要を右の方に整理してございますけれども、「大蔵大臣は、公認会計士が、故意に、虚偽、錯誤又は脱漏のある財務書類を虚偽、錯誤及び脱漏のないものとして証明した場合には、1年以内の業務停止又は登録の抹消の処分ができる。」ということになっております。

 それから、「相当の注意を怠り、重大な虚偽、錯誤又は脱漏のある財務書類を虚偽、錯誤及び脱漏のないものとして証明した場合には、戒告又は1年以内の業務の停止の処分を行うことができる。」ということが公認会計士法の30条で定められてございます。

 これに加えまして、「大蔵大臣は、監査法人が次の事項に該当するときは、その監査法人に対して、戒告、1年以内の業務の全部若しくは一部の停止又は設立認可の取消しの処分を行うことができる。」ということで、法34条の21に規定されているところでございます。

 「また、」ということで、ちょっと下の方に、その「監査法人が虚偽等のある財務書類を虚偽等のないものとして証明した場合におきまして、当該証明に係る業務を執行した社員である公認会計士につきましても、戒告、1年以内の業務停止、登録の抹消という懲戒処分を行うことができる。」ということになっているところでございます。

 それから、左の方を御覧いただきますと、大蔵大臣が公認会計士法に基づきまして、公認会計士あるいは監査法人を処分いたしますと、「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」にも影響を与えるということでございます。

 第4条以降で、「次に掲げる者は、会計監査人となることができない。」という条文がございます。

 その3)号でございますけれども、業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者と、それから、4)号で、監査法人でその社員のうちに前号に掲げる者があるもの又はその社員の半数以上が第2号に掲げる者であるものということでございまして、公認会計士法に基づきまして、業務停止に係る処分を行いますと、いわゆる商法特例法による監査ということにつきまして、業務の停止の処分を受けた時点で、会計監査人の資格を失うというようなことになるわけでございまして、この点についても、どのように考えていくかという問題があるのではないかと考えております。

 それから、6ページを御覧いただきますと、3)監査報告書の署名のあり方ということでございまして、我が国では、監査法人が会計監査人の場合でも、署名・押印は公認会計士個人が行っている。米国のように法人名の署名のみにして法人の責任を明確化すべきではないかということでございます。

 監査報告書の署名につきましては、法34条の12でその規定が設けられているところでございます。

 それから、規制改革委員会における指摘で、当小委員会の検討の対象になり得ると思われる点につきまして御紹介いたしますと、1)で強制入会制度のあり方ということがございます。

 読み上げは省略させていただきますけれども、右側の方に入会制度につきまして、 その規定を挙げているところでございます。

 それから、2)でございますが、報酬規定のあり方ということの見直しについての指摘がございます。

 報酬規定でございますけれども、法44条で、「協会は、会則を定め、これに次に掲げる事項を記載しなければならない。」とされておりまして、1項10号で「会員の受ける報酬に関する標準を示す規定」という規定があるわけでございます。

 それから、3)でございますが、広告規制のあり方の見直しということがございます。現在、公認会計士法には、広告事項の制限といたしまして、法28条で、「公認会計士又は会計士補は、公認会計士又は会計士補の称号及び専門とする業務を除くほか、その技能又は経歴に関する広告をしてはならない。」とされております。

 また、法34条の13で、「監査法人は、その名称、事務所の所在地、社員の氏名その他大蔵省令で定める事項以外の事項を広告してはならない。」と規定されているところでございます。これらについてもどう考えるかということであろうかと思います。以上、私の方から御説明させていただきました。

○三原小委員長 ありがとうございました。

 ただいま事務局から当監査制度小委員会の審議事項になりそうな項目につきましての説明並びに自民党及び行政改革本部における検討状況について説明をしていただいたわけでございますが、これを受けて、当小委員会における審議項目をどうするかということを御相談するわけでございますけれども、まずその前に、ただいまの事務局の説明事項について、何か御質問等ございましたら、どうぞお願いしたいと思います。

 一つ私からお伺いしますけど、行政改革推進本部の検討事項については、この後、段取りといいますか、この後の処理というのはどんなふうになっているのか、御存知のところで教えていただきたいと思います。

○大藤大臣官房参事官 今後のスケジュールというか、見通しでございますか。

○三原小委員長 はい。

○大藤大臣官房参事官 現在、行政改革本部、規制改革委員会の事務局等で検討を進められているところでございまして、一応来年の3月に必要事項につきまして閣議決定したいということで検討が進められているというように聞いております。

○三原小委員長 ほかにどなたかいらっしゃいませんか。

○伊藤委員 今、御説明がいろいろあったんですけれども、この自民党の監査制度に関係する主な論点というのと、この監査制度小委員会の検討項目という形で案が出ていますが、これは一応整合性はとれていると考えていいんですか。それが1点目。

 つまり一応は自民党に対する回答は、この我々の委員会の中でいろいろ論点が出ているものについては触れていこうということなのか、それが1点目ですね。

 それから、もう一つは、私どもの経験というか、現在置かれている状況なんですけれども、IASCの改組の話も出ていますけれども、国際会計基準委員会そのものが改組されて、新しい動きをしていこうとしておりますけれども、つまり我々の今の実態から言いますと、日本の各企業というのは、ある意味においては国際的な産業界というのは技術力と競争力もあって、大変まじめにディスクローズもしていると思います。

 それから、企業会計審議会の動きとして、2001年から新しい国際会計基準に従ってやろうという動きの中で、先生がおられて大変言いにくいことでもありますが、レジェンドの問題が起こってきて、私どもの会社も大手の監査法人からいろいろ注文をつけられて、結局はそれを飲まざるを得なかったという状況もございまして、そういう状況下の中で、つまりこういう監査制度をやれば、そういう問題は十分クリアできるような方向としてあるのか、いや、それはもうこういう監査制度をやっても、やはりそれは会計基準の問題も関連してだめなのかとか、そういう方向はどういうふうに論点整理として考えようとしているのか、その2点です。

○大藤大臣官房参事官 まずレジェンド問題の関連でございますが、恐らくレンジェンド問題というのは、必ずしもこれこれこういうことだから、レジェンドをつけているということについて公式な説明があるわけでございませんので、なかなか難しいわけでございますが、やはりその背景というのはいろいろな要素が複合的に関連しているのではないかと思います。ということで、まず、いろいろな点からアプローチして、早急に解決していく必要があろうかと思います。

 まず一つは、会計基準の一層の整備ということでございまして、これにつきましては、既に企業会計審議会の方で取り組みを始めているところでございます。 それから、監査基準のいわゆる国際的な水準等も踏まえた整備ということで、これにつきましては、既にやはり企業会計審議会の第二部会の方で取り組みを始めているところです。

 それと一体のものとして、見直しを行うべきものとして、やはりいわゆる監査制度について見直しを行う必要があるということであれば、積極的に見直しを行っていくということではないかと思っておりまして、これらにつきましては、どれかで足りるということでは恐らくないだろうと思います。いずれの部分につきましても、連携をとりながら、できる限り早く、早急に積極的な見直しを行っていくべきではないかというように考えるのではないかと思っております。

 それから、「自民党の企業会計小委員会」の議論との関係ということでございますが、先ほどお話ししましたように、資料の1-4の2ページで「監査制度に関係する主な論点」ということで掲げておりますが、監査制度のあり方自体を真っ正面のテーマとして、小委員会の場で議論が行われたということがまだあまりございませんので、ある意味で言うと、いろいろな議論の過程で監査制度に関連する指摘があったというのが正確なところだろうと思います。

 ですから、ここに掲げられております点も、必ずしもいわゆる自民党の小委員会として体系的に提示したという性格のものではないということでございます。

○伊藤委員 いや、どうもよく分かりました。

○大藤大臣官房参事官 ただ、先ほど資料1-3でお示しした三つの点がございますが、ここにつきましては、やはり重要な論点となり得べきテーマではないかというように事務局としては考えている点でございます。

 ただ、これ以外と申しましょうか、追加的に自民党の方からさらに論点等が指摘されるということも今後十分あり得るということだろうと思います。

 以上でございます。

○伊藤委員 どうもありがとうございました。

○三原小委員長 ほかの審議会等との検討事項との整合性の問題につきましては、ただいま大藤参事官から説明があったとおりだと思いますので、それでよろしゅうございましょうか。

○伊藤委員 はい、どうもありがとうございました。

○三原小委員長 それでは、奥山委員、どうぞ。

○奥山委員 若干今の件について補足なんですけれども、私ども公認会計士協会として、やはり「企業会計に関する小委員会」、いわゆる自民党の小委員会ですが、「監査問題についてはまた改めて意見を聞くからまとめておいてくれ」と、こういうふうに言われた経緯がありまして、先ほど大藤参事官のお話だと、1月以降ということになりそうなんですけれども、多分そこでまた求められる機会があろうかと思います。そういう意味では、はっきりと別の機会でということを言われておりますので、また論点が幾つかこれにプラスされるのかなと、そのように思っております。

○三原小委員長 山浦委員、どうぞ。

○山浦小委員長代理 直接この委員会で検討することではなさそうですが、試験制度について、教育の現場にいる者として関心を持っています。行革推進本部、あるいは自民党の委員会で出された話題ということらしいのですが、両方ともかなり大きなウェイトを占めた話題となっておりまして、これについて現在、試験制度に関する小グループを設けるということです。進行状況、あるいはこれからの目処について、現時点で分かる範囲で結構ですけれども、お知らせいただければと思います。

○大藤大臣官房参事官 試験制度に関する検討小グループにつきましては、委員の方にこういうことでお願いしたいということがほぼ固まりまして、これから各委員の候補者の方にお願いに上がるという状況でございまして、恐らく年内にメンバーが固まるということになろうかと思っております。ですから、小グループとしての活動は年明けからということになろうかと思っております。

○三原小委員長 ほかによろしいでしょうか。

 また質問等が後でございましたら、遠慮なくおっしゃっていただきたいと思います。それでは、一応ただいまの説明を受けまして、当小委員会の審議項目をどのようにするかということでございます。

 今、資料の1-3で、一応当小委員会の審議項目になりそうな項目を挙げていただいたわけでございますけれども、御覧のとおりワーキンググループの論点整理において、検討すべき項目として挙げたものと、それから、自民党及び行政改革本部において検討している項目とがあるわけでございます。このうち、最小限、当然のことなら、ワーキンググループの論点を受けた項目については当小委員会の審議事項になるということにはなりますが、プラスここに挙げたものを全部当小委員会の審議事項とするかどうかという点については、多少悩ましい点もなきにしもあらずでございます。もともとこのワーキンググループというのは監査制度の充実強化という観点から始まったわけでありまして、審議事項もそれを受けた項目になっておりますけれども、例えば規制緩和の見地からの検討項目というのもこの中に挙がっているわけでございまして、そういう項目も一緒に入れて検討するのかどうか。

 遅かれ早かれ、公認会計士審査会の審議事項になるという意味では、こちらで粗ごなしをしておく必要があると、そういう観点もあろうかと思いますので、その辺がちょっといろいろと悩んでいるところでございまして、何分の委員の皆様の御意見をお聞かせいただければと思います。

 ワーキンググループの論点整理における審議事項は、これはもう当然の前提にしておきまして、そのほかにぜひこれだけは入れたいというようなものがあれば、そういう御意見でも結構でございますし、これはここでやらなくてもいいのではないかというものがあれば、そういう御意見もお聞かせいただきたいと思います。

 奥山委員、どうぞ。

○奥山委員 ここの6ページですけれども、監査報告の署名の問題ですね。これは私ども、先ほどのレジェンド問題もお話しされましたけれども、大きな違いの一つで、やはり法人としてしっかりした責任をとるという意味では、現在の制度でいいのかどうか、ここはやはりぜひ御検討をいただきたい。

 それから、改正してくれという趣旨で申し上げるんじゃないんですけれども、5ページの商法特例法と公認会計士法の処分の関係ですね。公認会計士の立場からすると、あえて余りこういうことを言うのはどうかと思うんですけれども、ただ、現行の法規で非常に矛盾があると思いますのは、社員が多分関与社員だと思いますけれども、業務停止を受けた場合に商法特例法では監査法人全体が会計監査人として不適格となり、監査できなくなるんではなかろうかという点です。つまりある会社の問題について適用されるときに、法人全体に及んでしまうということが、この特例法4条でなかろうかと思われます。解釈があるいは間違っているのかもしれませんけれども、もしそうだとすれば、そういうことでいいのかどうかということについて、見直すなら見直したらいかがだろうかと。

○三原小委員長 泰田検事、すみません。今の解釈の問題、何かお分かりでしたら、お答え願えませんか。

○泰田法務省民事局付検事 この場で即座にお答えはできないんですけれども、その点についてもこちらの方で検討させていただきます。

○三原小委員長 この条文を見ますと、ちょっと私もよく分からないんですが、社員の半数以上が第2号に掲げる者であるものというふうに書いてございますね。

○奥山委員 それは前なんですね。前号に掲げる者があるものとございますね。

○三原小委員長 はいはい。

○奥山委員 4)で。

○三原小委員長 ええ。

○奥山委員 これは1人でもという意味なんだと思うんですね。

○大藤大臣官房参事官 法務省の方から公式的な御回答は今後あろうかと思いますが、私どもの理解といたしましては、例えば、右にございます公認会計士法を見ますと、懲戒処分ということで社員が業務停止の処分を受けたということになりますと、そういう社員が1名でもいると、その監査法人として、いわゆる商法特例法の会計監査人となることができないということになると理解しております。

○三原小委員長 そういう解釈だとすると、これはちょっと酷に過ぎるのではないかと、その点も含めて検討してもらいたいと、こういう御希望といいますか、御意見でございますね。分かりました。

○伊藤委員 すみません。私、実務を担当いたしておりまして、今回、それ以外にも奥山さんと御一緒なんですけど、ピアレビューという日本公認会計士協会の審議会があって、そこの審議委員をさせていただいているんですが、そのときもちょっと申し上げたんですけど、この自民党の金融問題調査会の中で、監査法人のローテーションというのがありますね。それで、今の日本の公認会計士さんと私どものような産業界の会社との場合には、もちろん1社の大企業の場合ですが、大法人があって、そして、そこにお願いをしている。そこはアメリカのビッグ・ファイブと提携があって、それぞれやっておられる。

 我々としてみれば、どう言ったらいいんですか、一つの公認会計士さんの事務所に、これはホームドクターみたいなもので、全てお願いをするんだけれども、やはりもう1社とか何かそういうところが見るとか、そういうふうにチェックシステムが働けば、その1法人の中での監査の質をいかに上げるかとか、チェック機能が働くかということを今いろいろ議論されているんだけれども、それを少なくとも2社で見るとか、その場合の1社は協会がどこかを自動的に出すとかいうような弾力的なことができないのかなと、そういうのはここでの議論にはならないのかどうか。大変個人的な言い方で恐縮なんですけど、かねてからそういう疑問を私なんかは持っていますし、それ以外の何人かの財界の方々の意見をよく耳にするものですから、そういうのはこの場としては議論の対象にならないと考えるべきなのかどうか。大変思いつきなので、今日ざっくばらんに最初でございますので言わせていただいたんでございますが、そのあたりはいかがなものですかね。

○三原小委員長 適当に担当の監査法人が代わるべきだというような意見はこの中にも入っているんですが……。

○伊藤委員 やっぱり適当に代わるというか、基本的にメインで見てもらう人はきちっと見てもらわないと、企業もゴーイング・コンサーンで考えているわけですね。これはもちろんゴーイング・コンサーン基準というのはいろいろあるけれども、日本の経営というのは、長期で物を判断するわけですね。従って、やはりそういうように絶えずずっと見るということは重要だと。それを、しかしながら、馴れ合いとかそういう意味じゃなくて、事故を起こさないようにするためには、もう1社がこれは順次代わって入るというようなことを考えていいんじゃないかというような議論は、一度整理しておく必要があるのではなかろうかというようには思います。

○三原小委員長 それは、参事官、今後、どこかに入らないですか。今までになかった議論だったんでしょうかね。

○伊藤委員 今までそういう議論はなかったんでしょうかね。自民党の方にはローテーションとなっていますから、いいのかどうかと思いますがね。

○大藤大臣官房参事官 二つの系統と関連するのではないかと思います。一つは、この資料の1-3の2ページの「単独・同一監査人の継続的監査に係る問題」ということの流れで、そういうことが考えられないかということでございましょうし、もう一つは、いわゆる審査体制のあり方ということで、当然監査法人の内部で、内部チェックということで内部審査体制どうあるべきかということがあるわけですが、それをさらに一歩進めて、いわゆるもう一つのほかの監査法人に関与してもらうというようなことが考えられないのかという、そういう意味で二つの流れからそのような、今、伊藤委員が御指摘になったような問題が出てくるのではないかというように考えます。○伊藤委員 ですから、先ほど奥山さんがおっしゃった6ページの監査報告書の署名にも関連するんですが、つまりの今のところ代表社員の公認会計士さんが署名しているわけですね。従って、それを例えば、米国の法人名の署名に切り替えてしまうということになってくると、私はやっぱりどういうのかな、その一つだけでいいのかどうかという疑問も出てくるわけですね。

 例えば、公認会計士の代表社員が非常にきちっと内容を見て、自分が責任をとるよということが明確性がある。しかし、法人という形は、もちろん法人としての責任はあるんだけれども、逆に言えば、法人内部の監査がきちっと行われてないと大変曖昧になるという点もあるんです。これは両方あるわけですな。ですから、この見方にもよるんですけどね、という感じがちょっとしたものですから。

○三原小委員長 伊藤委員の問題意識は分かりました。

 どうやら、これからの当小委員会の検討項目の中に、今のことも議論する場がありそうな感じがいたしますので、ひとつまたその場で御議論をいただければと思います。

 白石委員、どうぞ。

○白石委員 今の件とも関係しますが、基本は監査の品質向上というところに全て集約されるんだろうと、こういうふうに思います。従いまして、議論の主題としまして、自民党からの項目のピックアップにつきましては、先ほど御報告ありましたように、いずれはそういう確認の場があるということになれば、当然議論しておくべきだと思いますし、それから、規制改革委員会からの項目につきましても、先ほど小委員長がおっしゃいましたように、粗削りの議論というのは、折角挙がっているという意味では必要なのではないかと思います。

 それと、会計基準の国際的調和に並行して、監査基準の国際的調和ということで恐らく議論が進むんだろうというように思います。先ほどの監査報告書の署名につきましても、ほかの項目も議論していく過程で、ぜひ国際的な実態といいますか、状況も加えていただければありがたいと思っております。

 以上です。

○三原小委員長 よろしゅうございましょうか。

 どうもありがとうございました。

 時間の都合もありますので、この辺でちょっとまとめて、次の議題に移りたいと思いますが、基本的にはワーキンググループで挙げられました審議項目、すなわち業務範囲のあり方、監査法人制度のあり方、公認会計士の登録・更新制度のあり方、これを審議することになりますが、このほかにも、今の自民党の議論あるいは規制改革委員会の審議状況、こういうことを勘案いたしまして、当小委員会の審議になじむ項目を追加していくという方向で考えたいと思います。

 今ここで審議項目を限定するということまではなかなかできないわけでございますが、ただいまいただきました御意見などを踏まえまして、また事務局の方と整理させていただきまして、次回以降の審議に反映させていただきたいと思います。

 それから、今後、公認会計士協会の検討事項のフォローアップや「自民党の企業会計に関する小委員会」の審議等に関連した項目など追加的にこれ以外にも当小委員会で審議していただく可能性がございます。その場合には、皆様にお諮りした上で、必要に応じて審議項目として追加させていただくというようなことでやってまいりたいと思いますが、それでよろしゅうございましょうか。

〔「異議なし」との声あり〕

○三原小委員長 ありがとうございました。では、そのような進め方をさせていただきたいと思います。

 それでは、続きまして、ワーキンググループの論点項目のうち、日本公認会計士協会が担当する個別検討事項について、現在の日本公認会計士協会の取り組みの状況について御説明いただきたいと思います。先ほどの事務局の御説明にもございましたが、日本公認会計士協会が検討を行うこととされている項目につきましても、公認会計士審査会においてフォローアップを行う必要のあるものがあるからでございます。

 それでは、日本公認会計士協会の副会長でもいらっしゃいます奥山委員から御説明をお願いいたします。

○奥山委員 それでは、少々お時間をいただきまして御説明申し上げます。

 今回のワーキンググループの論点の対応の前に、実は2年半ほど前に、やはり公認会計士審査会で「会計士監査の充実に向けての提言」というものがございました。今回のワーキンググループの対応と若干重なるところもなきにしもあらずですので、簡単にその提言の対応状況を申し上げまして、その後、今回の対応について申し上げたいと思います。

 お手元の資料の2-1を御覧いただきたいと思いますが、これは左側のいわゆる10の提言と言われていますけれども、その10項目に関して、協会としてどのような対応をしてきたかということですが、今までやってきたことはちょっと省略させていただきますが、最近、これに付加して行っていることを申し上げたいと思います。

 まず、1)の「高度化する監査上のニーズに対する積極的対応」ということで、そこの対応状況の下から2行目でございますけれども、現在、報告書第3号「経営者による確認書」ということを見直しをしている最中でございまして、不正とか、あるいは違法行為、このようなものに係る事項を確認書にどのような形で含めたらいいんだろうかということを今検討しておりまして、最近の経営者型不正、あるいは経営者といいますか、役員等を含めました、そういうトップ層の重要な違法行為というようなことに関しての内容を入れたらどうかということで検討しております。

 それから、3)番目の「監査を義務づけられていない企業の内部統制整備等への貢献」でございますが、いわゆるベンチャー企業の支援の問題で、そこの4行目に記載してございますが、今年の7月にその研究報告第8号といたしまして「ベンチャー企業及び中小企業の育成に際しての課題とその解決策について」ということで、実際にどのようなことをやったらいいかという、そういうスキルの問題を含めたものを公表してございます。

 それから、中小企業等投資事業有限責任組合というものができましたけれども、これについての監査のあり方についても公表をいたしております。

 本格的監査に入る前の前段階での保証の仕方もあるのではないかということでアシュアランスサービスとして、幅広く、監査証明業務なり、あるいは保証業務なりの研究を今行っております。

 それから、企業の内部統制整備への貢献という意味では、環境会計、環境監査、こういうことについても現在いろいろ検討を進めて公表しております。

 それから、4)の監査の品質管理基準で、ここでは下から2行目、品質管理レビューを開始し、平成11年9月までに63監査事務所をレビューしたということを御報告したいと思います。

 お手元の資料の2-3を御覧いただきたいんですけれども、これは私どもが提言を受けて、いろいろと検討してきた経緯でございますけれども、今春の4月から本格化いたしまして、本日、御出席の伊藤副社長にも審議会の委員に御就任いただきまして、品質管理審議会という外部の方から構成される会を作りまして、いろいろアドバイス、あるいはチェックを受けております。来年の1年間を入れて約2年で、ほとんどの事務所のレビューをカバーできる。最終的には小さい事務所まで含めると3年間で一回りということを考えておりますけれども、そういう意味で実際に開始しているということでございます。

 それから、3ページを御覧いただきたいんですが、この3ページの右の一番上の対応状況等の下から4行目ですけれども、いわゆる銀行監査の問題ですが、金融監督庁ができまして、金融監督庁が金融検査マニュアルというものを作成いたしましたけれども、その中で引当の問題が入っております。これは私どもとしても、銀行に関する検査が私どもの監査と食い違うことがあっては困るということで、銀行等監査特別委員会報告第4号というものを見直しいたしまして、この平成11年4月に改訂をいたしました。従って、現段階では早期是正措置導入のための金融監督庁の検査の内容と、私どもの監査と少なくとも引当金等の見方について異なるところはないというように理解をしております。

 そしてまた、今の検査体制というのは、私どもの監査の後追いということで、十分な連携あるいは協議を行うということが必要でございまして、今、金融監督庁と具体的にどのようにその協議をして、意見交換をしていくのかということについて、ルール作り、ガイドラインを作ろうかということで、現在、意見交換を行っている最中でございます。

 これが最近、金融監査、金融機関の監査について会計士がいろいろ問題になっておりますけれども、このような状況で現在やっております。

 それから、4ページで監査問題、右側の一番上でございますけれども、監査問題特別調査会というものを設置しまして、これが具体的に今年の活動結果として、その報告書を公表いたしました。この公表した内容は、いわゆるゼネコンにおける監査問題なんですけれども、これが具体的には来年3月期に向けての、私どもとして、さらなる監査人に対し干渉していくという内容を含んでおる非常に重要なものだと思っております。これはいわば個別監査事案の適正性を検討するという問題をここまで広げてきたということで、前の提言を受けた結果として、こういうことが出てきたのだろうと私どもは思っております。

 それから、9)のいわゆるCPE、継続的専門研修制度ですけれども、これは平成10年度から実施いたしまして、今年度は第2年度目になっております。平成10年度の参加率は約70%でございました。本年度の上半期については現在集計中でございます。それから、10)の会計士界の活動に対する開かれた議論の推進ということで、これはホームページとか、そういうことについてはもう既に幅広く行っておりますけれども、先ほど申し上げた品質管理レビュー制度、これは大変重要な位置づけを私どもとしてもしておりますけれども、その中に品質管理審議会を設置して、いわば目を通さなければいかぬということで、モニタリング機能を発揮してもらおうということを思っております。

 それから、今年度からいろいろな問題について、協会が委員会報告を出すときに、特に重要なものについては、必ず公開草案を出そうということで、大変スケジュール的には忙しい中で、公開草案を出して、多くの方から意見をいただくよう努力をしております。

 これらが前回の10の提言に関して、私どもが進めてきたことです。

 なお、恐縮ですけれども、監査問題特別調査報告書というのはどういうものだということは、お手元の資料の2-4に参考としてお出ししてありますので、ここではその内容を説明する時間はございませんけれども、いわゆるゼネコンの幾つかが倒産した問題が起きたもので、それを糧として調べていくと、このような形でレポートにまとまったという一つの事例として、後で御覧いただきたいと思います。

 それから、今回の主要論点に係る検討項目ですけれども、お手元の資料の2-2を御覧いただきたいと思います。

 10月の公認会計士協会の常務理事会にかけまして、このような形で早急に検討していくということで理解を得ております。

 まず1.の「開示及び監査の内容の充実」で、2)のいわゆるゴーイング・コンサーンの問題ですけれども、これについては、企業会計審議会でやろうということですけれども、私どもとしては、これに対して、今までいろいろと準備をしてきておりますので、意見をしっかり言わせていただこうということで、そういう意味での貢献をしていこうというふうに思っております。

 それから、2ページの「2.監査の体制及び手続の充実」ですけれども、1)の「監査の体制や手続に関して、」云々については、これは監査基準委員会というものがございまして、ここで企業会計審議会の検討状況と合わせて実務指針を公表していくべくスタンバイをしております。

 それから、2)の監査の実務指針の整備、これは監査基準委員会で、やはり全体の状況を睨みながら検討を進めていくということで、これもスタンバイをしております。

 それから、3)の監査の人数や日数など、監査の規模を拡充することが必要ではないか。これは実は非常に重要な問題で、かといって、これは基準ということになじむ問題かどうかということになりますと、必ずしもなじまない。むしろ監査実務の問題もかなり大きいのではないかということで、これはGプロジェクトという略称を付していますけれども、実はレジェンド問題を含めて、日米の監査のあらゆる部分を比較してみようということで、基準もそうでありますけれども、実務の比較も今しようとして努力をしております。実際に同じ程度の規模の会社において、アメリカではどの程度の日数、どの程度の報酬になるのかと、日本ではどうかということを各監査法人に今アンケートをかけております。具体的にその違いが分かれば、それは何が違うのかということで、この辺は具体的に詰めていこうということで、来年の6月までに一応の結論を出そうということでやっております。

 それから、2)の監査役との連携ですけど、これは先ほどの以前の提言にもありましたけれども、若干私どもそのスタンスを変えまして、私どもの方から監査役さんにお願いすることは何かということをもうちょっと考えようではないかということで、これも今検討して、来年6月までに一応の結論が出るようにしたいというように思っております。

 それから、3)の監査に際して、他の分野の専門家の積極的な活用ということについて、これは基準としては実はできておりますし、また、それを品質管理レビューでチェックすることにしておりますけれども、これは具体的には、今その内容を詰めて、とりあえずの中間報告を出そうとしております。

 それから、4)の監査法人の審理体制の強化。これも品質管理レビューでがっちりとその対象に入っておりますので、その実態について中間報告を12月ままでに出そうということでやっております。

 それから、一定の期間で交替ということについても、これも品質管理の中に入っております。従って、これもレビューをやることによって、その実態を見て、また促すことができるというふうに思っております。

 それから、経営者レベルでの不正の摘発のための方法の整備。これは監査基準委員会で経営者の不正に対するアプローチを見直そうとしております。これは実はIAS(国際監査基準)の方でも見直す予定が入っておりまして、やはりこれは世界的にこういうふうな問題が大きな問題だというように捉えられているようですので、私どもとしてもそれとタイミングを合わせながら内容を詰めていきたいと思っております。それから、3ページになりますが、「監査報告書について、企業の実態をよりよく反映するよう、」云々につきましては、これは企業会計審議会でも取り上げていただけるようですので、監査基準委員会で私どもの提案といいますか、要望を申し上げていこうというふうに考えております。

 それから、「監査の品質管理」に対する実務指針等の策定ですけれども、これは今、品質管理レビューの方で実際に当たっておりまして、これについても中間報告の形ですけれども、12月までに出していこうとやっております。

 それから、公認会計士の監査業務だけではなく、いわゆる経営助言とか、コンサルティングサービス、そういうことについて、これは私どもも公認会計士制度改革プロジェクトチームというのを設置しておりまして、ここでは公認会計士法全般について検討していこうということで、今議論を進めておりまして、この中でこのことを準備していこうというふうに思っております。

 それから、7)の単独監査の問題ですけれども、これは既に公開草案を公表しておりますけれども、職業倫理プロジェクトというところで、職業倫理の大改訂の草案を出してございますけれども、この中で単独監査はまずいということで、既にその中に対策が盛り込まれております。

 それから、審査の問題について、やはり単独監査ですと、なかなか審査ができないということから、品質管理レビューにおいてその問題点が指摘されておりますので、なおそれを解決すべく新たな方策を今検討中でございます。

 それから、4ページの監査法人制度の改善で、これは審査会でおやりになることだと思いますけれども、一応協会の方でも先ほど申し上げたプロジェクトチームで検討しておりますので、意見を提出できるように準備をしたいと思っております。

 それから、「4.社会に対する説明」でございますけれども、これは前のワーキンググループで非常に悩ましいところだということを申し上げましたが、これは公認会計士制度委員会あるいは綱紀担当委員会、綱紀担当常務理事、そういうところで具体的にどのような開示が出せるだろうかということを今見直しをしていただいておりまして、これも12月末で出そうと思っております。

 今日、大変恐縮ですけれども、お手元に「規律関係事例集」という小冊子置いてございます。これは実は公認会計士限り、秘密遵守を持つ公認会計士にだけ、いわば会員ですね、会員だけに出しているものでございまして、これは平成6年までなんですけれども、今までにいわゆる会計士の監査の問題が起きたことの内容について、事例集として記載をしてございます。

 会員については、少し事後的ではありますけれども、このような形で事例を示しております。この辺が具体的に、よりスピーディに、より幅広くできるかどうかということで現在検討している最中でございます。

 それから、5ページの「公認会計士の質及び数の充実」ですけれども、このCPEの問題ですね。これは現実にCPE制度協議会で、現在、義務づけの方向で検討を始めております。義務づけ、これはあくまでも法ではなくて、公認会計士協会の会則の中で位置づけしていこうと。いろいろと問題点がありますので、それを今、協議事項として具体的に詰めている最中でございます。これは来年の春には具体的な内容を明示することで公表できるのではないかと思っております。

 それから、最後になりますけれども、6ページの「日本公認会計士協会の役割」ということで、私どもとしては、会員が監査をしっかりやっているかどうかというために三つの今制度がございます。

 それは一つは、先ほど申し上げた品質管理レビューで、これは監査の質がしっかりしているかどうかということを協会でチェックするという制度でございます。

 それから、綱紀委員会というのがありまして、監査事件が起きて、しっかりした監査をやっていないんじゃないかという事案が出たときに、具体的にその監査人をどのように協会の規則の中で処分するかという問題を扱っております。

 それから、現在、監査をちゃんとやっているかどうかということについて、具体的に問題が起きる前に指導するという役割として監査業務審査会というものがございます。従って、順序的に、問題があれば監査業務審査会で指導し、具体的な監査の品質を品質管理レビュー制度でチェックし、粉飾問題が起きたら綱紀委員会で処分すると、こういうような三つの協会の具体的な組織を持って、監査の質の問題について当たっている状況でありまして、これをなお具体的にさらにレベルアップするということを今議論をしていると、こういう最中でございます。

 以上、ちょっとはしょりましたけれども、報告を申し上げます。

○三原小委員長 どうもありがとうございました。

 ただいまの奥山委員の説明に対しまして、何かご質問はありましょうか、ありましたらどうぞ。

 宮島委員、どうぞ。

○宮島委員 内容の問題じゃなくして、公認会計士協会で「品質管理」という言葉を使うことに対して何か、それは当たり前のことにように多分使われているんだと思うんですが、法律家である僕らから言わせると、先ほどの自民党の目的規定の話ではないですけれど、弁護士法みたいなことからすると、職業専門家としての監査、あるいは大蔵省関係での法律に基づいて監査するという立場からすると、何か「品質」という言葉がちょっと違和感が僕なんかあるし、この公認会計士法の今の2条で、「他人の求めに応じ報酬を得て」という書き方だけなものですから、そうすると、職業倫理みたいのをもうちょっと強く出すと、品質管理ももうちょっと違う言葉になるかなと、そんな印象を持つものですから。

○三原小委員長 奥山委員、どうぞ。

○奥山委員 確かにこれはいわばJISとか、いわゆるいろいろな世界的な品質管理の、品物のことみたいなことを言われかねないんですけれども、クォリティコントロールという英語で言われておりまして、これは向こうの監査基準等でかなり幅広く使われている言葉なんですね。それを日本でどう訳すのかということで多分品質管理になったんじゃないかと思うんですが、これは山浦先生の方がお詳しいかもしれません。けれども、私どもとしては、そういう意味で、もう慣れているというんですかね、他から見るとちょっとおかしいのかもしれませんけれども、一応用語になっていると思うんですけれども。

○三原小委員長 山浦委員、どうぞ。

○山浦小委員長代理 今の宮島先生の御質問ですけれども、監査というのも一つサービス、そして商品であると理解します。その商品に対して職業人としての品質を保証するという、そういう発想からクォリティコントロールというのが、いわばスタンダードとして世界各国で共通化されていますので、恐らく品質管理という概念は、監査の業界では大体通り相場の概念だと思っております。

○三原小委員長 私も実は専門家じゃないものですから、最初は随分違和感を持ちました。「品」という言葉が余計なんじゃないかなと。質の管理ならぴんとくるんですけどね。でも、だんだん聞いているうちに、余り気にならなくなりました。しばらく我慢していただきたいと思います。

○山浦小委員長代理 よろしいですか。

○三原小委員長 山浦委員、どうぞ。

○山浦小委員長代理 時間も迫ったところで、こういうお話、失礼ですけれど   も、今年の3月期の金融機関の監査で幾つか、特に金融監督庁との関連で問題が起きてきましたね。

 一つは、監査人の方で監査報告書を出した後に金融監督庁の査定結果が出て、それを受けて、監査人自身が大幅に手直しせざるを得ないと、そういった事例が出ているんですけれども、先ほど奥山委員の方でお話しになった連携というのは、金融監督庁の検査の進行と監査の進行を合わせるということですか、それとも基準を一緒にするということでしょうか。

○奥山委員 両方ございます。まず何がどれだけ引当なきゃいけないかという、そういう問題については、ルールは一緒だということになりました。

 それから、そのスケジュールの問題で、どうしても検査は監査の後追いになるということで、監査が終了して、その間に決算が入って、その後に検査がきますと、監査が間違っているんじゃないかという指摘をされかねないわけですね。そこで、やはり協議をして、意見が食い違うところは何が違うのか、お互いの了承を十分しなきゃいけないんじゃないか、そういう意味での協議事項ということを今丹念にやろう。今年の3月決算では、まだそこはマニュアルが不十分だったものですから、そういう状況があったと思います。

○山浦小委員長代理 もう一つ、我々監査論の研究者という立場から、海外の監査実務の動向等を調べていますと、最近の、例えばビジネスリスク・アプローチ等は、いわゆるリスク・アプローチをもう少し進めたような監査のアプローチの仕方等も幾つかの監査法人でマニュアル化されています。実は、我が国は監査概要書という制度があります。この監査概要書の制度について、監査人の現場にいる方は、どのような御理解をお持ちなんでしょうか。

 と申しますのは、記載されている中身が、そういった監査技術の進歩にいわば対応できているかどうかということなんですね。むしろ監査概要書の中身がいわばそういった監査技術面での進歩を妨げるおそれがないかという、その点について監査人のお立場で御意見をお伺いしたいんですけれども。

○奥山委員 大蔵省に提出する監査概要書のことですね。

○山浦小委員長代理 そうです。

○奥山委員 私どもとしては、監査の結果として、いろいろ議論をした中で、特に重要なことについて報告すべきことを記載していると、こんな観点だと思うんですね。ですから、監査の技術向上にはそれがマイナスだとか、そういうことではないというふうに思いますけれども。

○山浦小委員長代理 そうですか。

○三原小委員長 まだ御質問あるかもしれませんが、ちょっと時間が窮屈になりましたので、この辺で奥山委員の質問は終わらせていただきたいと思います。

 いろいろ協会の方でも、先の10の提言を含めまして、公認会計士審査会の議論を真剣に受け止めて、改革に努力していただいている様子がよく分かりました。ありがとうございました。

 それで、次の議題なんですが、今後の当小委員会の審議の進め方についてお諮りをしたいと思います。

 まず、どういう審議のやり方をするかということと、もう一つは審議の順位でございますね、この辺をどうするかという問題でございます。

 ワーキンググループのやり方なんですが、ワーキンググループのときには、各項目の現行制度の詳細及び諸外国の状況等につきまして事務局の説明、それから、参考人の方をお呼びして意見をお聞きする。その後で、参考人の方の意見なども踏まえて討議を行い、最後にワーキンググループとして意見をまとめることとしたわけですが、当小委員会といたしましても、ワーキンググループと同じやり方で検討結果をとりまとめるということも一つのやり方だと思います。

 それから、項目の審議順序等につきましては、優先順位をつけて、一つ一つ審議していくというやり方もございますし、それから、それぞれの項目を同時進行的に審議していくという方法も考えられます。その辺につきまして、ちょっと皆様の御意見を伺いたいと思います。

 初めに、審議の進め方、審議の仕方といいますか、これについては、ワーキンググループでやったようなやり方、初めに事務局、あるいは参考人の方のお話を聞きまして、それを踏まえて討議をするというやり方でいかがでしょうか。

 伊藤委員。

○伊藤委員 それで結構なんですけど、要するに大ざっぱなスケジュールと、何といいますか、ここに一応の検討項目と資料の1-3に出ていますね。ですから、これも若干変わっていくのかもしれませんけれども、例えば全体のスケジュールがこうで、その順序立てはどういうふうにやっていくのかとか、最初にちょっと、次回ぐらいでも結構ですが、大きな大まかな全体のスケジュールと計画を出していただいて、それから、ちょっと先ほどからずっと気になったんだけれども、やはり我々の考えている監査問題というのは、もちろんこれは我が国の問題なんだけれども、国際的な今の大きな流れの中において、基本的にやっぱりもう少し、絶えず変化しているんですから、今IASCなんかも変わろうとしているし、そういうような流れの中でやっぱり修正していく余地もあるわけですね。だから、弾力的に考えていかなきゃいけない。その時その時の問題も変わってきていますので。

 だから、それはやはりそういう外部の人も入れたり、全体のスケジュールを少し変えたりするということがあろうかと思いますが、やはり最初に何かそういうスケジュールと大きな枠組みを決めておく必要があるんじゃないかと思うんです。

○三原小委員長 御意見は分かりました。次の会合までに大ざっぱなスケジュールをできるだけ固めて、またお諮りしたいと思っております。

 一応それぞれの回における審議の進め方は、今のようなやり方でよろしゅうございましょうか。

〔「結構です」と呼ぶ者あり〕

○三原小委員長 それから、順位につきましても、なかなか順位もつけにくいということもあるかもしれませんが、一つやって、また次やるということは、なるべく早い時期に結論出したい、まとめたいというときには必ずしも効率的ではないんではないかと思います。

 事務局の方の準備の都合もありますし、それから、参考人の方の御出席の都合もありますので、ここはひとつ同時並行的にいろいろやれるものから、幾つかやっていきたいと、一応こんな心づもりでおりますが、それで御賛同いただければ、そのようにさせていただきたいと思います。

 全体のスケジュールにつきましては、おっしゃるようなことよく分かりますので、この次までによく相談をして御報告をしたいと思います。

○伊藤委員 ごく大ざっぱなです。

○三原小委員長 はい、分かりました。

 それでは、大体時間も時間も来たようでございますので、本日、皆様からお伺いした意見など、私と事務局の方で整理させていただいた上で、次回以降の審議に反映させていきたいと思います。

○伊藤委員 ちょっともう一回、大変しゃべってばかりで恐縮なんですが、やはり今日御出席の委員の方が少ないんですね。そうすると、議題によっては例えば、何も1人でやっているわけではないんですけど、やっぱりみんなの合議なんだと思うんですが、ここは財界がどうしても出てほしいとか、例えば、ここですと、銀行関係の中原さんとか、経団連の中村さんとか出ておられるわけですね。産業界はお2人出ていますが、つまり、ここはどうしても証券業界でないといけないとかいうのが予めある程度分かっていると、そこにはどうしても出てもらって議論してもらわないと、今日私どもが言ったことは、では、皆さん納得しているのかどうかといったら、この次来たとき違うとかなると、非常に問題が起こりますよね。だから、事務局の方も大変苦労されるし、従って、私が言っているのは、大体「ここは出てくださいよ、必ず」ということを予めよく言っておくというか、あるいはその人にもスケジュールをあけておいてもらうということが重要だと思いますね。そういうふうな感じがしたものですから、ということでの意味なんですよ、私が申し上げたのは。どうもすみません、委員長。

○三原小委員長 よく御趣旨は分かりましたので、なるべく御意向に沿うように努力したいと思います。

 それでは、時間が参りましたので、次回会合等におきましては、各項目について事務局の説明及び参考人の方から御意見をいただき、それに対する質疑等を行うということにさせていただきたいと思います。参考人の方の人選等につきましては、事務局の方にお任せしたいというふうに思っております。

 予定の時間も参りましたので、本日の会合はこの辺で終了させていただきたいと思います。

 次回の会合は、年明けに開催させていただきたいと思いますが、日程などにつきましては、事務局の方から御連絡をさせていただきます。

 以上をもちまして、本日の委員会を終了いたします。

 どうもありがとうございました。

午後3時39分閉会

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