III.証券市場改革の進め方



                                                                          


  1.改革の全体像とスケジュール                                    


                                                                          


        我が国証券市場の問題点は広範な原因に根ざしている。したがって、規制


      や制度の可否を個々に切り離して議論するのではなく、全体として市場原理


      を生かした発展を促すための枠組みを再構築するために総合的な改革を検討


      ・実施すべきである。                                                


        さらに、行政手法を含む規制の枠組みを改革したり、市場の制度的基盤な


      どの取引の枠組みを整備することは重要であるが、それだけで我が国市場の


      問題点がすべて解決するものではない。むしろ、こうした再構築を出発点と


      しつつ、市場利用者、仲介者、運営者など市場に係わるすべての者が、その


      抱えるそれぞれの問題に応じ積極的に改革に取り組まねばならない。今回の


      証券市場改革は、そうしたそれぞれの改革の取組みをパッケージとして一体


      的に行うことを目指すものである。                                    


                                                                          


        当証券取引審議会は、この改革パッケージの全体像を下記のとおり提示す


      る。その上で、個別改革項目の改革については、別表の具体的なスケジュー


      ルに沿って進められていくべきであると提言する。                      


                                                                          


                                                                          


  2.改革の手順の考え方                                            


                                                                          


        当審議会の基本理念に照らした証券市場改革を、最短の時間で最も効果的


      に成し遂げるためには、市場改革の手順等についても検討が必要である。    


                                                                          


        市場改革の手順については、下記のとおりに考える。                  


      (1)  創意工夫と適正な競争を通じ、自律的な市場の発展を促すという基本的


        な考え方からすれば、商品・業務等の多様化のための枠組みを整備するこ


        とが重要である。商品・業務等の多様化のための枠組み整備があってこそ、


        価格や参入の自由化が所期の効果を発揮できるものと考えられる。      


      (2)  このような市場改革が進めば、様々な商品や取引が出現すると予想され


        る。こうした新たに出現する商品やサービスに対しても、十分な投資家保


        護のための公正取引ルール等が適用されるよう、公正取引ルール等の見直


        し・強化を行う必要がある。さらに、参入や競争の促進に対応し、退出の


        円滑化のための破綻処理制度等の整備を含む投資家保護ルールの充実も、


        参入や競争の促進と同時にないしは先駆けて整備することが必要である。  


                                                                          


        こうした考え方を基礎とし、ある項目が他の項目の改革に及ぼす影響等を


      考慮し、当審議会としては、提示した改革項目のすべてをこのスケジュール


      に沿ってその法的な手当ての面まで含め、一体として成し遂げることが必要


      であると考える。                                                    


                                                                          


        また、法改正を要する項目については、今後、証券取引審議会・公正取引


      部会及び市場整備部会(仮称)において、その細目を検討し、できる限り早


      期に改革を実施に移すべきである。                                    


                                                                          


                                                                          



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