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(生島) 高見さん。今、法橋さんのお話にもありましたが、コミュニティ・ビジネスが注目されているのはなぜだと思いますか。 |
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(高見) そうですね。今、先生がおっしゃったように、まず地域の中にいろいろな課題、ニーズがあると思います。1つは今までサービスの担い手である例えば、行政機関が公平性の原則や財源上の制約などでサービスを提供しにくくなっています。企業は今の国際競争の中で競争に奔走しなければならないし、営利という面からどうしても制約がありますので、そこから漏れ落ちるサービスがたくさんあるのだろうと思います。 |
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(生島) 先ほど法橋さんのプレゼンテーションの中にもありましたが、団塊の世代の方はこれから会社を卒業します。実際もっと働きたいのだけれど一応定年だから仕方なく。しかし、今まで彼らの蓄えた力はすごく大きな物があると思うのです。新たに、退職金を全部使うのではなくてその一部を使って、また、例えば労金からお金を借りて、新たなビジネスを起こしたいと考える人がいると思いますが、既に先輩たちが起こしている、あるいはこういうのがうまくいっているといった具体例があれば教えていただけませんか。 |
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(高見) うまくいっているかどうかはわかりませんが、コミュニティ・ビジネスの講座の中で最近目立ってきているのが、団塊の世代でもうすぐ退職になる50代半ば以降の男性です。地域へ戻っていかれるわけです。法橋さんがうまく「地域デビュー」と表現されましたが、地域の中で自分たちはどう生きていくのかが大きなテーマになっています。 |
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(生島) 法橋さん。でも、そういうプランだったらお金を貸しますか? |
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(法橋) 個々に判断をいたします。お金を貸すのは本当に厳しいことですが、個々というのは別にして、そういうお金が流れる仕組みを地域でどうこしらえるかがスキームとしてこれから考えていかなければいけないところかと思います。 |
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(生島) なるほど。高見さん、素朴な疑問ですが、NPO法人は、「Non Profit Organization」の略ですね。つまり非営利組織です。コミュニティ・ビジネスにおいて、ある程度営利を求めてはダメなのですか?そんなことはないですよね。 |
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(高見) 営利を求めてというか、収益は必要です。ただ、動機や目的が地域の様々な課題解決にあるということが違う所だと思うのです。 |
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(生島) これはNPOでなくてもいいわけですよね。 |
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(高見) はい。ですからまず課題解決をやっているわけです。それはいきなり事業収入としてペイできないかもしれないけれども、例えば、子供の相談をしなければいけない、ひとり暮らしの高齢者の方の見守りをしなければならないという、必要だからやろうじゃないかというボランティア精神をスタートとしています。事業収入は後の話で、例えば会員の会費で収入をまかなったり、寄付でまかなったり、あるいは行政の何らかの助成金でまかなったりしながら、しかしそれだけでは維持するのは難しいので、事業収入を確保して、自立性を持って展開していこうとお考えいただけたらと思っています。 |
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(生島) 法橋さん、ではコミュニティ・ビジネスが活性化するためには何が必要でしょうか。 |
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(法橋) そうですね。コミュニティ・ビジネスについて厚生労働省の報告書があります。雇用創出会議の報告書だと思うのですが、コミュニティ・ビジネスの賃金水準というのがあり、平均年収で264万円となっています。これはしっかりした統計がなかなか難しい世界で、一般的にコミュニティ・ビジネスはそれに特化していますが、NPOの皆さんよりは多少高いようです。とは言え、なかなかそれで現役の方が一家をまかなう、食べていけるかといえば難しいです。ですから、お金を回し、事業を回し、キャッシュフローを回しながら、一番コアな方々がそれに関わりながら多少食べていけるような仕組みをどう作るかということが重要です。事業をしっかりやればいいということかもしれませんが、課題解決型事業に対して支える仕組みを自治体なり何なりでどう形成していくかということでしょうか。 |
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(生島) 川北先生、どうですか。コミュニティ・ビジネスでお金が流れて行くためには、どういう事をしたほうがよろしいとお考えでしょうか。 |
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(生島) 法橋さん、そういう点では地域の金融機関の役割がすごく大きいと思うのですが、そのあたりはどうお考えですか。 |
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(法橋) そうですね。まさに川北先生がおっしゃったように地域の金融機関は地域の事情をよく知っている立場でもありますから、それぞれの領域に応じて地域にお金を回すようなことをすべきだと思います。金融機関は間接金融ですから、預金者の方々がその金融機関を通したお金がどう地域に回っているのかが、なかなか見えにくいのです。例えば、地域のスモールな事業でも地域の人々に見える事業と連携していく金融という姿があれば、割と地域の方々に金融の姿が見えやすいと思います。そういった意味では、金融機関の資源を通してですが、最近はSRI型の預金、自分の預金を社会に良く使いたい、極端に言えば多少リスクがあっても地域を良くするための仕組みであるのならば、そこにお金を流したいという方々もおられます。それに対応する仕組みが、まだ金融の中でできていませんが、そういったものを地域につないでいく仕組みを創るのが、特に地域の金融機関のこれからの在り方、もしくは切り口なのかなと思います。 |
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(生島) 高見さん、どうでしょう。 |
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(高見) それに付け加えて、法橋さんからもお話がありましたが「大阪府社会起業家育成支援プロジェクト」というのがあります。この中にある「大阪府社会起業家ファンド」の説明をさせてもらいたいと思います。 |
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(生島) 具体的な例として、どの位の金額まで融資してくださったのがあるのですか。 |
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(高見) どうですかね。今、融資。 |
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(法橋) 労金でということで言いましたら、NPO法人でも不動産を担保にする場合はかなり大きいものもあります。担保がない場合は、1,000万円までという制度でやっていますが、数千万ということも中にはあります。先ほど高見さんがおっしゃった頼母子講というのは、コミュニティ・ビジネス等を先駆的にやっておられる方々が次に続いて来られる方々のための土台を築いておこうと、自分たちでお金を出し合って何らかの形でお金を作って、例えばそれを労金の融資の裏打ちとして労金に入れていただくことにより、融資の枠を作ってしまうということです。こうしたスキームをこれから考えていこうかということです。 |
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(生島) 川北先生、僕の知っている人がある会社を作られて、息子さんに譲られて、のんびりしていたけれどもうイヤだと。やっぱり何かを起こそうということで、最近また会社を作られて、今度は上場にまで持っていくのです。65歳ぐらいの方です。引退されたときは、少し老けたかなと思いましたが、最近お目にかかって、生き生きしていらっしゃるのです。サミエル・ウルマンの言葉ではないですが、いくつになっても気持ちの持ちようで青春はあると思うのですが、そういう点ではいくつになっても起業する位の気持ちというのは必要ではないかと思うのですが。 |
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(川北) それはおっしゃるとおりだと思います。私の父親を見ていても、商売人だったのですが、辞めてしまうと急に老けてしまうのです。それまですごく元気だったのに動けなくなるし、足は弱るし、頭も弱ってくるのです。私自身も老年に足を一歩踏み入れているのですが、年をとれば、若いときに比べて体力的に劣ってくるものの、逆に社会がよく見えてくることがあります。世の中の人はこういう動きをしているのだというのが見えてきます。 |
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(生島) なるほど。高見さん、例えば50代後半、もうそろそろ還暦だと。NPOやコミュニティ・ビジネスにとらわれなくてもいいのですが、このままでは終わりたくない、もう一花咲かせたいという意味では、最近介護で特養などをするときには国や地域からの援助もあるのではないかと思います。個々人の特性は置いておいて、時代の流れを考えると漠然と何かを始めたい、一応今までの経験はある、いろいろなネットワークもありますよと。今の時代を考えると、どういうお仕事をされると確率的に時代のニーズにもコミュニティのニーズにも合って、これはお勧めですよというのがありますか。 |
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(高見) 一括りで言いますと、コミュニティ・ビジネスと私は言いたいのですが、今おっしゃったように、まだ元気な50代後半の方、あるいは60代の方、逆に70代を越えて障害を持ってしまった方もいらっしゃるのです。私の経験をお話しますと、あるひとり暮らしの高齢者73歳の男性のところにヒアリングに行ったことがあります。その方は、右半身に少し障害が出ているのです。フラフラして、どう見ても働ける人ではないのです。ところがこの方、にいろいろなデイサービスとか福祉の事を紹介しても見向きもしません。帰りに言われたのが「兄ちゃん、仕事くれや」という言葉でした。何かやらせてほしいとおっしゃっているのです。「なんにもすることあらへん」とおっしゃっているのです。その方は、例えばどこかに勤務することはもちろんできないでしょう。ところが、この方は本気でシルバー人材センターまで行って登録もしています。 |
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(生島) 川北先生、今後いろいろな意味で、蓄えるだけではなく、よい形でお金を増やすことと同時にお金を使うことでいろいろな貢献ができるわけですが、個人がお金を使うことは社会にどのような影響やインパクトを与えることができるとお考えでしょうか。 |
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(川北) どうなのでしょう。消費の意味では、これから日本の人口が減っていくわけです。それに加えて、歳をとってくると食べる量、お酒を飲む量が減っていくので、日本経済全体の活性度が落ちていくのが1つの方向だと思います。ただし、その中で個人が、ボランティアをやるために少し足を伸ばして、例えば京都のお寺を回る趣味をもった大阪の人が京都へ行って、仕事上培った英語力で外国人を案内すればどうでしょう。自ずと交通費がかかりますし、外国人と一緒に少し飲み食いをするとか、そういうことが起こって、日本の人口減少による活性度の低下を持ち上げる効果が期待できると思います。 |
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(生島) 法橋さん。最近は間接金融に頼らないで直接金融でいろいろな形でファンドを立ち上げたり、直接的にお金を投資していただきビジネスを始めたりする人もいるのですが、こうした中にあって、より地域が元気になる、そして国も元気になるという労金の役割を考えた場合、労金としては、どういうことをやり、また、どういう人を応援したいとお考えですか。 |
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(法橋) そうですね。金融として考えましたら、労金だけではないかもしれませんが、コミュニティ・ビジネスもしくは地域貢献型事業への融資があるわけです。今はまだまだ少ないですが、安定的にたくさん大きくなってきた場合、それを逆にSPCなどを通して証券化していけば、市民が市民投資家としてお金を通してそういった事業をサポートする側に回れるのかと思ったりします。そういった金融技術を通じて、ボランティア等はできないけれども、こういった事業を応援しようかという市民を市民投資家として参画させるスキームを作る可能性も、それはそれであるのかなと思います。また、労金だけではなく、企業の社会貢献活動についても、時代時代はありますが、特に関西では継続してそれなりに動いていますから、そういう所との連携や大阪府との連携などを通して何か応援するためのファンドを作るなど、いろいろな形は考えられると思います。 |
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(生島) 金融がだんだん複雑になってきてはいるのですが、個人も企業をおやりの方もいろいろな意味で金融の知識を持っていかないと大変な時代です。川北先生、いろいろな意味で今後生き残っていくためには金融に関する情報をしっかり身に付けるということが大切です。また、そういう意味で、金融機関や、特に高見さんがかかわっているような事業などの関係で、こういうものを使うといい形でもっとビジネスができますよ、収益が増えますよといった情報を流していただくこともとても大切な時代ですよね。 |
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(川北) それに関して申し上げますと、先ほど前半のセッションで投資のリスク、すなわちどこまで損する可能性があるのか、これをきちんと考えて投資をするべきだと申し上げました。この観点から地域ファンドのことを考えてみますと、それはすごくいい事だと思うし、地域の活性化に役に立つと思います。ただし、万が一の場合を考えると、大阪なら大丈夫かもしれませんが、吹田市とか茨木市の地域ファンドはかなりリスクがあるわけです。例えば、地震が来てその地域が壊滅的な打撃を受けると、そのファンド自身が大きな損失を生む可能性があると思います。そういうリスクを地域金融機関として防ぐためには、労金は全国組織なので、それぞれの労金が作り上げた地域ファンドを全国組織でカバーをして、全国規模で投資できるようにすることが必要です。そうすれば、どこかの地域が地震で打撃を受けたとしても、他の地域がカバーしてくれる仕組みが作れるわけです。地銀も同じです。 |
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(生島) ありがとうございます。法橋さん、僕は思うのですが、自分で最近いろいろな事をやってみて、知らない自分はもったいないと。銀行にだけ預けておいて、これは安全だ、ペイオフの対策も取っているということで、ゼロ金利でいくのも安全なのですが、多少リスクを取って、それこそ外国の物や国内の物で分散投資して、リターンを狙うのも手だなと思います。それは企業にも当てはまると思います。企業をおやりになる方も個人も地域中心にアクト・ローカリーでいいですが、しかし、世界的な流れで今動いているわけですから、シンクグローバリーが重要かなと思います。だからそういう発想で、地域も大切にするのだけれど、考え方としてはグローバルな考え方が時代として必要ですよね。 |
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(法橋) 必要ですね。当然アクト・ローカリーではありますが、物事はやっぱり社会的に、世界的に動いています。大きなお金の流れがどうなっているのかというあたりから、すべてそうですね。オルタナティブとは言え、「共生型の経済」が世界の潮流として着実に動きつつあるという大きな脈絡の中で、グローバルに考えていきたいですね。 |
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(生島) そうですね。高見さん、そういう点では本当にいろいろな意味で情報もきちんと提供していただいて、それを上手く活用して、例えば個人投資家になることもできますから、いい形で活かしていただきたいですよね。 |
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(高見) そうですね。私たちももっと勉強させていただいて、賢くがんばって行きたいと思っております。ただ、申し上げたい事は、この流れは私たちが思っているよりも長期で強いのではないかと思っています。 |
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(生島) 今のこの流れというのは、どの流れを指すのですか。 |
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(高見) コミュニティ・ビジネスの流れでしょうか。今はNPO法人の形が80%ぐらいを占めています。福祉系、特に高齢者、障害者に関わる活動が多いと思いますが、もっと多様化するでしょうし、規模も多様化すると思います。また後で、美男美女が写っているリーフレットをご覧いただきたいと思うのですが「おおさか元気ネットワーク」といいます。中小企業では異業種交流のような形で当事者が集まって当事者が運営している組織です。助け合いの組織であり、後から来る人たちを中間支援としてサポートしていこうということなのですが、現在今年は月1回大阪市内でカフェをやっています。誰かが発題をして自由に交流してもらって懇親もしていくことなのですが、毎回30人〜50人が来られるのです。現在、大阪府も大阪市もいろいろな形でセミナーをやられていますが、ここにもたくさんの方が来られています。そういった意味での人の関心は非常に高いですし、何かやりたいという人はものすごく多いと思うのです。 |
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(生島) ありがとうございました。本当にこれからのコミュニティ・ビジネスの活性化を祈念したいと思います。 |
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