市場へのメッセージ

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市場へのメッセージ(平成31年4月~)
証券監視委メールマガジン(平成22年11月~平成31年3月)

最新号〔2月6日(火) 配信分〕

<目次>

  1. 株式会社フジオフードグループ本社における有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について
  2. 株式会社ストックジャパンに対する検査結果に基づく勧告について
  3. 海外に居住する個人による大平洋金属株式会社株式ほか1銘柄に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について
  4. 株式会社アマナにおける有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について

1.株式会社フジオフードグループ本社における有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、株式会社フジオフードグループ本社(以下「当社」といいます。)における金融商品取引法に基づく開示規制の違反について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたことから、令和5年11月28日に内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました
 
【法令違反の内容】
 当社及び当社の連結子会社は、助成金収入の過大計上等の不適正な会計処理により、過大な当期純利益等を計上した連結財務諸表等を作成し、これらの連結財務諸表等を記載した下記の開示書類を近畿財務局長に提出しました。
 これらの開示書類は、重要な事項につき虚偽の記載がある開示書類に該当します。
 
(継続開示書類)
・令和3年12月期有価証券報告書(令和4年3月30日提出)等、合計4通

【主な不適正な会計処理】
 当社の連結子会社は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止等を目的とした自治体による営業時間短縮協力金の申請のため、支給単価(1日当たりの支給額)を算出するにあたり、本来、「みなし大企業」に該当し、「大企業」向けの算出方法により支給単価を算出する必要がありました。しかしながら、当該子会社は、「中小企業等」向けの算出方法により支給単価を算出のうえ、過大な当該協力金の申請を行いました。
 この結果、当社の連結子会社は、助成金収入(営業外収益)を過大に計上しました。
 
[参考:不正行為の概要図(イメージ図)]
不正行為の概要図

 証券監視委は、本事例のような有価証券報告書等における虚偽記載などの開示規制違反に対して、引き続き厳正に対処してまいります。

2.株式会社ストックジャパンに対する検査結果に基づく勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、令和5年12月5日、金融庁に対して、株式会社ストックジャパン(以下「当社」といいます。)に行政処分を行うよう勧告いたしました
 
【事案の概要等】
(1) 当社は、自社ウェブサイト上の広告において、当社と投資顧問契約を締結したという人物が、当社の助言により株で600万円以上の利益を得たという架空のエピソードなど、利益の見込みについて著しく事実に相違する表示を行ったほか、当該エピソードが事実であるかのように装うため法定帳簿に虚偽の内容を記載するなどしていました。また、当該ページが広告であるにもかかわらず、当社の商号や名称、登録番号を記載していませんでした。
 
(2) 当社は、推奨した銘柄の「推奨日」、「推奨日始値」、「推奨後高値」、「株価変動率」を「推奨銘柄の実績」として自社ウェブサイトに掲載しています。このうち、少なくとも10銘柄について、顧客に売り推奨を行った日付及び株価ではなく、買い推奨後の最も高値を付けた日付及び株価(推奨後高値)、当該株価を元に計算した株価変動率を記載しているものの、その点について当社ウェブサイトには一切記載していませんでした。また、当社は自主規制機関の監査において、適正な表示を行うよう指導をうけていましたが、何ら対応していませんでした。
 
(3) 当社は、投資顧問契約の締結の勧誘を行う際、顧客に割安感を与えるため、勧誘用ウェブサイトページに「本来の投資顧問料」を「割引後の価格」として記載し、営業員から架電することで、延べ257件の契約を締結しました。
 なお、当社の社内マニュアルには、実際には約定する意図のない価格を提示した上で値引きする旨のセールストークも記載されており、不適切な勧誘が組織的に行われていたと認められます。
 
 上記(1)のうちウェブサイト上に利益の見込みについて著しく事実に相違する表示を行った行為及び(2)の行為は、金融商品取引業に関する広告において、利益の見込みについて著しく事実に相違する表示及び助言実績について著しく人を誤認させるような表示を行うものであり、金融商品取引法第37条第2項に違反し、上記(1)のうち法定帳簿に虚偽の内容を記載する行為は同法第47条に、当社の広告であるにもかかわらず商号等を記載していなかった行為は同法第37条第1項に違反します。
 さらに上記(3)の行為は金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為であり、同法第38条第1号に該当するものと認められます。
 
【証券監視委からのメッセージ】
 本件事案は、顧客獲得を優先する営業部門に対する内部管理部門による内部牽制が十分に機能していなかったことにより発生したものと認められ、投資者保護上重大な問題が認められたものです。
 証券監視委は、このような投資者保護上問題のある行為に対して、今後も厳正に対処してまいります。
※ 当社に対しては、令和5年12月15日に、関東財務局長から業務停止命令(1か月)及び業務改善命令の処分が行われています新しいウィンドウで開きます / open new window

3.海外に居住する個人による大平洋金属株式会社株式ほか1銘柄に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、取引調査の結果に基づいて、令和5年12月8日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました
 
【事案の概要】
 本件は、中国居住の課徴金納付命令対象者(以下「対象者」といいます。)が、海外銀行との間で行っていた日本株式を原資産とする証券CFD取引(Contract For Difference)(※)を介して、大平洋金属株式会社及びノーリツ鋼機株式会社の各株式について、見せ玉を用いた相場操縦行為を行った事案です。
(※)証拠金を預託し、株式等の有価証券を原資産として、取引開始時と終了時の価格差により決済を行う取引で、金融商品取引法上は店頭デリバティブ取引に分類されます。
 
【事案の特色】
(1) 本件においては、対象者が海外銀行に対し本件証券CFD取引に係る注文を行うと、当該海外銀行において、即時に、本件証券CFD取引に係る注文と同内容の株式の売買注文を証券会社グループを介して取引所等に発注する仕組みとなっていました。
 そのため、対象者は、本件証券CFD取引を行うことにより、現物の株式取引を行う場合と同様に、注文の発注及び取消しを市場に指図することが可能でした。
 なお、本件は、店頭デリバティブ取引による相場操縦事案であり、この類型による課徴金納付命令勧告は、令和3年11月5日に勧告したヤマハ株式に係る相場操縦事案に続き本件が2例目となります。
 
(2) 本件は、カナダブリティッシュコロンビア州、ケイマン諸島、中華人民共和国、デンマーク、香港、ハンガリー、カナダオンタリオ州、英国の各金融規制当局から支援を受けて調査を進めたほか、日本取引所自主規制法人から提供された情報も参考として、実態解明を行った事案です。
 
【証券監視委からのメッセージ】
 本件違反行為を勧告することにより、海外の店頭デリバティブ取引であっても、その発注の効果が日本国内に及ぶものについては、証券監視委が監視しており、海外金融規制当局や自主規制機関との緊密な協力により、市場の公正を確保していることを社会に示すことができたと考えています。
 金融取引が国際化し、その内容も多様化・複雑化している中において、本件のような複雑な事案についても、的確に調査を実施し、違反行為が認められた場合には、引き続き厳正に対処していきます。
 

○違反行為の概要について
違反行為の概要について

4.株式会社アマナにおける有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、株式会社アマナ(以下「当社」といいます。)における金融商品取引法に基づく開示規制の違反について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたことから、令和5年12月15日に内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました
 
【法令違反の内容】
 当社は、売上及び売上原価の過大計上の不適正な会計処理を行ったことにより、重要な事項につき虚偽の記載がある有価証券報告書、四半期報告書及び有価証券報告書等の訂正報告書を提出しました。

(継続開示書類)
・令和2年12月期有価証券報告書(令和3年3月31日提出)等、合計19通

 なお、当社が提出した平成30年12月期有価証券報告書(平成31年3月25日提出)等、合計4通の有価証券報告書及び四半期報告書についても、重要な事項につき虚偽の記載があるものと認められましたが、これらの継続開示書類は、令和4年12月12日付けで課徴金の納付命令の決定がされているため、今回の課徴金納付命令勧告の対象とはなりません。
 
【主な不適正な会計処理】
 当社の営業担当者は、
  • 受託元から受注した広告制作業務を外部業者に委託する際、当該委託先からキックバックを得る目的で、キックバック分を含めた過大な外注費用の支払いを行いました(売上原価の過大計上)。
  • また、当該不正行為が露見しないよう、当社の販売管理システムにおいて、受注業務の対価(受託元への請求額)を過大に登録していました(売上の過大計上)。

[参考:不正行為の概要図(イメージ図)]
不正行為の概要図
 証券監視委は、本事例のような有価証券報告書等における虚偽記載などの開示規制違反に対して、引き続き厳正に対処してまいります。

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