市場へのメッセージ(令和元年8月29日)

<目次>

1.株式会社ファインドエッジに対する検査結果に基づく勧告について
2.イメージ情報開発株式会社における有価証券報告書の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について
3. 東海投資助言サービス合同会社に対する検査結果に基づく勧告について
4.株式会社D.U.corporation及びその役員1名による金融商品取引法違反行為に係る裁判所への禁止及び停止命令発出の申立てについて
5.テラ株式会社における有価証券報告書等の重要な事項の不記載に係る課徴金納付命令勧告について

1. 株式会社ファインドエッジに対する検査結果に基づく勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。) は、令和元年6月18日、金融庁に対して、株式会社ファインドエッジ(以下本節において「当社」といいます。)に行政処分を行うよう勧告いたしました。

【事案の概要等】
 
 当社は、適格機関投資家等特例業務届出者(いわゆるプロ向けファンド業者)であり、適格機関投資家等特例業務(以下「特例業務」といいます。)として、匿名組合(以下「ファンド」といいます。)の運用を行っていましたが、平成27年10月頃から、ファンドの運用業務を縮小し、現在は清算に向けた業務を行っています。
 上記公表文に記載のとおり、当社は、ファンド出資金を他のファンドの償還等へ流用している状況及び当局の報告徴取命令に対し虚偽の報告を行っている状況が認められました。
 平成28年3月1日に施行された改正金融商品取引法により、特例業務届出者に対しても、忠実義務違反等の金融商品取引業者と同等の行為規制が課されることになり、本件についても、ファンド出資金を他のファンドの償還等へ流用している状況が忠実義務違反に当たるものなどとして、行政処分の勧告を行っています。今後も、改正法により導入された権限を十分に活用し、悪質な届出業者について積極的に行政処分の勧告を行っていく予定です。

 なお、当社に対しては、令和元年6月26日に、近畿財務局長から業務廃止命令及び業務改善命令の行政処分が行われています。
 

2. イメージ情報開発株式会社における有価証券報告書の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について

 証券監視委は、イメージ情報開発株式会社(以下本節において「当社」といいます。)における有価証券報告書等の虚偽記載等について検査を行った結果、下記のとおり、有価証券報告書の重要な事項に虚偽記載が認められたことから、令和元年6月21日に内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました。

【事案の概要】
 当社は、A社と締結した契約に基づき当社の従業員をA社に派遣していたところ、当該従業員派遣の対価としてA社から支払いを受けた売上の一部について、本来であれば平成27年3月期に計上するべきでしたが、平成26年3月期に前倒し計上を行いました。
 これらにより、当社は、過大な当期純利益等を計上した連結財務諸表を記載した平成26年3月期の有価証券報告書を提出しました。
 
【不適正な会計処理の概要】
 当社は、A社との間で、平成24年2月より、人材派遣契約を締結[1]し、A社に対して当社従業員の派遣を行っていました。当社は、この派遣の対価としてA社から月ごとに支払いを受け、これを売上として計上していました。
 しかしながら、平成26年2月から平成27年1月までの期間については、当社は、A社に対して従業員を継続して派遣していたものの、A社との間で人材派遣契約を締結せず、平成26年1月にA社との間で締結したコンサルティング業務委託契約(以下「本件コンサル契約」といいます。)に基づいて、当社社員にA社の業務を従事させていました。これにより、当社は、本件コンサル契約に基づく業務の対価として平成26年3月期に2,520万円を売上計上しました。 
 
 証券監視委の検査の結果、下記①~③の事実から、本件コンサル契約とその直前(平成26年1月時点)に締結されていた人材派遣契約(以下「本件派遣契約」といいます。)の間に実質的な違いは存在しないことが認められました。
(1) 本件コンサル契約に基づきA社の業務に従事していた3名の社員は、本件派遣契約に基づきA社に派遣されていた3名の社員と同一の者であったこと。
(2) 本件コンサル契約に基づき当社がA社に提供していた業務の内容と本件派遣契約に基づき当社がA社に提供していた業務の内容は、同じであったこと。
(3) 上記①の3名の社員に対する本件コンサル契約による報酬の支払時期及び支払方法は、本件派遣契約による報酬時期及び支払方法と全く同一であったこと。
 また、実態として、本件コンサル契約時においても、従前の人材派遣契約時と同様に、月ごとにA社から当社に従業員派遣の対価が支払われていたことから、本件コンサル契約に基づく売上は、平成26年2月から平成27年1月までの各月ごとに計上すべきでしたが、本件コンサル契約を締結した平成26年3月期に一括して2,520万円(各月の売上(210万円)×12か月分)を計上しました。
 つまり、当社は、当該2,520万円のうち、平成26年2月及び3月の2か月分の売上を除いた2,100万円(平成26年4月から平成27年1月まで10か月分の売上)について、平成27年3月期の売上として計上するべきでしたが、平成26年3月期に前倒し計上しました。

  【概要図】

 
 
 【不適正な会計処理が行われた原因・背景】
  証券監視委の検査の結果、本件の不適正な会計処理の主な原因・背景は、下記の3点であると考えられます。
  ・ 不正な売上の計上等は当社の経営陣が行っており、当社経営陣に、上場会社の経営陣としてのコンプライアンス意識が欠如していたこと。
  ・ 経営上の重大な判断は代表取締役社長と元常務取締役のみで行い、定時取締役会には事後に報告するのみであったなど、当社の内部統制が形骸化していたこと。
  ・ 営業担当者が内部監査室長を兼任し、また、会計や法務の担当者は実質的に経営管理室長一人だけであったなど、本社管理部門の体制が脆弱であったこと。
 
  証券監視委は、開示規制違反に対して、引き続き厳正に対処していきます。

[1]一定の契約期間が設けられており、契約期間が満了するごとに、人材派遣契約の締結が行われていました。

3. 東海投資助言サービス合同会社に対する検査結果に基づく勧告について

 証券監視委は、令和元年6月21日、金融庁に対して、東海投資助言サービス合同会社(以下本節において「当社」といいます。)に行政処分を行うよう勧告いたしました。

【事案の概要等】
 東海財務局が当社を検査したところ、無登録業者に対する名義貸しと投資助言・代理業を適確に遂行するに足りる人的構成が確保されていない状況が認められました。

 このように、投資者保護上問題のある行為に対しては、今後も厳正に対処していきます。

(参考)
 金融商品取引業を行うには金商法上の登録を受ける必要があるところ、金融商品取引業者等が他人に名義貸しを行うことは、登録制度の潜脱につながることから、金商法により禁止されています。また、金融商品取引業を適確に遂行する観点から、金商法で人的構成の確保が求められております。

 なお、当社に対しては、令和元年6月28日に、東海財務局長から登録取消し及び業務改善命令の行政処分が行われています。

4. 株式会社D.U.corporation及びその役員1名による金融商品取引法違反行為に係る裁判所への禁止及び停止命令発出の申立てについて

 証券監視委は、令和元年6月26日、名古屋地方裁判所に対して、株式会社D.U.corporation及びその役員1名(以下、併せて「被申立人ら」といいます。)に金融商品取引法違反行為の禁止及び停止を命ずるよう申立てを行いました。

【事案の概要】
 被申立人らは、シンガポール共和国籍の法人であるRoyal Tree Capital Singapore Pte. Ltd.(以下「ロイヤル社」といいます。)と業務委託契約を締結し、遅くとも平成29年10月以降、一般投資家に対し、同社の提供する為替自動売買システムを含む商品(通称「S」)の取得勧誘を行っていました。
 
 当該為替自動売買システムについて、顧客が運用口座に入金した資金は、ロイヤル社の関連会社であるBright Friends Limited.(以下「ブライト社」といいます。)がFX取引等により運用を行うとしており、その利用にあたっては、最終的な投資判断及び権限をブライト社に委任すること等を内容とする規約に同意することとされているところ、これは、金商法2条8項12号ロに規定する投資一任契約に該当するものです。
 
 そして、一般投資家を相手方として反復継続して「S」を販売し、投資一任契約の成立に尽力している行為は、同項13号に規定する投資一任契約の締結の媒介を業として行うことに該当するものです。
 
 被申立人らは、平成29年10月から平成31年3月までの間に、少なくとも613名の一般投資家に対し同商品を取得させ、その対価として約5億3000万円を支払わせていました。
 
 上記のような行為を業として行う場合には、金融商品取引法上の登録(投資助言・代理業の登録)を受ける必要がありますが、被申立人らは、この登録を受けることなく、上記行為を行っていました。
 
 被申立人らに対しては、令和元年7月31日に、名古屋地方裁判所から、金融商品取引法違反行為の禁止及び停止を命ずる決定が出されています。 
 
 証券監視委においては、引き続き、関係機関とも連携しつつ、無登録業者に対して厳正に対処してまいります。投資者の皆様におかれては、無登録業者と取引を行うことがないように、注意してください。

5. テラ株式会社における有価証券報告書等の重要な事項の不記載に係る課徴金納付命令勧告について

 証券監視委は、テラ株式会社(以下本節において「当社」といいます。)における有価証券報告書等の虚偽記載等について検査を行った結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたことから、令和元年7月19日に内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました。

【事案の概要等】
 
 当社の当時の代表取締役であったY氏は、当社の細胞医療事業における主な取引先である医療法人Aの財務上及び業務上の意思決定に対して重要な影響力を有し、事実上、医療法人Aをコントロールする立場にあったことから、医療法人Aは当社の「関連当事者」に該当していました。
 連結財務諸表提出会社は、「関連当事者」との取引を行っている場合には、その重要なものについて連結財務諸表に注記することとされていますが(連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則第15条の4の2第1項)、当社は関連当事者である医療法人Aとの取引を注記しませんでした。
 これにより、当社は、記載すべき重要な事項の記載が欠けている有価証券報告書等を提出しました。
 
【不適正な会計処理が行われた原因・背景】 
 証券監視委の検査の結果、本件の法令違反が行われた主な原因・背景は、下記の2点であると考えられます。
 ・ 代表取締役であるY氏のコンプライアンス意識が欠如してしたこと。 
 ・ Y氏を監視・監督する当社のガバナンス体制が脆弱であったとともに、当社役職員のコンプライアンス意識が不足していたこと。
 
 証券監視委は、開示規制違反に対して、引き続き厳正に対処していきます。


<発行>
証券取引等監視委員会 事務局 総務課
    (情報公開・個人情報保護係)
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東京都千代田区霞が関3-2-1
中央合同庁舎第7号館
電話番号:03-3506-6000(代表)

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