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5.登録金融機関の監督事務
 

5−1  登録金融機関の監督事務の取扱い
 登録金融機関の監督事務に係る財務事務所長等への再委任、金融監督庁長官への協議及び報告については、1−1−1、1−1−2(マル3マル4マル5マル7マル8マル13を除く。)、1−1−3((3)、(5)、(6)、(8)を除く)、1−1−4((1)を除く)に準ずるほか、次のとおり取扱うものとする。なお、別紙様式については、字句を適宜読み替えるものとする(以下同じ。)。
 
(1)  金融機関の証券業務に関する命令別紙様式第6号第7号及び第13号は、多くの登録金融機関が取扱う有価証券を典型例として挙げているに止まるため、実際の報告書においては業務を行っているすべての有価証券について各項目を挙げて記載されているかどうかに留意するものとする。
 
(2)  (1)の有価証券は短期有価証券に係る業務を行う登録金融機関にあっては次に掲げる有価証券とする。
 
マル1  法第2条第1項第8号に基づく「証券取引法第2条に規定する定義に関する省令」第1条に定める有価証券(及び法第2条第1項第9号に掲げる有価証券のうち同項第8号の性質を有するもので国内で発行されるもの)(「国内CP」という。)
 
マル2  法第2条第1項第9号に掲げる有価証券のうち、同項第8号の性質を有するもので海外で発行されるもの(「海外CP」という)
 
マル3  法第2条第1項第11号に基づく令第1条に定める有価証券(「海外CD」という。)
 
(3)  (1)の有価証券は資産金融型有価証券に係る業務を行う登録金融機関にあっては次に掲げる有価証券とする。
 
マル1  法第2条第1項第3号の2、第4号、第5号の3及び第9号の有価証券のうち、令第17条の2第2項第1号に定める有価証券並びに令第17条の2第2項第2号及び第3項に基づく「証券取引法施行令第17条の2第2項第2号及び第3項に規定する有価証券を定める命令」第1条及び第2条に定める有価証券(「資産対応証券等」という。)
 
マル2  法第2条第1項第10号に基づく「証券取引法第2条に規定する定義に関する省令」第2条に定める有価証券(「Cards等」という。)
 
マル3  法第2条第2項第1号に基づく令第1条の3に定める有価証券(「貸付債権信託受益権等」という。)及び法第2条第2項第2号に掲げる有価証券のうち貸付債権信託受益権等の性質を有するもの

 

5−2  銀行、信託会社その他政令で定める金融機関(以下「金融機関」という。)からの登録申請に係る留意事項
 金融機関からの登録申請書の取扱い等にあたっては、2.(2−1−2、2−1−4を除く。)に掲げる事項に準ずる点に留意するほか、次の点に留意するものとする。
 
(1)  金融機関の証券業務に関する命令別紙様式第1号第5面には、記載する営業所又は事務所(以下「営業所等」という。)ごとに当該営業所等が行う法第65条第2項各号の業務を明示する。
 
(2)  国債証券等のディーリング業務全般(受注、売買及び受渡し)を営む金融機関の営業所等にあっては、当該業務に係る組織、業務分掌及び職務権限は、投資目的(特定取引勘定を設けている金融機関については特定取引勘定以外の勘定で行う場合。以下同じ。)の売買業務等及び融資業務から明確に分離、独立し、かつ、担当職員は投資目的の売買業務等及び融資業務と兼任していないこと。
 
(3)  先物取次業務を行う金融機関にあっては、
 
マル1  顧客に係る国債証券等の有価証券先物取引等の情報が、自己売買部門に伝達されて不当に使用されることを防止すること。従って、先物取次業務等全般を営む営業所等にあっては、当該業務に係る組織、業務分掌及び職務権限は、原則としてその他の業務(法第65条の2第1項の登録に係る業務のうち、法第2条第8項第2号及び第3号業務以外の業務を含む。)から分離、独立していること。
 
マル2  先物取次業務等を行う営業所等にあっては、顧客に対して融資・保証等の特別の便宜の提供を約して勧誘することを防止する必要があり、その趣旨に従った業務を行うべく組織上配慮していること。
 
(4)  短期有価証券の売買等の業務全般を営む金融機関の営業所等にあっては、当該業務全般を担当する部門に係る組織、業務分掌及び職務権限は、融資業務及び短期有価証券に係る投資目的の売買業務等から明確に分離、独立し、かつ、担当職員は融資業務及び短期有価証券に係る投資目的の売買業務等と兼任していないこと。
 
(5)  資産金融型有価証券の売買等の業務全般を営む営業所等にあっては、当該業務全般を担当する部門に係る組織、業務分掌及び職務権限は、融資業務及び資産金融型有価証券に係る投資目的の売買業務等から明確に分離、独立し、かつ、担当職員は融資業務及び資産金融型有価証券に係る投資目的の売買業務等と兼任していないこと。
 
(6)  有価証券の私募の取扱い業務を行う登録金融機関にあっては、私募の取扱い業務の所管部局及びその遂行については、融資・有価証券に係る投資業務・社債管理業務との間でのいわゆる機微情報の流出入の遮断、そのための組織面での手当等に十全を期していること。
 
(7)  金融機関登録簿に記載する登録番号は次のとおりとする。

  ・ ○○財務局長(金)第○○号
 

(8)  信用金庫等の出資の総額の変更届出書については、2−2−4(2)に準ずるものとする。

 

5−3  登録金融機関の監督事務
−3−1 登録証券業務に係る留意事項
 
(1)  顧客に対して信用の供与を条件として有価証券の取得または証券業務に係る取引を強要する行為は行わないこと。
 
(2)  国債証券等のディーリング業務を行う登録金融機関にあっては、
 
マル1  業務を明確に区分するという趣旨にかんがみ、当該業務と投資目的の売買業務等を一体として営んではならないのは当然であるが、これらの部門間での顧客の紹介は厳に慎むこと。また、当該業務を行う場合には、取引先に対してあらかじめその旨を明示すること。
 
マル2  当該業務に係る経理処理及び国債証券等(及び外国国債証券)の取扱いについては、当該業務及び財産の状況を明らかにすること。
 
(注 )カッコは外国国債証券を取扱う金融機関のみが該当する。
 
マル3  特定取引勘定を設置しない登録金融機関の場合は、商品有価証券勘定と他の有価証券勘定との勘定間の振替は、一切行わないこと。特定取引勘定を設置する登録金融機関の場合は、特定取引勘定(外国銀行支店にあっては特定取引勘定と類似の勘定。以下同じ。)中の商品有価証券勘定とそれ以外の有価証券勘定との勘定間振替及び特定取引勘定中の商品有価証券派生商品勘定とそれ以外の有価証券派生商品勘定との勘定間振替は、一切行わないこと。
 
マル4  選択権付債券売買については、流通性の高い国債証券等を対象銘柄とする選択権料の気配について、店頭掲示する等適切な方法により投資者に公表するように努めること。
 
(注 )選択権付債券売買を行う登録金融機関のみが該当する。
 
(3)  先物取次業務を行う登録金融機関にあっては、
 
マル1  GLOBEX社の管理する端末を使用する取引を行う場合においては、営業として行う行為の規定にその旨を明記し、かつ、取引に当たっての取扱規程を定めること。
 
マル2  (2)マル2からマル4までの規定はこの号において準用する。
 
マル3  顧客に対して損失の穴埋め、委託証拠金(追証を含む。)のための信用供与を自動的に行わないこととし、次の処置をとること。また、明らかに委託証拠金(追証を含む。)のための信用供与は行わないこと。
 
 新規に債券先物取引用口座を設定し、当該口座について当座貸越を禁止する。
 
 同一名義人の当座貸越設定口座から、債券先物取引用口座への自動振替は行わない。
 
マル4  債券先物取引用口座への入金の処理については、あらかじめ当該顧客に対する担当者を決め、かつ、当該顧客(又はその資金担当者)の名前を登録させて、その都度事前に電話連絡等で当該顧客の了解を得ること。
 
(4)  短期有価証券の売買等の業務を行う登録金融機関にあっては、
 
マル1  当該業務全般を担当する部門については、国内CPの発行関連業務と融資業務等との間でのいわゆる機微情報の流出入の遮断等に十全を期すること
 
マル2  業務を明確に区分するという趣旨にかんがみ、ディーリング業務と短期有価証券に係る投資目的の売買業務等を一体として営んではならないのは当然であるが、これらの部門間での顧客の紹介は厳に慎むものとすること。
 
マル3  当該業務に係る経理処理及び当該短期有価証券の取扱いについては、当該業務及び財産の状況を明らかにすること。
 
マル4  (2)マル3の規定はこの号において準用する。
 
(5)  資産金融型有価証券の売買等の業務を行う登録金融機関にあっては、
 
マル1  業務を明確に区分するという趣旨にかんがみ、ディーリング業務と資産金融型有価証券に係る投資目的の売買業務等を一体として営んではならないのは当然であるが、これらの部門間での顧客の紹介は厳に慎むこと。
 
マル2  当該業務に係る経理処理及び当該資産金融型有価証券の取扱いについては、当該業務及び財産の状況を明らかにすること。
 
マル3  (2)マル3の規定はこの号において準用する。
 
(6)  保険会社は、令第18条第1項各号(第3号を除く。)に定める者(以下「代理人」という。)に法第65条の2第11項の特定証券業務を行わせる場合は、当該代理人が所属している代理店に当該特定証券業務の支援を行うことを委託することができるものとする。
 
−3−2 法第65条の2第3項に規定する業務の認可申請書に係る留意事項

 法第65条の2第3項に規定する業務の認可にあたっては、当該業務を行う部署が業務の遂行に必要な組織及び人員配置となっていること、3−1−1((1)、(3)、(4)を除く。)、3−1−2((1)、(2)、(4)を除く。)に掲げる事項に準ずる点のほか、次の点に留意するものとする。

(1)  元引受業務に係る留意事項
 
マル1  損失の危険相当額の算出方法や限度枠の設定が適当と認められるものであること(本条件については各登録金融機関の業法上求められるリスク管理の方法として適正なものと認められる場合には本条件は認められたものとみなす。)。
 
マル2  当該業務の検査を行う部署が独立した組織になっており、登録金融機関が行う当該業務のリスクに応じ適切な検査が実施されること。
 
(2)  有価証券店頭デリバティブ取引業務に係る留意事項
 
マル1  法第65条の2第4項において準用し、令第17条の4の規定により読み替えて適用する法第29条の4第5号に規定する登録金融機関については各業法における特定取引勘定を設けることの認可を受けていることを確認する。
 
マル2  金融機関の証券業務に関する命令第11条第2項第11号に規定する特定取引勘定に準ずる勘定を設ける能力を有していることとは、同号に規定する登録金融機関が特定取引及び特定取引の対象となる財産をその他の取引及び財産と区分して経理し、当該特定取引の経理にあたり当該財産に時価を付すこととした勘定を設けていることとする。
 
マル3  損失の危険相当額の算出方法や限度枠の設定が適当と認められるものであること(本条件については各登録金融機関の業法上求められるリスク管理の方法として適正なものと認められる場合には本条件は認められたものとみなす。)。
 
マル4  有価証券店頭デリバティブ業務を行うにあたって当該業務に係る組織、業務分掌及び職務権限は、投資目的の売買業務等(投資目的の有価証券店頭デリバティブ取引を含む。)及び融資業務(以下この号において「投資業務等」という。)から明確に分離、独立し、かつ、担当職員は投資業務等と兼任していないこと。
 なお、株式関連取引に係る内部者取引未然防止等のため、当該取引に係る情報に関する遮断に留意するものとする。
 
−3−3 分別保管に関する留意事項

 登録金融機関(預金取扱い登録金融機関に限る。5−3−3において同じ。)が証券業務に係る取引に伴って発生する顧客からの金銭の預託等を、当該登録金融機関の本来の業務である預金として取扱う場合には、当該金銭は分別保管の対象とならないことに留意する。
 

−3−4 累積投資業務に係る留意事項

 累積投資契約の締結業務を行うにあたっては、3−3の規定に準ずるものとする。
 

−3−5 登録対象となる外務員の範囲等

 登録対象となる外務員の範囲等については、3−6の規定に準ずるものとする。
 

−3−6 検査終了後のフォローアップ

 登録金融機関に対し検査部又は証券取引等監視委員会が実施した登録金融機関に対する検査については、3−7の規定に準じて検査終了後のフォローアップを行うものとする。
 

−3−7 金融機関の証券業務に関する命令第46条の規定に基づく 帳簿の省略等に係る留意事項

 帳簿の省略等に関する取扱いについては、3−9−1(3)及び(4)の規定に準ずるものとする。
 

−3−8 帳簿のマイクロフィルムによる作成・保存

 次に掲げる要件が満たされている場合には、法第65条の2第5項において準用する法第41条に規定する取引報告書及び金融機関の証券業務に関する命令第46条第1項各号に掲げる帳簿を一般に妥当と認められる作成基準により作成したマイクロフィルムにより保存することができるものとする。

(1)  金融監督庁長官及び証券取引等監視委員会による検査等において、各営業所等において直ちに書面による帳簿の作成が可能である場合

(2)

 マイクロフィルムの作成・保存に関する責任者をおき、管理の手続が整備されている場合


−3−9
 注文伝票のコンピューターへの直接入力による作成

 次に掲げる要件を満たす場合には、注文伝票をコンピューターへ直接入力することによって作成することができるものとする。

(1)  受注と同時に、注文内容をコンピューターへ入力すること。

(2)

 顧客の照会に対し、速やかに回答できるようになっていること。

(3)

 コンピューター作成の注文伝票については従来の手書きの注文伝票と同様の手段で保存されること。

(4)

 入力データのバックアップを定期的に作成・保存すること。なお、バックアップデータの保存においては、セキュリティーが確保されていること。

(5)

 入力した時刻が記録されていること。

(6)

 入力事績の取消・修正を行った場合その取消・修正記録がそのまま残されるシステムとなっていること。

(7)

 注文内容を電話により執行店に連絡するケース、コンピューターシステム稼働終了後に翌日の注文を受注するケース、災害等によりコンピューターが使用不能となるケース等受注と同時にコンピューターに直接入力して作成することが不可能な場合は、従来どおり、受注時に手書きで注文伝票を作成すること。ただし、受注時に作成した手書きの注文伝票とその注文内容を後で入力して作成した約定結果等が記載されたコンピューター作成の注文伝票を併せて保存する場合は手書きの注文伝票に追記を行う必要はない。

(8)

 内部監査に対応できるシステムとなっていること。

(9)

 コンピューターへの直接入力に関する社内規則が整備されていること。


−3−10
 帳簿の電子媒体による保存

(1)

 証券業務に関する帳簿の電子媒体による保存の対象となる帳簿は、法第65条の2第5項において準用する法第41条に規定する取引報告書及び金融機関の証券業務に関する命令第46条第1項各号に掲げる帳簿で顧客に対して交付するものを除いた全てのものとする。ただし、注文伝票に関しては5−3−9に基づいてコンピューターへの直接入力により作成している場合に限る。

(2)

 次に掲げる要件を満たす場合は、証券業務に関する帳簿を電子媒体により保存することができるものとする。

マル1

 金融機関の証券業務に関する命令別表第9から第15までに規定する全ての記載事項が電算システムにより作成され、電子データとして保存されること。

マル2

 保存に使用する電子媒体は商法に規定する10年の保存期間の耐久性を有すること。

マル3

 データ保存に使用する電子媒体の一つを「原本」として定め、その旨を明示すること(帳簿の保存状態の判定はこの「原本」に準拠して行うものとする。)。

マル4

 マル3の「原本」のバックアップを定期的に作成し、これを「副本」として保存すること。なお、「副本」については、「原本」と同様のセキュリティー確保がされていること。

マル5

 顧客の照会に対し、速やかに回答できるシステムとなっていること。

マル6

 保存されているデータにつき合理的期間内にハードコピーによる帳簿の作成が可能なシステムとなっていること。

マル7

 入力データの取消・修正を行った場合、その取消・修正の記録がそのまま残されるシステムとなっていること。

マル8

 内部監査に対応できるシステムとなっていること。

マル9

 作成・保存に関する責任者をおき、当該作成・保存に関する社内規則が整備されていること。

マル10

 電算システムにより作成した帳簿のハードコピーに手書きによる追記・補完等を行った場合は、当該ハードコピーを原本として保存すること。
 

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