【法令解説】

 このコーナーでは、先に閉会した第163回特別国会で成立した金融庁関連の法律について、その経緯や内容を詳細に説明します。本郷は、「銀行法等の一部を改正する法律」についてです。
 
銀行法等の一部を改正する法律
 
.改正の経緯

   「銀行法等の一部を改正する法律」(平成17年法律第106号。以下「改正法」という。)は、平成17年10月4日に内閣より第163回特別国会に提出され、原案のとおり、10月20日に衆議院において可決、10月26日に参議院において可決・成立し、11月2日に公布されました。
 今回の法改正では、預金者等の利便性の向上と銀行経営の効率化を図ることを目的に、○銀行代理店制度の見直し(銀行代理業制度等の創設)、○銀行等の子会社規制・業務規制等の緩和、○銀行等の適切な業務運営確保のための措置を講ずることとしています。
 
.銀行代理業制度の創設

 
(1)  背景
 銀行代理店制度については、これまでも設置・廃止に係る認可制から届出制への変更、代理業務範囲の拡大、金融機関代理店制度の創設・拡大等の累次の規制改革を進めてきたところですが、現在においても、○法人代理店が100%子会社等に限定されているほか、○代理業務以外の業務の兼営が禁止されています。
 このため、代理店は、潜在的に有効な販売チャネルであるにもかかわらず、機動性や柔軟性に欠け、多様な顧客ニーズに対応することが困難であるため、十分活用されておらず、金融業界からは、出資規制の撤廃・緩和、業務範囲の更なる拡大などの要望がかねてより提出されてきました。
 また、金融審議会は、平成14年9月30日、PDF「中期的に展望した我が国金融システムの将来ビジョン」において、「・・・一つの金融仲介機関で多様な金融商品を、直接的ではないにせよ、少なくとも代理などの形で間接的に提供することも考えられる」と答申しており、最近の金融制度改革においては、このようなビジョンに沿って、証券仲介業の創設(平成16年4月1日施行)及び銀行等に対する解禁(同年12月1日施行)、信託契約代理店等の創設(同年12月30日施行)など、金融商品・サービスの提供チャネルの多様化・拡充が図られてきています。
 こうした中で、平成16年3月19日に閣議決定された「規制改革・民間開放推進3か年計画」においては、「銀行代理店制度については、金融機関の健全性や決済システムに与える影響等の観点を踏まえつつ、資本関係規制等制度の見直しを行うこととし、平成16年度中に検討を行い、措置する。」こととされました。
 これらを踏まえ、金融審議会金融分科会第二部会では、銀行代理店制度の見直しについて昨年12月から本年2月にかけて3回の審議を行い、本年2月2日に「銀行代理店制度見直しの論点整理」が取りまとめられた。そこでは、銀行代理店制度の見直しの基本的方向性として、「預金者保護、円滑かつ確実な決済システムの維持、金融システムの健全性を確保するための制度を整備することにより、・・・出資規制や専業規制などは撤廃することができる」とされており、今回の改正は、同部会の報告書や審議の内容を踏まえたものとなっています。

(2)

 銀行代理店制度見直しの考え方

 今回の改正の基本的な考え方は、利用者の金融サービスに対するアクセスを確保・向上させるとともに、金融機関が多様な販売チャネルを効率的に活用できるよう、より幅広い形態での銀行代理業への参入を認めることにあります。このため、一般の事業者が銀行代理業に参入するにあたって求めていた銀行との出資関係を不要とするとともに他業の兼営についても可能としました。他方、銀行代理業の適正かつ確実な遂行を確保するため、銀行代理業への参入を許可制とし、他業の兼営については個別承認制とするとともに、利用者保護や銀行の健全性を確保するための措置を講ずることとしました。
 
.銀行代理業制度の概要

 
(1)  銀行代理業の定義
 「銀行代理業」を、銀行のために、銀行の本業であるイ)預金又は定期積金等の受入れ、ロ)資金の貸付け又は手形の割引、ハ)為替取引を内容とする契約の締結の代理又は媒介のいずれかを行う営業(改正後の銀行法第2条第14項。以下引用条文は、特記ない限り、改正後のものとします。)と定義し、銀行代理業制度の対象としました(したがって、例えば銀行が行う証券業の仲介は証券仲介業として証券取引法の規制対象となります)。

(2)

 銀行代理業への参入
 

 許可制の導入
 銀行代理業者は、決済や貸付けといった経済的に重要な機能の一部を担うこととなり、適切な業務運営がなされない場合には、決済システムや顧客保護に問題を生じるおそれがある。今回、幅広い一般事業者に銀行代理業への参入を認めるにあたっては、こうした銀行代理業の特殊性にかんがみ、適格者であることを審査するため、銀行代理業への参入について許可制を導入することとしました(銀行法第52条の36第1項)
 許可の申請書には、○商号、名称又は氏名、○法人であるときは、その役員の氏名、○銀行代理業を営む営業所又は事務所の名称及び所在地、○所属銀行の商号、等を記載し、銀行代理業の業務の内容及び方法を記載した書類等を添付(銀行法第52条の37)し、管轄の財務局に提出することとしました。

 許可の基準
 銀行代理業の許可にあたって、当局は、○銀行代理業を遂行するために必要と認められる財産的基礎を有する者であること、○人的構成等に照らして、銀行代理業を的確、公正かつ効率的に遂行するために必要な能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること、○他に業務の営むことによりその銀行代理業を適正かつ確実に営むことにつき支障を及ぼすおそれがあると認められない者であることを基準として審査することとしました(銀行法第52条の38第2項)
 なお、審査基準に照らして公益上必要があると認めるときは、その必要の限度において、許可に条件を付し、及びこれを変更することができることとしており、例えば、他に営んでいる業務の内容に応じて銀行代理業の業務内容に条件を付すことができます(銀行法第52条の38第1項)

 兼業承認制の導入
 銀行代理業者は、銀行代理業及びこれに付随する業務以外の業務(他業)を、当局の承認を受けて営むことができることとしました。この点は、上記のように、銀行代理業の許可手続において既に営んでいる他業について銀行代理業に支障を及ばすおそれがないか審査するほか、許可を受けた後に、新たな他業を営もうとするときには、同じ基準による個別の承認手続を要することとしたものです(銀行法第52条の42第1項)

(3)

 銀行代理業の業務のあり方
 

 顧客に対する明示
 銀行代理業者は、銀行代理行為(銀行法第2条第14項各号に掲げる行為)を行うときは、あらかじめ、顧客に対し、所属銀行の商号、代理か媒介かの別等を明らかにしなければならないこととしました(銀行法第52条の44第1項)

 預金者等に対する情報の提供
 銀行代理業者は、銀行による預金者等に対する情報提供義務(銀行法第12の2第1項)と同様、預金又は定期積金等に係る契約の内容その他預金者等に参考となるべき情報の提供を行わなければならないこととしました(銀行法第52条の44第2項)

 健全かつ適切な運営の確保措置
 銀行代理業者は、上記(1)、(2)のほか、その銀行代理行為に係る重要な事項の顧客への説明、その銀行代理行為に関して取得した顧客に関する情報の適正な取扱いその他の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講じなければならないこととしました(銀行法第52条の44第3項)

 銀行代理業に係る禁止行為
 銀行代理業に関し、顧客に対し、○虚偽のことを告げる行為、○不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤認させるおそれのあることを告げる行為、○優越的地位を不正に利用して、他の取引を行うことを条件として貸付け又は手形の割引の代理又は媒介を行う行為、○所属銀行の取引の通常の条件に照らして有利な条件で資金の貸付け又は手形の割引の代理又は媒介をする行為、など顧客の保護に欠け、又は所属銀行の業務の健全かつ適切な遂行に支障を及ぼすおそれがある行為を禁止行為として定めました(銀行法第52条の45)

 標識の掲示
 銀行代理業者に許可を受けた者である旨の標識の掲示を義務付けるとともに、顧客が無許可の者との間で取引するという事態の発生を防止するため、銀行代理業者でない者には、銀行代理業者の標識又は銀行代理業者と誤認させるような類似する標識の掲示を禁止することとしました(銀行法第52条の40)

 名義貸しの禁止
 許可制の趣旨の潜脱防止の観点から、銀行代理業者は、自己の名義をもつて、他人に銀行代理業を営ませてはならないこととしました(銀行法第52条の41)

 分別管理
 銀行代理業者は、銀行代理行為に関して顧客から金銭その他の財産の交付を受けた場合には、自己の固有財産と分別して管理しなければならないこととしました(銀行法第52条の43)
 具体的に、顧客から金銭その他の財産の交付を受けた場合には、自己の固有財産と保管場所を明確に区分し、かつ、どの所属銀行に係るものか直ちに判別できる状態で管理することとなります。ただし、金銭については、当該金銭についてどの所属銀行の金銭であるかが帳簿により直ちに判別できる状態で保管することは認められるものと考えられます。

 銀行代理業者の休日及び営業時間等
 決済システムの安定性確保の観点から、当座預金の代理を行う銀行代理業者の休日及び営業時間については、銀行同様、銀行法上の法定休日及び営業時間(午前9時から午後3時まで)の規制を課すこととしました(銀行法第52条の46)
 特定銀行代理行為を行わない営業所又は事務所については、当該規制は適用しないこととし、また、銀行法上の法定休日及び営業時間以外の時間に営業することを妨げるものではありません。

(4)

 経理等
 

 銀行代理業に関する帳簿書類
 銀行代理業の処理及び計算を明らかにするため、銀行代理業者に対し、銀行代理業に関する帳簿書類の作成、保存を義務付けることとしました(銀行法第52条の49)

 銀行代理業に関する報告
 銀行代理業者は、営業年度又は事業年度ごとに、銀行代理業に関する報告書を作成し、当局に提出するとともに、当局は、当該報告書を公衆の縦覧に供することとしました(銀行法第52条の50)

 所属銀行の説明書類等の縦覧
 顧客への情報開示の観点から、銀行代理業者は、所属銀行又は所属銀行を子会社とする銀行持株会社が銀行法の規定に基づき作成し、公衆の縦覧に供するいわゆるディスクロージャー誌を銀行代理業を営む営業所又は事務所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならないこととしました(銀行法第52条の51)

(5)

 所属銀行等
 

 所属銀行制の採用
 仲介行為としては、○所属会社制(特定の会社のために行うもの)と○仲立人制(ブローカー)が考えられますが、銀行代理業制度については、銀行代理業者は、「所属銀行の委託を受け、又は所属銀行の委託を受けた銀行代理業者の再委託を受ける場合でなければ、銀行代理業を営んではならない」(所属銀行制)こととし、第一義的には、所属銀行によって銀行代理業の健全かつ適切な運営を確保する制度としました(銀行法第52条の36第2項)
 なお、銀行代理業者は、複数の所属銀行のために銀行代理業を営むことが可能です。

 所属銀行による銀行代理業者に対する指導等
 所属銀行は銀行代理業者に対し業務の指導その他銀行代理業の健全かつ適切な運営の確保を義務付けることとしました(銀行法第52条の58)

 所属銀行の賠償責任
 所属銀行は、銀行代理業者が顧客に加えた損害を賠償する責任を負うこととしました。他方、所属銀行等が委託を行うことについて相当の注意をし、かつ、顧客に加えた損害の発生の防止に努めたときは、免責される旨規定していますが、民法の使用者責任について判例上免責が認められた例は見当たらず、事実上無過失責任に近い運用がなされているといわれることから、実際に免責が認められる場合は限定されるものと考えられます(銀行法第52条の59)

 銀行代理業者の原簿
 所属銀行は、銀行代理業者に関する原簿を備え置かなければならないこととし、預金者等の利害関係人は、所属銀行に対して、当該原簿の閲覧を求めることができることとしました(銀行法第52条の60関係)

(6)

 銀行代理業者に対する監督

 当局は、銀行代理業者の銀行代理業の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、銀行代理業者に対し、報告徴求(銀行法第52条の53)、立入検査(銀行法第52条の54)をすることができるほか、業務改善命令等(銀行法第52条の55)、銀行代理業の許可の取消し、銀行代理業の全部又は一部の停止(銀行法第52条の56)を命じることができることとしました。

(7)

 適用除外

 銀行その他の金融業を行う者(長期信用銀行、信用金庫等の預貯金取扱金融機関を定める予定としている。)は、許可を受けなくとも銀行代理業を営むことができることとし、銀行代理業に係る必要な規制を適用することとしました(銀行法第52条の61)

(8)

 協同組織金融機関等の代理店制度の見直し

 長期信用銀行、信用金庫、労働金庫、信用組合、農協漁協(これらの連合会を含む)及び農林中央金庫についても、長期信用銀行法、信用金庫法、労働金庫法、協同組合による金融事業に関する法律(以下「協金法」という。)、農業協同組合法、水産業協同組合法及び農林中央金庫法の改正により、銀行代理業制度と同様の制度の整備を行いました。
 
.子会社規制、業務規制等の緩和

 
(1)  従属業務会社の共同設立の解禁
 現行銀行法上、銀行が従属業務(営業用不動産管理業務、福利厚生業務、ATM保守・点検業務、現金等集配業務など)を営む会社を子会社とする場合は、銀行に対する他業禁止の趣旨等から、当該銀行グループ(銀行、銀行持株会社、これらの子会社)からの収入依存度(収入の額が総収入の額に占める割合)が50%以上でなければならないこととされています。
 また、収入依存度を満たす会社でなければ、銀行及びその子会社は合算して当該会社の5%超(銀行持株会社及びその子会社は合算して15%超)の議決権を保有することができません(銀行法第16条の3)
 このため、複数の銀行グループが共同で従属業務会社を設立することはできなくなっています。今回の改正では、銀行の経営の効率化等に資するよう、従属業務を営む会社について、当該銀行グループ及び他の複数の銀行グループ等の合計の収入依存度が一定の割合を超えているとき、複数の銀行グループ等による従属業務会社の共同設立を認めることとしました。

(2)

 信用金庫法等の証券業務等の認可制の廃止

 信用金庫は、証券業務、信託業務、担保付社債に関する信託業務を行おうとするときは、証券取引法、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律、担保附社債信託法に基づく登録等を受けるとともに、別途、信用金庫法の規定に基づく認可を受けなければなりませんが、当該信用金庫法に基づく認可については廃止することとしました。併せて、信用金庫法に基づく地方債等の募集又は管理の受託に係る認可についても廃止することとしました(信用金庫法第53条、第54条)
 労働金庫、(労働金庫法第58条、第58条の2)、信用組合(協金法第3条)、農協(農業協同組合法第10条)、漁協(水産業協同組合法第11条、第87条、第93条、第97条)及び農林中央金庫(農林中央金庫法第54条)においても同様の改正をしました。
 
.適切な業務運営確保のための措置

 
(1)  アームズ・レングス・ルールの見直し
 身内であるがゆえに成り立つ取引条件が結果として預金者などの利益を害するのを防止するための措置として、銀行と特定関係者又は特定関係者の顧客との間で、当該銀行の通常の条件に照らして、当該銀行に不利益を与える取引等を行ってはならないこととされています(いわゆるアームズ・レングス・ルール)。銀行代理業制度の創設に伴い、銀行代理業者が所属銀行に不当な影響力を行使する弊害防止等の観点から、特定関係者に、銀行代理業者を含めることとしました(銀行法第13条の2)

(2)

 銀行等の業務に係る禁止行為

 銀行代理業者を銀行法上、正面から位置付け、銀行代理業に係る禁止行為を具体的に明記(銀行法第52条の45)したことから、銀行本体についても、これまでの監督行政上の経験等を踏まえ、同様に、典型的な禁止行為を明記することとしました(銀行法第13条の3)
 具体的には、○顧客に対し、虚偽のことを告げる行為、○不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤認させるおそれのあることを告げる行為、○優越的な地位を不正に利用して、密接な関係を有する者の営む業務に係る取引を行うことを条件として、信用を供与し、又は信用の供与を約する行為、など顧客の保護に欠けるおそれがある行為を禁止行為として定めました。

(3)

 銀行等の業務委託先への報告徴求、立入検査

 銀行業務の効率化等の観点から、銀行においては業務の外部委託が行われていますが、近年、システムトラブルや顧客情報の漏えい等の問題も生じており、銀行の業務の健全かつ適正な運営の確保を図るためには、銀行本体に対する報告徴求・立入検査だけでは十分な対応が行えないおそれがあります。
 このため、銀行等(銀行又は銀行持株会社をいいます。)に対する検査・監督をより実効性のあるものにするため、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該銀行等の子会社のほか、○銀行等が経営を支配している法人、○銀行等から業務の委託を受けた者(銀行代理業者を除く。)に対し、当局は、直接に報告徴求及び立入検査をすることができることとしました(銀行法第24条、第25条、第52条の31、第52条の32関係)
 なお、「銀行等から業務の委託を受けた者」とは、例えば、銀行の付随業務の委託先や業務を営むために必要な事務(システム管理等)の委託先などが該当するものと考えています。
 
(注 )上記1から3までについては、長期信用銀行、信用金庫、労働金庫、信用組合、農協漁協及び農林中央金庫についても同様の措置を講じました。

(4)

 銀行等の中間決算公告、ディスクロージャーの義務化

 新しい自己資本比率規制(バーゼルII)においては、開示の充実を通じて市場規律の実効性を高めるため、自己資本比率とその内訳、各リスクのリスク量とその計算手法等についての情報開示が求められているなど、情報開示の重要性は一層高まっています。このような動きを踏まえ、情報開示の一層の充実を図る観点から、銀行及び銀行持株会社について、これまで年度単位であった決算公告、ディスクロージャー誌の公衆縦覧について、中間営業年度(4月〜9月)についても義務付けることとしました(銀行法第20条、第21条、第52条の28、第52条の29)
 
.施行期日等
 
(1)  施行期日
 改正法は、公布の日(平成17年11月2日)から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行されます(平成18年4月1日の施行を予定しています。)(附則第1条)

(2)

 経過措置
 
 改正法の施行の際現に銀行代理業等を営んでいる者(旧銀行法第8条第1項の規定により設置された代理店において銀行代理業を営む者、銀行等を除く。)は、引き続き銀行代理業等を営む場合においては、施行日から起算して三月以内に銀行代理業の許可を受けなければなりません(附則第2条、第10条、第12条から第14条まで、第17条、第20条、第24条)
 改正法の施行の際現に旧銀行法第8条第1項の規定により設置された代理店において銀行代理業を営む者(銀行等を除く。)は、施行日において銀行代理業等の許可を受けたものとみなして銀行法等の規定を適用します。なお、この場合においては、施行日から起算して三月以内に銀行代理業の許可の申請書の記載事項等を提出しなければなりません(附則第3条第1項、第2項、第11条第1項、第2項)
 改正法の施行の際現に旧銀行法第8条第1項の規定により設置された代理店において銀行代理業を営む銀行等は、施行日から起算して三月以内に銀行代理業の許可の申請書の記載事項等を提出しなければなりません(附則第3条第4項、第11条第4項)


 詳しくは、金融庁ホームページの「組織・制度について」内にあります「国会提出法案等」の「国会提出法案」第163回国会における金融庁関連法律案にアクセスしてください。


【金融便利帳】


 このコーナーは、とかく専門的でわかりにくい金融に関する用語や様々な疑問について、わかりやすく解説するものです。
 今月のキーワードは「会計士監査の品質管理」です。

 監査法人や公認会計士は、一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って企業の財務諸表等の監査を実施し、その結果に基づいて財務諸表等に対する意見を表明することとされています。一般に公正妥当と認められる監査の基準には、企業会計審議会から公表されている監査基準があります。監査基準の中には、監査の品質管理のために遵守すべき基準が含まれています。
 企業会計審議会は、監査法人の審査体制や内部管理体制等の監査の品質管理に関連する非違事例が発生したことなどに対応し、平成17年1月の総会において、監査の品質管理の具体化・厳格化等に関する審議を開始することを決定し、10月28日に監査基準を改訂するとともに、公認会計士による監査業務の質を合理的に確保するために、監査基準とは別に独立の「監査に関する品質管理基準」を設定しました。
 改訂された監査基準では、「すべての監査が一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して適切に実施されるために必要な質の管理」のことを品質管理としています。また、「監査人は、自らの組織として、品質管理の方針と手続を定め、これらに従って監査が実施されていることを確かめなければならない。」とされています。
 監査に関する品質管理基準では、品質管理には、監査事務所が遵守すべき品質管理と個々の監査業務を実施する監査実施者が遵守すべき品質管理があることから、項目ごとに監査事務所に適用される基準と監査実施者に適用される基準に分けて規定を設けています。監査に関する品質管理基準の主な項目は以下のようになっています。
 ○  品質管理のシステムの整備及び運用
 ○  職業倫理及び独立性
 ○  監査契約の新規の締結及び更新
 ○  監査実施者の採用、教育・訓練、評価及び選任
 ○  業務の実施(監査業務の実施、監査業務に係る審査 等)
 ○  品質管理のシステムの監視
 ○  監査事務所間の引継
 ○  共同監査

 なお、監査基準を実務に適用するに当たって必要となる実務の指針については、日本公認会計士協会が作成しています。品質管理に関しては、日本公認会計士協会から監査基準委員会報告書第12号「監査の品質管理」等が公表されており、これらも監査法人や公認会計士が遵守すべき監査の基準となります。
 また、監査の品質管理に関しては、平成11年より日本公認会計士協会による「品質管理レビュー」が実施されています。「品質管理レビュー」とは、監査事務所が行った監査の品質管理の状況等を協会の専任者がレビュー(調査)し、必要に応じて監査事務所に対して改善勧告する制度です。平成16年4月からは、「品質管理レビュー」の一層の機能向上、監査事務所における監査業務の充実・強化等を図るために、金融庁に設置された公認会計士・監査審査会が、「品質管理レビュー」の審査を行い、必要に応じて協会、監査事務所等に対する検査を実施しています。


【金融ここが聞きたい!】


 このコーナーは、大臣の記者会見における質疑・応答(Q&A)などの中から、時々の旬な情報をセレクトしてお届けするものです。
 今号の「金融ここが聞きたい!」は、10月31日に就任されました与謝野馨金融・経済財政担当大臣の大臣就任会見より金融関係の部分を抜粋しました。
 もっとたくさんご覧になりたい方は、是非、金融庁ホームページの「記者会見概要」のコーナーにアクセスしてください。

【就任記者会見冒頭:与謝野新大臣発言】

 本日の内閣改造で、金融担当と経済財政担当に任命されました。与えられた職責を全力を挙げて全うしたいと思っております。
 金融行政に関しましては、関係者の相当な努力によって不良債権比率も主要行で3%を切り、またその他の金融機関でも大体5%台になったということで、大変この間、苦しい思いをされた方がたくさんおられると思いますが、これからはいよいよ金融機関がリスクをとって、日本の経済発展のために金融活動を再スタートしなければならない時期が来ていると思っております。
 金融行政そのものは、やはり非常に権力行政の側面があって、私は権力というのは抑制的に使わなければならないと思いますし、また権力は国民経済、あるいは国民一人一人のために使わなければならないと思っています。生損保の商品の銀行での窓口販売もできるようになりましたし、また、この国会では銀行の代理店に関する法改正もようやく実現をいたしました。そういう中で、これからは色々な新手の投資の商売と申しますか、そういうものが幾つも出てまいります。こういうものをどう国民の財産が安全に運用されるかという観点から、一定の法改正も必要になってくるのではないかと個人的には思っています。
 また、企業買収等に関する法制に不備があるのかないのかというのは、やはり実際起きたこと、また学問的な研究も方々でされていますので、そういうことも法制的に必要かどうかということは、研究する必要があると思っています。

 

Q:地域金融機関を含めた金融システムの現状について、どういう認識でおられますか。


:金融機関の本来の任務と申しますか、業務は、リスクテイキングだと思っておりまして、それがない金融は、経済の活性化にはつながらないと思っています。
 日本の金融システムは、私は極めてよくできているだろうということを前提にいつも物事を考えております。確かにオーバーバンキングとか、そういう問題はあるわけですけれども、これは自然の中で解消せざるを得ない問題だろうと思っています。
 日本の金融システムの直近の課題ではありませんが、いずれシステムとして直面する一番大きな問題は、郵便銀行がどういう形で金融システムの中に入ってくるかということだろうと、私は想像しております。

 

Q:いわゆるオーバーバンキングは、何を指しているとお考えですか。


:この問題は、相当この10年ぐらいで整理はされたと思っています。それは、合併によっても整理されましたし、また支店を閉鎖するとか、経営判断によっても相当支店の数などは整理されたと思っていますが、やはりまだまだ諸外国に比べて、多分金融機関の数は多いと思います。これは単純に外国に比べていいのかという問題があって、それはやはり日本の経済風土とか、今までの取引関係とか、色々なことによって決まってくると思います。それでもこれだけの金融機関を維持できる経済なのかという、そこの根本は考えなければいけないと私は思っています。

 

Q:それは長期的には金融機関の数は減らしていった方がいいとお考えですか。


:日本の経済の規模に合ったものが金融機関の数に多分なるのだろうと思います。これはそれぞれの金融機関がこうした方がいいということで、御自分で決める話でして、金融庁が権力的にやめろとか、小さくなれとかという話ではないと私は思っています。

 

Q:金融行政について、今後、特にどういうところに力を入れてやっていきたいとお考えですか。


:金融行政は、やはり透明性が必要ですし、国民の金融資産を守るためには、やはり検査も適正に行われる必要があると思っています。一般の金融機関については余り心配をしておりませんが、金融行政の中で広い意味での金融行政としてはやはり新手の金融商品で善良な市民が、間違ったことに巻き込まれることをどう防ぐとか、或いは証券取引が透明性と公正性を持って行われるかどうかとか、そういうことはいつも金融庁としては見張っていなければならないと思っています。
 プラス、これはそれぞれの金融機関の経営判断であるわけですが、リスクテイキングができるような物の考え方、あるいは審査体制、そういうものはやはりきちんとしていただかなければならないと思います。またこの政策金融機関の改革の中で、やはり心配しておりますのは、小企業や零細企業に対する今後の融資体制というのがどうなっていくのかということは、いわゆるマーケットメカニズムとは別に、やはり一定の社会政策的な意味で、政治としては心配しなければならないことだと私は思っています。
(平成17年10月31日(月)就任記者会見 抜粋)

次の項目へ