投資家との意見交換会後の川岸委員記者会見概要
(平成14年6月20日(木)16時30分~17時00分)


 川岸委員より意見交換会開催の趣旨及び意見交換会の概要について説明した後、記者からの質問に答えた。概要は以下のとおり。

(問)最初の頭撮りのときに参加者を見ましたところ、若い女性が多くいるように感じました。そういった方々が今後証券について関心を持って、やがては主流になるだろうと思いますが、どのような意見があったかお聞きしたい。

(答)一番若い人は有価証券報告書がわかりにくいと言われた学生の方でした。30代くらいの主婦の方は、銀行預金の利子が低いので株式をやってみたという方で、彼女の周りにも株式に興味を持っている方がいるので、もっと株式について学習する機会を増やしてほしいというご意見でした。割合前向きなご意見が多かったのですが、ただ、お年寄りの主婦の方で、買った株式を保護預かりにしておいたら、頻繁に乗り換えの勧誘を受けて、もうこりごりだとおっしゃる方もいました。

(問)
数年前に南証券が詐欺事件を起こしまして、北海道の投資家の知識が乏しいのを狙ってやってきたと言われました。最近は財テクブームの中でいろいろな商品が登場してきまして、投資家の自己判断に任されていますが、投資家のほうは証券会社を信頼して投資して、トラブルになることがあります。特に北海道では、相談できる窓口が少なく、投資家トラブルへの対応が中央より遅れているように思いますが、地方での窓口行政についてどのように考えているかお聞きしたい。

(答)投資家と証券会社のトラブル自体は監視委員会の直接の仕事ではないのですが、今日の会合にも証券業協会の方がお見えになっていまして、今年4月1日から、証券あっせん相談センターというものを新しく設置して、その支部が札幌にもあることを紹介されていました。まずは、全国各地にあります、証券業協会のトラブルを処理する係に相談していただくとよいかと思います。こじれた場合は、任命されたあっせん委員が公平に審査する、あっせん制度というものもあります。そういう民間の他に財務局でも、お役に立てることもあるかと思います。これらを活用していただくと、大事にならないうちに問題が片付くこともあると思います。

(問)証券の分野について、例えば自民党の政調会長の麻生さんが、「九州の田舎に住んでいると、株をやっている人は胡散臭い目で見られる」と記者会見の場でもしばしばおっしゃっているのですが、こういった投資家との懇談を通じて、株式を直接金融の手段として広めていくためには、何が必要だと考えられているのか、率直なご意見を聞かせていただきたい。

(答)日本でなぜ直接金融の道が増えないかについて、ひとつよく言われるのは、リスクを取りたがらない日本人の国民性に由来する、というものがあります。私は経済記者になって最初の頃、兜町を担当しましたが、株式市場を「シマ」と呼んだり、「ヤッチャバ」という、賭博場のような扱いで、さすがに最近そういう呼び方はなくなって、証券市場は重要であるとの認識は出てきたと思うのですが、見ていますと証券会社の一部にまだ昔ながらの悪い考え方が残っていて、一任勘定取引が多いのもそのせいかと思います。まだ普通の人はやらないという見方があり非常に残念ですが、最近銀行での投資信託の販売を見ますと、証券会社には入りづらい人も銀行には入りやすい、という例も出てきています。我々の立場として、株を買うことを奨励しているわけではないのですが、そういう機会をなるべく広げていくこと、投資教育を若いときからはじめて、自己責任でできる風土を作るのが重要だと思っています。

(問)最近、確定拠出年金、401Kが広がりを見せていて、道内でも採用する第一号の企業が出ました。先程ございました、若いときから証券取引の知識を教えなければならないという話について、確か東京証券取引所では、広報担当の方が積極的に金銭教育の重要性を学校関係者に説いていると聞いたことがあるのですが、札幌での金銭教育に関する取り組みについて、私は知りません。投資家にとって、身近な年金が自分の判断で受け取る成果が変わってくる、自己責任が問われる時代で、金銭教育の重要性は高まっていると思いますが、その辺はどうお考えでしょうか。

(答)そういう教育は、証券取引所や証券業協会、あるいは証券会社自身が取り組みはじめています。私も古い人間で、昔から金銭は人前で扱うものではないという考えがあったのですが、最近はインターネットで株式投資をやっている方も増えていますし、また、インターネットについて今日の意見交換会でも、大いに活用してやるべきだという意見と、インターネットをできる人ばかりではないから、証券会社は使わない人のことも考えて情報公開してほしいという意見等、様々ありました。使い用によっては非常に役に立つ道具で、証券関係のホームページもたくさんありますので、勉強する気になれば自分ででもできると思います。

(問)今回の会合では、札幌証券取引所の方、日本証券業協会北海道地区の方が出席していらっしゃいますが、お二方からそういったことについて何かコメントはございましたでしょうか。

(答:情報処理調整官)10人以上集まれば、講師を派遣することは前向きにやっているので、是非お声がけくださいとの発言がありました。東証でやっているような規模のものができているかについては、データ等がないので何とも申し上げられませんが、全国的な広がりの中で、何らかの格好での投資家教育は推し進めていっていると思います。ご興味があれば、協会や札証のほうにお問い合わせください。

(問)今日の14人の方はどういうような集まりかたをされたのか、また、出された意見に対して、苦情に近いものもあったと思いますが、監視委員会の立場としてどういう回答をされたのか教えていただきたい。

(答)今日お集まりいただいた個人投資家の方の人選は、北海道財務局にお願いしまして、それぞれ年齢あるいは職業別に、バラエティーに富んだ方を集めていただきました。監視委員会に関する意見については、私どもが回答いたしましたし、監視委員会というよりも金融庁、証券行政全般に関わる問題につきましては、ご意見を伺って、我々のほうから金融庁に報告したいと思います。参加者の人選で詳しいことを聞くのであれば、財務局の方に聞いていただきたい。

(答:財務局長)若干補足させていただきますが、私どものほうから日本証券業協会の北海道地区協会に幅広く人選をお願いしまして、ご推薦いただいた中から、年齢や性別、投資経験などを踏まえて、選ばさせていただきました。

(問)パンフレットに情報受付状況というのがありまして、12年度に年間1356件の情報があったと書かれていますが、一般投資家からの情報の占める割合がどれくらいあるのか、お聞きしたい。

(答)12年度では1300件ですが、13年度は5月までの11ヶ月で2022件となって、二千件を突破していまして、インターネットでの情報提供が約半分を占めています。今日たまたま一緒に来ております、情報処理調整官が一般情報受付の専門でございますから、詳しくはそちらで対応させていただきます。

(答:情報処理調整官)一般投資家の占めるウエイトはどれくらいかという質問ですが、何をもって一般投資家とするのかということ、また、匿名の方が多く、そういう選別の仕方をしていないのでわかりません。毎月200件強の情報提供がありまして、件数として2022件となっていますが、そのうち1200件弱がインターネットからの情報提供です。この中で区分けしますと、個別銘柄に関する情報提供が1100件ほどありまして、株の騰落に対する、株価操作ではないか、売り崩しではないかという意味合いの情報提供が大半です。証券会社の営業姿勢に関するものが約500件弱で、その内訳の7~8割は苦情めいたものです。そういったものにつきましては、情報としてお受けしまして、各担当部署に回付しておりますが、併せて、いただいた方々に対しては、日本証券業協会の証券あっせん相談センターを紹介して、解決に向けて相談をするように、お話させていただいております。幅広く、いろいろな情報が来ていると言えるかと思います。

(司会)それでは、これを持ちまして本日の記者会見を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

(以上)

 

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