令和7年3月14日
証券取引等監視委員会
SIVEX株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会がSIVEX株式会社(東京都港区、法人番号3010401058971、代表取締役 松村 寛、資本金3000万円、常勤役職員3名、適格機関投資家等特例業務届出者)を検査した結果、下記のとおり、当該適格機関投資家等特例業務届出者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
2.事実関係
(1) 虚偽の届出等を行っている状況
SIVEX株式会社(以下「当社」という。)は、平成30年7月27日付けで金融商品取引法(以下「金商法」という。)第63条第2項に規定する適格機関投資家等特例業者(以下「特例業者」という。)の届出を関東財務局(以下「当局」という。)へ提出し、令和5年10月末現在、34本の集団投資スキーム(以下「ファンド」という。)の運営を行っているところ、このうち10本のファンド(以下「本件ファンド」という。)に関し、実際には本件ファンド持分の私募や投資家が出資したとする資金の運用を行わないにもかかわらず、当局に対し、適格機関投資家を当社代表取締役である松村寬、出資対象事業の内容を「国内外の法人が発行する社債など有価証券への投資事業を行う日本の民法上の組合に対して出資を行う」などと虚偽の届出等を行った。
SIVEX株式会社(以下「当社」という。)は、平成30年7月27日付けで金融商品取引法(以下「金商法」という。)第63条第2項に規定する適格機関投資家等特例業者(以下「特例業者」という。)の届出を関東財務局(以下「当局」という。)へ提出し、令和5年10月末現在、34本の集団投資スキーム(以下「ファンド」という。)の運営を行っているところ、このうち10本のファンド(以下「本件ファンド」という。)に関し、実際には本件ファンド持分の私募や投資家が出資したとする資金の運用を行わないにもかかわらず、当局に対し、適格機関投資家を当社代表取締役である松村寬、出資対象事業の内容を「国内外の法人が発行する社債など有価証券への投資事業を行う日本の民法上の組合に対して出資を行う」などと虚偽の届出等を行った。
上記の状況は、金商法第63条第2項及び第8項に違反するものと認められる。
(2) 適格機関投資家等特例業務(以下「特例業務」という。)を適切に行っていないと認められる状況
ア 特例業務の制度を悪用している状況
当社は、本件ファンドを介して海外から送金された約250億円を海外法人であるSTERLING HOUSE GROUP LTD(以下「SHG社」という。)が組成する海外金融商品STERLING HOUSE TRUST Series7 Greenback Program(以下「スターリングハウストラスト」という。)を日本国内で紹介する業務を行っているGlobal Investment Lab株式会社(以下「GIL社」という。)の会員及びその関係者(以下「GIL会員等」という。)に移転させた。
当社が本件ファンドを組成した主な目的は、特例業務に係るファンド事業を行うためではなく、スターリングハウストラストの販売代理店であるGIL会員等にSHG社からの紹介業務の対価を安定的に供給することであった。
当社が虚偽の届出により特例業者になった当初の目的は、GIL会員等がスターリングハウストラストを紹介することで生じた役務提供の対価に係る送金であるにもかかわらず、当局監理の特例業者が運営する本件ファンドの配当金の送金であるかのように見せかけることで、金融機関からマネー・ローンダリング上の取引時確認を受ける海外から日本国内への送金を容易にすることであった。
イ ファンド持分の取得勧誘を無登録業者に委託している状況
当社は、令和5年10月末現在、34本のファンドのうち22本のファンドに関し、パチンコ遊技機等のオペレーティングリース事業を行うことを目的として、ファンド毎に特別目的会社であるアクティブリーシング合同会社を運営しており、各社の匿名組合出資持分(以下「本件匿名組合出資持分」という。)の取得勧誘を金商法第29条の登録を受けていない者であるGIL社及びGIL社以外の法人に委託し、GIL社から再委託を受けた無登録業者等(以下「GIL社等」という。)に投資家に対する同取得勧誘を行わせた。
これにより、当社は、令和元年12月から令和5年10月までの間、少なくとも40者のGIL社等に、本件匿名組合出資持分の取得勧誘を行わせ、それにより、本件匿名組合出資持分につき延べ148者の投資家に合計約60億円を出資させた。
上記のとおり、当社は、運営するファンド34本のうち10本について、実際にはスターリングハウストラストを紹介することで生じた役務提供の対価に係る送金であるにもかかわらず、当局監理の特例業者が運営するファンドの配当金の送金であるかのように見せかけるために組成し、虚偽の届出を行ったものであり、金商法で定められた特例業務の制度を悪用する極めて悪質なものであること、うち22本については、同法第29条の登録を受けていない無登録業者に本件匿名組合出資持分の取得勧誘を委託し、投資家に対して同取得勧誘を行わせるものであり、金商法の定める登録制度を蔑ろにするような悪質な運営が行われていたことに鑑みれば、当社の運営するファンドの大宗につき、重大な問題が認められており、当社は特例業務を適切に行っていない状況であったと認められる。
当社における上記の状況は、金商法第63条第11項に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第30号に該当するものと認められる。

(参考条文)
○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
(登録)
(適格機関投資家等特例業務)
〇 金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)(抄)
(業務の運営の状況が公益に反し又は投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるもの)
(適格機関投資家等特例業務に係る届出事項)
(登録)
第二十九条 金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。
(適合性の原則等)
第四十条 金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が次の各号のいずれかに該当することのないように、その業務を行わなければならない。
一 (略)
二 前号に掲げるもののほか、業務に関して取得した顧客に関する情報の適正な取扱いを確保するための措置を講じていないと認められる状況、その他業務の運営の状況が公益に反し、又は投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定める状況にあること。
(適格機関投資家等特例業務)
第六十三条 次の各号に掲げる行為については、第二十九条及び第三十三条の二の規定は、適用しない。
一 適格機関投資家等(適格機関投資家以外の者で政令で定めるもの(その数が政令で定める数以下の場合に限る。)及び適格機関投資家をいう。以下この条において同じ。)で次のいずれにも該当しない者を相手方として行う第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利に係る私募(適格機関投資家等(次のいずれにも該当しないものに限る。)以外の者が当該権利を取得するおそれが少ないものとして政令で定めるものに限り、投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定めるものを除く。)
イ~ハ (略)
二 第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利(同一の出資対象事業(同項第五号に規定する出資対象事業をいう。)に係る当該権利を有する者が適格機関投資家等(前号イからハまでのいずれにも該当しないものに限る。)のみであるものに限る。)を有する適格機関投資家等から出資され、又は拠出された金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)の運用を行う同条第八項第十五号に掲げる行為(投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定めるものを除く。)
2 適格機関投資家等特例業務(前項各号に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいう。以下同じ。)を行う者(金融商品取引業者等を除く。)は、あらかじめ、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を内閣総理大臣に届け出なければならない。
一~八 (略)
九 その他内閣府令で定める事項
3~7 (略)
8 特例業務届出者は、第二項各号に掲げる事項に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
9~10 (略)
11 特例業務届出者が適格機関投資家等特例業務を行う場合においては、当該特例業務届出者を金融商品取引業者とみなして、第一節第五款、第三十六条の三、第三十七条、第三十七条の三、第三十七条の四、第三十八条(第一号、第二号及び第九号に係る部分に限る。)、第三十九条(第四項及び第六項を除く。)、第四十条、第四十条の三、第四十条の三の二、第四十二条、第四十二条の二、第四十二条の四、第四十二条の七、第四十三条の六及び第四十五条並びにこれらの規定に係る第八章及び第八章の二の規定を適用する。
12・13 (略)
〇 金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)(抄)
(業務の運営の状況が公益に反し又は投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるもの)
第百二十三条 法第四十条第二号に規定する内閣府令で定める状況は、次に掲げる状況とする。
一~二十九 (略)
三十 適格機関投資家等特例業務において、出資対象事業への出資を行っている適格機関投資家が特例業務届出者の子会社等である適格機関投資家のみであることその他の事情を勘案して法第六十三条第一項各号に掲げる行為を適切に行っていないと認められる状況
三十一~三十六 (略)
2~16 (略)
(適格機関投資家等特例業務に係る届出事項)
第二百三十八条 法第六十三条第二項第九号に規定する内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一 (略)
二 法第六十三条第一項第一号に掲げる行為に係る業務を行う場合には、次に掲げる事項
イ (略)
ロ 当該業務に係る出資対象事業の内容
ハ 当該業務に係る出資対象事業持分を取得する適格機関投資家の商号、名称又は氏名、種別(金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第十条第一項各号の種別をいう。次号ハにおいて同じ。)及び数
ニ 適格機関投資家以外の者を相手方として当該業務に係る出資対象事業
持分の私募を行う場合には、その旨
ホ・ヘ (略)
三 法第六十三条第一項第二号に掲げる行為に係る業務を行う場合には、次に掲げる事項
イ (略)
ロ 当該業務に係る出資対象事業の内容
ハ 当該業務に係る出資対象事業持分を有する適格機関投資家の商号、名称又は氏名、種別及び数
ニ 適格機関投資家以外の者が当該業務に係る出資対象事業持分を有する場合には、その旨
ホ・ヘ (略)
四・五 (略)