平成12年6月26日(月)


公認会計士審査会

第10回監査制度小委員会議事録


於 共用第3特別会議室
(合同庁舎四号館4階)

大蔵省金融企画局市場課
  


午後1時30分開

三原小委員長 予定の時間も参りましたので、ただいまから、「監査制度小委員会」の第10回会合を開催いたします。
 本日は、中原委員、中村委員が御都合により欠席でございます。
 本日は、前回会合におきまして、当小委員会の審議結果のとりまとめであります「監査制度に関わる問題点と改革の方向」(案)につきまして御審議いただき、意見交換をさせていただいたわけでありますが、本日は、前回いただきました御意見等を基に「修正案」を作成しておりますので、これを基に再度御審議いただき、おとりまとめいただければと考えております。
 まず、前回会合以後、御意見を頂戴しておりますので、これを事務局から紹介していただきたいと思います。
 それでは、よろしくお願いします。


福地課長補佐 前回会合以後いただきました御意見につきまして、御紹介させていただきます。
 まず、お配りしてございます意見等の中で、山浦委員よりいただいている意見でございますが、大きく分けまして、4項目について御意見をいただいているところでございます。
 まず、一つ目は、「監査報告書の署名のあり方」に関する修正案でございます。それから、二つ目といたしましては、「自主規制機関としての公認会計士協会のあり方」に関する項目におきまして、財務状況等の開示を必要とするのではないかという御意見でございます。それから、1枚めくっていただきまして、「監査法人制度のあり方」に関しまして、監査法人の財務内容等の開示、それから、有限責任を採用する場合においては、外部監査制度を導入すべきという御意見でございます。それから、「業務範囲のあり方」におきましては、コンサルティング業務に関する意見の修正ということで御意見をいただいているところでございます。それから、もう1件は、公認会計士協会の方からも御意見をいただいておりまして、全部で10項目ございますが、それぞれ文章の修正ないしは削除というような形での御意見をいただいているところでございます。
 詳細につきましては、修正案の説明のところで触れながら御説明申し上げたいと思っております。
 以上でございます。


三原小委員長 いろいろと御意見ありがとうございました。
 ただいま御紹介いただいた御意見を含めまして、修正案の説明の後に、改めて御審議いただきたいと思います。
 それでは、続きまして、修正案について御審議いただきたいと思いますが、前回会合でいただきました御意見などを踏まえまして、「監査制度に関わる問題点と改革の方向」を修正しておりますが、前回会合で御検討いただきました「案」とそれを修正いたしました「修正案」を対比した資料で御審議いただきたいと思います。
 まず、修正の内容につきまして、事務局から説明をお願いいたします。


福地課長補佐 お配りしております資料でございますが、B4の資料でございます。左側に前回会合におきまして御提出させていただきました案文を載せております。今回、前回の御指摘、それから、今回の追加での御意見、それから、言葉の統一、あるいは文章の整理、明確化という観点から修正した案を右側にまとめてございます。修正箇所につきましては下線を引いております。
 それでは、資料に基づきまして、概要説明を申し上げたいと思います。
 まず、1ページでございますが、1ページにつきましては、文章の整理、明確化、それから、言葉の統一という観点から修正を行っておりまして、基本的には内容の大きな変更はございません。
 続きまして、2ページでございますが、2ページにつきましても同様に文章の整理等を行っておりますが、「2.基本的視点」(1)でございますが、この点につきましては、前回会合におきまして、マル1マル2の内容が不明確ではなかろうかという御意見がございまして、そのような御意見を踏まえまして修正しております。読み上げますと、
(1)  「会計士監査の充実に向けての提言」から約3年が経過し、公認会計士監査を取り巻く環境も以下のように大きく変化してきている。
マル1  証券市場がその市場機能を有効に発揮するための基礎となるディスクロージャーの適正性を確保するためには、公認会計士監査を一層充実させ、厳格な監査を実施することが必要であるとの認識が従来以上に社会に浸透してきたこと。
マル2  とりわけ、資本市場の国際的な一体化の進展等を背景として、企業財務内容等のディスクロージャーに対する国際的な信頼を高め、ひいてはわが国企業の国内外における円滑な資金調達等を図る観点からも、公認会計士監査を充実・強化し、その国際的な信頼の向上を図っていくことが強く求められてきていること。

 マル3につきましては、「専門的な」を「高度な」に修正しているところでございまして、前回のマル1マル2の、特にマル2につきましては、国際的なレジェンド問題等の観点からということで文章の明確化を図ったところでございます。
 次に、3ページでございますが、3ページにつきましても、上段の方は文言の統一等でございまして、この中で前回会合におきまして御指摘を受けました点といたしましては、下から8行目のところでございますが、修正案の方を読み上げますと、
 公認会計士監査の信頼の確保にあたっては、行政の役割も重要である。特に公認会計士監査に係る基本的な制度を整備し、また、自主規制に委ねられる分野においても自主規制が有効に機能することを担保しつつその自主的な取組みを支援するよう行政が適当な措置を講ずることが必要と考えられる。
 前回の御意見を踏まえまして、このような形で修文してございます。
 続きまして、4ページでございますが、4ページにつきましては文章の整理でございまして、内容等の大きな変更はございません。
 続きまして、5ページでございます。5ページにつきましては大きな修正をしておりまして、まず修正案の方を御覧いただきますと、「I 適正・公正な監査の確保に向けて」の1番目の項目が「独立性確保のあり方」という形になっております。前回御提出のものは、この「独立性確保のあり方」は6番目の項目にしておったところでございまして、今回この修正をした理由といたしましては、同一監査人の継続的監査というものが次に個別の問題として出てくるわけですが、独立性の確保のあり方という基本的、一般的な考え方をまず最初に持ってきて、その次に具体的な問題として、同一監査人の独立性の問題を並べた方が、より論点が明確になるのではないかと、そういう趣旨でございます。
 それから、5ページの「独立性確保のあり方」の「基本的考え方」でございますが、修文をしている箇所がございまして、「監査人として被監査会社のみならず何人からも独立していることは、監査証明業務の」という形で前回会合からの修正を行っております。これにつきましては、前回会合に御指摘がございましたように、行政等からの独立という御意見もございまして、そのような観点からこのような修正を行っておるところでございます。
 続きまして、6ページでございますが、6ページには、「同一監査人の継続的監査及び公認会計士単独による監査に係る問題について」を2としてございます。
 前回会合以降の大きな変更点といたしましては、まず(1)でございますが、前回会合におきましては、「同一監査人の継続的監査の問題」ということで内容をとりまとめておりますが、今回修正案におきましては、この(1)を「監査法人における同一関与社員の継続的監査の問題」として整理してございます。
 問題点と対応を明確にするという意味で、まず(1)につきましては、監査法人の関与社員のローテーションについての基本的考え方と対応、これを整理してございます。その中で「基本的考え方」の文章の修正につきましては、文章の明確化等の観点から整理をしているところでございまして、6ページの前回会合のところに「しかし、」ということで下から4行目に「しかし、個人については交替ルールが」というところが前回はあったわけですが、この点につきましては、監査法人の社員の交替ルールということにこの項目を限定した関係上、この2行は削除しております。
 それから、7ページでございますが、7ページにつきましても、関与社員のローテーションに論点を絞っていますので、それぞれ「求められる対応」等についてそのような内容の修正をしているところでございます。
 それから、(2)でございますが、「公認会計士が単独で行う監査の問題」の「基本的考え方」をかなり修正しておりますが、これにつきましては文章をより明確化するという観点から整理しているところでございます。
 次に、8ページでございますが、8ページにつきましては、先ほど(1)につきまして監査法人の関与社員のローテーションについてのみ記述するという整理をした関係上、右側、上段の8行目でございますが、「なお、共同監査については、上記のような監査法人の関与社員の交替ルールと平仄を取るとの考え方を取れば、共同監査に参加する個人の監査人が一定期間を超えて同一被監査会社の監査を行うことを制限する等の措置も必要であるとの指摘がある。」という文章を共同監査の部分がやや不明確になっておりました関係上、こちらの個人の方に修正案として加えたところでございます。
 その下のマル2の「求められる対応」につきましては、文章の明確化、整理を行った上で、下の方になお書きがございますが、「なお、共同監査に上記のような監査法人の関与社員の交替ルールと同様の考えを適用すれば、該当する公認会計士は被監査会社について監査を継続することができなくなることから、関与社員と同様の交替ルールを適用することは困難であるが、この場合においても、独立性を確保し、監査の実効性を担保する措置が検討される必要がある。」ということで、共同監査に係る「求められる対応」を追加で加えているところでございます。
 続きまして、9ページでございますが、9ページにつきましては文言等の修正等でございまして、特に内容等の大きな変更はございません。
 それから、10ページでございますが、10ページの「(2) 外部審査体制の充実・強化」「マル1 基本的考え方」のところでございますが、「この外部審査制度は、監査の公益性に照らしても妥当なものであり、公認会計士協会で設けたレビューチームの人員面での増員、改善勧告に対する改善措置についてのフォローの徹底等、より一層の充実・強化を図ることが必要である。」このような形で、協会における品質管理レビューの改善すべき点を明確にしているところでございます。
 さらに、その4行下になお書きがございますが、この点につきましては、前回会合におきまして、やや内容が不明確だというような御指摘をいただきましたので、この点につきましては、「なお、米国等においては監査法人等同士のピアレビュー制度が導入されているが、わが国においてもピアレビュー制度の導入について検討する必要があるのではないかとの指摘もある。」というような形で修正案をまとめているところでございます。
 それから、10ページの下のロでございます。「品質管理レビュー結果の行政当局に対する報告」でございますが、この点につきましても、前回いろいろ御意見等がございまして、この点につきましては読み上げますが、
 監査法人に対し、公認会計士制度を担当する行政当局及び有価証券報告書等の受理審査を担当する行政当局への個別のクライアントの品質管理結果を含めたレビュー結果の報告を何らかの方法で義務付けることにより、自主規制の実効性を担保するとともに、行政当局が監査法人に対して必要に応じ内部審査体制等に係る改善措置等を求めることができるよう検討する必要があると考えられる。
 また、公認会計士協会においても、品質管理レビュー結果について重大な問題が認められた場合等には行政当局への報告を適宜、適切に行う必要があり、このような行政当局との連携の仕組みを検討する必要がある。
 ということで、前回の御議論を踏まえまして、監査法人から行政当局に対する報告、それから、協会から行政当局に対する報告といいますか、連携の仕組み、それを検討する必要があるというような形でまとめてございます。
 それから、11ページでございますが、「4.監査報告書の署名のあり方」でございますが、1ページめくっていただきまして12ページでございますが、「求めるられる対応」でございます。前回の御議論におきまして、前回の提案でございます現行どおりの関与社員の署名・押印の方法、これにつきましては削除いたしまして、「監査法人名及び代表者の記名・押印とする、」、それから、「監査法人名及び代表者の記名・押印とし、関与社員名を監査報告書の記載事項とする、」この二つの方法を両論併記という形でとりまとめているところでございます。
 それから、5につきましては修文をしておりますが、明確化、あるいはやや長いところを、協会等の御意見もございまして修文しているところでございます。
 それから、13ページでございますが、13ページにつきましては、「6.適正な監査日数等の確保と監査報酬のあり方」でございまして、修正点といたしましては、「マル1 基本的考え方」の4行目でございますが、「むしろ被監査会社の内部統制の状況等の関わりで、」という形で今回修正をしておりますが、前回は「審査体制等の関わりで、」という表現になっておりましたけれども、「被監査会社の内部統制の状況等の関わり」の方が表現が適切ではないかという御意見でございまして、修正しているところでございます。
 さらにその3行下に「一方で、」という形で文章を追加しておりますが、「一方で、企業の活動の多角化、複雑化等に伴い、監査をより一層充実・強化するため監査日数を十分確保する必要がより強まっているとの指摘がある。」この修文につきましては公認会計士協会からの御意見を踏まえまして、修正案に盛り込んだところでございます。
 それから、14ページでございますが、14ページの修文といたしましては、「7.自主規制機関としての公認会計士協会のあり方」「マル2 求められる対応」のところで、「イ.自主規制機関による処分の透明性の確保等」の項目でございますが、「第三者機関(例えば、協会が資金負担する外部機関)」という形で前回は御提出しているところでございますが、その括弧書きを削っております。
 それから、1枚めくっていただきまして15ページでございますが、「ハ. 財務状況等の開示」この項目を追加しております。これにつきましては山浦委員からの御意見を踏まえまして、修正案として追加してございます。読み上げますと、
 認可法人としての公認会計士協会は、既に、「認可法人に関する調査結果に基づく勧告」に基づき貸借対照表等の要旨の公開を官報等により実施しているところであるが、自主規制機関としての役割とその活動状況について一般の十分な理解を得る必要があることから、引き続き、業務内容及び財務状況について開示内容や方法のより一層の充実を図ることが必要と考えられる。
 それから、20ページでございますが、20ページにつきましては幾つか内容を変えているところがございまして、まず、右側の修正案の上から8行目でございますが、「また、」ということで、「また、欧米の主要国において監査事務所に有限責任パートナーシップ(Limited Liability Partnership:LLP)制等の有限責任制が導入されており、」ということで、欧米の主要国においてLLPが既に導入されているということをここで明確にしておりまして、「これらに比してわが国の監査法人がこの制度を採用していないことは、国際的にも整合性を失し、さらに監査法人の国際競争力の保持という観点からも望ましいこととは言えないとの指摘もある。」という形で修文してございます。
 その下段のなお書きにつきましては、文章の明確化ということで修文しているところでございます。
 そこからさらに5行下に「更に、」という形で今回修正案に追加している内容についてでございますが、この点につきましては山浦委員からの御意見等を踏まえまして修正案に盛り込んだところでございます。読み上げますと、
 更に、現在の監査法人はその業務内容において公益性が極めて高く、その規模においても一般の事業会社と遜色ない法人も多いと考えられることから、監査法人においても事業内容や財務内容について何らかの開示が必要との指摘がある。
 また、監査法人が有限責任制を採用する場合においては、一般の事業会社に準じた外部監査制度を導入すべきとの指摘がある。
という形で修文案を作成しているところでございます。
 さらに、20ページの「マル2 求められる対応」イにつきましては、「基本的考え方」のところに有限責任パートナーシップ等の文言を入れておりますので、その点を踏まえまして文章を整理してございます。
 それから、21ページでございますが、21ページにつきましては、右側のニでございます。「監査法人の財務内容等の開示」これを「求められる対応」として項目を追加しているところでございまして、読み上げますと、
 監査法人の行う監査証明業務の公益性等を考慮すれば、監査法人の業務内容(業務分野、業務組織等)、財務内容(連結ベースで監査証明業務と非監査業務等のセグメント情報を含む)等の開示を制度化する方向で検討する必要があると考えられる。更に、監査法人が有限責任制を採用する場合、これを一般の事業会社に比して特別の扱いにする必要はなく、財務内容の適正性等を担保する観点から外部監査制度の導入を検討する必要があると考えられる。
 それから、次に22ページでございますが、「2.業務範囲のあり方」「マル1 基本的考え方」の又書きのところでございますが、又書きのところにつきましては、内容の整理とともに、明確化を図るという観点から修文をしておりまして、読み上げますと、
 また、監査法人等の行うコンサルティング業務の対象の多様化・拡大化を求める指摘があるが、一方、監査証明業務との関係において、独立性の欠如をきたす可能性が懸念される現状にあり、米国においても監査部門と経営コンサルティング部門に厳格な障壁を設け、監査部門の独立性を強化するルールの導入が検討されているなど見直しが進められていることから、監査法人等の行うコンサルティング業務の多様化については、公認会計士法上の業務としての位置づけや範囲、その規制の要否等について国際的な動向も十分に注視しつつ、慎重に検討を行う必要があると指摘されている。
 それから、以下の下段のところには「業務内容等の開示を通じて、」という文言を御意見を踏まえて入れているところでございます。
 それから、その下にさらに、前回は監査法人の「税理士業務」という形で表現しておりましたが、「税務業務」に変更しているところでございます。
 それから、23ページでございますが、上の「ロ. 監査法人等における監査証明業務の独立性等の確保」この点につきましても「基本的考え方」と同様に修文をしておりまして、
 コンサルティング業務に係る業務範囲等のあり方の検討に当たっては米国等国際的な動向も十分に注視つつ慎重に検討を行う必要があり、監査証明業務の独立性の確保及び監査の品質の維持・向上の観点から、少なくとも監査証明業務と非監査業務との間に人事及び組織上の隔離措置(ファイアウォール)を設け、更には監査業務に影響を及ぼすコンサルティング業務を回避し、かつ業務内容を開示する等の一定の措置を講ずることを検討する必要があると考えられる。
 それから、次に、「広告規制のあり方」でございますが、「マル2 求められる対応」でございますけれども、前回の御議論を踏まえまして、
 公認会計士法では、監査法人等の名称・所在地等許容される広告のみを規定しているが、上記の虚偽・誇大広告等一定のもののみを禁止して他は原則自由とすることとし、これを公認会計士法による規制から公認会計士協会の自主規制に委ねることが考えられる。
 という修文案をまとめてございます。
 それから、24ページでございますが、「公認会計士法の目的規定等の要否等」につきましても、前回の御議論を踏まえまして、「マル2 求められる対応」といたしまして、
 公認会計士の業務の多様化・拡大化等の現状を踏まえ、公認会計士法の「目的」ないしは公認会計士の「使命・職責」を明確にし、これを公認会計士法に規定する方向で検討を行う必要がある。
 というような形で修文案をとりまとめたところでございます。
 以上が大きなところの修文案についての概要説明でございます。
 以上でございます。


三原小委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、この修文案につきまして、皆様から御意見を頂戴したいと思います。前回と同様に全体を四つに分けさせていただき、順番に御審議をお願いしたいと思います。
 それで、最初に全体に通ずる問題として、私から確認させていただきたいのですが、文章の結びの言葉、書き方としまして、「……と考えられる。」という結びの言葉と、「……との指摘がある。」こういう結びの言葉と二通りがありますけれども、これは考え方として、大体の皆さんの御意見が一致したものは「考えられる」というふうな言い方、それから、そこまで議論が熟さないけれども、こういう御意見があったということを残しておくという意味で書く場合は「との指摘がある」、こんな使い方をしているように見えるんですけど、そういう理解でよろしいでしょうか。大体そんな理解でよろしいわけですね。はい、分かりました。
 それでは、四つに分けた部分の最初のところでございます。まず、「はじめに」のところです。中身は「審議の経緯」、それから「基本的視点」、それから「本報告の論点の構成」、1ページから4ページまでですが、ここまでにつきまして御意見を頂戴したいと思います。
 よろしいでしょうか。ここは余り議論のないところかと思いますので、また後で気がついて御発言いただいても結構でございますが、一応次の部分に進ませていただきます。
 第2の部分ですが、これは三つに分けた大きなテーマのうちの最初の「適正・公正な監査の確保に向けて」というところでございます。それで、実はこの第1のテーマが非常に大きくて、全体の半分ぐらいを占めるものですから、このI全体について御意見をお伺いしますと、行ったり来たりになるおそれもありますので、最初の「独立性確保のあり方」この辺から順番にお伺いしまして、最後にまたこのI全体につきまして遡って御意見があればお伺いすると、こういう形で進めさせていただきたいと思います。
 最初に、5ページの「独立性確保のあり方」これについて何か御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、とりあえず次に進ませていただきます。次が6ページの「同一監査人の継続的監査及び公認会計士単独による監査に係る問題について」というところでありまして、6ページから8ページの下の方までで何か御意見ありますでしょうか。
 富山委員、どうぞ。


富山委員 8ページのマル2の線を引いてあるところの最後の方に、「法令等により」と書かれているのですが、前回の議論では、法令で縛るということは公認会計士法で縛るということでしょうが、公認会計士法の場合には規模の大小では議論がしにくいので、例えば、取引所の規則というような形でそういう規制を設けるべきではないかとお話したんですが、その辺を考慮していただけませんでしょうか。公認会計士法の場合、大会社は対象とするが、小さい会社は対象としなくていいという議論にはなりにくいと思うんですよ。


三原小委員長 これを削除してほしいというか、取る。


富山委員 法令ではなく、例えば、取引所の規則というような表現の方が望ましいし、公認会計士にはなじまない。大小で独立性は区分できないと思います。


三原小委員長 山浦委員、どうぞ。


山浦小委員長代理 おっしゃる点はよく分かっておりまして、どこまでこれを法令等で押さえることができるか、あるいは全く法令ではなじまない話なのか、それについてもう少し時間が必要だと。そのために「等」を入れることによって、一つクッション置いていると、そういう措置でありますので、これはまだ少し柔軟性があるというふうに御理解いただきたいと思います。


富山委員 はい、分かりました。


三原小委員長 岸田委員、どうぞ。


岸田委員 今の問題と関連してでございますけれども、これは証券取引法監査に限られるように読めるんですけれども、御承知のように商法では会社の区分というのがございますけれども、証券取引法では一切そういう区分をしていませんのですけれども、商法は単独で証取法は共同でないといけないというようなことはちょっと難しいと思うんですが、その点はどういうふうに考えていらっしゃるか、教えていただきたい。商法と証取法、これは証取法だけの問題でいいのかということでございます。


三原小委員長 ちょっと私もはっきり覚えていないんですが、これは商法を書いてないのはどういうことだったですかね。


富山委員 基本的には公開会社、すなわち上場会社、店頭公開をしている会社ということで証取法のイメージだと思います。


三原小委員長 山浦委員、どうぞ。


山浦小委員長代理 私が答えるべきかどうかちょっと分からないんですけれども、公益性の高さという点から見ますと、やはり公開会社、特に証券取引法の対象の公開会社、これを基本的に個人ではできなくしようと、こういうことを当初考えているんですね。ただ、商法の監査については、もちろん商法と証取法が重なる会社はよろしいんですけれども、それ以外の会社については、必ずしも個人を排除するそういうところになじまない会社もありまして、また、今の会計士の人数等からしまして、監査法人に全部委ねるということもできにくい。
 さらに、学校法人の監査であるとか、いろいろ細かいところの監査もありまして、ですから、当面ここで求めているのは証券取引法の比較的大きな公開会社ということをイメージしているんです。これをもしほかにもう少し規模あるいは形態等について限定した言葉が必要であるかどうか、それについてはある程度含みを持たせた文章としているつもりだったんですけれども。


三原小委員長 岸田委員、どうぞ。


岸田委員 ただ、御承知のように証券取引が非常に拡大されていまして、恐らく上場会社2,500と店頭合わせて3,000ぐらいですか。あといろんな条件、株主の数500人以上とかありまして、多分5,000か8,000ぐらいの会社が証券取引法適用会社ではないかと思いますので、商法の場合のように、商法でも資本金とか負債総額で基準を決めていますけれども、それとこれ、証券取引法だけこういう規定を設けますと非常に混乱が生ずるおそれがちょっとあるようなので、むしろ単純に規模幾ら以上とやった方が、証券取引法適用と言わずに、商法では客観的な資産基準やめていますので、一つにした方が分かりやすいのではないかという気がいたしたわけでございます。


三原小委員長 関委員何か。


関委員 8ページの3の上の「なお、」というところですけれども、全体として今回の整理で監査法人とそうでない個人の監査人と分けて整理したのは非常に論点が明らかになってよかったと思うんですが、このなお書きの部分は個人の会計士の部分だと思いますけれども、全体のこれまでの議論、それから、今回のまとめも、ある程度の企業であれば、やはり優秀な公認会計士でも個人としてやることはなかなか難しくなる。要するに組織としての監査法人というものが監査に責任を持つという体制に移っていった方がいいんだという感じが基本にあるんだと思うんですね。
 しかし、現実の問題として、すぐ同じように厳格な交替ルールを個人について入れてしまうというのは困難だろうということでこういうことになっているんだと思うんですが、書き方として、「関与社員と同様の交替ルールを適用することは困難であるが、」とこういうふうに言い切っているわけですけれども、例えば、私の感じとしては、「適用することは困難であるという面もあるが、」そういう要素もあるが、独立性を確保するということは非常に重要なポイントなんだから、やっぱり時間的な前後はあるにしても、期間をどのくらいにするにしても、個人についてもそういうようなことを考えていくべきではないかというニュアンスを少し織り込んだ方が、このなお書きは生きていくんじゃないかなという気がするんですが、そのあたりどうでしょうか。


三原小委員長 今の御意見もまた検討させていただきたいと思うんですが、その前の岸田委員の御意見と富山委員の御意見、まだ中途半端になっていると思いますので、ちょっと私から言わせていただきますと、山浦委員が今おっしゃいましたように、要するに証券取引法に基づく監査が一番公益上からも必要性が高いということでありますので、これは最小限こういうルールを適用してもらう。そのほかにどこまで及ぼすか、これはまたいろいろと考え方があって、岸田委員のようになるべく拡げてもいいだろうと、こういう御意見もあるかと思いますが、そういう意味合いの表現ですね。
 例えば、「少なくとも証券取引法に基づく監査については」というような言い方でもよろしいでしょうか。そんなことでよければ、そういう方向で考えさせていただきたいと思うんです。


岸田委員 結構です。


三原小委員長 それと、今の法令というのがちょっときつ過ぎるということでしょうか。


富山委員 「等」という言葉でカバーしているということなので、それはそれで結構です。


三原小委員長 「等」でよろしいですか。
 私の記憶でも、議論では、いきなり法令というのはかなり影響があるけれども、しかし、事柄の性質からいくと、割合法令で書いた方が言いやすいというか、守られやすいという面もあるので、確か法令が前面に出てきたと思いますが、その辺は含みを持たせるというか、幅を持たせる意味で「等」と書かせていただくということで御了解いただければというふうに思います。
 それから、今の関委員の御提案ですが、これはこういう言い方でも……。
 奥山委員、どうぞ。


奥山委員 この点について私ちょっと反対なんですけれども、私どもとしてはこれは、もし仮に証取法の一定規模以上の会社という中で限れば、共同監査にしても、数がだんだん限られてくるだろうと。自然淘汰的にそういう会社は監査法人に行くに決まっていると、今までの動きを見ていますとそう理解されるので、これは余り法律的に実効性持たせるということを強く言いますと、私はむしろ個人の会計士から、何か急に自分たちが制約されるような考え方が出てきて、自然に淘汰されるのを、あえて波風立たせるような表現を置いておくのはどうかなと。ですから、実害は私はこれからなくなっていくだろうという期待を持っていますので、ここはあえてこういうふうに書くことがいいのかどうかということで、前から個人でやっていることについては、もう余り強く触れる必要がないのではないか。上の方で品質管理レビューとか、外部審査制度で、自然に監査を個人でやっていくのは無理だということが分かってくるというように理解していますので、そういう意味で私は、この「なお、」以下は要らないのではないかと、そういう考え方を持っているんです。


三原小委員長 山浦委員、いかがでしょうか。


山浦小委員長代理 これは改革の方向性を示すと、こういうことですので、それについて自然淘汰的に個人が手を引くようにいくだろうと、そこを文章を何かの形で触れなくても構わないと、そういう見方も確かにあると思うんですけれども、ただ、ある程度の方向という意味で位置づけていますので、あえてというよりは、積極的にこの文章はこの小委員会として明示した方がむしろその効果が早く上がると、そういうつもりで入れたんですけれども、これについては、もちろんこの小委員会でどういう御議論があるか、それ次第だと思うんですけれども、ただ、少なくともこういった問題提起をして、その方向に行ってもらいたい、あるいはそのように行くべきだということで、方向性を示すという意味では意味があることではないと思うんですけれども。


三原小委員長 一つこれについての問題は、今の共同監査というのは、個人による監査なのか、それとも、監査法人によるスタイルに近いのか、その性格が、あくまでも個人の監査人がたまたま一緒になってやったということであると、個人の監査人については交替ルールは言ってないわけですね。それと同じことになるんじゃないかというのが恐らく協会の御意見の根底にあるんだろうと思いますけれども、その辺どう捉えるかということだと思うんです。監査法人による監査と性格的に近いと見るのか、あるいは個人の監査と同じじゃないかと、そちらの方で言わないんなら、ここも言わなくていいんじゃないかと、こういう問題になりそうな気がするんですけれども、ほかの方の御意見をお伺いしてみたいと思うんですが、どうでしょうか。ここまであえて言うかどうか。
 関委員、どうぞ。


関委員 少なくとも現実に個人が監査をしているという事実はあるわけですから、それについて独立性の確保とか、そういう問題は共通にあるはずなんで、同じような考え方を。要するに個人監査をやめるということであれば別ですけど、それは制度的に残るわけですから、今言った問題意識を書くということは、抵抗があるからとかそういう話は別としまして、我々のまとめとしては意味があるので、私は山浦さんのおっしゃったことが正しいと思うし、さらに、これは先ほどの議論ですけど、岸田先生のように、ここの議論が商法監査の方にもある程度考えていくということであれば、その面では適用される範囲がもっと拡がるという面もあるのではないかと思います。


三原小委員長 こういう意見もこの小委員会に出された。将来この問題を検討するときに、こういう意見もあったということを念頭に置いて改革の方向を考えていただくその手掛かりを残しておくという意味もあるということでありますので、ここはいかがでしょうか、協会の御意見もありますので、「必要がある。」で言い切るのじゃなくて、「必要があるとの指摘がある。」と、その辺で一応この御意見を残させていただくということで御了解いただければ、それでやらせていただく。


山浦小委員長代理 小委員長の折角のお取りなしなんですけど、「必要があるとの指摘がある。」という文章の問題提起で、「基本的考え方」でそういった指摘があるという文章を使っておりまして、できれば、「求められる対応」のところでは、ある程度の方向性を示す。問題提起に対してある程度答えというつもりで、この文章のぶれをなくしていたつもりなんですけれども、もしよろしければ、このような形でおさめさせていただきたいと思うんですけれども。


三原小委員長 そのようなというのは「必要がある。」ですか。
 協会の方でそれでよろしければということなんですが……。


奥山委員 それでは、折角の御意見ですので、余りこだわりはしませんけれども、「考えられる。」というのはないんですか。「必要があると考えられる。」ほかのところで使っているところもありますので、若干弱めるという意味です。


三原小委員長 よろしいですか、それで。


大藤大臣官房参事官 はい。


三原小委員長 では、そういう形で修正していただくということで、2はよろしいですか。
 では、3の「監査証明業務に対する内部管理・審査及び外部審査体制のあり方」、これについて御意見をお伺いしたいと思います。
 富山委員、どうぞ。


富山委員 これも前回指摘したのですが、ピアレビュー制度には、事務所同士のチェックも、協会で会計士を用意して、そこにチェックをさせるのも含まれますから、この10ページのマル1の最後の段落の文章の真ん中の方で、「わが国においても同様の制度の導入」というような表現にして欲しいと思います。


三原小委員長 それはよろしいですか。


大藤大臣官房参事官 事務局としてはそれでいいと思います。


三原小委員長 では、「わが国においても」の次に「同様の」を追加する。
 ほかにいかがでしょうか。
 私も気になるんですけど、10ページの一番下の「個別のクライアントの品質管理結果を含めたレビュー結果の報告」これで皆さんはお分かりになりますでしょうか。どうもこれを読みますと、品質管理の結果というふうに読めるんですけれども、事務局の説明では、品質管理についてのレビューの結果という趣旨なんだそうですが、こう書くと、品質管理の結果を含めたレビュー結果というように読めそうな気がするので、皆さんの感触で。
 白石委員、どうぞ。


白石委員 私も読みづらいなと思っておるんですが、結局、監査法人に対して求めると、こういうことですね。ということは、監査法人は現在の監査概要書の中に個別のクライアントの品質管理結果をも書くということですが、その個別のクライアントの品質管理というのがどういうことなのか、よく分からないんです。概要書とは別ですか。


三原小委員長 富山委員、どうぞ。


富山委員 前回の議論の時、監査法人は年に1回、業務報告書を大蔵省に提出していますが、その中に例えば、個別にチェックされた分で何か問題があった場合、事務所全体の品質管理についても記載するというお話はしましたが、監査概要書に記載するというお話はしてないと思います。


三原小委員長 いや、それはこの前の議論で、タイミング的に合わないじゃないかということで、それはやめたんです。ですから、何らかの方法でということなんです、その点は。
 では、山浦委員、どうぞ。


山浦小委員長代理 前回問題になった監査概要書、あの概要書の中にこの問題を取り込むというのは、ちょっと私自身も無理じゃないかと思っております。
 品質管理レビューの報告書が出ますので、その写しを監査法人の方から自主的に行政に提出すると、そういった仕組みを考えたんですね。具体的なその仕組みをこの中にもし書き込むことが適当であれば、むしろそうさせてもらいたいと思っているんです。


三原小委員長 白石委員お願いします。


白石委員 クライアントというのは企業のことと考えていいんですね。個別企業の品質管理結果も監査法人をレビューしたときの結果と同時に報告されるということなんでしょうが、企業の品質管理の結果はどうやってチェックするんでしょうか。それは監査結果そのものですか。


三原小委員長 一遍事務局の方でこの言葉の意味をもう一回言っていただけますか。いろいろな解釈があるようですが。


大藤大臣官房参事官 監査法人のいわゆる内部審査体制が充実しているかどうかという観点の品質管理と、それから、個別のクライアントに対する、どういう監査をしたかということに係る品質管理と、そういうものであると考えております。


奥山委員 協会で正式なレビュー報告書を作っていますので、そこの言葉は、監査事務所としての品質管理と個々の監査業務の品質管理、その二つです。ですから、もし言葉を正確に取り入れてくれるとすれば、監査事務所としての品質管理と個々の監査業務の品質管理を総合的に記載したレビュー結果報告書というものです。それを対象とするということです。


山浦小委員長代理 クライアントの名前は出ないですね。


奥山委員 クライアントの名前は、個々のレビュー監査報告書はその法人に行きますから、その法人には分かると思います。一般には出ません。


三原小委員長 それだと大分分かると思います。ですから、そういう書き方で直してもよろしいんですけれども、ここで言っているのは、個々の監査に関する品質管理の結果を報告するというよりは、個々の会社について見た結果、何か問題があったときに行政の方に報告するということ。


奥山委員 これは2年に1回あるいは3年に1回これからやりますが、受けたときに、レビュー報告書という形で出ますから、その全容を知らせてほしいと、あるいはそれをコピーして添付するとか、そういうことをイメージしているんじゃないかと思うんです。


三原小委員長 今、奥山委員が言われたような表現でも趣旨は大分分かると思いますので、では、よろしいでしょうか。そういう形でここは直していただく。
 ほかにただいまのところでありますか。
 奥山委員、どうぞ。


奥山委員 11ページの上から4行目、「また、」のところなんですけれども、これは前回も議論したと思うんですが、会計士協会から行政当局へ、いわゆる定例報告みたいな形でこれを位置づけることは、ちょっと具合が悪いと思っているんです。やはり自主規制として私ども会員に対して実施したいと思っていますから、それが一々行政に言うという形でやると、どうも自主規制という感覚が抜けていくんじゃないかということで、それは必要に応じ言うということは今でも考えられますので、ここでそういう仕組みを作るということを言うことはどうかなということで、この辺を私どもとしては、この「また、」以下は削除してもいいのではないかと思っています。


三原小委員長 これは定例報告ということでなくて、何か重大な問題があったときに、その都度報告してもらうと、こういう趣旨だと思うんですけれども、これについては今でも必要に応じてやっているから、これは要らないじゃないかと、こういう御意見ですか。


奥山委員 言葉でここに「行政当局との連携の仕組み」と書いてありますね。ですから、何かこれがシステム的に考えるような、そういう言葉に思われますので、必要に応じてというんなら、まだ理解できるんですけれども。


三原小委員長 山浦委員、どうぞ。


山浦小委員長代理 これは私自身がお答えをするというよりは、事務当局の方でお答えいただいた方がいいと思うんですけれども、この文章を作るときに、やはり何らかの形での自主規制機関と行政との、自主規制を実効あらしめるというか、担保するそういう意味での行政的な仕組みもやはり必要だろうと、こういった要望もありまして、その意味で「連携の仕組み」という言葉を使っているんですけれども、全く行政が自主規制機関である公認会計士協会にフリーハンドで全てを任すという意味でもありませんし、それから、やはり制度として、適宜、何かあったときに必要に応じてというよりは、むしろはっきりした制度として明示した方がいいのではないか、そういう考え方ですね、それを生かしたつもりです。


三原小委員長 そういう意味では、これは協会が自主的にやる品質管理のレビューなんですが、例えば、個別の問題につきまして、綱紀委員会でやるとか、業務審査委員会で審査するとか、そういうときにも考えられる。そちらの方がまだ可能性として大きいわけですね。それについてもやっぱり報告をする仕組みが、むしろそちらの方が必要になってくると、それと一体になって考えなければいけない問題かなと、そういう気もしますよね。ですから、それを仕組みとして何か用意しておくかどうかということですね。
 関委員、どうぞ。


関委員 ここのところは恐らく奥山さんの方も、提携の仕組みというのが、がっちりしたそういうものができるというふうに読まれるのではないかということを御懸念されているんじゃないかと思うんですが、そうだとすれば、要するに行政当局へ今委員長おっしゃったように、「適宜、報告を行うこと等に配慮する必要がある」とか、主語が「公認会計士協会においても、」になっていますから、そういうことでもいいのかなとも思いますが……。


三原小委員長 協会としての自主的な姿勢というのは認められるような書き方ならいいということですね。
 山浦委員、どうぞ。


山浦小委員長代理 このあたり、これから先、どういう形に世界の動きがなっていくかは分からないところがあるんですけれども、例えば、先々週、アメリカのパブリック・オーバーサイト・ボード(POB)、そこで出された報告書でも、やはり自主規制機関としてのAICPAとSECとの連携について、もう少し強化する方向で進んでいるみたいですし、それから、例えば、EUでスタチットレオ・オーディットという、訳せば法定監査でしょうか、法定監査に関するグリーンレポートというのがありまして、そのグリーンレポート、96年に出されて、その後、EUの会社法制の統一を図るところですね、その方でこの検討を加えているんですが、やはり行政と監査を担当する側との仕組みを一緒に、例えば、連携の仕組みをもっと強化しなければ、虚偽記載を含む財務諸表等についての対応ができない。どうも世界の流れからしても、行政の役割というのは、完全に行政が自主規制機関にある機能から手を引くのでなくて、間接的であっても行政が関わっていくという方向が非常に見えているような気がするんですけれども、そういった意味では、この仕組みがどういった仕組みということを今イメージしているんではないけれども、何らか自主規制機関としての役割と行政とのそれをバックアップする体制をここで仕組みを作り上げる必要があるような気がするんですね。その一つの一番大きな問題になっていくのは、恐らくこのあたりじゃないかという気がするんですけれども。


三原小委員長 分かりました。要するにこういった重大な問題があったりした場合に、行政に対する報告をする必要があるということについては、これは協会も含めて皆さん御意見がないので、それを仕組みということまで持っていくかどうかについては異論があるということでございますので、ちょっと小委員長の独断になるかもしれませんが、ここは最大公約数で、とりあえずは「適切に行う必要があると考えられる。」と上の締めの言葉と同じような形にさせておいていただきまして、それをさらに仕組み化するかどうかについては、また今後の検討に委ねるということにさせていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。その辺で御了解いただければと思います。
 まだいろいろ検討すべきテーマもございますので、とりあえず先に進ませていただきます。
 それでは、4番目が「監査報告書の署名のあり方」でございます。12ページの中ほどまでですが、ここまでで何かありますでしょうか。


山浦小委員長代理 よろしいですか。


三原小委員長 はい、山浦委員。


山浦小委員長代理 この点については、私自身意見を出しておりまして、今日、添付書類として出されております一番最初のところを御覧になっていただきたいんですけれども、一つは、12ページにありますマル2のロの「関与社員名を監査報告書の記載事項とする」というのが、世界の監査報告書にこういった形のひな型を書く例がない。そういう意味ではやはり異質かなと。しかし、こちらの小委員会で出された議論では、何らかの形でこの関与社員名は出した方がいいのではないか、こういうお話でした。それを合わせて一つの仕組みとして取り入れる、そういった案としまして、監査報告書には監査法人名、代表者の記名・押印、つまりイの形をとりまして、そして、監査に関する情報の開示、例えば監査報酬等のディスクロージャーをしますので、そこで関与社員名を記載したらどうか。つまり財務諸表のディスクローズする中身としてこれを出しまして、監査報告書のフォーマットとしてはイの形をとる、こういう提案をさせていただいたところです。


三原小委員長 いかがですか。


奥山委員 結構でございます。


三原小委員長 ここでは監査報告書というふうに限定しましたけれども、ただいまの御意見を考慮しますと、例えば「など」を入れるとか、「何らかの形で」とか、そういうようなもう少し幅のある書き方になろうかと思いますけれども。
 伊藤委員、どうぞ。


伊藤委員 これは私がわりかし申し上げたので、私はどこの場ということを限定しているわけではないんですが、やはり監査に携わった人を何らかの形で明確にしてほしいということを申し上げたわけで、ここにこだわったわけでは決してないので、それでいいんじゃないかと私は思います。


三原小委員長 白石委員、どうぞ。


白石委員 今おっしゃる報酬とか、関与社員もそこへ書こうということですが、具体的にはどういう形で、どういう方法で開示がされるんでしょうか。
 私はやっぱり関与社員の氏名を書くということは、折角この小委員会で監査の質を上げていこうという議論をしていますし、会社側にも法令遵守の考え方や監査の質の向上に協力していくという大きな目的があるので、やはり監査の緊張感を削ぐようなことはやってはいけないのではないかという思いで、世界的な潮流でないのかもしれませんが、やはり工夫を凝らして、経営者もそれを認識し、会計士も認識するという、そういうやり方がぜひとも必要ではないか、こういうふうに思いますので、どこで開示するかというところが私は具体的に分かりませんので、そのあたりを教えていただけたらと思っております。


三原小委員長 まさにこれは両論併記ですね。両方の御意見が並立しているという感じでありますので、山浦委員何か。


山浦小委員長代理 例えば、先ほど私の方で提案させていただいた案によれば、有価証券報告書であれば有価証券報告書の適当な場所ということしか言えないと思うんですけれども、これは注記事項ではなさそうですね。やはり監査に関する情報、あるいは監査に関する情報の開示というところが一つ設けられて、そこで氏名等が出されるという形になるんじゃないかという気がするんですけれども。


伊藤委員 場所はやっぱりある程度決めておいていただいたらいいと思うんですね。何かに入っていますよ、どこかにちょろっと入っていますよというのでは、白石さんもおっしゃったように、折角質を高めて、きちっとやるんだから、何ら名前を出してもおかしくないんじゃないかというふうに思うんです。


三原小委員長 一つ私も気になるのは、利害関係なしということを書きますよね、監査報告書に。あれは関与社員の名前を出さないで利害関係なしと言って、意味が通ずるのかなという気が若干しているんですけれども、そんなことも考え合わせると、どこかに記名があった方がいいかなと、私個人はそう思っております。
 いずれにしましても、ただいまの御意見を総合しまして、ここは……
 関委員、どうぞ。


関委員 この関与社員というのは、この前の議論で、確か有限責任になってもこの社員だけは無限責任を持つと、要するに一番責任を持つ人という意味ですね。


伊藤委員 そうです。


関委員 そこが前提で議論になっているんですか。


三原小委員長 そこはそういう理解で議論していると思います。


関委員 そうであれば、先ほど言われたように、できるだけ分かりやすいところに書いておいていただく必要があるんじゃないでしょうか。どこかに書いてあるからいいじゃないかというのでは、やっぱりちょっとおかしいような気がしますけれども。


三原小委員長 では、どうしましょうか。「監査報告書等」と入れさせていただきますか。そうすれば、具体的にどう書くかは多少まだこれから検討の余地があるということで、では、そういうふうにさせていただきます。
 では、続きまして、5の「行政による公認会計士及び監査法人の処分のあり方」、これは13ページの上の方ですね、ここまでで何か御意見ありますでしょうか。
 ここら辺は異論がなく一致したように思いますので、それでは、一応次に進ませていただきます。
 次が「適正な監査日数等の確保と監査報酬のあり方」のところです。14ページの上の方までですが。


宮島委員 一つだけ言葉の問題で。


三原小委員長 はい。


宮島委員 これは伊藤委員から前回出たことで、「内部統制の状況」というこの言葉の意味なんですが、例えば、内部審査ということとの関わりで言うと、もっとより広いという意味。


伊藤委員 はい、そういう意味です。


宮島委員 広いというのは、コーポレート・ガバナンスまで含めた意味。


伊藤委員 そういうふうに私は解釈しているんですけどね。


宮島委員 それがしっかりした具合かどうかということによって違いが出るかどうか。


伊藤委員 ええ、そういうふうに私は考えているんですけれども。
 私は、ちょっとそれに関連して意見を申させていただければ、ここで「被監査会社の内部統制の状況等の関わりで、」とこれははっきりと入れていただいたわけですね。私はこの内部統制というのは、広い意味でコーポレート・ガバナンス含めた全体の姿。それはもちろん商法で決められたのが最低限あるわけですけれども、それにプラスいろんな形でのコーポレート・ガバナンスが行われているんじゃないか。そういうところでいろんな形での外部監査チェックが十分行われている会社と、何もやらない、上場はしているけど、同族に近いような会社と同じでいいのかということがあるわけですね。
 それから、もう一つは、基本的にその下の文章です。「一方で、企業の活動の多角化、複雑化等に伴い、監査をより一層充実・強化するため監査日数」と書いて、つまりこの全体の資料を考えると、公認会計士の質を高める。そのために交替もすると、いろんなことを言われているんですが、監査業務そのものの効率というのは何もうたわれてない。先ほどからずっと見ていたんですけど、この前から何回か申し上げているので、インターネット時代になっていろんなことが行われてきて、そういうものについて前向きに取り組んでやるということは、どこかにうたってほしいわけです。従って、私はこの前に「監査業務の効率性の向上を前提とするけれども、企業の活動の多角化、複雑化に伴い、監査をより一層充実・強化するため監査日数を」云々というのは分かるんだけれども、それが全然ないというのはちょっとおかしいんじゃないかということで、それは当然のことですけど、公認会計士の業務の効率化を向上するというのが、本当言えば、どこかに一つ設けて、それをとうとうとうたうべきじゃないかというふうに思います。
 以上です。


三原小委員長 岸田委員。


岸田委員 ちょっとお聞きしたいんですが……


三原小委員長 今のに関連した御意見いただきたいんですけど。すみません。
  いかがでしょうか、ただいまの御意見について。
  富山委員、どうぞ。


富山委員 伊藤さんのおっしゃるような意味合いで書くのであれば、内部統制よりは、「内部管理体制」という言葉の方が、より広いのではないかという感じがします。


三原小委員長 それは、では、そういう表現に直すとして。


伊藤委員 それが一つですね。それから、もう一つですね。


三原小委員長 今の伊藤委員の御意見ですね。どこかにそういうことを、つまり監査する側も監査の効率化には一応配慮するべきであると、そういう表現をどこかに入れるということですね。


伊藤委員 それをやはりぜひ入れていただきたい。


三原小委員長 それは特に御異論ないですね。では、そういうふうに文章を修正させていただきます。
  どうも岸田委員失礼しました。


岸田委員 ちょっと言葉の問題なんですが、「被監査企業」と書いてあるのを「被監査会社」に直されているんですが、御承知のように会社以外でも信用金庫とか信用組合とか、あるいはたくさんの法定監査しなければいけないのがあると思うんですが、なぜこれを変えられたのか、ちょっとお教えいただければと思います。企業でよろしいんじゃないか。


福地課長補佐 確かにおっしゃいますように監査の対象となるのは、会社のみならず団体だとか、いろいろなところがございますが、文言を統一して分かりやすくするという趣旨から、「被監査会社」という形で統一したところでございますので、その点、もし、団体あるいは信用金庫等がということであれば、逆に「等」を入れるとかが考えられます。


富山委員 ちょっとよろしいですか。


三原小委員長 はい。


富山委員 ついでに言いますが、「クライアント」という表現がありますが、あれも同じ意味で使っていると思いますので、整理された方がいいと思います。


福地課長補佐 分かりました。


三原小委員長 おっしゃることは分かりますけど、一応文章の簡素化ということでひとつ御了解いただきたいと思います。
 奥山委員、どうぞ。


奥山委員 13ページの6のマル2の「求められる対応」ですが、この文章、もっともだと思うんですけれども、若干気になるのは、これがこのままいきますと、公認会計士法の改正で標準報酬規定を削除するというふうに次の段階で読まれると、ちょっと困るんですね。
 つまり私ども何が言いたいかといいますと、現在、監査の拡がりがいろいろありまして、必ずしも監査ということに慣れていない相手がかなり出てきているわけですね。そうしましたときに、やはり相手から見ても、監査報酬というものがある程度明示されていた方が非常に理解が早いということがあるものですから、証取法監査とか商法監査等はある程度会社の方も熟知していますので、そういうことで規定は要らないと思うんですけれども、一般的な規定を廃止ということになるとちょっと困るので、やはりこれは独禁法の関係からいきますと、法で残しておかないと一切決められなくなるというふうに聞いておりますので、その辺、当然の了解として文章をここへ置いておくということでしていただければ、ありがたいと思っているんです。


三原小委員長 13ページの一番下の方ですか。


奥山委員 そうです。


三原小委員長 「これを廃止すべきと考えられる。」と言い切るのはちょっと。


奥山委員 私ども提案した別紙では、2ページの8番目で書いてあるんですけれども、「少なくとも証取法の監査においては」とか、そういう言い方を一応したんですよね。ただ、ここになじまないということで、もともとこれは証取法監査が前提だということでやっているということが先ほどもありましたので、あえて一々そこに入れるのもどうかなということで、それは必ずしも入れなくてもいいんですけれども、少なくともそういうことを前提としているという了解をここでは何らかの形で残しておいてほしい。議事録でも結構ですが、そういう趣旨でございます。


三原小委員長 文章には書かなくても、今、奥山さんが言われたことは議事録に残るから、それでもよろしいということでしょうか。


奥山委員 事務局の方にそういうことで理解していただく。


大藤大臣官房参事官 もう少し明確にしておいていただいた方がよろしいんじゃないかと思うんですが、どこを残すべきなのか、あるいは残す必要がないのかですね。


三原小委員長 新原さん何か。


新原東証監理官 これは大変大事なことだと思いますので、皆さんでよく御議論いただいた方がいいと思います。経団連も本当にいいのかどうか。


伊藤委員 これは経団連としては、外してくれというのが経団連側の意見なんです。


三原小委員長 ですから、その辺については特に異論はないわけですね。ただ、場合によっては必要な場合もあるので、その辺の余地を残しておいてくれと、こういう御意見ですね。


伊藤委員 少なくとも証取法監査においてはですね。


三原小委員長 関委員、どうぞ。


関委員 要するに、いわゆる企業じゃない監査の対象になる、広い分野がだんだん広まってくるわけですけど、そういう方々の意見はここでは必ずしも誰も代表してないのかもしれないので、そこのところはどうすればいいかというのは、ちょっと気になるのと、それから、また、例えば、どこかでこれ全体を法律改正するときに、こちらは外すけど、こちらは残しておくというのは、なかなか行政が法案を書くについて難しいかもしれないととっさに思うんですけれども、そのあたりはどういうふうに考えたらいいのかなという気がしますけれども。


三原小委員長 どこまで標準監査報酬制度を残して適用することにしたらいいのか、またこれはいろいろ議論になると思うんですけれども、少なくとも今まで我々が前提としている一般の被監査会社については要らないだろうと。そういうことであれば、そういうような限定を付けた「適用を廃止するべきである」そういう言い方になりますかね。そういう言い方なら、皆さん御異論はないわけですね。では、そういう言い方にしましょうか。


大藤大臣官房参事官 個別具体的に言いますと、公認会計士法の44条で「会則」というのがございまして、「協会は会則を定め、これに次に掲げる事項を記載しなければならない。」とございまして、その10号で、会員の受ける報酬に関する標準を示す規定というのがあります。ですから、これを削除してしまうか、ということにも関わってくる。


三原小委員長 削除しないで、「〇〇〇〇については適用しない」「〇〇〇〇についてだけ定める」とか、それは会則で決められるわけですね。その決め方の問題ということになろうかと思いますけれども、全面的に廃止するんじゃなければ。そういう余地も残しておいてほしいという御意見で、その辺は特に御異論がなければ、そういう表現に改めたいと思います。
 いいですか、そんなところで。


大藤大臣官房参事官 もう一度具体的にどういう修文を行うか。全て撤廃するという余地も当然あり得るという理解でよろしいんでしょうか。


三原小委員長 いや、それですと協会の方から御異論があると。ですから、少なくとも、「〇〇〇〇については廃止する」と。


大藤大臣官房参事官 ただ、なかなか、どういう理由で、非常に小さいところだから、そこについては残す合理性があると、規制改革委員会等には十分説明が難しいような気もするんですけれども、そこら辺の合理性がですね。


奥山委員 合理性を言いますと、要するに監査とは何かということについて、まだ監査を受ける経験が乏しいところですね、そういう意味では監査の習熟度ということについて、まだなかなかできてない。証取法監査は何十年もたっているわけですから、お互いどういう監査を受けて、どういう監査を実施するかということについては、ある程度概ね了解がある。そうしますと、その中で、そのコストについては、それぞれの当事者同士で決められるだろうというのは、それは理解できると思うんです。
 しかしながら、そうじゃないところについては、一体これは幾らするんですかというときに、何も基準がないと、それは各監査法人なり、各個人の全く目論見でしかないわけで、これはばらつきがものすごく大きく出て、それを一応目途として、これから監査を導入しようとする側から考えると、とてもそんなことではうまくいかないということだと思うんですね。ですから、監査の導入時に当たっては、やはりある程度の目安はあった方がお互いにいいということは、それは理解できるんじゃないかと思うんです。


三原小委員長 白石委員、どうぞ。


白石委員 確かに商法監査の方が証取法監査よりは広いですね。これは事実なんですが、ただ、監査は、そういう商法対象しかやっていないとか、証取法もそれにプラスしてやっているとか、余り区別がない。最後の財務諸表というか、有価証券報告書をどう作るかというのは確かにありますけれども、監査の現場とか、実際にやっているところの事象というのは、商法とか証取法とかそういう区別は余りないのではないか。確かに今から新しく商法の監査に入るところは大変でしょうけれども、それこそ監査法人として証取法で行っている監査の基本になる部分のプロセスといいますか、プロシジュアー(手続)といいますか、そういったことを参考に、そういう会社に説明することによって監査報酬の契約はできるのではないかというふうに私は思います。


三原小委員長 標準監査報酬というような今までのようなものではなくても、大体こんな基準になっていますと、そういうものを初めて監査を受けるところは、今、白石委員が言われたようなやり方でもいいですけれども、そういう形で、大体こんなことになっていますということを示す意味の基準というのは考えられないんですか。


奥山委員 商法について私どもそんなにこだわっているわけではないんですけれども、商法は証取法とやや似たところがありますので、多くの会社については証取法を準用できるかなということで、それはこだわってないんですけれども、商法、証取法以外の会社、あるいは商法、証取法以外の団体と言った方がいいかもしれません。何にしろ、協会が何らかの標準的なコストの話をすると、それは即、独禁法上違反になると言われたんです、以前に。会計士協会がそれを言って違反でないのは、公認会計士法第44条に規定があるからそれはいいんだと。だから、これに基づいている限りはいいんだけれども、これがなくなったら、何言っても、それはすぐ事業者団体で独占価格の問題になるよということを言われたものですから、それ以来ずっとこのことについて非常に気にしているわけなんです。


三原小委員長 関委員、どうぞ。


関委員 私どもの業界も例の手数料の自由化という問題で非常に長い議論をやりまして、一連の過程で今おっしゃった公正取引委員会の解釈などもだんだん厳格になってきましたし、いわゆる適用除外法も、どんどん適用除外をする分を外すという、要するに原則どおりいくという部分がどんどん増えてきていますから、公認会計士協会そのものにその適用除外法がどこまで続いているのかというのは私分かりませんけれども、やはりここに書いてあるから、一定の率で公認会計士協会がこれで少しでも価格面を指導していこうという要素が出るのは、今の公取の運営ではなかなか難しいのかもしれないなという気がしますけれども。


三原小委員長 現実にそういう基準を示す必要性があるとすれば、今の規定は下手に削れないと、そういうことになるわけですね。ですから、それは今後の問題として、今の根拠規定を削るということまでやっていいのか、あるいは何らかの基準を示す必要がある場合もあるから、それは残しておく。実際の適用はできるだけ幅広く弾力的に適用するというようなことになるかもしれませんけれども、何らかの基準を示す根拠は必要であると、こういう御意見等あると思うんです。
 そういうことでありましたら、ここではなかなかまとまらないと思うので、廃止すべきであるという意見と、それから、一部基準を示しておく必要がある場合もあるので、その会則の規定は残しておくべきであると、二つあるという形で残しておきましょうか、これは。両論で。


山浦小委員長代理 ちょっといいですか。


三原小委員長 はい。


山浦小委員長代理 私自身確かに一長一短あるなという気がするんですけど、ただ、もうそろそろ会計士の業界も、いわばマーケットの原則というのですか、今、奥山委員がおっしゃったような状況では、例えば、相手の企業なり団体に、おたくを監査するには〇〇〇の日数が必要だ、人数が必要だ、結果としてこのくらいの報酬がどうしても必要という、それは個別交渉で契約自由というか、その契約に当たって、その時その時で相手に根拠を明示して、その上で監査契約を結ぶという、本当に市場の原理をそろそろ協会としても取り入れられた方がいいんじゃないかという気がするんですね。
 一部自主規制という形を今度非常に強く打ち出しますので、それと同時に、自主規制というのは自己責任でもあるわけですね。そういう業界としての何らかのコンセンサスを得るために、できればこういった標準報酬制度は、この機会だからこそむしろ取った方がいいのではないかという気がするんですけれども、これは余計なお世話とおっしゃると、それまでなんですけど、どうも私自身はこれからの次の国際的な活動を考えますと、やはり報酬については、むしろフリーマーケットを前提とした取決めを行うという、それくらいの覚悟がやっぱり必要じゃないかという気がするんですけれども。


奥山委員 御指摘もっともで、私どもその覚悟がないという意味じゃないんですけれども、今例えば、これから拡がる可能性があるのが独立行政法人とか、それから社会福祉法人、どちらかというと公的会計部分ですね。向こうは予め予算を取って対応したいと。そういうことに対して会計士協会にどのぐらいの予算を見たらいいんだろうという御相談がよくあるんですね。そういうときに協会が一切それについては言うことができないということが、そういう制度を発展させる上でどうなのかなと、そういう趣旨なんです。


山浦小委員長代理 その考え方はどちらでも、むしろそういった予算が示されるのであれば、その範囲ではこれだけのことしかできないという話になってくるんじゃないかという気がします。


奥山委員 予算をどのぐらい取ったらいいでしょうかという、逆なんですよね。こちらからそのコストを教えてくれという意味なんです。


山浦小委員長代理 でしたら、逆に言うと、それこそやりやすいというか、これだけの予算が必要だということを向こうに提示して、その範囲内で予算を確保するようにする。


奥山委員 ですから、提示ができればいいんですけれども、規定がないと協会が提示できなくなるわけですね。


山浦小委員長代理 それが分からない。


奥山委員 いや、それはできないんじゃないですか。事業者団体がそれを言うことはできないと思いますよ。


三原小委員長 物を作る場合は原価計算で積み上げができますけど、こういう業務について、幾らかかるからと、だんだん積み上げの計算というのも相手に示せるだけの根拠は難しいような気も私はするんですけど、専門家じゃないから分かりませんけれども、ですから、初めてのところは、例えば、地方自治体に対する外部監査人なんていうのも今やっていますけど、あれなんかもなかなか報酬の金額を定めるのが難しいんじゃないかと思いますね。分からないでもないですけれども。


奥山委員 今ここで余りそのことを議論している時間はないと思うんですけれども、そこは、公取の見解をぜひ一度お聞きしてほしいんです。相当強いことを私、前にも言われましたし、今の経験でも、多分、価格に関することの何でもとにかく相談を受けて、協会がしゃべったら、それは根拠がない限りだめだと言われると思うんですよ。ですから、そういう相談が非常に怖いなと、そう思っているんですけどね。そこは、事業者団体と認定されていますと、かなり危険があるなと思っています。


三原小委員長 分かりました。それでは、一応ここは大勢としては、廃止するべきであるということと思いますので、「考えられる」と一応しました上で、「これについては、〇〇〇〇の理由から、一部残しておく必要があるとの指摘もある」そのような形で表現を残しておいて、まだ協会が頑張れる砦を残しておいてあげたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。そのような形で御了承いただきたい。
 関委員。


関委員 それでうまくいけば、いいんですけれども、例えば、公取の立場から、今の独禁法の適用の考え方とそれが非常に差があるという話ですと、我々もこういう審査会の一部隊としてやっているわけですから、余り考え方とずれているよというようなことであっては困るので、そこのところはちょっとチェックをしていただいた方がいいんじゃないでしょうか。
 今、奥山さんが心配している、このくらいかかるんじゃないでしょうかというのは、私ちょっとここと違う。つまり、例えば、新しい独立行政法人の監査を何日間やれば、従来の例から言えば、このくらいの報酬になりますと。この業務が、先ほど伊藤さんの言われた中の体制が十分できてなくて長引けば、もうちょっとかかりますとかと、そういうお答えになるんじゃないでしょうか。協会という立場ではそれ以上のことはできないような気がしますけれども。その限りにおいて独禁法は問題にならないような気がしますけど。要するに一つの知識を求められて提供したという感じ。だけど、おっしゃるように公取が非常に神経を使っているマターであるから、そこはクリアにしてほしいというのは分かると思います。


三原小委員長 これはどうなんでしょうか。多数決というわけにもいかないと思いますので、とにかく、ただいま廃止論が大勢を占めたということは事実なんですから、では、そういうふうに書きましょうか。「との考えが大勢を占めた。」と。
  岸田委員、どうぞ。


岸田委員 私、正確に調べていませんので分かりませんけれども、普通、独禁法の場合には、独禁法を適用しないという法律がありますよね。証券取引法にありましたけど、ない以上は当然に適用されるわけで、こういう標準報酬規定があろうがなかろうが、適用は私はされると思うんですが、なくなったからといって、今と変わるとは法律的には思わないんです。それと、これはあくまでも標準報酬ですから、別に拘束されるわけじゃないですよね。法律的にはこういうふうにしなさいと決めてしまえば独禁法が適用されると思うんですけれども、その意味で、会計士に限らず弁護士でも標準報酬はありますから、やっぱりそこと合わせて考えていただく方がよろしいんじゃないかと思うんです。廃止したからどう、廃止しなかったらということで法律的な効力は余り変わらない。事実上変わるかもしれませんけど、法律的には余り問題ないように私は気がしていますけど、調べていませんので分かりません。
  以上です。


奥山委員 これは実は大分前なんですけれども、まだ今ほど厳しくない状況のときでも、かなりの交渉を公取とやったんですね。それで、向こうは建築士とか何か例を挙げまして、建築士がやられたんですね。それで、それは規定がなかったんです。会計士法、業法に規定があるところは標準報酬規定はまだいいよと、その段階では言われたんです。今の段階でどうなるか分かりませんけれども。


岸田委員 私なんかも、それは公取の解釈であって、法律の解釈は裁判所で出す。


奥山委員 最終的にはそうかもしれませんね。


岸田委員 拘束してないわけですから、しなければいけないんじゃなくて、あくまで標準ですから、目安ですから、必ずしも違法でないと思います。


三原小委員長 協会の方が皆さんの御意見に従って、うんと言ってくれれば。どうしてもやっぱり意見を残しておきたい。


奥山委員 そこは、前に公取とやり合ったときの経緯からいきますと、ちょっとクリアしておかないと怖いなと思うので、そこだけは何かの形でクリアできればこだわりませんけれども、一切だめになると言われると、ちょっと抵抗があるんです。


三原小委員長 では、一部そういう意見があるとか、あるいはそういう指摘があるとか、一方的に全面的に廃止すべきということじゃなくて、何らかのそういう意見の取っかかりを残すような表現ですね。時間の関係もありますので、大体そんなところでまとめさせていただきたいと思います。
 それでは、続きまして、7番目の「自主規制機関としての公認会計士協会のあり方」について、15ページまでですが、特に15ページのハですね。新しく山浦委員の御意見に基づいて入れたところなんですが、この辺はいかがでしょうか。


山浦小委員長代理 協会の方に伺いたいんですけれども、今、会員総会等で年度の業務活動についての報告されていますね。それから、もう一つ、例えば、JICPAジャーナルなんか見ても、業務組織とか予算とか、そういう範囲では分かりますね。今こちらの方で「認可法人に関する調査結果に基づく勧告」で、今度、報告というか、ディスクロージャーをする中身というのは、従来の会務報告なり、一般に我々が見る範囲ではJICPAジャーナル等で見る、ああいった情報とどの程度の差を求められて、どの程度違いがあるか、そこをちょっとお伺いしたいんです。


奥山委員 なかなか一言で難しいんですけれども、今日持ってくればよかったんですが、年に1回、総会で会員全員に年間の業務報告書を出しているんですね。それはJICPAニュースレターや、あるいはJICPAジャーナル、そういうものを出している中身そのものではないんですけれども、概括的にこういう調査、研究を行ったとか、こういう委員会報告を作成したとか、そういうのが網羅的に出ているんですね。それから、そのほかの業務活動もいろいろ出ていますので、その冊子はディスクローズするとすれば、非常に有効だというふうには思っています。会計的な中身もみんなそこに入っていますから、ですから、それを何らかの形で開示するということは考えられると思うんですね。


三原小委員長 よろしいでしょうか。そういう形ででもそれを一般に公開するということでもこの趣旨は達せられるんじゃないかと思いますけど、そういう意味で異論はございませんね。
 何かほかにここの部分でありますでしょうか。
 なければ、次の16ページの「公認会計士の質の向上に向けて」、これはボリュームは余りありませんので、1の「継続的専門研修制度のあり方」、2の「公認会計士の登録制度のあり方」、3の「公認会計士協会への強制入会制度のあり方」、19ページまでまとめて御意見を頂戴したいと思います。
一応先へいってよろしいでしょうか。また戻っても結構ですが、特になければIIIの「環境の変化に適合した監査法人制度及び業務範囲等のあり方」、1の「監査法人制度のあり方」、それから22ページの「業務範囲のあり方」、それから23ページの「広告規制のあり方」、4の「公認会計士法の目的規定等の要否等」ここまでまとめて御意見をお伺いしたいと思います。
 奥山委員、どうぞ。


奥山委員 注文ばかりつけるようで恐縮なんですけれども、20ページの今回付け加えられたところで、マル1の一番最後のところですね。要するにここで言っているのは、さらに、監査法人の事業内容や財務内容についての開示、それから、監査法人が有限責任制を採用する場合は、外部監査制度を導入すべきと、二つの提案が今回入っているわけですね。そして、ここでは「との指摘がある。」となっているんですが、「求められる対応」の21ページのニで見ますと、「指摘がある。」が「導入を検討する必要があると考えられる。」で、一挙に制度化するような方向で出されているんですけれども、指摘があるというのは一部の意見でありまして、それが結論に出ちゃうのは、議論をしない間に出ちゃうのは辛いなと、こう思うんですが、この辺はいかがなんでしょうか。


三原小委員長 これはほかのところでも、いろんな意見があるのを前の方の考え方のところで指摘があると、こういうようなことで書いて、その指摘を踏まえて、みんなで議論した結果、考えられる方策として大体一致したところを下に書くというやり方をしていると思いますので、この21ページの書き方、これで皆さんがよろしいということであれば、これでいいんじゃないかと思いますけど、御異論があれば、またそれはそれで書き方を考える。


奥山委員 というのは、前にポイントで出されてなかったんですよね。ですから、私ども個人的意見は言えるんですけれども、本当にこういう方向がいいのかどうかについて内部で議論する時間がなかったものですから、それで、それを結論にされると困るので、留意点ぐらいだったらよろしいんですけれども、そういう意味で申し上げているんです。


三原小委員長 富山委員、どうぞ。


富山委員 今日初めてこの意見が出されたのですが、このような制度はアメリカにはありませんし、イギリスでも、株式会社と同じような形で有限責任制度を導入した場合には監査等が必要となりますが、例外的な取扱いなんですね。そのような制度があるがために、イギリスでは有限責任制度がほとんど利用されてなくて、1つ事務所だけがそこへ移行したが、あとはどこも採用していないということらしいので、これを一般的に必要なものだと言われると、時期尚早ではないのかという感じがします。


三原小委員長 宮島委員、どうぞ。


宮島委員 今の点、私もちょっと気になっていたんですが、有限責任制といっても、先ほどお話があったように監査法人自体が無限責任ですし、それから、関与社員が無限責任を負うという体制の有限責任制という意味だと思うんですね。そんなときに、株式会社と同じように、一般の事業会社と同じように外部監査制度というものが要求される理由が、これでは薄いのかな。ほかの公益性だか何だか知りませんけど、そういう理由なのかなという気がするので、入っても入らなくてもいいんですけれども、理由がちょっとこれでは足りないかなと、そんな感じがいたしました。


三原小委員長 山浦委員、どうぞ。


山浦小委員長代理 これはもちろんこちらの方で議論をしていただくためのたたき台でありますので、例えば、これについて二つが提案として柱になっているわけですね。
 一つは、監査法人のディスクロージャーの問題。恐らくこれについては、自主規制のルールをあくまでも柱にするのであれば、それの見返りとして、何らかの形でディスクロージャーは必要ではないか。もちろん監査法人にはそれこそピンからキリまでありまして、事実上、例えば貸借対照表でさえも作れないような監査法人もありますし、それから、もちろん先生方がいらっしゃるような大法人につきましてはかなり大きな事業体でありますので、これはディスクロージャーをすることがそれなりに意味はあると思うんですね。
 この点については、もちろん規模、基準等は考えられるかも分かりません。ただ、監査制度について、監査人を外部監査するという考えはおかしいじゃないか、それから、海外では確かにイギリスがありますし、そういう意味ではあるけれども、少ない。こういうことだと思うんですけれども、一つは、有限責任制で恐らくいろんな資本の調達形態がかなり多様化してくることになるんじゃないか。単にパートナーだけの範囲の資本調達であれば問題ないんですけれども、恐らくさらに例えば外部からの借入れ等、そういった場面も出てくるんじゃないか。そういう資本の調達形態がかなり変わってくる可能性を一つ考えているんですね。
 単にパートナーといっても、普通の関与社員。恐らく有限責任制のパートナーシップというと、関与社員だけの資本調達が今のところ考えられると思うんですけれども、やはり外部資本、借入資本等が入ってくると外部監査の必要性が出てくるかもしれない。
 それから、もっとそれ以上に、現在の監査法人の規模からしますと、例えば、一般の株式会社の事業会社の規模と比較して、売上高等でも商法の規定にある、いわゆる大会社の規模よりもはるかに大きい組織形態になっているんじゃないかと思うんですね。そうしますと、あえてここで有限責任制をとるかとらないか、それは自由なんですけれども、少なくとも有限責任制をとった場合には、一般の事業会社の監査制度をモデルにした監査のあり方というのは、むしろ積極的に取り入れる方がいいのではないかという気がするんですけれども。
 特に一番大きな問題は事業規模の話なんですね。世界的な監査法人はともかくとして、日本の監査法人でさえも通常の株式会社で、例えばコンサルティングをやるようなところと比較しても、はるかに大きな売上高等となっていますし、そういった意味では、商法の株式会社に対する外部監査制度と特に区別する理由はむしろないんじゃないかという気がするんですけれども、もちろんそれはこちらの方で今日提案していますので、ここで議論する。それから、協会で持ち帰らなければだめだとかいう、そういったお話、もしかしたら出るかも分かりませんけれども、それについては、それなりの修文も考える必要があると思います。


三原小委員長 山浦委員の言われること、ごもっともなところがあると思いますけれども、何分今まで議論してない非常に大きな問題をこの段階で急に出されると、協会の方もある程度理解しても、おいそれといいよと言うわけにもいかない立場もあろうかと思いますので、ここはどうでしょうか。最後の方策の方は一応やめておいて、指摘があるという、折角の御意見ですから、こういう指摘があって、それを関係方面で考えてもらいたいということで、そちらの方は残すということで御了解いただければ、そうさせていただきたいと思います。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 では、ほかの点でこの第IIIのグループ、何か御意見ありますでしょうか。


伊藤委員 ちょっともう一回確認したい。20ページの方の「更に、現在の監査法人」云々というところは残すんですね。


三原小委員長 「指摘がある。」というのは残す。


伊藤委員 分かりました。


三原小委員長 あとはいかがでしょうか。
 あと2~3分時間があるので、また全体で遡って何か気がついたところがあれば、御意見をお伺いしたいと思います。


伊藤委員 山浦先生、ちょっとそれに関連するんですけれども、先生の議論を首尾一貫して考えていくと、つまり先ほどの名前の問題もあるんです。名称も関連するんですけど、やはり無限責任というのは基本的に無理があるという前提なんですか。先生のロジックをずっと追っていくと、つまり全ては有限責任に限定をして、従って、企業と同じように監査も入れ、逆に言えば、有限責任だから名前も入れなくてよろしいというふうにずっとロジックがつながっていくんですかね、先生。えらい変なことをお伺いします。


山浦小委員長代理 いや、そういうことは考えておりません。実際は、先ほど例えば名前の件は協会の方で最初に指摘されたとおり、監査の品質の管理体制というのは個人レベルではおさまらないと、そういう実態を考えれば、組織形態が有限であろうと無限であろうと、その責任のあり方としては、監査法人がやはり責任をとるべきだと、こういう考え方ですね。


三原小委員長 最後に一つ確認させていただきたいんですが、この答申といいますか、まとめのタイトルなんですが、一応ここにありますように、「監査制度に関わる問題点と改革の方向」こういうタイトルにさせていただきましたけれども、これでよろしいかどうか、何か御意見があればお伺いしたいと思います。
 これは問題点を一応指摘して、それに対する改革の方向を論じているというようなことで大体中身に合っているんじゃないかとは思いますけれども、特に御異論がなければ、このまとめは、こういうタイトルにさせていただきたいと思います。


伊藤委員 私はくどいようで恐縮なんですけど、全般の印象として、先ほどの繰り返しになるんですけれども、公認会計士の制度そのものをこういう委員会において質を高めるようにやる。そのベースはあくまでも自主管理であるということにおいて、いろんな角度からチェックをし、行われたことは非常に結構なんだけれども、それでは、公認会計士自身のあり方としての精度アップというのかな、どう言ったらいいんですか、外的な要因での精度アップはいろいろやったわけだけれども、従って、業務内容その他についても、これは公認会計士協会の自主管理に任せるんだから、そこについての精度アップというのを公認会計士協会で出すとか、そういうことがあると、より非常に世間の評価は信頼度を一段と増すと思う。それはピアレビューとか何かの形で行われているので、それを公表して、つまり結局、自主管理というのは山浦先生がおっしゃったように、自らやる内容を公開し、そしてそれを絶えずディスクローズして、会社と同じですけど、そういうことをきちんとやるんだよということをどこかに、もうちょっとうたえないかなという感じがするんですけどね。


三原小委員長 そういう自主規制機関としての立場といいますか、その辺はこの文章のどこかにも書いてはあるんですけどね。


伊藤委員 公認会計士協会のあり方みたいなところをもうちょっと触れていただいたら、公認会計士協会自体のあり方ですな。我々が望むべき公認会計士協会そのものが今後自主管理をぜひやってほしい。しかし、同時にそれは厳しい内部トレースとディスクローズというものをちゃんと裏付けされたものであるということでみんなが納得する、こういう形であるべきですね。


三原小委員長 山浦委員、どうぞ。


山浦小委員長代理 伊藤委員のおっしゃるとおりなんですけど、実は先ほど紹介しましたアメリカのパブリック・オーバーサイト・ボード(POB)の先週出された報告書では、協会のガバナンス、向こうで言います米国公認会計士協会のガバナンスの問題、それから、監査法人自身のガバナンスの問題、その両方について触れているんですね。今回、協会のガバナンスについては協会の方にお任せするというスタンスできておりますので、あえてここで入れないんですけど、やはりそういった視点は、これから必要ではないかという気がします。


奥山委員 ちょっとその点で補足なんですけれども、ワーキンググループで三つの整理をされまして、会計士協会に投げられたものもあるんですね。この小委員会で議論したのもありますけれども、あと審議会ですか。協会に投げられたものもまとまって一応報告をしなきゃいけないというふうに思って、その準備はしておりますので、伊藤委員の御心配も、ぜひ受けて、一生懸命やっていきたいと思っています。


三原小委員長 関委員、どうぞ。


関委員 これはこだわりませんけれども、折角この報告を出すに当たって、「監査制度に関わる問題点と改革の方向」これはそのとおりでよろしいんですけれども、問題意識を少し出すとすれば、このすぐ下にありますけど、監査制度の信頼向上のための改革の方向とか、少し問題意識が浮かび出るようなこと、それについて関係者の皆さんにちょっと抵抗感でもあれば私はそんなにこだわりませんけれども、それの方がいいかなとちょっと思いましたので、御検討ください。こだわりません。


三原小委員長 そういえば、提言も前は、「充実に向けての提言」と言葉がおごってましたですから、少しそういう気持ちが出るような言葉を、どうですか、ちょっと考えてみたいと思います。


伊藤委員 私もぜひそういうふうに入れてほしいし、先ほど奥山さんが言ったことに付け加えて恐縮ですが、そういうことも最後に、この後に第2弾として協会から出てくると、そうすると非常に充実してくるんです。


三原小委員長 今の協会の決意宣言で、ひとつ代えさせていただけたらと思います。
 いろいろと御議論いただきましたけれども、大体予定の時間が参りましたので、この辺で意見交換を終了させていただきます。
 本日御検討いただきました修正案を御了承いただいたものとしまして、細かい表現の修正や公表などの今後の取扱いにつきましては、私に御一任いただきたいと思いますが、いかがでしょうか、よろしいでしょうか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三原小委員長 ありがとうございました。
 本日頂戴しました御意見等につきましては、ただいまのとりまとめ案に反映させるべく修正を行った後に、皆様に送付させていただきたいと思います。
 なお、本日の会合で、当小委員会として、御意見等のとりまとめができましたものと考えられますことから、本日の会合をもちまして一つの区切りとさせていただきたいと思います。今後、先ほど申し上げましたように、修正をいたしましたとりまとめ案を公表させていただきますとともに、公認会計士審査会等への報告をさせていただきたいと思います。
 本日の会合をもちまして、一つの区切りとさせていただきますが、これまでの10回の会合を通じまして、小委員長として力不足のため、議事進行上何かと御迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。にもかかわらず、委員の皆様には、各会合において活発な御発言をいただき、議事進行に多大な御協力をいただいたことを厚く御礼を申し上げます。
 おかげさまで、監査制度に関する諸問題について、かつてないほどと私は思いますけれども、幅広く、かつ、突っ込んだ審議をすることができ、大きな成果を上げることができたと考えております。
 先日の新聞記事の取扱いに見られるように、この問題は世間の大きな関心を呼んでいるところでありまして、我々の努力の成果が各方面に取り上げられまして、今後の改革に大いに役立てられることを心から期待しているところでございます。
 皆様には、重ねて御協力を感謝申し上げます。どうもありがとうございました。
 なお、皆様の席上に第9回会合の議事録(未定稿)をお配りさせていただいております。御覧いただきまして、お気づきの点がございましたら、お手数ですが、6月30日(金曜日)までに事務局へお知らせくださるようにお願いいたします。
以上をもちまして、本日の小委員会を終了いたします。
 どうもありがとうございました。

午後3時36分閉会

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