市場へのメッセージ

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市場へのメッセージ(平成31年4月~)
証券監視委メールマガジン(平成22年11月~平成31年3月)

最新号〔12月24日(金) 配信分〕

<目次>

  1. 外国法人によるヤマハ株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について
  2. 前田建設工業株式会社役員による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
  3. 株式会社梅の花における有価証券報告書の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について
  4. SKY PREMIUM INTERNATIONAL PTE. LTD.(スカイプレミアムインターナショナル社)及びその役員1名による金融商品取引法違反行為に係る裁判所への禁止及び停止命令発出の申立てについて
  5. ジーエヌアイグループ株式外1銘柄に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

1. 外国法人によるヤマハ株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、取引調査の結果に基づいて、令和3年11月5日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました

【事案の概要及び特色等】
 本件は、外国法人(英領バージン諸島法に基づき設立された法人)が、海外の証券会社との間で行っていた日本株を原資産とする証券CFD取引(Contract For Difference)(※1)による相場操縦行為を行った事案です。
(※1)証拠金を預託し、株式等の有価証券を原資産として、取引開始時と終了時の価格差により決済を行う取引で、金融商品取引法上は店頭デリバティブ取引に分類される。
 
 当該証券会社においては、証券CFD取引に係る注文を受けた場合に、これと連動して、即時にその証券CFD取引の注文と同じ内容の注文を機械的・自動的に取引所等に発注することとしていたところ、同法人は、ヤマハ株式の売買を誘引する目的をもって、4取引日にわたり、取引所等において、同株式を原資産とする証券CFD取引の申込みを行い、上記発注形態を通じて、最良気配又はそれに劣後する価格に約定させる意思のない注文を出して、同株式の価格を引き上げ(下げ)た上で、自己に有利な価格で証券CFD取引を約定させるなどの方法により、同株式の売買が繁盛であると誤解させ、かつ、同株式の相場を変動させるべき一連の店頭デリバティブ取引及びその申込みを行った事案となります。
 
 本件相場操縦行為そのものは、他の事案でもよく見られる、見せ玉手法を用いた一般的なものではありますが、本件の特徴として、以下の2点が挙げられます。

➀ 店頭デリバティブ取引による相場操縦事案として、初の課徴金勧告事案であること
  証券会社との間で相対によって行われる店頭デリバティブ取引であっても、その取引が、取引所の開設する金融商品市場の相場を変動させるものであれば、現物株式の売買等と同様に、相場操縦規制の対象となります。

② 海外からの複雑な取引の流れについて、国際協力の枠組みの中で実態を解明したこと
 海外における取引であっても、その発注の効果が日本国内に及ぶものについては、日本の金融商品取引法の規制対象として当委員会が監視しており、当委員会は、海外金融当局(※2)及び日本取引所自主規制法人等との緊密な協力により、日本の金融商品市場の公正を確保していることを、内外に示すことができたと考えています。
(※2)英領バージン諸島、中華人民共和国、香港及びシンガポール共和国の各国金融規制当局
 
 金融取引が、より国際化し、その内容も多様化・複雑化している中において、本件のような複雑な事案についても、多角的・多面的な分析・検証を的確に実施し、証券市場の公正性・健全性を損なう不公正取引に対しては、引き続き、厳正な調査を実施していきます。

○違反行為事実の概要について 概要図 

. 前田建設工業株式会社役員による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について

 証券監視委は、取引調査の結果に基づいて、令和3年11月19日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました

【事案の概要】
 本件は、前田建設工業株式会社の役員が、前田建設工業株式会社(以下「前田建設工業」といいます。)及び前田道路株式会社(以下「前田道路」といいます。)の株式の2銘柄(両社は令和3年9月29日上場廃止。)について、以下の(1)から(3)の違反行為事実に係るインサイダー取引規制違反を行ったものです。
 
(1)違反行為事実A
 同人がその職務に関し、①前田建設工業の配当の予測値において投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとなる差異が生じた旨の重要事実及び、②同社の業務執行を決定する機関が自己株式の取得を行うことについての決定をした旨の重要事実を知りながら、上記各重要事実の公表前に、自己の計算において、前田建設工業株式を買い付けたものです。
 
(2)違反行為事実B
 同人がその職務に関し、前田建設工業の業務執行を決定する機関が、前田道路の株式の公開買付けを行うことについての決定をした旨の公開買付けの実施に関する事実を知りながら、上記事実の公表前に、自己の計算において、前田道路株式を買い付けたものです。
 
(3)違反行為事実C
 同人がその職務に関し、前田建設工業の子会社であった前田道路の業務執行を決定する機関が株式移転を行うことについての決定をした旨の重要事実を知りながら、上記重要事実の公表前に、自己の計算において、前田道路株式を買い付けたものです。

【概要図】 概要図
【証券監視委からのメッセージ】
 本件は、上場会社である前田建設工業の役員として、その職務に関し同社及びその子会社の内部情報を知得できた対象者が、その立場を悪用して数次にわたり借名口座を用いてインサイダー取引を行った事案です。

「他人名義での取引なら発覚しないだろう」などといった甘い考えは通用しません。証券監視委は、今後とも証券市場の公正性・健全性を損なう不公正取引に対しては、厳正な調査を実施し、法令違反が認められた場合には、課徴金勧告や刑事告発を行っていきます。

. 株式会社梅の花における有価証券報告書の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について

 証券監視委は、株式会社梅の花(以下「当社」といいます。)における金融商品取引法に基づく開示規制の違反について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたことから、令和3年11月19日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました
 
【法令違反の内容】
 当社は、当社が行った不適正な会計処理により、過大な当期純利益等を計上することによって、「重要な事項につき虚偽の記載」がある以下の有価証券報告書を福岡財務支局長に提出しました。
・平成28年9月期有価証券報告書(平成28年12月22日提出)
 
【不適正な会計処理】
 当社は、担当者が虚偽の資料を使用して、当社及び当社連結子会社の特定の店舗に配賦すべき本社経費を不正に操作し、当該店舗の費用を適正額より過少に計上する不適正な会計処理を行い、特別損失の計上を回避しました。

 証券監視委は、本事例のような有価証券報告書等における虚偽記載などの開示規制違反に対して、引き続き厳正に対処してまいります。

. SKY PREMIUM INTERNATIONAL PTE. LTD.(スカイプレミアムインターナショナル社)及びその役員1名による金融商品取引法違反行為に係る裁判所への禁止及び停止命令発出の申立てについて

 証券監視委は、令和3年9月17日、東京地方裁判所に対して、SKY PREMIUM INTERNATIONAL PTE. LTD.(スカイプレミアムインターナショナル社。以下本節において「当社」といいます。)及び当社のCSO(最高営業責任者)であり日本における営業活動の統括責任者である水島忍(以下、当社及び水島忍を併せて「当社ら」といいます。)に金融商品取引法違反行為(無登録で、投資一任契約の締結の媒介を業として行うこと)の禁止及び停止を命ずるよう申立てを行いました

【事案の概要】
 当社らは、金融商品取引法第29条所定の登録を受けずに、国内の一般投資家に対しエージェント約500人を介して、投資セミナーを開催するなどして、当社会員のみ契約可能な取扱商品である「LION PREMIUM」(投資一任契約に基づく投資運用に該当する海外投資商品。以下「ライオンプレミアム」といいます。)について取得勧誘を行っていました。
 また、当社らは、上記取得勧誘後も、申込書等の記載方法を助言・指示するなどして、当該商品について顧客とThink Smart Trading社(当該商品に係る運用指示を行っているとされる主体。法人格の有無、実在性及び実態は不明です。)との間の投資一任契約の締結の媒介を行っていました。
 
[ライオンプレミアムの概要]
 ライオンプレミアムは、Think Smart Trading社の運用指示に基づき、GQ CAPITAL INC.(平成27年にベリーズ国において設立された外国為替証拠金取引取扱業者と説明されています。以下「GQ社」といいます。)において外国為替証拠金取引(FX取引)を実施する商品であり、顧客からの当該商品への投資資金は、チェコスロバキア貿易銀行(以下「CSOB銀行」といいます。)に開設されたGQ社名義の口座において分別管理される、と説明されています。
 しかしながら、複数の海外当局の協力を得て証券監視委が調査した結果によれば、顧客からの投資資金について、当社の顧客に対する説明内容とは異なり、足下、CSOB銀行にはGQ社の口座がなく、同銀行のGQ社口座宛に送金代行業者からの送金も行われておらず、FX取引運用されていることの確認はできませんでした。
 
 当社ら(当社の前身であるNSC PLANNING株式会社を含みます。)は、ライオンプレミアムの前身の商品である「SAMURAI SYSTEM」(サムライシステム)や「Lion」(ライオン)の取得勧誘等を併せ、長期間にわたり投資一任契約の締結の媒介を行っていました。
 
 なお、当社らの説明によれば、これまでに約2万2,000人の一般投資家(会員)に対して当該商品(前身の商品を含みます。)の契約締結をさせており(現時点で投資残高を保有している人数は不明です。)、当該契約に基づく一般投資家からの投資総額は、これまでに約1,200億円(これまでに約500億円は投資家に対して返金等したとしていますが、預かり資産残高額は不明です。)であるとしています。
 
 上記のような行為を業として行う場合には、金融商品取引法上の登録(投資助言・代理業の登録)を受ける必要がありますが、当社らは、この登録を受けることなく、上記行為を行っていました。
 
 当社らに対しては、令和3年12月8日に、東京地方裁判所から、当該金融商品取引法違反行為の禁止及び停止を命ずる決定が出されています
 
 証券監視委においては、引き続き、関係機関とも連携しつつ、無登録業者に対して厳正に対処してまいります。投資者の皆様におかれては、無登録業者と取引を行うことがないように、注意してください。

【スカイプレミアム(ライオンプレミアム)の顧客の皆様へ】
  • 東京地方裁判所は、証券監視委の申立ての内容どおり、当社らが、ライオンプレミアムに関し、登録を受けずに金融商品取引業(媒介)を行っていたことを認め、当該行為の禁止及び停止を命令しました(令和3年12月8日)。登録を受けずに金融商品取引業を行うことは違法です。
  • 複数の海外当局による協力を得て当委員会が調査した結果によれば、顧客からの投資資金について、当社の顧客に対する説明内容とは異なり、足下、CSOB銀行にはGQ社の口座がなく、同銀行のGQ社口座宛に送金代行業者からの送金も行われておらず、FX取引運用されていることの確認はできませんでした。
  • 当社は、金融商品取引業の登録を受けた業者ではありません。また、GQ CAPITAL INC.(「GQFX」とも呼称)も金融商品取引業の登録を受けた業者ではありません。
  • 当社らは、ライオンプレミアム以外にも、RL360社、Premier Trust社、Cornhill Management社の海外投資積立商品を当社ウェブサイト上で案内していましたが、いずれにしても、当社らは、金融商品取引業の登録を受けた業者ではありません。
  • 【一般投資家の皆様へ】も、併せてご確認ください。
  • スカイプレミアム(ライオンプレミアム)に関するご相談は、以下の相談窓口にご連絡ください。

ご相談窓口

消費者庁 消費者ホットライン
 消費者ホットライン(電話:188)にて、お近くの消費生活相談窓口をご案内します。

日本弁護士連合会の法律相談窓口
 法律相談の概要や各種窓口などを紹介しています。
 全国の弁護士会の法律相談センターの窓口はこちら(各都道府県の法律相談センターが表示)

・その他弁護士等の個別相談窓口

・警察相談専用電話(#9110)又は最寄りの警察署

【一般投資家の皆様へ】
 
  • 無登録業者が、実際には契約内容のとおりの取引を行っていなかったなどのトラブルが多発しています。無登録業者には、金融庁の監督権限が及ばず、投資者保護規定に基づく命令・処分等が行えませんので、ご注意ください。
  • 一般に、無登録業者は、実際には契約内容のとおりの取引・運用等を行っていなかったとしても、返金等を希望する一部の顧客に対し、他の顧客の投資資金を流用することで、返金等に応じることがあります。したがって、仮に、これまで返金等を受けることができていたとしても、そのことをもって、当該商品が信頼できるとは言えませんので、ご注意ください。
  • 日本で登録を受けずに金融商品取引業を行うことは違法です。取引の相手方が登録を受けているか、こちらでご確認ください。
  また、無登録で金融商品取引業を行っているとして、金融庁(財務局)が警告を行った者の名称等は、こちらをご確認ください。
 
  •    外国為替証拠金取引(FX取引)についての注意点は、こちらをご確認ください。
  •    無登録の海外所在業者による勧誘についての注意点は、こちらをご確認ください。
 

. ジーエヌアイグループ株式外1銘柄に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

 証券監視委は、取引調査の結果に基づいて、令和3年12月14日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました

【事案の概要及び特色等】
 対象者は、自己名義の証券口座2口座を用い、インターネット取引で、ジーエヌアイグループ株式及びファナック株式の2銘柄につき、各株式の売買を誘引する目的をもって、各株式の売買が繁盛であると誤解させ、かつ、各株式の相場を変動させるべき一連の売買及び委託をしたものです。
 
 主な取引手法は、他の投資家の売買を誘引する目的をもって、短時間に、
①売り見せ玉:上値に重層的な売り注文を発注して売り板を厚くし、
②株価引下げ:更に、最小売買単位での売付けを行い、株価を引き下げて、売り優勢の相場を形成します。
③仕込みの買付け:誘引された他の投資者の売り注文を買い付けて、仕込みの買付けを行います。
④売り見せ玉取り消し:仕込みの買付け(安く買い付けることができた)後、①の売り見せ玉を徐々に上値訂正又は取り消すことで売り板を薄くします。
⑤買い見せ玉:下値に重層的な買い注文を発注して買い板を厚くし、
⑥株価引上げ:更に、最小売買単位での買付けを行い、株価を引き上げて、買い優勢の相場を形成します。
⑦売抜け:誘引された他の投資者の買い注文に対し、売り付けます。
⑧板に残っていた注文を取り消し:全ての買い見せ玉を取り消します。

※ 相場操縦における取引手法が益々巧妙化している中、例え、短時間の取引であっても、証券市場の公正性・健全性を損なう不公正取引に対しては、厳正な調査を実施していきます。

〇違反行為事実の概要について 概要図

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