審査基本方針等発表記者会見要旨(16年6月30日)
 

概要説明】
「監査の信頼性確保のために -審査基本方針等-」(PDF)について概要を説明。



質疑応答】


(問


平成16事務年度に行うことで、品質管理レビューに対する助言・提言、場合によっては勧告とありますが、これは16年度でどのように事務を進めていかれるのか。できるだけ早い時期にということですが、年内にもやりたいのか、3月までにやりたいのか、会長のお考えをお聞かせください。


(答


審査会で基本計画の策定に向けて議論を進めていましたけれども、事務局ではこれらに対し既に準備をしておりますので、もう進行中であると理解していただいてよいと思います。


(問


意外に早く結論が出るのでしょうか。例えば年内とか。


(答


それはやってみないとわかりませんが、できるだけ精力的に審査を行なって、そして出来るところから実現していきたいと思っております。来年度に反映させていくためには、協会の来年度の品質管理レビューの基本計画が策定される前に我々の意見・助言・提言を出していかなければ間に合いませんので、そうした時期を考え、間に合うように行っていきたいと考えております。


(問


処分の勧告のところで、ひとつは業務改善指示、懲戒処分というのを監査審査会は出せるということでしょうか。


(答


我々に与えられている権限というのは、モニタリングを実施し、そしてモニタリングの中で業務改善が必要であると認められたので行政処分等を行うことが必要である場合、また、我々がモニタリングをしている過程で、例えば公認会計士法で義務付けられていることが守られておらず懲戒処分に該当する場合や、あるいは虚偽証明の疑いがあるような事態などが出てきた場合に、懲戒の必要があると認める場合は、金融庁長官に対して懲戒の勧告をするということです。


(問


基本的には勧告ということですよね。


(答


我々に与えられているのは勧告をするという権限です。処分をするという権限は、我々は持っておりません。


(問


勧告をするときは「勧告しました」と発表されるのですか。


(答


発表いたします。


(問


ルーティンとして行なわれる協会の品質管理レビューが、ルーティンとして報告されてきますが、それにはどのような情報がどの程度詳細に書かれているのでしょうか。というのは、今日の発表分の中にも、個別の監査意見の適否を審査するものではないとありますけれども、では何を審査するということでしょうか。例えば、かけた人数とか、手法とか、時間とか、何を審査するのですか。


(答


モニタリングの前提となる品質管理レビューですが、個々の監査事務所が行っている監査事務所の品質管理体制がどうなっているのか、それからそういった品質管理システムが現実に実施されているかどうか、それから個別監査についてどのような監査をしているかということについて協会でレビューをします。その結果が我々のところに上がってくるかたちになりますので、我々がチェックすることになります。
 「日本公認会計士協会に関する内閣府令」第一条におきまして、どのような様式で月次報告を行なわなければならないかが決まっております。また、年次報告についても様式が決まっております。それから記載の中身につきましても、詳細に決めております。つまり、日本公認会計士協会に関する内閣府令、これは平成16年4月1日施行でございますけれども、そこに様式が決まっておりまして、記載内容、添付書類も決まっております。したがって、具体的にお示しすることはできませんが、書類の上でのイメージはそれで描けるのではないかと思います。


(問


審査の枠組みのところで、レビューの報告の受理のほかに、さまざまな情報の活用というのがありますが、このさまざまな情報とは何ですか。


(答


いろいろなかたちでの情報提供が当方にあると思いますし、また我々もいろいろな媒体から情報をキャッチするということもあると思います。そういう意味では、協会から上がってくる報告、協会に対して我々がもっとこのような点についての資料を出してくださいと徴求するというものだけではなく、広くいろいろな情報源から可能な限り情報を収集して、それもモニタリングの中で活用していきたいということです。


(問


例えば、どこかの監査事務所の監査は不適切であるという情報であるとか、あるいはどこかの会社や銀行なりがつぶれて、それについては監査上このような問題があったのではないかという報道とかですね、それらも含むということですか。


(答


それらも含まれると思います。


(問


法令等諸基準の遵守状況等とありますが、今回で言えば監査業務と非監査業務の同時提供の禁止とありますが、これをひとつ念頭においていらっしゃるのか、それともそれ以外にもいくつかお考えなのかお伺いします。


(答


今おっしゃった監査業務と非監査業務を分けるということ、それから長期にわたって同じ会計士による監査を制限しているという規定がありますが、そのようなものが一体どのような形で実現をしているのかということを前提にしております。


(問


横断的に確認というのは、各監査法人が遵守しているかということを見るということですか。


(答


各監査法人が遵守しているかということと、それから各監査法人がどのように実施しているかということです。あるいは5年で交代していることもあるでしょうし、あるいは3年で交代しているところもあるかも分からない。それからファイアウォールをどのような形で築いているか、これは各監査法人によって違うかもわかりませんが、そういったものを横断的に見て、ベストプラクティスがあればそれを広めていくということをしてみたいと思います。ですから、問題点を指摘するだけではなく、これは全体として広めたほうがいいだろうと思われる、ベターあるいはベストプラクティスがあれば、そういうものは我々として広めていくこともしてみたいと思います。


(問


個々の個別事案等を監視というのは、今で言えばカネボウの過去の決算について疑義が出ていますし、東北文化学園大学が粉飾決算で破綻となっておりますが、それら世の中を騒がせている事案をひとつ端緒として見ていくということも考えているということでしょうか。


(答


検査基本方針の中で検査を実施する場合を定めておりますが、基本的には(1)~(4)までで、1番目は主として協会を対象として考えており、2番目は監査事務所、3番目は非監査企業を対象として考えております。このようなかたちで類型化しておりますので、これ以外の場合で立入検査を必要とする場合が出てくるであろうと。類型化してしまいますとそこに限定されるという恐れがありますので、そうではなくて、もう少し我々のモニタリングの過程の中で出てきてこれにあたらないもの、その意味で先ほど「情報源から」と申しましたが、我々が立入できる場合をオープンにしておこうということで(5)を入れているということです。


(問


必ずしもレビューに基づかなくて、レビューがなくても新聞報道等で先行的に、レビューを待たずにできるということですね。


(答


直接報告されてきたものだけを前提としますと、それに関わるそれ以外のことについて我々は何にもできないということになってしまいます。一番初めに申しましたけれども、それにとらわれること無くと言っておりますのは、品質管理レビューをより充実させていくためには、現行の品質管理レビューの中で不十分な点やその中に含まれていない事項についてのレビューが必要になってくるわけです。従って、我々としてそのようなことについて横断的に調べてみて、そして必要があれば協会に今後の品質管理レビューの中で見てもらうよう要請すると、そのような意味合いだとご理解ください。


(問


横断的にとおっしゃるのは、例えばベストプラクティスを行なっている企業にも立入検査をすることもありうるということを言っておられるのでしょうか。


(答


横断的に調べるというのは、法令の遵守状況について、特定のところだけでなく広く横断的にどのような実施状況になっているのかということを調べてみようということです。


(問


それは立入検査によってですか。


(答


立入検査というと非常に言葉が強いのですが、前にも申しましたが我々は取締りというかたちで活動するわけではなく、より品質の高い、より信頼性のある監査を実現していこうということで実態を把握するということですので、いわゆる立入検査というイメージで考えていただかないほうがいいと思います。ベストプラクティスを調べるということではなく、我々が実際に調べてみた結果、このような非常にうまいファイアウォールのやり方をやっているところもあると、そういうものがあったとすれば、それは一般的なかたちで広めてもいいだろうと。それを目的として立入検査をするわけではなく、遵守状況がどうなっているかということ、あるいは状況がどうなっているかということを見るということです。
 モニタリングの場合に、基本的には日本公認会計士協会が持っている品質管理委員会規則というものがございます。それからその細則があります。そしてその運営要領がございます。それから品質管理レビュー基準というものを持っております。それから品質管理レビュー手続を持っております。さらに、レビューツールというものを持っております。これらが適切に運用されているかどうかということを我々は審査し、検査していくということになるわけです。その中で、今ご説明しましたように、いろいろな情報を頭に置きながら審査・検査していくというかたちで、あくまでもこれらの規則、細則等が適切な方法であるかどうか、これは制度の問題で、特に今年度は適切に各監査事務所について品質管理レビューをしているかどうか、できる体制であるかどうかということを見ていく、そういう枠組みだということです。


(問


17年度の取り組みの中で、審査会と協会との役割分担、連携の明確化とありますが、今ある役割分担、連携関係をどうするということですか。見直して役割をさらに明確に分けるということですか。あるいは重複する部分をそれぞれ分散するということでしょうか。


(答


我々のイメージとしては、16年度のモニタリングの中で現在行なわれている品質管理レビューがどのような状況にあるのか、どのような効果をあげているのかを明らかにする、そして初年度の成果を次年度の品質管理レビューに反映させたいと考えております。従って、初年度の活動の中で、この部分については協会の方にやっていただくということも出てきますので、そのあたりのところを次年度でははっきりさせていきたいと考えているということです。次年度それでやってもらい、その上で我々と協会との間でなるべく機能が重なることがないような形で、そして役割分担ができるならば分担をして、効率的にお互いに行動するということをイメージしております。


(問


役割分担というのが良く分からないのですが、協会は各監査法人の個別の監査を見るわけですよね。みなさんは協会のレビューを見ると。役割分担はできているわけですよね。これ以上どのような役割分担があるのでしょうか。


(答


会計士協会自身はレビューに関する枠組みを持っておりますから、それらについて16年度はモニタリングに耐えうるものかどうか、所期の目的を達成しうるものであるかを見ていくわけです。そして来年度に向けては問題点を洗った上で、我々が審査あるいは検査の中でそのレビューの前提として次年度にどのように反映させていくかという我々の立場が、また構築されていくと思っております。
 必ずしも役割分担が主たる目的ではありません。初年度で問題点を洗い出し、改善すべき点は次年度の品質管理レビューの中で改善してもらうわけですが、当然我々は、我々が提言してより充実した内容の品質管理レビューが本当に行われているかどうかを確認するという作業をしなければならないわけです。それと同時に、連携、役割分担も含めて考えてみましょうということで理解をしていただければと思います。


(問


モニタリングは、今年度中に全部の監査法人の業務が確認できる体制にあるのでしょうか、あるいは段階的なものを考えておられるのでしょうか。


(答


今年度について、初年度ですし人員も現在モニタリングに関われるのは17名という体制ですので、17名という体制の中で出来る限りのことをしていきたい、そして我々が今年度ターゲットにしている協会が行っている品質管理レビュー、これまでに行われてきた品質管理レビューが現在も継続しているわけですし、今後もつながっていくわけですから、現在行なわれている品質管理レビューについて深度ある実態把握をしていこうと考えております。これは、今年度全部できるかどうかわかりません。現在どのようなかたちで全体を把握するかということについて計画を立て、一部については既に動いておりますので、主要なところについてはできる限り今年度でやっていきたいと思っております。相手方があることですからどうなるかは分かりませんが、第一年度についてできる限りの成果をあげていきたいと考えております。
 具体的にどこということではなく、現在の品質管理レビューがどのような目的を掲げて行われてきたのか、レビューの中でどのような改善措置が各監査法人に対して命じられたのか、また、各監査法人の中における品質管理レビューの体制がどうなっているのかということについて、どの程度品質管理レビューで明らかになっているのか等々を明らかにしていきたいと思います。
 次に、現行のレビューに対するモニタリングですが、レビューの対象となる監査法人等は3年で一巡する予定で、あくまでも公認会計士協会が対象を選ぶわけですから、どのような監査法人、会計士が入っているかは私どもでは今把握しておりません。一斉に全部の監査法人、公認会計士事務所を見るということはありません。3年に一度の周期で会計士協会がレビューをしているわけで、その成果について私どもがモニタリングをしていくということでございます。

 


(以上)


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