「行政処分事例集」について

 金融機関の法令違反等に対して発出した業務改善命令等の不利益処分については、これまでも金融庁や財務局等のホームページにおいて個々に公表していたところですが、必ずしも一覧性があり、検索が可能なものとはなっていませんでした。
 過去において発出した法令違反等に対する不利益処分の公表は、他の金融機関等における予測可能性を高め、同様の事案の発生を抑制する観点や、行政の透明性を確保する観点から極めて重要と考えており、今回、平成14年度から16年度までに金融庁及び財務局等が発出・公表した業務改善命令等の不利益処分に関する事例を「行政処分事例集」として取りまとめ、一覧性があり、かつ検索が容易な形で公表することとしました。今後、定期的(半年毎)に更新していく予定です。


 「行政処分事例集」の公表については、詳しくは金融庁ホームページの「所管金融機関の状況(状況の一覧へ)」から「行政処分事例集」にアクセスしてください。


 「行政処分事例集」の便利な使い方
 Excelファイルのオートフィルタ機能を使って、条件を指定することで、ご覧になりたい処分の事例を簡単に探し出すことが出来ます。さらに抽出機能を使用すれば、例えば、以下のような検索も可能です。
 ○  「銀行法を含む法律に基づく処分を行った事例」の抽出
 ○  「業務停止を含む処分を行った事例」の抽出
 ○  「本人確認関係が主たる契機となって処分を行った事例」の抽出

 詳しくは上記の「行政処分事例集」から「「行政処分事例集」の便利な使い方」にアクセスしてください。

「第三分野の責任準備金積立ルール・事後検証等」について


 金融庁が昨年12月に公表した「金融改革プログラム」において、医療や介護といったいわゆる第三分野の保険商品について、適切なリスク管理の下で適時適切な保険金等が支払われるよう責任準備金の積立ルールや事後検証ルール等を整備することが、取り組むべき項目の一つとして掲げられております。
 これを受け、当庁では、本年2月より「第三分野の責任準備金積立ルール・事後検証等に関する検討チーム」において検討を重ね、6月28日に「第三分野の責任準備金積立ルール・事後検証等について」を取りまとめ、公表しました。主な取りまとめ内容としては、次のとおりとなっています。


PDF主な取りまとめ内容


 今後は、この取りまとめ内容をよく精査した上、平成18年度からの適用に向けて、できる限り早期に法令等を整備する予定です。



 取りまとめ内容の詳細は、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「「第三分野の責任準備金積立ルール・事後検証等について」の公表について」(平成17年7月6日)にアクセスしてください。



 取りまとめを行った経緯等については、アクセスFSA第28号(2005年3月)の「第三分野の責任準備金積立ルール・事後検証等に関する検討チームについて」を参照してください。


「中間論点整理〜保険商品の販売・勧誘時における情報提供のあり方〜」について

 金融庁において開催している「保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム」(座長 野村 修也 中央大学法科大学院教授)は、先般(7月8日)、「中間論点整理〜保険商品の販売・勧誘時における情報提供のあり方〜」を取りまとめ、公表しました。


.検討の経緯

 保険分野においては、販売勧誘に関する苦情が依然として多いこと、保険商品の多様化・複雑化により消費者に商品内容が理解しづらいものとなっていること等を踏まえ、「金融改革プログラム」において、利用者保護及び利用者利便の向上の観点から、「保険等の販売・広告等における顧客説明等のあり方」について検討することとしました。
 上記課題について専門的・実務的に検討するため、本年4月から有識者・サービス利用者等をメンバーとする「保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム」を開催し、明瞭かつ丁寧に説明されるべき重要事項及び顧客への説明態様をさらに整理・明確化することを中心に検討を進めてきたところですが、今般、以下のとおり中間論点整理として取りまとめを行いました。
 なお、本検討チームの検討項目は、(1) 明瞭かつ丁寧に説明されるべき重要事項及び顧客への説明態様をさらに整理・明確化すること、(2) 保険契約における適合性原則の遵守、(3) 公正な競争を促す適正な比較広告の容認の3項目で、今般の中間論点整理は(1)に対応するものであり、今後引き続き、(2)適合性原則、(3)比較広告の容認、の順に検討を進めていく予定となっています。


.中間論点整理の概要
 

(1)

 特に説明すべき重要事項

 保険商品の販売・勧誘時の説明について、以下の指摘がなされました。
 
 保険商品の多様化・複雑化や説明すべき事項の増加等の理由から、消費者に提供される情報量が過大になっていることにより、かえって消費者の理解が妨げられている。
 各社が提供する情報がまちまちとなっていることにより、消費者の保険商品に対する理解に濃淡が生じるおそれがあるとともに、消費者が複数の会社の商品を比較考量することを困難にしている。

 上記指摘を改善するために、以下の施策を行うことが有効との考え方が示されています。
 一般的な消費者であれば理解しようとする意欲を失わない程度の情報量に限定した重要事項を定める。
 商品分野ごとに最低限の重要事項を明確化する。

 そして、重要事項を明確化するために、以下の分類に情報を整理し、顧客に提供すべきであるとの考え方が示されています。
 「契約概要」 顧客が保険商品の内容を理解するために必要な情報
 「注意喚起情報」 保険会社が顧客に対して注意喚起すべき情報

 この「契約概要」、「注意喚起情報」について、以下の考え方が示されています。
 「契約概要」・「注意喚起情報」の内容については、法令等において枠組みを定め、商品分野ごとの細目については業界において自主ガイドラインを定めるべき。
 保障性商品を例にとると、例えば、以下のような枠組みが考えられる。

【「契約概要」の枠組み(案)】 【「注意喚起情報」の枠組み(案)】

.商品の仕組み

.保険期間

.担保内容(主な支払事由、主な免責事由等)

 

(注

)通例でない免責事由がある場合には、その旨特記すべき

.引き受け条件(保険金額等)

.付加できる主な特約及びその概要

.保険料(選択できる特約があれば個別表示)

.保険料払込方法、保険料払込期間

.クーリングオフ

.告知義務(違反)

.責任開始期

.主な免責事由

 

(注

)通例でない免責事由がある場合には、その旨特記すべき

.保険料の払込猶予期間、契約の失効、復活等

.解約と解約返戻金

.セーフティーネット

.特に法令等で注意喚起することとされている事項(契約転換制度、金融商品販売法で求められる説明等)

 具体的な情報量については、実効性の観点から、「契約概要」・「注意喚起情報」併せて一定量に収めることが必要(例えば、A3両面程度までに収めることが望ましいという意見があった)。
 「契約概要」・「注意喚起情報」を記載した書面には、保険会社の苦情相談窓口の連絡先と業界の苦情相談窓口に苦情を申し立てることができることを記載することが必要。

(2)

 情報提供時期
 情報提供時期については、以下の考え方が示されています。
 
 「契約概要」を記載した書面については、契約締結前の「十分な時間の余裕をもって」交付することが望ましい。
 「注意喚起情報」については「契約概要」と同一の書面に記載し、「十分な時間の余裕をもって」交付することが望ましい。但し、契約加入の意思を固めた後の方が注意喚起そのものの効果が高まるとの指摘もあることから、「契約概要」と「注意喚起情報」をそれぞれ別の書面に記載した場合は、「注意喚起情報」を記載した書面は、申込時に交付でも足りる。

(3)

 記載方法
 記載方法については、以下の考え方が示されています。
 
 消費者にわかりやすく記載する。そのためには以下のような方法が有効。
 
読みやすさ、メリハリ(文字の大きさ、記載事項の配列等)
専門用語の見直し、用語の統一
消費者の関心を引く表現・表記(Q&A方式など)
グラフや図表の利用
書面の分離等
 記載方法については、消費者からの苦情相談等を定期的に分析し、書面の記載に反映させるなど、消費者の意見をフィードバックすることが必要。

(4)

 説明方法
 説明方法については、以下の考え方が示されています。
 
 以下の事項については、口頭により説明することが必要。
 
「契約概要」及び「注意喚起情報」を記載した書面を読むことの重要性
同書面のうち、主な免責事由など顧客にとって特に不利益な情報が記載された部分を読むことの重要性
 特に乗換え・転換については、「乗換え・転換等は契約者に不利益になるおそれがある」旨、口頭により説明することが必要。

(5)

 募集形態に応じた説明方法等
 非対面販売(電話・郵便・インターネット等)においても、基本的には、対面販売で定めた内容と同程度の説明を確保することが必要との考え方が示されています。

(6)

 募集人の監督・教育
 募集人が情報提供を行うことが大半なため、募集人の監督・教育をより一層充実することが重要との指摘がなされています。

(7)

 ルールの実効性の確保(エンフォースメント)
 
 当面の方策としては、以下の取組みが考えられるとの指摘がなされています。
 
行政による監督
保険会社の取組み(社内体制の整備、苦情相談窓口の充実、募集時の説明を意識した商品開発の徹底)
業界における苦情・紛争処理支援機能体制の一層の整備・充実
苦情件数等の公表
 中期的な課題として、業界の自主規制機関化、裁判外の紛争処理制度の充実等が指摘されています。

(8)

 正しい告知を受けるための説明のあり方
 生命保険協会が策定した「正しい告知を受けるための対応に関するガイドライン」を踏まえ、保険会社は保険契約者等から正しい告知を受けるための対応を十分に行うことが必要との考え方が示されています。

(9)

 消費者への啓発活動
 業界共通のものとして、消費者が保険商品を購入するにあたって留意すべき事項をわかりやすくまとめたもの(購入者手引(バイヤーズガイド))を生命保険文化センター等が作成し、各保険会社、業界団体、金融庁のホームページなどに掲載することが適当との考え方が示されています。また、消費者教育として、義務教育の段階からの保険商品等に関する金融教育に一層取り組んでいくことが望ましいとの指摘がなされています。


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「中間論点整理〜保険商品の販売・勧誘時における情報提供のあり方〜」(平成17年7月8日)にアクセスしてください。

「平成17年度検査事務年度検査基本方針及び検査基本計画」について

 金融庁では、先般(7月8日)、「平成17検査事務年度検査基本方針及び検査基本計画」を公表し、平成17検査事務年度における検査の実施方針や実施予定数を明らかにしました。検査基本方針及び検査基本計画の概要は、以下のとおりです。
(注)平成17検査事務年度:平成17年7月〜平成18年6月

 当庁においては、主要行の不良債権問題の正常化を図るとの「PDF金融再生プログラム」の目標達成を受け、「金融改革プログラム」の下、「民」の活力を中心にして、利用者満足度を高め、国際的にも高い評価が得られるような金融システムの実現を目指しています。
 そのなかで、検査に関しては、利用者及び国民経済の立場に立ち、その透明性、効率性、実効性の確保等を図りつつ、金融機関の自主的かつ持続的な経営改善に向けた取組みを促進するため、本検査事務年度より「金融検査に関する基本指針」に基づき検査を実施するとともに、預金等受入金融機関に対して「金融検査評定制度」を導入することとしています。
 こうした新たな取組みの下、現下の金融機関を取り巻く情勢に留意し、金融機関の業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下の4点を検査重点事項として掲げ、検査を実施することとしています。


 利用者保護への対応
 金融商品・サービスの利用者保護の観点から、金融機関の顧客保護等管理態勢、特に個人情報の保護、説明責任及び契約の適切な履行、苦情等処理態勢等を検証します。また、情報開示や金融取引の安全確保への取組みについて検証します。


 中小企業の事業再生や地域の再生・活性化への対応
 中小企業の事業再生や地域の再生・活性化に資するため、地域金融機関における中小企業の事業再生に向けた取組みの検証とともに、中小企業の経営実態等に即した検査を推進します。


 プロセス・チェックに重点を置いた法令等遵守態勢及びリスク管理態勢の広範な検証
 近年、貸出資産の健全性を重視した検査を実施してきましたが、主要行の不良債権問題の正常化等を踏まえ、個々の金融機関の実態に即して、法令等遵守態勢及びリスク管理態勢についてプロセス・チェックに重点を置いて幅広く検証します。


 金融の国際化・構造変化への対応
 金融の国際化・構造変化に対応し、金融コングロマリット監督指針を踏まえた検査を行うほか、金融機関のマネー・ローンダリングへの取り組み等について検証します。

 また、本年度の検査基本計画では、預金等受入金融機関320機関、保険会社15社、証券会社等10社、貸金業者等その他の金融機関365社のほか、政策金融機関・日本郵政公社5機関の検査を予定しております。

 「平成17検査事務年度検査基本方針及び検査基本計画」について、詳しくは金融庁ホームページの「報道発表資料」から、「平成17検査事務年度検査基本方針及び検査基本計画」の公表について」(平成17年7月8日)にアクセスしてください。

「企業会計審議会内部統制部会の公開草案」について

 平成17年7月13日に、企業会計審議会内部統制部会から、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(公開草案)」が公表されました。

 本基準(公開草案)が作成され、公表された経緯は以下のとおりです。

 昨年来から証券取引法上のディスクロージャーをめぐり不適正な事例が相次いで判明しました。これらの事例においては、企業における内部統制が有効に機能していなかったのではないかといったことが伺われたことから、昨年12月に金融庁が取りまとめ公表した「ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応(第二弾)について」において、財務報告に係る内部統制の充実を図るとの観点から、財務報告に係る内部統制の有効性に関する経営者による評価の基準及び公認会計士等による検証の基準の明確化を企業会計審議会に要請しました。これを受け、企業会計審議会内部統制部会では、本年2月以降、11回に亘り、審議が行われました。

 公開草案では、財務報告に係る内部統制の有効性について経営者による評価及び報告並びに公認会計等による検証を実施する際の方法及び手続が規定されているほか、経営者の評価及び公認会計士等の監査を求めることが過度の負担になるのではないかとの議論を踏まえ、財務報告の信頼性の確保という前提は維持しながら、先行して制度が導入された米国における運用の状況等を検証し、評価及び監査のコスト負担が過大とならないための方策が盛り込まれています。

 今後、8月31日まで広く一般から意見を募集し、これを踏まえて最終的な基準の取りまとめに向け、同部会で審議が行われる予定です。

「企業会計審議会監査部会の公開草案」について

 平成17年7月20日に、企業会計審議会監査部会から、「監査基準及び中間監査基準の改訂並びに監査に関する品質管理基準の設定について(公開草案)」が公表され、8月22日まで広く一般から意見を募集したところです。

 本基準(公開草案)が作成され、公表された経緯は以下のとおりです。

 公認会計士監査をめぐっても監査法人の審査体制など監査の品質管理に関連する非違事例が発生したことから、昨年12月に金融庁が取りまとめ公表した「ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応(第二弾)について」において、監査基準の見直しなど所要の検討を企業会計審議会に要請しました。

 これを受け、企業会計審議会監査部会では、本年3月以降、10回に亘り、審議が行われました。

 公開草案では、監査法人等における監査の品質管理の向上の観点から、監査事務所が、監査業務の受任から、監査計画の策定、監査業務の実施及び監査報告書の発行に至るまでの各段階における品質管理システムを適切に整備・運用し、監査事務所自身が日常的な監視や定期的な検証を行うこと等を求めています。

 今後、寄せられた意見を踏まえて最終的な基準の取りまとめに向け、同部会で審議が行われる予定です。

「金融機関における個人情報管理態勢に係る一斉点検の結果等」について

 金融は、国民から高いレベルでの個人情報の保護が求められている分野であることを踏まえ、本年4月の個人情報保護法等の施行に合わせ、預金取扱金融機関、証券、保険の各業態の金融機関等に対し、個人情報管理態勢に係る一斉点検を実施するとともに、その結果を6月末までに当局に報告するよう、文書にて要請を行いました。

 これに基づき、各金融機関において、本年4月1日時点で管理している個人顧客情報について漏洩等が生じていないかの点検・監査を行った結果、多くの金融機関において紛失等の事実が判明し、それらを取りまとめた結果を7月22日に公表しました。

 今回、要請を行った1,069の金融機関のうち、紛失等が発覚した金融機関の数は287機関(26.8%)となっています。個人情報の先数でみると、合計で約678万先について紛失等が発生していますが、そのうち、不正利用などに繋がり、顧客に被害が発生した、又はその可能性が高いと報告されたものはありませんでした。

 金融機関の対応としては、紛失等が発覚した287の金融機関全てにおいて、問い合わせ窓口の設置などの顧客対応、あるいは役職員への指導・啓発や業務フローの見直しなど、再発防止のための内部態勢の整備等が講じられている、又は講じられる予定となっています。

 今般の一斉点検の結果は、基本的には個人情報保護法等が施行される4月1日以前に発生した事案とはいえ、このように、多くの金融機関において紛失等の事実が判明したことは大変遺憾です。個人情報保護法等の施行後においては、金融機関における顧客情報の適切な管理は、個人情報の保護及び金融機関に対する利用者の信認の確保等の観点から一層重要であると考えており、各金融機関におかれては、引き続き、顧客情報の適切な管理に努めていただきたいと考えています。


 金融機関における個人情報管理態勢に係る一斉点検の結果等について、詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「金融機関における個人情報管理態勢に係る一斉点検の結果等について」(平成17年7月22日)にアクセスしてください。

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