市場へのメッセージ

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市場へのメッセージ(平成31年4月~)
証券監視委メールマガジン(平成22年11月~平成31年3月)

最新号〔2月7日(金) 配信分〕

<目次>

  1. 株式会社アルファクス・フード・システムとの契約締結交渉者による取引推奨行為並びに同契約締結交渉者及び同社役員から情報伝達を受けた者4名による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
  2. 株式会社ヤマウラにおける有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について
  3. 株式会社きょくとうにおける有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について

1.株式会社アルファクス・フード・システムとの契約締結交渉者による取引推奨行為並びに同契約締結交渉者及び同社役員から情報伝達を受けた者4名による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について

証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、取引調査の結果に基づいて、令和6年10月25日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました。
 
【事案の概要】
対象者(1)は、株式会社アルファクス・フード・システム(以下「アルファクス」といいます。)との間で、その発行する株式に係る総数引受契約の締結の交渉をしていた者ですが、同契約の締結の交渉に関し、アルファクスの業務執行を決定する機関がその発行する株式を引き受ける者の募集を行うことについての決定をした旨の重要事実(以下「本件重要事実」といいます。)を知りながら、知人の被推奨者甲及び乙に対し、同重要事実の公表前にアルファクス株式の買付けをさせることにより同人らに利益を得させる目的をもって、同株式の買付けをすることを勧めたものであり、これにより買付けを勧められた被推奨者甲及び乙が、同重要事実の公表前にアルファクス株式を買い付けたものです(取引推奨規制違反:違反行為事実A)。
 
 対象者(2)(被推奨者甲と同一人物)、(3)及び(4)は、対象者(1)から本件重要事実の伝達を受けながら、同重要事実の公表前に、アルファクス株式を買い付けたものです(内部者取引規制違反:違反行為事実B、違反行為事実C及び違反行為事実D)。なお、対象者(3)は親族名義を使って買い付けています。
 
 対象者(5)は、アルファクスの役員であった者から、同人がその職務に関し知った、本件重要事実の伝達を受けながら、同重要事実の公表前に、アルファクス株式を買い付けたものです(内部者取引規制違反:違反行為事実E)
 
【事案の特色】
本件は、1事案で5名もの対象者がおり、その中には法令遵守に関して高い規範意識を持つべき弁護士が含まれ、また、課徴金額が高額な者も含まれている悪質性の高い事案です。
 
【証券監視委からのメッセージ】
一般的に、第三者割当増資は割当先に情報伝達しないと始まらないがために重要事実を知る関係者も多くなりがちですが、発行体は、割当先への情報伝達に際して、第三者割当増資に係る情報は重要事実に該当するため公表前に株取引しないよう強く要請することや誓約書を提出させるなどといった、インサイダー取引未然防止措置をとる必要があります。そのような観点でも本件は市場に対して警鐘を鳴らす良い事例になったと考えています。また、本件の対象者の中には課徴金額が2万円(取引は最小売買単位の100株のみ)及び17万円という少額の者が含まれています。
我々証券監視委は、たとえ僅かな取引であっても重要事実を取得した上で取引を行った場合は必ず調査するため、インサイダー取引を行わないよう重ねてお願いします。
 
なお、この場を借りて、取引推奨規制違反について紹介したいと思います。本年6月に公表した課徴金事例集のコラム(P6「4 取引推奨規制違反について~インサイダー情報自体を伝えなくても、当該情報に基づく取引推奨行為は違反です!~」)でも取り上げたとおり、インサイダー情報を伝達しなくとも、利益を得させる目的又は損失を回避させる目的をもって取引を推奨すれば、取引推奨規制違反となり、推奨者(本件においては対象者(1))は、被推奨者からの謝礼等の有無にかかわらず、課徴金納付命令の対象となります。また、被推奨者も当然調査対象となります。そのため、インサイダー情報やその可能性がある情報に接した際には、いったん立ち止まり、思慮深く行動していただきたいと考えています。 〇違反行為事実の概要について

2.株式会社ヤマウラにおける有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、株式会社ヤマウラ(以下「当社」といいます。)における金融商品取引法に基づく開示規制の違反について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたことから、令和6年12月3日に内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました。
 
【法令違反の内容】
当社は、当社の連結子会社が行った不適正な会計処理により、過大な当期純利益等を計上することによって、「重要事項につき虚偽の記載」がある下記の開示書類を関東財務局長に提出しました。
 
(継続開示書類)
・令和4年3月期有価証券報告書(令和4年6月27日提出)等、合計2通
・令和4年12月第3四半期四半期報告書(令和5年2月14日提出)等、合計5通
 
【主な不適正な会計処理の概要】
・長期未収入金に係る貸倒引当金繰入額の不計上
主な不適正な会計処理の概要

 証券監視委は、本事例のような有価証券報告書等における虚偽記載などの開示規制違反に対して、引き続き厳正に対処してまいります。

3.株式会社きょくとうにおける有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について

 証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」といいます。)は、株式会社きょくとう(以下「当社」といいます。)における金融商品取引法に基づく開示規制の違反について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたことから、令和6年12月10日に内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令勧告を行いました。
 
【法令違反の内容】
当社は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例措置である「雇用調整助成金」を不正受給し、営業外収益の過大計上の不適正な会計処理を行ったことにより、「重要事項につき虚偽の記載」がある下記の開示書類を福岡財務支局長に提出しました。
 
(継続開示書類)
・令和4年2月期有価証券報告書(令和4年5月31日提出)等、合計2通
・令和4年11月第3四半期四半期報告書(令和5年1月13日提出)等、合計2通
 
【不適正な会計処理の概要】
・営業外収益の過大計上
不適正な会計処理の概要

 証券監視委は、本事例のような有価証券報告書等における虚偽記載などの開示規制違反に対して、引き続き厳正に対処してまいります。

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