市場へのメッセージ

平成31年4月より、「証券監視委メールマガジン」は「市場へのメッセージ」へとリニューアルしました。
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市場へのメッセージ(平成31年4月~)
証券監視委メールマガジン(平成22年11月~平成31年3月)

最新号〔6月26日(水) 配信分〕

<目次>

  1. 株式会社アルデプロにおける四半期報告書の虚偽記載等に係る課徴金納付命令勧告について
  2. アヴァトレード・ジャパン株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
  3. 株式会社小僧寿しの役員及び子会社社員による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
  4. 株式会社あすなろに対する検査結果に基づく勧告について
  5. Abalance株式会社株券に係る内部者取引事件の告発について

1.株式会社アルデプロにおける四半期報告書の虚偽記載等に係る課徴金納付命令勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、株式会社アルデプロ(以下「当社」といいます。)における金融商品取引法に基づく開示規制の違反について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたことから、令和6年4月19日に内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました

【法令違反の内容】
 当社は、売上の過大計上の不適正な会計処理を行ったことにより、「重要な事項につき虚偽の記載」がある下記の開示書類を関東財務局長に提出しました。
 
(継続開示書類)
・令和5年4月第3四半期四半期報告書(令和5年6月14日提出)
 
 また、当社は、当社の関連当事者との取引を「関連当事者との取引」として、連結財務諸表等への注記を行わなかったことにより、「記載すべき重要な事項の記載が欠けている」下記の開示書類を関東財務局長に提出しました。

(継続開示書類)
・令和4年7月期有価証券報告書(令和4年10月28日提出)等、合計3通

【不適正な会計処理等】
・不動産信託受益権の循環取引による売上の過大計上主な不適正な会計処理の概要

・「関連当事者との取引」の注記の不記載
主な不適正な会計処理の概要
 証券監視委は、本事例のような有価証券報告書等における虚偽記載などの開示規制違反に対して、引き続き厳正に対処してまいります。

2.アヴァトレード・ジャパン株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、令和6年4月23日、金融庁に対して、アヴァトレード・ジャパン株式会社(以下「当社」といいます。)に行政処分を行うよう勧告いたしました
 
【事案の概要等】
 令和3年5月頃、当社のストレステストの結果が悪化しつつあったことから、当社社長は、さらなる悪化を回避するため、親会社のコンプライアンス部門の最高責任者に対し、ストレステストに使用する顧客データの改ざんを依頼しました。その結果、令和3年5月末から令和5年3月末の各月末のうち、少なくとも13日について、ストレステストに使用する顧客データから大口取引顧客の上位数名のデータを削除したうえで、ストレステストを実施しました。
 令和5年5月頃、ストレステストの結果が再度悪化してきたことから、当社社長は親会社に対して資金提供を依頼したものの、親会社が積極的に応じる姿勢を示さなかったことから、当社社長は、当社監査室長に対し、顧客データを改ざんするよう指示しました。その結果、当社監査室長は、令和5年5月から同年8月末までの少なくとも24日について、顧客データの一部を削除したうえで、ストレステストを実施しました。
 
 当該状況は、一般社団法人金融先物取引業協会(以下「協会」といいます。)の規則に基づき、ストレステストを実施すべきところ、正しく実施していないものと認められます。
 また、協会にストレステストの結果を報告する必要があるところ、当社は改ざんしたデータを用いてストレステストを実施しており、正しいデータに基づくストレステストの結果の報告を行っていないものと認められます。
 さらに、ストレステストの結果を踏まえ、必要な場合には、経営の健全性を確保するための措置を講じる必要があるところ、具体的な措置を講じていないものと認められます。
 
 当社の上記行為のうち、ストレステストを正しく実施していない状況については、金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第21号の4に該当するものと認められます。
 また、協会への報告を行っていない状況については、同項第21号の6に、ストレステストの結果を踏まえ、経営の健全性を確保するための措置を講じる必要があるところ、講じていない状況については、同項第21号の5に該当するものと認められます。
 
【証券監視委からのメッセージ】
 本件事案は、当社社長の法令等遵守意識の欠如に加え、親会社を含めたガバナンスや内部けん制が機能していなかったことにより、投資者保護上重大な問題が認められたものです。
  証券監視委は、このような投資者保護上問題のある行為に対して、今後も厳正に対処してまいります。
※ 当社に対しては、令和6年5月14日に、関東財務局長から業務改善命令の処分が行われています新しいウィンドウで開きます / open new window

3.株式会社小僧寿しの役員及び子会社社員による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、取引調査の結果に基づいて、令和6年5月24日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました。
株式会社小僧寿し役員による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
株式会社小僧寿しの子会社社員による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について

【事案の概要】
 本件は、株式会社小僧寿し(以下「小僧寿し」といいます。)の役員であった課徴金納付命令対象者が、小僧寿しの属する企業集団の令和4年12月期の売上高、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益について、令和4年2月公表の予想値に比較して、同社が新たに算出した予想値に、投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとなる差異が生じた旨の重要事実を、その職務に関し知りながら、本件事実の公表前に小僧寿し株式を売り付けたものです。
 また、当時、小僧寿しの子会社であった株式会社アニスピホールディングス(以下「アニスピ」といいます。)の社員であった課徴金納付命令対象者が、小僧寿しの社員から、同人がその職務に関し知った、同社の業務執行を決定する機関がアニスピの非子会社化を伴う株式譲渡を行うことについての決定をした旨の重要事実の伝達を受けながら、本件重要事実の公表前に売り付けたものです。
 
【事案の特色等】
 本件は、法令を遵守し、株取引に関して高い規範意識を保つことが求められる上場会社の役員及び子会社社員が内部者取引に及んだ悪質な事案です。
 また、小僧寿しについては、過去にも、証券監視委が、令和元年に、同社の従業員が業績予想の下方修正という重要事実を知りながら、その重要事実が公表される前に小僧寿し株式を売り付けたとして、課徴金納付命令勧告を行っています。
 
【証券監視委からのメッセージ】
 小僧寿しにおいて、内部者取引規制違反が再発したことは、同社の内部者取引規制に対する取組みが不十分だったことに起因していると言わざるを得ません。
 本件勧告を行うことで、上場会社の役職員に対して、改めて内部者取引規制の遵守や内部管理態勢の重要性について注意喚起することにより、違反行為を未然に防止する効果を期待したいと思います。
違反行為事実の概要について


違反行為事実の概要について

4.株式会社あすなろに対する検査結果に基づく勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、令和6年5月24日、金融庁に対して、株式会社あすなろ(以下「当社」といいます。)に行政処分を行うよう勧告いたしました
 
【事案の概要等】
○ 顧客のため忠実に投資助言業務が行われていない状況
(1) 当社における投資助言業務統括者である甲部長は、令和4年5月から同5年3月までの間に当社が買付推奨の助言(配信)を行った銘柄(以下「単発スポット銘柄」といいます。)55銘柄のうち、少なくとも20銘柄について、特定の顧客2名に対し、単発スポット銘柄の配信前に助言銘柄を伝達するとともに売買等の助言を行っている事実が認められました。
 また、甲部長は、上記行為に加え、令和4年9月から同5年3月までの間、一部の顧客に対し、単発スポット銘柄の配信前に、銘柄名は伝達しないものの、どの程度の価格の銘柄かなどを伝達し、配信直後に銘柄名を伝達したらすぐに発注できるよう、準備を依頼したうえで、配信直後に当該銘柄名や成行注文による買付けなどを助言していました。
(2) 当社は、単発スポット銘柄の決定を行ってから配信を行うまでの情報管理方法に係る規定を定めておらず、情報管理が不十分な状況であるなど、上記(1)の行為を防止するための内部管理態勢を構築していない状況であったことから、上記(1)の行為を見過ごしていました。
 当社が、上記(2)のとおり甲部長の行為を見過ごし、かつ、これを防止する態勢を構築しないまま、一般の顧客に単発スポット銘柄を助言すること、また、甲部長が、その業務に関し、当社の特定の顧客に対して、事前に助言銘柄を伝達するとともに売買等の助言を行うこと等は、配信日における一般の顧客の取引に基づく価格の変動を利用して特定の者の利益を図るために行われた行為であり、これは一般の顧客と特定の者との間の公平性の観点や、利益相反の観点から問題があるなど、正規の手続きにより投資顧問契約を締結した多くの一般の顧客をないがしろにし、その信認を裏切るものです。このような当社の業務運営の状況は、金融商品取引法第41条第1項に定める「忠実義務」に違反するものと認められます。
 
【証券監視委からのメッセージ】
  • 上記の法令違反行為は、当社において、投資助言業務特有のリスクに対する認識が著しく希薄であり、甲部長の行為を防止するための内部管理態勢が構築されていなかったこと等に起因して発生したものと認められ、投資家保護上重大な問題が認められたものです。
  • 証券監視委は、このような投資者保護上問題のある行為に対して、今後も厳正に対処してまいります。
※ 当社に対しては、令和6年6月5日に、関東財務局長から業務停止命令(2か月)及び業務改善命令の処分が行われています新しいウィンドウで開きます / open new window

5.Abalance株式会社株券に係る内部者取引事件の告発について

 証券取引等監視委員会は、令和6年6月4日、金融商品取引法違反(内部者取引)の嫌疑で、嫌疑者1名を東京地方検察庁に告発しました

【事案の概要】
 犯則嫌疑者は、東京証券取引所が開設する有価証券市場に上場されているAbalance株式会社(以下「Abalance」といいます。)の執行役員を務めていましたが、令和5年1月中旬頃、その職務に関し、太陽光パネルの製造販売等を営む子会社の業務執行を決定する機関が固定資産の取得を行うことについての決定をした旨の同社の業務等に関する重要事実を知り、その公表前である同月下旬頃、証券会社を介し、東京証券取引所において、自己名義で、Abalanceの株券合計1万9400株を代金合計約5316万円で買い付けたものです。
 
【本件の意義】
 本件は、Abalanceの執行役員(IR広報室長兼経営企画室長)であった犯則嫌疑者が、子会社の業務執行を決定する機関が固定資産の取得を行うことについての決定をした旨の重要事実を職務に関し知り、その公表前に、自己名義でAbalanceの株券を買い付けたものです。上場企業のIR担当の執行役員が行った証券取引の公正を害する内部者取引の事案であり、市場の公正性に与えた影響等諸般の事情に照らし、悪質性が認められます。
 証券取引等監視委員会は、引き続き、市場の公正性・透明性の確保に向けて、本件のような重大で悪質な違法行為に対し、厳正に対応していきます。

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