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与謝野内閣府特命担当大臣(金融・経済財政政策) 記者会見要旨

(平成17年10月31日(月) 23時38分~24時10分 於 金融庁会見室)

1.発言要旨

与謝野馨でございます。

本日の内閣改造で、金融担当と経済財政担当に任命されました。与えられた職責を全力を挙げて全うしたいと思っております。

今朝の午前中まで政調会長として仕事をしてまいりましたが、やはり経済財政諮問会議と自民党・公明党との間の揺るぎなき連携というものが私は必要だと思っておりまして、当面は政策金融機関をどうするかという問題があります。これは、自民党の方も機能面をまず議論をしようということで、一定のところまで論点整理ができましたし、経済財政諮問会議も同じ道筋をたどると思いますので、機能論をきちんと整理をして、残すべき機能、また既に役割の終わった機能、また民間に移譲しても可能な機能、色々な分類の仕方はありますけれども、日本経済の効率性を高めるという観点、また政府の関与する分野を少なくするという意味での観点、こういう観点から、いずれ組織がどうあるべきかというところに議論が移っていくと思っています。

自民党の方も大変柔軟な姿勢でこの問題をやっておりますので、私は意識のずれはもう既にないのだと思っております。

その他、経済財政諮問会議では、国家公務員の総人件費の抑制、また総人件費を抑制するための公務員の数の縮減等、大変難しい問題もありますが、これらの問題も、小さな政府を目指すという小泉内閣の大事な改革でございますので、私としては、達成できる目標を作って、難しい目標であっても、それを達成するように努力をしたいと思っております。

今年の骨太方針に書いてある中で重要なことは、これは私もその作成に関わった人間として、やはり医療制度改革を実現しなければならないわけです。これは制度改革をやる目的は、やはり医療費全体を抑制して、医療保険制度が持続可能なものにするというのが、やはり一番大きな目標であろうと思いますし、また柳沢さんが中心に自民党政調会が出しました財政改革に関する中間報告というのがありますが、その中でも、医療費を含めた社会保障制度に係る公のお金を相当程度減らさなければならないという目標が示されておりますので、そういう目標に向かって、年金、介護と改革を進めてまいりましたけれども、次はやはり医療の改革というものも手がけなければならないと思っております。

その他、去年、私が政調会長として政府と打ち合わせをしたわけですけれども、三位一体改革の残り6,000億円、これは自民党の選挙の政権公約の中にもきちんと実行しますということを書いてありますし、自公の選挙の公約でも、両党の公約としてのお約束の中でもこういうことを言われておりますので、義務教育費をどうするか、あるいは残りの6,000億円をどう生み出していくのかという非常に難しい問題ですけれども、これは安倍官房長官を助けて、この実現に向かって努力をしたいと思っております。

その他諸々の改革が俎上に上っておりますけれども、経済財政諮問会議としてなすべき仕事は、前大臣である竹中総務大臣に負けないような情熱を持ってこれに取り組みたいと思っております。

金融行政に関しましては、関係者の相当な努力によって不良債権比率も主要行で3%を切り、またその他の金融機関でも大体5%台になったということで、大変この間、苦しい思いをされた方がたくさんおられると思いますが、これからはいよいよ金融機関がリスクをとって、日本の経済発展のために金融活動を再スタートしなければならない時期が来ていると思っております。

月例経済報告等いつも伺っておりましたけれども、全般的には、日本の経済は上昇の方向にベクトルが向き始めたのではないかと私は考えておりますし、また、これはバブルが弾けて以降、10年以上にわたる長い暗いトンネルをようやく抜け始めたのではないかと私は思っております。金融行政そのものは、やはり非常に権力行政の側面があって、私は権力というのは抑制的に使わなければならないと思いますし、また権力は国民経済、あるいは国民一人一人のために使わなければならないと思っております。生損保の商品の銀行での窓口販売もできるようになりましたし、また、この国会では銀行の代理店に関する法改正もようやく実現をいたしました。そういう中で、これからは色々な新手の投資の商売と申しますか、そういうものが幾つも出てまいります。こういうものをどう国民の財産が安全に運用されるかという観点から、一定の法改正も必要になってくるのではないかと個人的には思っております。

また、企業買収等に関する法制に不備があるのかないのかというのは、やはり実際起きたこと、また学問的な研究も方々でされておりますので、そういうことも法制的に必要かどうかということは、研究する必要があると思っております。

以上です。

2.質疑応答

問)

先に経済財政分野について伺います。

今お話しいただいた政策金融改革なのですけれども、これはやはり自民党の合同部会の案と経済財政諮問会議の民間議員の所見と、文言を見る限りではまだ格差があるかなと思うのですけれども、先程のお話ですと、自民党は柔軟姿勢であると。それと、意識のずれはもうないのだというお話ですが、そうしますと諮問会議のあの案にずれが合っていくという、そういうふうに理解してよろしいのでしょうか。

答)

あるいは諮問会議の案が自民党に寄っていくか、それはやはりそれぞれの問題について、両者合理的な判断をして物事をまとめていくということであると私は思っておりまして、そこで「これはいいや」というような両者との妥協をする必要はないので、やはり理を尽くして、お互いの主張をし合う、その中で結論を得るということが私は正しいのだろうと思っております。

問)

これは11月中にというスケジュールは変更ありませんか。

答)

それは、先々週、竹中大臣と政調会長としてお目にかかったときには、概ね11月中にやろうということで非公式な話し合いが行われ、その後、合同部会の園田座長、事務局長の林芳正さんを入れて竹中大臣とお目にかかったときも、同趣旨のことは確認されておりますので、内容、時期含めて、ずれのないように、政府・与党で調整をきちんとしたいと思っております。

問)

今、政策金融あるいは医療制度、三位一体と喫緊の課題についてお話しいただいたのですが、その先にやはり歳入・歳出の一体改革という重要な課題が横たわっていると思います。この改革をなし遂げるために、今、大臣が最善だとお考えになっている方策、道筋等お教えいただけましたら。

答)

日本の財政の現状というのは、歳出削減だけで解決できないところまで私は来ていると思っております。だからといって、すぐ増収策をとるというのでは、国民の理解を得られないと。やはり歳出削減もやり、増収策も講じていくという両方同時並行にやらなければならないということだろうと思います。

先般、発表しました自民党の財政再建策というのは、社会保障でかかるお金とその他の一般歳出は分離しようという観念的な分離を図っております。経済財政諮問会議も、将来にわたる難しい予測をしているわけですけれども、そこで使っております数値は、政調会長としては若干楽観的過ぎるのではないかと。例えば、税収の弾性値については、自民党の方は1.1ぐらいだろうというのですが、経済財政諮問会議は一応1.8で計算しておりますので、そういうことは若干ずれはあると思います。ただ、あの報告書の中に書いてありますとおり、プライマリーバランスの到達というのは、ほんの入り口であって、やはりプライマリーバランスに到達した後、借金が減っていくという方向に物事を考えないと、本当の財政の健全化というのは達成できないというのが、自民党の報告書の結論でして、今でもそのように思っております。

できるだけ歳出削減をしていくと。そういう中で、やはり一番大きな対象となるのは、社会保障分野、それから地方財政、国と地方との関係をどう直していくのかという、この2つの大きな分野をやはりきちんとしないと、財政再建、歳出削減は達成できないと。プラス、その他の一般歳出の中では当面課題になっております公務員の総人件費の抑制という、このこともやらなければならないと。そういう見通しの立つ中で、増収策というものを考えるべきだというのが、あの報告書の結論だと私は思っております。

問)

金融行政について2点ほどお伺いしますが、冒頭、大臣、金融行政について大手行を中心に不良債権問題を克服してきているというお考えがあったのですけれども、そうした状況を踏まえて、地域金融機関を踏まえた金融システムの現状について、どういう現状認識でいらっしゃるか、まず御所見を伺いたいのですが。

答)

まず、金融機関の本来の任務と申しますか、業務というのは、リスクテイキングだと思っておりまして、それがない金融というのは、経済の活性化にはつながらないと思っております。

今のお尋ねは金融システムというお話なのですけれども、日本の金融システムは、極めて私はよくできているだろうということを前提にいつも物事を考えております。確かにオーバーバンキングとか、そういう問題はあるわけですけれども、これは自然の中で解消せざるを得ない問題だろうと思っております。

日本の金融システムの直近の課題ではありませんけれども、いずれシステムとして直面する一番大きな問題は、郵便銀行がどういう形で金融システムの中に入ってくるかということだろうと、私は想像しております。

問)

それともう1点、金融行政全般なのですけれども、大臣、今後、特にどういうところに力を入れてやっていきたいのかというあたり、御所見を伺いたいのですが。

答)

金融行政というのは、やはり透明性というものが必要ですし、国民の金融資産を守るためには、やはり検査も適正に行われる必要があると思っております。一般の金融機関については余り心配をしておりませんけれども、金融行政の中で広い意味での金融行政としてはやはり新手の金融商品で善良な市民が、間違ったことに巻き込まれることをどう防ぐとか、あるいは証券取引が透明性と公正性を持って行われるかどうかとか、そういうことはいつも金融庁としては見張っていなければならないのだと思っております。

プラス、これはそれぞれの金融機関の経営判断であるわけですけれども、先程申し上げましたようなリスクテイキングができるような物の考え方、あるいは審査体制、そういうものはやはりきちんとしていただかなければならないと思いますし、またこの政策金融機関の改革の中で、やはり心配しておりますのは、小企業や零細企業に対する今後の融資体制というのがどうなっていくのかということは、いわゆるマーケットメカニズムとは別に、やはり一定の社会政策的な意味で、政治としては心配しなければならないことだと私は思っております。

問)

経済財政の件で伺いますけれども、竹中大臣は日頃、改革の本丸は郵政民営化であり、二の丸は政策金融、そして三の丸は政府の資産・債務の管理ということで、あまたある政策課題の中で、このことについて、2番目、3番目という形で優先順位を示してきたと思うのですけれども、これについて与謝野大臣としましては、その他色々課題が多い中で、こういった形で物事の順序を進めていこうとお考えなのか、そのあたりの……

答)

3番目は何でしたか。

問)

3番目は政府の資産・債務の管理の話が出ていました。

答)

2番目の政策金融機関の問題は、私が政調会長として当初予想されたよりもずっと自民党は物分かりがいいということで、皆様方が当初想像されているよりも自民党は進むと私は思っております。

それから、資産と負債の管理の話というのは、計算が非常に難しい。資産であっても処分できない資産というものをどう考えるかとか、一体時価評価というのは何かというような問題点、また技術的な問題は非常にたくさんあると思います。

しかし、一体どのぐらい負債があるのかということは、国債発行残高とか、あるいは実際の各、例えば特別会計の中での負債とか借金とか、そういうのを足し合わせていけば負債は出てきますけれども、また、将来発生する将来債務というものをどう考えるかという、そういう技術的な問題もありますが、資産を勘定するときというのは非常に難しいということは、多分皆様方お分かりいただけると思います。この飛行場は幾らだというのはなかなか、作った値段は分かりますけれども、それは資産としての価値が一体幾らあるのかというのは、建設費からは分かりますけれども、処分価格が分からないという、そういう技術的な問題はあります。だけれども、大体概ね資産と負債がバランスとれているのかどうかという概括的なことは考える必要は私はあると思っております。

問)

そうしますと、今の資産の話についても、政策金融と公務員の話とあわせて、来月中、11月中に基本方針というというのが今の諮問会議の方針なのですけけれども。

答)

実は、資産・負債の管理の話は、自民党がまだ手がけてなかったものですから、個別の説明を受けているのですけれども、自民党としてまだ全く手がけてない話で、これからの話なので、事が進展しましたら、また皆様方に御報告できると思いますが、多分、今度の政調会長も色々な問題を避けて通るという姿勢ではありませんので、この問題も政府がこういう方向でやりたいということについては、御賛同を得られると思います。

問)

官邸での会見では、「ポスト小泉」について意識されてきたことはなかったと仰られていますけれども、政策通で知られる大臣がこの政策運営の要のポストに就かれて、国民的に見るとやはり「ポスト小泉」の一角に大臣の存在感というのが見えてくるのですけれども、その点、国民に対してどのように期待に応えられますでしょうか。

答)

そういうことを考えろということを勧めてくださる方もいるのですけれども、本当に言って、私は割に仕事が好きで仕事はやってきたのですけれども、余り政治的に動いたことは今までない人間ですが、そういうことを言っていただけるのは幸せなことだとは今思っています。

問)

金融行政の面ですが、オーバーバンキングの問題について言及されたのですが、いわゆるオーバーバンキングは、何を指してオーバーバンキングだとお考えでしょうか。

答)

この問題は、相当この10年ぐらいで整理は私はされたと思っています。それは、合併によっても整理されましたし、また支店を閉鎖するとか、経営判断によっても相当支店の数などは整理されたと思っています。いますが、やはりまだまだ諸外国に比べて、多分金融機関の数は多いと思いますが、これは単純に外国に比べていいのかという問題があって、それはやはり日本の経済風土とか、今までの取引関係とか、色々なことによって決まってくるわけだと思いますが、やはりそれでもこれだけの金融機関を維持できる経済なのかという、やはりそこの根本は考えなければいけないと私は思っています。

問)

それは長期的にはやはり銀行の数、金融機関の数は減らしていった方がいいと。

答)

日本の経済の規模に合ったものが金融機関の数に多分なるのだろうと思いますが、これはそれぞれの金融機関がこうした方がいいということで、御自分で決める話でして、金融庁が権力的にやめろとか、小さくなれとかという話ではないと私は思っています。

問)

もう1点だけ、ちょっと全然話題は変わるのですけれども、今日の組閣後の記念撮影で猪口邦子さんが青いドレスを着ていて、すごく目立っていたのですけれども、3回目の入閣に当たる大臣から見てどういうふうに御覧になられましたか。

答)

私は余り女性の衣服には関心を持ったことがないので、コメントできないですね。

(以上)

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