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〔8月10日(金) 配信分より〕

<目次>
市場へのメッセージ

1. 証券取引等監視委員会の活動状況の公表について
2. 不公正取引に関する課徴金事例集の公表について
3. スミダコーポレーション株式会社株券に係る内部者取引事件の告発について
4. 株式会社オレンジプラン及び株式会社ゴールドマイン並びにその役員2名の金融商品取引法違反行為に係る裁判所への申立てについて
5. 最近の取引調査に基づく勧告について
・株式会社ユアテックの役員から情報を受領した者による内部者取引違反行為
・公開買付者の親会社役員から情報を受領した者によるUSEN株式に係る内部者取引違反行為
・海外居住の個人投資家による株式会社ココカラファイン株式に係る相場操縦
・三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社による長期国債先物に係る相場操縦
6. 最近の開示検査に基づく勧告について
・五洋インテックス株式会社に係る有価証券報告書の虚偽記載



市場へのメッセージ


 
1. 証券取引等監視委員会の活動状況の公表について
 
 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、金融庁設置法第22条の規定に基づき、毎年、活動状況等を公表しています。今回は、その26回目として、平成29年度(平成29年4月1日~同30年3月31日)の「証券取引等監視委員会の活動状況」を平成30年7月25日に公表いたしました。
 
 詳細につきましては、以下URLをご参照ください。
https://www.fsa.go.jp/sesc/reports/n_29/n_29.htm
 


 
2. 不公正取引に関する課徴金事例集の公表について
 
 証券監視委は、平成30年6月28日、「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~」(以下「事例集」といいます。)を公表いたしました。
https://www.fsa.go.jp/sesc/jirei/torichou/20180628.htm
 
 事例集は、市場参加者に課徴金制度への理解を深めていただくため、また不公正取引の未然防止という観点から、金融商品取引法違反となる不公正取引に関し勧告を行った事例について、事例毎の特色などの説明を加えて取りまとめたものです。
 
 本年度の事例集においては、全ての市場利用者がルールを守るために参考となるよう、
 

(1) 勧告事例を分析した上で、事案の概要に留まらず、事案の意義・特徴等を出来るだけ記載する
(2) 市場利用者の関心が高いと思われるテーマについて、昨年新設した監視委コラムを一層充実させる
(3) 分かりやすさ、読みやすさを追求するため、個別事例について、概要図内の情報の充実を図るとともに、1事例を見開きページで掲載する
(4) 相場操縦事例については、グラフ、表、株価チャートを活用し複雑化する取引手法の可視化に努める
(5) 上場会社におけるインサイダー取引管理態勢の状況に関して、平成29年度に勧告したインサイダー取引事案のうち、上場会社の役職員による伝達や取引が行われた事案について、状況を整理し概要を分かりやすく記載する

 
などの工夫を行いました。
 
 証券監視委としては、事例集を、
 

(1) 重要事実等の発生源となる上場会社等におけるインサイダー取引管理態勢の一層の充実
(2) 公開買付け等企業再編の当事者からフィナンシャル・アドバイザリー業務等を受託する証券会社・投資銀行等における重要事実等の情報管理の徹底
(3) 証券市場のゲートキーパーとしての役割を担う証券会社における適正な売買審査の実施

 
のためにそれぞれ役立てていただくことを期待しています。
 
 また、一般投資者におかれても、不公正取引の疑いがある場合には、証券監視委による調査等の対象となり、法令違反が認められた場合には課徴金が課されることを十分にご理解いただければ幸いです。
 
 事例集が活用されることにより、全ての市場利用者による自己規律、市場の公正性・透明性の確保及び投資者保護につながることを強く期待しています。
 


 
3. スミダコーポレーション株式会社株券に係る内部者取引事件の告発について
 
 証券監視委は、平成30年6月18日、金融商品取引法違反(内部者取引・取引推奨)の嫌疑で、犯則嫌疑者1名を東京地方検察庁に告発いたしました。
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20180618-1.htm
 
【事案の概要】
 犯則嫌疑者は、東京証券取引所市場第一部に株券を上場しているスミダコーポレーション株式会社の社外取締役として、同社の業務の執行に関与していたものです。
 
 犯則嫌疑者は、平成29年1月下旬頃、その職務に関し、同社が新たに算出した平成28年12月期の年間配当及び期末配当の各予想値について、同年10月下旬頃に公表していた予想値に比較し、内閣府令で定める基準に該当する差異が生じた旨の同社の業務等に関する重要事実を知りました。
 
 その上で、犯則嫌疑者は、
 
第1 法定の除外事由がないのに、前記重要事実の公表前である平成29年1月下旬頃から同年2月上旬頃までの間、証券会社1社を介し、東京証券取引所において、A名義で前記スミダコーポレーション株式会社の株券合計約8万株を代金合計約8800万円で買い付けました。
 
 さらに犯則嫌疑者は、
 
第2 あらかじめ同社の株券を買い付けさせて利益を得させる目的をもって、次の1~4の取引推奨行為を行いました。
 

1 前記重要事実の公表前である同年1月下旬頃から同年2月上旬頃までの間、Bに対し、複数回にわたり、同社の株券の買付けを勧め、これにより買付けを勧められた同人が、法定の除外事由がないのに、同重要事実の公表前である同年1月下旬頃から同年2月上旬頃までの間、前記スミダコーポレーション株式会社の株券合計4000株を代金合計約400万円で買い付けた。
 
2 前記重要事実の公表前である同年1月下旬頃から同年2月上旬頃までの間、Cに対し、複数回にわたり、同社の株券の買付けを勧め、これにより買付けを勧められた同人が、法定の除外事由がないのに、同重要事実の公表前である同年1月下旬頃から同年2月上旬頃までの間、前記スミダコーポレーション株式会社の株券合計約2万7000株を代金合計約3000万円で買い付けた。
 
3 前記重要事実の公表前である同年1月下旬頃から同年2月上旬頃までの間、Dに対し、複数回にわたり、同社の株券の買付けを勧め、これにより買付けを勧められた同人が、法定の除外事由がないのに、同重要事実の公表前である同年1月下旬頃から同年2月上旬頃までの間、前記スミダコーポレーション株式会社の株券合計3000株を代金合計約300万円で買い付けた。
 
4 前記重要事実の公表前である同年1月下旬頃、Eに対し、同社の株券の買付けを勧め、これにより買付けを勧められた同人が、法定の除外事由がないのに、同重要事実の公表前である同月下旬頃、前記スミダコーポレーション株式会社の株券合計1000株を代金合計約100万円で買い付けた。

 
【本件重要事実】
 本件重要事実は、平成29年2月6日午後3時30分、同社が、東京証券取引所の適時開示情報伝達システムであるTDnetにより、「平成28年12月期(第62期)期末配当予想の修正に関するお知らせ」及び「平成28年12月期 決算短信[日本基準](連結)」として公表したものです。
 
 その内容は、前記スミダコーポレーション株式会社の業績動向を踏まえ、平成28年12月期の期末配当及び年間配当金の予想値について、平成28年10月下旬頃に公表していた数値を上方修正するものでした。具体的には、期末配当金について6円から16円に、年間配当金について24円から34円に、上方修正しています。
 
【取引推奨】
 本件は取引推奨に係る初めての告発事例となります。
 
 金融商品取引法第167条の2により、重要事実を知った会社関係者は、他人に対し、利益を得させ、又は損失の発生を回避させる目的をもって、
 
 ・重要事実の内容の全て又は一部を伝えること(情報伝達)、
 又は
 ・重要事実を伝達していなくとも、株券の売買等を勧めること(取引推奨)
 
は禁止されています。なお、処罰の対象となるのは、伝達を受けた者又は勧められた者が重要事実の公表前に株券の売買等をした場合に限られます。
 
 重要事実の情報伝達に係る告発事例は過去に2件(株式会社アルベルト株券に係る内部者取引事件(平成28年8月1日告発)、株式会社卑弥呼株券に係る内部者取引事件(平成29年6月27日告発))ありますが、取引推奨に係る告発事例は本件が初めてとなります。
 
【本件の意義】
 本件は、前記スミダコーポレーション株式会社の社外取締役であった犯則嫌疑者が、職務に関し本件重要事実を知った後、A名義の口座を使用して大量の同社株券を買い付けるとともに、多数の関係者に対して同社株券の取引を推奨した事案であり、同社の内部情報を得られる立場を利用して行った本件犯則行為の態様は悪質性が認められます。
 
 証券監視委は、引き続き、市場の公正性・透明性の確保に向けて、本件のような重大で悪質な違反行為に対し、厳正に対応していきます。
 


 
4. 株式会社オレンジプラン及び株式会社ゴールドマイン並びにその役員2名の金融商品取引法違反行為に係る裁判所への申立てについて
 
 証券監視委は、平成30年5月29日、東京地方裁判所に対して、株式会社オレンジプラン及び株式会社ゴールドマイン並びにその役員2名(以下、併せて「被申立人ら」といいます。)に金融商品取引法違反行為の禁止及び停止を命ずるよう申立てを行いました。
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20180529-1.htm
 
【事案の概要】
 株式会社オレンジプラン(以下「オレンジ社」といいます。)は、平成28年11月頃から、「ポートフォリオコイン」という金融商品(その発行主体とされる海外法人が、仮想通貨の売買によってその売上金を運用し、運用益をその購入者らに分配するという金融商品)の販売事業を行っており、オレンジ社を含む被申立人らは、個別の面談やセミナー、キャンペーンメールの送信等の方法により、「ポートフォリオコイン」の取得勧誘を行っていました。
 
 「ポートフォリオコイン」のような金融商品の取得勧誘を業として行う場合には、金融商品取引法上の登録(第二種金融商品取引業の登録)を受ける必要がありますが、被申立人らは、この登録を受けることなく、上記の取得勧誘を行っていました。
 
 その結果、平成28年11月から平成30年2月までの間に、少なくとも延べ約8,100名の一般投資家が、約31億円分の「ポートフォリオコイン」を購入していました。なお、「ポートフォリオコイン」の売上金について、オレンジ社がその発行主体とされる海外法人に送金を行っている形跡は認められませんでした。
 
 被申立人らに対しては、平成30年7月27日に、東京地方裁判所から、金融商品取引法違反行為の禁止及び停止を命ずる決定が出されています。
 
 証券監視委においては、引き続き、関係機関とも連携しつつ、無登録業者に対して厳正に対処してまいります。投資者の皆様におかれては、無登録業者と取引を行うことがないように、注意してください。
 


 
5. 最近の取引調査に基づく勧告について
 
 証券監視委は、取引調査の結果に基づいて、以下の事案について課徴金納付命令勧告を行いました。
 
・H30.6.19 株式会社ユアテックの役員から情報を受領した者による内部者取引違反行為
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20180619-1.htm
 
・H30.6.19 公開買付者の親会社役員から情報を受領した者によるUSEN株式に係る内部者取引違反行為
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20180619-2.htm
 
・H30.6.26 海外居住の個人投資家による株式会社ココカラファイン株式に係る相場操縦
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20180626.htm
 
・H30.6.29 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社による長期国債先物に係る相場操縦
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20180629.htm
 


 
・株式会社ユアテックの役員から情報を受領した者による内部者取引違反行為に対する課徴金納付命令の勧告について
 
【事案の概要】
 本件は、株式会社ユアテック(以下「ユアテック」といいます。)が平成28年10月26日に公表した、剰余金の配当予想の修正に関するインサイダー取引です。
 
 課徴金納付命令対象者(以下、本節において「対象者」といいます。)は、ユアテックの役員から、同人がその職務に関し知った、
 
 同社の平成28年4月1日から平成29年3月31日までの事業年度の剰余金の配当について、平成28年7月27日に公表がされた直近の予想値(中間配当金6円と期末配当金6円を合わせた年間配当金12円)に比較して、同社が新たに算出した予想値(中間配当金10円と期末配当金10円を合わせた年間配当金20円)において、投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとなる差異が生じた旨の重要事実(以下「本件事実」といいます。)
 
の伝達を受けながら、本件事実の公表前に、自己の計算において、ユアテック株式を買い付けたものです(インサイダー取引違反行為)。
 
【事案の特色等】
 本件は、比較的シンプルな構造のインサイダー取引事案です。本件では、上場会社の役員から情報を受領した対象者がインサイダー取引を行ったものですが、改めて上場会社における情報管理の徹底をお願いしたいと思います。
 
 なお、上場会社におけるインサイダー取引管理態勢の状況については、平成30年6月28日公表の「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~」17ページ以降に、平成29年度に勧告したインサイダー取引事案のうち、上場会社の役職員による伝達や取引が行われた12社について、インサイダー取引管理態勢の状況を整理のうえ概要を取りまとめていますので、併せてご覧ください。
https://www.fsa.go.jp/sesc/jirei/torichou/20180628.htm
 
 本件が広く周知されることにより、インサイダー取引の抑止効果が発揮されることを期待しています。
 


 
・公開買付者の親会社役員から情報を受領した者によるUSEN株式に係る内部者取引違反行為に対する課徴金納付命令の勧告について
 
【事案の概要】
 本件は、株式会社U-NEXT(以下「U-NEXT」といいます。平成29年12月1日、「株式会社USEN-NEXT HOLDINGS」に商号変更しました。)の子会社であった株式会社U-NEXT SPC1(以下「U-NEXT SPC」といいます。)が平成29年2月13日に公表した、株式の公開買付けに関するインサイダー取引です。
 
 課徴金納付命令対象者(以下、本節において「対象者」といいます。)は、U-NEXTの役員から、同人がその職務に関し知った、
 
 U-NEXT SPCの業務執行を決定する機関が、株式会社USEN(以下「USEN」といいます。)株式の公開買付けを行うことについての決定をした旨の事実(以下「本件事実」といいます。)
 
の伝達を受けながら、本件事実の公表前に、自己の計算において、USEN株式を買い付けたものです(インサイダー取引違反行為)。
 
【事案の特色等】
 本件は、対象者がU-NEXT SPCの親会社であるU-NEXTの役員から公表前に入手した本件事実を利用しインサイダー取引を行ったものですが、本件のように、予め特別目的会社であるSPCを設立し当該SPCを通じて公開買付けを実施したケースで、インサイダー取引として勧告した事案は複数あります(直近では平成26年6月20日に勧告したアイ・エム・アイ事案が該当します)。
 
 また、本件は公開買付け等事実に関するインサイダー取引事案ですが、平成17年4月の課徴金制度導入後、インサイダー取引による課徴金勧告を行った事案を重要事実等別に分類した場合、「公開買付け等事実」が一番多い結果となっており、平成29年度(平成29年4月から平成30年3月まで)に勧告したインサイダー取引事案においても、「業務提携」に次いで2番目に多い重要事実等となっております。詳細は、平成30年6月28日公表の「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~」7ページに記載されていますので、是非ご覧ください。
https://www.fsa.go.jp/sesc/jirei/torichou/20180628.htm
 
 公開買付けについては、これまでのメルマガで繰り返しお伝えしているところですが、公開買付けの当事者である買付企業や買付対象会社のみならず、コンサルティング会社や金融機関など多くの関係者が関与すること、また、当事者間での検討開始から最終的な合意・公表までに相当な時間を要することから、他の重要事実に比べてインサイダー取引が行われやすいとの指摘があります。繰り返しになりますが、公開買付けに関わる全ての関係者において厳正な情報管理に努めることが強く求められていると言えます。
 
 本件が広く周知されることにより、インサイダー取引の抑止効果が発揮されることを期待しています。
 


 
・海外居住の個人投資家による株式会社ココカラファイン株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について
 
【事案の概要】
 中国に居住する個人投資家は、東京証券取引所市場第一部に上場されている株式会社ココカラファインの株式につき、同株式の売買を誘引する目的をもって、平成27年7月8日午前9時6分頃から同月14日午前9時10分頃までの間、合計5取引日において、約定させる意思がないのに、最良買い気配値と同値又はその下値に多数の買い注文を発注するなどの方法により、合計79万700株の買付けの委託を行うとともに、合計11万6200株を売り付ける一方、最良売り気配値と同値又はその上値に多数の売り注文を発注するなどの方法により、合計105万4100株の売付けの委託を行うとともに、合計11万6400株を買い付けるなどし、もって、自己の計算において、同株式の売買が繁盛であると誤解させ、かつ、同市場における同株式の相場を変動させるべき一連の売買及び委託を行いました。
 
【当日の違反行為者の取引の流れ】

(1) あらかじめ自分が約定させたい価格の買い注文を発注する。
(2) 最良売り気配値より下値の価格に10単位(1,000株)程度の売り注文を発注して、最良売り気配値を下落させつつ、場に出ている最良買い気配値にある買い注文に対して最少単位程度の売り注文を発注し約定させながら徐々に株価を引き下げていく(見せ玉・売り崩し)。
(3) 上記(2)により、自分の買い注文の価格が最良買い気配値となったところで、最良売り気配値に大口の数量の売り注文(100単位程度)を発注する(大口の見せ玉)。
(4) これらにより誘引された投資者の売り注文と自分の買い注文が対当し約定する。
(5) 自分が約定させたい買い注文が相当程度約定した後、場に残っている全ての売り注文を取り消す(見せ玉の取消し)。

 
 なお、上記は買い注文を約定させる場合の相場操縦手法であり、売り注文を約定させたい場合は、上記とは売り注文と買い注文を反転させた方法により、売り注文を約定させており、これらの行為を繰り返し行っていました。
 
【本事案の特徴】

(1) 仕込み時及び売り抜け(買い戻し)時の両局面において、見せ玉を発注し、自身に有利な価格で約定させています。
(2) 株価の引き上げ及び引き下げ時には、1単位(100株)の注文を繰り返し発注して株価を変動させる一方、見せ玉については、100単位(10,000株)を超える規模の発注も見られ、板占有率(8本値)は80%程度に達しています。
(3) これら見せ玉注文については、仕込み又は売り抜け(買い戻し)注文が約定した直後に、全て取り消されています。
(4) 本件については、中国証券監督管理委員会(the China Securities Regulatory Commission)から支援がなされており、中国居住者による相場操縦事案として、中国当局の協力を得て課徴金勧告を行った初の事例です。

 
 証券監視委では、本件のようなクロスボーダー取引についても、より一層積極的な調査・摘発を進め、我が国証券市場における違反行為が認められた場合には、国内における対応と同様、これに厳正に対処することにより、証券市場の健全性を確保していく所存です。
 


 
・三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社による長期国債先物に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について
 
【事案の概要】
 三菱UFJモルガン・スタンレーは、同社のディーリング業務に従事していた者において、同社の業務に関し、大阪取引所に上場されていた長期国債先物2017年9月限月について、市場デリバティブ取引を誘引する目的をもって、平成29年8月25日午後6時34分頃から同日午後7時9分頃までの間、同取引所において、約定させる意思がないのに、最良買い気配値以下の価格に多数の買い注文を発注する方法により、合計6,253単位の買付けの申込みを行うとともに、合計177単位を売り付ける一方、最良売り気配値以上の価格に多数の売り注文を発注する方法により、合計1,844単位の売付けの申込みを行うとともに、合計158単位を買い付けるなどし、もって、自己の計算において、市場デリバティブ取引が繁盛であると誤解させ、かつ、同取引所における本件国債先物の相場を変動させるべき一連の市場デリバティブ取引及び申込みを行いました。
 
【当日の違反行為者の取引の流れ】
1. 買い見せ玉の局面において

(1) 大口の買い注文を最良買い気配値から5本程度下値までの価格帯に発注し、
(2) 誘引された他の投資者が高い価格帯に発注した買い注文に、違反者の売り注文を対当させ、売り抜けを行う。
(3) 売り抜けを行った後、数秒後に場に晒していた買い注文を取り消す。

 
2. 売り見せ玉の局面において

(1) 大口の売り注文を最良売り気配値から5本程度上値までの価格帯に発注し、
(2) 誘引された他の投資者が低い価格帯に発注した売り注文に、違反者の買い注文を対当させ、買戻しを行う。
(3) 買戻しを行った後、数秒後に場に晒していた売り注文を取り消す。

 
という行為を繰り返し行っていました。
 
【本事案の特徴】

(1) 本件は、違反者が、大口の注文を発注した後に、他の投資者が違反者の大口の注文によって、買い注文の場合は上値に、売り注文の場合は下値に誘引されて発注された注文に対して、その反対側に自己の注文を発注し、自己に有利な価格で約定させた後,自己の大口注文を取り消すという行為を繰り返した相場操縦事案です。
(2) 本件は、日本取引所自主規制法人より提供された情報を参考として、実態解明を行ったものです。
(3) 本件は、証券会社による市場デリバティブ取引に係る相場操縦事案として過去最大の課徴金額となっています。

 
 証券監視委としては、今後とも、海外当局や国内の自主規制機関等との連携により、現物取引であるか市場デリバティブ取引であるかを問わず、証券市場における違反行為が認められた場合には、引き続き厳正に対処していく所存です。
 


 
6. 最近の開示検査に基づく勧告について
 
 証券監視委は、五洋インテックス株式会社(以下「当社」といいます。)に係る有価証券報告書等の虚偽記載についての開示検査を行った結果、有価証券報告書に重要な虚偽記載が認められたことから、平成30年6月29日に内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました。
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20180629-2.html
 
【事案の概要】
 当社は、主たる事業であるカーテン及び室内装飾品の販売事業の業績が低迷する中、株式の第三者割当や新株予約権発行等による資金調達を行い、新規事業の開拓を行っていたところであり、新規事業の事業計画の達成に対して強いインセンティブを持っていました。
 
 こうした経営環境の中、当社は、新たに進出した太陽光発電事業の業績をよく見せかけようとして、実際には仕入も販売も行っていない太陽光発電関連の商材(以下「太陽光商材」といいます。)について、架空取引に関する証憑類を偽造した上で架空の売上を計上しました。
 
 また、タブレット端末についても、同様に架空の売上を計上しました。
 
【不適正な会計処理】
 当社が行った不適正な会計処理は次のとおりです。
 
 (1) 太陽光商材の取引
 
 当社は、同一の者が代表者であるA社及びB社との間で、
 
 イ A社が仕入れた太陽光商材を当社が買い取り、
 ロ 当社が一定の利益を付加した金額でB社に販売し、
 ハ 太陽光商材をA社からB社に直接納品する
 
といった取引を行ったものと偽りました。
 
 当社は、この取引スキームに従って仕入れたとする太陽光商材の金額(当社がA社に入金する金額)を売上原価に、販売したとする太陽光商材の金額(B社から入金される金額)を売上高に計上するとともに、B社への販売時に付加したとする利益を計上しました。
 
 これらの金額は、当社が余剰資金等を勘案して決定したものであり、また、見積書、請求書、納品書等の証憑類は作成日を遡及して作成されたものでした。さらに、納品書上の納品日時点はおろか、期中においても、太陽光商材はB社に納品されていませんでした。このように、当社は、形式的に証憑類を整えただけの架空の取引を行ったこととし、架空の売上を計上したものです。
 
 (2) タブレット端末の仕入及び販売取引
 
 当社は、同様に、別の会社(以下「C社」といいます。)との間で、
 
 イ C社からタブレット端末を当社が買い取り、
 ロ 当社がこれをC社指定販売先(以下「D社」といいます。)へ販売し、
 ハ 販売した利益は当社とC社で折半する
 
といった取引を行ったものと偽りました。
 
 当社は、この取引スキームに従って仕入れたとするタブレット端末の金額を売上原価に、販売したとするタブレット端末の金額を売上高に計上するとともに、その差額を利益計上しました。
 
 しかし、実体は、当社がC社に仕入代金の半金を支払ったものの、D社からは販売代金が入金されず、さらには、C社にタブレット端末自体が存在した事実はなく、架空の売上を計上したものです。


 

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