英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

平成17年7月8日
金融庁

「平成17検査事務年度検査基本方針及び検査基本計画」の公表について

本日、標記について各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛て通知しましたので公表します。

問い合わせ先

TEL 03-3506-6000
金融庁検査局総務課 木村(内線2514)、松島(内線2515)


平成17年7月8日
金融庁

平成17検査事務年度検査基本方針及び検査基本計画

I  検査基本方針

金融庁においては、主要行の不良債権問題の正常化を図るとの「金融再生プログラム」の目標達成を受け、「金融改革プログラム」の下、「民」の活力を中心にして、利用者満足度を高め、国際的にも高い評価が得られるような金融システムの実現を目指している。

その中で、検査に関しては、利用者及び国民経済の立場に立ち、その透明性、効率性、実効性の確保等を図りつつ、金融機関の自主的かつ持続的な経営改善に向けた取組みを促進するため、「金融検査に関する基本指針」を策定し、預金等受入金融機関に対して「金融検査評定制度」を導入する。

平成17検査事務年度においては、「金融検査に関する基本指針」及び「金融検査評定制度」の下、利用者保護、中小企業の事業再生や地域の再生・活性化及び金融の国際化・構造変化などの現下の金融機関を取り巻く情勢に留意し、金融機関の業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下の基本方針に基づき、厳正で実効性ある検査の実施に努めることとする。

1 金融検査に関する基本指針と金融検査評定制度

  • (1)金融検査に関する基本指針

    今般策定した「金融検査に関する基本指針」に定める検査の基本的な考え方、実施手続に基づき、検査を行う。

    その際、金融機関自身の経営改善に向けた取組みを促進することに配慮し、法令等遵守態勢及びリスク管理態勢に係るプロセス・チェックを充実させる観点から、金融機関との「双方向の議論」を重視して検査を行う。

    また、経営改善に向けた取組みの促進とともに検査の効率化を図るため、内部監査の有効性に応じたメリハリのある検査を行う。

    本基本指針の施行に当たっては、検査の現場で基本指針に則った検査が行われるよう、検査官に対して十分な周知徹底を図る。

  • (2)金融検査評定制度

    預金等受入金融機関に対しては、金融検査の結果について段階評価を示すことで、金融機関自身の経営改善に向けての動機付けとするとともに、金融機関と検査官の双方向の議論を充実させ、また、検査の濃淡等、その後の選択的行政対応に結び付けることで動機付けの意味合いを高め、より効率的かつ実効的な検査を行うために、「金融検査評定制度」を導入する。

    本検査事務年度においては、評定制度の周知徹底等の態勢整備とともに、平成18年1月より試行を行い、平成18検査事務年度以降速やかに施行する。試行期間中においては、評定結果を選択的行政対応に係る判断材料とはしないものの、金融機関に通知する。

    評定制度については、準備及び試行を経て適切に実施されるよう、検査官に対して目線の統一等の観点から研修を十分に行うとともに、金融機関に対して説明会の開催等により周知に努める。

  • (3)検査の透明性、予測可能性、効率性及び実効性の向上のための取組み

    上記(1)、(2)のほか、検査の透明性、予測可能性を高め、また、効率性、実効性の向上を図るために、次の措置を講じる。

    • 検査の透明性、予測可能性を確保するとともに、金融機関自らの内部管理等の強化に資するため、検査結果について指摘事例集を公表する等により、金融機関へのフィードバックを行う。

    • 基本指針の適切な運用の確保及び検査マニュアルの機械的・画一的な運用の防止等の観点から、今般導入したアンケート方式のオフサイト検査モニターを含め、検査モニターを適切に実施し、被検査金融機関から意見を聴取する。

    • 意見申出制度について、中立性、公平性に加え、検査に対する更なる信頼性の向上を図る観点から、意見申出審理会に外部の有識者を登用するほか、意見申出制度の対象とする範囲を拡大し、すべての検査を対象とするなどの運用の改善を実施する。

    • 検査の効率化を図るため、評定制度の導入、金融機関の内部監査機能の活用のほか、資料提出における電子媒体の活用等を図ることとする。

      また、個々の金融機関のリスク特性等に応じて、特定のリスクに焦点を当てた検査を行うなど重点的かつ機動的な検査を実施する。

    • 検査の実効性の向上を図るため、検査・監督当局の連携を一層強化する。また、検査局と財務局との連携を充実させ、共同での検査を拡充する。さらに、ITを活用した研修の一層の充実等を通じて、目線の統一及び検査の質の向上を図る。

2 検査重点事項

  • (1)利用者保護への対応

    金融商品・サービスの利用者保護の観点から、金融機関の顧客保護等管理態勢、特に個人情報の保護、説明責任及び契約の適切な履行、苦情等処理態勢等を検証する。また、情報開示や金融取引の安全確保への取組みについて検証する。

    • 個人情報保護等

      個人情報保護法の施行後においてもなお、金融機関で個人情報等の紛失、漏洩が頻発していることに鑑み、個人情報の適正な管理に関して法令等遵守の観点から検証することはもとより、個人情報等に係るシステムリスク・事務リスク管理態勢及びこれに係る経営陣の取組みを検証する。

    • 説明責任及び契約の履行状況

      • 説明責任

        預金者・保険契約者・投資家に対して、多様な金融商品の有する様々なリスクについて理解して取引ができるよう説明責任が果たされているか、また、貸出先等に対して、取引関係の見直し等を行う場合に、金融機関の営業上の判断に即した説明を適切に行っているか(金融検査や金融検査マニュアル等を口実とするなど不適切な説明が行われていないかを含む)など、金融商品・サービス、取引に係る金融機関の説明内容、説明方法、顧客の承諾の確認方法や、そのための態勢整備の適切性について検証を行う。

      • 契約の履行状況

        保険業務について、保険金や配当金等の支払の迅速性、適切性及びシステムを含めた保険契約管理の適切性等を検証する。

        信託契約について、財産管理、運用関連業務における忠実義務、善管注意義務の履行状況及び業務運営態勢を検証する。

    • 苦情等処理態勢

      顧客から苦情等を受けているにもかかわらず、その発生原因の分析・検討を行わず、適切な再発防止策を講じないままに、類似の苦情等を受けている金融機関が依然見られる状況に鑑み、苦情等に対処する体制、苦情等への対応の適切性、経営上重要な苦情等に係る経営陣への報告等について検証を行う。

    • 情報開示の適切性

      ペイオフ解禁後、利用者にとって金融機関の適切な情報開示の一層の充実が重要であることに鑑み、情報開示の適切性について検証を行う。

    • 金融取引の安全の確保

      口座の不正利用や偽造・盗難キャッシュカード問題等に鑑み、金融取引の安全を確保するための取組みについて検証する。

  • (2)中小企業の事業再生や地域の再生・活性化への対応

    中小企業の事業再生や地域の再生・活性化に資するため、地域金融機関における中小企業の事業再生に向けた取組みの検証とともに、中小企業の経営実態等に即した検査を推進する。

    • 地域金融機関における中小企業の事業再生に向けた取組みの検証

      地域金融機関については、「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム」及び「金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)」(以下、「マニュアル別冊」という。)を踏まえ、中小企業の事業再生に向けた取組みについて検証する。

    • 中小企業の経営実態等に即した検査

      中小企業向け融資については、マニュアル別冊に基づき、中小企業の経営実態等に即した的確な検査を推進する。また、検査モニター等において、被検査金融機関からマニュアル別冊の運用状況について確認し、本別冊の運用の適切性を確保するなど、本別冊の浸透を図る。

  • (3)プロセス・チェックに重点を置いた法令等遵守態勢及びリスク管理態勢の広範な検証

    近年、貸出資産の健全性を重視した検査を実施してきたが、主要行の不良債権問題の正常化等を踏まえ、個々の金融機関の実態に即して、法令等遵守態勢及びリスク管理態勢についてプロセス・チェックに重点を置いて幅広く検証を行う。

    • 個別事案の取扱いの適切性のみならず、プロセス・チェックに重点を置いて検証を行う。例えば、不良債権が減少した預金等受入金融機関については、自己査定の検証の重点化を図りつつ、不良債権の早めの認知・対応による再発防止の観点から、債務者企業の再建計画、ノンリコースローン等による不動産融資の増加にも配意し、大口債務者への与信管理など管理態勢について、そのプロセス・チェックに重点を置いて検証する。その際、重大な問題点については経営管理態勢の観点から検証する。

    • 個々の金融機関の実態に即して、特定のリスク管理態勢に偏ることなく、法令等遵守態勢及びリスク管理態勢について幅広く検証する。例えば、健全性の検証に当たっては、貸出資産の健全性に係る信用リスク管理態勢のみならず、仕組債を含めた多様な資産運用の実態に応じて、市場関連リスク管理態勢をも検証する。さらに、金融機関の規模、リスク特性及びリスク管理の実態に応じて、統合リスク管理態勢を検証する。保険においては、資産運用リスク管理態勢とともにアンダーライティングに係る管理態勢、責任準備金等の積立の適切性等、資産・負債にわたり検証する。

  • (4)金融の国際化・構造変化への対応

    金融の国際化・構造変化や新たな取引形態・商品の登場に対応するため、次の措置を講じる。

    • 金融の国際化・構造変化に対応し、金融コングロマリット監督指針を踏まえた検査を行う。その際、必要に応じ、証券会社等に対して、証券取引等監視委員会との同時検査を実施する。さらに、海外当局との連携を一層強化する。

    • マネー・ローンダリングに関する国際基準であるFATF(金融活動作業部会)改定勧告の実施が国際的に要請されていることを踏まえ、金融機関のマネー・ローンダリングへの取組みについて検証する。

    • 新たな取引形態・商品の登場に対応可能な検査態勢の整備に努め、信託業法、保険業法の改正を踏まえた対応を行う。

    • バーゼル II が平成19年3月末より導入されることから、関連告示を踏まえた検査マニュアルの改定及び検査手法等を検討する。

3 業態別重点事項

金融検査においては、上記2の検査重点事項に加え、以下の業態別重点事項を踏まえて、的確な実施に努める。

  • (1)預金等受入金融機関

    預金等受入金融機関については、個別金融機関の状況に応じ、不良債権の早めの認知・対応の観点から信用リスク管理態勢の検証を行う。また、一部の金融機関における仕組債等の保有状況にも留意して、市場関連リスク管理態勢の検証を行う。さらに、統合リスク管理態勢、個人情報等の保護やシステム統合の動き等を踏まえたオペレーショナルリスク管理態勢、本人確認義務等を含む法令等遵守態勢を検証する。

  • (2)信託銀行・信託会社

    信託銀行・信託会社については、忠実義務、善管注意義務の履行状況等の信託業務固有のリスク管理態勢、改正された信託業法に基づく新たな信託業務の検証を行う。

  • (3)保険会社

    保険会社については、募集チャネル及び保険商品の多様化を考慮して、顧客保護、とりわけ代理店を含む保険募集管理、保険金等支払の適切性、また、アンダーライティングに係る管理態勢、資産運用リスク管理態勢、責任準備金等の積立ての適切性等を検証し、これらに係る経営管理について検証する。また、保険業法改正による少額短期保険業者に対する検査に取り組む。

  • (4)外資系金融機関

    外資系金融機関については、上記の業態別の事項を踏まえつつ、グローバルで展開される高度かつ複雑な取引における業務の適切性及び法令等遵守態勢について検証する。さらにグループとしてのリスク管理態勢を検証する。また、本人確認義務等に係る管理態勢を検証する。

  • (5)その他金融機関

    貸金業者については、貸金業の規制等に関する法律を踏まえ、金利規制及び取立て行為規制等の法令等遵守状況を検証し、前払式証票発行者については、発行保証金の供託状況等を検証する。

  • (6)政策金融機関及び日本郵政公社

    政策金融機関及び日本郵政公社については、各機関の特性も踏まえ、民間金融機関に適用している「金融検査マニュアル」、「保険検査マニュアル」等を用いて検査を実施する。


II .検査基本計画

II.検査基本計画

(注1)上記検査実施予定数は変動することがあり得る。

(注2)銀行持株会社は銀行に、保険持株会社は保険会社に含めている。

サイトマップ

ページの先頭に戻る