アクセスFSA 第44号(2006年7月)
貸金業制度等に関する懇談会(第18回)において挨拶する与謝野大臣(7月27日) 櫻田副大臣とDFSA(ドバイ金融サービス機構)デイビット・ノットCEOとの面会(7月23日)
貸金業制度等に関する懇談会(第18回)において挨拶する与謝野大臣 櫻田副大臣とDFSA(ドバイ金融サービス機構)デイビット・ノットCEOとの面会
(7月27日) (7月23日)
目 次
【トピックス】
 ○  4大監査法人の監査の品質管理について
 ○  「アジア金融資本市場とわが国市場の発展に関する共同研究」論点整理の公表について
 ○  保険会社に係る検査マニュアルの改訂について
 ○  「証券会社の市場仲介機能等に関する懇談会論点整理」の公表について
 ○  地域銀行の平成17年度決算の概要について(暫定集計値)
 ○  金融庁と米国証券取引委員会との間の「日米ハイレベル証券市場対話」について
 ○  取引等の適切性確保への取組みの再徹底について
 ○  「最終報告〜ニーズに合致した商品選択に資する比較情報のあり方〜」の公表について
 ○  情報セキュリティに関する検討会の概要について
 ○  平成18年3月期有価証券報告書に係る重点審査について
 ○  有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項について(平成18年3月期版)
【特  集】
 ○  金融商品取引法制の概要について(第1回)
 ○  証券取引法施行令の一部を改正する政令
〜 証券取引法等の一部を改正する法律の一部施行に伴う政令改正の概要 〜 
【金融ここが聞きたい!】
【お知らせ】
 ○  平成18年度「子ども見学デー」の開催について
 ○  大臣・副大臣・政務官への質問募集中
 ○  新着情報メール配信サービスへのご登録のご案内
【6月の主な報道発表等】


【トピックス】
 
4大監査法人の監査の品質管理について


.はじめに
 公認会計士・監査審査会は、公認会計士法に基づき日本公認会計士協会(以下「協会」)から監査業務の状況調査(以下「品質管理レビュー」)の報告を受け審査を行い、必要に応じて検査を行っています。
 
(参考 )「品質管理レビュー」とは、監査業務の公益性に鑑み、協会が「監査を遂行する主体としての公認会計士又は監査法人が行う監査の品質管理状況をレビューし、その結果を通知し、必要に応じ改善を勧告し、当該勧告に対する改善状況の報告を受ける」(日本公認会計士協会会則第87条第1項)ものであり、公認会計士による監査業務の質的水準の維持、確保を目的とし、平成11年4月から協会が自主規制として実施しているものです。


.4大監査法人に対する早急な検査等の措置
 こうした中、4大監査法人(あずさ監査法人、監査法人トーマツ、新日本監査法人及び中央青山監査法人)については、昨今の会計監査を巡る情勢、国際的な監査事務所に対する監督監視の動向を踏まえ、公益又は投資者保護のために、平成17年10月25日に「4大監査法人に対する早急な検査等の措置」を公表し、監査の品質管理の観点から、順次、協会が行う品質管理レビューの審査及び検査を行いました。


.4大監査法人の監査の品質管理について
 平成18年6月30日には、この検査の結果を踏まえ、4大監査法人の監査の品質管理に関する実態について取りまとめ、「4大監査法人の監査の品質管理について」として公表しました。これら検査で検証した限りにおいて、4大監査法人のいずれにおいても、監査の品質管理のための組織的な業務運営が不十分であると認められました。具体的には、業務運営全般、独立性、監査契約の新規締結・更新、監査業務の遂行、監査調書、監査業務に係る審査、品質管理システムの監視、共同監査、組織的監査等に関して不十分なものが認められました。また、個々の監査業務に関する品質管理においては、一般に公正妥当と認められる監査基準への準拠に不十分なものが認められました。


.4大監査法人に対する検査結果に基づく勧告
 検査結果を受け、4大監査法人において、監査の品質管理のための組織的な業務運営が不十分であると認められたこと等から、金融庁長官に対して、業務改善の指示をするよう勧告しました。


.おわりに
 公認会計士・監査審査会においては、今後、4大監査法人における監査の品質管理のための組織的な業務運営に係る改善状況についてフォローアップを行うとともに、国際的な動向や昨今の会計監査を巡る状況を踏まえ、規模による特性等に留意しつつ、協会の品質管理レビューの審査を行った後、必要に応じて中規模監査法人への検査を実施することとしています。
 また、平成17年2月に協会に対して改善を要請した品質管理レビューに係る提言から1年余りが経過していることから、その改善状況について検証することとしています。


 詳しくは、金融庁ホームページ内・公認会計士・監査審査会の「新着情報一覧」から、「4大監査法人の監査の品質管理について」(平成18年6月30日) にアクセスしてください。

「アジア金融資本市場とわが国市場の発展に関する共同研究」論点整理の公表について

 わが国とアジア諸国との経済的な相互依存性が高まる中で、アジアの金融資本市場の健全な発展はわが国を含めたアジア経済の安定的な成長にとって不可欠であり、アジアの金融拠点としてのわが国金融資本市場・金融機関がより大きな役割を果たしていくことが求められています。

 このような認識のもと、金融庁は、財務省及び日本銀行の協力を得て、「アジア金融資本市場とわが国市場の発展に関する共同研究」を開催しました。同共同研究においては、金融機関等関係者を中心としたヒアリング調査を行ったほか、平成18年1月より外部有識者懇談会(座長:吉野 直行慶應義塾大学教授)を設置し、計3回にわたりアジアの金融資本市場およびその拠点としてのわが国市場の現状と今後の課題について議論し、去る6月30日に共同研究会として把握した実態および抽出した論点を事務局において「アジア金融資本市場とわが国市場の発展に関する共同研究」論点整理としてとりまとめ、公表しました。本稿では、その概要をご紹介します。

I

.「アジア金融資本市場とわが国市場の発展に関する共同研究」論点整理の概要
 
.アジア金融資本市場の概況と我が国の課題
 
 アジア金融資本市場の概況
 アジア通貨危機からの回復以降、アジアはその成長性を背景に金融サービス市場としての重要性を増す一方、○欧米系金融機関のプレゼンスの拡大、○経済成長および中間層の増加等を背景としたリテール市場の拡大、などの変化を遂げつつあります。ただし、域内諸国により市場育成の努力がなされつつあるものの、依然として資本市場が未成熟であり、域内の資金環流は限定的です。
 また、アジア域内諸国は金融の自由化・対外開放に向けて動きつつも、現状においては、金融サービス規制、税制、外国為替関連規制等の内容・度合いが多様です。また、1990年代後半に各国において急ピッチで進められた企業統治改革の一貫として、透明性・信頼性のある企業財務データの充実にむけた企業情報開示など制度面での金融インフラ整備が進展しつつあるものの、制度の実効性の確保において課題を抱えていることなどが指摘されます。


 我が国金融機関のアジア業務の動向
 我が国金融機関は、1990年代中盤以降、アジア通貨危機等一連の国際金融危機や国内の不良債権問題等を受けて、海外業務の縮小・撤退という対応をとりました。この間、欧米金融機関は、通貨危機後の企業再編に伴う投資銀行業務、現地金融機関の買収およびブランドバリューを生かしたリテール業務の展開などを通じプレゼンスを拡大し、アジアからの収益比率を向上させつつあります。他方、従来からの我が国金融機関のアジア業務の主要取引先である日系企業の金融サービスニーズについては、これら企業の内部金融機能の強化やアジア域内での生産・販売ネットワークの確立に伴う事業内容の変化により、高度化・多様化してきています。
 しかし、直近の邦銀の日系現地企業向け貸出の急伸にみられるように、我が国金融機関はアジアへの再展開を進めつつあり、アジアにおける日系企業の展開の広がりと深度を活かし、今後とも日系企業関連業務により、一定の収益を確保していくものと考えられます。そのためには、日系企業の多様化する金融サービスニーズに対応するため、我が国金融機関が、現地通貨建て業務、M&Aおよび関連アドバイザリー業務、キャッシュ・マネジメント・サービス、債権流動化業務等の一層の充実を図っていくことが求められます。
 また、我が国金融機関は非日系企業との取引関係の構築において、商品開発・提案力の向上や投資家層の一層の開拓が必要であるほか、地場の事業慣行や信用リスク等を含む情報収集などの側面において優位性が高いローカルスタッフの活用など事業態勢の現地化について検討していく必要があります。


 我が国当局の対応
 アジア金融資本市場の発展に向けての当局の対応としては、金融機関の適正な検査・監督に向けた金融監督当局間の連携強化、金融サービス規制緩和に向けた交渉、金融インフラ整備およびこれら諸制度の実効性確保にかかる技術支援などが重要です。特に、アジアの金融資本市場の発展には、情報開示・監査の質的向上が必要であり、当局間での政策・慣行にかかる情報共有や、アジア各国当局の能力の拡充・人材育成にかかる協力が求められます。また、アジアにおいては、引き続き間接金融が大きな位置づけを占めるものと考えられることから、銀行部門におけるガバナンスの向上や銀行部門が融資先企業の企業統治をモニタリングしていくことも重要です。銀行部門がこうした機能を果たす上でも、銀行監督の重要性は高く、この点においてアジア各国の監督当局との協力が重要となります。


.地域金融協力
 他方、地域金融協力(アジア債券市場イニシアティブ)の観点からは、域内の市場は、発行体・投資家双方の厚みを増す必要性、国債市場と比較して未発達な社債市場の育成、市場ルールの明確化、情報開示・格付等の市場インフラの更なる整備といった共通の課題を引き続き抱えており、今後も官民一体となって取組みを進めていく必要があります。


.アジアの資金環流における我が国市場の役割
 我が国市場にかかる制約は金融ビッグバンによる規制緩和によりほぼ取り除かれたものの、近年の日本経済の停滞に伴う取引低迷などから、国際化は必ずしも十分に進展していません。今後、我が国の金融資本市場が、豊富な金融資産を背景にアジア諸国の資金調達市場として重要な役割を果たしていくためには、外国企業の上場の促進、JDR(日本版預託証券)の活用や市場の利便性を一層高める方策や、クロスボーダーの円建てシンジケートローン市場の発展とそのための取組みについて検討する必要があります。

II

.今後の対応
 金融庁としては、本論点整理を今後の金融行政の参考とするとともに、民間金融機関においても海外業務展開の中で参考とされていくことを期待しています。


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」または「国際関連情報」から、「「アジア金融資本市場とわが国市場の発展に関する共同研究」論点整理の公表について」(平成18年6月30日) にアクセスしてください。
 

 金融庁総務企画局総務課国際室が事務局。

「保険会社に係る検査マニュアル」の改訂について


.はじめに

 金融庁は、平成12年6月に策定した「保険会社に係る検査マニュアル」(以下「保険検査マニュアル」という。)について、今般、より保険会社の実態に即応した検査の手引とするために大幅な改訂を行いました。改訂に際しては、その案を公表して広く一般からのご意見を募り、所要の修正の上で、本年6月30日に検査局長通達として発出・公表しました(便宜上、改訂前の保険検査マニュアルを「旧マニュアル」、改訂されたものを「改訂マニュアル」という)。本コーナーにおいては、改訂マニュアルの概要等について説明させていただきます。


.改訂マニュアルの概要

 改訂マニュアルは、保険会社全体に共通の視点として「内部管理態勢」及び「法令等遵守態勢」を位置付けています。そして、保険会社の業務を念頭に置きつつ、「保険募集」、「顧客保護等」、「財務の健全性・保険計理」、「商品開発」、「保険引受リスク」、「資産運用リスク」及び「オペレーショナル・リスク等」といった項目に分けて、検査におけるチェック項目を整理しています。旧マニュアルと異なり、業務ベースで作成をしているものの、旧マニュアルで検証の対象としていた各種リスクについても、引き続きチェック項目として盛り込んでいます。
 改訂内容は、「保険会社向けの総合的な監督指針」の策定、保険業を巡る法令の改正、及び社会経済情勢の変化等を踏まえたもので、全体的に改訂を行っています。
 改訂マニュアルは、平成18検査事務年度(平成18年7月以降)より実施する検査から適用されます。また、その対象とする範囲は全ての保険会社であり、保険会社の海外拠点、外国保険会社の在日支店及び特定法人を含みます。


.各チェックリストの内容
 

(1)

 内部管理態勢の確認検査用チェックリスト
 保険会社においては、経営に対する規律付けが有効に機能し、適切な内部管理が行われる必要があることから、保険会社における内部管理態勢を確認するチェックリストを作成しました。
 「内部管理態勢」には、取締役会等の役割、リスク管理、内部監査、外部監査、保険計理人の役割といった内容を記載しています。例えば、取締役及び取締役会の役割については、○企業倫理の構築及びその具体的な担保のための態勢整備、○経営方針及び経営計画の策定・周知、○経営管理上必要な情報の取得・共有、当該情報の検討・分析・議論、○業務の適正等確保に必要な体制の構築に係る基本方針の策定、○業務執行の意思決定、業務執行の監督、○善管注意義務、忠実義務の履行、○コンプライアンス、リスク管理、内部監査の担当部門に対する適切な評価、○情報開示体制の確立等を確認することとしています。

(2)

 法令等遵守態勢の確認検査用チェックリスト
 保険会社の業務の全てにわたって法令等が遵守されることの重要性にかんがみ、全社的な法令等遵守態勢を整備・確立する必要があることから、法令等遵守態勢の整備・確立状況を確認するチェックリストです。「法令等遵守態勢」は、「内部管理態勢」とともに、保険会社全体に共通の視点として位置付けています。
 本チェックリストは、法令等遵守態勢の整備・確立状況、不祥事件等への対応、業務範囲、本人確認、疑わしい取引の届出といった中項目で構成されています。

(3)

 保険募集管理態勢の確認検査用チェックリスト
 保険契約の募集、締結に当たっては、顧客の保護を図るため、適正な保険募集管理態勢が整備・確立される必要があることから、保険募集管理態勢を確認するチェックリストを作成しました。
 保険募集の適正性に関するチェック項目には、生命保険関係・損害保険関係と書き分けている項目に加えて、第三分野の増大やクロスセリングの普及等を背景に生損保共通の項目を設けて検証を行うこととしています。

(4)

 顧客保護等管理態勢の確認検査用チェックリスト
 保険契約の管理は、顧客の利益保護等の観点から適切かつ迅速に行われる必要があります。また、保険金等の支払いは保険会社の運営の根幹をなす基本的かつ最も重要な機能の一つで、これらの業務を行うに当たっては、適切な判断及び迅速な事務処理を行う態勢が整備されなければなりません。さらに、顧客の苦情等への対応や顧客情報の取扱いについて適切な管理態勢が整備・確立される必要があることから、これらについて顧客保護等管理態勢を確認するチェックリストを作成しました。
 「顧客保護等管理態勢」は、今回の改訂において新規に設けた大項目であり、中項目として、保険契約管理態勢、保険金等支払管理態勢、苦情処理態勢、顧客情報管理態勢を設けています。
 このうち、保険金等支払管理態勢については、保険契約者等の保護を図る観点から、保険金等の支払いを適切に行うための態勢整備について記載しています。例えば、支払管理部門の設置を含む保険金等支払管理態勢の整備・確立状況に関するチェック項目や、支払管理部門の役割に関するチェック項目を設けています。

(5)

 財務の健全性・保険計理に関する管理態勢の確認検査用チェックリスト
 財務の健全性・保険計理に関する管理は、保険会社の責任を確実に果たし、保険契約者等の保護には不可欠であることから、その態勢を確認するチェックリストを作成しました。
 責任準備金等の積立ての適切性やソルベンシー・マージン比率の適正性については、本チェックリストに記載されています。また、保険会社では、将来の不利益の発生が財務の健全性に与える影響を把握し、必要に応じて追加的に経営上又は財務上の対応をとっていく必要があることから、ストレス・テストの実施や将来収支分析といった経営分析が重要となりますので、経営分析の実行に関するチェック項目を新規に設けています。

(6)

 商品開発管理態勢の確認検査用チェックリスト
 保険会社が商品開発を行うに当たっては、保険業法等の法令等を踏まえ、自己責任原則に基づき、リスク面、財務面、募集面、法制面等あらゆる観点から検討する管理態勢の整備が求められています。保険商品については、保険契約者等の保護の面で問題が少ない分野は順次届出制へ移行するなど弾力化が図られており、従来にもまして、保険会社における商品開発に係る管理態勢の充実が重要となっています。こうした観点から、保険商品の開発管理態勢や、商品販売開始後のフォローアップについての具体的なチェックリストを設けています。

(7)

 保険引受リスク管理態勢の確認検査用チェックリスト
 保険の引受は長期にわたって保険会社の経営に重大な影響を与えることから、保険引受リスク管理態勢を確認するチェックリストを作成しました。
 保険商品は、将来にわたる収支予測をもとに、保険契約締結時に保険料を決定し以降の保障を約束するという特殊性を有するものであり、経済情勢や保険事故の発生率等が保険料設定時の予測に反して変動することによるリスクを負っています。こうした保険会社に特有のリスクを管理することの重要性にかんがみ、大項目として設けているものです。

(8)

 資産運用リスク管理態勢の確認検査用チェックリスト
 資産運用に係るリスクの所在や負債特性等を踏まえた管理を行うことが重要であることから、資産運用リスク管理態勢を確認するチェックリストを設けています。
 市場関連リスク管理態勢、信用リスク管理態勢、不動産リスク管理態勢を、資産運用リスク管理態勢の下に集約しています。なお、保険会社の業務や検査官の使いやすさを考慮し、信用リスク検査用マニュアルは付属資料と位置付けています。

(9)

 オペレーショナル・リスク等管理態勢の確認検査用チェックリスト
 全ての業務に所在する事務リスクの管理やシステムリスク管理等は重要であることから、オペレーショナル・リスク等管理態勢を確認するチェックリストを作成しました。
 事務リスク管理態勢、システムリスク管理態勢、及び流動性リスク管理態勢に関するチェック項目に加え、危機管理態勢のチェック項目を新設し、全体としてオペレーショナル・リスク等管理態勢という大項目を設けています。

(10

) 付属資料
 改訂マニュアルでは、検査官の使いやすさを考慮し、実地調査用チェックリスト及び信用リスク検査用マニュアルを付属資料という扱いにしました。実地調査用チェックリストは、保険会社の営業拠点等、生命保険募集人及び損害保険代理店について、検査官が実地調査を行う際に活用するための例示です。


.おわりに

 検査マニュアルはあくまでも検査官が保険会社を検査する際に用いる手引書として位置付けられるものです。各保険会社においては、自己責任原則の下、本検査マニュアル等を踏まえ創意・工夫を十分に生かし、それぞれの規模・特性に応じたより詳細なマニュアルを自主的に作成し、保険会社の業務の健全性と適切性の確保、顧客の保護を図ることが期待されています。
 金融庁としては、本検査マニュアルの整備により、当庁の保険会社に対する検査機能の一層の向上に資することができるものと考えています。また、本検査マニュアルのチェック項目を保険会社と共有することで、検査における保険会社と検査官の双方向の議論が充実し、より効率的かつ実効的な検査につながるとともに、金融行政の透明性の向上に資することが期待されます。


 詳しくは、金融庁ホームページの「報道発表資料」または「パブリックコメント」から、『「保険会社に係る検査マニュアル」の改訂について』(平成18年6月30日)にアクセスしてください。

「証券会社の市場仲介機能等に関する懇談会 論点整理」の公表について

 金融庁監督局に設置された「証券会社の市場仲介機能等に関する懇談会」(詳細はアクセスFSA第41号参照)においては、本年3月から議論を行い、先月30日に論点整理をとりまとめ、公表しました。
 昨今の投資家による不公正取引及び発行体による不正行為、あるいは、昨年来の株式市場における誤発注等の事例を見ても、証券市場を巡っては、多くの課題があることが窺えます。
 こうした諸課題への対応としては、先般成立した金融商品取引法等の法制備及びエンフォースメント(法執行態勢)の強化と並んで、市場仲介者として高い公共性を担う証券会社 (注) が、自己規律の維持を通じて、適切にその機能を発揮することが求められると考えられます。


 (注


) 証券会社の役割
 証券市場においては、機関投資家、一般の個人投資家、ファンド等の様々な投資家が存在し、また上場企業等の様々な発行体が存在しますが、いずれの主体が証券市場にアクセスする際にも、証券会社の仲介が必要となります。こうした市場仲介者としての証券会社には、市場仲介機能の効率的かつ安定的な発揮と投資家及び発行体の不公正取引等に対するチェック機能の発揮が求められます。
 また、証券会社自身が、市場プレイヤーとして自己売買等を行っていますが、その際には、高い自己規律の下での健全且つ適切な業務運営が求められていますPDF【図1】
 そして、そのための具体的な方策としては、証券業協会等の自主規制機能の活用や証券会社の自己規律を高めるための規範の整備が必要であると考えられます。


 懇談会においては、こうした問題意識に基づき、
I )市場仲介者としてのオペレーションの信頼性の向上
II )発行体に対する証券会社のチェック機能の発揮
III )投資家に対する証券会社のチェック機能の発揮
IV )市場プレイヤーとしての証券会社の自己規律の維持
の4つのテーマに沿って検討を行ってきました。

 その成果として、懇談会の論点整理においては、現下の証券市場を取り巻く諸課題の中で、証券会社が取り組むべき課題の抽出、特定が行われています。そして、特定された課題について、今後の取組みの方向性が示され、証券業協会あるいは証券取引所等の関係者に対して業界自身による倫理規定、自己規制規則等の検討要請が行われていますPDF【図2】

 既に、証券業協会においては、誤発注防止のための自主規制規則の制定等、一定の対応がなされているものがあります。また、引受審査の課題については、同協会において、ワーキンググループや分科会が設置され、精力的に議論が行われています。今後は、懇談会で示された方向性に従い、引き続き、関係者による積極的な取組みが行われることが期待されます。金融庁としても、適切な貢献・支援を行っていくつもりです。


 詳しくは、金融庁ホームページの「審議会・研究会等」から、『「証券会社の市場仲介機能等に関する懇談会 論点整理」の公表について』(平成18年6月30日)にアクセスしてください。  

地域銀行の平成17年度決算の概要について(暫定集計値)

 地域銀行の平成17年度決算発表を受けて、金融庁では各行の発表した計数等を集計し、平成18年6月9日に公表しました(公表後、銀行による修正を踏まえて6月29日に更新)。
 以下、地域銀行の平成17年度決算の概要について説明します。


.損益の状況
 銀行の本業の利益である実質業務純益は、19,864億円と平成17年3月期(19,634億円)に比べて微増となりました。実質業務純益が微増となる中、不良債権処分損が減少したこと等から、当期純利益は10,190億円となり、平成17年3月期(7,983億円)に比べて大幅に増加し、過去最高水準となりました。


.自己資本比率の状況について
 自己資本比率(単体加重平均ベース)は9.8%となり、平成17年3月期(9.4%)から0.4%ポイント上昇しました。


.不良債権の状況について
 不良債権(金融再生法開示債権)残高は86,775億円となり、平成17年3月期(103,674億円)と比べ16,899億円減少しました。
 不良債権比率は4.5%と平成17年3月期(5.5%)に比べ1.0%ポイント低下し、ピーク時の平成14年9月期(8.3%)の半分近い水準となり、全体として、引き続き着実に低下していると考えられます。


 詳しくは金融庁ホームページの「報道発表資料」から「地域銀行の平成17年度決算の概要(暫定集計値)」(平成18年6月9日) 及び「地域銀行の平成17年度決算の概要(更新)(暫定集計値)」(平成18年6月29日)にアクセスしてください。

平成18年3月期は地方銀行64行、第二地方銀行47行、埼玉りそな銀行の112行、平成17年3月期は地方銀行64行、第二地方銀行48行、埼玉りそな銀行の113行。


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