金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令要綱

 

 金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律の施行に伴い、証券取引法施行令その他の関係政令について、所要の規定の整備を図ることとする。
 
 証券取引法施行令の一部改正(第1条関係)
1.  定義規定の整備
 有価証券等の定義規定について所要の整備を行うこととする。(証券取引法施行令第1条の2〜第1条の5、第1条の7、第1条の9〜第1条の11関係)
 
2.  ディスクロージャー制度
(1)  特定有価証券の範囲の整備
 証券投資信託の受益証券及び証券投資法人の投資証券を特定有価証券とすることとする。
(証券取引法施行令第3条の4関係)
(2)  公開買付け制度の整備
 株券等の公開買付けの対象となる有価証券の範囲の拡大に係る所要の規定の整備を行うこととする。(証券取引法施行令第6条関係)
 公開買付けの対象となる減資のための上場株券等の買付け等及び外国会社による自己株券等の買付け等の要件を定めることとする。(証券取引法施行令第14条の3の2関係)
(3)  大量保有報告制度
 大量保有報告制度の対象となる株券関連有価証券の範囲の拡大に係る所要の規定の整備を行うこととする。(証券取引法施行令第14条の4関係)
 
3.  証券会社等
(1)  証券会社の最低資本の額
 証券会社の最低資本の額を1億円とし、認可業務である有価証券の元引受け業務、有価証券店頭デリバティブ取引に係る業務及び私設取引システムに係る業務については、業務別に最低資本の額を定めることとする。(証券取引法施行令第15条、第15条の2関係)
(2)  顧客資産の分別管理
 顧客資産の分別管理の適用除外となる取引として、有価証券店頭デリバティブ取引、外国市場証券先物取引等を定めることとする。(証券取引法施行令第16条の2関係)
(3)  業務及び財産の状況に関する説明事項
 証券会社の業務及び財産の状況に関する説明事項として、業務の種類及びその概要、自己資本規制比率等を定めるとともに、公衆の縦覧に供すべき時期を定めることとする。(証券取引法施行令第16条の3関係)
(4)  資産の国内保有
 証券会社に対し国内保有を命ずることができる資産の範囲を定めることとする。(証券取引法施行令第16条の4関係)
(5)  登録金融機関の証券業務
 登録金融機関が証券業務として行うことができる証券投資信託の受益証券等の売買等の範囲及び私募の取扱いの対象から除外される有価証券を定めることとする。(証券取引法施行令第17条の3〜第17条の3の3関係)
 登録金融機関の代理を行う者の範囲等について、所要の規定の整備を行うこととする。 (証券取引法施行令第18条関係)
 
4.  証券金融会社
 証券金融会社の最低資本の額を1億円とするとともに、内閣総理大臣の免許が必要となる業務を定めることとする。(証券取引法施行令第19条の2、第19条の3関係)
 
5.  不公正取引規制
(1)  安定操作取引制度
 取引所集中義務の撤廃に伴い、安定操作取引関係規定について所要の整備を行うこととする。(証券取引法施行令第20条〜第25条関係)
(2)  インサイダー取引関連規制の整備
 インサイダー取引関連規制の対象となる有価証券の範囲を拡大し、所要の規定の整備を 行うこととする。(証券取引法施行令第27条〜第27条の7、第32条〜第33条の4関係)
 
 外国証券業者に関する法律施行令の一部改正(第2条関係)
 営業保証金制度の廃止に伴う関係規定を削除するほか、外国証券業者が証券業を営む際の登録要件等について、所要の規定の整備を行うこととする。
 
 有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律施行令の一部改正(第4条関係)
 認可投資顧問業者が顧客から一任された投資判断等を再委任することのできる者、投資顧問業者の利害関係人の範囲等について、所要の規定の整備を行うこととする。
 
 銀行法施行令の一部改正(第5条関係)
1.  同一人に対する信用の供与等(銀行法施行令第4条関係)
(1)  同一人と特殊の関係のある者(以下「受信合算対象者」という。)及び信用の供与又は出資(以下「信用の供与等」という。)の範囲を定めるとともに、信用供与等限度額として、同一人(受信合算対象者を含む。)に対する信用の供与等の額又は同一人自身に対する信用の供与等の額について、それぞれ当該銀行の自己資本の額に一定の割合を乗じて得た額を定めることとする。
(2)  合算信用供与等限度額として、同一人(受信合算対象者を含む。)に対する信用の供与等の額又は同一人自身に対する信用の供与等の額について、それぞれ当該銀行及びその子会社等の自己資本の純合計額に一定の割合を乗じて得た額を定めることとする。
(3)  同一人(受信合算対象者を含む。)に対する信用の供与等の額が信用供与等限度額又は合算信用供与等限度額を超えるやむを得ない理由として、当該債務者等の事業の継続に著しい支障を生ずるおそれがあること等を定めることとする。
 
2.  銀行の特定関係者
 銀行が通常の条件に照らして当該銀行に不利益を与えるものと認められる取引等をしてはならない相手方である当該銀行と特殊の関係にある者(特定関係者という。)として、当該銀行の子会社、当該銀行を子会社とする銀行持株会社等を定めることとする。(銀行法施行令第4条の2関係)
 
3.  資産の国内保有
 内閣総理大臣による銀行に対する資産の国内保有命令については、期限及び対象となる資産の範囲又は総額の上限を示して行うものとし、当該命令の対象となり得る資産の範囲については、預金等、証券取引法上の有価証券その他の資産とすることとする。(銀行法施行令第5条の2関係)
 
4.  銀行持株会社に係る同一人(受信合算対象者を含む。)に対する信用の供与等
 銀行持株会社に係る同一人(受信合算対象者を含む。)に対する信用の供与等として、銀行に準じた取扱いとすることとする。(銀行法施行令第16条の2の2関係)
 
 長期信用銀行法施行令等の一部改正(第6条,第8条〜第10条関係)
 銀行法施行令の改正に準じて所要の規定の整備を行うこととする。
 
 外国為替銀行法施行令の廃止(第7条関係)
 外国為替銀行法施行令を廃止することとする。
 
 保険業法施行令の一部改正(第15条関係)
1.  保険会社の取締役の兼職制限等
 保険会社の取締役等が取締役等又は使用人を兼任できない金融機関として、当該保険会社の子会社、当該保険会社を子会社とする保険持株会社の子会社等に該当する銀行等を定めることとする。(保険業法施行令第2条の2関係)
 
2.  保険会社の特定関係者
 保険会社が通常の条件に照らして当該銀行に不利益を与えるものと認められる取引等をしはならない相手方である当該保険会社と特殊の関係にある者(特定関係者という。)として、当該保険会社の子会社、当該保険会社を子会社とする保険持株会社等を定めることとする。(保険業法施行令第14条関係)
 
 金融先物取引法施行令の一部改正(第16条関係)
 店頭金融先物取引をすることができる場合の一方の当事者となる者として銀行、証券会社等を定めることとする。(金融先物取引法施行令第1条の2関係)
 
 租税特別措置法施行令等の一部改正(第17条、第21条、第25条、第26条、第28条、第37条、第38条、第44条関係)
 確定申告を要しない少額配当等の特例の適用対象から除外する証券投資信託の具体的な範囲を定める等のほか、証券取引法、証券投資信託法等の改正に伴う所要の規定の整備を行うこととする。
 地方税法施行令の一部改正(第18条関係)
 証券投資法人制度の創設、私募投信の導入等に伴う所要の規定の整備を行うこととする。
 
十一  その他
1.  施行期日
(1)  この政令は、(2)を除き、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律の施行の日(平成10年12月1日)から施行することとする。
(2)  公開買付けの対象となる減資のための上場株券等の買付け等及び外国会社による自己株券等の買付け等の要件を定める所要の規定の整備については、平成11年4月1日から適用することとする。
 
2.  その他所要の規定の整備を行うこととする。
 

 


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