平成12年6月15日(木)

 
公認会計士審査会

第7回試験制度に関する検討小グループ議事録


於 大蔵省第三特別会議室
(本庁舎4階)

大蔵省金融企画局市場課
 


午後3時30分開会

神崎座長 予定の時刻も参りましたので、ただいまから、「試験制度に関する検討小グループ」の第7回会合を開催いたします。
 前回会合におきまして、「公認会計士試験制度見直しに関する問題整理(案)」について御審議いただき、意見交換をさせていただきました。
 本日は、前回いただきました御意見等を基に「問題整理(案)」を修正しておりますので、これにつきまして御審議いただきたいと存じます。
 まず、修正の内容につきまして、事務局から説明をお願いいたします。


福地課長補佐 それでは、事務局の方から、修正案につきまして御説明させていただきます。
 まず、修正案の方の目次でございますが、「1.はじめに」ということで、前回は「経緯」が1でございましたが、「はじめに」を設けまして、(1)で「経緯」、それから(2)で「公認会計士試験制度の見直しの必要性」という修正をしております。
 具体的な修正の内容でございますが、修正項目につきましては、下線で表示してございます。
 2ページでございますが、修正案の方でいきますと、「以上のことから、」という修正を入れておりますが、この点につきましては、前回の案文ではワーキンググループでの指摘の内容と、それから、当小グループでの意見が混在したような内容になっておりましたので、その点の明確化を図るということで、「以上のことから、」を2ページに持ってきております。それで、そこまでを「経緯」として整理してございます。
 以下、(2)で見直しの必要性という形で修文をしております。
 4ページに移っていただきまして、4ページの主な修正は、まず、大変申し訳ございませんが、今回の修正案のところで、下から二つ目の「必要があると考えられる。」を「必要であると考えられる。」に訂正していただきたいと思います。この部分につきましては、前回は「必要との指摘がある。」という表現になっておりましたが、「必要であると考えられる。」というように修文しているところでございます。
 一番下の行のところにつきましては、公認会計士数を現在の4倍程度になるようにするというその考え方といいましょうか、観点をまず明確にいたしまして、4倍ということを表現するようにいたしております。
 5ページに移っていただきますと、なお書きのところがございますが、前回の案によりますと、「合格者増員には限度があるのではないかというような意見があり、今後議論を深めていく必要がある。」という表現になっておりましたが、それをこのような形で訂正しておりまして、「業務補助の機会を提供することができるよう必要な対応を検討する必要があると考えられる」という形で御訂正願います。
 それから、5ページの真ん中のところに、「また、更にこれに止まらず、」というのは、全回会合において、企業等と監査法人との間の人材交流の促進に資するという御意見がこざいましたので、その点を入れております。
 それから、5ページの(3)から6ページにつきましても修正を入れておりますけれども、基本的には公正有効な競争の促進による全体の水準向上に資するものと考えられるといったような考えもあるという従来の流れから、このような形での位置づけを図っているところでございます。
 それから、8ページに移っていただきたいと思いますが、「マル1 試験科目等の見直しについて」において「等」が入っておりますのは、試験科目の見直しのほかに出題範囲あるいは出題内容の標準化といったものをこちらに盛り込みまして、その関係で「試験科目等の見直しについて」にしております。
 それで、また誠に申し訳ないんですが、ちょっと訂正をお願いしたいんですけれども、真ん中の「簿記」のところがございますが、「「簿記」「原価計算」については、基礎的な知識は最低必要であるが、」というところの訂正事項でございまして、「出題範囲や出題内容について標準化」となっておりますが、その点を「出題範囲の明確化や出題内容について標準化を徹底することが必要ではないか。」と、そのような形で御訂正をお願いしたいと思います。
 それから、8ページにつきましては、民法についても出題範囲の明確化という御意見をいただいておりますので、この点も追加しております。
 あと、9ページの上段でございますけれども、「科目合格制の導入について」「マル1の試験科目の見直しと併せて」というような形で修文しておりますが、この修文の趣旨といたしましては、マル1の試験科目の見直しが行われまして、現在の試験科目が仮に減少したとすれば、科目合格制の導入というのも変わってこようかと思いますので、「現在の試験科目を前提とした場合、」という形で修文をしております。
 それから、12ページでございますが、「以上の検討に加えて、」ということで、現行の試験体系にとらわれずに、「社会人を含む多様な人材が公認会計士資格を取得しやすくなるような方途やアカウンティングスクールの設置等についても議論を深めていく必要がある。」という考えを明確にするということから、ここに修正を入れております。
 以下、13ページ等の修正につきましては、文章の明確化ということで訂正しております。大ざっぱな修正の説明で申し訳ございませんが、以上でございます。


神崎座長 ありがとうございました。
 それでは、この修正(案)につきまして、追加・修正すべき点を含めまして、皆様から御質問・御意見を頂戴したいと思います。
 項目ごとに検討をするということで、まず、「はじめに」の部分につきまして、御質問・御意見ありましたら、ぜひ御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。
三原委員お願いいたします。


三原委員 前回欠席して、失礼いたしました。説明があったのであれば御容赦いただきたいんですけれども、ちょっと分からなかったので。
 3ページの締めの言葉ですが、下から2行目で、「公表し、各界の意見を求めたうえで当小グループの報告のとりまとめを行うことを予定している。」と、この「各界の意見を求めたうえで」というところは、具体的にはどういうことを考えておられるんでしょうか。


神崎座長 お願いいたします。


大藤大臣官房参事官 これは、論点整理ということで今回おまとめいただくということでございますので、パブリック・コメントというような形で各界から意見を聴取いたしまして、それを踏まえまして、引き続きまたこれをさらに具体化していただいたらいかがかということでこの文章を書いております。


三原委員 パブリック・コメントというのは、ちょっとよく分からないんですけど、それは一般の、要するにこれを見た人は誰でも意見を言っていいと。「各界」と書いてあるものだから、何か特にこちらの方から具体的にこの意見を求めるのかと思ったんですけど、そういうことではないんですね。


大藤大臣官房参事官 はい、違います。


三原委員 分かりました。


神崎座長 この部分は、これでよろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、「基本的な考え方」の部分につきまして御意見を賜りたいと思います。いかがでしょうか。
 木下委員お願いします。


木下委員 協会の見解を聞きたいんですが、この間の日経の夕刊に出ていたあの記事は、協会の公式な発表なんですか。


神崎座長 協会、お願いします。


福田委員 取材があったというようなことは担当の人とかそれ以外の人から聞いてもございませんでした。ただ、ここに書いてある6,000名という数字、毎年1,500人というような数字は、理事会でもいろいろ検討したことですから、そういうところから知っている人がたくさんいるということは事実だと思います。


神崎座長 木下委員。


木下委員 知っていて、記事になっちゃうんですか。何か協会が申し出たみたいな形で記事になっていますね。全く誰も関知しないでああいう記事が書かれるような背景というのはあるんですか。


福田委員 取材がなかったということで、もちろん発表もしていないですし、取材もないような状況でああいうものが書かれていると、そういうことです。そういう関心があったということはあったんじゃないかと思いますが、特に取材とか、協会から発表したというようなことは何もないと、そういうような状況です。


木下委員 それに対して、協会は全く何も言わずに、ただ「ああ、そうですか」というか、記事があったなということで済んでいるわけですかね。


福田委員 済んでいるというより、そういう意味で、1,500人ずつという話は協会がお願いしていることでもあり、間違いを書かれたというわけではないんで、訂正するというような状況にはないということです。


木下委員 何か非常に納得がいかない記事だったのでびっくりして、影響は多いですね。もう既に受験している学生や何かから当然授業のときに聞かれましたしね。だから、そういう記事が協会からあたかも要望を公式的に出しているというようなことが記事になったようなときには、そのまま放置しておいていいものなのかどうなのか。その点についてはどうお考えですか。


福田委員 昔というより大分前に、広報担当の常務理事を協会でやっていたことがあるんですが、およそ記事の訂正というのは、間違いがあったというような場合で訂正してもらっても、非常に小さく出て効果がないというようなこともありまして、なかなか訂正というのが有効じゃないという経験を持っています。特に今回の話でいきますと、間違いだという部分が余りないというようなことなので、今、私は担当ではありませんが、広報担当なりそういう人からの訂正依頼というようなものは出ていないと思います。


神崎座長 森田委員お願いします。


森田委員 同じ問題なんですけれども、記事によりますと、「2次試験の合格者を2倍の1,500人にするよう大蔵省に要望していることが明らかになった」という記事なので、これに類するようなことは福田委員からこのグループの検討会では出たように私なんかは頭の中にあるんですが、そのことを言っているということなんですか。


福田委員 取材源がはっきりしないので何とも言えないんですが、基本的にここでお願いしていることがそういうような表現になっていると。特に人数は、ちょうどぴったり合った数字ですし、ここでお出ししたのを理事会で一応説明して、了解を求めた上で出していますから、そういうような格好で取り扱われたのではないかということです。


神崎座長 問題整理(案)の方を今お願いしておりますように、「基本的な考え方」の部分につきまして、御質問・御意見ございますでしょうか。
 福田委員お願いします。


福田委員 5ページの上の方の文の今度付け加えられたというか、直されたなお書きの部分なんですが、「第3次試験受験要件になっている実務補習及び業務補助の機会を提供することができるよう必要な対応を検討する必要があると考えられる。」というのは、具体的にどういうことなのか。例えば、実務補習はともかく、業務補助の方になると、監査法人なり公認会計士の事務所が就職、いわゆる雇うような形の必要な対策をしろと、そういうような話の意味ということですかね、これは。この「できるよう必要な対応を検討する必要がある」というのは、具体的にどんな内容のことを考えられてこういうような表現になっているかをちょっとお聞きしたい。


大藤大臣官房参事官 ここの修文の趣旨は、前回、そういうところがネックになるということで、数の検討にはむしろ制限があるよというような感じでございました。それは数を増やすということが必要であれば、そこら辺についてはむしろ必要な対応を逆に考えていくべきではないかという御指摘がございまして、その御指摘に基づきまして修文をしたものでございます。ということでございますので、「必要な対応」ということについては、現在あらかじめこういう対応なのだということについては、まだ固まっていない状況ということでございます。


福田委員 実務補習については、スペースの問題だというようなお話を確かしたと思うんですが、業務補助については、今みたいに監査法人の求人の状況というのが、例えば1,500名ならどうにかなるけど、2,000名ではとてもできないとか、そういうような求人の方の状況が相当影響するというようなお話をしたと思うんです。そういうところで枠がはめられるのはおかしいと関委員からのお話もあってこうしているんですが、やはり基本的に2次試験を目指す人は、職業として公認会計士を目指している、公認会計士業界を目指しているという人が多いので、就職できないというような状況があると、過去にもあったわけですが、その後の受験者が減っちゃうというような形の、彼らから見ると非常に期待外れというような状況になるので、「必要な対応」というのは、公認会計士業界が合格者数だけ必ず雇えというような、そういうような意味の「必要な対応」なのかどうかというようなところをちょっと心配しているということなんです。


神崎座長 そこまでの限定は決してしていないと思います。


大藤大臣官房参事官 決してそういうことまで限定しているつもりではございませんで、むしろ協会も含めて検討をしていかなければいけないという趣旨の文章でございます。


神崎座長 森田委員お願いします。


森田委員 今の福田委員の御発言だと、監査法人が2次試験の合格者を採用することのできる人数が、やはり2次試験合格者の最大限になるという意味で解釈してよろしいんですか。


福田委員 監査法人、個人の公認会計士事務所というようなことも含めて、公認会計士の業界がというように、もうちょっと幅広く言った方がいいのかも分かりませんが、基本的にそういうことです。
 それで、1,500人ということで今の倍をというようにここでもお話ししたわけですけれども、公認会計士業界が今の現状で──現状と言っても何年間も含めてですけれども、収容できる人数というのは最大限でも1,500名ぐらいだろうというようなことから、1,500名で5年で6,000人というような人数を言っているわけです。それが4倍というような形だと、その4倍の分を今の公認会計士の業界が収容できるのかという、そういう心配を非常にしているわけです。我々も2,000名というような数字を出せばもうちょっと格好がよかったのかも分からないんですけれども、どうもそこまではとても今の状況から行くと難しいなというようなことから1,500人というような合格者数をということをお話をしているわけです。


森田委員 差し当たってはそうだろうと思うんですよね。だけど、そうすると、これどうなりますか。つまり、合格者を2倍にするということ──数の上でですね。その範囲でとどまってしまうという危険性はないですか。ですから、ここではもっとそういうことも、当面はそういうようなことが差し当たって現行制度を前提とすれば2次試験合格者を増やす限度になるだろうけれども、将来的にはそっちの方がネックになって公認会計士をふやせないというようなことになるとすれば、その点についても検討しなきゃいけないという趣旨がここに入っているんだろうと思うんですけれどもね。


神崎座長 今の仕組みを前提にして増やすことができる人数を限るというスタンスではなくて、必要な増員をする。増員をする場合に、現行のシステムならば支障があるかも分からない。あるのならば、それを改めるような方策を検討する必要があるということでありますから、必ずしも当面ここに偏ってしまうということでもないと思うんですけどね。
 三原委員、お願いできますか。


三原委員 4ページの上の方なんですけれども、一つにはパラグラフの3行目なんですね。前から読みますと、「厳しい指摘や批判がなされているが、その一つに公認会計士数の不足があげられており、」とありますが、これはちょっと分かりにくかったんですが、このまま読みますと、公認会計士数の不足自体が厳しい指摘や批判であると。こういうように読めますよね。そういう理解でよろしいんでしょうか。それとも、前後の文脈を考えますと、こういう厳しい指摘や批判がなされている理由としては、その理由の一つとして公認会計士数の不足があると。こういうことになるんだろうと思うので、この文章だとちょっとそうは読めないんではないかなという疑問なんです。


神崎座長 ここでの趣旨は今おっしゃった二つの解釈のうち後者でありますね。後者の解釈がこの文章から問題なく出てくるかということを言われておると思いますけれども、この点は文言改めるということで検討していただく。


大藤大臣官房参事官 その点はちょっと工夫させていただきます。


神崎座長 はい。


福田委員 よろしいですか。


神崎座長 はい、お願いいたします。


福田委員 5ページの(2)のところに「また」が二つありますが、下の方の「また」のちょっと上の方ですけれども、「一定の厳格な条件の下に何年間か監査業務に従事した場合には、第3次試験を受験できるような方途を検討する必要がある。」という、その前に行くと「一定の実務経験を積んだ社会人や他の職業専門家に対しては、」ということで、一定の条件の下に何年か監査業務に従事した場合はということは、この監査業務というのは、例えば企業の人は内部監査とか、そういうようなことを言うような意味なんですか。一定の経験を積んだ社会人や他の職業専門家に対して、例えば監査法人に入って何年かいた場合はとか、そんな格好をとるのですか。どういうように読むのか、ちょっとそこのところお聞きしたいんですけれども。


大藤大臣官房参事官 これは監査法人内の業務補助というものを基本的には想定しております。


福田委員 そうすると、こういうような形の制度を導入することとした場合は、今の業務補助というのは2次試験合格者に対してやるわけですけれども、この場合ですと、一定の経験を積んだような社会人の人に、監査法人なら監査法人が監査法人内で業務補助をやるという。それで受験資格を与えるよと。そういうような形のことを考えているということですか。そういう形だと、例えば社会人の一定の実務経験を積んだ人に3次試験の受験資格を与えるとか、そういうような形の話があったと思うんですけれども、それとはちょっと違うということですか。


大藤大臣官房参事官 ここは前回これと同じような文章を入れさせていただいておりまして、御議論いただいて、「方途を検討する必要があるとの意見もあった。」ということではちょっと弱いので言い切るようにしてはいかがかという御意見がありまして、そこのところを直したわけでございます。
 それで、実はこういうような御趣旨の発言を木下委員等からいただいたと思いますが、そこら辺はむしろこういう趣旨でよろしいかどうか御意見をいただきたいと思います。


木下委員 すみません、よろしいですか。


神崎座長 お願いします。


木下委員 監査業務に従事するというのは、これは受かった後、開業する場合の要件であって、受験資格としては監査業務への従事を前提としなくてもいいんではないかと思います。もちろん前に従事していても構わないんですけれども、要は第3次試験の受験に関しては、監査業務への従事を前提としなくてもいいんではないかということだと思いますけれども。すみません、これ、前回のときに見落としていたものですから。


神崎座長 はい。


福田委員 今の木下委員が直されたような趣旨だとしても、「一定の厳格な条件の下に」というのがどんなようなことになるのか分からないわけですけれども、「社会人や他の職業専門家」についても職業専門家の方が幾らか分かりやすいのかも分かりませんが、一定の実務経験を積んだ社会人の認定というようなことが現実にできるかというと、非常に難しいんではないかと思っています。こういう制度を入れる場合、例えば経理に10年いましたといっても、経理の仕事というのはいろいろなものがあるわけだし、特に会社の規模とかいろいろあって、同じ経理の仕事でも全く内容が違うというようなこともありますので、それを判定して受験資格について、この人はいいよ、この人は悪いよというようなことが現実にできるかというと、こういうような制度は非常に難しいんではないかというような気がしておりまして、こういうのには反対しなきゃいけないんではないかというような気持ちを持っています。


木下委員 その点については、これまで何度もお話をしていると思いますけれども、第3次試験というのは、公認会計士になる資質を試す試験なんですよね。だから、それに受かるということは、少なくともそういう素養を持っているということじゃないですか。あと足りないのは実務経験でしょう。だから、その会社の規模がどうであっても、それは問題にしなくてもいいんではないですか。少なくとも実務経験が何年ということで、仮に社会人ということを非常に限定して、例えば内部監査に従事しているとか、それから官庁関係における監査部門ですか、そういうところで仕事を持っているということに限定してしまうと、これまた人材を狭くしてしまうんですよ。ですから、むしろそういう人たちが、少なくとも社会経験を一定期間経験した人で受けようとする人があったら、そこで第3次試験を受けさせて、それで能力を試して、それで受かるんだったら3次試験は公認会計士の第2次試験を受けて、実務補習や何かを受けた人たちが受ける試験ですよね。同じレベルの試験を通ったとしたら、彼らよりも過去の経験が、社会人の経験だから能力が少ないんだというようなことは言えない。ただ言えるのは、監査の経験が少ないということは言えると思うので、あとは開業するためには、いわゆる監査への従事ということを義務づけないと、これは監査人というようには言えませんよねと。この点は一致している、変わらないんですけれども、いわゆる受験資格としては、税理士でなければいけない、弁護士でなければならない、他の社会人は認めないというのは、社会に出た人たちの経験とか、それから知識とかというようなものを軽視してしまっているんではないかと思うんですよ。ですから、第3次試験が最終ハードルだというのだったら、そのハードルを通った人たちは今度は公認会計士となる資格を有するんだろうというように思うんですが。


福田委員 バイパスみたいな形で幾つかの方法がある場合は、やはり試験制度である以上、ここで言う2次試験から実務補習、業務補助というような形で試験を受けてきた人と均衡を保たなくてはいけないし、こういう形の方がむしろ受けやすいとか、そういうような形の制度だと非常におかしいんだろうと思うんです。税理士試験なんかの場合ですと特によく問題になる、普通の税理士の試験以外に大学の大学院を二つ行って受かるというような制度とか、税理士の中には税務職員の方から別の試験を受ける人もいるということで、試験の中の均衡というんですか、公平性というものがこういうような形の、特に判定のしにくい内容の実務経験というものを査定して、それで受験資格ができるよというのは、非常に不公平になるんではないかと思うんです。


木下委員 その不公平というのが分からないんですけれども、従来3次試験、人の言葉を借りては申し訳ないんですが、この間斎藤静樹先生が、第3次試験の試験委員としての経験の中でおっしゃっていたことがあったと思うんですね。2年間の実務補習なり、業務補助なり、インターン期間を過ぎた人たちのレベルというのは、他の社会人と比べて非常に格差があるというか、非常に優れた能力を持っている、経験を持っているというような判断ができるほど著しく能力が優れているというようなことではない。むしろ、非常にそこのところに問題があるというような逆の意見だったと思うんですけれども、要は社会経験を相当積んできた方たちが、会計士の第2次試験を通った人たちよりも能力が劣るんだとか、経験が劣るんだというように決めつけてしまう方がおかしいんで、社会における経験も、第2次試験を通ってきてインターンをやった経験も、インターンをやっていることの方が著しく厳しい経験を経ているんだとか、条件をクリアしているんだというように考えることが狭く物事を見ちゃっているんではないかと。むしろ、第3次試験というのが本当に最終試験であるということであるならば、その第3次試験をクリアしてくればその能力や何かはあるというように判断すること自体が公平なんではないですかね。通ったのだったら、同じ能力があるよと。特別にバイパスを作って、第2次試験以外の人たちの方の試験をやさしくしたり、科目を免除したりしたとしたら、これは問題があるかもしれないけれども、少なくとも同一試験で、同一に受かっていたとしたら、第2次試験の人たちよりも社会人の人たちの方が能力がないというような判断は絶対できないだろうと思うんですけれども。


福田委員 実務経験の中で、例えば10年やられた人が3次試験の受験資格があるかどうかというような、もしかそういうことですと、10年ぐらい経理とか会社の中でいろいろやった人が、そんなに例えば会計のことを全部知っているか、特殊なことを知っている人は何人かいるかもしれませんが、一般的にそういうような状況で3次試験の受験資格があるなんていうような形の判定はできないと思うんですよね。なおかつ、今の2次試験の合格者を見れば、例えば会社にいるような人なり、就職しないでその間は親に面倒見てもらうような形で受験をしているような人もいるわけで、そういうようにして2次試験を経た人と、例えば会社にずっと10年いたから受けられるというような格好の制度を同じような形でいいよというようなわけには、やはりいかないんではないですかね。


加古委員 社会人とか他の職業専門家に公認会計士の業界に入っていただくと、誘導するという趣旨は、現行制度の枠組みの中で今の750人を1,500人合格させて人数を増やすというほど簡単ではないんじゃないかというのが前提にあると思うんですよね。今の制度で考えている入口のほかに、もしあれば第2、第3の入口があって、そこから有用な人材を会計士界に誘導できるならば、それも考えてみようじゃないかというところから、この社会人や他の職業専門家という議論が出てきたんだろうと思うんですね。直ちに資質を判定できないなどの試験の実施上の問題については、これはもうちょっとこれから考えればいいと思うんですけれども、まずここでは頭を出しておかないと、社会人や他の専門家もその可能性があるんだという、そういう仕方で合格者の人数を増やしていくんだということでないと、今の制度だけにこだわっていたのでは十分な人員の確保はできないだろうということがその前提にあったことを確認しておきたいと思うんですけれども。


神崎座長 関委員お願いします。


関委員 大変大事な、本質的な議論だと思うんですね。私は、公認会計士の数とか質の議論をするときに、やはり今の試験制度というものを改革すると同時に、木下先生や加古先生がおっしゃっているような、いわゆる入口の多様化というようなことが非常に大事だというように実は思っておるわけです。それで、先ほどからお話を聞いていますと、どうしても第3次試験の受験要件が、実務補習や、特に業務補助をやらないと、監査法人で業務補助をやらないと第3次試験が受けられないと。このことを強く制約要件にして考えると、話は全くおかしくなるんではないかと。むしろ、これは私大変勝手なことを言っているのかも分かりませんが、先ほどおっしゃったように、受験おたくになって、大学へも行かずに予備校に通って、2次試験を通って、そして監査法人にしか行かなくて、そしてそこで何年か業務補助をやる人しか3次試験に通らないと。このことが問われているんではないかと私は思っていて、それは監査のあり方ということが中心になっていますけれども、我々自身も反省しなきゃいかんのですが、日本の経済の発展とか進展とかいうことを考えたときに、会計基準の問題とか、そういうことについても相当ひずみがあって、そしてそういう問題も今日的な課題になってきていると。それは会計にかかわる人たちの責任だと思うんですね。そういう議論が、あるいは会計基準に関する実務指針のようなものについても、公認会計士協会が中心になっていろいろ御検討されるていると。しかし、その検討はかなり時代遅れになっておって、実務界から見ると非常に不十分なことが多いというようなことを踏まえたときに、会計士、そして会計に責任を持って担う人たちが、受験おたくをやって監査法人に勤めないと3次試験を受けられないというようなことで本当にいいのかと。もっと見識の高い日本経済の将来を考え、企業活動を活発にしていくためにはどういう会計基準でないといけないのかと。税が決めた基準のみ、会計で優先されているというような問題が起こってくるというようなことで本当にいいのかというようなことに思いをいたしたときに、その業務補助をやらないと受けられないというのは一体どういうことなんだということが私は本質論だと思うんですね。ですから、監査をやるということから言えば、当然業務補助がないと監査の仕事はできないわけですから、それは開業要件だと。どこかに書いてあったと思いますが、アメリカなんかは登録要件だということであって、そこは先ほどのような議論で、そういうことで人の制約だとかいろいろな制約が出てくるのであれば、そういう制約はもう外してしまえばいいと。もっと自由に、もっと発想を豊かにして物事を考えないと、私は今会計に携わる人たちに求められている資質と資格が確保できないように実は、やや言い過ぎだと思ってわざと言っているところもあるんですが、そう思っておるんです。従って、第3次試験の受験要件、ここはこれでもいいのかなと思っていたんですが、どうしても業務補助をやらないとできないというところもあわせて検討すると、こういうことにしていただきたいということと、それから、これは福田先生がおっしゃったように大変難しいと思うんですが、どういう条件があれば3次試験を受けられるようにするんだということは、これは私も素人ですからよく分かりませんが、ただ平々凡々と会社で仕事をしていればそれで2次試験は免除だというわけには、私はいかないと思いますが、一体どういう要件があれば2次試験はパスできるんだということは別途、これは相当詰めなきゃいかんという認識はきちんとしておくということだと思います。


神崎座長 今の難しい問題は、そういうシステムが導入された場合に、それを実施する場合の検討課題としてこれから詰めていくということでございますね。


福田委員 よろしいですか。


神崎座長 はい、お願いします。


福田委員 業務補助のお話についてですけれども、今、業務補助をやらなきゃ3次試験を受けられないというのは事実ですし、企業とか官庁にいれば実務従事という別の方式があることはありますけれども、大部分の人が業務補助をやって3次試験を受けるわけです。2次試験と3次試験を分ければその間にインターン期間というのが必ずあるわけで、そのインターン期間についてどういう形の教育をするかという、その一つが業務補助なわけですけれども、会計士は、本を読んだり、受験学校とかそういうような勉強でやったからできるというようなものではなくて、やはりそれだけの多くの訓練みたいなものが必要なわけです。そういう意味では業務補助は2年ありますけれども、実際公認会計士になって仕事をするためにはそんなものでは足りないということで、あと何年か、5年とか10年という期間が実際は補助者としてやっているわけです。公認会計士になるために業務補助が要らないということは全くない。その訓練期間というのが本当は2年では短いのだけれども3次試験としては2年間でやるというような制度になっておりますが、実際に一人前の監査人になるにはあと5年とか10年かかるというのが実情であって、公認会計士というのはそういうように、長くやっていないとできないということだろうと思います。
 それと、もう一つ、社会にというお話ですけれども、今まで監査法人の中に企業をやめてこられた人が何人もいます。50才とかそのぐらいになってきた人を別にすれば、若い間に四、五年いてやめてこられる人は幾らでもいますが、そういう人が例えば証券会社経由で来られたといっても、証券会社の業務のことを知っているかというと、全然そういう意味では証券会社の業務というようなものは分からないわけです。社会に出て満足行くようなものがというのなら10年なり15年なりいなきゃいけないわけです。そういうかわりに若い人を入れているわけですから、合格後の監査法人の中の教育も問題だろうと思っているんですね。合格してから協会でやっているCPEもそうですけれども、監査法人の中でそういうような大学を卒業してそのまま来ている人がたくさんいるわけですから、監査法人の中の教育の問題として、例えば大学院に行くとか、海外に行くとか、企業に行く人は今は多くないですけれども、そういうような形のものを多くつくって、そういうような期待にこたえられるような人材を監査法人の中に置いておくという必要があるとは思っています。そういうような問題ではないかと思っています。


関委員 よろしいですか。


神崎座長 はい。


関委員 私が申し上げているのは、公認会計士として監査法人で監査の業務に従事するということのためにこういった業務補助だとかいうものが全く意味がないと言っているわけではないわけで、当然そういったことを開業して、そして監査の仕事をするというためには業務補助というものが要件になるということはいいと思うんですね。しかし、3次試験の要件だ、必ず監査法人で業務補助をすることが第3次試験の要件だと非常に厳格に考える必要はないんではないかと。それは見直す必要があるんではないかということを申し上げているということが一つであります。
 それから、もう一つは、入口の多様化ということで、2次試験をパスして3次試験を受けられるという、その要件というものをどういうようにするかと。2次試験を受けなくてもいい要件をどういうようにするかということについては、非常に十分によく検討して詰めなきゃいけない課題だというように考えておりまして、それは「ちょっとおまえどんなことを考えているんだ」ということをここで御披露するほどの見識は今はないわけでありますけれども、少なくとも監査業務に従事しなければ3次試験を受けられないというようなことだけはぜひ避けていただきたいなというのがお願いであります。


神崎座長 福田委員お願いします。


福田委員 今の箇所なんですけれども、一番心配しているのは公認会計士業界のそういう意味ではえごみたいになるのかも分からないんですが、この「他の職業専門家に対して」という、ここのところなわけです。「他の職業専門家」というのは弁護士なり、税理士というものがまずストレートに考えられるわけですけれども、弁護士の人が会計士になりたいなんていう人は余り現実にいないですからそんなに心配する必要もないんですが、税理士の人に対して、税理士資格を取ったからというような形で一定の条件で何年か経験したら3次試験を受けられるよというのは、そういうようなことを念頭において考えれば、業界の中では相当いろいろ言う人が出てくるだろうということを一つは心配しているというところもあるのです。社会人についても一つは査定が難しいところもありますが、多分職業専門家というところにも相当引っかかるところがあるという、そういう気がしているんです。


神崎座長 今の御意見は、ここに書いてある「一定の厳格な条件の下に」という中身として検討するというところまでもいってはいけないというお考えでございますか。


福田委員 「一定の厳格な条件の下に」というのは、ここではどこにかかるんですか。「一定の厳格な条件の下に」というのは、「監査業務に従事した場合」というのにかかるわけではないわけですね、この文章としては。「一定の厳格な条件の下に」、文章としては、社会人とか他の職業専門家に対する条件をつけて認めようと、そういうような考えでしょうか。


加古委員 してもいいんではないかということです。


福田委員 だからどういう条件がつくかということもあるんですけれども、一般的に税理士について3次試験がそのまま受けられるよというような形の制度だと、非常に業界の中でも反発が出てくるだろうという気がします。業界の中の話をして申し訳ないんですけれども、そういう話です。


関委員 私なんかは、「一定の実務経験を積んだ社会人や他の職業専門家」という、ここの文章に対するイメージなんですが、税理士資格を持っている人というような狭いイメージではなくて、それこそ大蔵省を初めとする官庁で会計にかかわるような仕事をした官僚の皆さんだとか、あるいは大学の先生方や研究者の方々や、それから企業でもどういう人をイメージするかですけれども、やはり企業財務の専門家としての方だとか、そういう人たちが恐らく対象だと思うんですね。税理士さんとか、そういうようなことではむしろなくてですね。それで、どういう条件をするかということについては、これは大変難しいことで、それほど易しいことではないと思いますけれども、社会的に見ても、あるいはいろんな方が見ても、この人たちが会計のことを本当に考えてくれたらいいなというような方々は第3次試験が受けられて、そして場合によっては監査法人で監査の勉強をして、そして公認会計士の監査業務をできると。こういう道をつくっていただきたいということを申し上げているわけで、税理士さんをどんどん登用していこうということとは大分違うことだと思うんですね。この文脈から議論することは。


福田委員 「職業専門家」の「職業」がそういう意味では邪魔みたいな気がするんですよね。


加古委員 余りこだわらないでいいんですよ。


神崎座長 この点は、前回の会議でも取り上げられて、検討された項目であり、今もおっしゃるように、大変核心に関係するポイントだと思います。ただ、意見が対立している場合に、完全に意見の一致を見ないと何もできないというのでは困るものですから、やはり多くの委員の御意見を賜りたいと思います。
 はい、森田委員。


森田委員 福田委員の心配というのはよく分かるんですけれども、だけど、確かにそれではこれは具体的にどういう人たちを対象にして3次試験を受ける資格を与えるのか。それから、もう一つは、あるいは場合によっては3次試験そのものが今の2次試験を経由してくるコースと同じ試験でなければいけないのか。別の試験といいましょうか、特別3次試験みたいなものも、そういうようなものを考えるという方法もあり得ると思うんですけれども、ここでどこまで詰めなければそういうことが言えないのかと。ですから、要するにここで「一定の実務経験を積んだ」という、この「一定の実務経験」とは何だと、ここのところでこれを詰めようと思ったら、ちょっとやそっとじゃ済まないと思うんですよね。それをそこまで詰めなければこういう意見を出せないのか。あるいは、ここでは一定の経験を積んだ社会人について、3次試験ないしそれに類する試験を経て資格を与えるような、そういう道を開くということも検討の余地があるんではないかという程度の表現でいいのか。この辺はどういうように考えたらいいんですか。
 この検討グループが、どこまで具体的な形での提言というんですか。これは論点整理みたいなものですよね、やっていることは。そうだとすれば、今この時点ではっきり言えないけれども、まだ分からないけれども、そういうような事柄をもうちょっと検討してもいいんではないかという、そういう意見でいいと言ったらいいのかな、そういう報告書でもいいわけでしょうね。


神崎座長 三原委員お願いします。


三原委員 今の森田委員の御意見に賛成です。やはり公認会計士の数が足りなくて、何とか合格者を増やそうと、そういう前提の下にいろいろ議論をしているという中におきましては、考えられる方策をいろいろ検討するということは必要なことでありますし、詰められなければ、とにかくそういうことを検討してもいいじゃないかと。こういう意見もやはり書くべきだというように思いますので、私は森田委員の御意見に賛成です。


神崎座長 分かりました。


大藤大臣官房参事官 事務局からでございますが、感じといたしまして、「第3次試験を受験できるような方途を検討する必要がある。」というところで、「方途」ということになりますと、受験できるということはもうここで決めたというイメージになってしまいますので、ちょっとそこまでこの段階で言うことができるのかどうか。そこをまさに御議論いただきたいということでございます。


木下委員 よろしいでしょうか。


神崎座長 はい、どうぞ。


木下委員 従来、我々の業界というのは、開業登録という登録の制度をとっていると思うんですが、これが今までずっと来ているので、協会の発想もそこにあるんですね。それで、その会計士という資格は必ず監査をやらなければならないんではなくて、監査をやることということで全て議論してしまいますと、そこの人材を広く求めるとかということも非常に狭くなってくるんだろうと思います。ここのところは、協会そのものでは議論がなされているのかどうなのか。もし、また従来と変えて、今、広く人材を求め、そして社会にも公認会計士の資格を持っている人をもっと増やそうではないかと、また増やす必要があるんではないかということで今回の改正の目的が一つにはあるのに、そのことが開業登録だけを前提とした公認会計士制度ということになってしまいますと、今回の試験制度の改正の目的とはちょっとずれちゃうんではないかという感じがするんですけれども、福田委員、どういうようにお考えですか。


福田委員 今回の目的が、木下委員がおっしゃるような格好のものなのかどうかというのは、監査そのものに問題があるからというところからスタートしているわけですから、監査をやらない会計士をうんと増やすということがそういうものにこたえられるかどうかというと、全然そういう話にはならないだろうと思っているんですよね。
 もう一つ、それとは別に、開業登録か、資格登録か、その話は別な小委員会で確かやっているんではないかと思っていますけれども。


大藤大臣官房参事官 資格登録云々というところは、むしろこちらの方のテーマになりますので。


福田委員 そうですか。失礼しました。


木下委員 すみません、よろしいですか。


神崎座長 はい、お願いします。


木下委員 もちろん協会が言っている、また現実の問題として監査に従事している人たち、特に若い人たち、士補、補助者が足らないということは、これは事実としてあると思うので、そこのところの人数を増加させなければならないという切実な問題も分かるんですけれども、さらに公認会計士の資質の問題と数の問題というのは、必ずしも今直接的な監査に従事するとか、していないとかということに重点を置いた議論なんだろうかというと、そこだけではないんだろうというように思うんですけれども。


福田委員 補助者が足りないというような話をしているわけではないんですよね。公認会計士の必要数が足りないという話はしているわけですけれども、公認会計士というのは2次試験を合格した人を何年か教育してやっと使えるようになるというので、どこかにそういう適当な人がいるから、その人たちを会計士にしたらいいんではないかと、そういうような話には絶対にならないと思うんですよね。だから、当面は2次試験合格者を増やして、その人たちが何年かすれば一人前の会計士になるということで、順番がそういうようになっているわけで、補助者が必要だということではない。会計士が足りないことは足りないんですけれども、会計士で適当な人がどこかにいるかといったらどこにもいないわけなので、2次試験の合格者から順番に育てていこうというのが趣旨なわけです。


加古委員 そういうことだと、現行の制度から一歩も出られないと思うんですよね。ここでのねらいは、監査の質を高めるということがねらいで、その監査の質を高めるためには、少し監査日数なんかもふやさなきゃいけないし、人数も必要でしょうというので、人数論が出てくるんですね。量的な拡大がやがて質的な変化につながっていくだろうという発想が一つあると思うんです。それで、ただ人数を増やすというだけではなくて、監査の質を高めるためには、まさにここに書いてあるように、公正な競争を確保する、要するに従来の監査業界の独占体制を少し中和化して公正な競争を促進するとか、人材交流を図るとかいうようにして、会計士業界という市場に他の人々も参入することによって、適正な競争があり、人材交流があり、そのことが監査の質を高めるんではないかという発想で社会人や他の専門家という入口を考えたらどうかというのがそもそもの発想だったと思います。会計士以外に何か見繕ったらこれも使えそうだというとすぐ税理士なんていう話が出てきて、それはあらぬ誤解だと思うんですね。税理士の問題はもう散々、会計士と税理士で数年間やったわけですから、それはそれでまた議論してもいいですけれども、そういうほかに、例えば税理士というイメージとはちょっとここでの議論は質が違うんではないかということをもう1回ここでレビューしておきたいと思いますけれども。


福田委員 そういう人がどのくらいどこにいるかという問題があるんですけれども、少なくとも今監査する上に専門家的な人が必要だったら、大手法人に行けばそういう人を入れていますから、別に会計士でなくても大手法人なら雇えるということで、そういうような形の人を入れて監査の質を上げるという努力はしているわけです。
 それと、「公正な競争」とどこかに書いてありますけれども、これは非常に難しいので、今、公認会計士というか、監査そのものが、もう海外のネットワークが五つしかないわけですね。五つで、たまたま日本は四つになっていますけれども、最高五つですね、五つ以上今の段階なら増えるということはないわけで、中小の人はもちろん頑張ってやっているのでそれぞれの競争というのはないわけではないですが、世界的なネットワークは五つしかないわけで、五つというものを前提とした以上、公正な競争というようなことがあるから会計士にそういう人を入れてということは、より現実的じゃないんです。今の監査法人、大手の監査法人が今四つあるのが、可能性としては海外に五つありますので五つになることはあっても、今の状況でそれが十になるなんていうことは絶対にないわけですから、公正な競争のためにいろいろな人材を入れてということは、余り期待できないんだろうと思っています。


木下委員 思い上がりですよね、公認会計士の。監査法人が今四つあって、それが絶対的に未来永劫とも四つ存続するだろうなんて思っている方がおかしいので、今社会的な批判があって、現実に監査法人の存続が本当は難しいと言えるのかもしれない。ただ、それを支えていてくれる環境があるから、今監査法人がそのまま存続できているのであって、もし今までの一連の不祥事というのがもろに社会の批判をそのまま受けていったら、監査法人解体論が出てきてもおかしくないはずですよ。


福田委員 そういう話をしているわけではない。公正な競争というのは、いわゆる監査法人の数が増えれば競争になるという、そういう話で言っているわけだから、それは今の四つが二つになるとかそういう可能性はないわけではないでしょうけれども、数は増えないというわけですよね。いわゆる世界的に活躍しているような会社を監査するというような監査法人の数は、今の世界の状況からいけば、最大限五つしかできないということです。


関委員 よろしゅうございますか。


神崎座長 はい、お願いします。


関委員 「公正な競争」と言っているのは、監査法人間の競争を言っているんではないと私は思うんですね。会計を専門にする人が、多くの人が会計というものに関心を持ち、そして能力の高い人が会計の専門家になっていくと。それは、監査法人に勤めるということだけが唯一のそれに対する道ではないわけでありまして、社会全体としてそういう人が数多くいる。そして、場合によっては、勉強して、先ほどの実務補習ではありませんけれども、実務補習を受ければ監査の業務だって開業できるという基盤が社会にある。そして、分厚いそういう会計人がたくさんいるということが、結果として監査の質を高めていくということになるんだということだと思うんですよね。数ある監査法人がお互いに競争するというようなことでは全くない。むしろ、能力のある人たちがたくさんいて、そして切磋琢磨するという、そういう社会の基盤整備のようなものをやる必要があるんじゃないかということだと思うんですね。


神崎座長 三原委員お願いします。


三原委員 とにかく、社会的な要請として公認会計士の数の増が求められていると。それから、監査の質の向上も求められているという前提でこの小グループで検討する場合には、何とか合格者の数を増やす方途をいろいろと検討するということが意味があるんではないかと思うんで、最初からこれはだめだというふうに決めつけるというよりは、とにかく検討してみようじゃないかと。そういう答えでもいいんではないかと思うんですね。ですから、先ほどの大藤参事官の御質問といいますか、「方途を検討する必要がある」というと、もう既にそういうことをやるという前提でとられるおそれがあるというのであれば、ここのところは「できるようにすることも検討する必要がある」と、このぐらいの言い方で、とにかく検討の入口だけは開けておくと。そういうまとめ方もあるんではないかと思いますけれども。


神崎座長 森田委員お願いします。


森田委員 結論的には今の三原委員の御意見に賛成なんですけれども、要するに、一定の実務経験を積んだ人たちが会計士として監査法人なら監査法人に入ってくるということ、先ほどの福田委員のお話でもそれぞれの専門家、例えば銀行なら銀行についての専門家を、これは会計士ではないけれども、そこでは雇っていると。そういうようなのと同じようなことで、それぞれの業種・業界に通じた人が2次試験を通ってでない形で公認会計士の資格を得られるような──その人があるいは、場合によるといわゆる監査の専門家ではないのかもしれないんだけれども、そういう監査の専門家である公認会計士と組んで、その人が熟知している業界を代表とした監査について監査を行えば監査の質も高まるんではないか。そういうようなことを考えて、何らかの2次試験を通らない道をつくるということも考えていいんではないかというのがここでの意見ではないかと思うんですね。だから、「3次試験を受験できるような方途」という言葉が余り限定的であるとすれば、「3次試験を受験できるその他の方法で」というか、それは入れても入れなくてもいいですけれども、「会計士の資格が得られるような道を検討することが必要である」というような表現でも私はいいと思うんですけれどもね。


神崎座長 はい、分かりました。完全に委員の意見が一致しているわけではございませんし、また一致しなければ先へ進めないというものでもございません。ただ、この点については、おおよそ委員の意見が明らかになったと考えてよろしいんではないかと思います。
 「基本的な考え方」という項目については、ほかに質問、御意見、ございますでしょうか。
 もしないようでございましたら、続きまして、「公認会計士試験制度の在り方」の部分について、御意見を賜りたいと思います。いかがでしょうか。
 福田委員お願いします。


福田委員 財務論というのは、8ページのところに書いてありますけれども、こういう範囲だというようなものがはっきりしているような領域なんですか。ちょっとそれを確かめておきたいなと思います。


森田委員 これは、全ての学問の範囲というのはみんなそうだと思うんですけれども、「財務論」という言葉で、これでも分かりにくいといえば、「企業財務に関連した分野」とか何とかというような表現の方があるいはいいのかもしれませんね。


福田委員 もう一つ。


神崎座長 はい、お願いします。


福田委員 前回もお話ししたんですけれども、監査について、2次試験から全く外すということは、その前の段階でもう全然勉強しないということになってしまうわけですから、今の現状の制度からいけば、2次試験合格者は監査法人に入ってすぐ監査実務をやるということなんで、その最低の部分ぐらいはある程度勉強しておいてもらう必要があるだろうと思います。監査法人に入ってから、そこから教えなきゃいけないというのは非常に大変だということで、前回申し上げたのは、基礎理論を2次試験の方にということなんで、全部外すという意見では困るというようなお話をしたわけですけれども、もう1回、この件について検討していただきたいと思います。


神崎座長 今の御意見につきまして、木下委員お願いします。


木下委員 第2次試験の問題ですけれども、やはり出題範囲という問題と、それから第3次試験という兼ね合いから言って、会計の難易度の問題も明確に、第2次試験と第3次試験で重なり合うのは、今言ったような監査論のような問題と会計実務があります。それから、そういう分野なんかですと、会計実務で今回も第2次試験の択一の方にキャッシュフロー・ステイトメントが出てみたり、それから税効果が出ていますよね。それはいいんですけれども、もし同じようなものが出てくるんだったら、そこのレベルの問題と出題範囲の問題をいま少し明確にして、そしてそうすれば社会人の方も、もちろん学生の方も勉強しやすい。ですから、勉強しやすい、そして受験学校に行かなくてもそういう学習ができるんだというような形で、出題範囲の明確化、それからレベルの標準化というんですかね、それを徹底していただけたら、ここの第2次試験というのは択一とかいろんな科目選択制とかということを考慮しなくても行けそうに考えるんですが。


神崎座長 加古委員。


加古委員 そういうことだと思いますね。監査なんかでは、完全に2次試験から外してしまうというのはちょっと無理があるかもしれませんね。今、2次試験が予備校対策といいますか、予備校に負けないような問題をつくらなきゃいけないものですから、監査なんかでも、そういう観点からすると、実務指針レベルまでブレイクダウンして細かい問題を出さないと、ちょっと受験対策に対応できない、試験の差がつかないなんていうことがあって、範囲がどんどん広がっちゃっているんではないかと思うんですね。だから、そういう意味で、木下委員のおっしゃるように、基礎理論的な部分といいますか、基礎科目は2次試験で、少し派生した実務的な問題、実践的な問題は3次試験でというのが振り分けの基本でしょうから、一概に監査は全部やめちゃうというのではなくて、基礎的なものは2次試験で、それから実務的なものは3次試験でというような、そういう観点からの振り分けが必要だというように表現した方がいいのかもしれないと思いますが。


神崎座長 森田委員。


森田委員 今の加古委員の御意見に賛成です。


神崎座長 では、福田委員、お願いします。


福田委員 経済学ですけれども、前回の改正で選択科目にしたわけですけれども、斎藤先生が来られたときにお話をされたのがそのまま載っているような感じなんですけれども、やはりここの小グループとしてこういう結論だということになるのかどうかというのをちょっと確かめておきたいなという気がしているんですけれども。


神崎座長 この点は、ほかの委員の方々、どのようにお考えでございましょうか。
 はい、お願いします。


関委員 私は、経済学というのは大変、今、加古先生おっしゃったように、2次試験がより基本的な基礎理論というものに重点を置いて考えていくんだというように考えたときに、私は、経済学は少なくとも最も基本的な学問だと思いますし、これは必須科目にしなければいけないと思っております。


木下委員 これに関しても非常に問題がありまして、数年前からもう数理経済学になっちゃっているわけですよ。それで、数学の試験になっちゃっているという点が非常に問題なので、経済学であるならば、我々が勉強していたときは確か日経の記事がちゃんと理解できるかどうかというぐらいの知識が必要だねというように言われていたと思うんですけれども、今は本当に数学が得意か得意じゃないかで経済学を専攻しているんですね。これだと経済学を理解しているわけではないんで、その辺の出題というものに対する問題点があると思う。ですから、もし必須にするんでしたら、これは数学が一部あったとしても、現状は全てほとんど2問とも数字で出てきたり、図表で見たりということになっていますので、出題方法というものに対して相当注意していただかないと、必須にするには問題だろうと思います。


福田委員 今の件については木下委員と同じで、今の問題では経済学を必須にするのは難しいなと思っているんですけれども、もう一つここの簿記、原価計算のところの「また、」以下、今回線が引かれたところですけれども、「問題量が過大とならないように」というような後に、「出題範囲の明確化や出題内容についての標準化を徹底することが必要ではないか。」というのは、簿記、原価計算だけというわけではないわけですよ。もっと独立したような格好で書いてもらうと非常にいいと思うんですけれども。


大藤大臣官房参事官 事務局といたしましては、もちろん出題範囲の明確化、出題内容について標準化を進めるというのは必要だと、全般的に進めるということは13ページの方に書いてございまして、特に簿記、原価計算というところは、その中でも特に徹底する必要があるというような趣旨でこういう書き方をしているんですが。


神崎座長 関委員お願いします。


関委員 それはぜひそうしていただきたいと思うんですね。この問題が一番クリティカルなのが簿記、原価計算なんですね。簿記、原価計算の特有の問題としてきちんとメンションしていただきたいというのが私の希望であります。


森田委員 よろしいですか。


神崎座長 はい、お願いいたします。


森田委員 これは文章の問題なんですが、ここのところで「・」で六つぐらい挙がっているわけですけれども、その続きが、「などの意見が出されており、」ということで、ですからこれはそれでいいと思うんですよね。いろんな意見が出ていると。一番最後のところで、「2次試験において必要とされる適切な試験科目を検討していくことが必要である。」という、この表現はちょっと狭いんではないですか。結びの言葉として。この辺は検討していただきたいと思います。


神崎座長 それでは、項目別にということでは最後でありますけれども、「試験実施の在り方」の部分について、何かございますでしょうか。


加古委員 表現ですけれども、(1)の表題に「試験問題の出題内容及び範囲について」とありますけれども、これは試験問題の出題範囲及び試験問題の標準化という、その範囲と標準化の問題という言葉の方をゴシックで表題に出した方がいいんではないかと思いますけれども。試験問題の標準化というのは、どうすることを試験問題の標準化というのかということについて余りはっきりしないんですけれども、例えば日本商工会議所で簿記の試験や何かをやっていますけれども、簿記の標準化となると、科目をずっと書いてあるんですね。その科目の範囲内で出題しますよという形で、かなりはっきりした標準化が行われているんです。簿記や原価計算などの計算問題については、これから実施に当たって工夫しなきゃいけないところだと思いますが、そんな標準化のことなども研究していく必要があるんではないかと思いますけれども。


神崎座長 このペーパーでは、13ページの(1)の一番最後のところで、先生が今おっしゃったような文言が出ておりますが、そのことを明確にするために、見出しにおいても今指摘されたような言葉で明確にするということは望ましいことですね。
 それでは、全体を通しまして、御意見等がございましたらお願いしたいと思います。


森田委員 よろしいですか。


神崎座長 お願いいたします。


森田委員 前のところは大分変わったんですけれども、9ページのところに例えば上から5行目ぐらいのところで「科目合格を認めるような制度を導入すべきであるとの指摘がある。」というのと、それから、その下の方だと、短答式のところで、「短答式試験を免除する措置を導入してはどうかとの指摘がある。」と。この「指摘がある。」というのは、どこから指摘されたんですか。前の方の「指摘がある。」というのは、ちょっと表現を変えましたよね。変わっていますよね。ここで「指摘がある。」というのが、この委員会でそういう意見が出たということなのか……。どこかよそから言われたように読めますよね。そうじゃないですか。こういう使い方をするわけですか。


大藤大臣官房参事官 科目合格制の検討につきましては、全体的に規制改革委員会の中でいろいろ論点として指摘がされているという事実はありますけれども、むしろそこに余りとらわれる必要もないと思いますので、「意見がある。」というような表現でもよろしいでしょうし、そこは検討させていただきます。


加古委員 すごく細かいことで誠に恐縮ですが、今のところで、「必須科目(会計学・商法)については、一括して合格する必要があるが、」とありますが、「一括の前の「、」を取っていただいて、必須科目は一括、その他は科目合格制も認めるというふうに、二口にしておいていただいた方が趣旨がはっきりするのではないかと思います。


神崎座長 はい、分かりました。


大藤大臣官房参事官 事務局の方からちょっと確認させていただきたいのでございますが、10ページでインターン制度についてということがございまして、最後に「なお、上記のような観点から、……登録要件とする」という表現もあるんですが、この問題は、今日の議論なんかを聞いておりましても、こういう形で触れることだけでよいのかどうか、ちょっとその点の御議論をいただければと思います。


神崎座長 今の点に関して、御意見をいただければ大変ありがたいと思いますが。


木下委員 確か参事官、一番最初のときに、今回の改正の背景の中に例の規制緩和の問題があって、その中では一番問題になるのは、こういうインターン制度というのが非常に問題になるんだというようなことをおっしゃられていたと思うんですが、先ほどもありましたように、第3次試験というか、受験資格という段階でこれを要件にしてしまうと、もう受けられなくなるわけですよね。規制緩和の中で、日本の会計実務を全部経験しなければ。だから、これを第3次試験の要件、最終試験の要件で入れるということで、実務補習及び業務補助というものをやってしまうと、その辺にも抵触するということはなるんですか。それは大丈夫なんですか。


大藤大臣官房参事官 規制改革委員会の方では、確かにインターンのあり方というのは、必要以上に長くなっていないかとかいうような観点から、あり方自体を投げかけられておりますが、絶対にインターンというものがあってはならないとか、そこまでは限定されているわけではないというような形で出ております。


木下委員 「米国にも見られるように、」というのは、試験に受かった後に経験しなければ開業できませんよね。


大藤大臣官房参事官 はい。


木下委員 その辺は分かるんですが、開業前にそれをしていなければならないというようなことになってしまうと、よそからの参入というのはなくなるわけですが、それはいいんですか。


福地課長補佐 規制改革委員会の方では、受験資格要件、インターン制度の見直しということで、「特定の業種に就職しなければ」というような指摘もされておりまして、そういったことから、インターン制度の業務補助等の対象となる範囲を見直す必要があるとか、そういうような指摘がされているところでございまして、インターン制度そのものを廃止せよということではございません。


福田委員 よろしいですか。


神崎座長 はい、お願いします。


福田委員 今のところなんですけれども、どうもこれをよく読んでみると、2次試験、3次試験という、そういう制度を前提として書いているんではないような気もするんですけれども、例えばこれで行くと、実務補習、業務補助、実務従事を受験要件から除いて2次、3次試験というと、その間何をやっているのかというような、ただ3年経ったら受けられるという、それだけのことになっちゃうような制度だと思うんですよね。もしかこれを全く受験要件にしないと。2次試験終わってから、3年経ったら3次試験を受けられますよと。その間何もしなくてもいいというような、そういうような制度というのは何かおかしいということが一つと、「米国に見られるように、」ということですが、米国は実務経験をしたらいわゆる会計士の試験を受けられるんですけれども、それが逆でもいいよということで、1回の試験のときには何かこういうアメリカみたいな制度はなじむんでしょうけれども、今の2次試験、3次試験とどうもこれはなじみにくい制度ではないかと思います。ここに書いてあるようなことはですね。


神崎座長 この文章からは、今指摘されましたように、3次試験をいつ受けることができるのかということが分からないし、なぜ3年置く必要があるのかということも問題になり得る余地はありますね。


大藤大臣官房参事官 ここの部分は、今日、前半部分で御議論いただいたバイパスと言いましょうか、いわゆる3次試験に直接アプローチできる道を開いたとした場合に、それとセットで議論するという流れで入るものかなという感じもしますものですから、そこはむしろこの位置をちょっと変えるというようなことも考えることができるのかなと思っておりますが。
 あるいは、12ページの方で、前回の御指摘もございまして、「現行の体系にとらわれずに、」ということで書いてございますので、ここの方に移して、これについても議論を深める一つのテーマということで整理させていただくということも考えられるのではないかと思います。


加古委員 ここでは時間的な余裕がないと思いますけれども、例えば12ページのところに「アカウンティングスクール」という言葉が出てきますね。それから、前にも同じ言葉が出てきますけれども、それについては5ページに「(会計大学院)」とだけ書いてあるわけですね。アカウンティングスクールとは何だろうかという、その中身については私どもまだ十分に議論していないわけですね。この言葉だけが一人歩きして、各大学や何かで、仄聞するところですが、早目にアカウンティングスクールをつくらないと出遅れてしまうぞというような話が我々仲間内では、要するに学会の、教員の間ではそんなことが語られたり何かしているんですね。ですから、ここのところ、どこまで説明するのか。要するに、幾つかの入口の一つとして重要なので検討していきたいと思いますけれども、そのイメージについては今まさに同床異夢でありましょうから、そのことを同床異夢として確認しておくのか、あるいはもう少し書き込むのか、検討する必要があるのかもしれないと思っています。


神崎座長 森田委員お願いします。


森田委員 私はむしろ「アカウンティングスクール」という言葉を公の文書で使うと、内容がまだ全くはっきりしていないのに、何かそれで定着しちゃうみたいなことにならないか。ロースクールの方もまだいろいろな形で議論されていますけれども、それでも中身はまだ分からないですよね。「アカウンティングスクール」というのを恐らく創る、ロースクールに準ずるような大学院なのか、何か分かりませんが、それを創るとすれば、それを終えてから2次試験を受けるわけではないでしょうね。恐らく「アカウンティングスクール」と称するようなもので、大学を出て2年なら2年、会計についての徹底的な勉強をやった人間については、今の2次試験と少なくとも違う試験が必要だろう。
 それから、インターン制度も違った、今のインターン制度よりも場合によったらもっと短い1年でいいとか、2年でいいとかというような問題も出てくるでしょう。その辺が何もはっきりしていない段階で、「アカウンティングスクール」という言葉を使わずに表現できませんかね。


大藤大臣官房参事官 ちょっと工夫、検討させていただきたいと思います。


森田委員 これを「ロースクール」というのもおかしいから、「ロースクールと言われるものに相当するような会計関係の教育機関」とか何とか、ややこしくなっちゃうけれども、何かこの委員会で「アカウンティングスクール」という言葉を使っちゃうと、それがもう決まっちゃっているような感じになるので、気をつけていただいた方がいいのではないかと思います。


関委員 先ほどの話に戻るんですけれども、監査法人における業務補助をやらないと第3次試験が受けられないと、こういう関係が基本なわけですね。しかし、監査法人で業務補助をやらなくとも受ける道もあるわけですね。我々のところなんかも、大学時代に2次試験を通って入ってきて、そして、監査法人でちゃんと業務補助を受けていない人も3次試験を通って公認会計士になっている人もかなりおりますから、そういう道というか、そういうのはかなりストリクトに規定されているのかどうか分かりませんが、そういう道を少しパイプを広げるというような努力というか、方途を、そういう道を拡充するというようなことが考えられるのではないかということをどこかに指摘できないかと、こういう問題意識なんですが。


福田委員 事務局から説明していただいた方がいいのかも分かりませんが、実務従事ということで企業で経理なり内部監査みたいなものをやられた人なり、官庁でそういうようなことをやられたとかいう人は、業務補助の代わりに3次試験の受験資格ができるという制度がちゃんとあります。


大藤大臣官房参事官 それにつきましては、10ページの「インターン制度(実務補習、業務補助等)について」というところでございますが、この2番目のパラグラフフで「このうち、実務補習については、」ということでございまして、「このような指摘を踏まえ、実務経験の対象となる業務の範囲を拡大し、社会人等の多様な人材が第3次試験を受験しやすくできるようにすることが……と考えられるが、」云々と書いてございます。


関委員 書いてあるんですね。


大藤大臣官房参事官 はい。


関委員 そうすると、5ページの最初の前段にある「なお、」というのも、それほどクリティカルな、そういう手を打てばクリティカルな話にはならないと、こう考えておいていいんですね。つまり、業務補助の機会を監査法人において提供できなくとも、そういう代替的な道があれば、十分合格者の増員には対応できるということですよね。


木下委員 それは第2次試験合格者を前提とします。第2次試験の合格者の問題だけで限るんだったら、それは従来からずっとあるわけですよ。5ページのこの(2)で言っているのは、第2次試験の合格者を前提としていないわけでしょう。「なお、合格者の大幅な増員には、」というのは、これは実際の第3次試験の受験者の中には確かに企業から受けている方で優秀な成績で受かっている方がいますし、それがために落ちている事例というのはないんじゃないかと思うんですよね。ただ、要は、3次試験受験要件というように言っているときには、全てが第2次試験を通ってこなくても第3次試験を受けられるという社会人、いわゆる実社会の経験を積んだ人たち、または他の職業専門家等の人たちがいわゆる2次試験から3次試験へというような段階を踏んで試験を受けてこなければ公認会計士になれないという今の制度ですから、そうじゃない場合のことを言っていると思うんですけれども。上の場合は、それは問題ないと思います。今までそれが既成になった事実はない。


関委員 だから、ここのところは随分議論したんですけれどもね。


福田委員 ここで今実務従事という方法があることはあるわけですけれども、今現実に実務従事でやられる方というのは、企業に勤めて合格されて、そのままずっといるという人が多いんですよ。官庁なんかでもできるわけですけれども、現実にもう就職している、社会人で企業に勤めながら2次試験を受かったと。3次試験を受けるために実務補習所へ1年、今は2年になりましたが、夜通ってくるわけですけれども、それとダブってもいいんですが、あと2年間は企業の中で実務従事というものに該当するような仕事をやって3次試験を受けるということになります。今2次試験の受験者は学生なり無職の人が実際ほとんどなので、そういう人がいきなり企業に入っても実務従事という格好で3次試験が受けられるわけですけれども、そういうような形を希望する人はほとんどいないということなんです。監査法人なり個人の会計事務所なりに1回は入ってという人がほとんどだから業務補助の部分で制限される、そういうことです。実務従事という方策はあるわけですけれども、2次試験合格者で「じゃあ、企業に入る」という人は、もう皆無といっていいぐらい今の状況ではいないと思います。


大藤大臣官房参事官 基本的に、まさに社会人の方に、現在の実務従事、業務補助に相当するような部分を免除すると。これは第2次試験合格者に限定した措置でございまして、さらにその上に第2次試験を通らないでいろいろなルートで第3次試験を受験できるようにするかという問題があるということだと思いますが。


関委員 私は、後の方は当然そうで、そのことではなくて、監査法人に業務補助の機会を設けないと、そのことがネックになって、前の文章はそうなんですけれども、ネックになって増やせないという議論があって、それは主客転倒だということでこういうようになっているわけです。本当に業務補助の機会を提供する、これは私は検討した方がいいと思いますけれども、そのこと自身がそれほど大きな問題なのかなという気が実はしておりまして、これから社会人がどんどん合格してくれば、実務従事という形でみんな3次試験の受験要件を取得していけばいいと、こういうことになるんではないかと。従って、それほどこのことが大きな意味を持たないんではないかと、こう思い始めたのでちょっと聞いたわけです。


大藤大臣官房参事官 制度をちょっと御説明させていただきますと、公認会計士法施行令、政令でございますが、第3次試験受験のいわゆる実務従事に相当するものが書き込まれてございまして、一つは「国または地方公共団体の会計の検査・監査」でありますとか、「国税に関する調査・検査の事務を担当する者」はそれに当たりますというのがございまして、その2号で「銀行、信託会社、保険会社、無人会社または特別の法律により設立された法人であって、これらに準ずるものにおいて貸付、債務の保証、その他これらに準ずる資金の運用に関する事務を直接担当すること」というのがございます。それから、3号で「地方公共団体以外の法人において原価計算、その他の財務分析に関する事務を直接担当すること」ということでございますので、企業でそういう直接の担当をしていただくということで、そこはクリアされるということでございます。


関委員 分かりました。幾ら増やしたって、全然問題にならないということですな。端的に言えば。


福田委員 企業に就職している人がそのまま受かって、そこの企業にそのままいるというようなことだったら、そういうことでも構いませんね。


関委員 いや、それはいなくてもいいわけでしょう。そこで実務従事したということで3次試験の受験資格を得て、3次試験を受けて、監査法人に行っていいわけでしょう。


大藤大臣官房参事官 はい。


関委員 だから、全く数の問題の制約にはならないということですよ。


福田委員 それは、企業にいて3次試験を終わったまでの人が会計事務所に入るかというと、ほとんどそういう例はないんですよ。


関委員 今まではない。これからはそういう人を多くすればいいということにすぎないわけでしょう。


大藤大臣官房参事官 ですから、関委員おっしゃるように企業に勤めている方で受験する人が増えて、企業で2次試験に合格したという場合には、そのままその企業で今のような条件に適う事務を直接担当していると受験資格を得ることができます。


関委員 社会人を受けやすくするというのは、そういうことを言っているわけですから。受験学校に行って勉強していることばっかりじゃなくて、もう少しいろいろな人たちが、優秀な人たちが受けられるようにしようと言っているわけですから。


木下委員 2次試験を受かっているほどの人たちはそれでいいんですけれども、2次試験受かっていない人たちは……。


関委員 2次試験を勉強しなきゃいけないですね。


木下委員 ですよね。


関委員 ええ、もちろんそうです。


木下委員 だから、それで(2)の問題で言っていたわけですよね。


関委員 いや、つまり前回のやつは、3次試験を受ける要件として業務補助というものがあるので合格者の数が制約されると、こういう議論だったように思うので、それは違うのではないかということを言っているわけです。数とは全く関係のない話だということですよね。


福田委員 今後そういう人がうんと増えて、今までの人は関係ないというならいいのですけれども……。


関委員 いや、増やそうと言っているわけですからね。


福田委員 それは、合格者全体を増やすわけで、社会人が社会人のままずっといるという人ばかり増えるのならそういう道があるかも分からないですけれども、現実に社会人も今の状況で行けば、会社をやめて、受験学校に行って、その間は無職になるわけですね。それで2次試験に合格しますから、どうしたって会計事務所に入るということなんですよね。


関委員 だから、2次試験も、要するに仕事をしながら2次試験を受けて通るようにできるだけしようと、こういうことですからね。そんな会社をやめて、リスクを負って受験学校に行くというようなことをしなくても、優秀な人が実務に就きながら資格を取って、そして公認会計士になっていく道を開こうと、こう言っているわけですから。


福田委員 そういうような人がどのぐらいいるかという問題が一つあるわけですけれども……。


関委員 それはたくさんいますよ。


福田委員 単に合格者が増えたということでは、今、公認会計士の監査の質を問題にするときには、余り解決にはならないですよね。そういうものを今解決しようということで合格者もということなんだから……。


関委員 それは違うんじゃないかと言っているわけです。社会全体として、そういう人を含めて公認会計士の数を多くすることが監査の質を高めるということにつながるだろうと言っているわけです。


大藤大臣官房参事官 そこはまさに、福田委員の方はむしろ監査を充実するということで6,000人という数字が出ておりまして、関委員の方はそれとともに企業の方で活躍されるということも含めて4倍にしようということで御提案になっている。


関委員 私は、この「なお、」以下を改めなきゃいけないとか、書き直してもらいたいということを言っているわけではありませんが、前の認識が間違いということではないかと。主客転倒ということよりは、むしろ前回の表現は間違いだということです。


神崎座長 実務補習の要件を入れるということが制限になると。


関委員 ……から数が制約されるという認識そのものは間違っているんじゃないかということを言っているわけです。


大藤大臣官房参事官 福田委員の説明は、結局、現在企業に在籍したままで第2次試験に受かった人はその企業にそのままいて、そういうポストに就くことによって実務従事という道で救われるということになりますが、実際は今そういう方が非常に少ないのでということになると、まさに監査法人の方の業務補助というところに来る方が多いということかと。ですから、そこで対応ということだと思うんですが。


関委員 いや、ですから、社会人が2次試験に合格しやすくしようと言っているわけ。


大藤大臣官房参事官 ですから、そういうルートで増えれば、そこの部分については対応の方途があるということだと思います。


神崎座長 時間が参りましたので、この辺で意見交換を終了させていただきます。
 本日頂戴した御意見等につきましては、問題整理に反映させるべく修正を行い、次回、皆様にお諮りしたいと考えております。
 次回会合につきましては、6月21日(水曜日)の午前10時から、合同庁舎四号館4階の第2特別会議室で開催させていただきますので、御出席くださいますようよろしくお願いいたします。
 なお、皆様の席上に第6回会合の議事録(未定稿)をお配りさせていただいております。御覧いただきまして、お気づきの点がございましたら、お手数ですが、次回会合までに事務局までお知らせくださるようお願いいたします。
 以上をもちまして、本日の「試験制度に関する検討小グループ」を終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。

午後5時35分閉会

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