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公的資金による資本増強を行う場合、国民の理解を得るためには、金融機関が自己調達により資本を増強する努力を払うことがまず必要であるとの認識を明確にすべきではないか。
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資本注入した資金は、当委員会としては金融機関に返済を求めていくというより、むしろ金融機関の業務の再構築等による収益向上を背景に、株価等が値上がりし、結果として市場売却により投下資金以上の回収ができるといった姿が本来のあるべき姿ではないか。
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資本増強に当たっては、思い切った業務の再構築、リストラによる収益の向上、またそのための金融機関の再編を進めていく姿勢が重要である。十分な経営健全化計画を作成しなかった金融機関については、資本増強をしない場合もありうることを明記することを確認したい。
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早期健全化法の目的は、金融システムの再構築と経済の活性化である。経済活性化の観点からいえば、経済の実態認識が必要である。年度末には信用収縮問題も相当厳しくなっていることも考えられる。資本増強に当たっては、個々の金融機関のリストラ等も重要であるが、ルールの範囲内で思い切った資本増強を促す方向で臨むべきではないか。このことは相当優遇した条件を出すことによって可能となるのではないか。
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2001年のペイオフ実施以降に金融機関の経営破綻を生じさせないことが当委員会に与えられた重要な任務である。資本増強に当たり申請行に対してその財務内容を厳しく審査することは当然であるが、一方で将来のリスクに十分対応できる思い切った額の資本を投入するすることも重要である。これらのバランスを上手にとるためにも、銀行の財務実態、経営実態を正確に把握しておく必要があるのではないか。
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金融機関の再編については、オーバーバンキングの議論はあるものの具体的なコンセンサスがあるわけではない。いずれにしても2001年までには、大手行は国際競争力を有する強い金融機関になっている必要があるのではないか。
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資本増強した金融機関が債権放棄をした場合、いろいろ批判を受けるおそれがあるが、債権放棄を認めないと不良債権を最終処理できない実態を考えて対応していく必要があるのではないか。
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ゼネコン、ノンバンク、不動産業の有するバブルの不良債権の取り扱いには、最近の債権放棄の実態を踏まえた対応が求められる。最近では以前であれば考えられなかったような債権放棄が実態経済への影響を考えて行われているケースがでていることを踏まえるべきではないか。
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会社更生法に基づく債権放棄であれば問題ないだろうが、一般の債権放棄については株主責任、経営責任の点で問題が残る可能性がある。しかしながら、合理的にみて回収できない不良債権が存在するわけであり、帳簿上償却することはあり得るのではないか。債権放棄は不良債権をバランスシートから切り離す一つの手段と考えれば、資本増強した金融機関が債権放棄を行ったとしても不合理ということにはならない。いずれにしても、残存債権の回収可能性などから経済合理性等の観点に立って個別に判断する余地はあるのではないか。
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債権放棄を行う金融機関に対して資本増強を行うかどうかについては、一定の条件を満たした債権放棄を行うものに限るべきであり、その条件を明確にする必要があるのではないか。
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