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2 預り金関係
 

2−1 出資法第2条における金融監督庁の権限等
−1−1 出資法第2条について
 
(1)  一般大衆から預り金の受入れを行い、その業務がひとたび破綻をきたすようなことがあれば、一般大衆に不測の損害を及ぼすばかりでなく、社会の信用制度と経済秩序を乱すこととなる。
 このため、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)第2条は、一般大衆の保護と信用秩序の維持の観点から、他の法律において特別の規定のある者(例えば、銀行法に基づく銀行等)を除き、「預り金」を禁止しているものである。
 
(2)  「預り金」とは、同条第2項において、預金等と同様の経済的性質を有するものとされており、次の4つの要件のすべてに該当するものとされている。
 
マル1  不特定かつ多数の者が相手であること
 
マル2  金銭の受け入れであること
 
マル3  元本の返還が約されていること
 
マル4  主として預け主の便宜のために金銭の価額を保管することを目的とするものであること
 
−1−2 出資法第2条違反のおそれのある個別事案の所掌
 
 出資法は、預り金禁止の実効性を基本的に罰則の適用によって担保しようとするものであり、金融監督庁は、出資法上具体的な規制・監督権限を有しておらず、現に行われている違反の疑いのある個別、具体的事実の解明あるいは取締りは、捜査当局の所掌となっている。
 
−1−3 出資法第2条に関する金融監督庁の所掌
 
 出資法第2条に関する金融監督庁の所掌事務としては、金融再生委員会設置法第4条及び第18条において「預り金となるべき金銭の受入れについての情報の収集に関すること。」と規定されているが、具体的な権限は規定されておらず、同条の事務は一般的な情報収集事務と解されている。
 
−1−4 出資法第2条違反の防止
 
 金融監督庁としては、出資法第2条を所管する官庁として、違反防止に努める必要があり、その観点から一般の照会に対する適切な対応、捜査当局等との緊密な連携、一般的な広報による注意喚起等に努める必要がある。
 

2−2  出資法第2条に関する具体的な対応
−2−1 一般からの照会への対応
 
出資法第2条に関する一般的な照会については、
 
マル1  出資法第2条に関する一般的な解釈
 
マル2  特定の団体について、銀行業等の免許の有無
 
マル3  出資法違反の過去の事例
 
等について、教示するとともに、現に行われている具体的な事案については、必要に応じ警察や、国民生活センター、各都道府県の消費生活センター等に相談するよう助言するものとする。
 なお、具体的な事案について、出資法第2条に違反するか否か等の照会を受けた場合(当該事案が照会者自らの行為に関するものである場合を含む。)には、同条に関する一般的な解釈として「預り金」の要件を説明するとともに、「仮に当該要件に該当するものであれば、同条違反となる」旨を説明し、注意喚起を行うものとする。
 
−2−2 一般からの照会等により出資法違反の疑いのある情報に接した場合の対応
 
 一般市民からの照会等により出資法第2条に違反するおそれのある情報に接した場合には、直ちに、当該情報を捜査当局に提供するとともに、監督部金融会社室に報告するものとする。
 
−2−3 貸金業者の検査により出資法違反の疑いのある情報に接した場合の対応
 
 貸金業規制法に基づく貸金業者の検査は、同法第42条第2項の規定により、資金需要者等の利益の保護の観点から行われるものであるが、検査の際、出資法第2条に違反するおそれのある情報に接した場合には、直ちに、当該情報を捜査当局に提供するとともに、監督部金融会社室に報告するものとする。
 

2−3  捜査当局及び消費生活センター等との連携等
−3−1 捜査当局及び消費生活センター等との連携
 
 貸金業関係連絡会や防犯関係連絡会等の場を通じること等により、捜査当局と緊密な連携を図るものとする。また、消費生活センター等との間においても、緊密な連携を図るものとする。
 
−3−2 出資法第2条関係以外の悪徳商法に関する情報の報告
 
 一般からの照会等により、出資法第2条関係以外の悪徳商法に関する情報に接した場合においても、直ちに、当該情報を捜査当局に提供するとともに、監督部金融会社室に報告するものとする。
 

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