アクセスFSA 第78号(2009年5月)

金融庁月刊オンライン広報誌 アクセスFSA 第79号(2009年6月)

IMC(International Monetary Conference)京都総会に出席する谷本副大臣(6月8日) IMC(International Monetary Conference)京都総会に出席する谷本副大臣(6月8日)

IMC(International Monetary Conference)京都総会に出席する谷本副大臣(6月8日)

目次


【談話・講演等】

※ このコーナーは、大臣、副大臣、大臣政務官、金融庁幹部が行った談話・講演等についての情報をお届けするものです。


【特集】

金融審議会金融分科会 我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ報告~上場会社等のコーポレート・ガバナンスの強化に向けて~

平成21年6月17日、金融審議会金融分科会「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」(座長 池尾和人 慶応義塾大学経済学部教授)において、「金融審議会金融分科会 我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ報告~上場会社等のコーポレート・ガバナンスの強化に向けて~」がとりまとめられました。

同スタディグループでは、我が国金融・資本市場のあり方を考えていく上で、上場会社等におけるコーポレート・ガバナンスの充実を通じ、株主・投資者その他のステークホルダーに目を向けた良質な経営が実現されていくことが重要であるとの観点に立ち、上場会社等のコーポレート・ガバナンスを強化すべく、

  • 第三者割当増資への対応など上場会社等の資金調達等をめぐる問題

  • 取締役会のあり方などガバナンス機構をめぐる問題

  • 議決権行使を通じたガバナンスの発揮など投資者による議決権行使等をめぐる問題

等の幅広い問題について、昨年10月から8回にわたり審議が行われました。

「金融審議会金融分科会 我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ報告~上場会社等のコーポレート・ガバナンスの強化に向けて~」は、同スタディグループにおける検討結果をとりまとめたものです。金融庁としては、取引所等と連携しつつ、同スタディグループ報告の内容を十分に踏まえ、関係制度の整備等に、早急に取り組んでいきます。

  • «報告の概要»

    • 第三者割当増資への対応など上場会社等の資金調達等をめぐる問題

      我が国上場会社等のコーポレート・ガバナンスについて内外の投資者等から強い懸念が表明されている要因の一つとして、上場会社等が市場において行う資金調達等をめぐって、少数株主等の利益を著しく損なうような事例などが後を絶たないことが挙げられる。上場会社等の資本政策をめぐるガバナンスの強化は喫緊の課題であり、市場における資金調達等をめぐる公正性・透明性の確保の観点から、以下のような対応がとられるべきである。

      • 第三者割当増資について、資金使途・割当先についての開示の充実、大幅な支配比率の希釈化等を伴う場合に、取引所による審査や経営陣から独立した者による意見表明等の適正手続の確保等

      • MSCB(転換価格修正条項付転換社債型新株予約件付社債)等の発行について、発行条件の合理性や発行後の行使状況等に係る開示の充実

    • 取締役会のあり方などガバナンス機構をめぐる問題

      我が国の上場会社等のコーポレート・ガバナンスのあり方を考える上で、取締役や監査役等のガバナンス機構のあり方は極めて重要な要素の一つであり、内外の投資者等からも強い関心が寄せられている。

      我が国上場会社等において良質な経営を実現するとともに、投資者の信頼を確保していくことが重要であるとの観点から、以下のような対応がとられるべきである。

      • 独立性の高い社外取締役を選任し監査役会等との連携を図ることを、取引所において、多くの上場会社にとってふさわしいモデルとして提示

      • それを踏まえ、上場会社は、それぞれのガバナンス体制の内容とその体制を選択する理由を開示

    • 議決権行使を通じたガバナンスの発揮など投資者による議決権行使等をめぐる問題

      市場を通じて上場会社等のガバナンスを向上させていくためには、企業サイドの取組みとあわせて、株主・投資者が自らの行動を通じて的確な経営監視を行っていくことが重要であるとの観点から、以下のような対応がとられるべきである。

      • 機関投資家による議決権行使ガイドラインの作成・公表、議決権行使集計結果の公表に係る業界ルール等の整備

      • 上場会社等による株主総会の各議案の議決結果について賛否の票数の公表

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「金融審議会金融分科会「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」報告の公表について」(平成21年6月17日)にアクセスしてください。


【トピックス】

主要行等の平成20年度決算について

主要行等の平成20年度決算発表を受けて、金融庁では、各行の発表した計数等を集計し、平成21年5月29日に公表しました。以下、主要行等の平成20年度決算の概要について説明します。

  • 1.収益の状況

    銀行の本業の儲けを表す実質業務純益は21年3月期2.7兆円となり、20年3月期対比0.6兆円の減少となりました。これは、貸出残高の増加等による資金利益の改善があったものの、市況悪化により投資信託販売等の手数料収入が減少したことなどによるものと考えられます。

    当期純利益は21年3月期▲1.6兆円となり、20年3月期対比3.1兆円減少しました。これは、企業業績が悪化したことなどによる与信関係費用の増加(0.4兆円→1.9兆円)、株式市場の低迷による株式の減損が増加(0.5兆円→1.5兆円)したことなどが影響したものと考えられます。

  • 2.財務の健全性の状況

    不良債権比率は、21年3月期1.7%となり、20年3月期対比0.3ポイント増加しました。

    自己資本比率については、12.4%となりました。20年3月期対比0.1ポイント増加しましたが、これは、当期純損失や有価証券が含み損等になったものの、各行の自己資本増強策等によるものと考えられます。

このように、与信関係費用や株式の減損の増加等の影響により当期純損失となりましたが、自己資本の状況等を踏まえれば、主要行等の財務は引き続き健全と考えられます。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「主要行等の平成20年度中間決算について«速報ベース»」(平成21年5月29日)にアクセスしてください。


地域銀行の平成21年3月期決算の概要について

地域銀行の平成21年3月期決算の発表を受けて、金融庁では、各行の発表した計数等を集計し、5月29日に公表しました。以下、地域銀行の平成21年3月期決算の概要について説明します。

1.損益の状況

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「地域銀行の平成21年3月期決算の概要」(平成21年5月29日)にアクセスしてください。


我が国の預金取扱金融機関のサブプライム関連商品及び証券化商品等の保有額等について

平成21年6月2日、金融庁では、我が国の預金取扱金融機関について、本年3月末時点におけるサブプライム関連商品等及びFSF報告書における先進的開示事例を踏まえた証券化商品等の保有額等を取りまとめ、公表しました。

サブプライム関連商品等については、3月末において、我が国の預金取扱金融機関全体で、保有額は約4,490億円(昨年12月末比 約▲1,160億円)、評価損及び実現損累計額の合計額は約1兆940億円(昨年12月末では、約1兆530億円)となりました。

他方、証券化商品等全体については、3月末において、保有額は約18兆4,830億円(昨年12月末比 約▲9,250億円)、評価損及び実現損累計額の合計額は、約3兆3,020億円(昨年12月末では、約3兆2,380億円)となり、証券化商品等全体の評価損及び実現損の累計額は、昨年12月末時点と比べ、約640億円増加しました。

このように証券化商品等全体で損失がほぼ横ばいになった原因については、様々な要因が重複して影響したものと思われますが、主として昨年の有価証券に係る会計基準の見直しを受けて、一部の金融機関において、時価評価の方法の変更が行われていること等によると考えられます。

金融庁では、平成19年9月末以降、我が国預金取扱金融機関全体におけるサブプライム関連商品等や証券化商品等(※)の保有状況を、統一した基準の下に開示してきました。

こうした取組みは、サブプライムローン問題に端を発するグローバルな金融市場の混乱が証券化商品等を通じて我が国の金融システムに与える影響についての理解の一助となるものであると考えています。

金融庁としては、情報発信の取組みをこれからも推進し、金融システムの現状や金融行政の考え方に容易にアクセスできる環境の整備を引き続き図っていきたいと考えています。

(※) FSF報告書における先進的開示事例を踏まえた証券化商品等の保有状況については、平成20年3月末時点より集計・公表しています。

※ 詳しくは、金融庁ウェブサイトの「報道発表資料」から「我が国の預金取扱金融機関のサブプライム関連商品及び証券化商品等の保有額等について」(平成21年6月2日)にアクセスしてください。


中小企業向け融資の貸出条件緩和が円滑に行われるための措置に基づく貸出条件緩和の状況について

金融庁では、金融機関が借り手に対する貸出条件の緩和に柔軟に応じることができるよう、昨年11月7日に、各監督指針及び金融検査マニュアル別冊[中小企業融資編]を改定し(「中小企業向け融資の貸出条件緩和が円滑に行われるための措置」)、本年2月20日にこの措置に基づく金融機関による中小企業向け融資の貸出条件緩和の状況(平成20年7~9月期及び10~12月期)を公表しました。  今般、同措置に基づく貸出条件緩和の状況(平成21年1~3月期)を引き続き調査・集計し、平成21年6月5日に公表しましたので、概要をご紹介します。  今回の調査・集計では、金融機関が中小企業に対して貸出条件の緩和を行った債権は、主要行等、地域銀行及び信用金庫・信用組合全体で、平成21年1~3月期において39,117件(1兆8,366億円)となり、これを昨年11月の措置を講ずる以前の平成20年7~9月期と比較すると、件数ベースで37.9%(金額ベースで52.5%)の増加となっています。  また、貸出条件の緩和を行った債権のうち、経営改善の見込みがあり、不良債権に該当しなかった債権は、平成21年1~3月期において14,502件(8,398億円)となり、これを平成20年7~9月期と比較すると、件数ベースで14.1倍(金額ベースで21.4倍)となっています。  金融庁においては、昨年11月の措置を実効あるものにすべく、金融機関や中小企業に対する周知・広報等に取り組んできました。今回の調査結果から、こうした取組みにより、この措置の効果が浸透しつつあることが伺えると考えています。

こうした取組みは、サブプライムローン問題に端を発するグローバルな金融市場の混乱が証券化商品等を通じて我が国の金融システムに与える影響についての理解の一助となるものであると考えています。

金融庁としては、情報発信の取組みをこれからも推進し、金融システムの現状や金融行政の考え方に容易にアクセスできる環境の整備を引き続き図っていきたいと考えています。


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