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令和元年6月26日
証券取引等監視委員会

株式会社D.U.corporation及びその役員1名による金融商品取引法違反行為に係る裁判所への禁止及び停止命令発出の申立てについて

1.申立ての内容等
  証券取引等監視委員会が、株式会社D.U.corporation(名古屋市千種区、法人番号2260001023897、代表取締役 増本範子(ますもとのりこ)、資本金5万円、金融商品取引業の登録等はない。以下「当社」という。)に対して金融商品取引法(以下「金商法」という。)第187条第1項に基づく調査を行った結果、下記2.の事実が認められたことから、本日、証券取引等監視委員会は、金商法第192条第1項に基づき、名古屋地方裁判所に対し、当社及び当社の代表取締役である増本範子(以下、当社と併せて「当社ら」という。)を被申立人として、金商法違反行為(無登録で、投資一任契約の締結の媒介を業として行うこと)の禁止及び停止を命ずるよう申立てを行った。
 
2.事実関係
  当社らは、シンガポール共和国籍の法人であるRoyal Tree Capital Singapore Pte. Ltd.(以下「ロイヤル社」という。)と業務委託契約を締結し、遅くとも平成29年10月以降、一般投資家に対し、同社の提供する為替自動売買システム(注)を含む商品(「Security」との名称であり、「S」と通称されている。)の取得勧誘を行っている。
(注)専用のアプリケーションを通じて、サーバ上に設置されたプログラムにアクセスして利用するもの。顧客が運用口座に入金のうえ稼動申請を行うと、顧客自身が取引の時期・内容について指示・選択する余地はなく、プログラムが決定したとおりに取引が行われる。
 
 当該為替自動売買システムについて、顧客が運用口座に入金した資金は、ロイヤル社の関連会社であり、サモア独立国籍の法人であるBright Friends Limited.(以下「ブライト社」という。)がFX取引等により運用を行うとしており、その利用にあたっては、入金した資金について、最終的な投資判断及び投資を行うに必要な権限をブライト社に委任すること等を内容とする規約に同意することとされている。
 これは、金商法2条8項12号ロに規定する投資一任契約に該当する。
 そして、一般投資家を相手方として反復継続して、為替自動売買システムを含む商品(「S」)を販売し、同システムの使用に必要な上記規約に同意させることで、同システムを利用した投資一任契約の成立に尽力している当社らの行為は、同項13号に規定する投資一任契約の締結の媒介を業として行っていたものに該当する。
 
 当社らの上記行為は、金商法第28条第3項第2号に規定する「投資助言・代理業」に該当し、無登録でこれを行うことは、同法第29条に違反するものである。
 
 当社らは、平成29年10月から平成31年3月までの間に、少なくとも613名の一般投資家に対し同商品を取得させ、その対価として約5億3000万円を支払わせている。
 
 当社らは上記違法行為を今後も行う蓋然性が高いことから、これを可及的速やかに禁止・停止させる必要がある。  

金融商品取引法違反に係る裁判所への申立てについて
 

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参考条文

金融商品取引法(抄)

○投資助言・代理業
(定義)
第二条(略)
2~7(略)
8 この法律において「金融商品取引業」とは、次に掲げる行為(略)のいずれかを業として行うことをいう。
一~十一(略)
十二(略)
イ(略)
ロ イに掲げるもののほか、当事者の一方が、相手方から、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づき当該相手方のため投資を行うのに必要な権限を委任されることを内容とする契約(以下「投資一任契約」という。)
十三 投資顧問契約又は投資一任契約の締結の代理又は媒介
十四~十八(略)
9~39 (略)
 
第二十八条(略)
2(略)
3 この章において「投資助言・代理業」とは、金融商品取引業のうち、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいう。
一(略)
二 第二条第八項第十三号に掲げる行為
4~8 (略)

(登録)
第二十九条 金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。
 
○緊急差止命令に係る申立て

(審問等に関する調査のための処分)
第百八十七条 内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣は、この法律の規定による審問、この法律の規定による処分に係る聴聞又は第百九十二条の規定による申立てについて、必要な調査をするため、当該職員に、次に掲げる処分をさせることができる。
一 関係人若しくは参考人に出頭を命じて意見を聴取し、又はこれらの者から意見書若しくは報告書を提出させること。
二 鑑定人に出頭を命じて鑑定させること。
三 関係人に対し帳簿書類その他の物件の提出を命じ、又は提出物件を留めて置くこと。
四 関係人の業務若しくは財産の状況又は帳簿書類その他の物件を検査すること。
2(略)

(裁判所の禁止又は停止命令)
第百九十二条 裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣の申立てにより、当該各号に定める行為を行い、又は行おうとする者に対し、その行為の禁止又は停止を命ずることができる。
一 緊急の必要があり、かつ、公益及び投資者保護のため必要かつ適当であるとき この法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為
二 第二条第二項第五号若しくは第六号に掲げる権利又は同項第七号に掲げる権利(同項第五号又は第六号に掲げる権利と同様の経済的性質を有するものとして政令で定める権利に限る。)に関し出資され、又は拠出された金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)を充てて行われる事業に係る業務執行が著しく適正を欠き、かつ、現に投資者の利益が著しく害されており、又は害されることが明白である場合において、投資者の損害の拡大を防止する緊急の必要があるとき これらの権利に係る同条第八項第七号から第九号までに掲げる行為
2~4(略)
 
第百九十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一~七(略)
八 第百九十二条第一項又は第二項の規定による裁判所の命令に違反した者
 
第二百七条 法人(略)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一・二(略)
三 第百九十八条(略)又は第百九十八条の三から第百九十八条の五まで 三億円以下の罰金刑
四~六(略)
2・3(略)

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