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.はじめに 昨年秋、ある有力英字紙に、興味深い論稿が2回にわたって掲載されていました。その論稿の筆者には、欧州主要国の現役財務当局者も含まれていました。論稿の内容は、「G2」構想ともいえるものを提唱するものでした。「G2」であるEU(欧州連合)と米国が、世界経済の運営について責任を持ち、主導権(リーダーシップ)を発揮するため、対話を促進することが重要であると指摘されていました。特に注目されるのは、金融市場の規制の収斂(convergence)が挙げられ、グローバルな会計基準や米国企業会計改革法(サーベーンズ=オクスリー法)が課題として取り上げられていることです。 本稿では、最近の国際証券市場を巡る動きを説明することにより、このような議論が行われる国際的な背景を探るとともに、今後どのような対応が日本にとって必要かを考えてみたいと思います。なお、文中意見にわたる部分は、筆者の個人的見解です。 |
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.グローバルな証券市場とローカルな法規制のバランスの変化 |
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.日本の戦略的国際対応〜国際的対話の促進 |
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.はじめに 平成16年3月5日に国会に提出された「証券取引法等の一部を改正する法律」が、6月2日に成立しました。 以下、その概要について説明します。 |
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.改正の概要 |
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改正法をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「国会提出法案」から「第159回国会における金融庁関連法案」に入り、「証券取引法等の一部を改正する法律」(平成16年3月5日提出、平成16年6月2日成立)にアクセスしてください。 |
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.法律制定の経緯 1989年のG30の勧告(注1)を契機に、証券決済(証券の受渡し)の重要性が国際的に認識されるようになり、各国で決済リスク(証券と資金の受渡しが実行されないために損失を被るリスク)の削減に向けた取組みが進みました。わが国でも、証券取引のグローバル化の下で証券市場の国際競争力を左右する基盤である証券決済システムをより安全で効率性の高いものに改革していくことが喫緊の課題であるとの認識から、証券決済システム改革に官民一体で取り組んでいます。 金融庁では、法務省や財務省などの関係省庁とともに、決済リスクを削減するための法制度(注2)の整備に取り組んでおり、平成13年の「短期社債等の振替に関する法律」によりCPについて、平成14年の「社債等の振替に関する法律」により社債や国債等について、統一的な振替制度を整備しました。(注3) 株式については、議決権等の共益権の行使のあり方などについて理論と実務の両面からなお検討が必要と考えられていたことから、上記の統一的な振替制度の対象外とされていましたが、今般、法制審議会における検討を経て制度設計について結論が得られたことから、株式等を統一的な振替制度の対象に加える等の法改正を行う株式等決済合理化法案(法務省・財務省と共管)を策定し、第159回通常国会に提出しました。同法案は、国会での審議を経て、本年6月2日に可決、成立しています。 |
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.法律の概要 |
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.今後の予定 株式の新しい振替システムは、今後、実務関係者を中心にシステム設計等について実務的な検討が行われた後、遅くとも5年後までには稼働することとなります。 金融庁では、株式等決済合理化法の関係政省令の制定など、引き続き精力的に証券決済システム改革に取り組んでいきますが、今回、株式等が統一的な振替制度の対象に加わったことにより、法律レベルでは法制度の整備が完了したと考えています。 |
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(文中意見にわたる部分は筆者の個人的見解である) |
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改正法をご覧になりたい方は、金融庁ホームページの「国会提出法案」から「第159回国会における金融庁関連法案」に入り、「株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律」(平成16年3月5日提出、平成16年6月2日成立)にアクセスしてください。 |