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7.弊害防止措置関係
 

7−1  法第45条ただし書の規定に基づく弊害防止措置の適用除外の承認について
−1−1 法第45条ただし書の承認があったものとみなす場合

 証券会社の取締役又は監査役が、次に掲げる法人の理事、監事等を兼ねることにより、当該法人が当該証券会社の親法人等に該当することとなる場合において、当該証券会社が法第54条第1項の規定による届出をしたときは、当該証券会社又はその取締役、監査役若しくは使用人について、当該法人の関与する行為に限り、法第45条ただし書の承認があったものとみなす。

 マル1  証券業協会
 
 マル2  投資者保護基金
 
 マル3  証券取引所
 
−1−2 法第45条ただし書の承認に基づく内部管理に関する業務の遂行における基本原則及び承認にあたっての基本理念

 本来、内部管理に関する業務は証券会社等(証券会社の行為規制等に関する命令第11条の2第1項に規定する証券会社等をいう。7−1−2及び7−1−3において同じ。)にとって業務の健全性を確保する上で重要な業務であること、また、法令により証券会社による銀行業及び銀行による証券業は原則禁止されていることにかんがみ、それぞれ証券会社等において当該業務が独立し、かつ、適切に遂行される必要がある。よって、当該業務の遂行にあたって情報等を共有し、グループ内での内部管理に関する業務を強化しようとする場合には、情報等の共有による弊害を明確に防止し、あくまでも証券会社等における内部管理に関する業務が厳格に行なわれることが原則である。この原則が堅持されつつ、証券会社等の法令遵守及びリスク管理等が厳格に実行される場合には、法第45条が要求している弊害防止確保の観点から、「公益又は投資者保護上支障がない」ものと考えられる。



−1−3 法第45条ただし書の承認における証券会社の行為規制等に関する命令第11条の3に基づく審査にあたっての留意事項

 法第45条ただし書の承認における証券会社の行為規制等に関する命令第11条の3第1項各号に掲げる基準の審査にあたっては、同令第11条の2第3項各号に掲げる内部管理に関する業務ごとに、下記の点に留意して行うものとする。

(1)  法令遵守管理に関する業務

マル1

 内部管理に関する業務を公正かつ的確に遂行することができる人的構成及び業務運営体制を有していること


.証券会社等それぞれにおける法令遵守管理に関する業務を担当する部門(以下、「法務コンプライアンス部門」という。)が、証券会社等それぞれが取り扱う商品の種類、当該商品内容に関連する法律問題の検討の必要性の程度、証券会社等それぞれの取引の相手方の種類等取引の実態に応じて適切な対応が可能と認められること。


.証券会社等それぞれにおける顧客との紛争を的確に処理をすることが可能と認められること(営業を行う部門(主として収益をあげるための業務を行う全ての部門をいう。以下、「営業部門」という。)等への適切な指導等による処理を含む。)。


.監督当局による証券会社等それぞれに対する検査及び報告徴求等への的確な対応に支障を生じさせないと認められること。


.法務コンプライアンス部門が下記の役割及び権限を明確に有しており、当該役割及び権限が厳格に実行されると認められること。


 営業部門の取引等において法令等(証券会社の行為規制等に関する命令第11条の2第3項に規定する法令等をいう。)違反の疑義がある場合には、当該取引等の事実関係を調査し、必要に応じて証券会社等の経営責任者(営業責任及び管理責任の双方を負う責任者として相応しい者(外国証券会社及び外国銀行支店(以下、「外国証券会社等」という。)の場合は支店長及びこれに準ずる者をいう。)をいう。以下同じ。)等に対して社内処分を提案し、監督当局への報告を的確に行うことができる権限。


 インサイダー取引等の不正行為を的確に防止するため、法第166条第2項 に規定する「業務等に関する重要事実」となる情報(以下、「インサイダー情報」という。)の適切な管理、取引制限リストや要注意リストの作成を絶えず行ない、営業部門の活動を適切にモニタリングすることができる権限。


 証券会社等の業務に関しレピュテーション・リスク(証券会社等が有する社会的評価及び金融市場における信用が傷つくリスクをいう。)及び企業倫理の観点からの事前チェック及び事前検討に関与することができる権限。


 営業部門に対して、当該部門が行う取引について法令等の遵守の観点若しくは法的有効性、法的責任等の法律的観点からの検討及び判断(以下、「法的判断等」という。)を法務コンプライアンス部門に照会させる権限(ただし、既に行った法的判断等が準用される等合理的理由がある場合を除く。)。


 監督当局に対する報告及び誓約等の遵守に関する監査を行い、当該監査結果の的確な実行を促す権限(ただし、内部監査及び内部検査に関する業務を行う部門(以下、「内部監査部門」という。)が当該監査を担当する場合は除く。)


.法務コンプライアンス部門は、証券会社等における営業部門の取引について、責任を持って法的判断等を行うこと。


.新規業務の導入の際には下記マル2の社内規則に対応する規則の策定(既存の規則の準用を含む。)を証券会社等の経営責任者に適時促す責務を担っていること。


.証券会社等の一の法人における法令遵守管理に関する業務の従業員が他の証券会社等の当該業務の従業員を兼職している場合においても、当該業務の責任者は当該業務の責任者として相応しい者が証券会社等それぞれにおいて独立して常務すること。

マル2

 内部管理に関する業務を遂行するための社内規則(当該業務に関する社内における責任体制を明確化する規定を含むものに限る。)が整備されていること
 上記マル1の内容、法令遵守管理に関する業務の手続及び証券会社等における全ての業務に係る法令等遵守における責任体制(営業部門と法務コンプライアンス部門との間における、法令等遵守に関する責任分担を含む)に関する社内規則が具体的かつ明確に規定され、かつ、当該業務が公正かつ的確に行われるための責任体制が明確に規定されているかどうか審査するものとする。

マル3

 内部管理に関する業務を行う部門から非公開情報が漏洩しない措置が的確に講じられていること


.非公開情報が漏洩しない措置として、社内規則の整備、システムへのアクセス防止等の情報管理システムの整備、適切なモニタリング、資料等の十分な期間の厳重な保存管理等による情報管理措置等の明確な措置が講じられていること。


.法務コンプライアンス部門と営業部門間における人事異動等の際に非公開情報が漏洩しないよう措置(守秘義務規定の整備及び資料管理等)が講じられていること。


.承認を受けていない他の内部管理に関する業務を担当する部門へ非公開情報を提供することを的確に防止していること。


.証券会社等の経営責任者に対して、法令等遵守管理目的で非公開情報を提供する場合には非公開情報の漏洩にあたらないことに留意する(ただし、当該経営責任者から営業部門に非公開情報が漏洩しない措置が講じられている必要があることに留意する。)。

マル4

 内部管理に関する業務に従事する者が営業部門から独立していること


.営業部門からの独立性の確保として、法的判断等に関して法務コンプライアンス部門に従事する者の判断が営業部門の判断に対して必ず優先すること等の的確な牽制権限を有していること。


.指揮命令系統に拘わらず、全ての部門等に対して法令等違反の認定及び当該法令等違反行為への改善措置にあたっては法務コンプライアンス部門は独立の権限を有していること。


.営業部門(経営責任者を除く。)から指揮命令を受けないこと。

(2)

 損失の危険の管理に関する業務

マル1

 内部管理に関する業務を公正かつ的確に遂行することができる人的構成及び業務運営体制を有していること


.証券会社等それぞれにおけるリスク(市場リスク(株価、金利及び外国為替相場等の変動が保有する有価証券等の価格の変動をもたらすこと等により発生し得る危険)、信用リスク(取引の相手方の倒産等による契約不履行その他の理由により発生しうる与信リスク)、オペレーティング・リスク(事務処理の誤り、正確な情報処理が行なわれないこと等日常的な業務の遂行の過程において発生しうる危険))を管理する業務(以下、「リスク管理業務」という。)を担当する部門(以下、「リスク管理部門」という。)が、証券会社等それぞれが取り扱う商品の種類、当該商品により生ずるリスクの種類及び程度、証券会社等それぞれの取引の相手方の種類等取引の実態に応じてリスク管理を適切に実行できると認められること。


.リスク管理業務が下記の要領で行われることとなっており、当該リスク管理業務が厳格に実行されると認められること。


 証券会社等におけるリスクが統合されて把握されるのみならず、それぞれの法人において個別に把握されていること。


 証券会社等それぞれにおけるリスクの保有が独立した法人として合理性を説明できる以上の負担とはならないように管理されていること。


 証券会社等それぞれにおける財務の健全性を確保するとともに、当該統合リスク管理の濫用を行わないこと。


 オペレーティング・リスクを管理する部門は、証券会社等それぞれにおける全ての契約の成立から決済に至る事務処理を担当する各部署において認識された、オペレーティング・リスクを明確に把握したうえ、その性質及び程度に応じて定量的又は定性的に評価していること及び当該オペレーティング・リスクを適切に管理するための手続及び体制の確立を関連業務部門に適時促す責務を担っていること。


 証券会社等に所属する職員等が職務上行なう全ての取引において、そこから生じる市場リスク、信用リスク、オペレーティング・リスクについて、当該リスクの量ないし程度を明確に把握し、それに応じた適切なリスク管理を行うこと。


.証券会社等の一の法人におけるリスク管理部門に所属する従業員が他の証券会社等の当該業務の従業員を兼職している場合においても、当該業務の責任者は当該業務の責任者として相応しい者が証券会社等それぞれにおいて独立して常務すること。


.監督当局による証券会社等それぞれに対する検査及び報告徴求等への的確な対応に支障を生じさせないと認められること。

マル2

 内部管理に関する業務を遂行するための社内規則(当該業務に関する社内における責任体制を明確化する規定を含むものに限る。)が整備されていること
 上記マル1の内容及びリスク管理業務の手続に関する社内規則が具体的かつ明確に規定され、かつ、当該業務が公正かつ的確に行われるための責任体制が明確に規定されているかどうか審査するものとする。

マル3

 内部管理に関する業務を行う部門から非公開情報が漏洩しない措置が的確に講じられていること


.非公開情報が漏洩しない措置として、社内規則の整備、システムへのアクセス防止等の情報管理システムの整備、適切なモニタリング、資料等の十分な期間の厳重な保存管理等による情報管理措置等の明確な措置が講じられていること。


.リスク管理部門と営業部門間における人事異動等の際に非公開情報が漏洩しないよう措置(守秘義務規定の整備及び資料管理等)が講じられていること。


.承認を受けていない他の内部管理に関する業務を担当する部門へ非公開情報を提供することを的確に防止していること。


.証券会社等の経営責任者に対して、リスク管理目的で非公開情報を提供する場合には非公開情報の漏洩にあたらないことに留意する(ただし、当該経営責任者から営業部門に非公開情報が漏洩しない措置が講じられている必要があることに留意する。)。


.証券会社等の保有するインサイダー情報が証券会社等の営業部門に使用されないよう厳格な管理がなされていること(法務コンプライアンス部門が(1)により承認を受けた場合は除く。)。


.与信審査を行う部門を経由して営業部門に非公開情報が提供されることを的確に防止していること。

マル4

 内部管理に関する業務に従事する者が営業部門から独立していること


.営業部門からの独立性の確保として、リスク管理部門に従事する者が営業部門に対して的確な牽制権限を有していること。


.営業を行う部門(経営責任者を除く。)から指揮命令を受けないこと。

マル5

 なお、市場リスク、信用リスク及びオペレーティング・リスクのそれぞれが別々の部門によって管理される場合には、個別の部門ごとに審査することに留意する。また、この場合、個別のリスク管理の部門ごとに責任者が明確にされている必要があることに留意する。

(3)

 内部監査及び内部検査に関する業務

マル1

 内部管理に関する業務を公正かつ的確に遂行することができる人的構成及び業務運営体制を有していること


.内部監査部門が、証券会社等の全ての部門について、業務の多様性及び規模等に応じて適切な手法及び頻度で、法令等遵守体制及び業務運営体制に関する監査及び監督当局に対する報告若しくは誓約等の遵守に関する監査を行うこと(ただし、法務コンプライアンス部門が担当する場合を除く。)が可能な人的構成及び業務運営体制を有していると認められること。


.内部監査及び内部検査報告に対する適切かつ具体的な措置が明確に実行される体制が整備されていること。


.証券会社等の一の法人における内部監査及び内部検査に関する業務の従業員が他の証券会社等の当該業務の従業員を兼職している場合においても、当該業務の責任者は当該業務の責任者として相応しい者が証券会社等それぞれにおいて独立して常務すること(ただし、内部監査部門が証券会社等の経営責任者(外国証券会社等の場合には、実質的な本店の経営責任者、経営責任を担う合議機関又は監査委員会を含む。以下、(3)において同じ。)に直属(外国証券会社等の場合には、実質的な本店における内部監査部門を介して経営責任者へ報告する場合も含む。)となっており、内部監査が厳格に行なわれると認められる場合(ただし、内部管理統括責任者(「協会員の内部管理責任者等に関する規則(日本証券業協会平成四年公慣規十三)」に定める内部管理統括責任者をいう。)の指揮命令監督に服している場合に限る。)は除く。)。
 なお、当該業務を行う役職員の兼職にあたっては、法第32条及び商法第276条(監査役の兼任の禁止)の規定の遵守に留意すること。


.監督当局による証券会社等それぞれに対する検査及び報告徴求等への的確な対応に支障を生じさせないと認められること。

マル2

 内部管理に関する業務を遂行するための社内規則(当該業務に関する社内における責任体制を明確化する規定を含むものに限る。)が整備されていること
 上記マル1の内容に関する社内規則が具体的かつ明確に規定され、かつ、当該業務が公正かつ的確に行われるための責任体制が明確に規定されているかどうか審査するものとする。

マル3

 内部管理に関する業務を行う部門から非公開情報が漏洩しない措置が的確に講じられていること


.非公開情報が漏洩しない措置として、社内規則の整備、システムへのアクセス防止等の情報管理システムの整備、適切なモニタリング、資料等の十分な期間の厳重な保存管理等による情報管理措置等の明確な措置が講じられていること。


.内部監査部門と営業部門間における人事異動等の際に非公開情報が漏洩しないよう措置(守秘義務規定の整備及び資料管理等)が講じられていること。


.承認を受けていない他の内部管理に関する業務を担当する部門へ非公開情報を提供することを的確に防止していること。


.証券会社等の経営責任者に対して、内部監査及び内部検査の報告及び営業部門への牽制の目的で非公開情報を提供する場合には非公開情報の漏洩にあたらないことに留意する(ただし、当該経営責任者から営業部門に非公開情報が漏洩しない措置が講じられている必要があることに留意する。)。

マル4

 内部管理に関する業務に従事する者が営業部門から独立していること
 営業部門(経営責任者を除く。)から指揮命令を受けないこと。

(4)

 財務に関する業務

マル1

 内部管理に関する業務を公正かつ的確に遂行することができる人的構成及び業務運営体制を有していること


.証券会社等それぞれにおける資金調達、流動性管理、資本政策、余剰資金の運用等の財務に関する業務を担当する部門(以下、「財務部門」という。)について、証券会社等の業務規模等から当該業務が適切に実行されると認められること。


.当該財務部門はそれぞれ、証券会社等において個別に財務管理を適切に行うことが可能であると認められること。


.証券会社等の一の法人における当該財務に関する業務の従業員が他の証券会社等の当該業務の従業員を兼職している場合においても、当該業務の責任者は当該業務の責任者として相応しい者が証券会社等それぞれにおいて独立して常務すること。


.監督当局による証券会社等それぞれに対する検査及び報告徴求等への的確な対応に支障を生じさせないと認められること。

マル2

 内部管理に関する業務を遂行するための社内規則(当該業務に関する社内における責任体制を明確化する規定を含むものに限る。)が整備されていること
 上記マル1の内容及び財務に関する業務の手続に関する社内規則が具体的かつ明確に規定され、かつ、当該業務が公正かつ的確に行われるための責任体制が明確に規定されているかどうか審査するものとする。

マル3

 内部管理に関する業務を行う部門から非公開情報が漏洩しない措置が的確に講じられていること


.非公開情報が漏洩しない措置として、社内規則の整備、システムへのアクセス防止等の情報管理システムの整備、適切なモニタリング、資料等の十分な期間の厳重な保存管理等による情報管理措置等の明確な措置が講じられていること。


.財務部門と営業部門間における人事異動等の際に非公開情報が漏洩しないよう措置(守秘義務規定の整備及び資料管理等)が講じられていること。


.承認を受けていない他の内部管理に関する業務を担当する部門へ非公開情報を提供することを的確に防止していること。


.証券会社等の経営責任者に対して、財務管理目的で非公開情報を提供する場合には非公開情報の漏洩にあたらないことに留意する(ただし、当該経営責任者から営業部門に非公開情報が漏洩しない措置が講じられている必要があることに留意する。)。

マル4

 内部管理に関する業務に従事する者が営業部門から独立していること


.財務に関する業務に従事する者が営業部門から影響を受けることなく独自に財務に関する業務を的確に遂行する権限を有していること。


.営業部門(経営責任者を除く。)から指揮命令を受けないこと。

(5)

 経理に関する業務

マル1

 内部管理に関する業務を公正かつ的確に遂行することができる人的構成及び業務運営体制を有していること


.証券会社等それぞれにおける損益の管理、収益性(資本に対する収益性を含む。)の分析及び管理、費用及び予算の管理、金銭の支払、財務諸表の作成等を行う経理に関する業務を担当する部門(以下、「経理部門」という。)について、証券会社等の業務規模等から当該業務が適切に実行されると認められること。


.当該経理部門はそれぞれ、証券会社等において個別に経理を適切に行うことが可能であると認められること。


.証券会社等の一の法人における当該経理に関する業務の従業員が他の証券会社等の当該業務の従業員を兼職している場合においても、当該業務の責任者は当該業務の責任者として相応しい者が証券会社等それぞれにおいて独立して常務すること。


.監督当局による証券会社等それぞれに対する検査及び報告徴求等への的確な対応に支障を生じさせないと認められること。

マル2

 内部管理に関する業務を遂行するための社内規則(当該業務に関する社内における責任体制を明確化する規定を含むものに限る。)が整備されていること
 上記マル1の内容及び経理に関する業務の手続に関する社内規則が具体的かつ明確に規定され、かつ、当該業務が公正かつ的確に行われるための責任体制が明確に規定されているかどうか審査するものとする。

マル3

 内部管理に関する業務を行う部門から非公開情報が漏洩しない措置が的確に講じられていること


.非公開情報が漏洩しない措置として、社内規則の整備、システムへのアクセス防止等の情報管理システムの整備、適切なモニタリング、資料等の十分な期間の厳重な保存管理等による情報管理措置等の明確な措置が講じられていること。


.経理部門と営業部門間における人事異動等の際に非公開情報が漏洩しないよう措置(守秘義務規定の整備及び資料管理等)が講じられていること。


.承認を受けていない他の内部管理に関する業務を担当する部門へ非公開情報を提供することを的確に防止していること。


.証券会社等の経営責任者に対して、経理に関する報告目的で非公開情報を提供する場合には非公開情報の漏洩にあたらないことに留意する(ただし、当該経営責任者から営業部門に非公開情報が漏洩しない措置が講じられている必要があることに留意する。)。

マル4

 内部管理に関する業務に従事する者が営業部門から独立していること


.営業部門からの独立性の確保として、経理に関する業務に従事する者が営業部門に対して資本の配分のモニタリング及び費用に対する収益性のモニタリング等を行う的確な権限を有していること。


.営業部門(経営責任者を除く。)から指揮命令を受けないこと。

(6)

 税務に関する業務

マル1

 内部管理に関する業務を公正かつ的確に遂行することができる人的構成及び業務運営体制を有していること


.証券会社等それぞれにおける税務に関する業務を担当する部門(以下、「税務部門」という。)が、証券会社等が取り扱う商品の種類、当該商品内容に関連する税務問題の程度等取引の実態に応じて適切な対応が可能と認められること。


.税務部門は証券会社等における税務及び会計に関する意思決定に関与する体制となっていること。


.税務部門は、証券会社等における取引について責任を持って、税務及び会計上の観点から取引の適格性等の判断(以下「税務判断」という。)を行うこと。


.営業部門に対して、当該部門が行う取引についての税務判断を税務部門に照会させる権限を有すること(ただし、既に行った税務判断が準用される等合理的理由がある場合を除く。)。


.証券会社等の一の法人における税務に関する業務の従業員が他の証券会社等の当該業務の従業員を兼職している場合においても、当該業務の責任者は当該業務の責任者として相応しい者が証券会社等それぞれにおいて独立して常務すること。


.監督当局による証券会社等それぞれに対する検査及び報告徴求等への的確な対応に支障を生じさせないと認められること。

マル2

 内部管理に関する業務を遂行するための社内規則(当該業務に関する社内における責任体制を明確化する規定を含むものに限る。)が整備されていること
 上記マル1の内容及び税務に関する業務の手続に関する社内規則が具体的かつ明確に規定され、かつ、当該業務が公正かつ的確に行われるための責任体制が明確に規定されているかどうか審査するものとする。

マル3

 内部管理に関する業務を行う部門から非公開情報が漏洩しない措置が的確に講じられていること


.非公開情報が漏洩しない措置として、社内規則の整備、システムへのアクセス防止等の情報管理システムの整備、適切なモニタリング、資料等の十分な期間の厳重な保存管理等による情報管理措置等の明確な措置が講じられていること。


.税務部門と営業部門間における人事異動等の際に非公開情報が漏洩しないよう措置(守秘義務規定の整備及び資料管理等)が講じられていること。


.承認を受けていない他の内部管理に関する業務を担当する部門へ非公開情報を提供することを的確に防止していること。


.証券会社等の経営責任者に対して、取引の税務会計上の適格性の確保の目的で非公開情報を提供する場合には非公開情報の漏洩にあたらないことに留意する(ただし、当該経営責任者から営業部門に非公開情報が漏洩しない措置が講じられている必要があることに留意する。)

マル4

 内部管理に関する業務に従事する者が営業部門から独立していること


.営業部門からの独立性の確保として、税務判断に関して税務に関する業務に従事する者の判断が営業部門の判断に必ず優先すること等の的確な牽制権限を有していること。


.営業部門(経営責任者を除く。)から指揮命令を受けないこと。

マル5

 当該業務を法務コンプライアンス部門又は経理部門が担当する場合には、上記(1)又は(5)の審査にあたっては、(6)に掲げる基準をも併せて審査するものとする。

(7)

 (1)から(6)に掲げる事項を審査するにあたっての留意事項

マル1

 内部管理に関する業務の責任者((1)マル1ト、(2)マル1ハ、(3)マル1ハ、(4)マル1ハ、(5)マル1ハ及び(6)マル1ホの責任者をいう。)の独立性を審査する際には、証券会社等の一の責任者(個別業務を複数管理する責任者を含む。)が他の証券会社等の責任者(個別業務を複数管理する責任者を含む。)に対して具体的業務についての指揮命令権(法令等違反又は事前に策定されている明確な社内規則の違反の可能性のある取引、及び、リスク管理上重大な問題となる可能性がある取引の実行等に対する拒否権は除く)を有している場合には、当該他の責任者の独立性は損なわれていることに留意すること。

マル2

 証券会社等の一の内部管理に関する業務の責任者が同一の法人における他の内部管理に関する業務の責任者を兼ねようとする場合又は、一の証券会社等の内部管理に関する業務の責任者が他の証券会社等の当該業務の責任者を兼ねようとする場合には、当該業務の独立した責任者を置く必要があるが、当該独立した責任者は内部管理に関する業務を統括する責任者(以下、「管理部門統括責任者」という。)として当該業務それぞれの職員の職務を統括するとともに、証券会社等それぞれにおいて当該業務が的確に運営され、かつ、当該業務それぞれの営業部門に対する牽制機能が実効的に働くことの責任及び権限を明確に有することが必要であることに留意する。

マル3

 証券会社等の内部管理の強化を図る目的で、証券会社等の役職員(兼職者も含む)が出席する合議機関を置く場合には、当該合議機関において、非公開情報の授受が行なわれないことが不明確な場合には、法第45条に抵触するおそれがあり、また、証券会社と銀行(以下「銀行等」という。)の役職員が同席する場合は当該銀行等のレピュテーション・リスクの管理、法令等遵守又は企業倫理の確保を目的としていることが不明確である場合には、当該合議機関の開催は法第65条違反のおそれがあることに留意する。このような合議機関を設置している証券会社に対しては、少なくとも当該機関の設置の目的を明記した社内規則や当該会議の議事録等について適宜説明を求め、必要がある場合には法第59条第1項に基づく報告徴求を行うものとする。
 ただし、証券会社等において当該合議機関が内部管理に関する業務を遂行する一環の会議として非公開情報の授受を行うために法第45条ただし書に基づく承認申請があった場合には、遂行しようとする当該業務の一環として当該業務の統合に係る承認条件に従って審査するものとする。この場合、当該業務一般について証券会社の行為規制等に関する命令第11条の3の規定に基づいて審査をした上で、当該合議機関についての審査にあたっては、同条第1号に規定する「内部管理に関する業務を公正かつ的確に遂行することができる業務運営体制」については、( i )十分な牽制機能と法令等遵守の責任を負っている等、上記(1)の基準を満たす法務コンプライアンス部門の責任者が必ず出席し、当該合議機関での議事が法令等違反とならないような具体的措置を講じているか、( ii )同合議機関においては、証券会社等のレピュテーション・リスクの管理、法令等遵守又は企業倫理の確保を目的としているかどうか、( iii )当該合議機関の設置について合理性があると認められるか、( iv )個別の営業部門若しくは個別の取引・案件等の担当者及び責任者(証券会社等の経営を担う地位にある者(外国証券会社等においては支店長を含む。)で実質的に営業に従事している者を含む。)が同席することはなく、承認を受けた内部管理に関する業務の責任者に加え証券会社等の経営責任者(外国証券会社については、その実質的な本店から当該適格性の確認書の提出を求める)のみが出席しているかどうか、について、また、同条第2号に規定する「内部管理に関する業務を遂行するための社内規則」としては、上記( i )〜( iv )を確保するとともに、当該合議機関の決定についての責任分担等を明確にした社内規則が規定されているかどうかについて、審査するものとする。また、同条第3号及び第4号に規定する「非公開情報の漏洩防止」及び「営業を行う部門からの独立」については、法令等違反、事前に策定されている明確な社内規則違反及びリスク管理上重大な問題となる可能性がある取引等に対して拒否するための会議であるかを審査するものとし、当該合議機関に経営責任者が同席する場合には、当該経営責任者が実質的に営業に従事している者かどうかを含め具体的な漏洩防止措置及び責任者の独立性の確保について厳格に審査する必要があることに留意する。

マル4

 当該証券会社及び当該銀行の職員が兼職する場合、内部管理に関する業務を担当する部門について法第45条ただし書に基づく承認を得た場合を除き、法第65条(若しくは銀行法第12条)に抵触するおそれがあることに留意し、また、兼職がない場合には、当該銀行が当該証券会社の(若しくは当該証券会社が当該銀行の)具体的業務について実質的に意思決定していると認められる場合(当該目的での人事権の行使等を含む。)にも同様であることに留意する。

マル5

 法第59条に規定する持株会社又は銀行持株会社について内部管理に関する業務を行うにあたり、法第45条ただし書の承認申請があった場合には、当該持株会社の子会社であって、当該申請の対象外となっている子会社がある場合には、証券会社等から入手した非公開情報の持株会社からの当該子会社への漏洩防止措置についても厳格に審査するものとする。

マル6

 法令遵守管理に関する業務についての審査にあたっては、当該業務が法的助言・判断、法律事務等を含む場合には、弁護士法等その他の法令に抵触しない様、また、税務に関する業務についての審査にあたっては、当該業務が財政・会計に関する調査、立案又は財務・会計に関する助言・判断、税務に関する書類の作成、助言・判断等を含む場合には、税理士法等その他の法令に抵触しない様、業務遂行の形態等に配慮する必要があることに留意する。

マル7

 内部管理に関する業務について、証券会社より法第34条第4項に基きその他業務の承認申請があった場合において、当該業務の兼業に伴い証券会社の行為規制等に関する命令第12条第7号又は第8号に該当する行為が行なわれる場合には、同条第7号又は第8号に抵触するため、同業務は「公益に反する」ものと認められることから、法第34条第5項の規定により、兼業の承認を行わないことに留意する。なお、内部管理に関する業務について法第45条の適用除外の承認と法第34条第4項によるその他業務の承認とは7−1−2に規定する基本理念の趣旨から両立しないことに留意する。

マル8

 証券会社等の内部管理に関する業務を行う部門間における非公開情報の授受については、当該承認により顧客に対して負っている守秘義務が免除されるわけではないことに留意する。

マル9

 リスク管理業務の一環として証券会社における有価証券の引受を審査する部門と銀行における法務コンプライアンス部門及び与信の審査を行っている部門との間においての法第45条ただし書の承認申請があった場合には、非公開情報の営業を行う部門への漏洩の禁止及び法65条の趣旨から承認を行わないことに留意する。

マル10

 銀行と証券会社の間(持株会社経由を含む。)でリスク管理部門において(2)の承認を受けて非公開情報の授受が行われており、銀行が保有する非公開情報を当該証券会社のリスク管理部門に供与することにより、当該証券会社の顧客についてリスクの評価及び判断を行っている際に、当該証券会社が通常の取引の条件と著しく異なる条件で当該顧客と取引を行っている場合には、非公開情報が営業部門に漏洩している疑いがあることに留意する。
 


−1−4 外国証券会社への適用

 7−1−1から7−1−3は外国証券業者に関する法律第14条第1項において準用する証券取引法第45条ただし書の承認について準用する。
 

7−2  法第65条の規定の解釈について
(1)  証券会社が有価証券の募集の取扱い又は売出しの取扱いを行う場合に、銀行、信託会社その他令第1条の9で定める金融機関が、当該証券会社が行う募集の取扱い又は売出しの取扱いに係る行為(法第65条の2第1項の登録により行えることとなる証券業務を除く。)の一部を代行することは、法第65条第1項の規定に違反するおそれがある。
 
(2)  証券会社が有価証券の売買の媒介又は売買の委託の媒介を行う場合に、銀行、信託会社その他令第1条の9で定める金融機関が、当該証券会社が行う売買の媒介又は売買の委託の媒介に係る行為(法第65条の2第1項の登録により行えることとなる証券業務を除く。)の一部を代行することは、法第65条第1項の規定に違反するおそれがある。
 
(3)  なお、銀行、信託会社その他令第1条の9で定める金融機関が勧誘行為をせず、単に顧客の要請に基づき当該顧客を証券会社に紹介することは、(1)及び(2)には該当しない。
 
(4)  上記(3)の「紹介」には、銀行、信託会社その他令第1条の9で定める金融機関が、証券会社が自らを紹介する宣伝媒体を当該銀行、信託会社その他令第1条の9で定める金融機関の店舗に据え置き、顧客が自ら入手することを含む。
 

7−3  証券会社の行為規制等に関する命令第12条の解釈等について
(1)  証券会社の行為規制等に関する命令第12条第8号の解釈等
 証券会社の本店その他の営業所(ディーリング・ルームを含む。以下「店舗」という。)を親銀行等又は子銀行等の店舗と同一の建物に設置する場合であって、店舗の態様が次に掲げるいずれかに該当する場合には、証券会社の行為規制等に関する命令第12条第8号の規定に該当するものとみなす。
 
マル1  証券会社の店舗と親銀行等又は子銀行等の店舗との間に固定された壁、間仕切りが設けられていないこと。
 
マル2  当該建物内の証券会社の店舗の出入り口と親銀行等又は子銀行等の店舗の出入り口がそれぞれ独立して設置され、明確に区分されていないこと。
 
マル3  電話、受付及び会議室等を共用すること。
 
(2)  証券会社の行為規制等に関する命令第12条第9号の解釈等
 証券会社がその親銀行等又は子銀行等とともに個人である顧客を訪問する際には、営業に先立ち、顧客に対して以下の趣旨を記述した書面を提示の上、十分な説明を行わない場合には、証券会社の行為規制等に関する命令第12条第9号の規定に該当するおそれがある。
 
マル1  当該証券会社とその親銀行等又は子銀行等とは別法人であること。
 
マル2  当該証券会社が提供する証券業にかかる商品や役務はその親銀行等又は子銀行等が提供しているものではないこと。
 
マル3  当該親銀行等又は子銀行等は、特に、顧客の要請がなく、かつ、自己の業務の遂行に必要がない場合において、証券会社の取扱う商品若しくは役務に関する自己の評価、意見等を表明し、又はその商品若しくは役務の信用度若しくは利点を強調すること等によって、証券会社の顧客との間の契約の成立を補助するときは、法第65条第1項の規定に違反するおそれがあるので、これを行うことはできないこと。
 

7−4  証券会社に関する命令第15条及び第18条の解釈について
(1)  証券会社に関する命令第15条第1号及び第18条第1号に規定する「証券業の遂行のための業務」とは、証券業に関して経営管理上の判断等を伴うことのない次に掲げる業務を行うことをいう。
 
マル1  店舗等の不動産及び設備の取得、所有、賃貸借、保守、警備及び管理業務
 
マル2  現金自動預入・支払機等の保守・運行等管理業務
 
マル3  帳簿、計算書、伝票等の作成、整理、保管、発送及び配送業務
 
マル4  コンピュータ−関連業務(システム開発、保守管理、データの保管管理、電算処理等)
 
マル5  計算業務(給与計算及び月次決算の計算等の会計事務を含む。)
 
マル6  有価証券の保管、整理等に関する業務
 
マル7  名義書換の取次業務
 
マル8  公社債・投資信託の元利金請求業務
 
マル9  証券取引所・証券会社間等の有価証券の受渡決済業務
 
マル10  従業員のカウンセリング等役職員の福利厚生業務及び事務の用に供する物品・サービスの一括購入及び管理業務
 
マル11  証券会社への労働者派遣業務及び人事に関する文書作成等事務的補助業務
 
マル12  役職員の教育・研修に関する業務
 
マル13  広告宣伝業務
 
マル14  自動車の運行、保守、点検等の管理業務
 
マル15  統計目的の資料の作成業務
 
マル16  出版物等公開情報の提供を行う業務
 
マル17  書類等の印刷、製本、発送及び配送業務
 
(2)  証券会社に関する命令第15条第3号及び第18条第3号に規定する「専ら当該証券会社又は当該証券会社及び当該証券会社の親法人等若しくは子法人等の業務の遂行のための業務」とは、経営管理上の判断等を伴うことのない(1)に掲げる業務(マル3を除く。)をいう。ただし、内部管理に関する業務のうち経営管理上の判断を伴う業務と密接な形態(作業内容の物理的・時間的関連の程度が高い形態等)で行う場合には経営管理上の判断を伴う業務とみなす(証券会社の行為規制等に関する命令第11条の3の承認を受けて行う必要がある。)ことに留意する。
 なお、(1)マル4については「コンピューター関連業務(システム開発、保守管理、データの保管管理のためのハードウェアー及びソフトウェアーの管理、電算処理等)」と、マル6については「有価証券の保管、整理等に関する業務(親法人等又は子法人等の自己の財産として保有しているものに限る。)」と、マル7については「名義書換の取次業務(親法人等又は子法人等の自己の財産として保有しているものに限る。)」と、マル11については「証券会社及び親法人等若しくは子法人等への労働者派遣業務及び人事に関する文書作成等事務的補助業務」と読み替えて適用するものとする。

(3)

 (1)のマル3(発送及び配達業務は除く。)、マル4のデータの保管管理及びマル6からマル9までの業務は当該証券業及び銀行業等の遂行のために密接に関連する業務であり、合理的な理由がある場合を除き、当該業務は当該証券会社の親法人等若しくは子法人等又は証券会社に関する命令第15条第1号及び第3号若しくは第18条第1号及び第3号に規定する会社に外部委託できることが原則であることに留意するととともに、当該業務の遂行状況を適宜監督することに留意する。
 また、証券会社が(1)又は(2)の業務以外の業務のうち証券業に関連する業務を他の会社に委託する場合には、合理的な理由がある場合を除き、証券業を遂行する上で、2−1−5(1)の体制整備が確保されているか疑義があることに留意する。証券会社が上記(2)の業務を受託する場合には、上記(2)の業務のうち、マル3マル6マル7マル8及びマル9に掲げる業務を除き法第34条第4項に規定するその他業務の承認が必要となることに留意する(なお、7−1−4(7)マル7に留意する。)。

(4)

 (1)及び(2)に掲げる業務について当該証券会社から外部委託する場合においても、当該業務に関する顧客に対する責任及び行政上の責任については当該証券会社が免れるものではないことに留意する。

(5)

 (1)から(4)の規定は、外国証券業者に関する命令第27条第1号に規定する「証券業の遂行のための業務」及び同条第3号に規定する「専ら当該外国証券会社又は当該外国証券会社及び当該外国証券会社の特定法人等の業務の遂行のための業務」について準用する。
 

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