市場へのメッセージ

平成31年4月より、「証券監視委メールマガジン」は「市場へのメッセージ」へとリニューアルしました。
新着情報配信サービスについては、こちらをご参照ください。

バックナンバー

市場へのメッセージ(平成31年4月~)
証券監視委メールマガジン(平成22年11月~平成31年3月)
 

最新号〔4月11日(木) 配信分〕

<目次>

1. AAA投資顧問株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
2. FIP投資顧問株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
3. 株式会社ソルガム・ジャパン・ホールディングスに係る虚偽有価証券報告書提出事件の告発について
4. 最近の取引調査に基づく勧告について
・タカタ株式会社社員による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
・株式会社アサツーディ・ケイ社員から伝達を受けた者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
・株式会社エストラスト役員から伝達を受けた者2名による内部者取引及び当該役員による公開買付けの実施に関する事実に係る伝達行為に対する課徴金納付命令の勧告について
・シティグループ・グローバル・マーケッツ・リミテッドによる長期国債先物に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

1. AAA投資顧問株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、平成31年3月12日、金融庁に対して、AAA投資顧問株式会社(以下本節において「当社」といいます。)に行政処分を行うよう勧告いたしました。

【事案の概要等】

 関東財務局が当社を検査したところ、金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為と金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為が認められました。

 このように、投資者保護上問題のある行為に対しては、今後も厳正に対処していきます。

(参考)
 金融商品取引業者が、金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為や、金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為を行うことは、投資者の保護に欠けることから、金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)により禁止されています。
 
 なお、当社に対しては、平成31年3月25日に、関東財務局長から業務停止命令及び業務改善命令の行政処分が行われています。

2. FIP投資顧問株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

 証券監視委は、平成31年3月12日、金融庁に対して、FIP投資顧問株式会社(以下本節において「当社」といいます。)に行政処分を行うよう勧告いたしました。

【事案の概要等】

 関東財務局が当社を検査したところ、金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為と前代表による会社資産の私的費消等が認められました。

 このように、投資者保護上問題のある行為に対しては、今後も厳正に対処していきます。

(参考)
 金融商品取引業者が、金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為を行うことは、投資者の保護に欠けることから、金商法により禁止されています。また、会社資産の私的費消は当社の財務に多大な影響を及ぼす状況となっており、ひいては、安定的な業務運営を困難ならしめ、投資顧問契約を締結した顧客に影響を及ぼしかねず、投資者保護上問題がある状況となっております。
 
 なお、当社に対しては、平成31年3月25日に、関東財務局長から業務停止命令及び業務改善命令の行政処分が行われています。

3. 株式会社ソルガム・ジャパン・ホールディングスに係る虚偽有価証券報告書提出事件の告発について

 証券監視委は、平成31年3月20日、金商法違反(虚偽有価証券報告書提出)の嫌疑で、犯則嫌疑法人1社及び犯則嫌疑者3名を東京地方検察庁に告発いたしました。

【事案の概要】

 犯則嫌疑法人株式会社ソルガム・ジャパン・ホールディングス(以下本節において「犯則嫌疑法人」といいます。平成28年10月1日、株式会社SOL Holdingsから商号を変更)は、東京都品川区に本店を置き、植物種子、植物加工品に関する製品化及びサービスの企画、開発、販売、輸出入等の事業を営む会社等の株式又は持分を取得・保有することにより、当該会社等の事業活動を支配・管理することを目的とする会社であって、その発行する株券を株式会社東京証券取引所が開設するJASDAQ市場に上場していたもの(平成30年9月3日付けで上場廃止)、犯則嫌疑者Aは、犯則嫌疑法人の実質的経営者であったもの、犯則嫌疑者Bは、犯則嫌疑法人の代表取締役であったもの、犯則嫌疑者Cは、犯則嫌疑法人の取締役管理部長であったものですが、犯則嫌疑者らは、共謀の上、犯則嫌疑法人の業務及び財産に関し、平成29年6月30日、東京都品川区内に設置された入出力装置から、開示用電子情報処理組織を使用して、内閣府の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録させる方法により、関東財務局において、同財務局長に対し、同法人の平成28年4月1日から平成29年3月31日までの連結会計年度につき、営業活動によるキャッシュ・フローの額が負の9億6625万8000円(1000円未満切捨て)であったにもかかわらず、11億円の借入金をスーパーソルガム種子の売上代金と偽装する方法により、営業活動によるキャッシュ・フローの額を正の1億3374万1000円と記載するなどした連結キャッシュ・フロー計算書を掲載した有価証券報告書を提出し、もって重要な事項につき虚偽の記載のある有価証券報告書を提出しました。

【本件の意義】

 本件は、借入金を売上代金と偽装する方法により11億円もの営業キャッシュ・フローの粉飾を行って上場廃止を回避したものであり、投資家の投資判断に著しい影響を与える重大な虚偽記載があったものであることなどの事情に照らし、極めて悪質性が高いと認められます。

 また、本件は、キャッシュ・フロー計算書に係る初の虚偽有価証券報告書提出事案であり、証券監視委発足以来、200件目の告発事案となります。

 証券監視委は、引き続き、市場の公正性・透明性の確保に向けて、本件のような重大で悪質な違反行為に対し、厳正に対応していきます。

4. 最近の取引調査に基づく勧告について

 証券監視委は、取引調査の結果に基づいて、以下の事案について課徴金納付命令勧告を行いました。

・H31.3.1 タカタ株式会社社員による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について

・H31.3.15 株式会社アサツーディ・ケイ社員から伝達を受けた者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について

・H31.3.15 株式会社エストラスト役員から伝達を受けた者2名による内部者取引及び当該役員による公開買付けの実施に関する事実に係る伝達行為に対する課徴金納付命令の勧告について

・H31.3.26 シティグループ・グローバル・マーケッツ・リミテッドによる長期国債先物に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について


・タカタ株式会社社員による内部者取引違反行為に対する課徴金納付命令の勧告について

【事案の概要】

 本件は、タカタ株式会社(以下本節において「タカタ」といいます。)が平成29年6月26日に公表した、事業譲渡及び民事再生手続開始の申立てに関するインサイダー取引です。

 本件の課徴金納付命令対象者(以下本節において「対象者」といいます。)9名は、違反行為当時、タカタの社員でした。9名のうち6名は、タカタの業務執行を決定する機関が、キー・セイフティー・システムズ社に対し事業譲渡を行うことについての決定をした旨の重要事実(以下本節において「本件事実1」といいます。)を知りながら、本件事実1の公表前に、自己の計算において、タカタ株式を売り付けたものです。また、3名は、タカタの業務執行を決定する機関が、民事再生手続開始の申立てを行うことについての決定をした旨の重要事実(以下本節において「本件事実2」といいます。)を知りながら、本件事実2の公表前に、自己の計算において、タカタ株式を売り付けたものです(いずれもインサイダー取引違反行為)。

【事案の特色等】

 本件は、インサイダー取引の重要事実として「事業譲渡」を適用した初の事案です。企業再編には、公開買付け以外にも、株式交換、株式移転、合併、会社分割、事業譲渡、資本業務提携など様々な手法があり、重要事実に該当すればインサイダー取引規制の対象となります。

 インサイダー取引の原因となった重要事実については、課徴金制度導入以降平成30年3月末までに勧告したインサイダー取引事案を年度別に集計した上で、平成30年6月28日公表の「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~」13ページに取りまとめていますので、併せてご覧ください。

 本件の対象者9名は、本件事実1又は本件事実2が「公表」される前に保有株式を売り付けたものですが、本稿では、インサイダー取引規制における「公表」について整理したいと思います。

 金商法は、重要事実等の公表の方法として、大別して以下の3つの方法を規定しています。

[1] 重要事実等が2以上の報道機関に公開され、12時間以上経過したこと
[2] TDnetにより公衆縦覧に供されたこと
[3] 重要事実等が記載された有価証券報告書等が公衆縦覧に供されたこと

 例えば、新聞等による情報源が明らかではないスクープ報道は、上記[1]における「公開」に該当しないため、インサイダー取引規制との関係では「公表がされた」とはみなされないこととなります。

 本件においては、平成29年6月26日にタカタがTDnetにより公表する前に、新聞等において事業譲渡及び民事再生手続開始の申立てに関する報道がありましたが、タカタは逐一否定しており、それらの報道は金商法が規定している上記3つのいずれにも該当しませんので、重要事実等の公表には当たらないことになります。

 本件が広く周知されることにより、インサイダー取引の抑止効果が発揮されることを期待しています。


・株式会社アサツーディ・ケイ社員から伝達を受けた者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について

【事案の概要】

 課徴金納付命令対象者(以下本節において「対象者」といいます。)は、株式会社アサツーディ・ケイ(以下本節において「アサツー」といいます。平成30年3月16日付上場廃止、平成31年1月1日「株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ」に商号変更。)に勤務していた社員から、英領ケイマン諸島籍の有限責任組合BCPE Madison Cayman,L.P.の業務執行を決定する機関が、アサツー株式の公開買付けを行うことについての決定をした旨の公開買付けの実施に関する事実(以下本節において「本件事実」といいます。)の伝達を受けながら、本件事実が公表された平成29年10月2日より前に、自己の計算において、アサツー株式を買い付けたものです(インサイダー取引違反行為)。

【事案の特色等】

 平成17年4月の課徴金制度導入後、インサイダー取引による課徴金勧告を行った事案を重要事実等別に分類した場合、「公開買付け等事実」が一番多い結果となっていることは、これまでもお伝えしているとおりですが、本件も「公開買付け等事実」によるインサイダー取引です。

 公開買付けについては、これもまた、これまでお伝えしているところですが、公開買付けの当事者である買付企業や買付対象会社のみならず、コンサルティング会社や金融機関など多くの関係者が関与すること、また、当事者間での検討開始から最終的な合意・公表までに相当な時間を要することから、他の重要事実に比べてインサイダー取引が行われやすいとの指摘があります。繰り返しになりますが、公開買付けに関わる全ての関係者において厳正な情報管理に努めることが強く求められていると言えます。

 また、アサツーに勤務していた社員については、対象者に利益を得させる目的をもって本件事実を伝達したこと等により、証券監視委から東京地方検察庁に対して、平成30年10月30日に告発しています。証券監視委では、悪質な事案の調査と密接に連携し、取引金額の比較的少ない不公正取引についても、厳正に対処しています。

 本件が広く周知されることにより、インサイダー取引の抑止効果が発揮されることを期待しています。


・株式会社エストラスト役員から伝達を受けた者2名による内部者取引及び当該役員による公開買付けの実施に関する事実に係る伝達行為に対する課徴金納付命令の勧告について

【事案の概要】

 本件は、西部瓦斯株式会社(以下本節において「西部ガス」といいます。)が平成29年1月23日に公表した、株式会社エストラスト(以下本節において「エストラスト」といいます。)の株式に対する公開買付けの実施に関するインサイダー取引及び当該公開買付けの実施に関する事実(以下本節において「本件事実」といいます。)に係る伝達行為違反です。

 本件は、課徴金納付命令対象者(以下本節において「対象者」といいます。)が3名の事案です。

・対象者(1)について

 対象者(1)は、エストラストの役員ですが、同人がその職務に関し、西部ガスからの伝達により知った、西部ガスの業務執行を決定する機関が、エストラスト株式の公開買付けを行うことについての決定をした旨の本件事実を、対象者(2)に対し、本件事実の公表がされる前に、エストラスト株式の買付けをさせることにより、同人に利益を得させる目的をもって、伝達したものです(伝達行為違反)。

・対象者(2)について

 対象者(2)は、対象者(1)から本件事実の伝達を受けながら、本件事実の公表前に、自己の計算において、エストラスト株式を買い付けたものです(インサイダー取引違反)。

・対象者(3)について

 対象者(3)は、対象者(1)から本件事実の伝達を受けながら、本件事実の公表前に、自己の計算において、エストラスト株式を買い付けたものです(インサイダー取引違反)。

【事案の特色等】

 本件も、平成31年3月15日に課徴金納付命令勧告を行った株式会社アサツーディ・ケイ株式に関する事案と同様、「公開買付け等事実」によるインサイダー取引です。

 公開買付けについては、再三お伝えしているように、公開買付けの当事者である買付企業や買付対象会社のみならず、コンサルティング会社や金融機関など多くの関係者が関与すること、また、当事者間での検討開始から最終的な合意・公表までに相当な時間を要することから、他の重要事実に比べてインサイダー取引が行われやすいとの指摘があります。繰り返しになりますが、公開買付けに関わる全ての関係者において厳正な情報管理に努めることが強く求められていると言えます。

 また本件は、エストラストの役員による情報伝達行為についての勧告事案でもあります。本来、上場会社の役員は、情報管理体制を整備し、役職員を教育する立場にあるはずです。しかしながら、本件対象者(1)は役員でありながら、利益を得させる目的をもって、対象者(2)に対して公表前の公開買付け等事実を伝達したものであり、上場会社の役員として、非常に問題がある行為です。利益を得させる等の目的をもって、未公表の重要事実等を伝達した場合、伝達者は取引により利益を得ていない場合であっても、伝達された者が行った取引金額に応じて課徴金が課せられることになり得ます。自身のインサイダー取引だけではなく、情報伝達行為も課徴金納付命令の対象となることを十分ご理解いただきたいと思います。

 本件が広く周知されることにより、インサイダー取引の抑止効果が発揮されることを期待しています。


・シティグループ・グローバル・マーケッツ・リミテッドによる長期国債先物に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

【事案の概要】

 シティグループ・グローバル・マーケッツ・リミテッド(以下本節において「CGML」といいます。)は、同社のディーリング業務に従事していた者において、同社の業務に関し、大阪取引所に上場されていた長期国債先物2018年12月限月について、市場デリバティブ取引を誘引する目的をもって、平成30年10月26日午後7時45分頃から同月27日午前1時11分頃までの間及び同月29日午後7時16分頃から同月30日午前1時2分頃までの間、大阪取引所において、証券会社を介し、約定させる意思がないのに、最良買い気配値以下の価格に多数の買い注文を発注する方法により、合計7603単位の買付けの委託を行うとともに、合計277単位を売り付ける一方、約定させる意思がないのに、最良売り気配値以上の価格に多数の売り注文を発注する方法により、合計4341単位の売付けの委託を行うとともに、合計311単位を買い付けるなどし、もって、CGMLと密接な関係を有する者の計算において、市場デリバティブ取引が繁盛であると誤解させ、かつ、大阪取引所における本件国債先物の相場を変動させるべき一連の市場デリバティブ取引及びその委託を行いました。

【今回行われた取引の流れ(例)】

1. 買い見せ玉の局面において

(1) 小口の売り注文を発注する
(2) 約定する意思のない買い注文を発注する
 (→上値に他の投資者の買い注文が誘引される)
(3) 誘引された注文と小口の売り注文が約定する
(4) 数秒後に上記(2)の注文(買い見せ玉)を取り消す

2.売り見せ玉の局面において

(1) 約定する意思のない売り注文を発注する
 (→下値に他の投資者の売り注文が誘引される)
(2) 買い注文を発注し、誘引された注文と対当させ買い付ける
(3) 数秒後に上記(1)の注文(売り見せ玉)を取り消す

という行為を繰り返していました。

【事案の特色等】

[1] 本件は、違反者が、大口の注文を発注した後に、他の投資者が違反者の大口の注文によって、買い注文の場合は上値に、売り注文の場合は下値に誘引されて発注された注文に対して、その反対側に注文を発注し、有利な価格で約定させた後、大口注文を取り消すという行為を繰り返した相場操縦事案です。

[2] 本件は、日本取引所自主規制法人より提供された情報を参考として、実態解明を行ったものです。

[3] 本件は、海外の金融機関による市場デリバティブ取引に係る相場操縦として初の勧告事案となっています。

 証券監視委としては、今後とも、海外当局や国内の自主規制機関等との連携により、現物取引であるか市場デリバティブ取引であるかを問わず、証券市場における違反行為が認められた場合には、引き続き厳正に対処していく所存です。


サイトマップ

ページの先頭に戻る