【金融ここが聞きたい!】


 このコーナーは、記者会見における質疑・応答(Q&A)などの中から、金融を巡る時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。もっと沢山ご覧になりたい方は、是非、金融庁ホームページの「記者会見概要」のコーナーにアクセスしてください。
 
Q:いわゆる不良債権処理が最大の課題であった「金融再生プログラム」が終わりました。地域金融機関も含めた大臣の現状認識についてお聞かせください。


:不良債権問題を正常化していくために主要行、中小地域金融機関において様々な取組が行われてきました。こうした取組を通じリスク管理態勢や資産査定の信頼性は全体として大幅に改善されてきている状況にあり、それを反映する形で我が国金融機関は全体として不良債権比率の低下や自己資本比率の改善が見られます。
 ペイオフ解禁の実施後は、利用者の目ですとか、市場規律の下で金融機関が自己責任に基づき経営を行いながら自らの財務の健全性の確保を図ることが重要と考えています。こうしたプロセスを通じて我が国金融システム全体の持続的な安定の確保を目指していくものと考えています。

 
Q:本日(4/1)ペイオフが解禁されました。この2、3年、主要行の大口の不良債権問題など、対応を誤っていれば今日この日はなかったのではないかと思いますが、改めて、今日ペイオフ解禁を迎えられたことについて所感をお願いします。


:日本経済を再生するために不良債権問題の解決は極めて重要な課題でした。構造改革の一環としても、ある意味最大の関門として位置付けられていた問題でもあります。ペイオフ解禁拡大を円滑に実施することは、私にとっても大きな課題でしたので、ペイオフ解禁拡大に向けた諸準備を進めてきて、本日この日が迎えられることは、ある意味金融を巡るフェーズが大きく転換していくと思います。
 また副大臣として「金融再生プログラム」を策定し、それを着実に実施し、一つ一つの問題を解決しながら内外の我が国金融システムに対する信頼を回復していくために、金融機関の皆様方にもご努力をいただきました。私共としても努力をしながら金融再生に向けて取り組んできたところです。
 ここでもう一度心しておかなければいけないのは、金融行政の一番大きな目的は、金融機能や金融資本市場の可能性、こうしたものを利用者の方々が十分活用できるような環境を整備し、同時に利用者の方々が安心して信頼感を持って金融機能や市場を活用できるような環境を作り上げていくことでありますので、その前提として金融システムを安定化させなければいけないわけです。今後は金融システムの安定性を維持していくだけでなく、金融システムそのものを活力あるものにしていく。利用者の満足度が高くて、国際的にも高い評価が得られ、そして地域経済にも貢献できる金融システムを民の力によって実現できるように「金融改革プログラム」の諸施策を着実に実施していく必要があると思っています。
 またペイオフ解禁拡大は、金融機関が預金者の選択と信頼を競い合う新たな時代を迎えたことを意味しますので、今後は健全な競争の下で、預金者の目と市場の規律の下で金融システムの安定性の維持が図られ、そして我が国金融システムが発展していくことを期待しています。
平成17年4月1日(金) 閣議後会見 抜粋)

 
Q:偽造キャッシュカード問題スタディグループにおいて、盗難カードについて今後新たに検討することについて、敢えてこの段階でテーマとして取り上げること、それからその論点についてどのようにお考えでしょうか。


:スタディグループでは3月31日に補償のあり方を中心の中間の取りまとめが公表されました。その中において、盗難キャッシュカードについても更なる検討が必要ではないかという御指摘がありました。そして国会や与党においてもこの問題について議論がされていますし、また世論の動向も踏まえ、スタディグループにおいて専門家の皆様方に精力的に議論をしていただきたいと考えています。
 論点等につきましては、スタディグループの中で様々な観点から議論をしていただくことになると思いますので、私からコメントは差し控えたいと思います。スタディグループの議論・検討を踏まえて、私共としてこの問題の対応について検討を進めていきたいと思っています。

 
Q:被害者からは、盗難通帳についても補償を考えられないのかとの主張が出ていますが、盗難通帳も含めて検討するのでしょうか。


:盗難通帳を用いた窓口での不正取引はシステムの問題ではなく、対面での本人確認に基づく相対の取引であり、ATMという機械を利用した不正取引とは対応が異なります。そして盗難通帳の問題は、印鑑と通帳による本人確認という預金取引の基本に関わる問題であります。こうしたことから窓口での本人確認手続などの実務への影響、預金者保護や或いは利用者利便の観点も含めて、偽造及び盗難キャッシュカードの問題とは異なる幅広い観点から慎重な検討が必要ではないかと考えています。
 金融庁としては、全国銀行協会に対して、本人確認法による厳正かつ適切な対応を要請していたところです。また全国銀行協会でも、要請を踏まえて、盗難通帳による不正な払い出しによる被害の防止について、副印鑑制度の廃止を含めた印影偽造への取組、そして盗難時の連絡に関わる利用者への注意喚起といった方策を講じていると承知しておりますので、今後この盗難通帳の被害の実態を注視していきたいと思っています。
平成17年4月15日(金) 閣議後会見 抜粋)

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