アクセスFSA 第42号(2006年5月)
櫻田副大臣とノワイエフランス銀行総裁との会談(5月22日) 金融庁ホームページ「教えて金融庁」に子供向けコンテンツ「カネールのKIN☆YOUランド」を導入しました。(5月11日)
櫻田副大臣とノワイエ フランス銀行総裁との会談 金融庁ホームページ「教えて金融庁」に子供向けコンテンツ「カネールのKIN☆YOUランド」を導入しました。
(5月22日) (5月11日)
目 次
【トピックス】
 ○  「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等に関する公表について
 ○  大量保有報告制度の執行面の強化について
 ○  金融行政アドバイザリーから寄せられた意見等について
 ○  第5回金融審議会公認会計士制度部会の開催について
 ○ 金融審議会金融分科会情報技術革新と金融制度に関するワーキンググループ
「新しい電子的支払サービスの発展に向けた課題について(座長メモ)」
 ○  18年2月に実施した「中小企業金融モニタリング」の取りまとめ結果の公表について
 ○  貸金業制度等に関する懇談会「座長としての中間整理」の公表について
【特  集】
 ○  お金の使い方と地域社会について考えるシンポジウム(千葉)【第5回(最終回)】
パネルディスカッション・セッション2「市民による地域社会の活性化・
地域社会に貢献する市民のお金の使い方を考える」
【保険業法関連法令等改正関係】
 ○  保険業法施行規則等改正案(第三分野の責任準備金等ルール整備関係)
 ○  損害保険会社におけるIBNR備金の積立ルール整備等について
 ○  保険会社のセーフティネットの見直しに関する政省令等の概要
 ○  少額短期保険業者(いわゆる無認可共済)向けの監督指針について
 ○  根拠法のない共済の契約者保護ルールの導入に関する政省令等の概要
【金融ここが聞きたい!】
【お知らせ】
【4月の主な報道発表等】


【トピックス】
 
「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等に関する公表について


.経緯
金融庁では、金融サービス利用者の利便性の向上を図るとともに、寄せられた情報を金融行政に有効活用するため、金融サービス等に関する利用者からの電話・ホームページ・ファックス等を通じた質問・相談・意見等に一元的に対応する「金融サービス利用者相談室(以下、「相談室」という。)」を平成17年7月19日に開設し、相談業務を行なっています。
 相談室に寄せられた利用者からの相談件数や主な相談事例等のポイント等については、四半期毎に公表しています。平成18年1月1日から3月31日における相談等の受付状況及び特徴等は、以下のとおりです。


.公表概要
 
 平成18年1月1日から3月31日までの間に、9,668件の相談等が寄せられており、一日あたりの受付件数は平均158件(詳細については、PDF「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等に関する公表について(平成18年4月27日)別紙1をご参照ください。)で、平成17年10月1日から12月31日までの実績(159件)とほぼ同水準となっています。
 分野別の受付件数としては、預金・融資等に関するものが2,444件(25%)、保険商品等に関   するものが2,593件(27%)、投資商品等に関するものが3,649件(38%)、貸金等に関するものが837件(9%)、金融行政一般・その他が145件(1%)となっています。
 分野別の特徴等としては、
 
 預金・融資等に関するもののうち、融資業務については、融資の実行・返済についての相談等が、預金業務については、本人確認手続など預け入れ時の態勢についての相談等が寄せられています。
 保険商品等については、保険金の支払に関するもの、保険金請求時等における保険会社の対応に関するものについての相談等が寄せられています。
 投資商品等については、未公開株関係に関するもの、証券会社に関するもの、外国為替証拠金取引業者に関するもの、証券取引所に関するもの、電子開示システム(EDINET)の利用方法等に関するものについての相談等が寄せられています。
 貸金等については、業者に関する登録の有無についての照会、個別取引・契約の結果に関  するものについての相談等が寄せられています。 
 なお、受け付けた相談等の中には、検査・監督上参考となる情報 1 も寄せられており、利用者全体の保護や利便性向上の観点から、当該金融機関に対する検査における検証や監督におけるヒアリング、報告徴求、行政処分等、金融行政を行う上での貴重な情報として活用しています。
 
 貸し渋り・貸し剥がしに関するもの
 金融機関が借り手に対する優越的な地位を利用して行った金融商品の販売に関するもの
 保険会社の営業員等の不適正な行為(不告知の教唆、保険料の立替、無断作成契約、名義借り等)に関するもの
 外国為替証拠金取引業者の不適正な行為(勧誘の要請のない一般顧客への 勧誘、断定的判断の提供、無断売買、精算金等の返還遅延等)に関するもの
  相談室で受け付けた相談等のうち、主なものについては、「利用者からの相談 事例等と相談室からのアドバイス等」として、それぞれの分野から、これまでに下記の8つの事例を紹介しています。
【参考】8つの事例の内容
 
 預金・融資等の「預金口座の不正利用に関する情報の提供」
 保険商品等の「保険内容の顧客説明に関する相談等」、「告知義務に関する相談等」、「保険金の支払いに関する相談等」
 投資商品等の「外国為替証拠金取引に関する相談等」、「未公開株の取引に関する相談等」、「証券会社との取引に関する相談等」
 貸金等の「違法な金融業者等からの借入れに関する相談等」

 なお、未公開株関係の相談等が、平成17年10月1日から12月31日までの受付件数に比べ大幅に増加(447件→ 985件)しています。本件については、上記ハの「未公開株の取引に関する相談等」のほか、当庁のホームページにおいて、「未公開株購入の勧誘にご注意!〜一般投資家への注意喚起〜」を掲載していますのでこちらも参照してください。


.今後の取り組み方針

 相談室は、「金融改革プログラム」における「利用者保護のための情報提供・相談等の枠組みの充実」の施策の一環として開設したものであり、今後も、相談等の受付件数や主な相談事例のポイントを取りまとめ四半期ごとに公表する等、「金融改革プログラム」が、将来の望ましい金融システムのあり方として掲げる「利用者の満足度が高い金融システム」の実現に資するよう、相談室を適切に運営して参ります。
 


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から、『「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等に関する公表について』(平成18年4月27日)にアクセスしてください。
 また、金融サービス利用者相談室についてお知りになりたい(過去の公表資料を含む)又はご意見・ご質問・情報などをお寄せになりたい方は、金融庁ホームページの「ご意見・情報を受け付けます」から「金融サービス利用者相談室」にアクセスしてください。
 

 検査・監督上参考となる情報の例▲戻る

大量保有報告制度の執行面の強化について

 平成17年12月22日に金融審議会第一部会に報告されたPDF公開買付制度等ワーキング・グループの提言を受け、金融庁として以下の方策を講じることといたしました。
 ・  財務局において、大量保有報告書不提出が疑われる事案等について、関係者からヒアリングを行う取組みを継続し、悪質と思われる事案については、引き続き証券取引等監視委員会へ情報提供します。
 ・  既に設置されているディスクロージャーホットライン(証券取引法上の開示義務違反等に係る情報提供窓口)の案内文(金融庁ホームページ等に掲載)に大量保有報告制度違反の疑いがある事案を受け付けていることを明記するとともに、大量保有報告制度の概要も添付することとしました。
(参考)
金融審議会金融分科会第一部会 公開買付制度等ワーキング・グループ
公開買付制度等のあり方について
 7 .大量保有報告制度のあり方
 
(4)  大量保有報告制度の執行面の強化について
 大量保有報告書については、その不提出、虚偽記載事案の捕捉等、執行の強化も重要な課題となる。このため、行政当局、自主規制機関、証券会社等の連携を一層緊密にするなどの取組みを強化することが求められる。


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「大量保有報告制度の執行面の強化について」(平成18年4月7日)にアクセスしてください。

金融行政アドバイザリーから寄せられた意見等について

 前年度より各財務(支)局に設置した金融行政アドバイザリーより金融行政全般に関する意見等を頂戴したことから、4月26日、寄せられた意見等の概要及び金融庁としての対応方針を公表しました。
 金融行政アドバイザリー制度は、国民から、広く金融行政に関する意見や反響を的確に把握、収集することにより、金融行政の企画・立案及び事務運営の改善に役立て、金融行政サービスの一層の向上を図るとともに、国民への積極的な情報提供を行うことにより、金融行政に対する国民の理解の向上を図ることを目的とするもので、平成17年3月に当庁より公表した金融改革プログラム「工程表」において設置することとしたものです。その任務は、○金融行政に関する意見等を報告すること。○金融知識の普及、金融経済教育、利用者保護策、地域密着型金融の推進に係る取組み等の金融行政に関する広報に参画することです。
 今般寄せられた意見等の多くは金融サービス利用者保護への取り組み強化や地域経済への貢献を求めるものでした。これらは、金融庁としても注力すべき観点であると考えておりこれまでも種々の取組みを行ってきたところですが、今後とも、寄せられた意見等を金融行政の企画立案及び事務運営の改善の為の貴重な材料として役立てるほか、検査・監督の実務に際しても重要な情報として活用するなどにより、より一層積極的に取り組んでまいりたいと考えております

(参

考)金融行政アドバイザリー委嘱状況(平成18年3月末時点)
  委嘱者数は各財務(支)局5名、合計50名(うち女性18名)。内訳は次の通り。
 
 ○  金融機関の利用者(中小企業経営者等) 15名
 ○  商工会議所等の経営相談員、中小企業診断士、税理士、公認会計士等  14名
 ○  消費者団体職員、地方公共団体(消費者相談窓口担当)の職員等 8名
 ○  大学教授等の教育関係者、コンサルタント、フィナンシャルプランナー等 13名


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「金融行政アドバイザリーから寄せられた意見等について」 (平成18年4月26日)にアクセスしてください。

第5回金融審議会公認会計士制度部会の開催について

 去る4月26日(水)に、第5回金融審議会公認会計士制度部会が開催されました。
  金融審議会公認会計士制度部会は、平成13年〜14年度にかけて公認会計士制度の改善に向けて審議・提言を行い、それが平成15年の公認会計士法改正へとつながりました。その後の公認会計士・監査法人制度をめぐる状況に鑑み、しばしの休止期間を経て、今回審議を再開することになりました。
 公認会計士・監査法人による監査は、財務諸表の信頼性確保のために極めて重要な制度であり、その充実・強化が喫緊の課題となっています。こうした状況のなか、当部会においては、監査法人等のあり方について総合的な検討を行っていくことを予定しています。
  監査法人等のあり方についての論点は多岐に渡るものと考えられるが、具体的な論点については、今後幅広い見地から議論を行っていただく中で集約されていくこととなると考えています。
 第5回の会合においては、まず事務局から、監査法人制度等をめぐる状況について説明し、その後、自由討議を行い、委員の方々より幅広い観点からご意見をいただきました。
  次回の会合では、諸外国における監査法人制度等について整理した上で、それらに基づき討議いただくことを予定しています。


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から、「第5回金融審議会公認会計士制度部会資料(平成18年4月26日開催)」(平成18年4月28日)にアクセスしてください。

金融審議会金融分科会情報技術革新と金融制度に関するワーキンググループ「新しい電子的支払サービスの発展に向けた課題について(座長メモ)」

 金融審議会金融分科会「情報技術革新と金融制度に関するワーキンググループ(以下、「情報技術革新WG」という)」(座長:野村修也中央大学法科大学院教授)は、平成16年12月に発表された「金融改革プログラム」に基づき、情報技術革新の成果を積極的に享受させ、金融インフラの利便性等の向上を実現するための法制の整備に向けた検討の一環として、平成17年10月より、計7回にわたり、いわゆる電子マネー等のプリペイド(前払い)型の新しい電子的支払サービスについて、事業者からのヒアリングによる実情把握及び課題の整理を行いました。
 その議論の内容をまとめたものとして、去る4月26日に、「新しい電子的支払サービスの発展に向けた課題について(座長メモ)」が公表されました。
 本座長メモは、これまでの情報技術革新WGにおける議論を踏まえ、主として、○サービス提供者が留意すべき事項、及び○政府において今後検討すべき課題についてとりまとめ整理されたものです。本稿ではその概要をご紹介します。

I

.「電子的支払サービスの発展に向けた課題について(座長メモ)」の概要
 
.最近の電子的支払サービスの内容 
 電子的支払サービスには様々なものがありますが、情報技術革新WGにおいては、最近普及が進むプリペイド型の電子的支払サービスを提供する事業者からヒアリングが行われました。そして本座長メモでは、ヒアリング結果に基づき、「ICチップを利用した電子的支払サービス」と「インターネット上での電子的支払サービス」に分けて、そのサービス内容等が整理されています。
 このうち「ICチップを利用した電子的支払サービス」については、交通カードやICカード自体の多機能化、コンビニエンスストア、マイレージサービス、ポイントサービス等との連携に伴い、引き続き急速な拡大を続けており、ICカード等の発行枚数も、平成18年3月現在で2,800万枚を超えています。また最近では、ICカードだけでなく、ICチップを搭載した携帯電話を用いたサービスの提供や電子的価値を利用者同士で移転するサービスも始まるなど、サービスが多様化してきています。
 インターネット上の電子的支払サービスについては、電子的価値を搭載したカード等が発行されず、サービス提供者のサーバのみで利用者ごとの電子的価値が管理される点がその特徴となっています。


.電子的支払サービスの提供者が留意すべきと考えられる事項
 電子的支払サービスについては、今後も様々なサービスの開発・普及が予想されますが、現在のところ、このような電子的支払サービスを包括的に規律している法制等はありません。そこで、情報技術革新WGでは、利用者保護や決済の安定性確保を通じサービスに対する信頼性を高める観点から、電子的支払サービスの提供者が少なくとも留意することが望ましい事項として、以下の5つの点を示しています。
 

(1)

契約関係等の明確化
 
 サービス提供者は、例えば、利用者の支払債務がどの時点で消滅することになるのか、利用者とサービス提供者の責任関係などについて、利用約款において利用者にわかりやすく明記することが望ましいとされています。
(2) 電子的価値の金額情報の滅失・毀損等の際の取扱い
 
 ICチップやサーバ上の電子的価値の金額情報が滅失・毀損時の際の取扱いについては、主に再発行等に関する条件等を利用約款等において明らかにしておくことが望ましいとされています。
(3) 情報セキュリティ及びシステム運用上の信頼性確保
 
 特に、サービス提供者のサーバのみで電子的価値の金額情報を集中的に管理するタイプのサービスについては、ハッキングや無権限使用等の不正行為が生じるリスクが高まることが考えられることから、認証の仕組みを工夫するなどの対策を講じておくことが望ましいとされています。
(4) 前受金の適切な管理
 
 利用者から一定の資金を前受けして行う電子的支払サービスを行っている場合には、仮にサービス提供者が破綻した場合においても、極力多くの返金が受けられるような仕組みとすることが望ましいとされています。
(5) 個人情報の保護
 
 電子的支払サービスに限るものではありませんが、特に利用履歴の他の業務への活用等については、個人情報保護の観点からも取扱いには十分留意する必要があるとされています。


.電子的支払サービスに関する今後の検討課題
 また、情報技術革新WGの議論においては、電子的支払サービスの普及がわが国の将来的な決済システムの姿へ影響を与える可能性があるとの意見や、利用者のニーズに応じた多様なサービスを行う上で、従来の法制上の枠組みにおいて法的な整理が難しい問題が生じつつあるとの意見も出されていたことを踏まえ、今後、利用者が安心して民間事業者から利便性の高いサービスの提供を受けられ、かつ、
民間事業者の側においても利用ニーズに応じた多様なサービスを創意工夫によって発展させることができるような環境の整備を適切に進めていく必要があるとされています。 
 こうした観点から、政府においては、今後の電子的支払サービスの動向等を見据え、情報技術革新に伴うサービスの発展を阻害することのないよう配慮しながら、諸外国の状況等も踏まえつつ、特に以下に示した3つの課題に関して、今後どのように取り組んでいくべきかについて、引き続き検討を進める必要があるとされています。
 
(1) サービス提供者破綻時の利用者保護
 
 現在、電子的価値の金額情報をサービス提供者のサーバのみで管理するタイプの電子的支払サービスについては、前払式証票の規制等に関する法律の適用がありませんが、このような事業者が破綻したケースにおいて、どのように適切な利用者保護を図るべきかについて検討する必要があるとされています。
(2) 電子的支払サービスに関する当事者間の責任分担のあり方等
 
 例えば、システム障害等により金額情報の滅失・毀損又は決済の未了・遅延等が生じた場合等、電子的支払サービスに関し何らかのトラブルが生じた場合のサービス提供者と利用者等との間の責任分担のあり方については、利用者保護及び電子的支払サービスの信認確保の観点から検討する必要があるものとされています。
(3) 電子的支払サービスのあり方
 
 情報技術革新WGの議論においては、利用者の利便性の観点から、電子的価値の利用者間での移転や電子的価値の換金等のサービスが行われることにより、利用者の利便性が高まるとの指摘がありました。
 一方、これらのサービスについては、銀行法上の「為替取引」や出資法上の「預り金」などと関連する現行の法制や実務との関係を整理する必要がありますが、これに関連して、例えば、規制等のあり方を検討するに当たっては、十分な利用者保護が図られるべきとの意見や、少額であり、かつ決済システムの安定性に深刻な影響を与える懸念がないと判断される範囲でサービスを提供する場合には、その他の決済サービスとの間で、その取り扱いについて一定の際を設けるなどの工夫も一案として考えられるのではないか、との意見も出されています。
 そこで、情報技術革新WGでは、今後、政府において、こうした点を踏まえつつ、多様かつ安定した決済サービスの提供を可能とし、利用者を適切に保護するために望ましい電子的支払サービスのあり方について、積極的に検討を継続することを期待するとされています。

II
 
.今後の対応
   金融庁としては、サービス提供者が、本座長メモにおいて示された事項に留意して引き続き利用者保護等に配慮してサービス提供に努めることを期待しています。また、本座長メモにより、政府において今後検討すべき課題として示された各事項については、今後、情報技術革新に伴うサービスの発展を阻害することのないよう配慮しながら、多様かつ安定した決済サービスを可能とし、利用者を適切に保護する観点から、検討を継続していきたいと考えています。
 


詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から、「金融審議会金融分科会「情報技術革新と金融制度に関するワーキンググループ」の「新しい電子的支払サービスの発展に向けた課題について(座長メモ)の公表について」(平成18年4月26日)にアクセスしてください。

18年2月に実施した「中小企業金融モニタリング」の取りまとめ結果の公表について

 「中小企業金融モニタリング」は、中小企業金融の円滑化に向けた取組みの一環として、財務局・財務事務所職員が、商工会議所等の協力を得て、各地域における中小企業から見た中小企業金融の実情等について的確に把握するために四半期毎に実施しているものです。
  今般、平成18年2月に実施した中小企業金融モニタリングの結果を当庁において以下のとおり取りまとめ、公表しました。
  今回の調査結果について俯瞰してみると、
 中小企業金融に関する最近3ヶ月間の貸出動向については、地域毎にばらつきは見られるものの、11地域中9地域において、「積極的である」、「やや積極的である」との回答が過半数を超えており、また、「消極的である」、「やや消極的である」との回答については全地域において20%を下回っています。
 また、中小企業金融の実情について寄せられた意見を見ると、借り手側の財務内容に応じて融資姿勢に格差が生じているなどといった消極的な意見も寄せられておりますが少数であり、概ね、各金融機関においては、担保・保証に過度に依存しない融資など前向きな動きが着実に拡大していると思われます。
 金融庁としては、今後とも本モニタリングを通じて中小企業金融の現場の声を積極的に把握するとともに、得られた情報について、金融機関の検査・監督の実施に当たり重要な情報として活用するなど、中小企業金融の円滑化に向けて引き続き努力していきます。


.モニタリング聴取先について
  全国47都道府県の商工会議所、商工会連合会、商工会、中小企業団体中央会、商工会議所連合会、中小企業家同友会等の経営相談に携わる者397人(206団体)からヒアリングを行いました。
 
団 体 先 聴取人数(団体数)
商工会議所

198人( 86)

商工会 97人( 79)
商工会連合会 61人( 21)
中小企業団体中央会 31人( 14)
商工会議所連合会 5人(  3)
中小企業家同友会 5人(  3)

合計

397人(206)
 
(注) 当モニタリングは毎回同じ訪問先に調査を行うといった定点観測ではないため、ヒアリング対象数、対象先が調査実施毎に異なる場合があります。


.ヒアリング結果概要
 
(1)  「中小企業金融に関する最近3ヶ月間の貸出動向について」のヒアリング結果概要
   地域毎の概要
     各地域毎にばらつきは見られるものの、北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、九州、沖縄において、「積極的である」、「やや積極的である」との意見が過半数を超えています。また、「消極的である」、「やや消極的である」との意見は全地域において2割未満となっています。
    ○ 地域毎の概要
   業態毎の概要
   
最近3ヶ月の動向 主要行 地方銀行
第二地方銀行
信用金庫
信用組合
政府系金融機関 全体
1 積極的である 56 25.7% 67 18.0% 86 24.0% 137 35.7% 346 26.0%
2 やや積極的である 85 39.0% 159 42.6% 151 42.2% 120 31.3% 515 38.6%
3 どちらとも言えない 61 28.0% 119 31.9% 101 28.2% 93 24.2% 374 28.1%
4 やや消極的である 12 5.5% 25 6.7% 12 3.4% 30 7.8% 79 5.9%
5 消極的である 4 1.8% 3 0.8% 8 2.2% 4 1.0% 19 1.4%
合計 218 100.0% 373 100.0% 358 100.0% 384 100.0% 1333 100.0%
   
(注1)  当モニタリングは毎回同じ訪問先に調査を行うといった定点観測ではありません。
(注2)  上記表は、有効回答の内訳を表したものです。無回答及び不明は含まれておりません。
 このため、聴取人数と意見の合計数は一致しません。
   
上記表の「4 やや消極的である」・「5 消極的である」を選択したものの理由
   
上記4・5の内容 主要行 地方銀行
第二地方銀行
信用金庫
信用組合
政府系金融機関 全体
新規融資拒否関連 1 4.8% 7 17.9% 8 30.8% 8 19.5% 24 18.9
担保・保証関連 3 14.3% 14 35.9% 8 30.8% 5 12.2% 30 23.6
金利関連 1 4.8% 3 7.7% 2 7.7% 1 2.4% 7 5.5
融資条件関連 5 23.85 9 23.1% 5 19.2% 14 34.1% 33 26.0
審査手続関連 5 23.85 5 12.8% 3 11.5% 10 24.4% 23 18.1
その他 6 28.6% 1 2.6% 0 0.0% 3 7.3% 10 7.9
合計 21 100.0% 39 100.0% 26 100.0% 41 100.0% 127 100.0%
   
(注)  一つのヒアリング先から複数の意見が寄せられることもあるため、上記4・5の合計回答件数(98件)と上記表の全体の合計回答件数(127件)は一致しません。

(2)

 「中小企業から見た地域における中小企業金融の実情等について」のヒアリング結果概要
  中小企業から見た地域における中小企業金融の実情等について以下の8項目を聴取しました。
   
  ア.融資姿勢に関するもの
イ.担保・保証に関するもの
ウ.経営指導・創業再生支援に関するもの
エ.融資の際の説明態勢に関するもの
オ.金融機関の資質・能力に関するもの
カ.融資の際の審査期間に関するもの
キ.金利に関するもの
ク.その他
 
  各項目に寄せられた主な意見は以下のとおりです。
 
ア.融資姿勢の実情
  貸し渋り・貸し剥がしといった声は聞かれず、総じて積極的に融資先を開拓しようとする姿勢がある。(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡、沖縄)
  事業先へ勧誘に来ており、条件変更もすばやく対応してくれる。(北海道、関東、東海、北陸、近畿、九州、福岡、沖縄)
  支店長が定期的に商工会議所等に来訪して地域状況に関する情報収集や融資斡旋の要請をする等、積極的な姿勢が感じられる。(北海道、関東、東海、北陸、近畿、九州、福岡、沖縄)
  借り手企業の選別化によって融資姿勢に格差があり、二極化している。
(北海道、関東、近畿、四国、九州、福岡、沖縄)
 
イ.担保・保証の実情
  担保・第三者保証不要の商工会等会員向け提携ローンが商品化されるなど、利用しやすい環境が広がっている。(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、福岡、沖縄)
  企業自体の業績評価を適切に行ったうえで担保・保証に依存しない融資を行っている。(北海道、東北、関東、近畿、中国、九州、福岡)
  借換時に追加担保を求められなくなった。(北海道、東北、東海、近畿、四国)
  担保評価は妥当であり、融資は積極的に行われている。(東北、関東、北陸、四国)
  従前より担保保証には過度に依存していない。(北海道、東北、東海、近畿、中国、四国、九州、福岡)
  担保以外の評価にはかなりのスキルが必要なため、担保・保証に重点を置いているのではないか。(東海、九州)
  依然として担保保証に依存した融資姿勢が見られる。(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡、沖縄)
  物的担保から人的担保へシフトしている。(東北、九州、福岡)
   
ウ.経営指導・創業再生支援の実情
  経営相談担当部署の設置等、組織として積極的に対応している。(北海道、東北、関東、東海、近畿、中国、福岡)
  各々エキスパートを配置し、人材育成に努めている。(北海道、東北、関東、東海、中国、福岡)
  経営内容に踏み込み、積極的な再生計画を立てている。(北海道、東北、関東、東海、近畿、中国、九州、福岡)
  中小企業診断士育成を図りつつコンサルティング業務やビジネスマッチング業務を積極的に行っている。(関東、東海、北陸、近畿、沖縄)
  経営セミナー開催、再生支援協議会との連携、ファンドへの出資など積極的に対応している。(北海道、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、沖縄)
  産学官の連携による取組みなどが進んでいる。(北海道、関東、北陸、四国)
  指導支援・創業再生支援まで踏み込む体制が整っていない。(北海道、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡、沖縄)
  積極的な指導支援・創業再生支援は行われていない。(北海道、東北、近畿、中国、四国、九州)
   
エ.融資の際の説明態勢
  企業、金融機関、商工会等の3者で面談することもあるなど、金融機関の説明内容は十分なものと感じている。 (北海道、関東、東海、北陸、近畿、中国、福岡、沖縄)
  融資に際して資金使途、資金繰り、資金計画、借入限度額等について、十分な説明ができている。(北海道、関東、東海、北陸、近畿、九州、福岡、沖縄)
  組織として説明態勢の充実が図られていると思われる。(北海道、東北、関東、北陸、近畿、中国、四国、福岡)
  融資拒絶に際しても、丁寧な説明を心掛けている。(北海道、東北、関東、北陸、中国、四国、九州)
  リスクの説明や金融機関にとって不利なことに関する説明が不足している。
(北海道、東北、九州、福岡)
  職員に知識がないなど、説明能力が不足している。(関東、近畿、中国、福岡、沖縄)
  融資拒絶の際の説明が不十分である。(北海道、東北、近畿、中国、四国、九州)
   
オ.金融機関の資質・能力の実情
  金融機関は職員に資格取得を促すなど、組織としての積極的な取組みがみられる。(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、四国、九州、福岡)
  積極的に目利き研修に取り組んでおり、企業の将来性を見る目が養われてきている。(北海道、東北、関東、北陸、中国、九州、福岡)
  決算書の分析、キャッシュフロー分析等の面からみて、資質、能力は十分である。(北海道、関東、東海、北陸、近畿、九州、福岡)
  組織として、職員の資質・能力向上のための取り組みが不十分である。(北海道、関東、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡)
  過去の実績が重視されており、経営者の資質や企業の将来性をみていない。(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡、沖縄)
     
カ.融資の際の審査期間
  審査期間は短縮化している。(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡、沖縄)
  スピードローン等、審査期間が短い金融商品が開発されてきている。(北海道、東北、関東、東海、近畿、四国、九州、福岡)
  申請に必要な書類が減るなど、審査手続きが簡素化されてきている。(関東、北陸、近畿、四国)
  審査期間は依然として長期にわたるものもある。(北海道、東北、関東、近畿、中国、福岡、沖縄)
  CRD(中小企業信用リスク情報データベース)や独自のスコアリングシートなどを活用し、審査期間は最短で2〜3営業日以内など、短くなってきている。ただし、一部の制度融資にかかる審査期間は約1ヶ月と長い。(関東、近畿、中国)
   
キ.金利の実情
  金利について特に不満は聞かれない。(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、福岡、沖縄)
  金利は低下傾向であり、また他行との競合により引下げ対応してもらえる事例もある。(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、沖縄)
  金利の設定は信用リスクに応じて適切に設定されている。(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州)
  一方的な金利引き上げを要求されたとの声は、最近は聞かなくなった。(四国)
  金利の決定権は金融機関にあるが、申込者との交渉が不十分な場合がある。(関東、近畿)
  財務内容良好先も金融機関に交渉しないと、高金利を提示されることがある。(東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、九州、福岡、沖縄)
   
ク.その他
  商工会議所等商工関係団体に対し、中小企業金融に限定することなく、あらゆる金融政策についての情報発信をお願いしたい。(東北)
  金融機関向けの監督はもちろんきちんと行われるべきであるが、我が国は「借金」に関しては、依然としてタブー視されている傾向があり、家庭でも学校でもきちんとした教育は行われていない。規制緩和が先行している感があり、利用者はほとんど知識武装がないまま業者の思うようにされてしまっているように見受けられる。よって、利用者への最低限の教育は、きちんと行われるべきであると考えている。(関東)
  多種多様な制度融資があるために企業努力が行われないまま融資を申し込むケースもあり、若い経営者が育たない面もある。(北陸)
  手形の割引率や貸出金利の交渉は、金融機関の言われるままになっているケースがあり、借り手側の勉強不足にも問題がある。(近畿)
  事業者が一度失敗(倒産等)しても立ち直ることができるシステムを構築して欲しい。また、地方でも直接金融を実現して欲しい。そうでなければ、創業も再起も難しい。(九州)

(3)

 「中小企業金融の円滑化策の浸透を示す事例について」のヒアリング結果概要
  中小企業金融モニタリングでは、中小企業金融の円滑化策の浸透を示す事例として、毎回、検査・監督に関する特定のテーマを設定し調査を行っています。
  今回の質問調査事項は、以下のとおりです。
   
金融検査マニュアル別冊[中小企業融資編](改訂版)の中小企業への浸透状況について
  【寄せられた主な意見】
   マニュアル別冊は関係機関には十分浸透していると思われるが、融資を受ける側(中小企業者)へは浸透しているとは思えない。
   金融機関の融資姿勢が積極的である現状においては、企業側にとって必要性が薄れているのが実情ではないか。
   マニュアル別冊を作成した当時とは、世情が良い方向へ変化しており、最近では話題になっていない。
   インターネット等を利用したPRやテレビCMなどを活用してはどうか。


.「中小企業金融モニタリング」の活用状況について
 
(1)  ヒアリングの実施
   中小企業金融モニタリングで得られた個別金融機関に関する情報を活用し、当該金融機関の対応方針、態勢面等についてヒアリングを行いました。

(2)

 意見交換会における要請(金融庁での活用)
   金融庁幹部と業界団体代表者の意見交換会(毎月開催)等において、中小企業金融モニタリングで得られた事例について紹介しています。具体的には、事業からのキャッシュフローを重視し、過度に担保・保証に依存しない融資を含む健全な中小企業に対する資金供給の一層の円滑化や、これまでの取引関係や顧客の知識、経験及び財産の状況を踏まえた、顧客の理解と納得を得るような十分な説明の実施、金融検査マニュアル別冊の周知等について要請を行っています。

(3)

 地域金融円滑化会議の活用等(財務局等での活用)
   都道府県毎に設置し、半期毎に開催している「地域金融円滑化会議」(金融当局、中小・地域金融機関及び関係業界団体から構成)や、財務局幹部等と金融機関代表者との面談など諸々の機会を通じて、顧客への説明態勢の整備や相談・苦情処理機能の強化について注意喚起を行うとともに、中小企業金融の円滑化に向けた取組みの要請を行っています。
 

 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「18年2月に実施した「中小企業金融モニタリング」の取りまとめ結果の公表について」(平成18年4月11日)にアクセスしてください。

次の項目へ