空売り規制の前倒しについて

 

 本年10月9日、「金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律の一部を改正する法律」(議員立法)が国会で可決成立し、12月1日に施行予定であった空売り規制が10月23日より施行されることとなりました。

 大蔵省としては、この空売り規制の前倒しに併せ、証券取引法施行令及び有価証券の空売りに関する省令について、所要の改正を行うこととしました。


証券取引法施行令の一部を改正する政令の概要

 

  1. 有している有価証券の売付け後遅滞なく当該有価証券を提供できることが明らかでない場合を、有価証券を有しない若しくは有価証券を借り入れている場合に準ずる場合とすることとした。(第二十六条の二関係)
  1. 有価証券市場において有価証券の売付け又は売付けの委託等をする場合には、当該売付けが空売りであるか否かの別を明らかにし、また、売付けの受託等をする場合には、当該売付けが空売りであるか否かの別について確認しなければならないこととした。(第二十六条の三関係)
  1. 有価証券市場において空売りを行おうとするときは、当該空売りに係る有価証券の直近の公表価格に満たない価格において空売りを行ってはならないこととした。(第二十六条の四関係)
  1. 証券業協会の協会員が行う店頭売買有価証券の店頭売買取引について、前記2及び3の規定を準用することとした。(第二十六条の三第六項、第二十六条の四第五項関係)
  1. この政令は、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律の一部を改正する法律の施行の日から施行することとした。

有価証券の空売りに関する省令の一部を改正する省令の概要

 

  1. 空売り規制については、有価証券の空売りに関する省令で同規制の適用除外取引を定めている。今般、金融システム改革のための関係法律の一部の施行により、新たに以下の取引を同規制の適用除外取引に追加する等、有価証券の空売りに関する省令の改正を行うこととした。

(1) 有価証券市場における売付け(第1条、第3条関係)

(明示・確認、価格制限の適用除外取引)

(a) 決済未了の有価証券の売付け

(b) 有価証券市場における立会外の売付け

(c) 転換社債、新株引受権付社債等の転換権、引受権行使後の売付け

(価格制限の適応除外取引)

(d) ヘッジ取引

(e) 単位未満株の有価証券の売付け

(f) 他の有価証券市場との価格平準化のための有価証券の売付け

(注)なお、(a)、(e)及び(f)については、証券取引法施行令に規定されていたものを本省令に規定することとしたものである。

(2) 店頭売買取引による売付け(第2条、第4条関係)

上記(a)、(c)、(e)及び(f)に準じて規定することとした他、明示・確認及び価格制限の適用除外取引として証券業協会の協会員が行うマーケットメイク取引を規定することとした。

  1. 本省令は、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律の一部を改正する法律の施行の日から施行することとした。

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