(3)  投資商品等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等

1.  金融商品の購入に関する相談等

【相談事例等】

  • 金融機関で、株式、債券、投資信託等の金融商品を購入しようとすると、財産の状況を詳しく聞かれたり、長時間の説明を聞かなくてはいけないと聞きましたが、本当ですか。

【アドバイス等】

  • 金融機関は、株式、債券、投資信託等の金融商品を勧誘する場合には、顧客の知識、経験、財産の状況等、顧客の属性を総合的に考慮してそれぞれの顧客に見合った勧誘をする必要があります(適合性の原則)。
    また、取引契約を締結する場合には、あらかじめ顧客の投資判断に必要な情報を記載した書面を交付し、顧客に理解される為に必要な方法・程度による説明をしなければなりません。
  • その過程で、投資経験や財産の状況等を聞かれたり、必要な説明を受けることがありますが、これは、顧客の属性や状況に応じたきめ細かで柔軟な勧誘等が行われる上で、意味のあることと考えられます。
  • しかし、例えば、取引の都度、顧客の財産状況を把握しなければ一切の金融商品を販売しないなどといった金融機関の対応について疑問に思われる場合は、「金融商品取引法の疑問に答えます」を参考にしていただき、それでもなお金融機関の対応に疑義がある場合には、金融サービス利用者相談室にお問い合わせください。

2.  投資信託の購入に関する相談等

【相談事例等】

  • 銀行で投資信託を購入しようと思いますが、注意点があれば教えてください。

【アドバイス等】

  • 投資信託は多種多様な商品がありますが、国内外の株式、債券、不動産などに投資をしていますので、常に価格が変動しています。したがって、預金とは違い、投資した金額より受け取る金額が少なくなる元本割れを発生させるリスクがあることを十分理解してから、購入を検討してください。
    また、預金とは違い、購入時や売却時に手数料が掛かることが一般的です。
    なお、投資信託の中には、元本確保型と言われている商品もありますが、あくまで元本を確保するような運用を志向しているだけで、決して元本保証をしている商品ではありませんので注意が必要です。
  • 投資信託をはじめとする投資商品は、取引によって損失を被ったとしても、投資家自らの判断でその取引を行った限りにおいてはその損失を自ら負担することになりますので、商品の内容を十分理解した上で投資判断をしていただくことが重要と考えられます。

3.  外国為替証拠金取引に関する相談等

【相談事例等(不招請勧誘)】

  • 勧誘の要請をしていないにもかかわらず、電話や訪問により強引に勧誘されました。

【アドバイス等】

  • 外国為替証拠金取引を取扱うには金融商品取引業(旧金融先物取引法上の金融先物取引業)の登録が義務付けられているとともに、業者は顧客の求めがない電話・訪問等により取引の勧誘をしてはならないという規制(いわゆる不招請勧誘の禁止)等があります。(注)
  • 外国為替取引を行う際は、金融庁ウェブサイトの「外国為替証拠金取引について」をご参照ください。

(注) 取引所を介する外国為替証拠金取引については、この規制はありません。

* 登録を受けている業者を確認したい方は、「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」をご覧ください。

【相談事例等(説明不足)】

  • リスクの説明がなく、必ず儲かると言われ取引をしましたが、損失が発生しています。

【アドバイス等】

  • 取引を行う場合は、取引の内容やリスクなどについてよく説明を聞くとともに、自分で理解できるまで十分に確認してください。
  • 外国為替証拠金取引に関する個別の取引に関するトラブルについては、会社とよく話し合った上で、解決が図られない場合は、証券・金融商品あっせん相談センター(略称:FINMAC(フィンマック))(*)に相談してください(ただし、加入第1種金融商品取引業者及び協定事業者並びに特定事業者とのトラブルに限ります。)。

(*) 業界団体の連絡先等については、金融庁ウェブサイトの「リンク集」を参照。

4.  自社発行未公開株に関する相談等

【相談事例等】

  • ある事業会社から、未公開株の勧誘を受けています。当社は発行会社なので金融商品取引法の登録は必要ない、特別な方への限定販売であると言っています。また、当社から勧誘を受けて以後、他の業者から、当社は有望なので株式があれば譲ってほしいとの電話が頻繁にかかるようになりました。信用できるでしょうか。

【アドバイス等】

  • 未公開株の販売は、金融商品取引業者(証券会社)のほか当該未公開株の発行会社でも可能ですが、一般的に、未公開株の発行体自らが、不特定の第三者に対して電話勧誘等を通じて自社株を販売することは考えられません。業として株式の販売を行うことができるのは、金融商品取引業者(証券会社)のみですが、一般的には、これらの金融商品取引業者も業界内の自主規制ルールにより、未公開株の勧誘・販売は行っておりません。
  • また、勧誘を受けた後に、タイミングよく別の業者から買取りの電話が入ることも不自然な印象を受けます。
  • 未公開株は流動性が乏しく、発行会社によっては譲渡制限が付されている場合もあります。したがって未公開株は、上場しない限り換金する方法はほとんどありませんので、非常にリスクの高い投資ということを十分認識してください。また、詐欺的なものが多発していますので、少しでも不審な点が見受けられた場合には、投資を見合わせることをお勧めします。
  • 未公開株に投資をした後に騙されたとお考えになるのであれば、警察に相談してください。また、返金等を求めるのであれば、消費生活センターや各地の弁護士会に相談してください。
  • 金融庁でも「未公開株購入の勧誘にご注意!」等の注意喚起情報をウェブサイトに掲載しています。また、無登録業者の情報を収集していますので、金融サービス利用者相談室に情報提供をお願いいたします。

5.  ファンドに関する相談等

【相談事例等(投資事業有限責任組合への出資)】

  • 投資事業有限責任組合から出資を勧められていますが、迷っています。注意点があれば教えてください。

  • 投資ファンドや未公開株等に投資する投資事業有限責任組合から執拗な勧誘を受けています。当該事業組合は、「金融庁整備番号LP○○○○」で登録していると言っていますが、当局の登録を受けた業者ということでしょうか。

【アドバイス等】

  • いわゆるファンドについて、金商法施行以降自己募集を行う際には、当局への登録が必要となっていますので、まずは登録番号を確認してください。登録番号は「○○財務局長(金商)第・・・・号」という形で付与されています。「LP○○○○」という番号は、EDINET(*)コードであり、登録番号ではありません。
  • 種々の投資に際しては、詐欺事件等に発展している事例も数多くありますので十分に注意し、たとえ登録番号が確認できた場合においても業者の信用性が疑われるような場合には、慎重な対応をお勧めします。
  • なお、「いわゆるファンド形態での販売・勧誘等業務について」を掲載していますので参考にしてください。
  • (*)EDINETとは、有価証券届出書や有価証券報告書等の開示書類について、その提出から公衆縦覧等に至るまでの一連の手続を電子化するシステムで、当該事業組合が有価証券届出書等の届出をしていることは確認できますが、登録とは関係ありません。

6.  金融商品取引業者との取引に関する相談等

【相談事例等(インターネット経由での取引)】

  • 金融商品取引業者とのインターネット経由での取引をするにあたっての注意点を教えてください。

【アドバイス等】

  • 金融商品取引業を営業するために登録を受けている業者かどうかを確認してください。

*登録を受けている業者を確認したい方は、「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」をご覧ください。

  • 業者が定めている「約款」、「利用規程」、「取引規約」等(以下「約款等」という。)でサービスの内容や免責事項等を確認してください。
    約款等には、業者が提供するサービスの内容や手数料、トラブルが生じた場合の責任分担のあり方(業者の免責事項を含む。)等が定められていますので、その内容を理解することが重要です。
  • また、緊急時の連絡先を確認してください。
    ネット経由での取引は、業者やインターネットサービスプロバイダー、通信回線の障害等により、取引画面への接続が遅れ気味になったり、画面上で利用しているサービスが突然中断されてしまう可能性があります。
    したがって、ネット経由での取引を行う場合には、電話での連絡先等、ネットを経由しない形での連絡手段を確認することが重要です。

7.  金融商品取引業の登録に関する相談等

【相談事例等(金融商品取引業の登録)】

  • 取引がある金融商品取引業者の登録を確認するため、金融商品取引業者登録一覧を見ていますが、第一種金融商品取引業の登録を受ければ、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業、投資運用業に該当する業務を無条件で行えると考えていいでしょうか。

【アドバイス等】

  • 金融商品取引法では、金融商品取引業について、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業、投資運用業という類型を設けています。いずれの業であっても、金融商品取引業として一つの登録制で一つの登録手続を受ければ業務が可能ですが、同時に行う業務の区分に応じて段階的な登録拒否要件(法第29条の4第1項)が定められており、金融商品取引業者として登録を受けている者が必ずすべての金融商品取引業を行うことができるものではありません。
  • 例えば、第一種金融商品取引業の登録のみを受けている者にあっては、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業又は投資運用業に該当するような業務を行う場合には変更登録の手続を経る必要があり、その際には、新たに追加される業務の種別に応じた登録拒否要件の該当性が判断されることになります。

8.  投資者保護制度に関する相談等

【相談事例等(投資者保護の仕組)】

  • 金融商品取引業者が破綻した場合、投資者保護の仕組としてどのようなものがあるのでしょうか。

【アドバイス等】

  • 金融商品取引業者は、金融商品取引法第四十三条の二において、自己の固有財産と顧客から預かった資産を分別して管理することが義務付けられています。したがって万が一、金融商品取引業者が破綻した場合であっても、分別管理された顧客資産は返還されることになります。
  • また、金融商品取引業者が破綻した場合、何らかの事故が発生するなどにより金融商品取引業者が顧客から預かった資産を返還できない場合には、投資者保護基金が1人当たり1,000万円を限度に補償することになっています。
  • 投資者保護基金とは、金融商品取引業者が破綻等した際に、一般顧客に対する支払いその他の業務を行うことにより投資者の保護を図り、もって証券取引に対する信頼性を維持することを目的として、金融商品取引法に基づいて設置された法人です。
  • 金融商品取引業者は、金融商品取引法第七十九条の二十七において、金融商品取引業の登録及び変更登録の際に、加入義務が課されています。
  • 補償の対象となる顧客は、金融商品取引法第七十九条の二十第一項で規定されている「一般顧客」が対象となっており、適格機関投資家(銀行等の金融機関等、特別に法令で定められている者)・国・地方公共団体等は除かれています。

9.  社債に関する相談等

【相談事例等】

  • 以前、未公開株を購入した業者から、「社債の購入申込書が届いていないか」執拗に電話があった。申込書が届くと、当該業者から「限られた人のみしか購入できない私募債である」と説明を受け、10口200万円分を購入した。指定された口座に振込みを行った後、連絡が取れなくなってしまいました。

  • ある会社から、突然メール便が届き、転換社債の購入を勧められている。3年満期で年利12%で毎月利払いを受けられるという。その後タイミングよく契約の仲介をしているという別の会社から電話があり、取引所に上場が決定している良い会社である等の説明を受けた。信用できるでしょうか。

【アドバイス等】

  • 自社の社債の販売は、金融商品取引業者のほか当該社債の発行会社でも可能ですが、一般的に発行体自らが不特定の者に対して電話勧誘等を通じて社債を販売することは考えられません。
  • また、勧誘を受けた後に、タイミングよく別の業者から電話が入ることも不自然な印象を受けます。
  • 業として、他社の社債等の販売・勧誘を行うことができるのは、金融商品取引業者に限られます。また、幅広く投資家に「私募債」の販売・勧誘が行われることは考えられません。未公開株詐欺の被害者を狙った二次的被害も多く見られますので、あやしい業者には、絶対関わらないようにして下さい。

*免許・登録を受けている業者を確認したい方は、「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」をご覧ください。

*新たに有価証券を発行する場合、または、既発行の有価証券の売出しをする場合、発行(売出)価額や募集の規模に応じて、有価証券届出書等の提出が必要となる場合があります。

*転換社債の場合、未公開自社株に転換されたとしても換金性が低く、非常にリスクが高いということを十分に認識した上で取引を行っていただく必要があります。
また、詐欺的な事例も多発していますので、少しでも不審な点が見受けられた場合には、投資を見合わせることをお勧めします。

*社債に投資をした後に騙されたとお考えになるのであれば、警察に相談してください。また、返金等を求めるのであれば、消費生活センターや各地の弁護士会に相談して下さい。

10.  高齢者に対する投資勧誘に関する相談等

【相談事例等】

○ 高齢者に対する投資勧誘のルールとして、どのようなものがあるのでしょうか。

【アドバイス等】

複雑な仕組みの投資商品を高齢顧客に販売し、後々、トラブルとなるケースがあります。そこで、金融商品取引業者には、高齢顧客に対し、事前に役席者自らが面談や電話での会話により、健康状態や理解力等を確認し、勧誘の適正性を判断したうえで、慎重な勧誘による販売を行うことがルール化されています。例えば、80歳以上を目安とする高齢顧客については、原則として当日の受注を行わず、翌日以降に受注し、面談(電話)内容は録音や書面によって記録・保存されます。詳しくは、日本証券業協会が定めている自主規制規則及びガイドラインをご参照ください。

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