アクセスFSA 第28号 (2005年3月)
偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループにおいて挨拶する伊藤大臣(2月22日) 年度末金融の円滑化に関する意見交換会を開催(2月28日)
偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループにおいて挨拶する伊藤大臣(2月22日) 年度末金融の円滑化に関する意見交換会を開催(2月28日)

目 次
【トピックス】
 ○  偽造キャッシュカードに関する金融庁の対応について
 ○  第三分野の責任準備金積立ルール・事後検証等に関する検討チームについて
 ○  年度末金融の円滑化に関する意見交換会の開催について
【特集:「金融分野における個人情報保護」について】
【ピックアップ:中小企業金融】
 ○  リレーションシップバンキングのあり方に関するワーキンググループ地方懇談会の開催について(福岡・大阪)
【集中連載】
 ○  いよいよペイオフ解禁拡大!(第5回:ペイオフ本格実施総集編)
【集中連載】
 ○  金融改革プログラム −金融サービス立国への挑戦−(第3回:地域経済への貢献)
【金融ここが聞きたい!】
【お知らせ】
 ○  新たなビジネスをお考えの方へ 〜ノーアクションレター制度を御存知ですか?〜
【2月の主な報道発表等】


【トピックス】
 
偽造キャッシュカードに関する金融庁の対応について

 金融庁は、先般(2月22日)、偽造キャッシュカード問題に関し、実態調査結果の公表、金融関係団体へ今後の犯罪防止策や犯罪発生後の対応などについて要請、「偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループ」の立ち上げを行いました。

I

.偽造キャッシュカード問題に関する実態調査
 全国銀行協会等が会員に対して実施している偽造キャッシュカード被害に関するアンケートによれば、平成16年9月以前に全231件(銀行218件、信用金庫等13件)の被害が発生しているところです。
 金融庁は、これら被害の個々の状況について、各金融機関から任意報告を求め、208件(銀行199件、信用金庫等9件)の回答を得ました。
 その後、当該報告内容を精査するとともに、追加的なヒアリングを行い、実態の把握・分析に努めてきたところですが、その調査結果について取りまとめ、公表を行いました。
 調査結果の主な内容としては、
 
 (1)  被害の地理的な特徴(被害にあった口座は関東に集中(全体の9割))
 (2)  不正引出しの状況
 
 引出し回数の4分の1は深夜(23〜2時)のコンビニATMに集中。他方、引出し金額の3割は午前8〜10時の銀行ATMに集中
 全体の9割以上が3日以内に引出し。他方、3日以内に被害に気づいているのは全体の4分の1。
 (3)  補償の状況(一部補償も含めれば、全体の約1割で金融機関から顧客に対する補償を実施)
 (4)  暗証番号の状況(暗証番号が判明しているもののうち、6割が生年月日及び生年月日から類推可能な番号を使用)
などが挙げられます。
 今後、当分の間、4半期ごとに実態調査を継続し、公表する予定です。

II

.偽造キャッシュカード問題に関する金融関係団体への要請
 また、金融庁は、偽造キャッシュカード問題に関する実態調査の結果等を踏まえ、金融関係団体(注1)に対して、今後の犯罪防止策や犯罪発生後の対応などについて、要請を行いました。
 具体的には、
 
 (1)  被害の発生を防止する観点からは、
 
(ア )ICキャッシュカードや生体認証による本人確認の導入等、偽造防止や犯罪防止に向けた効果的な取組みの検討
(イ )類推しやすい暗証番号の使用防止等
 (2)  被害を極小化する観点からは、
 
(ア )一日あたりのATM引出し限度額の一律引下げや引出し限度額を個別に変更する仕組みの導入
(イ )異常な引出しを早期に顧客に通知するための仕組みの導入
 (3)  被害発生後の対応の観点からは、
 
(ア )被害者に対する丁寧かつ真摯な対応
(イ )警察当局との協力(情報提供・防犯ビデオ等)
(ウ )被害者への補償のあり方についての真剣な検討
などです。
 
(注1 )全国銀行協会、全国地方銀行協会、第二地方銀行協会、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会、全国労働金庫協会、農林中央金庫

III

.「偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループ」の立ち上げ
 更に、監督局内に「偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループ」(座長:岩原紳作東京大学教授)を設置し、
 
 (1)  犯罪防止策(ミニマム・スタンダードの設定、ベスト・プラクティスの提示)
 (2)  犯罪発生後の対応のあり方(顧客対応、警察への情報提供)
 (3)  被害が発生した場合の預金者への補償のあり方
について検討することとしました。
 今後、同スタディグループの検討結果に基づき、更なる対策を講じていく予定です。


 偽造キャッシュカードに関する金融庁の対応について、詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表など」から「偽造キャッシュカードに関する金融庁の対応について」(平成17年2月22日)にアクセスしてください。

第三分野の責任準備金積立ルール・事後検証等に関する検討チームについて

 少子高齢化社会が進行するなかで、これまで定期保険や終身保険などの死亡保障保険中心であった保険契約者のニーズが、医療保険や介護保険といった生存保障保険(第三分野の保険)へ変化していることを踏まえ、この分野の保険に対して、適切なリスク管理の下で適切に保険金等が支払われるよう、責任準備金の積立ルールや事後検証ルール等を整備することにより、保険会社における財務の健全性の確保を図っていく必要があると考えています。
 このため、本件は、生損保両分野に共通の問題であること、また、医療・介護や保険数理等の専門的かつ技術的な分野と深く関わりを持つことから、アクチュアリー、公認会計士、有識者、生損保業界の実務者等のメンバー(※)からなる検討チームにおいて、検討していくこととしました。
 去る2月24日に第1回検討会を開催しましたが、今後、月2回程度のペースで検討会を開催して、平成17年6月を目途に、第三分野に係る財務関連ルールのあり方に関する報告書を取りまとめる予定です。それを基に、できる限り早期に法令等の整備を進めて、平成18年度から新たなルールを適用することを目指しています。
 なお、今回の対応は、金融改革プログラムにおける「保険会社のリスク管理の高度化」における「新しい保険商品に係る責任準備金積立ルールや事後検証の枠組み等、財務関連ルールの整備」に基づくものです。

(注

)第三分野の保険とは、傷害保険や医療保険、介護保険など、第一分野の保険(人の生存又は死亡に関して保険金を支払う保険で、定期保険や変額年金保険など)又は第二分野の保険(偶然の事故により生ずる損害をてん補するため保険金を支払う保険で、自動車保険、火災保険など)のいずれにも属さない保険のことを言います。


 検討チームのメンバーの詳細については、金融庁ホームページの「報道発表など」から「第三分野の責任準備金積立ルール・事後検証等に関する検討チームについて」(平成17年2月24日)にアクセスしてください。

年度末金融の円滑化に関する意見交換会の開催について

 去る2月28日(月)に、金融機関代表者、関係省庁等を集め、「年度末金融の円滑化に関する意見交換会」を開催しました。
 本会合では、年度末の資金需要期を迎えることを踏まえ、伊藤金融担当大臣から金融機関代表者に対して、健全な中小企業に対する資金供給の円滑化には格別の配慮をするよう要請するとともに中小企業金融の実態認識について意見交換を行いました。
 その際、伊藤金融担当大臣から金融機関代表者に対して、融資取引に際して顧客に対して十分に説明を行うことや担保・保証に過度に依存しない融資について積極的に取組むことなどについて要請しました。

<意見交換会参加機関等>
 全国銀行協会、社団法人 全国地方銀行協会、社団法人 信託協会、社団法人 第二地方銀行協会、社団法人 全国信用金庫協会、社団法人 全国信用組合中央協会、社団法人 全国労働金庫協会、農林中央金庫、日本政策投資銀行、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、商工組合中央金庫、社団法人 全国信用保証協会連合会

 


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