アクセスFSA 第39号 (2006年2月)
全国財務局長会議において挨拶する櫻田副大臣 証券取引所のあり方等に関する有識者懇談会において挨拶する与謝野金融担当大臣
全国財務局長会議において挨拶する櫻田副大臣 証券取引所のあり方等に関する有識者懇談会において挨拶する与謝野金融担当大臣
(1月25日) (2月6日)
目 次
【トピックス】
 ○  地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム
(平成17〜18年度)の進捗状況について(平成17年度上半期)
 ○  金融サービス利用者相談室における相談等の受付状況等に関する公表について
 ○  金融庁と米国証券取引委員会との間の「日米ハイレベル証券市場対話」の枠組みについて
 ○  証券取引所のあり方等に関する有識者懇談会の開催について
 ○  保険契約にあたっての手引の公表について
 ○  平成17年9月期における不良債権の状況(ポイント)について
 ○  平成17年11月に実施した「中小企業金融モニタリング」の取りまとめ結果の公表について
 ○  日EU財務金融ハイレベル協議について
 ○  米国証券取引委員会及び米国商品先物取引委員会との情報交換枠組みの改訂について
 ○  取引等の適切性確保への取組みについて
【特  集】
 ○  お金の使い方と地域社会について考えるシンポジウムの開催
 
 第2回  パネルディスカッション・セッション1「金融経済教育の必要性を考える」
【国際室から】
 ○  我が国におけるヘッジファンドの現状
【審議会関係】
 ○  第122回自動車損害賠償責任保険審議会について
【金融ここが聞きたい!】
【お知らせ】
【1月の主な報道発表等】


【トピックス】
 
地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム (平成17〜18年度)の進捗状況について(平成17年度上半期)

 昨年3月に公表された「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム(平成17〜18年度)」(以下「アクションプログラム」)に基づき、各地域金融機関は、「地域密着型金融推進計画」(以下「推進計画」)を策定・公表し、取組みを進めています。
 各金融機関が「推進計画」の平成17年度上半期(4月〜9月)における進捗状況について、それぞれ公表を行ったことを踏まえ、金融庁においても、去る1月31日、平成17年度上半期の金融機関による取組み実績とこれについての評価及び今後の課題等について取りまとめ、公表しました。概要は以下のとおりです。

(参考) 対象金融機関数 585金融機関(平成17年9月末現在)
地方銀行65行(埼玉りそな銀行を含む)、第二地方銀行48行
信用金庫297金庫、信用組合175組合


.金融機関の取組み実績
 各金融機関の平成17年度上半期における事業再生・中小企業金融の円滑化に向けた取組み実績について、主な傾向をまとめれば以下のとおりです。
 

(1)

 創業・新事業支援機能等の強化
 創業支援融資商品による融資の実績が大きく増加しているほか、企業育成ファンドへの出資等も増加しています。個別にみると、今後、成長が見込まれる農業分野や医療・福祉分野に関し、外部機関との連携によるノウハウ取得や審査態勢の強化に取り組んでいる金融機関があるほか、大学発のベンチャー企業への支援なども行われています。
 
参考)平成15年度から平成17年度上半期までの累計(以下同じ)
 
創業支援融資商品による融資   7.5千件、687億円   (4.7千件、429億円)
企業育成ファンドへの出資 368億円 (247億円)
 
( )書きは、集中改善期間(平成15〜16年度)の実績(以下同じ)

(2)

 取引先企業に対する経営相談・支援機能の強化
 商談会の開催等ビジネスマッチングの取組みが積極的に行われており、その成約案件は増加しています。中には、地域の金融機関による商談会の合同開催や、海外支店等を活用した情報提供による地元企業の海外ビジネス支援に向けた取組み等もみられます。
 要注意先債権等の健全債権化等に向けた取組みは、各金融機関において経営改善支援の取組みの多様化が進むなど積極的に実施されています。このような中、地域銀行においては平成17年度上半期に経営改善支援を行った債務者(正常先を除く)の約1割(約2,800先)が業況改善し、債務者区分がランクアップしています。
 
参考)
 
・ビジネスマッチングの成約案件 22.6千件(16.6千件)
・経営改善支援取組み先(正常先を除く)のランクアップ率  10.1%  [注1]
  (10.2%)[注2]
 [注1]平成17年度上半期の実績 [注2]平成15〜16年度における平均(半期)

(3)

 事業再生に向けた積極的な取組み
 事業再生に向けた取組みの態勢整備が引き続き進展しており、中小企業再生支援協議会の再生計画策定先が着実に増加しています。また、企業再生ファンドを活用した取組みの実績がみられます。具体的には、温泉街の面的再生や建設業の事業転換においてこれらの手法を活用した事例がみられます。
 
参考)
 
・中小企業再生支援協議会の再生計画策定先  716件、7,430億円 (503件、5,727億円)
・企業再生ファンドへの出資 344億円 (277億円)
・DDS 89件、402億円 ( 64件、 337億円)

(4)

 担保・保証に過度に依存しない融資の推進等
 財務制限条項を活用した融資商品やスコアリングモデルを活用したビジネスローンの拡充等を通じて、担保・保証に過度に依存しない融資が積極的に推進されており、件数、金額とも増加しています。
 また、動産・債権譲渡担保融資等の実績も増加しており、中には、動産登記制度を活用した融資商品に取り組む金融機関もみられるなど、中小企業等の資金調達手法の多様化に向けた取組みも着実に成果を上げています。
 
( 参考)
 
財務制限条項を活用した商品による融資 8.3千件、2,252億円 ( 5.7千件、1,294億円)
スコアリングモデルを活用した商品による融資 44.3万件、 4.1兆円 (32.7万件、 2.9兆円)
動産・債権譲渡担保融資 40.5千件、3,800億円 (29.0千件、2,839億円)


.金融機関の取組みについての評価及び今後の課題
 
(1)  金融機関の取組みに対する金融機関・利用者の見方
 金融機関及び利用者の双方とも、総じて積極的・前向きな評価が多いものの、一部においては、以下のように、具体的な成果が十分に上がっていない、金融機関の取組みは不十分である、との指摘がみられます。
 
・(金融機関の見方) 事業再生に向けた積極的な取組みや要注意先債権等の健全債権化等に向けた取組みについて、具体的成果が十分に上がっていない。
・(利用者の見方) 事業再生や経営指導の取組みに関して、ノウハウや目利き能力を有する人材が不足している。依然として金融機関が担保・保証に依存する状況は変わらない。
(2)  金融機関の取組みについての評価及び今後の課題
 これらを踏まえた、金融機関の取組みについての評価及び今後の課題は、以下のとおりです。
 
(1)  ビジネスマッチング等の取引先企業への経営相談・支援機能の強化や、中小企業金融の円滑化に向けた担保・保証に過度に依存しない融資等の取組みが、引き続き積極的に実施されているほか、創業・新事業支援への取組みが着実に進捗しています。
(2)  他方、事業再生の分野においては態勢整備や取組みは強化されているものの、その具体的な成果が現れるまでになお時間を要する面もみられます。
 
 いずれにしても、昨年8月末の「推進計画」の策定・公表からまだ日が浅く、今後とも、各金融機関は地域密着型金融の機能強化に向けた取組みを継続的に実施する必要があると考えられます。


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」から「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム(平成17〜18年度)の進捗状況について」(平成18年1月31日) にアクセスしてください。

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