項 目 |
説 明 |
実 務 |
論点・懸案事項 |
参照
ページ |
信用損失の定義 |
どのように損失は定義されるのか |
・ |
MTM(時価評価(mark-to-market))やデフォルト・モード方式(Default
Mode; DM)の両方が利用/推奨されている
|
・ |
不良債権の処理コストや調達コストを含める銀行とそうでない銀行がある
|
|
・ |
損失の定義の間での実際上の相違(即ちMTMもしくはDMを利用すべきか)が明確でない |
|
16 |
リスク計測期間(Time Horizon) |
どのくらいの期間についての損失が測定されるべきか |
|
・ |
現在まで感応度分析がほとんど行われていない
|
・ |
所要自己資本の測定にはどの期間を用いるべきか(例えば、1年か、融資の期間か、等)
|
|
16 |
信用リスクの集計方法 |
個々の融資の特性か、集合ベース(pool)での特性かの区別 |
・ |
殆どの銀行は、商業貸出については、個別の特性を考慮しているが、リテール・ポートフォリオについてはプールされたデータで評価している
|
|
・ |
プールされたデータの信頼性
|
・ |
プールされたデータでは個別リスクが見落とされることはないか
|
|
30 |
確率密度関数(Probability
Density Function; PDF)
|
PDFの生成及び利用方法 |
|
・ |
利用すべき分布のグループについて一般的な合意はない |
|
26 |
信用度の相関 |
信用格付とデフォルトの相関をどのように考えるか |
・ |
明示的か非明示的か
|
・ |
明示的ならば格付間かセクター間か
|
|
・ |
ある方法が他に比べて良い方法であるか
|
・ |
報告された結果に大きな違いはあるか
|
|
31 |
条件付きか無条件か |
モデルによる推定結果は、現在の経済状態に依存しているか |
・ |
現在、大部分は無条件モデルで、少数のモデルのみ条件付きとなっている |
|
・ |
選択した方法により、リスクは、景気循環の中の位置によって過少に評価されたり過大に評価され得る
|
|
28 |
内部管理での活用 |
モデルが全行的に活用されているか、それとも特定の業務のエクスポージャーについてのみ活用されるのか
銀行は、内部的に信用リスク・モデルをどのように利用しているか |
・ |
(もしあったとしても)極く少数の銀行しか、信用リスクを測定するための完全に統合された全社的なモデルを開発していない
|
・ |
取扱は極めて様々である。信用集中の枠設定、貸倒引当金に関するガイドライン(ALL
ガイドライン)、RAROCへのインプット等の利用が見られる
|
|
・ |
もし、銀行が内部の与信の配分のためこのシステムを利用していないとした場合、この手法がどの程度信頼のおけるものと考えられるか |
|
|
項 目 |
説 明 |
実 務 |
論点・懸案事項 |
参照
ページ |
デフォルト時の損失比率(Loss
Given Default Rates; LGDs) |
与信先がデフォルトした場合にどの程度の損失が生じるか、について測定 |
・ |
大部分の銀行はヒストリカル・データと直観の組み合わせによりLGDを推定している
|
・ |
LGDのモデル化の手法はさまざまである。しかし、たいていのモデルはベータ分布を利用している
|
|
・ |
感応度分析の欠如
|
・ |
ヒストリカル・データの欠如 |
|
36 |
内部格付及び期待デフォルト頻度(Expected
Default Frequency; EDF) |
個々の与信や資産のプールについて、どの程度の期待デフォルト・リスクがあるか、について測定 |
・ |
内部及び外部格付は、多くの場合個別の与信に利用される。
|
・ |
合算ベースのプール方式では、銀行の内部の償却実績率がよく使われる
|
|
・ |
EDFを測定できる内部システムの正確性には疑問がある。たいていのシステムはEDFとLGDを組み合わせて利用している |
|
39 |
内部格付の遷移 |
将来の格付の遷移やデフォルトの変動についての予測 |
・ |
多くの銀行は外部格付情報に頼っている(即ち、ヒストリカル・データ)
|
・ |
内部のヒストリカル・データに基づいて遷移行列を作成している銀行もある
|
|
・ |
外部格付の遷移行列は、銀行の信用リスク評価に適切であるとは限らない
|
・ |
内部システムは正確ではない、あるいは、十分なヒストリカル・データがない場合もある
|
|
39 |
信用相関 |
資産間の相関の測定。MTM方式においては、デフォルトに加えて内部格付の遷移についても相関を測定する必要がある |
・ |
殆どのモデルでは、株価変動から生成される相関データが利用されている
|
・ |
他の銀行は、相関を主観的に決定している
|
|
・ |
銀行の与信についての相関を見積もるために、株に関する情報を利用することは合理的か
|
・ |
ヒストリカル・データの不足はこのパラメータにとって大変重大な問題である
|
・ |
米国以外では、情報はさらに少ない
|
|
43 |
クレジット・スプレッド |
MTM算出の目的で将来のキャッシュフローを割り引くために利用される、適正なクレジット・スプレッドの測定 |
・ |
銀行は、外部格付が有る債務者への貸付について、市場において同格付に対し一様に呈示された、クレジット・スプレッドを利用する傾向にある
|
|
・ |
どのように、クレジット・スプレッドの『流動性』要素が考慮されているか |
|
46 |
エクスポージャー・レベル(例えば、デフォルト時に引き出された与信残高) |
モデルにおいて利用されるエクスポージャーの残高の適切な測定 |
・ |
銀行は、エクスポージャーが確定していない取引について(例えば、未引出しのコミットメント)、信用リスク相当額を決定することを試みている
|
・ |
銀行は、市場価値が変動する商品の将来及び平均のエクスポージャー、ないしは信用リスク相当額の測定を試みている
|
|
|
46 |
与信の特徴付け |
与信の適切な業種、国への分類 |
・ |
分類に当たり銀行は財務諸表上の売上げ/資産残高と人的判断とを併用している |
|
・ |
人的判断による分類の正確性
|
・ |
業種や国への分類を完全にサポートする情報の欠如
|
|
44 |
情報システム能力 |
銀行のシステムは、必要とされるデータを把握し、複数のシステムから得られたデータを結合させることができるか |
・ |
どのように情報が収集され、かつ、何が収集されているかについての重大な相違 |
|
・ |
収集された情報が不十分
|
・ |
必要情報を収集するには、重要なシステムの改良/変更が必要
|
|
48 |
経営情報システム(MIS) |
正確で、適時の、理解可能な情報が、経営者に提供されるか |
・ |
報告のプロセスは、発展の初期段階にある場合が多い |
|
・ |
いくつかのアプリケーション・システムは分析にかなり長い時間がかかる
|
|
48 |
項 目 |
説 明 |
実 務 |
論点・懸案事項 |
参照
ページ |
経営者による監督 |
銀行の経営者がこの分野で正当な監督を行う能力について、現状はどうなっているか
|
・ |
たいていのモデル化に関する知識・専門的技能は、現在、行内の専門担当者にある |
|
・ |
ラインの経営陣及び上席の経営陣は各行の内部モデルの長所・短所について理解する必要がある |
|
49 |
バック・テスティング |
実際の損失と予想損失とが一致することについての検証 |
・ |
銀行は十分なバック・テスティングを完了した銀行はない
|
・ |
ヒストリカル・データの利用可能性が限られていることは、大きな障害となっている
|
|
・ |
現在のところ、正確性を検証するための方法はない
|
・ |
適切にバック・テスティングを行う方法に関して疑問が残っている
|
|
52 |
ストレス・テスト |
様々な経済シナリオ下でのモデルの計算 |
・ |
いくつかの銀行はこの分野での作業を開始しているが、現在までのところ、包括的な作業は見られていない
|
|
・ |
ほとんどの銀行はストレス・テストを行っていない |
|
54 |
感応度分析 |
入力パラメータの値の変化に対する感応度について評価 |
・ |
現在までのところ、この分野においては、かなり限られた作業しか完了していない |
|
・ |
感応度に関する情報は極めて限られている。パラメータの変更の影響を理解するため、感応度分析の改善が必要である
|
|
54 |
モデルの内部レビュー及び監査 |
モデルの合理性を判断するため、銀行は独立したレビュー・プロセスを有しているか
|
・ |
殆どの銀行は内部レビュー・プロセスを有していない |
|
・ |
これらのプロセスに関するレビューの独立性の欠如 |
|
55 |