アクセスFSA 第219号

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新大臣・新副大臣・新政務官就任について

 令和3年10月4日、岸田新総理による新内閣が発足し、金融担当大臣として鈴木 俊一(すずき しゅんいち)大臣が就任しました。また、10月6日の臨時閣議において副大臣、大臣政務官が決定し、金融担当として黄川田 仁志(きかわだ ひとし)副大臣、宗清 皇一(むねきよ こういち)大臣政務官が就任しました。
 鈴木大臣、黄川田副大臣、宗清大臣政務官は、金融庁職員に対し訓示を行うとともに、麻生 太郎 前大臣、赤澤 亮正 前副大臣、和田 義明 前大臣政務官からそれぞれ引継ぎを受けました。

訓示の様子

写真:黄川田副大臣の訓示の様子写真:鈴木大臣の訓示の様子写真:宗清大臣政務官の訓示の様子
(写真:訓示を行う鈴木大臣(中央)、黄川田副大臣(左)、宗清大臣政務官(右))

引継ぎ式の様子

写真:鈴木大臣(左)と麻生前大臣(右)の引継ぎの様子
(写真:鈴木大臣(左)と麻生前大臣(右)の引継ぎの様子)
写真:黄川田副大臣(右)と赤澤前副大臣(左)の引継ぎの様子写真:宗清大臣政務官(左)と和田前大臣政務官(右)の引継ぎの様子
(写真左:黄川田副大臣(右)と赤澤前副大臣(左)の引継ぎの様子、
写真右:写真:宗清大臣政務官(左)と和田前大臣政務官(右)の引継ぎの様子)

全国証券大会における麻生前大臣挨拶について

 本年9月30日、日本証券業協会による「令和3年全国証券大会」が開催され、麻生大臣(当時)がビデオメッセージにより、以下のように挨拶を行いました。
 なお、会の模様は、日本証券業協会ウェブサイトからご覧いただけます。


写真:麻生大臣(当時)の挨拶の様子
写真:麻生大臣(当時)の挨拶の様子

【はじめに】

 本日は、証券大会にお招きいただき、御礼申し上げます。

 皆様方には、これまでも金融行政に多大なご協力をいただいていますが、引き続きよろしくお願い致します。

 今年も昨年に引き続き、証券大会はWEB開催になるということで、ビデオメッセージにてご挨拶申し上げます。

 最近では政府の会議や国際会議でもオンライン形式のものが珍しくなくなってきたと感じますが、やってみると、会議場への移動が不要になるなど、便利なこともあるのではないでしょうか。

 対面でなくては伝わりにくいこともあるかもしれませんが、何事にも状況の変化に適応して、その中で工夫を凝らすことが重要です。オンライン開催も新しい社会様式への変化として歓迎します。

 本会のご盛会をお慶び申し上げるとともに、開催に当たり、一言ご挨拶を申し上げます。

【ウィズコロナに向けて】

 この1年を振り返ってみますと、やはり新型コロナへの対応というものが最も大きな課題ではなかったかと思います。

 最近では、日本において、ワクチンの2回接種を終えた人の割合は人口の50%を超え、アメリカの接種率も上回りました。今後は感染拡大防止策を講じながら、経済の回復を追求する必要があります。

 報道では感染者数ばかりが取り上げられますが、日本の人口当たりの死亡者数は極めて少ない。過度に委縮することなく、正しく恐れて冷静に対応することが重要です。

 さて、今後、経済を本格的に回復させるには、景気の「気」の部分が大事です。

 個人金融資産は1,992兆円。現預金だけで1千兆円を超え、1,072兆円あります。総じて見れば家計はお金を持っている。家計がこうしたお金を使い、個人消費が伸びていく環境が重要ではないでしょうか。

 GDPの3大要素の1番目が今申し上げた個人消費。その次に重要な要素が設備投資です。企業も内部留保をためるだけでなく、設備投資に資金を回し、デジタル化や新規事業への進出といった「攻めの姿勢」が極めて重要となってきます。

 資本市場を支える皆さまが、企業の積極的な取組みを後押しし、成長資金を供給していくことが重要なカギではないでしょうか。

【国民の安定的な資産形成】

 また、先ほど申し上げたように、日本には、1,992兆円もの個人金融資産がありますが、その半分以上の1,072兆円が現預金で眠っています。

 今は普通預金の金利が0.001%だから、10億円預金しないとリターンが1万円にならない。さらには分離課税が20%かかるから、12億円ないと1万円にならない。それでも現預金で持っている。

 世界中、現預金の比率が個人金融資産の半分なんていう国は聞いたことがありません。12億円預金して金利収入がたった1万円だったら、株や投資信託等、他に投資先はいろいろあるので、そういった投資に回されたらどうですかと言ってきたところです。

 そのためにも、一つには、日本に多くいる富裕層に、いかに資金を資産運用に振り向けてもらうか。証券界の皆様が、運用の技術を磨き、顧客の信頼を得ていくことが大事ではないでしょうか。

 また、若年層の投資もまだまだ進んでいない。資産形成は長期的に行っていくことが肝要なので、ある程度若いうちからライフプランを考えて資産形成に取り組むことを後押しする必要があるのではないかと思います。

 私どもとしては、家計の安定的な資産形成を促進するため、NISAの導入・拡充に取り組んできました。

 つみたてNISAは、今年4年目を迎え、おかげさまで、若年層を中心に、利用者数、投資額ともに順調に増加しています。今年3月末時点で、一般のNISAも含め、1,586万口座が開設され、約23.1兆円が投資されるところまできております。

 今後とも、制度の普及・促進を通してこの流れを更に加速させたいと考えております。

 皆様におかれましても、国民の安定的な資産形成に向けて、積極的な創意工夫をお願い申し上げます。

【国際金融センター】

 先ほど日本の個人金融資産について申し上げましたが、これは国際的にも大変な強みであります。

 さらに、日本は、安定した政治や法律制度、良好な治安や生活環境という強みもあり、大きな実体経済と株式市場といった、資産運用ビジネスにとってのポテンシャルも高いと思います。

 金融庁としては、こうした強みやポテンシャルをいかし、アジア、世界における「国際金融センター」としての地位の確立を目指したいと考えております。

 本年1月には、新しく日本に参入する海外の資産運用会社の登録から監督までを、英語でワンストップで行うための、「拠点開設サポートオフィス」を立ち上げました。既に4件の英語での登録が完了したところです。

 日本の名目GDPは536兆円(2020年度)。それに対して、GNI(グロス・ナショナル・インカム、国民総所得)は557兆円です。このGNIというのは、海外への株式等の投資から得られる収益などを足し合わせたものです。今やGDPよりもGNIの方が大きい。日本はかつての貿易立国から金融立国のような形に変わりつつあります。

 今後とも、各種施策と合わせて世界に開かれた国際金融センターの実現を目指してまいりたいと考えております。

【おわりに】

 最後にもう一言申し上げます。

 先日、東京2020オリンピック・パラリンピックが行われました。

 日本は、オリンピックでは過去最多58個、パラリンピックでは過去2番目に多い51個のメダルを獲得し、大変喜ばしく思っております。

 開催に反対するマスコミもありましたが、国民の多くは、新型コロナの困難な状況の中、アスリートの活躍に大変勇気づけられたのではないでしょうか。

 私自身も、クレー射撃の選手として、1976年モントリオール五輪に出場した経験があります。

 各国の選手と相まみえて、同じ舞台で戦うことは、グローバル化する金融市場において、各社が互いに学びながら切磋琢磨し、成長していく様子ともつながるものがあると思います。

 日本の金融市場は、これまでの証券界の皆様のご尽力により、海外市場との競争の中で大きく成長しています。

 今後も、日本市場の国際的な魅力が一層高まるよう、金融庁は努力してまいりますので、皆様のご協力をよろしくお願い申し上げて挨拶とさせていただきます。


 日本証券業協会ウェブサイト「令和3年全国証券大会」の模様:https://www.jsda.or.jp/about/gyouji/index.html新しいウィンドウで開きます


4年目を迎えたリスク分析総括課の現在

総合政策局リスク分析総括課

総括調整官 佐藤 雅之

1.はじめに

 リスク分析総括課は、平成30年7月の組織再編※1で誕生し、4年目を迎えた金融庁の中でも新しい課です。ただ、残念ながら、私自身も「リスク分析総括課って何をしている課なの?」と聞かれることが大変多く、余り世に知られているとはいい難い現状です。

 実は、リスク分析総括課は、300人近くの職員が在籍している霞が関でも有数の巨大な課であり、15の室・グループ・チーム※2が多種多様な業務を行っています。従って、容易に業務内容を簡単に説明しきれないというのも事実です。確かに複雑な組織ではあるのですが、金融庁の公式ウェブサイトでも、業務に関する資料を十分に提供してきておらず、世に理解されていないのは金融庁側の説明不足とも思えます。本稿では、そういった反省も踏まえ、リスク分析総括課がどういった部門であるかについて紹介したいと思います。以下では、金融庁内の通称である『リ分課』(りぶんか)と称します。

 なお、金融庁では、新たな重要テーマへの対応などのため、課室間の担務の見直しや機構の見直しが毎年行われております。リ分課についても発足当初と比べて新たな業務が追加されているほか、今後も見直しがなされる可能性が十分あります。以下は、本年10月現在の業務実態に即した説明であることをご理解願います。

写真:筆者

(写真:筆者)

2.リ分課の概要とコンセプト

 リ分課発足の背景には、検査・監督の在り方の見直しの議論がありました。詳細は省略しますが、「金融検査・監督の考え方と進め方(検査・監督基本方針)※3」(平成30年6月)等では、「形式・過去・部分」の視点から脱却し、「実質・未来・全体」の視点からの行政を行うため、オン・オフ一体の継続的なモニタリングを行うことや、金融機関の実情についての深い知見や課題毎の高い専門性を蓄積することの重要性が掲げられております。そうした問題意識を踏まえて、リ分課は、旧検査局の一部の業務を引き継ぎつつも、金融システムや複数の金融機関等に共通するリスクの状況・動向に関する調査・分析の総括や包括的又は特に専門的な調査・分析・検査を行うチームとして作られた組織です。もう少し具体的には、①データ分析及びモニタリング基盤の整備、②横断的モニタリング、③業態別のモニタリングの3つを通じて、総合的に金融システム全体のリスクや業態横断的な課題に対応する専門チーム、と整理できます。

 なお、立入検査について、組織再編前のまだ「モニタリング」という言葉が庁内で共通用語ではなかった時代には、検査は検査局、行政対応や許認可は監督局といった役割分担がありました。検査局は廃止されましたが、金融庁は引き続き重要な手法と位置付けております。現在は、立入検査を含めた金融機関のモニタリングについて、監督局・リ分課双方がそれぞれの役割を担いつつも日頃より密接に連携する体制となっております。

 リ分課の人員構成ですが、約100名が、民間出身の専門家となっており、システム、市場リスク・信用リスクの専門家を初めとして、様々な専門分野の職員を採用し、業務を行っております。様々な専門人材を採用し、そうした専門人材の知見が金融行政に活かされる仕組みを作っていくことは、リ分課、更には金融庁全体の大きなテーマです。

3.リ分課内の各室・グループ・チームの概要

リ分課内の各室・グループ・チームを、組織運営に必要なバックオフィスと、前述の3つの機能別に大きなグループと整理した上で、具体的な業務を説明します。

【資料1】リスク分析総括課の組織図
写真:筆者

①バックオフィス

 バックオフィスは、総務グループと検査監理官グループがあります。このうち、総務グループは、人事、予算、広報、国会、機構・定員などの、霞が関でいう部局の総務課的な機能を担っており、様々な職員から構成されるリ分課が、全体として今まで以上の力を発揮できるよう、活動しています。

 検査監理官グループは、検査を中心とした金融庁が行うモニタリングについて、各チームへの支援、検証方法や対話手法などの品質管理、研修の実施など、総合調整機能を担っています。例えば、コロナ禍で、リモート手法を活用した新しい検査スタイルへの転換が一つのトピックとなっております。また、金融庁だけでなく全国の財務局が行う検査についても、ここで一元的に実施状況を管理することになっています。

②データ分析・基盤整備グループ

 データ分析・基盤整備グループは、金融モニタリングを行う上での基礎となる、データの整備や分析に関わる事務と、金融機関の健全性を把握するために必要な基準の整備に関わる業務を行っています。データ関連の業務については、情報分析監理官の下、データ分析統括室、情報・分析室、マクロ分析室の3つの室から構成されています。

 データ分析統括室では、庁内のデータ分析の高度化を推進しています。具体的には、庁内のデータ分析プロジェクトを集約・支援するとともに、金融機関からの徴求データを金融経済情勢に関するマクロデータや企業の個社データと組み合わせて分析することや、粒度の細かいデータを金融モニタリング上積極的に活用することに向けた検討を行っています。

 情報・分析室では、金融機関から提出のあった資料のデータを、分析に活用できるよう整備(クレンジング)するとともにモニタリングの基礎資料として貸出金や預金動向の分析を行っているほか、モニタリングに関するシステムの運用などを行っております。

 マクロ分析室では、金融モニタリングや金融機関との対話の前提となる、国内外のマクロ経済、金融市場の分析等を行っております。

 基盤整備関連としては、健全性基準室があります。健全性基準室は、バーゼル銀行監督委員会(バーゼル委)で合意された国際的な銀行規制等の国内実施に関する事務を担当しています。こうした各種規制は、金融機関の健全性を確保するための基準として、各種モニタリングの基礎となるものです。国際合意に基づく金融規制は多岐にわたりますが、令和5年3月末期からの実施を予定している最終化されたバーゼルⅢの国内実施に係る作業などが、目下の大きなテーマとなっています。

③横断的モニタリンググループ

 横断的モニタリンググループは、「横串(よこぐし)チーム」とも呼ばれ、分野別の専門家が業態をまたいで活動しています。金融界全体で取り組むべき課題は多々存在しますし、業態を超えた連携の動きはますます活発になっていますので、横串で見ていく必要性は高まっています。具体的にはマネー・ローンダリング・テロ資金供与対策企画室、IT・サイバーモニタリングチーム、コンダクト企画室の3つのチームがあります。

 マネー・ローンダリング・テロ資金供与対策企画室は、わが国の金融機関におけるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策(マネロン等対策)の高度化をミッションとしています。本年8月にFATF(金融活動作業部会)が、第4次対日相互審査報告書として我が国の相互評価の結果を公表しておりますが、本報告書の指摘も踏まえ、マネロンガイドラインの整備や、金融機関のマネロン等対策の検査・モニタリング、金融機関とも連携した利用者への広報などに取り組んでいるところです。

 IT・サイバーモニタリングチームは、金融機関のITガバナンスの発揮に向けた対話の実施やレポートの公表、システム障害等の原因や改善策のモニタリングと、その結果(障害傾向・原因及び対策等)をまとめたレポートの公表のほか、サイバー演習などのわが国金融機関のサイバーセキュリティ水準の高度化に向けた施策の推進などを担当しております。

 コンダクト企画室では、金融庁に寄せられるコンダクト・リスク※4に関する情報の収集・分析や顧客本位の業務運営の確立・定着のためのモニタリングを行っています。具体的には、顧客本位の業務運営の取り組み状況を比較可能な形で金融庁ウェブサイトから公表する(「取組状況の見える化」)、好事例の紹介等の情報発信の強化などに取り組んでいます。

④業態モニタリンググループ

 業態モニタリンググループは、「縦串(たてぐし)チーム」とも呼ばれ、それぞれ担当の1つの業態を、責任をもって深堀りしております。監督局の各課室も、それぞれ所管する業種について責任を有しておりますので、リ分課は縦串チームの一部を担っている存在、というのが実態に近いかもしれません。リ分課に設置されているのは、大手銀行モニタリング室と、フィンテックモニタリング室、金融サービス仲介業室・電子決済等代行業室があります。

 大手銀行モニタリング室は、大手銀行9グループをモニタリング対象とし、通年・専担検査により、事務年度を通じてモニタリングを実施しています。各グループの重要な課題についてモニタリングするほか、統一的目線で複数の金融機関の取組み状況を横断的に検証する水平的レビューなども行っています。また、大手銀行に加え、地方銀行や生命保険会社の信用・市場リスクに関する「各業態の共通課題」について、必要に応じてモニタリングに取り組んでいます。

 暗号資産交換業、資金移動業、前払式支払手段発行業、貸金業などのモニタリングを担当しているのが、フィンテックモニタリング室であり、フィンテック監理官が包括的に担当しています。暗号資産やスマホ決済など、フィンテックの分野で登場してきているデジタル金融サービスにおいては、関連ビジネスが目まぐるしく変化しておりますが、金融庁としては利用者保護やマネロン防止と、イノベーションの促進とのバランスを取ることが重要と考えております。そうした観点から、新たな金融サービスの動向等に関するアンテナを高くして、日々のモニタリングに取り組んでいます。なお、フィンテックモニタリング室内には、暗号資産交換業を担当する暗号資産モニタリング室、資金移動業や前払式支払手段発行業を担当する資金決済モニタリング室、貸金業を担当する貸金業室といった3つの室が設置されており、それぞれ分野別の監督業務を行っております。

 新しい形態の金融業として、複数の振込先への銀行振込の依頼をワンクリックで行うことができるサービスなどの電子決済代行業、1つの登録で銀行・証券・保険すべての分野のサービスを仲介可能とする金融サービス仲介業があります。こういった分野の登録に伴う業務やモニタリングを行うのが、金融サービス仲介業室・電子決済等代行業室です。現在は本年11月に金融サービス仲介業創設に関する法令の施行が予定されているため、円滑な制度の導入が大きなテーマとなっています。

4.目下の課題

 金融は常に動いており、各チームはそれぞれの課題に取り組んでおりますが、それぞれの施策の詳細は、金融行政方針などの他の文書に説明を譲ります。ここではリ分課全体でシナジーを発揮して取り組むべき話題をいくつか紹介させていただきます。

 一つは、専門性の向上です。リ分課の業務は、既に紹介してきたように多種多様ですが、高い専門性が無ければ成り立ちません。そのため、即戦力となる外部人材の採用等にも取り組んでいますが、内部人材を中長期的な視点で計画的に育成していくことも大変重要であり、多種多様な人材育成プログラムを用意しております。具体的には、デジタライゼーションの飛躍的進展に対応する観点から、金融庁全職員のIT・セキュリティのリテラシー向上の取組みとともに、「データサイエンス」のスキル向上のための金融庁内のデータ分析プロジェクトへの参加者拡大や研修の実施をしています。更に、モニタリング能力を継続的に向上させる観点から、時・場所の制約がないオンデマンド動画研修や思考力を養う参加体験型グループ研修を実施しています。

 二つ目は日本銀行との連携です。日本銀行とは、組織の目的や、担当する金融業の範囲などに異なる点がありますが、金融システムの安定という大きな目的について、共有している部分もあります。金融機関にとって二重の負担にならないように、また我が国全体のモニタリングのリソースを有効に活用し質の高いモニタリングが実施できるようにといった観点から、本年6月から開始した金融モニタリング協議会を中心として、検査考査先の調整、重要テーマについての意見交換、計表の一元化、マクロプルーデンス上の連携といった、テーマ別に具体的な連携の在り方を検討しているところです。

 最後に金融モニタリングにおける新たな課題への対応です。例えば昨年生じた資金移動業を介した不正出金事案でも、資金移動業者、銀行それぞれへの監督上の対応、システム面からの検証等が必要になりました。足もとでも、経済安全保障や気候変動といった、新たに横断的に取り組むべきテーマが発生しているところです。こういった新たな課題については、全庁的な対応が必要となるものも多いのですが、総合政策局に置かれているリ分課としては、そのコンセプトを踏まえ、縦横別のチーム、データ分析、立入検査といった様々なチームの連携により主体的に対応していくことが求められます。

【資料2】金融モニタリング協議会(FMC)のロゴ
【資料2】金融モニタリング協議会(FMC)のロゴ

 さて、縷々説明してまいりましたが、やはり一読して十分理解できるものとなっているかは自信がありません。このように組織が複雑になっている背景には、金融庁が向き合っている金融システムそのものが日々変化・複雑化していることも大きな理由と考えられます。リ分課としては引き続き「総合的に金融システム全体のリスクや業態横断的な課題に対応する」組織として様々な課題に取り組んでいきますが、本稿が少しでもその業務イメージの理解に繋がれば幸いです。


※1 総合政策局の新設を初めとした組織再編のこと。詳細については、「金融庁の組織再編について」
https://www.fsa.go.jp/news/30/20180710.htmlをご参照ください。

※2 室の下に更に小規模なチームが存在するなど、数え方はいくつか考えられるものの、ここでは実態面を重視して計算。

※3 「金融検査・監督の考え方と進め方(検査・監督基本方針)」については、https://www.fsa.go.jp/news/30/wp/wp_revised.htmlをご参照ください。

※4 法令違反のみならず、その行動が、社会規範等からの逸脱により、利用者保護や市場の公正・透明の確保に影響を及ぼし、金融機関自身にも信用毀損や財務的負担を生ぜしめるリスクを一般にいう。コンダクト・リスクを含め金融庁のコンプライアンス・リスクについての考え方は、平成30年10月15日公表「コンプライアンス・リスク管理に関する検査・監督の考え方と進め方(コンプライアンス・リスク管理 基本方針)」https://www.fsa.go.jp/news/30/dp/compliance_revised.htmlをご参照ください。


最近のインド情勢と日印金融協力

在インド日本国大使館  

二等書記官 名古屋 智寛

1.はじめに

 インドといえばまず思いつくのは、膨大な人口に加え、根強く残るカースト制度の影響、世界で最もひどいと言われる大気汚染などネガティブな面もありますでしょうか。

 インドは28の州と8つの連邦直轄領からなり、公用語は23言語(インドの憲法規定+英語)、国土面積は329万平方キロメートルですが、これは欧州連合(EU)と比較されることがあります。EUは27の加盟国からなり、国土面積は429万平方キロメートル、公用語は24言語であり、インドはEUと同程度の多様性を備えているとみることもできるかもしれません。

 インドを理解する上では、ヨーロッパ(EU)を理解するように、地域差や多様性を考慮しなければならないと考えております。日本の報道を見ていると、インドの一部で起きた事柄がインド全土において起こっている出来事のように報道されることもあり、そのような面が否定できないこともありますが、時にはインドの多様性を無視した、インドを誤解する原因にもなっているような気がします。

 来年は日印国交樹立70周年となる記念の年であり、また再来年にはG20がインドにおいて行われる予定です。今後も経済のみならず、外交・防衛などの観点で日印関係の重要性は増すばかりですが、良好な日印関係を作る一助となるよう業務に励んで参りたいと思っております。

2.インドのコロナの状況

写真:2020年3月に行われたインド全土のロックダウン時のもの。 冷凍食品がすべて買い占められて おり、当時の混乱状況が伺える。

写真:2020年3月に行われたインド全土のロックダウン時のもの。冷凍食品がすべて買い占められており、
当時の混乱状況が伺える。

 インドといえばデルタ株が初めて発見された地であり、本年4月頃にはインドにおける新型コロナウイルス第2波により感染者が急増、入院できない患者が多数出てしまい、酸素ボンベを求めて行列を作るインド人の光景などが日本でも報道されていたため、そのような光景を思い浮かべる人も多いかと思います。本年4―5月の第2波においては、インド全土で1日に41万件(新規感染者数)を記録しました。

 同時期はイギリスのボリス・ジョンソン首相や日本の菅総理(当時)がインドを訪問する予定でしたが、感染者の急増により中止になりました。私も同期間は自宅でテレワークをしながら感染の波が落ち着くのを祈っており、ほぼ丸2カ月間自宅に籠っておりました。

 そのような報道もあってか、私が一時帰国した際にも「インドのコロナの状況は大丈夫か」と聞かれることが多いのですが、10月現在のインドのコロナ感染の状況は低位で推移しています(1日の新規感染者数はインド全土で1~2万人台程度を推移)。

 当地の報道を見ていると、第2波の教訓からありうべき第3波に向けて備える動きもあり、感染状況が落ち着いた現在もマスクをしている人を見かけます。

3.インドの経済情勢

 ここ数年、インドのGDP成長率は年5~8%台という水準で推移していました。2018年にインドの大手ノンバンクであるIL&FSが相次いでデフォルトを起こしたことから、金融機関の貸し渋りが起こり、近年は経済が停滞気味でした。さらに、新型コロナウイルスの蔓延によりインド経済は大きくダメージを受けました。2020年3月に行われたインド全土の長期間にわたるロックダウンにより、失業率は一時20%台まで上昇し、2020年度の実質GDP成長率は前年同期比7.3%の縮小となりました。

 しかしその後インド経済は政府の経済政策もあり回復基調にあります。特に本年7月以降経済活動は活発化し、下半期にかけて成長は加速する見込みです。特筆すべきはロックダウンの影響で一時は25,000ポイント台まで落ち込んだインドの株価(SENSEX指数)が、直近10月には60,000ポイント台まで上昇していることです。インド経済回復への市場の期待が見て取れます。

4.インドの金融情勢

 インドの金融面において特徴的なものの一つとして、高い不良債権比率が挙げられます。本年3月時点でインドの商業銀行全体の不良債権比率は7.5%であり、国営銀行に限れば9.5%と、諸外国の銀行と比較しても不良債権比率が非常に高くなっております。金融危機の引き金にならないためにも、注視が必要です。

 もう一つ特徴的なものとして、デジタルを利用した金融取引の質の向上及び金融包摂の取り組みをしていることが挙げられます。例えばインド準備銀行(RBI)は、インターネット環境が悪いまたは利用不可能な地域・場面においてもデジタル決済ができるように、オフラインでのデジタル決済を可能にするための実験を行っております。また、インド国内でのデジタル決済の普及率を高めるためにはデジタル決済ができるポイントをバランスよくインド国内に配置することが必要であり、そのため、決済インフラのある場所の位置情報を取得する枠組みを設ける、などの取り組みをしており、日本にはない興味深い取り組みが多いと感じます。

5.日印金融協力対話の開催

 本年4月14日には、第6回日印金融協力対話がオンラインにて開催されました。本会議は2014年11月から年に1回程度の頻度で開催されているものであり、日印間の経済・金融面の協力を深化させるために議論を行う場となっています。

 日本側からは金融庁、財務省の他、日系金融機関などが参加し、インド側からはインドの金融監督当局であるインド財務省、インド準備銀行(RBI)、インド証券取引委員会(SEBI)、インド保険監督庁(IRDAI)が参加しました。

写真:オンラインで開催された第6回日印金融協力対話(写真左下は天谷総括官(肩書は当時))

写真:オンラインで開催された第6回日印金融協力対話(写真左下は天谷総括官(肩書は当時))

 天谷総括官(肩書は当時)は、本会議の冒頭でこれまでの日印関係の取り組みやインドの潜在的な可能性について説明しました。また会議では、日本側から日本の社債市場の発展の経緯やさらなる発展に向けた取り組みを紹介するなどし、インド側からはインドの国際金融センターであるGIFT City(Gujarat International Finance Tec-City)の取り組みなどについて意見交換を実施しました。

 インドの国際金融センターに関しては、インド西部グジャラート州(モディ首相の出身地)に金融センターが建設されており、インドの主要な地場銀行の他、スタンダードチャータード銀行などがすでに進出しています。インド政府もGIFT Cityへの金融機関の誘致に熱心であり、このような対話の場を通じてインド政府と意見交換ができる機会は非常に貴重であると思います。

 今後はこのような日印の対話の場を増やし、日印関係が金融面においてより一層深化するよう取り組んで参ります。


つみたてNISA Meetup(愛称「つみップ」)オンライン開催

総合政策局総合政策課 

課長補佐 塚本 俊太郎

 金融庁では、「つみたてNISA」をきっかけにより多くの方が資産形成に関心を持っていただけるよう、個人の方々から資産形成に関するご意見を聞かせていただく場として、「つみたてNISA Meetup」※1を開催してまいりました。昨年5月以降は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、オンラインで開催しています。

 今回は、証券監督者国際機構(IOSCO)が推進する世界投資者週間(World Investor Week)にあわせて、本年10月8日(金曜)に開催しました。第一部は金融庁から「資産形成とつみたてNISA」と題してプレゼンを行いました。当日発表されたNISA利用状況調査を紹介し、つみたてNISAの口座数が本年6月末時点で約417万口座となり、3カ月前と比べ約57万口座増加したことや、特に年代別で20代の口座増加率が最も高かったことを紹介しました。

 第二部では、20代が集まり投資について考える「104(トウシ)コンソーシアム」 ※2 と、金融庁の20代職員から、投資に対する質問や悩みを聞き、セゾン投信株式会社 中野 晴啓氏とシンクタンク・ソフィアバンク 藤沢 久美氏に回答していただきました。ディスカッションの前段は「投資の考え方」、後段は「投資の実践方法」に分けて行いました。「投資の考え方」では、投資についての情報収集のやり方、資産形成で目指すべきリターン、若いうちに投資を始めるメリット、投資金額の決め方などについて、ディスカッションを行いました。「投資の実践方法」では、「一般NISA」と「つみたてNISA」どちらがいいか、投資信託の選び方の基準、全世界と新興国どちらに投資すべきか、などが話題となりました。

写真:「つみたてNISA Meetup」の様子 中央はセゾン投信株式会社 中野 晴啓氏

写真:「つみたてNISA Meetup」の様子 中央はセゾン投信株式会社 中野 晴啓氏

≪登壇者の感想≫

104コンソーシアム

永井 翠さん

 「長期積み立て投資をやった方がいい」と巷でよく 聞くものの、その意義・メリットについてこれまで実感が湧いていなかったのですが、「時間は財産である」というコメントが深く印象に残りました。投資を始める際には、色々勉強しなければならないというイメージもあり、及び腰になっていたのですが、「まずは経験を積むこと」と聞いて、やらない言い訳をしている場合ではないと思い直しました。まずはつみたてNISA口座の開設と、加入時に何となく商品選択したまま放置してしまっている、企業型確定拠出年金の商品見直しから始めたいと思います。

八須 麻衣さん

 つみたて投資と並行して、まとまった額の投資も行っており、どちらが自分に向いているのか悩んでいたのですが、中野様がおっしゃられていたように、多額の投資によって価格の変動が気になるようになってしまっておりました。長期的な資産形成のためにも自分の性格的にも、「つみたて」が向いていると気づくことができました。投機的にお金を増やすことを考えるのではなく、目標を設定し、そのために月どれほどつみたて投資を行えばよいのか、戦略的に投資を行うように見直したいと考えております。今後は、藤沢様にご教示いただいた、投信評価会社のwebページを活用して、投資信託の比較検討を行い、商品選択をしたいです。知識がないときは、過去運用実績等を見るくらいしか検討材料がなかったので、今回得た知識を活用し、より賢くつみたて投資に挑戦したいと思います。

松本 英樹さん

 豪華メンバーに直接質問でき、非常に楽しかった。どのような仕組みで株価が形成されるのか、どのようなお金の循環が世界で起こっているのかなど、投資に関する本質的な回答や説明をたくさんいただけたので、勉強になりました。また、他の20代の人がどのように投資と向き合っているのかを知れて面白かった。意外と皆さん投資しているんだなという印象を受けた。誰もがリスクを抑えながら確実に資産形成するにあたって、長期・分散・積立を意識した投資は本当に有効なのか?と感じていたが、20年間の投資リターン実績を見て、納得。特に積立をすることで、購入単価なんて分からなくなるため、結果的に株価変動が気にならなくなる、というのはその通りだと思った。一般的な人間の心理に寄り添った投資手法なんだなと、自分なりに理解しました。ひとまず個別株投資を続けようと思いますが、ライフステージの変化などで自分がそこまでリスクをとれなくなってきたときには、長期・積立・分散に路線変更しようと思いました!

金融庁

坂上 真樹さん

 投資に関心がある同年代の方々との交流、そして実際感じている疑問を投資会社の方に、直接お伺いすることができたのは大変有意義な機会でした。少しずつでも長く続けることが大事というお話もあり、早めから行動することの大切さをあらためて感じました。投資信託の選び方において、資金流入が継続的であるファンドという観点で選ぶことも、1つの方法という話が大変勉強になりました。また積立投資は「稼ぐことができなくなる将来の自分への仕送り」という言葉が印象に残っております。今回ご教示いただいた投資信託の手数料を比較できるウェブサイトで調べたのちに、10月中には資産運用を始めたいと思っております。

佐藤 主隆さん

 プレゼンターのお話を聞いて、投資をすることの重要性が身にしました。また商品の選び方、投資するべき金額等具体的なお話もたくさん聞けたので、なかなか踏み出せなかった一歩を踏み出すことができるような気がしております。また、資産流入量でファンドを選ぶ、家賃と同じくらいの必須費用として投資を考える等、投資に対する考え方・実践方法について貴重なお話を聞くことができて勉強になりました。まずは投資を始めることが重要だと感じました。投資をする中でまた新たに悩みも生じるかと思われますので、その際には技術的なポイントについてお話伺えればと思います。

髙田 航平さん

 自分と同世代でしっかりと投資に向き合っている方が、数多くいらっしゃることに刺激を受けた。短い時間ではあったが、参加者がその道のトッププロに直接率直な疑問をぶつけることのできる大変貴重な機会だったと思う。また、投資をいざしようと思うと、細かなデータの分析や理解が必要で、ハードルが高い感覚があった。しかし、お話の中でご紹介いただいたコンテンツや書籍の活用、マインドを知ることで、「初心者」でも安心・安全に投資が行える環境が既に整っていることが非常によくわかった。お話にもあった「習うより慣れろ」の気持ちで、まずはつみたてNISAをいち早く始めてみたい。

写真:「つみたてNISA Meetup」の様子 中央はシンクタンク・ソフィアバンク 藤沢 久美氏

写真:「つみたてNISA Meetup」の様子 中央はシンクタンク・ソフィアバンク 藤沢 久美氏


※1 「つみたてNISA Meetup」については、https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/opinion/index.htmlをご参照ください。

※2 「104(トウシ)コンソーシアム」については、外部サイトhttps://forbesjapan.com/feat/104consortium/新しいウィンドウで開きますをご参照ください。


フードバンク団体等に災害用備蓄食品の
無償提供を行いました!

 金融庁では、地震発生時など災害時においても業務が継続できるよう、庁舎内に一定量の食品や飲料水を備蓄しています。これらの備蓄食品等については、当該食品に定められた保管方法に従い適切に管理しておりますが、品目ごとに定められている賞味期限※1を踏まえ、定期的に入替えを行っています。

 本年4月21日、政府全体として、国の災害用備蓄食品について、「食品ロス削減及び生活困窮者支援等の観点から有効に活用するため、入れ替えにより災害用備蓄食品の役割を終えたものについて、原則として、フードバンク団体等※2への提供に取り組むこと」とする関係府省庁申合せがなされました。

 金融庁では、当該申合せを踏まえ、備蓄食品のうち本年10月・11月に賞味期限を迎えるものについて、賞味期限が到来する前に、フードバンク団体等に無償提供を行うこととしました。具体的には、本年8月30日から9月3日までの間、金融庁ウェブサイトにおいて、缶詰4,128缶(ソーセージ1,704缶、やきとり720缶、牛肉大和煮1,704缶)の提供を行う旨の公告を掲載※3し、ご応募頂いた8つのフードバンク団体等に提供を行いました。これらの食品は、今回提供を行ったフードバンク団体等を介して、生活困窮者や高齢者など、真に必要とする方に向けて順次届けられています。

写真:蒲田子供食堂様(写真右)への引渡時の様子

写真:蒲田子供食堂の模様(蒲田子供食堂様提供)

写真:公益社団法人フードバンクかながわ様を通じて横浜市立大学に提供が行われました(写真左下が金融庁が提供したやきとり缶)。横浜市立大学では、フードバンクかながわ様などの協力のもと、新型コロナにより厳しい生活を送られている学生を対象に「食の支援」を行っています(フードバンクかながわ様提供)。

 金融庁では、食品ロス削減や生活困窮者支援等に資するよう、次回以降の備蓄食品等の入替えにおいても、関係省庁と連携しながら同様の取組みを行ってまいります。

※ このほか、今回提供を行ったフードバンク団体様からお礼のお便りをいただいております。


※1  賞味期限は、おいしく食べることができる期限であり、定められた方法により保存した場合に、期待される
全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限です。

※2  フードバンク団体等には、フードバンク団体のほか、子ども食堂など、生活困窮者等に対し食料・食事の提供を行う団体を含みます。

※3  「金融庁の災害用備蓄食品の有効活用の取組みについて」は、https://www.fsa.go.jp/choutatu/choutatu_j/choutatsu_saigaisyokuhin.htmlをご参照ください。
また、金融庁を含む各府省庁の提供情報については、農林水産省「国の災害用備蓄食品の提供ポータルサイト」https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/portal.html新しいウィンドウで開きますにも掲載されています。


市場へのメッセージ(課徴金納付命令勧告の解説)

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、勧告事案等に関する解説記事を「市場へのメ
ッセージ」として証券監視委ウェブサイトに掲載しております。
 ここでは、本年10月29日に掲載した「市場へのメッセージ」の内容の一部についてご紹介します。

 ※「市場へのメッセージ」の全文については、証券監視委ウェブサイトをご参照ください。
  参考URL:https://www.fsa.go.jp/sesc/message/20211029-1.html新しいウィンドウで開きます


gumi株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

 証券監視委は、取引調査の結果に基づいて、本年10月15日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました

【事案の概要及び特色等】

 本件は、インターネット取引を行っていた個人投資家が、株式会社gumiの株式の売買を誘引する目的をもって、22取引日にわたり、高指値の買い注文を連続して発注して直前の約定値より株価を引き上げたり、下値に複数の買い注文を重層的に発注したり、引け条件付き成行買い注文を発注して終値に関与したりするなどの方法により、同株式の売買が繁盛であると誤解させ、かつ、同株式の相場を変動させるべき一連の売買を行った事案となります。

○違反行為事実の概要について

〇違反行為事実の概要について

 具体的な取引手法は、他の投資家の売買を誘引する目的をもって、

  •  ➀最小売買単位での株価の引き上げや、最小コストでの買い上がり買付けとともに
  •  ➁下値に重層的な買い注文を発注する
  •  ③更に、引成の買い注文による株価引上げ

 などにより同株式の売買が繁盛であると誤解させ、かつ、同株式の相場を変動させるべき一連の売買を行った事案となります。

 違反行為者は、本件違反行為期間において、株価引上げを1415回(うち最小売買単位での引上げ:1026回、買い上がり買付け:45回)、終値関与を21回行っておりました。

※インターネット取引の普及や発注システムの進歩などにより、個人投資家においても様々な発注形態による取引が可能となっている中で、相場操縦における取引手法も益々巧妙化しております。

 そうした現状なども踏まえたうえで、証券市場の公正性・健全性を損なう不公正取引に対しては、引き続き、厳正な調査を実施していきます。


 本年10月15日公表、「gumi株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について」は、
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2021/2021/20211015-1.html新しいウィンドウで開きますをご参照ください。


銀行をご利用のお客様さまへ
-新型コロナウイルスの感染を防ぐために-

銀行をご利用のお客様さまへ -新型コロナウイルスの感染を防ぐために-

先月の金融庁の主な取組み(令和3年10月1日~10月29日)


編集後記

今月号では、リ分課(りぶんか)誕生後4年目の振り返り、インドの今など、これまでにない切り口の寄稿が掲載されております。

これまでにないという観点で、衝撃をもって迎えられたのが本年3月の「うんこお金ドリル」(うんこドリル×金融庁)でした。

その第2弾が、10月20日に公表されております!
第2弾では、お金が社会の中でどう回っているのかをテーマにしています。
アクセスFSA来月号でも解説します!

うんこドリル表紙

金融庁広報室長 齊藤 貴文 似顔絵
編集・発行:金融庁広報室

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