金融監督庁の1年

 

はじめに

 我が国金融機関は、バブル経済の崩壊により抱えるに至った多額の不良債権の処理という優先課題に直面している。不良債権問題を一刻も早く処理することにより、金融システムの安定化を図り、金融本来の機能を回復させていくことが喫緊の課題となっている。また、金融取引が一層国際化していく中で、金融システム改革を着実に実施し、活力ある金融市場を形成することが重要になっている。

 

 こうした重要課題に囲まれた中で、昨年6月22日の金融監督庁の発足から1年が経過したが、発足以来、直接・間接に金融監督庁にかかわる様々なことが起こった。そのうちの重要な事柄を列挙すると、

(1)  主要19行及び地銀・第二地銀への集中検査、
 
(2)  昨年夏〜秋のいわゆる金融国会での金融再生法、金融早期健全化法など関連法の成立、
 
(3)  一部金融機関に対する特別公的管理の適用及び金融整理管財人等の派遣、
 
(4)  金融再生委員会の発足など、金融行政機構の見直し、
 
(5)  早期健全化法に基づく、主要15行に対する資本増強、
 
(6)  金融検査マニュアルの検討及びとりまとめ、
 
(7)  金融システム改革法の施行、
 
(8)  海外の金融検査監督当局等との連携強化、
 
(9)  検査・監督・監視体制の拡充

などである。

 

 金融監督庁としては、市場規律と自己責任原則を基軸として、明確なルールに基づく、透明で公正な金融行政の確立に努めてきたところであるが、今後とも、現下の金融問題に適切に対処し、預金者等の保護と信用秩序の維持、内外の金融市場の安定性確保に万全を期していく所存である。

 

 本冊子は、これまで、証券取引等監視委員会が、その活動状況をとりまとめていることも参考に、発足初年における金融監督庁の取り組みをとりまとめたものである(原則として本年6月21日までの活動について記述するが、その後の経緯等についても必要に応じて盛り込んでいる)。これにより、金融検査・監督に対する国民の一層の理解が得られ、金融行政に対する信頼の増進につながれば幸いである。

 

 

平成11年8月10日

 

金融監 督庁長官

 


 

本 編
 
資料編
 

 

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