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3 投資一任契約に係る業務
 

3−1  業務の内容及び方法を記載した書類
 法第26条第2項に規定する「業務の内容及び方法を記載した書類(以下「業務方法書」という。)」には、以下の点が記載されていること。
 
(1)  認可投資顧問業者の業務の基本方針及び業務運営の原則に関する事項
 
(2)  認可投資顧問業者の業務の範囲及び契約資産運用の基本方針に関する事項
 
(3)  顧客の勧誘及び管理体制に関する事項
 
(4)  投資一任契約に係る業務の対象となる有価証券等及び証券取引行為に関する事項・認可投資顧問業者の組織及び財務の健全化に関する事項
 
(5)  利害関係人である法人に関する事項
 
(6)  証券投資顧問業協会(法第42条第1項に規定する証券投資顧問業協会をいう。)に加入する場合、協会自主規制等の遵守に関する事項

 

3−2  法第26条の規定に基づく認可申請
−2−1 財務局長等は、認可申請書等の審査に当たっては、以下の点に留意する。
 
(1)  法第26条第2項に規定する「業務方法書」の審査に当たっては、法令等を踏まえ、適正に行うこと。
 
(2)  規則第27条第3項第1号及び第2号の「履歴書」には、投資一任契約に係る投資判断者等(取締役等を兼ねる者を含む。)が投資判断業務等に従事した経歴及びその業務の内容が記載されていること。
 
(3)  規則第27条第3項第3号の「最終の貸借対照表、損益計算書及び利益処分計算書又は損失金処理計算書」がない(最初の決算期が未到来)場合、予備申請書提出時に決算期が到来したものとみなして作成した「貸借対照表、損益計算書及び利益処分計算書又は損失金処理計算書」を添付すること。
 
(4)  規則第27条第3項第4号の「投資一任契約に係る業務の開始後3年間における当該業務の収支の見込みを記載した書面」に、収支見込みの算出根拠が明確に記載されていること。
 
(5)  規則第27条第3項第8号の「役員の兼職及び兼業状況」に、役員のうち兼職又は兼業している者が記載されていること。
 
(6)  規則第27条第3項第9号の「報酬額の定め」に、兼業に係る業務を営む場合は、投 資顧問業又は投資一任契約に係る業務に対する報酬の額と兼業に係る業務に対する手数料等の額との区分が明確に規定されていること。
 
(7)  規則第27条第3項第12号の「投資一任契約に係る業務に関する管理体制の整備状況」には、内部管理体制の整備状況、顧客別勘定の整備状況、顧客からの契約資産運用状況の照会等に対する回答体制及びその際のコンピューター等の活用状況等について記載されていること。
 なお、証券投資信託委託業者(投信法第2条第10項に規定する証券投資信託委託業者という。以下同じ。)が認可申請を行う場合は、証券投資信託委託業者として運用の指図を行う特定の信託財産に係る受益者の利益を図るため、投資顧問契約又は投資一任契約に係る顧客を害することとなる行為などの証券投資信託委託業者として運用の指図を行う特定の信託財産に係る受益者と投資顧問契約又は投資一任契約に係る顧客との利益相反行為を未然に防ぐ社内管理体制の整備状況が明確に記載されていること。
 
−2−2 財務局長等は、外資系現地法人及び外国会社の本邦支店により提出された認可申請書等の審査に当たっては、以下の点に留意する。
 
(1)  認可申請書等が、原則として日本語で記載されていること。
 
(2)  外資系現地法人による認可申請の場合の留意事項
 規則第27条第3項第6号の「会社の概要及び沿革」に申請者に係る書類のほか、海外親会社に係る書類及び海外親会社とその関係会社の関係を示す系統図が添付されていること。
 なお、海外親会社に係る書類及び海外親会社とその関係会社の関係を示す系統図の主要な部分について日本語訳が注記されていること。
 
(注 )海外親会社に該当する外国会社がない場合には、発行済株式総数の20%以上を所有する外国会社に係る書類、資料が添付されていること。
 
(3)  外国会社の本邦支店による認可申請の場合の留意事項
 
マル1  法第26条第1項第2号の「資本の額」として、申請者(外国会社)に係る額のほか、その本邦支店に係る「持込資本金」の額が明記されていること。
 
マル2  法第26条第1項第4号の「営業所の名称及び所在地」として、申請者の本邦支店を含む全ての営業所について記載されていること。
 
マル3  法第26条第2項の「定款」として、日本語訳のほか、申請者の本国で作成された正本が添付されていること。
 
マル4  法第26条第2項の「会社登記簿の謄本」として、申請者の会社登記簿の謄本の日本語訳及び申請者の本国で作成された正本のほか、本邦支店の登記簿の謄本が添付されていること。
 
マル5  規則第27条第3項第2号の「投資一任契約に係る投資判断者等の履歴書」として、申請者の本邦支店に所属する者及び本邦支店以外の営業所において本邦の顧客に係る業務に従事する者に関する記載があること。
 
マル6  規則第27条第3項第3号の「最終の貸借対照表、損益計算書及び利益金処分計算書又は損失金処理計算書」として、申請者に係る書類(申請者の本国における商業帳簿の作成に関する法令又は慣行により作成したもので代えることができる。)のほか本邦支店に係る書類が添付されていること。
 なお、申請者に係る書類及び本邦支店に係る書類の主要な部分について日本語訳が注記されていること。
 
マル7  規則第27条第3項第4号の「投資一任契約に係る業務の開始後3年間における当該業務の収支の見込みを記載した書面」として、申請者の本邦支店に関する記載があること。
 
マル8  規則第27条第3項第5号の「法第7条第1項各号に該当しないことを誓約する書面」が、申請者により作成されたものであること。
 
マル9  規則第27条第3項第6号の「会社の概要及び沿革」として、申請者に係る書類のほか、申請者とその関係会社の関係を示す系統図が添付されていること。
 なお、申請者に係る書類及び申請者とその関係会社の関係を示す系統図の主要な部分について日本語訳が注記されていること。
 
マル10  規則第27条第3項第9項から第14項は、いずれも申請者の本邦支店に関する記載であること。
 
−2−3 金融監督庁長官への進達

 財務局長等は、法第26条の規定に基づく認可申請書等の提出を受けた場合、その認可申請書等が所定の様式に従い整備されているときはこれを受理し、遅滞なく金融監督庁長官に進達する。

 

3−3  投資一任契約に係る業務の認可の審査基準等
 財務局長等は、投資一任契約に係る業務の認可申請書等の記載事項の確認を行うに当たっては、規則第27条第1項から第3項及び上記3−1に掲げる認可申請書等の記載事項の確認のほか、3−3−1及び3−3−2の基準が満たされているかどうか併せて審査すること。
 
−3−1 法令等の遵守状況

 規則第27条の2第2項第1号及び第2号の趣旨に鑑み、認可申請者及びその主要な役職員の法令等の遵守状況が良好なものであると認められること。
 

−3−2 顧客との信頼関係の維持

 規則第27条の2第2項第1号及び第2号の趣旨に鑑み、顧客との間で紛争が絶えないなどの業務運営面における問題がないこと等、顧客との信頼関係が良好に維持されていると認められること。
 

−3−3 証券投資信託委託業を兼業する場合

 証券投資信託委託業を営む投資顧問業者(認可投資顧問業者を除く。)が投資一任契約に係る業務を営もうとする場合、以下の点に留意する。

(1)  法第4条の規定に基づく投資顧問業者の登録を受けており、かつ、投信法第18条第2項の規定に基づく兼営の届出(投資一任契約に係る業務を兼営する届出)が遅滞なく提出できる状態にあること。
 
(2)  投資顧問業及び投資一任契約に係る業務と証券投資信託委託業との間において、利益相反防止に関する社内管理体制が整備されていること。
 
−3−4 証券業を兼業する場合

 証券業を営む投資顧問業者(認可投資顧問業者を除く。)が投資一任契約に係る業務を営もうとする場合、以下の点に留意する。

(1)  法第4条の規定に基づく投資顧問業者の登録を受けており、かつ、証券取引法第34条第3項の兼業の届出が遅滞なく提出できる状態にあること。
 
(2)  財務局長等は、法第31条第2項に基づく兼業の認可申請書が併せて提出されているか確認する。
 
(3)  規則第27条の3第2項第1号の審査に当たっては、法第23条の3第1号の「有価証券の発行者又は証券業に係る顧客に関する非公開情報」について、証券業を行う部門と投資顧問業を行う部門とが明確に分かれていることにより、当該非公開情報が遮断される社内体制となっているかどうか等を審査する。

 

3−4  法第28条の規定に基づく業務の内容及び方法の変更の認可
−4−1 財務局長等は、認可に当たり、法第27条及び規則第27条の4等により審査するものであること。
 
−4−2 金融監督庁長官への報告

 財務局長等は、業務方法書の変更の認可を行った場合は、別紙様式18による変更の認可申請に係る報告書を毎月とりまとめ、金融監督庁長官に対して報告する。
 

−4−3 認可申請を要しない業務方法書の変更

 業務方法書の変更のうち、利害関係人である法人の記載事項を変更する場合は、変更の認可申請を要しない。
 ただし、変更予定日の1週間前までに変更後の業務方法書の案文(該当条項の新旧対照表)の提出を受けるものとする。

 

3−5  法第29条の規定等に基づく投資一任契約に係る業務の廃止等の届出
(1)  廃止等の届出は、1−4に準じて取扱う。
 
(2)  財務局長等は、法第29条及び令第28条に基づく廃止等の届出書等の提出を受けた場合は、別紙様式19による投資一任契約に係る業務の廃止等に係る報告書を毎月とりまとめ、金融監督庁長官に対して報告する。

 

3−6  法第30条の規定に基づく取締役の兼職の承認
−6−1 承認申請に関する留意事項
 
(1)  「常務に従事する取締役」は、取締役会への出席回数、拘束時間の多少にかかわらず、会社の実務に携わるすべての取締役を含むものとする。
 したがって、代表権のある取締役はもちろん、代表権のない取締役でも会長、社長、副社長、専務、常務として対外的に常務に従事すると見られられるものは、承認の対象となる。
 
(2)  「他の会社の常務に従事し」については、会社には商法と特別法とを問わずすべての会社を含み、公益法人、組合等は含まれない。
 また、他の会社の常務に従事しているとは他の会社の取締役であることを要せず、他の会社の実務に携わる場合は常務に従事するものとして承認の対象とする。
 なお、他の会社の代表権のある取締役に就任する場合はすべて承認の対象となるほか、代表権のない取締役でも会長、社長、副社長、専務、常務として対外的に常務に従事していると見られるものは、承認の対象となる。
 
(3)  「事業を営む」とは、自己の名をもって事業を営むことのほか、経営の主体となり又は実務に携わっていることを含む。
 
−6−2 財務局長等は、承認に当たり、法第30条の2及び規則第27条の2第2項等により審査するものであること。
 
−6−3 金融監督庁長官への報告

 財務局長等は、取締役の兼職の承認を行った場合は、別紙様式20による取締役の兼職の承認に係る報告書を毎月とりまとめ、金融監督庁長官に対して報告する。

 

3−7  規則第29条の2第1項第5号に規定する運用(いわゆる合同運用)の禁止
 投資一任会社は、規則第26条第2項第7号の規定により、個別運用管理の徹底を期すため、「複数の顧客の契約資産について、契約期間、対象となる有価証券、売付け又は買付けの時期を同一にする運用」(合同運用)を禁じられている。
 したがって、同一のファンド・マネージャーの下で運用されている複数の契約資産について、例えば、結果的に1か月間同じように取り扱われたとしても問題にはならないが、相当長期間にわたって同じように取り扱われた場合には、規則第26条第2項第7号により禁止される合同運用に該当すると判断される場合があることに留意する。
 

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