平成17年7月28日
金融庁

「有限責任事業組合契約に関する法律」の施行に伴う証券取引法施行令及び内閣府令の一部改正案に対するパブリックコメントの結果について

金融庁では、「有限責任事業組合契約に関する法律」の施行に伴う証券取引法施行令及び内閣府令の一部改正案について、平成17年7月15日(金)から7月21日(木)にかけて公表し、広く意見の募集を行いました。その結果、2の個人より8件のコメントを頂きました。ご意見をご提出いただいた皆様には、改正案の検討にご協力いただきありがとうございました。

本件に関してお寄せいただいた主なコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方は以下のとおりです。

【内容についての照会先】

金融庁 電話:03-3506-6000(代表)
総務企画局 市場課(内線3523)


コメントの概要とコメントに対する金融庁の考え方

コメントの概要 コメントに対する考え方

有限責任事業組合は、投資のためのビークルとすることを念頭に導入されるものではなく、有限責任事業組合契約に基づく権利は、主として投資者保護の観点から指定されていると思われる証券取引法第2条に規定する有価証券と考えるのにはなじまないと思われるが、有価証券として扱うこととしたのは何故か。

有限責任事業組合の組合員であっても、投資の見返りとしての利益の配当を他者の努力に依存していると考えられる者については、株式会社における株主と同様に、投資者保護の必要性が認められます。

(有価証券として扱うとしても)一定の投資のために利用される場合に限り有価証券として扱えばよく、そうでないと証券取引法第2条第2項第3号で(事業の損益を分配する点で有限責任事業組合と共通する)民法上の組合契約については一定の投資のために利用される場合に限り有価証券として扱われていることとの整合性がとれないのではないか。

7月7日に公表された、金融審議会第一部会の「中間整理」においては、いわゆる事業型の組合も含め、有限・無限責任を問わず投資サービス法(仮称)の対象とすべきとされたところであり、現在証券取引法の対象とされていないファンドについても今後投資者保護の必要性に応じた手当てがなされていくことが見込まれます。

証券取引法施行令第1条の3の3第2号イ(案)における「当該組合の事業に常時従事する組合員」とは、組合員が法人の場合は、当該事業のみを行うような法人である必要があるという趣旨か、法人において組合員の職務を行うべき者が常時組合の事業に従事していればよいという趣旨か。

組合員が法人の場合は、必ずしも法人自体がその事業のみを行っている必要はありませんが、法人における組合の職務を行うべき者が組合の事業に常時従事している必要があると考えます。

証券取引法施行令第1条の3の3第2号ロ(案)における「事業のために欠くことができない専門的能力」とは、例えば、(1)資金提供による信用の供与や事業に必要な財産(例えば事業の用地等)の提供を含むのか、(2)事業のために不可欠かつ代替性のない知的財産権の提供(ないし利用許諾)を含むのか、(3)事業のために不可欠かつ代替性のないノウハウに基づくアドバイスを含むのか。

証券取引法施行令第1条の3の3第2号ロ(案)は、専門的能力を発揮して業務に従事している場合であって、能力発揮の程度及び従事の程度が相まって十分に高いと認められる場合に限り、これに該当するとの趣旨です。(1)については、専門的能力にそもそも該当しないと考えられます。(2)については、知的財産権の提供ないしは利用許諾を行うことだけをもって、証券取引法施行令第1条の3の3第2号ロ(案)に該当することはないと考えられます。また、(3)については、アドバイスの重要性及び従事の程度によりますが、これに該当する可能性は高いと考えます。

証券取引法施行令第1条の3の3(案)において、組合契約の変更により組合員の組合事業における役割が変更され、従来有価証券でなかったものが、有価証券としての要件を充足することとなる場合、当該組合員の権利については、組合契約の変更により新たに有価証券の取得の申込の勧誘がなされるというものではなく、新たに有価証券が発行されるものでもないため、有価証券届出書や有価証券通知書といった開示書類の提出は不要であり、また有価証券報告書等の継続開示書類の提出も不要という理解でよいか。

有限責任事業組合契約に関する法律では、組合契約を変更する場合、新たな契約内容について全ての組合員の同意が必要とされています。このような場合、新たな内容の組合契約を締結し直すことになりますので、当該組合契約出資持分の発行者から各組合員に対して、出資の勧誘が改めて行われるものと考えられます。
従って勧誘の態様が募集に該当すれば、有価証券届出書の提出が必要となり、その後は継続開示が必要となります。

証券取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第8条第3項第5号(案)における「重要な業務」とはどの程度重要なものを指すのか。

当該規定は有価証券の発行者を定めるものであることから、重要な財産の処分のほか、組合員の加入・脱退などの業務の執行や決定を通じ、組合全体の状況を有効に把握することのできる者を想定しているものです。

証券取引法施行令第1条の3の3の規定については、有限責任事業組合が本来満たすべき要件が規定されているため、有限責任事業組合契約に基づく権利のうち、有価証券とみなされるものはなく、本条は事実上空振りの規定ではないか。

有限責任事業組合であっても、業務の一部を委任することができることから、組合契約によっては投資者保護が必要であると考えられ、証券取引法上のみなし有価証券に該当すると考えられます。

投資事業を行う海外のLLPは、本改正前から「外国の法令に基づく契約であって、投資事業有限責任組合契約に類するものに基づく権利」に該当し、「みなし有価証券」として扱われてきたところであり、本改正による影響を受けないと考えてよいか。

そのような理解で結構です。ただし、投資事業以外の事業を行う海外のLLPであっても、証券取引法第2条第2項第4号のLLPに類するものであれば、「みなし有価証券」に該当すると考えられます。

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