アクセスFSA 第91号(2011年1月)
「中小企業等の金融の円滑化に関する意見交換会」で挨拶をする自見大臣(12月6日) |
「金融資本市場及び金融産業の活性化等のアクションプラン」に関するヒアリングで挨拶をする |
【フォトギャラリー】
「第4回開示制度ワーキング・グループ」会合
※ 12月17日(金)、第4回開示制度ワーキング・グループ(黒沼悦郎早稲田大学大学院法務研究科教授座長)が開催され、英文開示の範囲拡大について取りまとめられ、東副大臣に報告書が手交されました。
詳しくは、金融庁のウェブサイトの「報道発表資料」から「「金融庁・開示制度ワーキング・グループ報告」~英文開示の範囲拡大について~」の公表について(平成22年12月17日)にアクセスしてください。
報告書の手交をおこなう黒沼悦郎早稲田大学大学院法務研究科教授(左)と東副大臣(右)
「ヤミ金融被害防止」合同キャンペーン
※ 12月6日(月)、東京都主催のヤミ金融被害防止合同キャンペーンにおいて、その周知のための活動の一環として、新宿駅西口前の広場で広報活動が行なわれました。
当庁からも和田大臣政務官が参加し、街頭でキャンペーングッズを配布しました。
警視庁のマスコットピーポくんとヤミ金撲滅訴える和田大臣政務官(中央)
街頭でキャンペーングッズを配る和田大臣政務官
「ストップ!クレジットカード現金化」キャンペーン
※ 12月22日(水)消費者庁主催の「ストップ!クレジットカード現金化」キャンペーンの周知活動の一環として、新橋駅日比谷口SL広場前でキャンペーングッズの配布を行ないました。
この街頭活動には、当庁からも和田大臣政務官が参加しました。
街頭でキャンペーングッズを配る和田大臣政務官
【特集】
本邦金融機関、国際協力銀行及び日本貿易振興機構等の連携による中堅・中小企業のアジア地域等への進出支援体制の整備・強化について
平成22年12月21日、金融庁・財務省・経済産業省の連携の下、特にアジア地域等に拠点のない地域金融機関等が顧客企業の海外進出を支援する体制を整備・強化するための環境整備を図ることを決定致しました。
具体的には、公的機関である日本貿易振興機構(JETRO)、国際協力銀行(JBIC)と地域金融機関等の連携によって、アジア地域等に進出する中堅・中小企業に対して、1.情報提供・相談面、2.資金供与面での支援を行うこととしております。
※ 詳しくは、金融庁のウェブサイトの「報道発表資料」から「本邦金融機関、国際協力銀行及び日本貿易振興機構等の連携による中堅・中小企業のアジア地域等への進出支援体制の整備・強化について」(平成22年12月27日)にアクセスしてください。
【トピックス】
総合的な取引所検討チーム中間整理について
新成長戦略(平成22 年6 月18 日閣議決定)において、「総合的な取引所(証券・金融・商品)の創設の推進」が21の「国家戦略プロジェクト」の一つとして位置付けられたことを受け、利用者・投資家、内外の市場関係者の利便やニーズに合致した形での規制のあり方等を検討すべく、平成22年10月28日に、金融庁・農林水産省・経済産業省の副大臣・大臣政務官をメンバーとする「総合的な取引所検討チーム」が発足しました。
検討チームは同年内に6回の会合を開催し、市場関係者、有識者等からの公開ヒアリングや意見交換を通じて検討を進め、同年12月22日、中間整理を取りまとめました。
この中間整理においては、総合的な取引所(証券・金融・商品)を実現するとの共通認識の下、平成25年の総合的な取引所の実現を目指して速やかに制度整備を実施することとし、関連する法案については遅くとも平成24年通常国会に提出できるよう、そのための準備を可及的速やかに進めることとしています。また、総合的な取引所実現のための論点として(1)取引所、(2)清算機関、(3)規制・監督、(4)税制、(5)更なる規制改革の5点を確認し、これらのうち、方向性が一致していないものについては、引き続き検討を進め結論を得ることとしています。
今後、民間事業者等との意見交換を行う場を設けて方針を固めることとしており、金融庁としては、我が国の取引所の中から国際競争力ある総合的な取引所が生まれるよう、規制・監督の一元化を軸とする様々な制度整備や施策の実施に努めていきたいと考えています。
※ 詳しくは、金融庁のウェブサイトの「報道発表資料」から「総合的な取引所検討チーム中間整理について」(平成22年12月24日)にアクセスしてください。
また上記中間整理や過去の議事概要等、検討チームの詳細については、金融庁ウェブサイトの「審議会・研究会等」から「総合的な取引所検討チーム」にアクセスしてください。
「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン」(最終版)の公表について
「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン」(最終版)の公表について
金融庁では、「新成長戦略」(平成22年6月18日閣議決定)に基づき、「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン」の策定に向けた作業に取り組み、昨年12月7日には中間案を公表した上で、同月24日、関係者からの御意見等を踏まえた、最終的なアクションプランを取りまとめました。
アクションプランにおいては、金融が、「新成長戦略」において期待されている2つの役割(1.実体経済を支えること、2.金融自身が成長産業として経済をリードすること)を十分に発揮するための環境を整備するため、金融庁が今後取り組む施策を取りまとめています。
概要は以下のとおりです。
(1).企業等の規模・成長段階に応じた適切な資金供給
中小企業、新興企業からグローバルに活動する大企業まで、様々な資金需要者に対する、それぞれのニーズに応じた多様で円滑な資金供給の実現を促していきます。
1.中小企業等に対するきめ細かで円滑な資金供給
- 地域密着型金融の促進
- 中堅・中小企業の実態に応じた会計基準・内部統制報告制度等の見直し
- コミットメントライン法の適用対象の拡大
- 銀行・保険会社等の金融機関本体によるファイナンス・リースの活用の解禁
- 経営者以外の第三者による個人連帯保証等の慣行の見直し
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2.新興企業等に対する適切な成長資金の供給
- 新興市場等の信頼性回復・活性化
- 銀行・保険会社の投資専門子会社によるベンチャー企業等への劣後ローン等の解禁
- 将来の成長可能性を重視した金融機関の取組の促進
- 日本銀行による成長基盤強化を支援するための資金供給の積極的利用の慫慂
- 民法上の任意組合に関する金商法の適用関係の明確化
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3.機動的な資金供給等
- プロ向け社債発行・流通市場の整備
- 開示制度・運用の見直し
- 取引所における業績予想開示の在り方の検討、取引所の取組の慫慂
- 四半期報告の大幅簡素化
- 増資手法の一層の多様化を図る観点からライツ・オファリング(注)が円滑に行われるための開示制度等を整備
(注)株主全員に新株予約権を無償で割り当てることによる増資方法
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社債市場の活性化
- 保険会社におけるグループ経営の円滑を図る制度整備(業務の代理・事務の代行に係る手続負担の軽減)
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(2).アジアと日本とをつなぐ金融
資金調達者・投資者にとって信頼できる利便性の高い金融資本市場をつくることにより、日本市場の魅力を向上させ、アジアのメイン・マーケットたる日本市場を実現します。あわせて、我が国金融機関のアジア域内での活動の拡大を後押しします。
1.アジアの主たる市場(メイン・マーケット)たる日本市場の実現
- 総合的な取引所(証券・金融・商品)創設を促す制度・施策
- 外国企業等による英文開示の範囲拡大
- 公認会計士試験・資格制度の見直し
- 株式等のブロックトレードの円滑化
- 公募増資に関連した不公正な取引への対応
- クロスボーダー取引に係る税制の見直し
- 非居住者債券所得非課税制度(J-BIEM)の恒久化・拡充
- 会計基準の国際的な収れん(コンバージェンス)への対応等
- 国際的な金融規制改革への積極的な対応
- クロスボーダー取引に対する監視の強化
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2.我が国金融機関のアジア域内での活動拡大
- アジア諸国の金融・資本市場に関する政策協調の推進
- 金融機関による中堅・中小企業のアジア地域等への進出支援体制の整備・強化
- 保険会社による海外不動産投資や外国保険会社買収等の障壁となる規制の見直し
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(3).国民が資産を安心して有効に活用できる環境整備
様々な主体に対して適切な投資機会を提供するため、それぞれの資産規模や知識に応じ、金融資産を安心して有効に活用し、適切なリスクを取り、リターンを得ることができる環境を整備します。
- 不動産市場の活性化を図るための資産流動化スキームに係る規制の弾力化
- 投資信託・投資法人法制の課題の把握・見直しの検討
- プロ等に限定した投資運用業の規制緩和
- 保険会社における資産運用比率規制の撤廃
- 証券の軽減税率の延長
- 金融商品に係る損益通算範囲等の拡大
- 店頭デリバティブ取引等の申告分離課税化
- 特定口座の利便性向上に向けた所要の措置
- 金融ADR(裁判外紛争解決)制度の着実な実施
アクションプランに掲げられた施策については、実施可能なものから順次速やかに実現していくこととし、本年の通常国会に一括化した法案を提出すべく準備を進めています。また、関連政府令の改正や監督指針の改訂等についても、可能な限り前倒しして行っていきます。
※ 詳しくは、金融庁のウェブサイトの「報道発表資料」から「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン」(平成22年12月24日)にアクセスしてください。
中小企業金融円滑化法の期限の延長等について
平成21年12月に、金融機関に対し、中小企業者や住宅ローンの借り手の申込みがあった場合に、できる限り貸付条件の変更等を行う努力義務を課すこと等を内容とする中小企業金融円滑化法が施行されました。そして、この法律が施行されて以来、金融機関は、中小企業者等からの申込みに対し、9割を超える水準で貸付条件の変更等を実行しています。
こうした中、現在の状況をみると、
- 中小企業の業況や資金繰りは、改善しつつあるものの、依然厳しく、先行きの不安感から、今後も、貸付条件の変更等に対する需要が一定程度あると考えられること、
- 貸付条件の変更等に当たっては、実効性のある経営再建計画を策定・実行することが重要であり、金融機関が、貸付条件の変更等を行う間に、コンサルティング機能を十分発揮することにより、中小企業者の経営や返済能力の改善につながる、という流れを定着させることが重要であること、
から、以下のような措置を講じることとしました(平成22年12月14日公表)。
1. 中小企業金融円滑化法の期限を1年延長し、平成24年3月末までとする。
2. 金融機関によるコンサルティング機能の発揮を促進するための監督指針の改定等を行う。
3. これまでの法の実施状況に鑑み、金融機関の事務負担を軽減するため、金融機関の開示・報告資料の大幅な簡素化を図る。
なお、このうち、中小企業金融円滑化法の期限を延長するための改正法案については、1月25日に閣議決定の上、国会に提出されたところです。
金融庁としては、こうした措置を講じることにより、検査・監督を通じ、法の期限後も金融機関による適切な金融仲介機能の発揮が行われるような環境づくりを目指すとともに、中小企業者等の資金繰りに万全を期してまいります。
※ 詳しくは、金融庁のウェブサイトの「報道発表資料」から「中小企業金融円滑化法の期限の延長等について」、及び「談話等」内の「金融担当大臣談話~中小企業金融円滑化法の期限の延長等について~」(いずれも平成22年12月14日)にアクセスして下さい。
「公正な市場の確立に向けて~『市場の番人』としての今後の取組み~」
証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」という)では、平成22年12月13日、佐渡賢一氏が委員長に、福田眞也氏が委員にそれぞれ再任されるとともに、吉田正之氏が新たに委員として任命され、証券監視委の第7期新体制が発足いたしました。
これに伴い、証券監視委としての今後の取組みに関する基本的考え方を取りまとめ、平成23年1月18日、「公正な市場の確立に向けて~『市場の番人』としての今後の取組み~」(PDF:112K)を公表しました。
平成23年1月18日
証券取引等監視委員会
公正な市場の確立に向けて
~「市場の番人」としての今後の取組み~
1.証券監視委の使命
証券取引等監視委員会(証券監視委)は、引き続き、
○ 市場の公正性・透明性の確保
○ 投資者の保護
を目指して市場監視に取り組んでいきます。
2.基本的な考え方
国際的な金融危機の発生とこれを受けた国際的な規制枠組みの再構築が行われる中、これらを踏まえて金融商品取引法の累次の改正や金融商品・取引のイノベーションが進むなど、我が国市場を取り巻く状況はダイナミックに動いています。証券監視委は、こうした大きな変化に対応し、「市場の公正を汚す者には怖れられ、一般投資家には心強い存在」であるべく、3つの基本的な考え方に則ってその使命の達成に取り組んでいきます。
(1)機動性・戦略性の高い市場監視の実現
- 証券監視委の持つ、市場分析審査、証券検査、課徴金調査、開示検査、犯則調査といった手段を戦略的に活用し、迅速かつ効果的な市場監視を行います。
- その際、市場の動きや違反行為の動向、国際的な検査・監督などを踏まえてタイムリーかつ機敏に対応するとともに、顕在化しつつあるリスクに対しても将来に備えた機動的な対応を目指します。
- また、自主規制機関などとの連携を強め、全体としての市場監視の効果を上げていきます。
(2)市場規律の強化に向けた働きかけ
- 市場監視から得られた問題意識を、建議などを通じて、金融庁をはじめとする関係機関によるルール整備、制度づくりに反映させていきます。
- 各市場参加者による自主的な取組みを通じた市場規律機能が強化されるよう、自主規制機関等を通じて各市場参加者に積極的に働きかけていきます。
- そのため、市場参加者との対話、市場への情報発信も強化していきます。
(3)市場のグローバル化への対応
- クロスボーダー取引や投資ファンド等の市場参加者の国際的活動が日常化していることを踏まえ、海外当局等と密接に連携しながら、グローバルな市場監視対応に取り組んでいきます。
- グローバルに活動する大規模な証券会社等に対しては、国際的な検査・監督の枠組みを積極的に活用した検査対応を行っていきます。
- そのため、一層の人材育成や体制整備を進めていきます。
証券監視委としては、このような考え方に基づき、その総合力を発揮した実効性の高い市場監視を通じて公正・透明な質の高い市場を形成していくことが、我が国市場の活性化、国際競争力の向上に貢献するものと考えています。
3.重点施策
市場監視の各手段を戦略的に活用しながら、特に以下のような点に重点をおいて、実効性のある効率的な市場監視を行っていきます。
(1)包括的かつ機動的な市場監視
- 市場監視の空白を作らないよう、発行市場・流通市場全体に目を向けるとともに、クロスボーダー取引への監視を強化していきます。
- 見かけ上は法令違反といえないような取引等についても幅広く注意を払っていきます。
- 幅広い情報収集と、個別取引や市場動向の背景にある問題の分析を行い、機動的な市場監視に役立てていきます。
- クロスボーダー取引による違反行為に対しては、証券当局間の情報交換枠組み等を通じ、外国局からの情報提供による摘発や、海外当局への調査依頼等により適切な対応を行います。
(2)不公正取引や虚偽記載等への厳正な対応
- インサイダー取引、相場操縦、不公正ファイナンスに係る偽計取引や虚偽記載などの違反行為に対して引き続き厳正に対応していきます。
- 不公正取引規制に係る制度のあり方に関し、調査結果を踏まえ積極的に必要な貢献を行なっていきます。
(3)ディスクロージャー違反に対する迅速・効率的な検査・調査の実施
- 正確な企業情報が遅滞なく、適正かつ公平に市場に提供されるよう、迅速・効率的な開示検査・調査の実施に努めていきます。
- 上場企業等が虚偽記載等を行った場合には、当該企業が自律的かつ迅速に正しい財務情報を市場に提供できるよう、企業自身の取組みを促すとともに、関係者への働きかけを強化していきます。
- 株式や社債等の無届募集については、金融庁や財務局との連携を強化しつつ、裁判所への緊急差止命令の申立て(金商法第192条)の活用も含め、適切に対応していきます。
(4)課徴金制度の一層の活用
- 課徴金制度の特性を活かし、不公正取引や虚偽記載等の調査を迅速・効率的に実施していきます。
- 過去の課徴金事例等について積極的な情報発信を行うことなどを通じ、市場関係者の違反行為を未然に防止するための取組みを進めてまいります。
(5)検査対象先の特性に応じた効率的かつ実効性ある証券検査の実施
- 検査対象先の拡大などを踏まえた効率的で実効性ある検査を実施する観点から、検査対象先の特性に応じた検査手法やノウハウの確立に取り組むなど、メリハリの利いた証券検査を実施していきます。
- グローバルに活動する大手証券会社・外資系証券会社に対しては、引き続きフォワード・ルッキングな観点から、内部管理態勢やリスク管理態勢の適切性を検証し、また、連結財務規制等の導入に対応した適切な検査を実施していきます。
- 悪質なファンド販売業者、投資助言・代理業者などに対しては、引き続き、投資者保護の観点から、業務運営の適切性や法令違反行為の有無の検証に取り組むなど、適切に対応してまいります。
- 無登録業者による未公開株などの販売に対しては、金融庁・財務局や捜査当局等との連携を強化し、裁判所への緊急差止命令の申立て(金商法第192条)の活用を通じた適切な対応を図っていきます。
(6)自主規制機関などとの連携
- 全体としての市場監視機能を強化するため、自主規制機関の行う考査・監査や、ルール整備、市場参加者や投資家への情報発信・提供の面での連携を一層強化していきます。